本発明は、その全開示内容がここに言及することにより完全に引用される、2003年5月7日出願の米国仮特許出願第60/468,581号に優先権を主張する。
本発明は、概して、医学の分野に関するものであり、より詳細には、細菌学、免疫学、ワクチン、および免疫による細菌性病原菌感染の防止に関するものである。
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、世界中において細菌性髄膜炎および敗血症の主な原因である。ここ30年の間における特有の髄膜炎菌性疾患の発生率は、先進国で100,000人当り1から5人の範囲であり、開発途上国では100,000人当り10から25人の範囲である(Reido, F.X., et al. (1995)Ped.Infect.Dis.J.14,pp.643-657)。米国では、1年当り約2,600症例の細菌性髄膜炎が発生し、開発途上国では平均で330,000症例である。致死率は10%から20%に及ぶ。
病原性髄膜炎菌は、生物の外膜表面に結合した多糖莢膜によって包まれている。莢膜多糖の免疫学的特異性に基づいて、13の異なる髄膜炎菌血清群が同定された(Frasch, C.E., et al. (1985)Rev.Infect.Dis.7,pp.504-510)。それら13の血清群の中で5つが、髄膜炎菌性疾患の大部分の原因となる;そのような血清群として、血清群A、B、C、W135、およびYが挙げられる。血清群Aは、ほとんどの伝染性疾患の原因である。血清群B、C、およびYは大部分の風土病および局在化された発生の原因である。
ヒト鼻−口腔咽頭粘膜は、髄膜炎菌の唯一の公知の天然の貯蔵所である。鼻咽頭の粘膜細胞および上皮下組織の外面の両方で定着が生じる。髄膜炎菌の運搬は数ヶ月の間続くであろう。髄膜炎菌の拡散は、直接的接触または空気飛沫を介して生じる。髄膜炎菌は、エンドサイトーシスの結果として、食胞によって粘膜上皮を通って通過することによって侵襲性になる。侵襲性髄膜炎菌の宿主防御は、補体介在性溶菌に依存する。補体介在製溶菌を担う血清抗体は、主に、外側の莢膜多糖に対するものである。
莢膜多糖に対する免疫応答を誘導する、髄膜炎菌多糖に基づくワクチンについて記載する。それら抗体は、血清群特異的な髄膜炎菌の補体介在性溶菌をもたらす能力を有する。髄膜炎菌多糖ワクチンは、子供および成人において有効であることが示された(Peltola, H., et al. (1977)New Engl.J.Med 297,pp.686-691および Artenstein, M.S., et al. (1970)New Engl.J.Med 282,pp.417-420)が、その有効性は乳児および幼児では限られていた(Reingold, A.L., et al. (1985)Lancet2,pp.114-118)。若い集団において多糖を後日に追加投与すると、弱い既往応答を誘導するかまたは全く既往応答を誘導しなかった(Goldschneider, I., et al. (1973)J.Infect.Diseases 128,pp.769-776およびGold, R., et al. (1977) J.Infect.Diseases. 136,S31-S35)。髄膜炎菌多糖ワクチンによって誘導された防御の期間は長続きせず、大人および4才を超える子供では約3年から5年の間と推定された(Brandit,B.L.およびArtenstein,M.S.(1975)J.Infect.Diseases.131,pp.S69-S72,Kyhty, H., et. al. (1980) J.Infect.Diseases.142,pp.861-868、およびCeesay, S.J., et al. (1993) J.Infect.Diseases.167,pp1212-1216)。1才から4才までの子供に関しては、防御の期間は3年未満である(Rein-gold, A.L., et al. (1985)Lancet2,pp.114-118)。
多糖は、T−ヘルパーリンパ球への抗原提示および刺激の必須条件である主要組織適合複合体分子に結合する能力がなく、すなわちT細胞非依存性抗原である。多糖は、T−ヘルパーリンパ球の助けなしに、抗体産生のためにBリンパ球を刺激することができる。Bリンパ球のT非依存性刺激の結果、それら抗原による免疫の後に生じる記憶誘導を欠く。多糖抗原は、大人では非常に効果的なT−依存性応答を誘導できるが、そのようなT依存性応答は、乳児および幼児の未熟な免疫系では弱い。
多糖をタンパク質分子(「担体」または「担体タンパク質」)に共有結合させることによって、T−非依存性多糖抗原を、T依存性抗原に変換させることができる。複合ワクチンの多糖成分に結合するB細胞は、共役担体タンパク質の部分であるペプチドに特異的なヘルパーT細胞によって活性化され得る。担体タンパク質に対するT−ヘルパー応答は、多糖に対する抗体産性を増大させる働きをする。
血清群Bの多糖は、人口母集団において、非免疫原性であることが示されている(Wyle, F.A., et al. (1972) J.Infect.Diseases.126,pp.514-522)。その血清群の多糖をタンパク質に化学結合させても、実験動物における免疫応答は有意に変化しなかった(Jennings, H.J., et al. (1981)J.Immunol.127,pp.1011-1018)。その血清群の多糖に対する免疫応答の欠如の理由は、血清群Bの多糖と例えば神経細胞接着分子のようなポリシアリル化宿主糖タンパク質との間の構造類似性によると考えられている。
血清群Cの多糖に基づく髄膜炎複合ワクチンについても記載されている。その一価ワクチンは、血清群Cに相当する髄膜炎菌の菌株に存在する莢膜多糖に対する強い機能的抗体反応を誘導する。そのようなワクチンは、血清群Cの細菌によって生じる病気に対してのみ防御することができる。
米国特許第6,146,902号明細書
米国特許第4,356,170号明細書
米国特許第4,619,828号明細書
米国特許第5,153,312号明細書
米国特許第5,422,427号明細書
米国特許第5,445,817号明細書
P.W.Anderson, et al. (1986), J. Immunol. 137: 1181-1186
H.J.Jennings and C.Lugowski (1981) J.Immunol. 127: 1011-1018
Vaccine Design, the Subunit and Adjuvant Approach, 1995(M.F. Powell and M. J. Newman, eds., Plenum Press, NY)
髄膜炎菌多糖に基づく既存のワクチンは、幼児においてその使用が限定されており、大人においても長期間の防御をもたらすことはできない。子供を含む、髄膜炎菌感染の危険を有する全ての群で長期間の防御を誘導できることが示された唯一のワクチンである髄膜炎菌ワクチンは、単一の髄膜炎菌血清群由来の多糖に基づいており、他の血清群の細菌の感染に対して防御をもたらさない。従って、髄膜炎菌感染の危険を有する子供および大人において髄膜炎菌性疾患に対する広範で持続する防御をもたらすことができる髄膜炎菌複合ワクチンへの必要性が存在する。本発明の多価髄膜炎菌多糖は、髄膜炎菌の主要な病原性血清群由来の免疫原性多糖を、担体タンパク質に結合させてT依存性抗原に変えたワクチン製剤を提供することによって、その必要性を解決する。
髄膜炎菌多糖に対するワクチンのFDA認可は、認可されたワクチンで免疫化されたものの血液サンプルにおいて行われる生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)による殺菌アッセイに基づく。多くの政府および専門委員会が、そのようなアッセイにおいて髄膜炎菌多糖を評価する現在の必要性および提言を発表しており、例えば、
生物学的検定法におけるWHO専門委員会は、髄膜炎菌血清群AおよびCに対する髄膜炎菌ワクチンで免疫化された健康な成人患者における殺菌性抗体産生の導入を示し(WHO1976)、
国際比較研究におけるCDC SBA-BRは、同じ対照血清、CDCドナーR21654-3430107、すなわち比較研究における品質管理血清サンプルの1つを使用するアッセイの標準化のためのパラメータを確立し(Maslanka SE,et al.,1997.Clin.Diagn.Lab.Immuno.4:156-167)、
標準化CDC方法は、最適な方法論としてWHO専門委員会のDepartment of Vaccines and Biologicalsにより推奨される。
髄膜炎菌性疾患へのヒト免疫は、血清殺菌性アッセイ(SBA)により検出される補体媒介殺菌性抗体のレベルと強く相関することが示されるので、認可が与えられる(Goldschneider, I, et al.,1969,J.Exp.Med.129:1307-1326およびGoldschneider, I, et al.,1969,J.Exp.Med.129:1327-1348)。血清群Cに対する1:4SBAタイターの代理レベルは、アッセイ(SBA-H)におけるヒト補体を使用して確立されている。しかしながら、髄膜炎菌多糖ワクチンについての認可要求は、アッセイにおける補体の供給源として生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)を使用する血清殺菌性反応の誘発に基づく(World Health Organization.1976.Requirements for meningococcal polysaccharide vaccine. World Health Organization technical report series,no.594.World Health Organization,Geneva,Switzerland(WHO1976))。この提言によれば、髄膜炎菌多糖ワクチンでワクチン接種された患者の少なくとも90%からの血清の抗体タイターは、下記の標的菌株または同等の菌株に対してテストされた場合、免疫化の2-4週間後に4倍以上の上昇を示す:血清群AについてA1、血清群CについてC11、血清群YについてS-1975、および血清群W-135についてS-4383(WHO1976mWHO1981,Bureau of Biologics, Food and Drug Adnimistration July 17,1985)。The Bureau of BiologicsはWHOの提言を採用し、髄膜炎菌多糖ワクチン、群AおよびC一体および群A、C、YおよびW-135一体がこの要求に基づいて米国で認可された。髄膜炎菌ワクチンにより誘発される殺菌活性の研究室間の比較を容易にするために、生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)を使用する標準化SBAが多くの研究室の研究を通して確立された(Maslanka SE, et al.,1997.Clin.Diagn.Lab.Immunol.4:156-167)。
髄膜炎菌複合体Cワクチンからのデータが利用できるようになり始めたので、アッセイにおけるウサギの補体の使用により不当に高いSBAタイターを生じるかもしれないという関心が現れ始めた。髄膜炎菌血清群AおよびC特異的抗体についてのヒト血清の分析のための実験室のアッセイに関する問題を明確にし解決するための1999年3月の会議の後、生物学的検定法におけるWHO専門委員会は、血清群Cへの抗体反応を測定するために、生まれたてのウサギの補体を有するSBAを使用することを提言した(The World Health Organization.1999.Standardization and validation of serological assays for the evaluation of immune responses to Neisseria meningitides serogroupA/C vaccines.Geneva,WHO/V&B/99.19(WHO1999))。生まれたてのウサギの補体を使用する防御の過大評価を回避するために、WHOは、ヒト補体を使用して測定したSBAタイターに関連して生まれたてのウサギの補体を使用するSBAアッセイにより測定した閾値タイターを相関させる研究を行うことを提言した。続いて会議が行われ、生まれたてtのウサギの補体を使用する1:8より小さいSBAタイターは、血清群Cに対する防御の不存在と関連し、生まれたてのウサギの補体を使用する1:128以上のSBAタイターは、ヒト補体を使用する1:4の防御SBAタイターと関連するという一般的結論を支持する結果が示された。A、YまたはW-135のような他の髄膜炎菌血清群または多糖複合体についてのSBA-BRタイターと相関する対応についての情報は提供されていない。
生まれたてのウサギの補体を使用する1:8から1:64までの間のSBAタイターは、ヒト補体を使用する1:4の防御SBAタイターと必ずしも良好に相関しない(Jodar L,etal.,Biologicals 2002;30:323-329)。WHO専門委員会は、1:8、1:16、1:32、および1:64のワクチン接種後SBA-BRタイターを、ヒト補体を使用して再評価することを推奨した。1:8、1:16、1:32、および1:64のSBA-BRタイターの不確実性を解決するための他の測定は、ワクチン接種の前後の抗体SBAタイターにおける4倍上昇の評価を含む。防御の相関としての記憶の表示も提供されるが、専門委員会は、これらの代理のために利用できるデータは不適切であるかまたは制限されると認識した。
1:8より高いSBA-BRタイターは、免疫化の約15から約45日の免疫化前から免疫化後までの期間のSBA-BRタイターの、例えば4倍以上の上昇のような、髄膜炎菌疾患へのヒト免疫のより良い指標である。
ある実施の形態において、本発明は、多価髄膜炎菌多糖複合体組成物でヒト患者を免疫化する方法を提供し、ヒト患者は、1:16またはそれより高い、好ましくは1:32またはそれより高い、およびより好ましくは1:64またはそれより高い、およびさらにより好ましくは1:128またはそれより高い血清SBA-BRタイターを有することを特徴とする。さらなる実施の形態において、本発明は、多価髄膜炎菌複合体組成物でヒト患者を免疫化する方法を提供し、ヒト患者は、ワクチン摂取の前後で抗体SBAタイターにおいて4倍またはそれより高い上昇を有する。
さらに別の実施の形態において、本発明は、ヒト患者を多価髄膜炎菌多糖複合体組成物で免疫化することにより髄膜炎菌の複数の血清群に対してヒト患者に免疫を提供する方法を提供し、この組成物は、髄膜炎菌血清群AおよびW-135;YおよびW-135;CおよびY;CおよびW-135;A、CおよびY;A、CおよびW-135;C、YおよびW-135;A、YおよびW-135;およびA、C、YおよびW-135から選択される2つ以上の多糖を含むことを特徴とする。
さらなる実施の形態において、本発明は、髄膜炎菌の複数の血清群に対してヒト患者に免疫を提供し多価髄膜炎菌(精製)多糖複合体組成物でヒト患者を免疫化する方法を提供し、多糖は100,000ダルトン未満に誘導体化される。本発明のある実施の形態において、生成された多糖は、約5,000から約75,000ダルトンの平均多糖サイズ;好ましくは、約7,000から約50,000ダルトンの平均多糖サイズ;より好ましくは、約8,000から約35,000ダルトンの平均多糖サイズ;さらにより好ましくは、約12,000から約25,000ダルトンの平均多糖サイズに解重合される。本発明のある実施の形態において、組成物中の平均多糖サイズは約15,000から約22,000ダルトンである。
本発明は、髄膜炎菌多糖−タンパク質複合体の免疫組成物の投与による病原性髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患のためにヒト免疫を提供する方法を提供する。
本発明のある実施の形態において、免疫組成物は2以上のタンパク質−多糖複合体を含み、それぞれの複合体は、担体タンパク質に結合した髄膜炎菌血清群由来の莢膜多糖を含む。好ましい実施の形態において、免疫組成物は2以上の別個のタンパク質−多糖複合体を含み、それぞれの複合体は、担体タンパク質に結合した髄膜炎菌の異なる血清群由来の莢膜多糖を含む。
本発明は、2以上の別個のタンパク質−多糖複合体を含む免疫組成物の投与を含む、病原性髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患へのヒト免疫を提供する方法を提供し、それぞれの複合体は、担体タンパク質に結合した髄膜炎菌の異なる血清群由来の莢膜多糖を含む。
本発明は、髄膜炎菌多糖−タンパク質複合体の投与を含む、病原性髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患へのヒト免疫を提供する方法を提供する。本発明は、免疫学的効果量の2から4つの別個のタンパク質−多糖複合体から成り、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする多価髄膜炎菌ワクチンを提供する。本発明はさらに、ヒトに免疫学的効果量の本発明の免疫組成物を投与する工程を含む、髄膜炎菌の莢膜多糖への免疫応答を誘発する方法を提供する。ある実施の形態において、多価髄膜炎菌ワクチンは、免疫学的効果量の2つの別個のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体は担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択され、より好ましくは、莢膜多糖AおよびW-135、AおよびY、CおよびY、およびW-135およびYを含む。ある実施の形態において、多価髄膜炎菌ワクチンは、免疫学的効果量の3つの別個のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体は担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択され、より好ましくは、莢膜多糖A、CおよびW-135、A、CおよびY、C、YおよびW-135、C、W-135およびY、およびA、W-135およびYを含む。別の実施の形態において、多価髄膜炎菌ワクチンは、免疫学的効果量の4つの別個のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体は担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択される。
本発明は、免疫学的効果量の本発明の免疫組成物をヒトまたは動物に投与する工程を含むことを特徴とする、髄膜炎菌の莢膜多糖に対する免疫応答を誘導する方法をさらに提供する。
本発明は、免疫学的効果量の2から4つの別個のタンパク質−多糖複合体から成り、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする、多価髄膜炎菌ワクチンを提供する。
本発明は、免疫学的効果量の本発明のワクチンをヒトまたは動物に投与する工程を含むことを特徴とする、髄膜炎菌に感染しやすいヒトまたは動物を防御する方法を提供する。
本明細書において挙げられているすべての特許、特許出願、および他の刊行物は、参照によってその全てが本明細書中に含まれる。
本発明は、それぞれが担体タンパク質に結合した莢膜多糖を含む、2以上の別個のタンパク質−多糖複合体から成る免疫組成物を包含する。したがって、本発明は、1以上の担体タンパク質に結合した2以上の異なる莢膜多糖を含む組成物を包含する。
当業者に公知である標準的技術によって、莢膜多糖を調製することができる。本発明において、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYから調製された莢膜多糖が好ましい。
好ましい実施形態において、それら髄膜炎菌血清群複合体は別個の工程で調製され、単回投与量に処方される。例えば、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖を別個に精製する。
本発明の好ましい実施形態では、担体タンパク質に結合させる前に、精製多糖を解重合および活性化させる。本発明の好ましい実施形態では、穏やかな酸化条件を用いて、髄膜炎菌由来の血清群A、C、W-135、およびYの莢膜多糖を部分的に解重合させる。
天然の髄膜炎菌多糖は、約500,000から1,500,000ダルトンである。本発明は、より小さいサイズの髄膜炎菌多糖に関する。天然の多糖を生成する場合、多糖の特定の割合がより小さいサイズのものとなる。しかしながら、より良い収率を得るために、天然の髄膜炎菌多糖を好ましいサイズ範囲、好ましくは100,000ダルトン未満に解重合または誘導体化することが通常好ましい。本発明のある実施の形態において、生成された多糖は、約5,000から約75,000ダルトンの平均多糖サイズに;好ましくは約7,000から約50,000ダルトンの平均多糖サイズに;より好ましくは、約8,000から約35,000ダルトンの平均多糖サイズに;さらに好ましくは約12,000から約25,000ダルトンの平均多糖サイズに解重合される。本発明のある実施の形態において、組成物中の平均多糖サイズは約15,000から約22,000ダルトンである。
多糖の解重合または部分的解重合に続いて、活性化工程を実施する。「活性化」とは、担体タンパク質と反応し得る化学基を提供するための多糖の化学的処理を意味する。好ましい活性化法は、生理食塩水(pH5.0±0.1)中のアジピン酸ジヒドラジドで、15℃から30℃で約2時間処理することを含む。活性化のための1つの工程は米国特許第5,965,714号に記載される。
活性化されると、莢膜多糖を1以上の担体タンパク質に結合させることができる。本発明の好ましい実施形態では、各莢膜多糖は、個々に単一の担体タンパク質種に結合する。好ましい実施形態では、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖は、各々別個に同じ担体タンパク質種に結合する。
担体タンパク質として、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌LT、大腸菌ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素Aのような不活化細菌毒素が挙げられる。例えば外膜複合体c(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面プロテインA(PspA)、または肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)のような細菌外膜タンパク質を担体タンパク質として用いてもよい。例えば、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または精製ツベルクリンタンパク質(PPD)のような他のタンパク質を担体タンパク質として用いてもよい。好ましくは、担体タンパク質は非毒性でかつ非反応誘導性(non-reactogenic)であり、さらに十分な量および純度で得ることができるようなタンパク質である。担体タンパク質は、標準的結合方法によって使用できるものでなければならない。本発明の好ましい実施形態では、培養ジフテリア菌(Corynebacteria diphtheriae)から精製したジフテリア毒素をホルムアルデヒドで化学的に無毒化したものを担体タンパク質として用いる。別の担体タンパク質は、H.インフルエンザの外膜表面露出タンパク質であるタンパク質Dである。
本発明のある実施の形態において、担体タンパク質に対するそれぞれの誘導体化多糖の平均比率は、約1:1から約1:20(w/w)である。本発明の好ましい実施の形態において、担体タンパク質に対する全誘導体化多糖の平均比率は、約1:2から約1:10(w/w)であり、担体タンパク質に対する各誘導体化多糖のより好ましい平均比率は、約1:2から約1:6(w/w)である。本発明のより好ましい実施の形態において、担体タンパク質に対する全誘導体化多糖の平均比率は、約1:(4±1);より好ましくは、1:(4±0.5)、さらにより好ましくは、1:(4±0.25)(w/w)である。
莢膜多糖を担体タンパク質に結合させた後、様々な技術によって多糖−タンパク質複合体を精製することができる(多糖−タンパク質複合体の量を高める)。精製工程の1つの目標は、多糖−タンパク質複合体から、非結合多糖を除去することである。硫酸アンモニウム(硫安)の存在下での限外濾過を含む、1つの精製方法は、特許文献1に記載されている。あるいは、特にサイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心、疎水性相互作用クロマトグラフィー、または硫安分画等の任意の数の標準的技術によって、未反応のタンパク質および多糖から複合体を精製して取り出すこともできる。例えば、非特許文献1および2を参照。
多糖と担体タンパク質との複合体形成の後、様々な多糖−タンパク質複合体を結合させることによって、本発明の免疫組成物を作成する。本発明の免疫組成物は、1以上の担体タンパク質に結合した2以上の異なる莢膜多糖を含む。本発明の好ましい実施形態は、別個にジフテリアトキソイド結合した血清群AおよびCの髄膜炎菌由来の莢膜多糖を含む2価免疫組成物である。より好ましくは、本発明は、別個にジフテリア毒素またはトキソイドに結合した髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY由来の莢膜多糖を含む4価免疫組成物である。
本発明は、一部、多成分の組成物であって、各誘導体化多糖が投与量ごとに約0.5から約15μgで存在する誘導体化多糖複合体に関する。したがって、この組成物は、1μgから60μgの全誘導体化多糖を含んでもよい。好ましい実施の形態において、組成物中の各誘導体化多糖の相対量は、概ね±50%以内;より好ましくは±30%以内;さらにより好ましくは±20%以内である。
担体タンパク質の調製および使用、ならびに様々な可能な結合方法は当業者に周知である。本発明に含まれる教示、ならびに通常の文献で容易に利用できる情報を用いて、当業者は本発明の複合体を調製することができる。以下の任意の特許文献またはそれらの全てからガイダンスを得ることができる(特許文献2から6(参照によってそれらの教示は全て本明細書に含まれる))。
あるいは、免疫組成物は、2つ以上の髄膜炎菌血清群を共に培養し、共に精製し、解重合し、活性化させ、多糖を結合させることにより、または髄膜炎菌血清群を別々に培養し精製し、解重合の任意の段階の前または後に2つ以上の精製された多糖を結合させ、活性化し、多糖を結合させることにより作製されてもよい。
異なる髄膜炎菌血清群から別個に多糖−タンパク質複合体を調製し、その後で複合体を結合させることによって、本発明の免疫組成物を作成する。本発明の免疫組成物をワクチンとして用いることができる。本発明のワクチンの処方は当業技術を用いて達成することができる。本発明のワクチン組成物は、1以上のアジュバントを含んでいてもよい。アジュバントとして、限定はされないが、例えば、アルミニウムアジュバント、フロイントアジュバント、BAY、DC−chol、pcpp、モノホスホリルリピドA、CpG、QS−21、コレラ毒素、およびホルミルメチオニルペプチドが挙げられる。例えば、非特許文献3を参照。好ましくは、アジュバントは例えば水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムのようなアルミニウムアジュバントである。
別のアジュバントには、例えば、国際特許公報WO90/14837号に記載されるようなMF59;10%スクアラン、0.4%Tween80、5%pluronicブロックポリマーL121、およびthr-MDPを含有するSAF;2%スクアラン、0.2%Tween80、およびモノリン脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群より選択される1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)を含有するRibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem,Hamilton,MT);StimulonTM(Cabridge Bioscience,Worcester,Mass.)のようなサポニンアジュバントを使用するかまたはそれから生じるISCOM(免疫刺激複合体)のような粒子;インターロイキン(例えばIL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12等)、インターフェロン(例えばガンマインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカインが含まれる。
本発明のある実施の形態において、タンパク質−多糖複合体は、約0.05から約2までの平均多糖比率(多糖対タンパク質比);より好ましくは約0.08から約1.25までの平均多糖比率;およびさらにより好ましくは約0.1から約0.9までの平均多糖比率を有する。ある好ましい実施の形態において、タンパク質−多糖複合体は、約0.2から約0.8の多糖対タンパク質比の平均糖化比率;より好ましくは、約0.2から約0.6の平均比率;およりさらにより好ましい実施の形態において約0.3から約0.5の平均比率を有する。
以下に記載のように、本発明に基づくワクチンおよび免疫組成物は、様々な動物モデルにおいてT−依存性様免疫応答(T-dependent-like immune response)を誘導するが、多糖ワクチンはT−非依存性様免疫応答を誘導する。したがって、本発明の組成物は、髄膜炎菌抗原に対するT依存性様免疫応答に関連する生物学的経路およびプロセスを研究するための有用な研究手段でもある。
ヒトまたは動物に投与するための本発明のワクチンの量および投薬計画は、特定の抗原、アジュバント(もし存在する場合には)、特定動物または患者の年齢、性別、体重、種、および状態、ならびに投与経路のような因子を考慮して、医療または獣医の分野の当業者に周知の標準的技術に従って特定することができる。本発明において、髄膜炎菌に対するワクチン接種のために効果用量を提供するための多糖−担体タンパク質の量は、約0.02μgから約5μg/kg体重の間の量であってよい。本発明の好ましい組成物および方法において、用量は約0.1μgから3μg/kg体重である。例えば、効果用量は、感染後の経過時間が短い場合には、細菌の増殖時間があまりないため、より少ない抗体を必要とするであろう。同様に、効果用量は、診断時における細菌量に依存するであろう。数日間に亘る複数注射も治療的慣用法である。
本発明の多価複合体を単回投与でまたは連続して(すなわち、「追加免疫」する)投与してよい。例えば、現在小児疾患を予防するのに他のワクチンで推奨されているように、出生後早期に子供に単回投与し、その後、10年後までに追加投与してもよい。
追加投与は、初回抗原刺激を受けたB細胞から抗体を産生させるであろう(すなわち既往反応)。すなわち、多価複合ワクチンは、認可されている多糖ワクチンと比較して、若い集団において、高い初回(すなわちワクチンの単回投与後)機能的抗体反応を誘導し、さらに既往反応(すなわち、追加投与後)を誘導することができ、本発明の多価複合ワクチンによって誘導された防御免疫応答が永続することを立証する。
本発明の組成物は、例えば、懸濁液、シロップまたはエリキシル剤のような、例えば口、鼻、肛門、膣、胃内、粘膜(例えば舌粘膜、歯槽粘膜、歯肉粘膜、嗅粘膜、または呼吸粘膜)等のような開口部投与用の液体製剤;ならびに例えば滅菌懸濁液またはエマルジョンのような、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内投与(例えば注射による投与)用の製剤を含んでいてよい。静脈内投与および非経口投与が好ましい。そのような組成物は、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース等のような適切なキャリアー、希釈剤、または賦形剤との混合剤であってもよい。本組成物は凍結乾燥してもよい。本組成物は、所望の投与経路および製剤に応じて、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘膜増強添加剤、防腐剤、香味料、着色剤等のような補助物質を含んでいてよい。"PEMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCE", 17th edition, 1985(参照によって本明細書中に含まれる)のような標準的教科書は、実験無しに適切な製剤を調製することについて記載している。
本発明のある実施の形態において、投与の好ましい経路は、筋肉内または好ましくは筋肉内経路を伴う皮下である。投与は、注射または別の供給装置によってもよい。
本発明の組成物は、通常、選択されたpHに緩衝化され得る、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルジョンまたは粘性組成物として提供される。消化管吸収が好ましい場合、本発明の組成物は、丸薬、錠剤、カプセル、カプレット等の「固形」であってよく、例えばゼラチンで液剤を被覆し、消化管への輸送のためにゼラチンが胃で溶解するような、徐放性または液剤充填「固形」製剤を含む。鼻または呼吸(粘膜)投与が望ましい場合、組成物は、高圧スプレイディスペンサー、ポンプディスペンサー、またはエアゾルディスペンサーによって分配されるものであってよい。エアゾルは、通常、炭化水素によって圧力を掛けられている。ポンプディスペンサーは、好ましくは、定量または特定の粒子サイズを有する分量を分配することができる。
液体製剤は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固形組成物よりも容易に調製できる。さらには、液体組成物は、特に注射または経口投与によって、子供、特により小さな子供、ならびに丸薬、錠剤、カプセル等を飲み込むのが困難である他の対象に投与したり、あるいは複数回投与するのにより都合がよい。一方、粘性組成物は、適切な粘度範囲内に処方されて、例えば胃粘膜または鼻粘膜のような粘膜とのより長い接触期間をもたらすことができる。
本発明の好ましい実施の形態において、ワクチン組成物は、防腐剤を含むまたは含まない、滅菌液体、発熱物質なし、リン酸緩衝生理食塩水として調製される。ある好ましい実施の形態において、投与量ごとの処方箋は、約0.3から約1.0mgのリン酸ナトリウムおよび約3.5から約6.0mgの塩化ナトリウムおよび1.5mLまでの水を含む。ある好ましい実施の形態において、投与量ごとの処方箋は、約0.6±0.2mgのリン酸ナトリウムおよび約4.4±0.2mgの塩化ナトリウムおよび0.5±0.2mLまでの水を含む
明らかに、適切な担体および他の添加剤の選択は、正確な投与経路、ならびに、例えば組成物を溶液、懸濁液、ゲル、または別の液剤に処方すべき場合の液体剤形、または例えば組成物を丸薬、錠剤、カプセル、カプレット、徐放性形態または液剤充填形態に処方すべき場合の固形剤形のような特定剤形の性質に依存するであろう。
溶液、懸濁液、およびゲルは、通常、活性原料に加えて、大量の水(好ましくは精製水)を含む。例えばpH調節剤(例えばNaOHのような塩基)、乳化剤または分散剤、緩衝剤、防腐剤、湿潤剤、ゼリー化剤(jelling agent)(例えばメチルセルロース)、着色剤および/または香味剤のような他の少量の原料も含んでいてよい。本組成物は等張であってよく、すなわち、血液および涙液と同じ浸透圧を有していてよい。
本組成物の等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、または他の無機または有機溶液を用いて達成できる。ある実施の形態において、組成物の好ましい等張性は、リン酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム、またはそれらの混合物から得られる。ナトリウムイオンを含有するバッファーでは、塩化ナトリウムが特に好ましい。
薬剤的に許容される濃化剤を用いて、本組成物の粘度を選択レベルに維持することができる。メチルセルロースは容易かつ経済的に利用でき、さらに取り扱いが容易であるため、メチルセルロースが好ましい。他の適切な濃化剤として、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等が挙げられる。濃化剤の好ましい濃度は、選択された薬剤に依存するであろう。重要な点は、選択した粘度を達成するような量を用いることである。粘性組成物は、通常、そのような濃化剤の添加によって溶液から調製される。
組成物の貯蔵期間を延ばすため、薬剤的に許容される防腐剤を用いることができる。ベンジルアルコールが適切であるが、例えば、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、または塩化ベンザルコニウム等を含む様々な防腐剤も用いることができる。適切な防腐剤の濃度は、全重量に基づき0.02%から2%であるが、選択された薬剤に依存して適当に変動するであろう。
当業者は、本組成物の成分が、髄膜炎菌多糖−担体タンパク質複合体に対して化学的に不活性となるように選択されなければならないことを認識するであろう。
本発明思想の好ましい実施形態を詳細に示す以下の例示的でかつ非限定的な実施例を参照することによって、本発明をさらに説明する。本発明の他の実施例は、本発明の精神を逸脱することなく、当業者に明白であろう。
略語および商標は、以下のようである:ACIP、免疫規範における諮問委員会;AE、有害事象;Cetabalon(登録商標)、臭化セチルトリメチルアミン、CTAB;CFR、連邦規制基準;CRF、症例報告書;DTP、ジフテリア髄膜炎菌百日咳;ELISA、酵素免疫吸着法;FDA、食品医薬品局;GCP、優良臨床規範;GMC、相乗平均濃度;GMT、相乗平均タイター;IgG、免疫グロブリンG;IgG1、免疫グロブリンGサブクラス1;IgG2、免疫グロブリンGサブクラス2;IgM、免疫グロブリンM;ICH、ハーモナイゼーション国際会議;IND、研究新薬;IRB、施設内治験審査委員会;MenA/C-Dt、二価(AおよびC)髄膜炎菌多糖ジフテリア複合体ワクチン;MenPS、髄膜炎菌群特異的多糖;mL、ミリリットル;Menomune(登録商標)、認可された髄膜炎菌A、C、YおよびW-135多糖ワクチン;OD、光学濃度;PBS、リン酸緩衝生理食塩水;SAE、重篤有害事象;SBA、血清殺菌活性;SBA-BR、生まれたてのウサギの補体を使用して行われる血清殺菌活性アッセイ;SBA-HC、ヒト補体を使用して行われる血清殺菌活性アッセイ;SIDS、乳幼児突然死症候群;TetraMenD、四価(A、C、YおよびW-135)髄膜炎菌多糖ジフテリア複合体ワクチン;Td、破傷風およびジフテリアワクチン;UAE、予期せぬ有害事象;URI、上気道感染;μg、マイクログラム。
髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY群の精製莢膜多糖粉末の調製
粗製粉末の調製
髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY群の湿式凍結種細胞を解凍し、液体ワトソン・シャープ(Watson Scherp)培地を用いて解凍および回収し、ミューラー・ヒントン寒天培地を含むブレークボトル(Blake bottle)に播いた。ブレークボトルを35℃から37℃でCO2雰囲気中において15時間から19時間インキュベートした。インキュベーション時間に続いて、ブレークボトルから増殖細胞を取り除き、ワトソン・シャープ培地を含む4Lフラスコに添加した。プラットフォームシェーカーにおいて、フラスコを35℃から37℃で3時間から7時間インキュベートした。4Lフラスコの内容物を、ワトソン・シャープ培地含有発酵容器に移した。栄養補助物質の供給および消泡剤の添加によって溶解酸素含量およびpHを制御しながら、発酵容器を35℃から37℃で7時間から12時間インキュベートした。インキュベーション時間後に、発酵容器の内容物を500Lタンクに移し、Cetavlonを添加し、さらに1時間混合した。Cetavlon処理増殖細胞を、約15,000から17,000xgで、約30から70リットル/時間の流速で遠心した。第2のCetavlon沈殿で上清から粗多糖を沈殿させた。Cetavlonを上清に添加し、室温で1時間以上混合した。材料を1℃から5℃で8時間から12時間保管した。約45,000から50,000xgで、300から400ml/分の流速で遠心して、沈殿多糖を採取した。集めたペーストをさらに加工するまで−60℃以下で保管した。
精製多糖粉末の調製
不活化ペーストを解凍し、ブレンダーに移した。ペーストを0.9M塩化カルシウムと混合して、均一な懸濁液を得た。懸濁液を約10,000xgで15分間遠心した。上清をリントフリーのパッドを通して、第1抽出物として静かに容器に注いだ。第2容量の0.9M塩化カルシウムをペーストに添加し、さらに混合して均一懸濁液を得た。懸濁液を上記のように遠心して、その上清を第1抽出から得た上清と混ぜ合わせた。全体で4回の抽出を実施し、上清をプールした。10−30kDA MWCO渦巻状限外濾過ユニットを用いて限外濾過することによって、プールした抽出物を濃縮した。
塩化マグネシウムを濃縮物に添加して、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.2から7.5に調整した。DNaseおよびRNaseを濃縮物に添加し、25℃から28℃で、混和させながら、4時間インキュベートした。30%から50%までエタノールを添加した。沈殿した核酸およびタンパク質を、10,000xgで2時間遠心することによって除去した。上清を回収し、80%までアルコールを添加することによって沈殿した多糖を、1から5℃で1晩放置した。アルコールを吸い上げ、沈殿多糖を10,000xgで5分間遠心した。沈殿多糖をアルコールで洗浄した。多糖をアセトンで洗浄し、10,000xgで15から20分間遠心した。多糖を真空下で乾燥した。最初の多糖粉末を酢酸ナトリウム溶液に溶解させた。塩化マグネシウムを添加し、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7.2から7.5に調整した。DNaseおよびRNaseを溶液に添加して、25℃から28℃で、混和させながら、4時間インキュベートして、残りの核酸を除去した。それら酵素を用いてインキュベートした後、等容量の酢酸ナトリウム−フェノール溶液を水相に添加し、上記のように抽出した。全部で4回の抽出を実施して、多糖溶液からタンパク質および内毒素を除去した。混合した水性抽出物を、注射用水で10倍まで希釈し、10容量の注射用水でダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション処理した多糖に塩化カルシウムを添加した。80%までエタノールを添加することによって、1から5℃で1晩多糖を沈殿させた。アルコール上清を回収し、10,000xgで14分間遠心することによって多糖を回収した。精製多糖をエタノールで2回、アセトンで1回洗浄した。洗浄した粉末をデシケーター中において真空下で乾燥した。乾燥粉末を複合体にさらに加工するまで−30℃以下で保管した。
髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの精製莢膜多糖粉末の解重合
調製に用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY由来の精製莢膜多糖粉末(実施例1に基づいて調製)、滅菌50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、30%過酸化水素、および滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
各血清群多糖を別個の反応で解重合した。ステンレス鋼タンクに60gまでの精製莢膜多糖粉末を入れた。滅菌50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を多糖に添加して、2.5g多糖/リットルの濃度をもたらす。溶液になるように、多糖溶液を1から5℃で12から24時間混合した。反応タンクを熱交換器ユニットに連結した。追加の50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を添加して、1.25g/リットルの反応濃度まで多糖を希釈した。多糖溶液を55℃±0.1まで加熱した。30%過酸化水素を反応混合物に添加して、1%過酸化水素の反応濃度にした。
時間経過による多糖の分子サイズを追うことによって、反応の経過をモニターした。15から20分おきに、反応混合物から一部を取り出して、HPLCカラムに注入して多糖の分子サイズを測定した。多糖の分子サイズが目的とする分子サイズに達したとき、加熱ユニットを止め、氷水浴を介した巡回によって5℃まで多糖溶液を迅速に冷却した。3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応タンクを連結させて、解重合多糖溶液を15g/リットルまで濃縮した。10容量の滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)に対して濃縮解重合多糖溶液を限外濾過した。次の工程段階まで解重合多糖を1から5℃で保管した。
デキストラン分子サイズスタンダードを用いて校正された商品名"Ultahydrogel(商標)250"で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムを通過させ、さらに多角レーザー光散乱によって、解重合多糖の分子サイズを特定した。Bartlet, G.R.J. (1959) Journal of Biological Chemistry, 234, pp466-468に記載の方法を用いて血清群Aに関してリン含量によって、さらにSvennerholm, L.(1955) Biochimica Biophysica Acta 24, pp604-611の方法を用いて血清群C、W135、およびYに関してシアル酸含量によって、多糖の量を特定した。Hesterin, S.(1949) Journal of Biological Chemistry 180, p249の方法によってO−アセチル含量を特定した。Park, J.T. and Johnson, M.J.(1949) Journal of Biological Chemistry 181, pp149-151の方法によって還元活性を特定した。プロトン1Hおよび13C NMRによって解重合多糖の構造の健全性を特定した。LAL(内毒素)含量および残りの過酸化水素含量を測定することによって解重合多糖の純度を特定した。
髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの解重合した莢膜多糖の誘導体化
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの過酸化水素解重合莢膜多糖(実施例2に基づいて調製)、アジピン酸ジヒドラジド、血清群Aのみに関して1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、シアノボロ水素化ナトリウム (sodium cyanoborohydride)、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、滅菌塩化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
各血清群多糖を別個の反応で誘導体化(derivatized)した。ステンレス鋼タンクに精製解重合多糖を入れ、6g多糖/リットルの最終反応濃度になるように、滅菌0.85%生理食塩水で希釈した。1g/リットルの反応濃度になるように、その溶液に、滅菌0.85%生理食塩水中に溶解したアジピン酸ジヒドラジドの濃縮液を添加した。血清群Aのみに関して、1g/リットルの反応濃度になるように、滅菌0.85%生理食塩水中に溶解した濃縮液としてEDACを添加した。pHを5.0±0.1に調整し、滅菌1N塩酸および滅菌1N水酸化ナトリウムを用いて、室温(15から30℃)で2時間、そのpHを維持した。2時間後、0.85%生理食塩水中に溶解したシアノボロ水素化ナトリウムの濃縮液を反応混合物に添加して、2g/リットルの反応濃度にした。pHを5.5±0.5に維持しながら、室温(15から30℃)で44時間±4時間反応液を撹拌した。その反応時間の後、pHを6.0±0.1に調整し、3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応タンクを連結させて、誘導体化多糖溶液を12g/リットルまで濃縮した。30容量の1M塩化ナトリウム、続いて10容量の0.15M塩化ナトリウムに対して濃縮誘導体化多糖溶液を限外濾過した。
誘導体化多糖の分子サイズ、多糖の量、およびO−アセチル含量は、解重合多糖で用いたのと同じ方法で測定した。Snyder, S.L. and Sobocinski, P.Z.(1975) Analytical Biochemistry 64, pp282-288に記載の2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸法によってヒドラジド含量を測定した。プロトン1Hおよび13C NMRによって誘導体化多糖の構造の健全性を特定した。非結合ヒドラジド、LAL(内毒素)含量および残りのシアノボロ水素含量を測定することによって誘導体化多糖の純度を特定した。
担体タンパク質の調製
粗製ジフテリアトキソイドタンパク質の調製
凍結乾燥種細胞を再生させて16から18時間インキュベートした。培養液の一部を、増殖培地を含有する0.5リットルフラスコに移し、回転式振とう培養器において、34.5から36.5℃で7から9時間培養フラスコをインキュベートした。増殖培地を含有する4リットルフラスコに培養フラスコから一部を移し、回転式振とう培養器において、34.5から36.5℃で14から22時間培養フラスコをインキュベートした。4リットルフラスコからの培養液を用いて、増殖培地含有発酵槽に播種した。発酵槽を34.5から36.5℃で70から144時間インキュベートした。発酵槽の内容物を、デプスフィルターを通して回収容器に濾過した。0.2%濃度になるように、回収物に37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。pHを7.4から7.6に調整した。0.2μmフィルターカートリッジを通して滅菌20リットルボトルに回収物を濾過した。34.5から36.5℃で7日間ボトルをインキュベートした。0.4%濃度になるように、各20リットルボトルに37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。混合物のpHを7.4から7.6に調整した。振とう撹拌器において、34.5から36.5℃で7日間ボトルをインキュベートした。0.5%濃度になるように、各20リットルボトルに37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。混合物のpHを7.4から7.6に調整した。34.5から36.5℃で8週間ボトルをインキュベートした。無毒化に関して粗トキソイドを試験した。試験期間の間、1から5℃でボトルを保管した。
粗製ジフテリアトキソイドタンパク質の精製
粗トキソイドを室温まで暖め、20リットルボトルの内容物を合わせて精製タンクに入れた。トキソイドのpHを7.2から7.4に調整し、活性炭を粗トキソイドに添加して2分間混合した。活性炭−トキソイド混合物を1時間放置し、その後デプスフィルターカートリッジを通して第2精製タンクに濾過した。70%飽和になるように固形硫酸アンモニウムを濾液に添加した。pHを6.8から7.2に調整し、溶液を16時間放置した。沈殿したタンパク質を濾過によって回収し、70%飽和硫酸アンモニウム溶液(pH7.0)で洗浄した。沈殿物を滅菌蒸留水中に溶解させ、タンパク質溶液をステンレス回収容器に濾過した。pHを6.8から7.2に調整し、40%飽和になるように硫酸アンモニウムを添加した。溶液のpHを7.0から7.2に調整し、溶液を16時間放置した。濾過によって沈殿物を除去し、捨てた。60%飽和になるように濾液に硫酸アンモニウムを添加し、さらにpHを7.0から7.2に調整した。混合物を16時間放置し、沈殿したタンパク質を濾過によって回収した。沈殿物を滅菌蒸留水に溶解させ、溶けていないタンパク質を濾過によって除去し、さらに0.85%生理食塩水に対して限外濾過した。
精製ジフテリアトキソイドタンパク質の濃縮および滅菌濾過
15g/リットルまでタンパク質溶液を濃縮し、3000MWCO再生セルロースカートリッジを用いて、10容量の0.85%生理食塩水に対して限外濾過した。0.2μmメンブランを通して濾過することによって、濃縮タンパク質を滅菌した。複合体に加工するまで、タンパク質溶液を1から5℃で保管した。
Lowry, O.H. et al(1951) Journal of Biological Chemistry 193, p265-275の方法によってタンパク質濃度を特定した。無菌性、LAL(内毒素)含量、および残りのホルムアルデヒド含量によってタンパク質の純度を特定した。
髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの多糖とジフテリアトキソイドタンパク質との一価複合体の調製
この調製に用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYのアジピン酸誘導体化多糖(実施例3に基づいて調製)、滅菌ジフテリアトキソイドタンパク質(実施例4に基づいて調製)、EDAC、硫酸アンモニウム、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(0.85%)が挙げられる。
各血清群の多糖複合体は別個の反応によって調製した。以下の工程によって、4つ全ての複合体を調製した。700から1000μmolの反応性ヒドラジド/リットルの反応濃度の精製アジピン酸誘導体化多糖、および3.8から4.0gタンパク質/リットルの反応濃度の精製ジフテリアトキソイドタンパク質をステンレス鋼タンクに入れた。生理食塩水(0.85%)を用いて開始材料を目的の反応濃度まで希釈し、さらにpHを5.0±0.1に調製した。2.28から2.4g/リットルの反応濃度になるようにEDACを多糖タンパク質混合物に添加した。滅菌1N水酸化ナトリウムを用いて反応液のpHを7.0±0.1に調整し、反応液を1から5℃で16から20時間保管した。
反応混合物を15から30℃まで暖め、3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応容器を連結させた。60%飽和(血清群A,W−135、およびY)、ならびに50%飽和(血清群C)になるように、固形硫酸アンモニウムを添加した。20容量の60%飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群A,W−135、およびY)、
ならびに50%飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群C)、続いて20容量の生理食塩水(0.85%)に対して、複合体形成反応混合物を限外濾過した。限外濾過した複合体を、最初に1.2μmおよび0.45μmフィルターを備えたフィルターカプセルを通して濾過し、続いて0.22μmフィルターを備えた第2のフィルターカプセルを通して濾過した。
多糖の量およびO−アセチル含量は、解重合および誘導体化多糖において用いられたのと同じ方法によって測定した。タンパク質の量はLowry法によって特定した。複合体の分子サイズは、空隙容量マーカーとしてDNAを用い、全容量マーカーとしてATPを用い、さらに参照マーカーとしてウシチログロブリンを用いて、商品名"TSK6000PW"で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムを通過させて特定した。さらに、多角レーザー光散乱によって、TSK6000PWカラムから溶出された複合体の分子サイズを測定した。ダブルサンドイッチELISA法を用いて、抗多糖血清群特異的抗体への結合によって、複合体の抗原特性を測定した。疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムを介した溶出によって非結合(非複合体形成)多糖の量、キャピラリー電気泳動によって非結合タンパク質の量、無菌性、LAL(内毒素)含量、残っているEDAC含量、および残っているアンモニウムイオン含量を測定することによって、複合体の純度を特定した。
多価髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合ワクチンの形成
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌100mMリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
ステンレス鋼製バルキングタンク(bulking tank)中の生理食塩水(0.85%)に滅菌100−500mMリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水を添加して、10mMリン酸ナトリウムの最終ワクチン濃度を得る。8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、10mM滅菌リン酸ナトリウム緩衝生理食塩水を含有するバルキングタンクに、2から4つの滅菌一価髄膜炎菌多糖−ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加した。形成された4価複合体を混合し、0.2μmフィルターを通して第2バルキングタンクに濾過した。
パルス電流検出を備えた高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いる成分多糖分析によって、多価製剤中に存在する各血清群多糖の量を特定した。Lowry法によってタンパク質の量を測定した。pHメーターに連結した組合せ電極を用いてワクチンのpHを測定した。ダブルサンドイッチELISA法を用いて、抗多糖血清群特異的抗体への結合によって、多価複合ワクチンの抗原特性を測定した。ワクチン中に存在する各複合体が動物モデルにおいて初回および追加抗多糖IgG免疫応答の両方を誘導する能力によって、多価複合ワクチンの免疫原性を測定した。パルス電流検出を備えた高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて非結合(非複合体形成)多糖の量を測定し、無菌性、LAL(内毒素)含量、発熱物質含量、および一般的安全性を測定することによって、多価複合ワクチンの純度を特定した。
水酸化アルミニウムアジュバント−髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイドタンパク質複合体の調製
水酸化アルミニウム吸着複合体の調製
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)、および生理食塩水(0.85%)中の滅菌水酸化アルミニウムが挙げられる。
8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、生理食塩水を含有するバルキングタンクに滅菌一価髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加する。0.44mgアルミニウムイオン/mLワクチンの最終濃度になるように、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)中の滅菌水酸化アルミニウムを多価複合ワクチンに添加する。
リン酸アルミニウムアジュバント−複合体の調製
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W-135、およびY多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)、および生理食塩水(0.85%)中の滅菌リン酸アルミニウムが挙げられる。
8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、生理食塩水を含有するバルキングタンクに滅菌一価髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加する。0.44mgアルミニウムイオン/mLワクチンの最終濃度になるように、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)中の滅菌リン酸アルミニウムを多価複合ワクチンに添加する。
ヒト臨床研究において使用される物質および方法の概要
四価複合ワクチンの免疫原性
多くの異なる臨床プロトコルの下で、ヒトにおいて免疫応答を誘導する能力に関して四価複合ワクチンを試験した。以下の試験は、結果を概要する。それぞれの以下の試験で使用された物質および方法は、他に示されていなければ、以下のようである。
TetraMenD
TetraMenDワクチンは、全部で48μgのジフテリアトキソイドタンパク質に共有結合した、それぞれの多糖の血清群A、C、Y、およびW-135の4μgの4つの髄膜炎菌莢膜多糖を含む。ワクチンは、防腐剤のない、殺菌された、発熱物質がなく、リン酸緩衝生理食塩水中で調製される。処方箋は、0.6mgのリン酸ナトリウム、4.4mgの塩化ナトリウムおよび0.5mLの水を含む。
Menomune
Menomuneは、2歳以上の人間で使用するために米国および他の場所で認可される。Menomuneは、フリーズドライの製剤で、ワクチンの各投与量が刻限としてA、C、YおよびW-135多糖をそれぞれ50μg含有し、チロメサールと共に保存された生理食塩水の希釈液でもどされ、0.5mL投与量として皮下的に与えられる。ワクチンの各0.5mLの投与量は、安定剤として2.5mgから5mgまでのラクトースを含有する。皮下用途のための、Menomune−A/C/Y/W-135、髄膜炎菌多糖ワクチン、群A、C、YおよびW-135結合、は、髄膜炎菌、群A、群C、群Y、および群W-135からの群特異的多糖抗原のフリーズドライ製剤である。希釈液は、滅菌された、発熱物質のない、蒸留水である。ラベルに示されるように希釈液で凍結乾燥産物を戻した後、各0.5mLの投与量は、生理食塩水中で血清群A、C、Y、およびW-135のそれぞれから「単離産物」の50μgを含有するように調製される。
成人用途のために吸着されたTetanusおよびジフテリアトキソイド(以後Tdと称する)は、pHをコントロールするためのリン酸ナトリウム緩衝液を含有する生理食塩水中のミョウバン沈降トキソイドの滅菌懸濁である。ワクチンは、筋肉内注射のためのものである。各0.5mLの投与量は、アッセイにより5Lfの破傷風トキソイド、2Lfのジフテリアトキソイドおよび0.28mg以下のアルミニウムを含有するように調製される。破傷風およびジフテリアトキソイドは、モルモットの効力テスト中でmLごとに少なくとも2ユニットおよび0.5ユニットの抗毒素を誘導する。訪問(visit)1において、1インチ25の標準規格注射針を使用する筋肉注射により左腕の三角筋に単回0.5mL投与として全ての参加者にTdを投与する。各0.5mL投与量は、5Lfの破傷風トキソイドおよび2Lfのジフテリアトキソイドを含有する。
血清サンプル
基準線後示される日数において血液試料を採取する。例えば、プロトコルが3つの時点0日、28日および6ヶ月を示している場合、血液試料は、ワクチン摂取前の0日(基準線)、ワクチン摂取後28日(一次免疫応答を評価するため)、およびワクチン摂取後6ヶ月(免疫応答の持続を評価するため)に採取する。全血液の約5mLをそれぞれの時点においてそれぞれの被験者から採取する。全血液を採取の4時間以内に遠心分離する。血清を除去し−20℃で保存する。28日の血液サンプルを、注射0日の後少なくとも28日だが57日前に採取する。6ヶ月の血液サンプルを、注射0日の後6ヶ月±28日で採取する。したがって、28日の血清は、0日の後28日から56日までの間に採取された血清を示す;および6ヶ月の血清は、0日の後149日から217日までの間に採取された血清を示す。
アッセイ技術
本発明の試験は、多くの標準的な免疫学的アッセイを使用する。以下の記載は、個々に使用された方法を概説する。しかしながら、ここに示されるものの変化を含む他の同様のアッセイが当業者によく知られており、使用してもよい。
生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)を使用する血清殺菌アッセイによる抗髄膜炎菌抗体の測定
血清群A、C、Y、およびW-135に対する抗髄膜炎菌抗体についての機能抗体活性を、血清殺菌アッセイを使用して測定する。テスト血清の2倍希釈液を、96ウェルマイクロタイタープレート中で調製する。生まれたてのウサギの補体と共に血清群特異的髄膜炎菌を血清希釈液に加え、インキュベートさせた。このインキュベート期間の後、血清/補体/細菌混合物に寒天オーバーレイ培地を加え、固めた後、5%CO2と共に37℃で一晩インキュベートした。ウェル中に存在する細菌コロニーを計数する。補体対照ウェルの方法と比較して50%より多い致死を生じる相互血清希釈液により終点タイターを測定する。ウサギ補体を使用するこのアッセイについての検出の限界は、8タイターである。
IgG抗髄膜炎菌抗体測定
血清群A、C、Y、およびW-135に対する抗髄膜炎菌抗体についてのIgG抗体活性を、間接ELISAを使用して測定する。この方法は、血清中の抗体を、メチル化ヒト血清アルブミンによりプラスチックマイクロタイターウェルに吸着された過度の髄膜炎菌群特異的多糖(MenPs)抗原と反応させる工程を含む。結合した抗体の量を、ペルオキシダーゼ標識したマウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル抗体と反応させることにより測定する。ペルオキシダーゼ基質を使用するその後の反応により、分光光度法で測定される発色体産物が生じる。生じた光学密度(OD)は、マイクロタイタープレート上で髄膜炎菌多糖に結合した血清中のIgG抗体の量と相関する。次に、4パラメータロジスティック曲線法を使用する指定値を使用して参照文献(Lot CDC 1992または同等物)と比較することによりIgG抗体の量を計算する。
IgM抗髄膜炎菌抗体測定
血清群A、C、Y、およびW-135に対する抗髄膜炎菌抗体についてのIgM抗体活性を、間接ELISAを使用して測定する。この方法は、血清中の抗体を、メチル化ヒト血清アルブミンによりプラスチックマイクロタイターウェルに吸着された過度のMenPs抗原と反応させる工程を含む。結合した抗体の量を、ペルオキシダーゼ標識したマウス抗ヒトIgM特異的モノクローナル抗体と反応させることにより測定する。ペルオキシダーゼ基質を使用するその後の反応により、分光光度法で測定される発色体産物が生じる。生じたODは、マイクロタイタープレート上で髄膜炎菌多糖に結合した血清中のIgM抗体の量と相関する。次に、4パラメータロジスティック曲線法を使用する指定値を使用して参照文献(Lot CDC 1992または同等物)と比較することによりIgM抗体の量を計算する。
高結合活性抗髄膜炎菌IgG抗体測定
血清群A、C、Y、およびW-135に対する抗髄膜炎菌抗体についての高結合活性IgG抗体活性を、修正ELISAを使用してAventis Pasteur Inc.で測定する。このアッセイは、現在Aventis Pasteur Inc.で開発中であり、臨床試料の試験の前に適格とされるであろう。簡単には、96ウェルマイクロタイタープレートをMenPs抗原で被覆する。被覆されたプレートを吸引およびイッシング(ishing)した後、75mMのチオシアン酸アンモニウムを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)血清希釈緩衝液を使用して、臨床血清の連続希釈をプレート中で直接調製し、一晩インキュベートさせる。結合した抗体の量を、ペルオキシダーゼ標識したマウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル抗体と反応させることにより測定する。ペルオキシダーゼ基質を使用するその後の反応により、分光光度法で測定される発色体産物が生じる。生じたODは、マイクロタイタープレート上で髄膜炎菌多糖に結合した血清中の高結合活性IgG抗体の量と相関する。次に、4パラメータロジスティック曲線法を使用する指定値を使用して参照文献(Lot CDC 1992または同等物)と比較することにより高結合活性IgG抗体の量を計算する。
IgG1およびIgG2サブクラス髄膜炎菌抗体測定
血清群A、C、Y、およびW-135に対する抗髄膜炎菌抗体についてのIgG1およびIgG2サブクラス抗体分布を、ELISAを使用して測定する。血清の連続希釈液中に存在する抗体を、マイクロタイタープレートのウェルに吸着されたMenPs抗原と反応させる。結合した抗体の量を、抗ヒトIgG1FcまたはIgG2Fc特異的試薬を使用して測定する。酵素基質とのその後の反応により、分光光度法で測定される発色体産物が生じる。生じたODは、マイクロタイタープレート上で髄膜炎菌多糖に結合した血清中のIgG1またはIgG2抗体の量と相関する。抗体の量は、血清試料中のIgG1:IgG2比としてまたは適切な参照文献が利用できるならば試料中のIgG1またはIgG2の濃度として報告されるであろう。
VERO細胞の代謝阻害による抗ジフテリア抗体測定
テスト血清がジフテリア毒素誘発からVERO細胞を防御する能力により、抗ジフテリア抗体反応を測定する。滅菌96ウェルマイクロタイタープレートを使用して、1:4希釈で始めるテスト血清の2倍希釈をジフテリア毒素で誘発してインキュベートさせる。次にVERO細胞を加え、ウェルを滅菌鉱物油で密閉し、6-8日間インキュベートさせる。次に、細胞代謝の副産物から生じる培地中のpH指標の色の変化を観察することにより、抗体レベルを測定する。WHO参照血清と比較することにより国際単位/mLとして結果を報告し、ジフテリア毒素の誘発投与量の存在下で細胞代謝を可能にする最も高い血清希釈により測定する。検出の下限値を、参照血清およびテスト血清の開始希釈の最低検出可能抗毒素レベルにより測定し、通常0.005IU/mLである。
ELISAによる抗破傷風抗体測定
間接酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により抗破傷風抗体レベルを測定する。この方法は、テスト血清中の抗体を、プラスチックのマイクロタイターウェルに吸着された破傷風トキソイドと反応させる工程を含む。アルカリホスファターゼに結合したヤギ抗ヒトIgG特異的抗体との反応により、結合した抗体の量を測定する。アルカリホスファターゼ基質とのその後の反応により、分光光度法で測定される発色体産物が生じる。生じたOD(光学密度)は、抗原被覆されたマイクロタイタープレートに結合する血清希釈液中の抗体の量と相関する。平行線分析法(Parallel Line Analysis method)により示される単位数を使用して、国際的なヒトの規準(WHO Lot TE-3)と比較することにより抗体濃度を計算する。ミリリットルごとの国際単位で(IU/mL)で結果を報告する。抗破傷風IgG ELISAについての定量の最小レベルは、0.01IU/mLであり、このレベルより低い値を生じたサンプルは、0.01IU/mL未満として報告される。
ここで用いたように、「有害事象」、「重篤有害事象」、および「予期せぬ有害事象」とは、ワクチン業界内でよく知られている用語である。安全性データは、臨床試験の期間中ワクチンを受けた全ての参加者の評価を含む、標準的治療法に従って概要および分析される。通常、それぞれの用語は、以下の意味を有するものと解される。
有害事象(AE)は、「医薬品を投与された患者または臨床試験参加者中の任意の有害な医療事象であって、この治療と必ずしも因果関係を有しないものとして定義される。したがって有害事象は、医薬(研究)産物と関連しようとしまいと、任意の好ましくないおよび意図しない兆候(異常な検査所見を含む)、症状、または医薬(研究)産物と一時的に結びつく疾患でもよい」(ICH guidelines,GCP(E6)1.2)。
重篤有害事象(SAE)は、「以下の任意の結果を生じる任意の投与量で生じる任意の有害な薬物経験である:死、生命にかかわる有害な薬物経験、入院患者の入院または既存の入院の延長、持続性のまたは重大な障害/不能、または先天異常/出生異常。死にいたらいないかもしれない、生命にかかわる、または入院を必要とする重大な医療事象は、適切な医療判断に基づき、患者または被験者を危険にさらし、この定義に挙げられる結果の1つを防止するために医療または手術の介入を必要とする場合に、重篤有害医薬経験と考えられるかもしれない。そのような医療事象の例には、緊急治療室または家での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院患者の入院を生じない血液疾患または癲癇、または薬物依存または薬物乱用が含まれる。」(21 CFR Ch.I,312.32(a))。
予期せぬ有害事象(UAE)は、「特異性または重大性が現在の治験薬概要書と一致しない;または、治験薬概要書が必要でないまたは利用できない場合、特異性または重要性が通常の治験計画または修正されるように現在の投与の他の部分に記載されるリスク情報と一致しない任意の重篤医薬事象である」(21 CFR Ch.I,312.32(a))。
標準的な治療法に従い行われた試験、およびこの試験での患者の加入または除外の基準は、以下のようである:
患者の加入基準:
1.参加者は、病歴および健康診断により特定され、健康である。
2.参加者は、ワクチン摂取の時に少なくとも11歳であるが19歳を超えない。
3.親/保護者または参加者は、適用できる場合には施設内治験審査委員会(IRB)認定インフォームドコンセントの用紙にサインしている。
4.参加者は、適用できる場合には施設内治験審査委員会(IRB)認定同意用紙にサインしている。
患者の除外基準:
1.重大な慢性疾患(すなわち、心臓、腎臓、神経、代謝、リウマチ等)
2.免疫機能の欠損の既知または疑い
3.過去72時間以内の熱または対象の時に38℃(100.4°F)以上の口腔温度があるまたはない急性内科的疾患
4.記録された浸潤性髄膜炎菌疾患または以前の髄膜炎菌ワクチン摂取の病歴
5.免疫グロブリン、過去3ヶ月以内の他の血液産物、または過去6週間以内の経口または注射コルチコステロイドまたは他の免疫調整治療の投与。過去7日以内の経口ステロイドの逓減投与量スケジュールにおける個人は、加入の2週間前の期間以内に1つ以上のコースを受けていない限り、試験に加入されてもよい。
6.ワクチン摂取の72時間間以内の抗生物質治療。
7.試験が追加のワクチン摂取を言及する場合を除き、加入の28日前の期間における任意のワクチンの摂取、または加入後28日の期間にこえる任意のワクチン摂取をうけることの予定。
8.任意のワクチン成分に対する疑いのあるまたは既知の過敏症
9.全試験期間の利用不能または予定された訪問に行くまたは試験手順に従うことの不能
10.別の臨床試験への加入
11.治験担当医師の意見では、参加者への健康リスクを引き起こすまたはワクチンの評価に干渉する任意の状態
12.女性において、ワクチン摂取の時における陽性または不定尿妊娠テスト。
試験A−投与量試験
試験Aは、盲にされていない、非盲検の、3つの年齢群の参加者に投与される3つの投与量レベルのTetraMenDワクチンの投与量の段階的増加試験である。90人の健康な成人(18-55歳)がステージIに加入し、TetraMenDワクチンの1回の注射を受けた。30人の健康な子供(12-22ヶ月)がステージIIに加入し、単一の投与量レベルのTetraMenDワクチンの2回の注射を受けた。90人の健康な幼児(6-12週間)がステージIIIに加入し、単一の投与量レベルのTetraMenDワクチンの3回の注射を受けた。
成人18-55歳におけるステージI投与量試験
この臨床試験は、盲にされていない、非盲検の、3つの年齢群の参加者に投与される3つの投与量レベルのTetraMenDワクチンの投与量の段階的増加試験である。ステージIでは、90人の健康な成人(18-55歳)が、TetraMenDワクチンの1回の注射を受けた。
成人の参加者について、血清分析のための血清試料は、TetraMenD投与前の基準線(0日)、TetraMenD投与後の28日において採取する。全ての利用可能な試料は、髄膜炎菌多糖血清群A、C、Y、およびW-135に対するSBAについて、およびELISAによりこれらの同じ血清群に対するIgG抗体について分析する。全ての血清群についてSBAおよびIgG ELISAの結果は、以下に概要される。
1つの重要な免疫原性の終点は、基準線から4倍以上上昇する参加者の割合である。SBAにおける4倍以上上昇する割合において基準線SBAタイターが有した効果を測定するために、それぞれの特定の抗原についての基準線タイターが1:64未満の詩人、および特定の抗原についての基準線タイターが少なくとも1:64である成人について、サブグループ分析を行う。
TetraMenDの安全特性を、Menomuneのものと比較する。この試験の結果は、以下の表に概要される。
ステージII
12-22ヶ月の幼児における投与量試験
この臨床試験は、盲にされていない、非盲検の、3つの年齢群の参加者に投与される3つの投与量レベルのTetraMenDワクチンの投与量の段階的増加試験である。ステージIIでは、30人の健康な子供(12-22ヶ月)が、TetraMenDワクチンの2回の注射を受けた。
幼児の参加者について、血清分析のための血清試料は、TetraMenD注射#1前の基準線(0日)、加入の60日後(注射#1の60日後でTetraMenD注射#2の直前)、および加入の90日後(注射#2の30日後)において採取する。全ての利用可能な試料は、髄膜炎菌多糖血清群A、C、Y、およびW-135に対するSBAについて、およびELISAによりこれらの同じ血清群に対するIgG抗体について分析する。全ての血清群についてSBAおよびIgG ELISAの結果は、以下に概要される。結果は、以下の表に概要される。
ステージIII
幼児における投与量試験
この臨床試験は、盲にされていない、非盲検の、3つの年齢群の参加者に投与される3つの投与量レベルのTetraMenDワクチンの投与量の段階的増加試験である。ステージIIIでは、90人の健康な子供(6-12週間)が、TetraMenDワクチンの単一の投与量レベルの3回の注射を受けた。
幼児の参加者は、2ヶ月(注射#1)、4ヶ月(注射#2)、および6ヶ月(注射#3)においてTetraMenD注射を受けた。血清分析のための血清試料は、2つの時点において採取する:6ヶ月(注射#2後2ヶ月)および7ヶ月(注射#3語1ヶ月)。全ての利用可能な試料は、髄膜炎菌多糖血清群A、C、Y、およびW-135に対するSBAについて、およびELISAによりこれらの同じ血清群に対するIgG抗体について分析する。全ての血清群についてSBAおよびIgG ELISAの結果は、以下に概要される。結果は、以下の表に概要される。
幼児におけるTetraMenDと付随して投与される小児ワクチン
幼児は現在、現在のACIP推奨および地域の実務によって決まった小児ワクチン摂取を受ける。この試験において、幼児は、小児ワクチン摂取と共にTetraMenDを受ける。DTacP(Tripedia(登録商標))およびHib(ActHIB(登録商標))を、2、4、および6ヶ月に投与する。IPVまたはOPVのいずれかが与えられてもよい;IPVは、TetraMenDの第1および第2の注射と共に投与される(2および4ヶ月)。B型肝炎ワクチンは、地域の実務によって与えられる;B型肝炎ワクチンは、何人かの参加者に2ヶ月で投与されるが、4ヶ月または6ヶ月では参加者に投与されない。この試験の幼児段階の実施中、RotaShieldが認可され、通常的な使用のためのACIP推奨を受けた。一人の参加者が、この試験との関連で4ヶ月および6ヶ月においてRotaShield を受けた。
通常的に投与された小児ワクチン抗原への抗体反応を、6ヶ月および7ヶ月において評価する。結果は、別々の表に概要される。
この試験に参加した幼児は、2、4、および6ヶ月においてDTacPおよびPRPワクチンを受けた;これらのワクチンの第3の注射後1ヶ月で、7ヶ月の血液を採取した。これらのワクチン抗原のそれぞれについて(ジフテリア、破傷風、百日咳FHA、百日咳PT、およびPRP)、観察された抗体レベルは、3つのTetraMenD群で統計的に大きい違いを示さない(全てのp値は0.05より大きい)。(表A-17参照)。
この試験との関連で、IPVを2ヶ月および4ヶ月に投与する。IPVの第2の注射後3ヶ月で、7ヶ月の血液を採取した。ポリオ型1およびポリオ型2について、観察されたGMT、NAが1:4以上の割合、およびNAが1:8以上の割合は、3つのTetraMenD群で統計的に大きい違いを示さない(全てのp値は0.05より大きい)。全ての3つのTetraMenD投与量群の少なくとも95.0%は、NAが1:8以上の割合によりポリオ型1および2に対する防御を示す。ポリオ型3について、1μg、4μg、および10μgの群におけるGMTは、それぞれ562.7、164.0、および113.3である。ポリオ型3の群における違いは、統計的に大きい(p=0.001
、ANOVA)。しかしながら、すべての3つのTetraMenD投与量群は、NAが1:8以上の割合によりポリオ型3に対する防御を示す(それぞれ100.0%[22/22]、100.0%[21/21]、および94.1%[16/17])。これらの割合は、統計的に大きくない(p=0.283、Fishe’s exact test)。さらに、3つのポリオ血清型について観察されたGMTは、この試験で使用されるIPVワクチン摂取計画である2および4ヶ月におけるIPVの2回の投与の後、規定の範囲内である。
最新のB型肝炎ワクチン摂取後少なくとも5ヶ月において、7ヶ月の血液を採取した。GMTによるB型肝炎表面抗体の観察されたレベルおよび10mIU/mL以上の割合は、3つのTetraMenD投与量群で統計的に大きい違いを示さない(いずれもp値≧0.649)。特に、この試験において、このワクチンの第3の投与のため推奨される最も早い年齢である、6ヶ月でB型肝炎ワクチンを受けた幼児はいなかった。これは、B型肝炎表面抗体タイターが10mIU/mLである7ヶ月の幼児の割合が、ワクチンの最初の投与後検出可能な抗体についての公表される範囲と一致するが、完全な3つのワクチン摂取後の防御抗体レベルについて予想されたよりも低いかを説明するかもしれない。この試験の結果は、以下の表に概要される。
試験B
2-10歳の子供における1および6ヶ月の試験
これは、Menomuneの単回投与とのTetraMenDの単回投与の比較を含む、2-10歳の健康な子供の無作為化された、活性コントロールされた試験である。ワクチン摂取前の0日、28日、および0日後6ヶ月に、血液試料を採取する。Menomuneと比較するTetraMenDの全ての安全性が比較できる。この試験の結果は以下の表に概要される。
SBA-BR抗体タイターの分布
表B-1は、それぞれの血清群についての、基準、28日および6ヶ月のSBA-BR抗体タイターの度数分布を示す。
表B-3は、血清群A、C、Y、およびW-135についての基準から28日までにSBA-BRタイターが4倍以上上昇する参加者の数および割合を示す。それぞれの血清群について、Menomune群におけるよりもTetraMenD群における方が、これらの割合は高い。割合における違いは、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、-0.0397、-0.0452、-0.1092および-0.0562である。
ワクチン摂取後28日にSBA抗体タイターが32以上となる参加者の割合は、表B-3に概要される。
ワクチン摂取後28日にSBA抗体タイターが128以上となる参加者の割合は、表B-4に概要される。
SBA-BR抗体タイターが少なくとも4倍上昇する参加者の割合
表B-5は、基準からの28日および6ヶ月のSBA抗体タイターが4倍以上上昇する参加者の割合を示す。TetraMenDを受けた後28-56日で、多くの参加者は、ワクチン中に含有されるそれぞれの血清群についてのSBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇した。
0日においてタイターが検出不能であり(<8)28日においてSBA-BRタイターの4倍以上の上昇を達成する参加者の割合
両方の治療群および全てのワクチン血清群において、基準において検出不能(<8)のSBA-BRタイターを有する多くの参加者は、28日においてSBAタイターの4倍以上の上昇を達成した(表B-6)。0日に<8のSBAタイターを有し基準から28日までに4倍上昇した参加者の割合は、TetraMenD群で86.21%から98.57%であり;Menomune群で75.00%から94.64%であった。
SBA-BR抗体GMTおよび平均倍上昇
表B-7は、基準およびワクチン摂取後28日および6ヶ月におけるSBA GMTおよびSBA GMTの上昇の倍数を示す。
表B-8は、基準およびワクチン摂取後28日および6ヶ月におけるIgG GMCおよびIgG GMCにおける上昇の倍数を示す。
試験ワクチン摂取、TetraMenDを受けた後28-56日で、参加者の多くが、ワクチンに含有されるそれぞれの血清群についてSBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇する。全体で、TetraMenD受容者の77%が、全ての血清群について抗体タイターが4倍以上上昇する。より高いワクチン摂取前の抗体レベルが、血清群CまたはW-135についてよりもYについて観察される。これは、この年齢における血清群Yへの自然での暴露が従来考えられていたよりも一般的であるという事実に関係するかもしれない。より高い循環抗体レベルは、現在の自然暴露を反映し、4倍以上の抗体反応を示すワクチン受容者の割合を減少させるかもしれない。これは、明らかに、他の血清群と比較した場合、血清群Yの反応についてのケースである。血清群Yについての4倍上昇は、血清群Cについての73.4%、血清群Aについて87.7%、および血清群W-135についての91.0%と比較して56.6%である。高いワクチン摂取前の抗体レベルはまた、血清群Aについて観察される。これは、いくつかの天然発生交差反応抗原への長期の断続的な暴露の結果かもしれない。
事前のタイターの影響をさらに評価し、血清変換率(任意の血清群についてのワクチン摂取前のタイターが<1:8である場合に、抗体タイターの4倍上昇を達成するワクチン受容者の割合により定められる)を調査するために、ワクチンに含有される4つの血清群の任意の1つについてワクチン摂取前の抗体タイターが<1:8である参加者において分離分析を行う。補体供給源として生まれたてのウサギを使用するSBAアッセイによる<1:8のタイターは、循環抗体の検出できないレベルを示すと考えられる。参加者がこの基準を使用して評価される場合、TetraMenDによるワクチン摂取後、血清変換率は、血清群Aについて98.6%、血清群Cについて87.9%、血清群W-135について96.0%、および血清群Yについて86.2%である。
軍隊の新兵における観察に基づき、Goldschneiderは、ヒト補体供給源によるSBAアッセイを使用する≧1:4の最小タイターは、血清群Cに対する浸潤性の疾患と相関するということを示した。しかしながら、アッセイの標準化の必要性およびヒト補体の信頼できる供給源の欠乏のために、生まれたてのウサギの補体が別の供給源として提案される。髄膜炎菌は、ヒト補体よりも生まれたてのウサギ補体に感受性であり、より高い抗体タイターが測定される。ウサギ補体アッセイを使用する≧1:128のタイターは防御の前兆であるが、<1:8のタイターは少なくとも血清群Cについての感受性の前兆であることを示した著者もいる。このレベルは、多糖ワクチンを評価する場合には適切かもしれないが、複合ワクチンには適切でないかもしれない。Borrowは、ワクチン摂取後8から64までの間のSBAタイターを示した一価C複合ワクチンを受ける被験者において、数ヵ月後に与えられた髄膜炎菌多糖ワクチンの減少投与量(10μg)を使用する記憶反応の証明は、これらの個人が≧1:128の抗体レベルを達成し、防御されていることを示した。それぞれの血清群について≧1:128のSBA-Bタイターを有するTetraMenDワクチンを受けた被験者についての結果は、表に示される。これらの基準がワクチン中に含有されるそれぞれの血清群について適用される場合、TetraMenDを受けた参加者の96.2%が≧1:32のワクチン摂取後SBA-BRタイターを達成し、90.5%が≧1:128のタイターを達成した。この臨床試験からの血清の一部を使用して、生まれたてのウサギの補体を使用するSBAアッセイとヒト補体を使用するSBAアッセイとの間の相関を評価し、結果をその後の試験に提供する。
全IgG反応は、TetraMenDを受けた群におけるよりもMenomuneの血清群C、Y、W-135について著しく高い。しかしながら、血清群A、C、Y、およびW-135についてのワクチン摂取後SBA GMTレベルは、TetraMenD群において著しく高い。
表B-9は、血清群によるGMC対GMTタイターの比較を提供する。
複合体により産生されるIgGのより低いレベルは、多糖ワクチンよりも高いレベルの殺菌作用を生じるということの観察は、複合体ワクチンに対する抗体反応の質および親和性が複合していない多糖ワクチンにより産生されるものよりも優れているということを強く示す。高親和性抗体は、機能的活性および記憶反応と関連する。この効果は、複数の公表された研究でも観察されている。これらのデータにより、TetraMenDは2-10歳の子供において強い免疫原性であり、TetraMenD群中で観察されるGMTは4つの血清群のそれぞれについてMenomune群で観察されるものよりも優れており、達成されるタイターは防御の前兆であるということが示される。最後に、TetraMenDは、ワクチン中に含有されるそれぞれの血清群についてより高い親和性抗体反応を生じるようである。
安全性は、試験中4つの特定の時点において観察される:即時反応(ワクチン摂取の30分以内)、ワクチン摂取後最初の7日間の応答型の局所的および全身性反応、ワクチン摂取後28日間の全ての有害事象および連続するAE(0-28日)およびワクチン摂取後0日-6ヶ月の重篤有害事象が報告される。
全ての参加者について、両方の処理群についての多くの局所的応答型反応が穏やかなものであると報告され、ワクチン摂取の3日以内に消失する。局所的反応の頻度は、それぞれの処理群について同様である。TetraMenD58.8%を受けた群において少なくとも1つの局所反応が報告され、Menomune58.3%を受けた群が同じ報告をした。さらに、若者に筋肉内投与された一価C CRM197複合体ワクチンによる経験は、局所反応の割合がこの試験でTetraMenDについて観察されたものと非常に類似することを示す。
報告されたAEの多くは重篤ではなく、可逆的であり、ワクチン摂取と関連しない。この試験で、気管支喘息、糖尿病、または自己免疫疾患の新しい始まりは報告されていない。
11-18歳の子供における1ヶ月の試験C
試験Cは、TetraMenDの単回投与対Menomuneの単回投与の0日における、健康な11-18歳の子供の無作為の積極的にコントロールされる試験である。血液血清は、0日、ワクチン摂取前および28日に採取し、分析され、患者からの血清の一部はさらに結果に記載されるように評価される。
全ての参加者について、両方の処理群についての多くの局所的応答型反応が穏やかなものであると報告され、ワクチン摂取の2日以内に消失する。局所的反応の頻度は、それぞれの処理群について同様である。局所反応の頻度は、TetraMenD(72.4%)を受けた群において、Menomune(34.7%)を受けた群よりも多い。この結果はおそらく、投与の経路(筋肉内)というよりも複合体ワクチンの性質(ジフテリア担体タンパク質)によるものである。この試験の結果は、以下の表に概略される。
表C-1は、それぞれの血清群についてのSBA-BR抗体タイターの基準および28日の頻度分布を示す。
表C-2は、被験者の年齢およびTetraMenDについての血清群によるGMTレベルを概要する。
表C-3は、血清群A、C、Y、およびW-135について基準から28日までにSBA-BRタイターが4倍以上上昇した参加者の数および割合を示す。それぞれの血清群について、これらの割合は、Menomune群よりもTetraMenD群において高い。
32以上のSBA-BR抗体タイターの頻度
ワクチン摂取後28日に32以上のSBA-BR抗体タイターを有する参加者の割合が表C-4に概要される。
128以上のSBA-BR抗体タイターの頻度
ワクチン摂取後28日に128以上のSBA抗体タイターを有する参加者の割合が表C-5に概要される。
SBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇する参加者の割合
表C-6は、基準から28日にSBA抗体タイターが4倍以上上昇する参加者の割合を示す。
0日に検出不能のタイター(<8)を有し28日にSBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇する参加者の割合
両方の処理群および全てのワクチン血清群について、基準において検出不能(<8)のSBAタイターを有する参加者の多くは、28日にSBAタイターの4倍以上の上昇を達成する。0日に<8のSBAタイターを有し基準から28日に4倍以上上昇した参加者の割合は、98.17%から100.0%の範囲である(表C-7)。
SBA-BR抗体GMTおよび平均倍数上昇
表C-8は、0日およびワクチン摂取後28日におけるSBA GMTおよびSBA GMTの倍数上昇を示す。
血清群A、C、W-135、およびYについてのELISA IgG
表C-9は、基準およびワクチン摂取後28日におけるIgG GMC(μg/mL)およびIgG GMCの上昇倍数を示す。
血清群A、C、W-135、およびYについてのELISA IgM
TetraMenDの試験ワクチン摂取の28-56日後、参加者の多くは、ワクチン中に含有されるそれぞれの血清群についてSBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇する。概して、TetraMenD受容者の90.7%が、全ての血清群について抗体タイターが4倍上昇する。より高いワクチン摂取前抗体レベルが、血清群CまたはW-135よりもYについて観察される。これは、血清群Yは米国のこの年齢群における浸潤性髄膜炎菌疾患に関連する最も多い血清群であり、この血清群への自然暴露はより多いかもしれないという事実に関係しうる。より高い循環抗体レベルは、最近の自然暴露を反映し、4倍以上の抗体反応を示すワクチン受容者の割合を減少させるかもしれない。これは、他の血清群と比較して血清群Yの反応の場合に見られる。血清群Yについての4倍上昇は、血清群Cについて91.7%および血清群W-135について96.7%と比較して、81.8%である。高いワクチン摂取前抗体レベルは、血清群Aについても観察される。これは、多くの自然発生交差反応抗原への長期の断続的な暴露の結果かもしれない。
事前のタイターの影響をさらに評価し、血清変換率(任意の血清群についてのワクチン摂取前のタイターが<1:8である場合に、抗体タイターの4倍上昇を達成するワクチン受容者の割合により定められる)を調査するために、ワクチンに含有される4つの血清群の任意の1つについてワクチン摂取前の抗体タイターが<1:8である参加者において分離分析を行う。補体供給源として生まれたてのウサギを使用するSBAアッセイによる<1:8のタイターは、循環抗体の検出できないレベルを示すと考えられる。参加者がこの基準を使用して評価される場合、TetraMenDによるワクチン摂取後、血清変換率は、血清群Aについて100%、血清群Cについて98.1%、血清群W-135について98.1%、および血清群Yについて98.3%である。
別の試験で既に詳述したように、軍隊の新兵における観察に基づき、Goldschneiderは、ヒト補体供給源によるSBAアッセイを使用する≧1:4の最小タイターは、血清群Cに対する浸潤性の疾患と相関するということを示した。しかしながら、アッセイの標準化の必要性およびヒト補体の信頼できる供給源の欠乏のために、生まれたてのウサギの補体が別の供給源として提案される。髄膜炎菌は、ヒト補体よりも生まれたてのウサギ補体に感受性であり、より高い抗体タイターが測定される。ウサギ補体アッセイを使用する≧1:128のタイターは防御の前兆であるが、<1:8のタイターは少なくとも血清群Cについての感受性の前兆であることを示した著者もいる。このレベルは、多糖ワクチンを評価する場合には適切かもしれないが、複合ワクチンには適切でないかもしれない。Borrowは、ワクチン摂取後8から64までの間のSBAタイターを示した一価C複合ワクチンを受ける被験者において、数ヵ月後に与えられた髄膜炎菌多糖ワクチンの減少投与量(10μg)を使用する記憶反応の証明は、これらの個人が≧1:128の抗体レベルを達成し、防御されていることを示した。それぞれの血清群について≧1:128のSBA-Bタイターを有するTetraMenDワクチンを受けた被験者についての結果は、表に示される。これらの基準がワクチン中に含有されるそれぞれの血清群について適用される場合、TetraMenDを受けた参加者の99.2%が≧1:128のワクチン摂取後SBA-BRタイターを達成した。
IgGおよびIgM反応を、標準ELISAアッセイを使用して参加者の一部において評価する。ワクチン摂取後、TetraMenD受容者におけるIgG抗体の平均レベルは、それぞれの血清群について>2μgである。IgM反応は、処理した両方の腕においてそれぞれの血清群につき非常に類似する。IgM反応は一般に、TetraMenDを受けた群におけるよりもMenomuneの血清群C、Y、W-135について著しく高い。しかしながら、血清群C、Y、およびW-135についてのワクチン摂取後SBA GMTレベルは、それぞれの処理群において非常に類似する、表C-11。
複合体により産生されるIgGのより低いレベルは、多糖ワクチンと同様のレベルの殺菌作用を生じるということの観察は、複合体ワクチンに対する抗体反応の質および親和性が多糖により産生されるものよりも優れているということを強く示す。高親和性抗体は、機能的活性および記憶反応と関連する。この効果は、複数の公表された研究でも観察されている。
これらのデータにより、TetraMenDは若者の母集団において強い免疫原性であることが示される。GMTは両方のワクチンについての4つの血清群のそれぞれについて実質的に同等であり、達成されるタイターは防御の前兆であり、TetraMenDはワクチン中に含有されるそれぞれの血清群についてより高い親和性抗体反応を生じるようである。
試験D
試験Dは、TetraMenDの単回投与対Menomuneの単回投与の、18-55歳の健康な成人の無作為化された、活性コントロールされた試験である。血液血清は、0日、ワクチン摂取前および28日に採取され、分析される。
通常、TetraMenDの安全特性がMenomuneと比較され、特に応答型の局所反応(0-7日)、応答型の全身性反応(0日-)、迷惑な有害事象(0-28日)、迷惑な重大な有害事象およびSAE(28日-6ヶ月)、重篤有害事象(0日-6ヶ月)は全てMenomuneについて報告される割合の2-3%以内である。試験の結果は以下の表に示される。
SBA-BR抗体タイターの分布
表D-1は、それぞれの血清群についての基準および28日のSBA-BR抗体タイターの度数分布を示す。
表D-2は、被験者の年齢およびTetraMenDについての血清群による相乗平均タイター(GMT)の概要を示す。
表D-3は、血清群A、C、Y、およびW-135について基準から28日までにSBA-BRが4倍以上上昇する参加者の数および割合を示す。TetraMenD群中の血清群についての数および割合は、A、1028/1278(80.4%);C、1131/1278(88.5%);Y、941/1278(73.6%);およびW-135、1142/1278(89.4%)であり、Menomune群における、A、929/1099(84.5%);C、985/1099(89.6%);Y、872/1099(79.3%);およびW-135、1036/1099(94.3%)と比較できる。
32以上のSBA-BR抗体タイターの頻度
ワクチン摂取後28日に32以上のSBA-BR抗体タイターを有する参加者の割合が表D-4に概略される。
128以上のSBA-BR抗体タイターの頻度
ワクチン摂取後28日に128以上のSBA-BR抗体タイターを有する参加者の割合が表D-5に概略される。
SBA-BR抗体タイターが少なくとも4倍上昇する参加者の割合
表D-7は、28日においてSBA抗体タイターが基準から4倍以上上昇する参加者の割合を示す。
0日に検出不能のタイター(<8)を有し28日にSBA-BR抗体タイターの4倍以上の上昇を達成する参加者の割合
表D-8は、0日に検出不能のタイター(<8)を有し28日にSBA-BR抗体タイターの4倍以上の上昇を達成する参加者の割合を示す。両方の処理群におよび全てのワクチン血清群について、基準において検出不能(<8)のSBAタイターを有する参加者の多くは、28日にSBAタイターの4倍以上の上昇を達成する。0日に<8のSBAタイターを有し基準から28日に4倍以上上昇した参加者の割合は、TetraMenD群において90.7%から100.0%の範囲であり、Menomune群において96.9%から99.3%の範囲である。
表D-9は、基準およびワクチン摂取後28日におけるSBA GMTおよびSBA GMTの倍数上昇を示す。
TetraMenDの試験ワクチン摂取の28-56日後、参加者の多くは、ワクチン中に含有されるそれぞれの血清群についてSBA-BR抗体タイターが4倍以上上昇する。抗体タイターの4倍上昇を得るTetraMenD滋養者の割合は、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、80.4%、88.5%、73.6%、および89.4%である。より高いワクチン摂取前抗体レベルが、血清群CまたはW-135よりもYについて観察される。これは、血清群Yは米国のこの年齢群における浸潤性髄膜炎菌疾患に関連する最も多い血清群であり、この血清群への自然暴露はより多いかもしれないという事実に関係しうる。より高い循環抗体レベルは、最近の自然暴露を反映し、4倍以上の抗体反応を示すワクチン受容者の割合を減少させるかもしれない。これは、他の血清群と比較して血清群Yの反応の場合に見られる。血清群Yについての4倍上昇は、血清群Cについて88.5%および血清群W-135について89.4%と比較して、73.6%である。高いワクチン摂取前抗体レベルは、血清群Aについても観察される。これは、多くの自然発生交差反応抗原への長期の断続的な暴露の結果かもしれない。
事前のタイターの影響をさらに評価し、血清変換率(任意の血清群についてのワクチン摂取前のタイターが<1:8である場合に、抗体タイターの4倍上昇を達成するワクチン受容者の割合により定められる)を調査するために、ワクチンに含有される4つの血清群の任意の1つについてワクチン摂取前の抗体タイターが<1:8である参加者において分離分析を行う。補体供給源として生まれたてのウサギを使用するSBAアッセイによる<1:8のタイターは、循環抗体の検出できないレベルを示すと考えられる。参加者がこの基準を使用して評価される場合、TetraMenDによるワクチン摂取後、血清変換率は、血清群Aについて100%、血清群Cについて99.4%、血清群W-135について96.5%、および血清群Yについて90.7%である。
別の試験で既に詳述したように、軍隊の新兵における観察に基づき、Goldschneiderは、ヒト補体供給源によるSBAアッセイを使用する≧1:4の最小タイターは、血清群Cに対する浸潤性の疾患と相関するということを示した。生まれたてのウサギの補体が別の供給源として提案されるが、髄膜炎菌は、ヒト補体よりも生まれたてのウサギ補体に感受性であり、より高い抗体タイターが測定される。ウサギ補体アッセイを使用する≧1:128のタイターは防御の前兆であるが、<1:8のタイターは少なくとも血清群Cについての感受性の前兆であることを示した著者もいる。このレベルは、多糖ワクチンを評価する場合には適切かもしれないが、複合ワクチンには適切でないかもしれない。Borrowは、ワクチン摂取後8から64までの間のSBAタイターを示した一価C複合ワクチンを受ける被験者において、数ヵ月後に与えられた髄膜炎菌多糖ワクチンの減少投与量(10μg)を使用する記憶反応の証明は、これらの個人が≧1:128の抗体レベルを達成し、防御されていることを示した。この基準がワクチン中に含有される全ての血清群について適用される場合、1:128以上のワクチン摂取後SBA-BRタイターを達成するTetraMenDを受けた参加者の割合は、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、99.8%、98.7%、96.9%、および97.1%である。
試験E 10-18歳の子供におけるTdブースター試験
この試験は、それぞれ破傷風およびジフテリアタイターにおいて条件を満たす反応を有する参加者の割合により測定される、Tdに付随して実験用四価髄膜炎菌ジフテリア複合体ワクチンであるTetraMenDを受ける群における破傷風およびジフテリアトキソイド(Td)ブースター反応を、プラシーボ(placebo)と共にTdを受ける群における反応と比較する。条件を満たす反応とは、ワクチン摂取後28日に、所定の低いワクチン摂取前タイターを有する参加者における基準からの少なくとも4倍上昇および所定の高いワクチン摂取前タイターを有する参加者における基準からの少なくとも2倍上昇として定められる。
それぞれの血清群についてタイターが少なくとも4倍上昇する参加者の割合により測定し、Tdに付随して投与された場合の血清群A、C、Y、およびW-135についての抗体反応を、Tdワクチンの28日後にTetraMenDが投与される場合の反応と比較する。
これは、1024人の参加者が2つの処理群AおよびBの1つに分けられる、無作為化された、修正された二重の、活性コントロール多施設臨床試験である。
11-17歳の年齢の範囲は、通常の小児免疫計画の一部としてTdワクチンを受ける個人を獲得するために選ばれる。さらに、この年齢範囲は、浸潤性の髄膜炎菌疾患を発達させる高いリスクとして定められ、一度許可されると髄膜炎菌複合体ワクチンによるワクチン摂取のための候補者に最もなりやすい。安全性を適切に評価するために、プラシーボコントロールを使用する修正された二重の設計を使用する。最初の訪問について、ワクチン摂取看護婦は盲にされておらず、プロトコルに従ってそれぞれの腕にワクチンを投与する;右腕にTetraMenD(IM)またはプラシーボ、および左腕にTd。二回目の訪問について、それぞれの処理群は左腕にワクチンを受けた。評価看護婦は盲にされ、局所的および全身性の反応および有害事象を観察する。
11-17歳の年齢の範囲は、通常の小児免疫計画の一部としてTdワクチンを受ける個人を獲得するために選ばれる。さらに、この年齢範囲は、浸潤性の髄膜炎菌疾患を発達させる高いリスクとして定められ、一度許可されると髄膜炎菌複合体ワクチンによるワクチン摂取のための候補者に最もなりやすい。
血清学試験のための血液標本(少なくとも5mLの全血)を、ワクチン摂取前の0日(基準)およびワクチン摂取後28日に採取する。訪問2の28日後の参加者に第3の血液採取を行う。これらの時点のそれぞれにおいて、髄膜炎菌血清群A、C、Y、およびW-135、抗ジフテリア抗体および抗破傷風抗体について血清を分析する。
TetraMenDの受容者における抗体作用を評価するために、それぞれのワクチン血清群に対して生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)を使用してSBAについて全ての利用できる標本を分析する。ある免疫学的終点は、SBA-BRタイターが4倍以上上昇するそれぞれの処理群における参加者の割合である。抗ジフテリア抗体レベルを、ジフテリア毒素誘発からVero細胞を防御するテスト血清の能力により測定する。抗破傷風毒素レベルを、間接酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定する。
この試験は、TetraMenDの単回投与を受ける前記の試験、試験Cからの参加者におけるGMTにより測定される、血清群A、C、Y、およびW-135についてのTetraMenDに対する抗体反応を、Tdに付随してTdワクチン摂取の28日後に投与されるTetraMenDを受ける参加者における反応と比較する。
ワクチン摂取前の基準(0日)およびワクチン摂取後28日(時間:+28日)および6ヶ月において、血清学分析のための血清標本を得る。破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイド(Td)ワクチンについての抗体タイターを、ワクチン摂取前および28日後に測定する。
髄膜炎菌血清群A、C、Y、およびW-135についてのSBA-BR抗体タイターを、ワクチン摂取前および28日後に全ての利用可能な血清標本について測定する。全体的に、群Aおよび群Bの安全特性を比較する。この試験の結果は、以下の表に概略される。
表E-1は、被験者の年齢および血清群によるGMTレベルを概要する。
表E-2は、28日に破傷風およびジフテリア抗体において少なくとも4倍または2倍上昇する参加者の数および割合を示す。
血清群A、C、Y、W-135についての破傷風およびジフテリア抗体タイターおよびSBA抗体タイター
表E-2は、28日に破傷風およびジフテリア抗体において少なくとも4倍または2倍上昇する参加者の数および割合を示す。割合の違いは、それぞれ、破傷風およびジフテリアについて2.78および-2.73である。
表E-3は、28日に血清群A、C、Y、W-135について抗体タイターが少なくとも4倍上昇する参加者の数および割合を示す。
表E-4は、基準において高いジフテリアおよび破傷風タイターを有する参加者の数および28日に2倍の上昇を有する参加者の数および割合を示す。
表E-5は、基準において低いジフテリアおよび破傷風タイターを有する参加者の数および28日に4倍の上昇を有する参加者の数および割合を示す。
表E-6は、TetraMenDまたはプラシーボに付随して与えられる破傷風およびジフテリアワクチン摂取の28日後に破傷風およびジフテリア抗体中で1.0IU/ml以上のタイターを有する参加者の数および割合を示す。
表E-7は、破傷風およびジフテリアワクチン摂取(TetraMenDまたはプラシーボに付随して与えられる)後28日における破傷風およびジフテリアについての相乗平均抗体タイター(GMT)を示す。
表E-8は、TetraMenD摂取後28日における血清群A、C、Y、およびW-135についてのSBA-BRの相乗平均抗体タイター(GMT)を示す。GMT比は、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、0.92、0.42、0.39、および0.32である。
表E-9は、Td+TetraMenD、プラシーボ群および試験MTA02からの対応する結果におけるTetraMenDワクチン摂取後28日における血清群A、C、Y、およびW-135についてのSBA-BRの相乗平均抗体タイター(GMT)を示す。GMT比は、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、0.48、0.38、0.34、および0.39である。
表E-10は、Td+プラシーボ、TetraMenD群および試験MTA02からの対応する結果におけるTetraMenDワクチン摂取後28日における血清群A、C、Y、およびW-135についてのSBA-BRの相乗平均抗体タイター(GMT)を示す。GMT比は、血清群A、C、Y、およびW-135についてそれぞれ、0.53、0.90、0.99、および1.05である。
表E-11は、プロトコル母集団ごとについて血清群によるTetraMenDワクチン接種後0日および28日におけるSBA-BR抗体タイターの分布を示す。
関連する試験は、健康な10-17歳の若者において許容されるTdワクチンに付随して投与されるMCV-4ワクチンの安全性および免疫原性を利用できるように行った。簡単には、多施設無作為化臨床試験において、10-17歳(平均年齢12.9歳)の健康な子供が、付随的に(n=509)または1ヶ月離れた別々の訪問で(n=512)で、TetraMenD(MCV-4)+Tdを受けた。別々におよび付随して与えられる2つのワクチンについての安全性の評価は、ワクチン摂取後8日および28日に採取した。ジフテリアおよび破傷風に対する抗体タイター、および髄膜炎菌血清群に対する血清殺菌活性(SBA)により、ワクチン摂取前および4週間後に免疫応答を評価した。Tdのみを与えられた被験者についての安全性特性は、Td+TetraMenDを与えられた被験者におけるものと類似した。Td+TetraMenDの付随的な投与は、破傷風またはジフテリアトキソイドに対する免疫応答に干渉しなかった。4つの血清群に対するSBA応答は、以下に示される表E-14に概略される。
この試験は、TdおよびTetraMenDの共投与が安全であり、試験被験者中でよく許容されたということを示す。TetraMenD+Tdの付随的投与は、破傷風およびジフテリアトキソイドに対する免疫応答に悪影響を与えない。血清群C、Y、およびW-135多糖に対する免疫応答は、MCV-4がTdと共に共投与された場合に増強された。この試験で観察された憎悪供された免疫応答は、驚くべきことであり予期しないものであった。
髄膜炎菌血清群C、W-135およびYについての生まれたてのウサギの補体およびヒト補体による血清殺菌アッセイの比較
試験A、ステージIIIからの血清サンプルの一部をこの試験に使用し、血清群C、W-135およびYについてSBA-BRタイターおよびSBA-HCタイターにより得られる結果を比較する。この試験に入れられた被験者は、少なくとも2歳から11歳までの年齢であり、それぞれ2つのワクチン群の1つに無作為に分けられる。全血の約5mLを、基準(ワクチン接種前)およびワクチン接種後28日にそれぞれの被験者から採取する。被験者からの血液標本は採取の4時間以内に遠心分離する。血清は凝血塊を取り除き、標識した凍結チューブ(cryotube)に写し、-20℃以下で温度監視フリーザーで保存する。この報告中の分析で私用される全てのサンプルは、臨床試験に入れられた最初の被験者から得られたペア血清からであり、全ての計画される試験を完了するために十分な血清量である。全てのサンプルは、4歳を除く2-3歳の被験者からである。処理意図(intent-to-treat)カテゴリでは2人の被験者がいる。これらの1人はTetraMenDワクチン群からであり(ワクチン接種後28日のサンプルは24日に採取される)、1人はMenomuneワクチン群からである(ワクチン接種後28日のサンプルは9日に採取される)。
生まれたてのウサギの補体(Pel-Freez,Clinical Systems LLC,Brown Deer,WI,product code 31038)を、それぞれの血清群特異的アッセイに適切なように予め選別する。適切性のための基準には、予め定量されたロットのウサギ補体を使用する所定の血清サンプル(2倍希釈以内)についてのSBA-BRテスト結果との調和が含まれた。参照血清およびコントロールサンプルについての予め定められたタイターを満たすための基準も使用される。ウサギ補体の2.5mlのアリコートを、使える状態まで-70℃以下で保存する。アリコートを溶解して使用するまたは捨てる。
参加した被験者からの血清を、ELISAにより抗髄膜炎菌多糖IgGおよびIgMについてスクリーニングし、機能的抗体についてSBA-BRでテストし、SBA-Hで使用するための補体の可能な供給源を同定する。補体のヒト供給源の選択のために確立された基準は以下のようである;(1)SBA-BRアッセイで分析される場合に検出可能な抗体のないこと、(2)アッセイで補体供給源として使用される場合に内因性の殺菌活性がないこと、(3)Dr.Ray Borrowによる独立の外部実験室で測定される事前の否定的な試験結果を有する血清を使用して、否定的なコントロールのパネルと共に補体供給源として使用する場合に許容できる性能、および(4)24サンプルのパネルで許容できる再現性能。それぞれの血清群特異的アッセイで使用される外因性補体供給源は、異なる被験者からである。1つ以上の血清群のために使用される補体供給源はない。また、SBAアッセイで使用される3つの補体供給源は、血清群ごとに単一の供給者からである。
血清群C
条件を満たす低いELISA値(IgGおよびIgMについて0.5μg/ml未満)を有する数人の被験者からの血清は、殺菌活性を示した。
血清群Y
血清群Y SBA-Hについての補体供給源は、採取プロトコルに参加した被験者から選択される。補体の供給源からの血清は、ELISAにより低レベルの血清群Y IgGおよびIgMを示し、SBA-BRアッセイで否定的である。供給源からの血清は、SBAで使用される場合に内因性の殺菌活性を示さなかった。
血清群W-135
血清群W-135 SBA-Hについての補体供給源は、採取プロトコルに参加した被験者から選択される。補体の供給源からの血清は、ELISAにより低レベルの血清群W-135 IgGおよびIgMを示し、SBA-BRアッセイで否定的である。供給源からの血清は、SBAで使用される場合に内因性の殺菌活性を示さなかった。
血清殺菌アッセイ
簡単には、髄膜炎菌血清群C、Y、およびW-135株を、Centers for Disease Control,Atlanta,GA(CDC)から得る。細菌の標的株を、血清群C、YおよびW-135の新しく溶解した作業種子ロットガラス瓶で使用するために調製する。それぞれのガラス瓶を使用して、5%CO2中で37℃±0.5℃で一晩インキュベートされたThayer Martinプレートに筋をつける。次の日、単離されたコロニーを滅菌スワブ(swab)で採集し、周囲温度に温められた新しいThayer Martinプレートの全表面に接種するために使用する。プレートを5%CO2中で37℃±0.5℃で4時間インキュベートして滅菌スワブで採集される密集細菌成長の光ベールを得て、所定の光学密度(600nmにおける吸光度)になるまでダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液中に懸濁する。所定濃度の細菌を有する検量線用溶液を、ダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液中で調製し、周囲温度で維持し、調製の30分以内に使用する。
試験サンプルを56℃で30分間熱処理し、内因性の補体を不活性化する。96ウェルマイクロタイタープレートの全てのプレートにダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液を加え、試験血清サンプルを2倍段階希釈液中に懸濁し、ウェルの最後の2つのカラムは補体および血清コントロールウェルのために残す。全てのプレート上のカラムには、補体カラム([カラム11]-血清/+補体)および血清コントロールカラム([カラム12]+血清/-補体)が含まれた。
新しく溶解した補体を作業濃度の細菌と混合し、混合物をマイクロタイタープレートの血清コントロールウェル以外の全てに懸濁する。補体を加えない細菌を、血清コントロールウェル中に懸濁する。プレートを覆い、1分間プレートシェーカー上に置き、37℃±0.5℃のCO2インキュベーターに移す。インキュベート時間は、血清群Aアッセイプレートについて90分間、血清群C、Y、およびW-135アッセイプレートについて60分間である。インキュベートの後、50℃±1℃で100μlのアガロースオーバーレイ培地を、気泡形成を避けて全てのウェルに慎重に加える。蒸気の形成を避けるためにマイクロタイタープレートの蓋を半開きにして周囲温度で10分後、プレートを覆い、乾燥した(湿度を加えない)5%CO2インキュベーターに37℃±0.5℃で20±4時間移す。このインキュベートの後、ウェルごとの細菌コロニーを計数する。補体コントロールウェルについてのウェルごとのコロニーの平均数を計算し、T0で50%生存を得るために半分に分ける。
それぞれの未知の血清の殺菌タイターを、T0における50%生存と比較して50%以上の死を生じる最終相互血清希釈として表す。SBA-BR中のサンプルについての開始希釈は1:8である。SBA-Hについて、開始希釈は元のアッセイに記載されるように1:4希釈まで低くする。
ここに記載されるように、Manchester Public Health Laboratory Services,Meningococcal Reference Unit,Manchester,UK(PHLS)で行われるように、標準化SBA手順(CDC)およびSBA手順との血清群AアッセイについてのSBA-BR手順の比較は、表14−1に提供される。
Dr.George Carlone,CDC(CDC donor-R21654-3430107)から参照血清を、使用されるまで2-8℃で保存されるガラス瓶中の凍結粉末として得る。必要であれば、ガラス瓶をそれぞれ0.5mlの滅菌水で元に戻し、100μlの作業アリコートとして-80℃から-40℃までで保存する。これらの条件下で再構成される場合、参照血清のタイターは、血清群A、C、Y、およびW-135について標準化SBA-BRで1:256±1の2倍希釈である。参照血清サンプルは、1日のプレートセットの異なるプレート上で2度実施される。
血清群A、C、Y、およびW-135についての群特異的ウサギ抗血清を、使用されるまで2-8℃で保存されるガラス瓶中の凍結粉末としてDifcoから購入する。必要であれば、ガラス瓶をそれぞれ1mlの滅菌水で元に戻し、SBA中でアリコートコントロールサンプルとして使用するための50μlの作業アリコートとして-80℃から-40℃までで保存する。
臨床血清サンプル中で髄膜炎菌血清群C、Y、およびW-135への補体媒介抗多糖殺菌活性の測定のためにここに提供される、生まれたてのウサギ補体(SBA-BR)を使用する血清殺菌アッセイの結果は、精度、希釈性(線状性)、検出の特異性および限界について十分に有効である。SBA-Hアッセイ(血清群Cについて)は、アッセイの精度を確立するために血清サンプルの同一セットで連続する5日間繰り返す。
SBA-BRの感受性および特異性の計算
SBA-BRで得られたタイターを、1:4および1:8のSBA-Hベンチマークタイターを使用して、真のポジティブ(TP)(および偽のポジティブ[FP])および真のネガティブ(TN)(および偽のネガティブ[FN])として分類する。感受性をTP/(TP+FN)として計算し、特異性をTN/(TN+FP)として計算する。これらの計算の結果を割合で表す。
SBA-BR対SBA-HのSBAタイター分布比較
免疫化前および免疫化後28日のSBAタイターが、血清群Cについて表1および4、血清群Yについて表2および5、および血清群W-135について表3および6に示される。補体の2つの供給源(BR対H)について得られる結果を比較する免疫化前および後のSBAタイターの分析が以下の区分に概要される。
血清群C SBAタイター分布
101の免疫化前血清サンプルのうち、63が、<1:4のSBA-Hタイターおよび<1:8のSBA-BRタイターを有することにより定められるネガティブである。27の免疫化前サンプルが、SBA-H(<1:4)によりネガティブであるがSBA-BR(≧1:8)によりポジティブである。<1:8のSBA-BRカットオフ(cut off)を使用する偽のポジティブの割合は、30%である。偽のポジティブの割合は、1:128のカットオフタイターで20%未満、および1:512のカットオフタイターで10%未満まで、より高いSBA-BRカットオフタイターで減少する。SBA-H(≧1:4)によりポジティブである7つのサンプルは、SBA-BR(<1:8)によりネガティブである。
免疫化後血清において、48サンプルがSBA-Hによりネガティブであり、11サンプルだけがSBA-BRによりネガティブである。SBA-BRによりネガティブである11サンプルのうち、3サンプルがSBA-Hによりポジティブである。複合群中の51の免疫化後サンプルのうち17が(32%)、SBA-HによりネガティブであるがSBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。多糖群について、50の免疫化後サンプルのうち23が(46%)、SBA-HによりネガティブであるがSBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。免疫化後血清中のポジティブ反応の点で、サンプルの101のうち90(89%)がSBA-BRによりポジティブであるが(≧1:8)、サンプルの101のうち53(52%)だけがSBA-Hによりポジティブであるが(≧1:4)。2つのワクチン群について得られるSBAタイター(BR対H)を比較すると、ポジティブ反応の割合に著しい違いがある。複合群中の51の免疫化後サンプルについて、51のうち33(65%)が、SBA-Hにより(≧1:4)およびSBA-BRにより(≧1:8)ポジティブである。SBAタイター間(BR対H)の調和は、≧1:64およびそれより高いSBA-BR限界タイターにおいて良くなる。多糖群中の50の免疫化後サンプルのうち17が(34%)、SBA-Hにより(≧1:4)およびSBA-BRにより(≧1:8)ポジティブである。SBAタイター間(BR対H)の調和は、≧1:512およびそれより高いSBA-BR限界タイターにおいて良くなる。
血清群Y SBAタイター分布
血清群Cの免疫化前血清と異なり、9の血清群Yの免疫化前サンプルだけが、<1:4のSBA-Hタイターおよび<1:8のSBA-BRタイターを有することにより定められるネガティブである。61の免疫化前サンプルのうち52が、SBA-H(<1:4)によりネガティブであるがSBA-BR(≧1:8)によりポジティブである。<1:8のSBA-BRカットオフ(cut off)を使用する偽のポジティブの割合は、85%である。偽のポジティブの割合は、1:256のカットオフタイターで15%未満、および1:512のカットオフタイターで2%未満まで、より高いSBA-BRカットオフタイターで減少する。2つのサンプルは、SBA-H(≧1:4)によりポジティブであるがSBA-BR(<1:8)によりネガティブである。
<1:4のSBA-Hタイターおよび<1:8のSBA-BRタイターを有する免疫化後血清サンプルはない。19サンプルがSBA-Hによりネガティブであるが(<1:4)SBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。血清群Cについて記載されるように、偽のネガティブの結果の割合に違いがある。複合群中、48のうち5のサンプル(9%)が、SBA-Hによりネガティブであるが(<1:4)SBA-BRによりポジティブである。多糖群中、52のうち14のサンプルが、SBA-Hによりネガティブであるが(<1:4)SBA-BRによりポジティブである。
血清群Yについての免疫化後血清中のポジティブ反応について2つのSBAタイター(BR対H)間で良好な調和が存在する。100の全サンプルについて、全ての100の免疫化後サンプルは、≧1:4のSBA-Hタイターを有した。血清群CについてのSBA反応について記載するように、多糖群について得られたSBAタイター(BR対H)と比較して複合群中のSBAタイター(BR対H)間でより良い相関が存在する。複合群中の48の免疫化後サンプルのうち、43(90%)がSBA-Hにより(≧1:4)およびSBA-BRにより(≧1:8)ポジティブである。48サンプルのうち1サンプルだけが、1:32未満のSBA-BRタイターを有し、このサンプルはSBA-Hによりポジティブである(≧1:4)。SBAタイター(BR対H)間の調和は、多糖群中ではそれほど良くない。52のうち38(72%)だけがSBA-Hにより(≧1:4)およびSBA-BRにより(≧1:8)ポジティブである。多糖群についての免疫化後血清中のSBAタイター(BR対H)間の調和は、≧1:128のSBA-BRタイターで良くなる。
血清群W-135 SBAタイター分布
血清群W-135について、100のうち54(54%)が、SBA-Hタイターが<1:4およびSBA-BRタイターが<1:8でありネガティブである。免疫化前サンプルの、81のうち27がSBA-Hによりネガティブであるが(<1:4)SBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。<1:8のSBA-BRカットオフタイターを使用する偽のポジティブ割合は33%である。偽のポジティブの割合は、1:128のカットオフタイターで15%未満、および1:256のカットオフタイターで5%未満まで、より高いSBA-BRカットオフタイターとして減少する。11のサンプルは、SBA-H(≧1:4)によりポジティブであるがSBA-BR(<1:8)によりネガティブである。
3つの免疫化後サンプルは、SBA-Hによりネガティブであり(<1:4)SBA-BRによりネガティブである(<1:8)。39の免疫化後サンプルは、SBA-Hによりネガティブであるが(<1:4)SBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。複合群中、47サンプルのうち11が(23%)、SBA-HによりネガティブであるがSBA-BRによりポジティブである。多糖群中、53のサンプルのうち28が(53%)、SBA-HによりネガティブであるがSBA-BRによりポジティブである。
免疫化後SBA-BRおよびSBA-Hタイター間の調和は血清群Cと比較できるが血清群Yと良好に比較されない。血清群Cおよび血清群Yと同様に、2つのワクチン群を比較する場合に2つのSBAタイター(BR対H)間の調和に著しい違いがある。2つのSBAタイター(BR対H)間の調和は、多糖群と比較して複合体群についてより良好である。複合体群についての免疫化後SBAタイター中、47のうち36(77%)が≧1:4のSBA-Hタイターを有し、全てがSBA-BRによりポジティブである(≧1:8)。複合体群からの全てのサンプルは、≧1:32のワクチン接種後SBA-BRタイターを有した。多糖群についての免疫化後タイターについて、2つのタイター間の相関は良好ではなく、53のうち22(42%)が≧1:4のSBA-Hタイターを有し、53のうち50(94%)が≧1:8のSBA-BRタイターを有した。
SBA-BRおよびSBA-Hタイターの感受性および特異性の比較
2つのセットのタイター間の感受性および特異性の評価の実施において、1:4および1:8のSBA-H防御タイターにSBA-BRタイターを比較する。免疫化前および後の血清をこの分析において使用する。1:4および1:8のSBA-Hベンチマークタイターを使用し、全ての3つの血清群について特異性および感受性を計算し、表7、9、および10に概略する。感受性および特異性の分析を、それぞれの血清群について詳述する。
血清群Cについて、1:4および1:8のSBA-Hタイターに関連して、1:8、1:16:、および1:32のSBA-BR限界タイターについて感受性は80%より大きい。しかしながら、これらのSBA-BRタイターにおける特異性は、60%未満である。1:64のSBA-BRタイターで特異性は60%以上に増加し、1:128のSBA-BRタイターで70%以上に増加する。これらの後者の2つのSBA-BRタイターについて、特異性は悪化し始める。1:64のSBA-BR限界タイターにおいて、感受性は75-78%の間であるが、1:128のSBA-BRタイターにおいて、感受性は62-65%の間である。特異性は、>1:64のSBA-BRタイターで良くなり続け、1:128および1:256についてそれぞれ73%から83%までの範囲である。しかしながら、感受性は43%から20%未満まで落ちる。感受性と特異性の間の最良のバランスを有する血清群CについてのSBA-BRタイターは、1:32から1:128までの間のSBA-BRの範囲内である。血清群Cについての感受性および特異性の結果は、異なるセットの血清サンプルおよび試薬により得られる、Santos GF,et al.,2001.Clin.Diagn.Lab.Immunol.8:616-623により得られる結果と完全に比較できることが分かる(表8)。Santosの結果に関して、感受性と特異性との間の最良のバランスは、1:64から1:128までのSBA-BRタイター対1:4から1:8までのSBA-Hタイターであることが観察される。
血清群Yについて、感受性は、1:8から1:64までの範囲のSBA-BR限界タイターについて最も高いが、予想されたように、より高いSBA-BR限界タイターで落下する。血清群Yについての特異性の結果は、血清群Cについての結果と比較してずっと低く始まり、1:128の限界SBA-BRタイターまで50%以上のレベルに達しない。血清群Yについて感受性および特異性について最良のバランスのSBA-BRタイターは、1:64から1:256までの範囲に落ちる。1:256において、感受性は約55%まで落ちるが、特異性は30%中旬の領域から約82-83%まで増加する。
血清群W135について、感受性についての値は血清群Cについて得られた値により近づくが、全体のパターンは全ての3つの血清群について同じである。感受性は1:8のSBA-BR限界タイターで高く開始し、≧1:128のタイターで落下する。同様に、特異性は1:8のSBA-BRタイターで低く開始し、1:256のタイターで水平になり始める。血清群Yについて観察されるように、血清群W135について感受性と特異性との間で最良のバランスを有するSBA-BRは、1:64から1:256までの範囲に落ちる。
免疫化後SBA-BRタイターに関して、血清群C、Y、およびW135について生まれたてのウサギの補体またはヒト補体を使用するSBAタイターの4倍上昇の割合が、表11に概略される。この分析は、複合体群、TetraMenD、および多糖群、Menomuneにおいて別々に行われれ、分析の両方のセットが表11に含まれる。3つの血清群および2つのワクチン群について誘発される殺菌反応を比較し、4倍上昇のパターンに違いが観察できる。反応パターンを、それぞれの血清群および両方のワクチン群について詳述する。
血清群Cについて、複合体群についてのSBA-BR対SBA-H間の4倍上昇で強い調和が存在する。このワクチン群内で、例えば1:32-1:128の低い免疫化後タイターで、SBA-Hの4倍上昇はSBA-BRにおける4倍上昇に劣る傾向が見られる。しかし、≧1:256の免疫化後SBA-BRタイターにおいて、SBA-Hによる4倍上昇を達成する被験者の数は、SBA-BRによる4倍上昇を達成する被験者の数よりも多いようである。2つの補体供給源を比較する倍数上昇におけるこの違いは小さく、SBA-BRによる4倍上昇を達成する割合を変化させるより高い免疫化前SBA-BRタイターが原因かもしれない。多糖群について、SBA-BR対SBA-H間の4倍上昇の間の調和は、複合体群についてのように密接でない。また、SBA-Hによる4倍上昇は、複合体群について観察されるよりも高い免疫化後SBA-BRタイターにおいてより感受性であるという顕著な傾向はない。
血清群Yについて、SBA-HおよびSBA-BRによる4倍上昇間の調和は、両方のワクチン群について非常に密接である。血清群Cについての免疫化後SBA-BRタイターと比較していずれかのワクチン群について1:32より低い免疫化後SBA-BRタイターはほとんどない。この理由のために、血清群YについてSBA-BRおよびSBA-Hで4倍上昇を達成する被験者の割合は、血清群Cと比較してより高い免疫化後SBA-BRタイターで起こる。血清群Yについて、複合体群について1:128の免疫化後SBA-BRタイターにおいて4倍上昇は50%以上まで増加するが、血清群Cについて限界SBA-BRタイターは複合体群について1:32である。
血清群W135についてのSBA-HおよびSBA-BRによる4倍上昇の間の調和は、他の2つの血清群と比較して密接ではない。血清群Yについて観察されるように、いずれかのワクチン群について1:32より低い免疫化後SBA-BRタイターを有する被験者が少しだけ存在する。SBAタイター(BR対H)の4倍上昇の間の調和は、1:256以上のSBA-BRタイターで起こる。血清群Cについて記載するように、2つのワクチン群の間の4倍上昇(BR対H)の割合に違いがあり、これは血清群Yについてより明確でない。血清群W135SBAタイター(BR対H)における4倍上昇の間の調和は、2つの他の血清群について多糖ワクチンによるSBAタイター(BR対H)中の4倍上昇と比較して多糖群において最も乏しい。
認可された四価髄膜炎菌多糖複合体ワクチン(Menomune)または実験用四価髄膜炎菌多糖複合体ワクチン(TetraMenD)でワクチン接種された2-3歳の被験者からの血清サンプル中のタイターを測定するために、生まれたてのウサギの補体(SBA-BR)を使用する血清殺菌アッセイを、ヒト補体(SBA-H)をしようする対応するSBAと比較する。SBAにおけるこの比較を支持するために、血清群C、Y、およびW135についてのヒト補体供給源を同定し使用する。この比較試験からのSBA結果を、2つの方法により分析する。第一の方法では、両方のワクチン群についての免疫化前および後のタイターを測定することにより得られるSBA-BRおよびSBA-Hを分析のために溜める。第二の方法では、2つのワクチン群からの免疫化前および後のタイターを別々に分析する。この試験の目的の一つは、ネガティブSBA-H血清タイターに最もよく相関するSBA-BR血清タイターについて説明することである。第二の目的は、血清群Cについて防御の相関としてアッセイ中でヒト補体を使用するポジティブタイターと最もよく相関する生まれたてのウサギの補体を使用するタイターを特定すること、および血清群YおよびW135についての防御殺菌タイターを推定することである。他の研究室は、血清群CについてSBA-BRについての防御限界相関を確立しようとする結果を公表している。この試験の結果は、それらの公表された結果と比較されるであろう。最後に、免疫化前および後の血清中で測定されたSBAタイターにおける4倍上昇は、2つの補体供給源について比較される。
病気に対する防御についてのSBAタイターの相関は、血清群Cについてのみ確立されている。血清群Cについての防御のSBA相関は、SBAアッセイにおいてヒト補体を使用して特定される。他の血清群について、血清群Cについての防御のSBA-H相関が(1:4のSBAタイター)他の血清群について適用されるという仮定がなされるであろう。血清群Cについての1:4のSBAタイターに相関するSBA-BRタイターの特定は、血清群間で異なるかもしれない。ネガティブSBA-H血清タイターに最もよく相関するSBA-BRタイターの特定について、免疫化前および後の血清において<1:8のSBA-BRタイターを<1:4のSBA-Hタイターと比較する。一部血清群C SBAタイター(BR対H)を比較するためのWHO/CDC試験からの結果に基づいておよび<1:4のSBA-BRタイターが血清群C疾患への感受性に関連するという英国のUniversity Outbreakにおける最近の発見(Jones,G.R.,et al.,2000.J.Infect.Dis.181:1172-1175)に基づいて、<1:8のSBA-BRタイターを使用する。
この試験で産生されるSBAタイター(BR対H)に基づいて、<1:8のSBA-BRカットオフタイターを使用する血清群Cについての偽のポジティブの割合は30%である。より高いSBA-BRカットオフタイターの使用により、以下のように偽のポジティブの割合が改良される:≧1:16で偽のポジティブの割合は26%まで減少、≧1:32で偽のポジティブの割合は24%まで減少、≧1:64で偽のポジティブの割合は22%まで減少、≧1:128で偽のポジティブの割合は18%まで減少、≧1:256で偽のポジティブの割合は14%まで減少、≧1:512で偽のポジティブの割合は2%まで減少。SBA-BRカットオフタイターの増加は、<1:4のSBA-Hタイターに対応するネガティブタイターの特定の精度の改良には役立たないが、より高いSBA-BRカットオフタイターを使用する場合、ポジティブ反応とネガティブ反応との間の区別における感受性はずっと低くなる。この報告におけるデータにより、SBA-BRの感受性は、1:8、1:16、または1:32のカットオフタイターで最も高くなる(81-84%)ことが示された。1:32より大きいSBA-BRタイターにおいて、感受性は80%以下まで落ちる。しかしながら、1:8、1:16、または1:32のカットオフタイターにおけるアッセイの特異性は、少なくとも51-58%の範囲である。ヒト補体アッセイにおけるネガティブタイターに相関するカットオフタイターの選択において、感受性、特異性および偽のポジティブの割合の間にバランスができる。SBA-BRについてのカットオフタイターが1:32とされる場合、真のポジティブ反応を否定する必要はなくなる。この試験の結果は、≧1:16のSBA-BRタイターはより適切なカットオフタイターかもしれないということを示す。WHO/CDC試験分析(<1:8)およびU.K. University Outbreak分析(<1:4)に基づいて防御とみなされるタイターを超えるのは最低限2倍希釈である。
血清群W135およびYについてのアッセイにおける防御カットオフタイターの同定は、殺菌性抗体防御は血清群C疾患と類似しており殺菌性タイターはヒト補体アッセイにおけるネガティブタイターに対応するという仮定によりなされる。血清群Yについて、<1:8のSBA-BRカットオフタイターを使用する偽のポジティブの割合は、血清群Cについて30%と比較して85%と非常に高い。しかしながら、血清群Cについてと同様に、SBA-BRkっトオフタイターを増加すると偽のポジティブの割合が低下する。1:16のSBA-BRカットオフタイターでは偽のポジティブの割合は84%まで減少し、1:32では偽のポジティブの割合は75%まで減少し、1:64では偽のポジティブの割合は61%まで減少し、1:128では偽のポジティブの割合は38%まで減少し、1:256では偽のポジティブの割合は13%まで減少し、1:512では偽のポジティブの割合は2%まで減少する。血清群Yについての偽のポジティブの割合は血清群Cと比較して非常に高く始まるが、≧1:128のカットオフタイターでは、2つの血清群アッセイについての偽のポジティブの割合は非常に類似する。しかしながら、そのような高いカットオフタイターは、ポジティブ反応についての限界タイターを誇張するかもしれない。感受性および特異性分析に基づいて、感受性は1:8から1:32のSBA-BRカットオフタイターで最大となり、95-98%の範囲となる。しかしながら、血清群Cについての同様に、これらのSBA-BRタイターにおける特異性はこれに対応して低く、11-18%の範囲である。次に高いSBA-BRタイターである1:64では、感受性は95%から88%まで減少するが、特異性は35%まで急激に増加する。血清群Yにおける<1:64のカットオフタイターは、ヒト補体アッセイにおけるネガティブタイターに最もよく対応するようである。
血清群W135について、<1:8のSBA-BRカットオフタイターにおける偽のポジティブの割合は33%であり、血清群Cと類似する。より高いSBA-BRカットオフタイターにおいて血清群CおよびYについて記載したように、偽のポジティブの割合はより低いレベルまで減少する。1:16のSBA-BRカットオフタイターでは偽のポジティブの割合は32%まで減少し、1:32では偽のポジティブの割合は28%まで減少し、1:64では偽のポジティブの割合は26%まで減少し、1:128では偽のポジティブの割合は12%まで減少し、1:256では偽のポジティブの割合は4%まで減少し、1:512では偽のポジティブの割合は0%で最小となる。予想されたように、特異性はこの範囲のSBA-BRタイターで最低となる(46%-52%)。血清群W135についての偽のポジティブの割合は血清群Yと比較してずっと低く始まるが、日と補体アッセイ中でネガティブタイターに最もよく対応するカットオフタイターは<1:64である。
ヒト補体アッセイにおいてネガティブタイターに対応する3つの血清群についてのタイターを同定し、ポジティブ反応を検討するためにこれらのレベルを超えるSBA-BRタイターを限界タイターについて分析する。血清群Cについてポジティブ反応についての限界タイターは≧1:16であり、血清群Yについてポジティブ反応についての限界タイターは≧1:64であり、血清群W-135についてポジティブ反応についての限界タイターは≧1:64である。血清群Cについての≧1:128の限界SBA-BRタイターは、防御タイターが1:4または1:8のSBA-Hタイターに関連して達成され、血清群Cについての1:4のSBA-Hタイターに有効に相関するということを確実にするようである。この限界タイターを血清群CについてSHO/CDCデータセットおよびSantosのデータセットで行われた分析と比較する。これらの試験で記載されたように、≧1:128のタイターは、防御の高い前兆となるが、1:128より低いSBA-BRタイターもまた防御となりうる。WHO/CDCおよびSantosデータセットについて、1:8、1:16、1:32、1:64のSBA-BRタイターは、あいまいなタイターであると称される。血清群Cについてここに示されるデータセットについての1:16より低いSBA-BRタイターはネガティブであると考えられるので、この分析についてのあいまいなタイターは1:16-1:64であり、これは他の2つの試験の一部である。これらの分析の全てにおいて、SBA-BRタイターを、1960年代に採集された天然の防御データに相関するSBA-Hタイター(1:4または1:8)と比較する。
つい最近、一価C複合体についての英国の有効性データを、SBA-BRタイターに直接相関させる試みがなされた(Miller E,et al.,2002,Vaccine 20:S58-S67)。この分析で≧1:8および≧1:128のSBA-BRが、一価C複合体の単回投与でワクチン接種だれる15-17歳の被験者について採取される有効性データと非常に相関することが分かった。しかしながら、Millerらが幼児年齢のグループ(12-30ヶ月)に同じ分析を行った場合、≧1:8のSBA-BRタイター間で有効性と非常に良好な調和を発見したが、≧1:128のSBA-BRタイターでは調和は密接ではない。Millerは、ノルウェイのオスロにおける2002年9月1-6日の13th International Pathogenic Neisseria Conferenceで、ワクチン接種の1ヵ月後、≧1:64を達成する被験者の予想有効性は、この年齢について観察された有効性の95%信頼区間外であるという追加のデータを示した。これらのデータは、1:8から1:64までのSBA-BRタイターが防御の確実性に役立つかもしれないという概念の支持に役立つ。この試験についての分析に基づいて、1:16-1:64のSBA-BRタイターは、血清群Cに対する防御の確実性に役立つかもしれない。
1:64のSBA-BRタイターにおける血清群Yアッセイは、35%の特異性を有するが、カットオフタイターが1:128および1:256まで増加すると、特異性はそれぞれ59%および84%に増加する。≧1:256の限界タイターは、1:4および1:8のヒト補体アッセイにおける防御タイターの良好な確実性を提供する。しかしながら、感受性および特異性は、血清群Yについて1:128の限界タイターにおいてよりよくバランスを取る。血清群Yについて1:64-1:128のSBA-BRタイターの範囲は、SBA-H防御タイターに相関する血清群Cについての1:16-1:64のSBA-BRタイターの対応範囲と比較されるタイターのあいまいな範囲を示す。
1:64のSBA-BRタイターにおける血清群W-135アッセイは、52%の特異性を有するが、タイターが1:128および1:256まで増加すると、特異性はそれぞれ64%および77%に増加する。血清群Yについてと同様に、≧1:256の限界タイターは、1:4および1:8のヒト補体アッセイにおける防御タイターの良好な確実性を提供する。血清群Yと同様に、感受性および特異性は、血清群W135について1:128の限界タイターにおいてよりよくバランスを取る。血清群W135について1:64-1:128のSBA-BRタイターの範囲は、この試験におけるSBA-H防御タイターに相関する血清群Cについての1:16-1:64のSBA-BRタイターの対応範囲と比較されるあいまいな範囲を示す。
殺菌性タイターにおける4倍上昇は、それぞれの血清群について計算され、両方のアッセイを使用してワクチン群により別々に分離される。通常、SBAタイター(BRおよびH)におけるより高い4倍上昇が、3つの全ての血清群についてより高い免疫化後SBA-BRタイターで検出される。血清群によるおよびワクチン群によるSBAタイター(BR対H)における4倍上昇に違いがある。血清群Cについて、ヒト補体によるアッセイにおける4倍上昇は、低い免疫化後SBA-BRタイターでは、生まれたてのウサギの補体によるアッセイにおけるタイターと比較してより低かった。しかしながら、より高い免疫化後SBA-BRタイターでは、タイターにおける4倍上昇は、ヒト補体によるアッセイにおいてより高かった。このパターンは、低い免疫化後SBA-BRタイターでは、アッセイは生まれたてのウサギの補体を使用するよりもヒト補体を使用する場合に感受性でないが、高い免疫化後SBA-BRタイターでは、反対が正しい、すなわち、ヒト補体を使用するアッセイがより感受性となるということを示すようである。このパターンは、多糖ワクチン群からのサンプルを分析する場合には明らかでない。これらのサンプルにおいて、タイターにおける4倍上昇はアッセイでヒト補体を使用する場合により低くなるようであった。この観察についてサンプルの種類間の説明は明らかでないが、ヒト補体により行われるアッセイは、殺菌活性の低いタイターを含有する血清サンプルによる感受性が十分でないということを示す。
血清群Yについて、2つの補体供給源の比較においてSBAタイターにおける4倍上昇に良好な調和がある。SBAタイター(BR対H)における4倍上昇は、多糖群と比較して複合体群についてわずかに高いが、その違いは血清群Cについて記載されるほど大きくない。
血清群W135について、ワクチン群についてのアッセイにおいてヒト補体または生まれたてのウサギの補体を使用するSBAタイターにおける4倍上昇の間の調和は、他の2つの血清群アッセイによる結果と比較してあまり良好でない。SBA-BRタイターによる4倍上昇は両方のワクチン群について非常に良好であるが、SBA-Hによる4倍上昇の割合は他の2つの血清群と比較して低い。多糖群におけるSBA-Hによる4倍上昇は非常に低く、他の2つの血清群についてのSBA-Hにおける4倍上昇において比較的低い。
BR補体を使用するSBAタイターにおける4倍上昇は、髄膜炎菌多糖ワクチンの登録のベンチマークとなっている。対細菌、英国で一価C複合体における登録後調査データからの臨床適用にSBA-BRタイターにおける4倍上昇を関連させる試みが行われた(Borrow R,et al.,2001,Infect.Immun.69:1568-1573)。この分析に基づいて、12-30ヶ月の範囲の幼児における一価C複合体の有効性が、最初の投与の16ヶ月以内に88%(69-95%)で評価された。この年齢群について、一価C複合体ワクチンの単回投与後SBA-BRタイターにおける4倍上昇を達成する被験者の割合は89-100%である。
ここに提供されるSBA-BRは、血清群Cについてのアッセイにおいて補体の供給源としてヒト補体を使用して得られる値と類似する殺菌性タイター値を提供する。したがって、これらのSBA-BRタイターは、血清群C髄膜炎菌疾患に対する防御免疫についての代理を確立する本来の試験と関連し、防御についてここに提供される臨床結果の推定を支持し、血清群CについてのSBA-BRタイターは他の研究室から報告されるものと比較できる。血清群Cモデルについての類推により、血清群Yおよび血清群W-135莢膜多糖に対する血清群特異的反応の特定においてヒト補体を使用するSBAの実行は、血清群YおよびW-135に対する殺菌性タイターの特定のためのSBA-BRの関連性を支持する。