JP2014193807A - 水素発生方法及びその方法を実施する装置並びにその装置を用いた自動車用燃料発電装置 - Google Patents
水素発生方法及びその方法を実施する装置並びにその装置を用いた自動車用燃料発電装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】自動車に搭載した自動車用燃料電池に水素発生装置を接続した自動車用燃料発電装置であり、該水素発生装置には、反応器内に一対の電極を設け、該電極間にグロー放電又はアーク放電を発生させない範囲で、外部から供給して両極間に存在させた水素含有化合物から水素を分離可能とする可及的に高い電圧で立ち上がり時間の非常に短いパルスを断続的に印加し、形成された電場で水素含有化合物から水素を発生させる水素発生方法を用いた水素発生装置を使用する。
【選択図】 図6
Description
(1)水を分解して得る方法。
(2)メタノールの分解や、石炭粉を精製して得る方法。
(3)メタン水蒸気改質法。
(4)メタンガスあるいはエチレンガスを含めた炭化水素ガス源から水素を分離する方法。
上記(2)酸化チタンと白金の混合物(Pt/TiO2)の光触媒を使用して太陽エネルギーを分解エネルギーに使用してメタノールから水素を得る下記「特許文献1」の方法が提案されている。
上記(3)メタン水蒸気改質法では、反応炉内で用いる触媒を高温にする必要がある。そのための熱エネルギーを化石燃料等から得なければならないのでその分エネルギー効率が低下する。これに加えて副産物として地球環境悪化の一因となる2酸化炭素が発生するという難点がある。
上記(4)炭化水素ガス源から水素を分離する方法では電極間に放電を起こさせ、その放電でメタン等からエチレンを精製するものであるが、このときに副産物として水素の生成や、原料に含まれている硫黄成分等を分離することが可能となる。しかし、この方法では、高電圧による電磁波ノイズの発生、絶縁破壊の危険性や、分離した水素が再結合して高次の炭化水素を形成する等の難点がある。
液化は、低温下で加圧して行われるため大きなエネルギーが消費される。このためエネルギー効率を高めることは困難である。
なお、水素含有化合物から水素を分離して発生した炭素類をフィルターを目詰まりさせないように外壁に集中的に集積するように工夫して混合ガスから水素を得ることについての提案(下記「特許文献2」)がある。
その際、C−H結合解離エネルギーはO−H結合解離エネルギー等より小さいので、水分を併用する化学反応に比し少ない電力消費であっても水素含有化合物の含まれる水素の解離が可能となる。
また、常圧に近い気圧の下で水素を発生させることができるので管理が容易となり、一定の圧力を得るための付帯的な装置が不要となる。
さらに、グロー放電やアーク放電がないので電極の損傷も殆ど起こらず電極の交換が不要となる利点がある。
このため、水素の貯蔵装置や燃料が高圧で収納された自動車搭載用の燃料タンクが不要となり、輸送のインフラストラクチャーを構築する必要がなくなり、経済的に極めて有利であると同時に水素の漏えい等による事故等の危険性も極めて少なくなる。さらに、水素の貯蔵に必要なエネルギーが不要となる。
前記水素化合物から分離された水素は炭化水素類などが混在した混合気体となっているので水素収集手段で水素のみを分離する必要がある。このため前記水素収集手段では、水素を含んだ混合ガスを水素フィルター4でフィルター管の内部5に水素を分離して集め、この水素をフィルター管8に設けた排出口6から外部に排出して水素のみが収集できるようにする。
前記原料供給手段は、原料の水素含有化合物を貯蔵したタンクと前記吸入口1とを配管接続して水素含有化合物を反応器2内へ供給可能とする。
配管途中には流量を最適に制御するバルブとそのバルブの開閉調節を行う電子的制御回路と備えることによって適量に原料を供給することができる。
前記フィルター4は、図3に示すように、分解によって生成された炭素類は目の粗いフィルター4とし、例えば、セラミック系等の円筒状容器の表面に鉄、ニッケル又はニオブ等を鍍金したフィルター4が使用でき、このフィルター4では、分子量の小さい水素のみを通させて、分子量の大きな他のガスは通過できないようにすることができる。
またこれとは別のフィルター4としては、各種使用目的に合う材料あるいは構造にすることも可能である。その場合、例えば、パラヂウムと銀の合金の金属チューブを300°C程度に熱すると水素原子を通過させる特性を有することから、このような合金製のフィルター4を利用することも可能である。
そして、前記フィルター管の内部5における水素ガスの圧力は、1気圧程度以上にしておき、供給先の燃料電池の構造や使用条件等によって最適な圧力に変更して使用することもできる。その際、供給する原料ガス側の圧力を制御することで排出口6におけるガスの圧力の変更が可能となる。
用いる原料の水素含有化合物は、気体した炭化水素又は炭化水素成分を含む化合物、固体を粉体化してさらにガス化した炭化水素又は炭化水素成分を含む化合物、又は液体を気体化した炭化水素又は炭化水素成分を含む化合物のいずれでも使用が可能である。
例えば、炭化水素を含む原料ガスとしては、LPG(液化天然ガス)、プロパンガスやエタン、メタン、メチル、エチル、ブチルアルコール等を原料として使用し、これらの物質を気化して上記反応器2内へ供給して使用することができる。
その水素の分離は電極にパルス電圧を印加して行われるが、得られた水素を含んだ炭素及び未分解のガスは混合状態にあり、そのうち分離された炭素については図2に示す水素濾過用フィルター4に捕集して保存しておき、後日定期的に前記フィルター4を交換して取り出せるようにする。
反応器2を閉じ込めている筐体内空間3は、燃料ガスや発生した水素が漏れないように、吸入口1及び排出口6以外は密封する。
また、前記反応器2を通過する際に未分解であったガスは可能な限り分解して残余燃料ガスを最小限の量にすると良い。このために水素発生装置9内に反応器2を原料ガスの供給量に応じて複数設置して分解能力を増強することができる。
使用する電極は、水素発生装置9の反応器2内に、図1に示す網目状電極の形態を用いることが可能である。
水素含有化合物のガスが前記2層の電極又は3層の電極10、11、12を通過する際に電極にパルス電圧を印加すると、電場が形成され、該電極10、11、12間の炭化水素を含むガスから水素が解離される。
その水素を含む混合ガスを水素発生装置9内に排出できるようにして、該水素発生装置9内から前記水素分離フィルターへと移送し水素を分離する。
電極が2層の場合と3層の場合のいずれの場合でも、電極間に吸入口から炭化水素が含まれたガスを供給する。そしてそのガスが電極間を通過する際にパルス電圧を印加して、発生した電場で水素含有化合物を分解して水素を発生させる。
通電性の素材で作成した網目状電極では前記電極10、11、12には気体が自由に通過可能となる網目状の孔が形成されたものを用いると良い。
この網目状電極は平面板を打ち抜くか、金型で網を平面的に一体形成したものが好ましいが、線を編んだ網では表面に凹凸が生じて放電し易くなるので好ましくない
両極は直流又は交流電源に接続されたパルス電圧発生器を介してそれぞれ接続し、前記両外部電極11、12と内部電極10との間に、立ち上がり時間の短いパルス電圧を印加可能とする。
この3層の電極では、内部電極10の両側に電場が形成されるので、2層の電極よりは効率が良い。
前記外部電極11、12は電極外への電気的影響が及ばないように接地しておくことが望ましい。
印加する電圧は、グロー放電やアーク放電が発生しない範囲にパルス電圧条件を調節し、且つその範囲で可及的に高い電圧で立ち上がり時間の短いパルスを印加する。
なぜなら、電極10、11、12間における電場の値を、グロー放電やアーク放電を起こさせないで如何に強くするかが重要であるからである。そのために電極10、11、12の構造や電極間隔の設定に種々の方式が考えられるので、使用目的および使用状況に応じた最適の構造や電極の間隔を選択する。
本発明ではパルスの立ち上がり時間を可能な限り短くすることにより、電極間に存在する荷電粒子、主に電子を一層素早く、且つ強く加速させることが可能となり、その結果水素の分離効率を高めることが可能となる。
これは、立ち上がりと立下りの急峻な電圧変化部が分解に寄与していると想定できるからである。
図5の実験におけるパルス電圧値は ピークが2kVとなるように、立ち上がり時間は0.5μsec、矩形のパルス幅は7μsecとした。
この図7に示すパルスの例では、最初の立ち上がり直後の立下り及び直後の立ち下がりが、約0.5μsec部分で水素の分離に寄与し、後半の7μsec付近の急峻な立下り部分でも水素の分離に寄与していると考えられる。
したがって水素の分離に寄与する有効範囲は立ち上がりと立下り部分の約1μsec内にある。
しかし矩形パルスの立ち上がりと最後の7μsecの立下りの間の電圧がほぼ一定の時間帯は、炭化水素を分解しておらず水素の分離に寄与しているとは想定できない。
ここでは矩形パルスの急峻な立ち上がり及び立ち下りの部分のみを使用して分解しているので電力損としてはこの部分の時間積分値になると考えられる。
パルス電圧発生器の電力源は、車載を考えるので車載DCバッテリーを電力源とするが、この方式を地上に固定して使用することも可能であり、その場合は商業用電力源の使用は可能であるので、使用状況により決定されれば良い。
なお、図6の最外側の四角の枠線は自動車の車体を模式的に示し、前記水素発生装置と自動車用燃料電池とが自動車に一緒に搭載されていることを表している。
上記プラズマを利用した水素発生装置では、炭化水素やアルコールなどを含む水素含有化合物を気化して、前記水素発生装置に送って、該化合物から水素を含む混合体を得、この混合気体を水素フィルターを通して水素のみを分離する。
この水素発生装置を直接自動車用燃料電池に自動車の車両上で接続することで、水素発生装置で得られた水素が自動車用燃料電池へ直接供給可能となる。
さらに、水素の貯蔵に必要なエネルギーを皆無とすることが可能となる結果、全体のエネルギーコストを減少させ効率の優れたエネルギー利用が可能となる。
なお、従来天然ガスやプロパンガスを燃料とする車が普及していることから、そのような自動車では、前記水素発生装置を燃料電池と一緒に搭載することにより、搭載したガスから水素を取り出して、その水素を燃料電池へ直接供給することも可能となる。
また、従来の水素の発生方法である固体触媒を使用する方式では、炭化水素を分解する際のエネルギー効率の悪さの問題に加えて、車載するためには一旦発生した水素を液化する必要があった。
水素の液化には、水素の沸点は−252.87°Cであることから、超低温に冷却するために莫大なエネルギーを必要とする。さらに、水素供給スタンドの設置などインフラストラクチャーの構築を新たに行う必要がある等、将来の水素燃料社会を想定すると極めて経済的またエネルギー的に効率が悪く実用性が低いと考えられる。
しかも、プロパン、メタンあるいはブタンガス等を液化する際に要するエネルギーは水素を液化するために要するエネルギーに比して極めて少なく、実用化するための有利な条件を備えている。
すなわち、20°Cでの圧縮圧力はブタン0.21MPa (約2.1気圧)、プロパン0.86MPa(約8.5気圧)で容易に液化でき、体積は気化ガス時の250分の1になり、可搬性に優れている。また耐圧の低いタンクで貯蔵・輸送が可能で点でも有利である。
本発明は水素含有化合物のC−H結合を切って水素を取り出し、水素を自動車の燃料電池等へ直接送れるようにしたものであるが、水素含有化合物におけるC−Hの結合のエネルギーは、O−Hの結合エネルギーより非常に小さいので、結合を切ることは容易であり、このため小さいエネルギーで効率良く水素を得ることが可能となる。
これに対して、本発明はグロー放電又はアーク放電はさせないので、印加電圧の多くの部分は電場の発生に寄与し、熱エネルギーへの転換が極めて少なく、エネルギーが直接分解に寄与する結果、電場で水素の分解を効率良く行って水素を発生させるこが可能となり、これにより、発生した水素を、液化させることなく気体のまま直接水素燃料電池へ供給して電気的エネルギーを取り出すことでエネルギー効率を高めることが可能となる。
図4は、典型的な印加される電圧と放電によって発生する電流との関係を説明するために示したものである。
本発明では電極間に存在する、液体や固体を事前に気化した気体化合物を対象とする。
本発明では、反応器内に設けられた電極間に、図4に示した符号Eから符号Kのグロー放電とアーク放電の領域は除いた符号Cから符号D又は最大でもEまでの領域を中心と下領域で、パルス電圧を断続的に印加して、可及的に高い電場を形成させる。
そして、その際に、両極間に存在する水素含有化合物から水素を分離する。
パルス幅の時間積分はエネルギー損に対応することから、パルス幅も短い(狭い)方がエネルギー効率を高めるためには好ましい。このため本発明ではエネルギー効率を高めるために、立ち上がり時間が1μsec以下と非常に短いパルスを断続的に印加し、パルス電流の生じる時間帯を短くする。
そして、立ち上がり時間が非常に短いパルスで形成された電場で効率良く水素含有化合物から水素を発生させることが可能となる。
大気圧下では体積比でメタンガスは天然ガスの87%を占めており、その沸点は−161.6°Cである。
一方、水素の沸点は−252.87°Cで超低温であるから、水素を液化するためには極めて高い圧力を加えて液化が行われる。
プロパンの化学構造式は下記化2の式となる。
ここで重要なのは原子間の結合解離エネルギーである。炭素原子間の結合解離エネルギーは次の化3に示す。
換言すると水を分解して水素を発生させるためには、炭化水素を分解して水素を発生させる方法に比較して、非常に大きなエネルギーを必要とすることになる。
一方、化7の式から明らかなように、水素ガスの燃焼によって外部へ放出されるエネルギーは、生成される水が液体であることから効率的に利用することができる。即ち、水を分解して水素を得るために要するエネルギーに比較して、炭化水素の分解で水素を得るに必要なエネルギーの方が小さいことを示している。
結果として、分解に必要な入力エネルギーと水素の燃焼によって発生する出力エネルギーの差は炭化水素を使用する方が小さくなる。
即ち、水を原料として水素を生成・利用することはエネルギー効率が悪いということとなる。
さらに、ブタン、ヘキサン等の高級炭化水素やアルコール類についても使用が可能である。これらのC-Hの結合解離エネルギーは上記化4に示した3.5eVと低い。
上記図5の実験において、パルス電圧はピークが2kVとなり、立ち上がり時間は0.5μsecとした数値は、水のOH−H結合を分離する5.2eVまでには至らないが、炭化水素類など水素含有化合物に含まれるC−H結合は切ることができる3.5eVのエネルギーが発生できる値である。しかもこの値ではグロー放電又はアーク放電は起こらない条件の範囲内にある。
このように、本発明では立ち上がり時間の短いパルスの電圧の印加で水素含有化合物から最小限のエネルギーで効率良く水素を発生させることが可能となるのである。
2 反応器
3 筐体内空間
4 フィルター
5 フィルター管の内部
6 排出口
7 フィルター材
8 フィルター管
9 水素発生装置
10 内電極
11 外電極
12 外電極
Claims (6)
- 反応器内に一対の電極を設け、該電極間にグロー放電又はアーク放電を発生させない範囲で、外部から供給して両極間に存在させた水素含有化合物から水素を分離可能とする可及的に高い電圧で立ち上がり時間の非常に短いパルスを断続的に印加し、形成された電場で水素含有化合物から水素を発生させることを特徴とする水素発生方法。
- 請求項1に記載の水素発生方法において、パルスの立ち上がり時間を1μsec以下としたことを特徴とする水素発生方法。
- 請求項1又は2に記載の水素発生方法を実施するための水素発生装置であって、
水素含有化合物が通過可能とする流路中に、近接させた平行な網状電極を2層に設け、両極を同一電位に接続し、前記流路に水素含有化合物を供給可能とする原料供給手段と、発生した水素を収集する水素収集手段とを備えたことを特徴とする水素発生装置。 - 請求項1又は2に記載の水素発生方法を実施するための水素発生装置であって、
水素含有化合物が通過可能とする流路中に、近接させた平行な網状電極を3層に設け、外側の接続された電極と中間の電極とを同一電位に接続し、前記流路に水素含有化合物を供給可能とする原料供給手段と、発生した水素を収集する水素収集手段とを備えたことを特徴とする水素発生装置。 - 請求項3から4のうちいずれかに記載の水素発生装置において、
水素含有化合物が炭化水素類又はアルコール類であることを特徴とする水素発生装置。 - 請求項3から5のうちいずれかに記載の水素発生装置を用いた自動車用燃料発電装置であって、
プラズマを利用した前記水素発生装置と燃料の水素含有化合物とを自動車に搭載すると共に該自動車に搭載した自動車用燃料電池に前記水素発生装置を接続し、前記水素発生装置で発生させた水素を前記自動車用燃料電池に供給して発電すること特徴とする自動車用燃料発電装置。
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