JP2014193801A - 水素製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気改質プロセスを利用して極めて合理的な水素製造を実現する。
【解決手段】水蒸気改質プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法において、炭素を含む物質と湿り水蒸気との反応で炭酸カリウムを触媒として機能させ、さらに、この反応で生成する二酸化炭素に対して二酸化炭素吸収材として機能させるとともに、炭酸カリウム水溶液が二酸化炭素を吸収して生成される炭酸水素カリウム水溶液から、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、得られた炭酸カリウム水溶液に対して反応で消費する量の水を加えてその炭酸カリウム水溶液を加熱し、乾き度を所定の範囲内に制御して炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入し、さらに蒸気化した炭素を含む物質を反応器に投入することで、再び炭酸カリウムを触媒及び二酸化炭素吸収剤として機能させて炭酸カリウムを循環利用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、水蒸気改質プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法に関し、反応器のサイズを小さくして装置を小型化することができ、かつ運転稼働率を大幅に向上させることができる水素製造方法に関する。
近年、クリーンな水素エネルギーへの期待が高まっている。水素は、従来の化石資源(石油、天然ガス、石炭など)に限らず、様々な原料から製造できる。最近では、植物から作られるバイオマス由来のエタノールから水素を製造する技術が注目されている。このエタノールの原料となるバイオマスは、その産地が世界中に分布しており、また、水素製造時に発生する二酸化炭素がゼロカウント(カーボンフリー)であり、地球温暖化対策に役立つとされる。
このエタノールからの水素製造技術の例が下記特許文献1に記載されている。特許文献1では、改質用触媒と、リチウム複合酸化物を含む二酸化炭素吸収材とが充填された反応器に、エタノール水溶液を供給してエタノールの水蒸気改質により水素を製造する方法が提案されている。この方法では、反応器内において水蒸気改質反応と、二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収反応とがバランスよく促進し、水素の生成収率が向上し、CO濃度が低減するとされている。
特開2007−76954号公報
しかし、上記特許文献1に記載された水素製造方法は、下記課題を有している。
まず、改質用触媒からなる触媒充填層とともに、二酸化炭素吸収材(例えばリチウムシリケート)を内蔵しなければならず、反応器のサイズが大きくなり、装置が大型化してしまうという問題がある。
また、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材を再生する際には、内蔵している反応器を装置から外して分解する必要があるため、運転を停止しなければならず、稼働率が低下するという問題がある。2台の反応器を並列に設置することで運転を継続することができるものの、その場合、さらに装置が大型化してしまうという問題が生じる。
なお、水素を貯蔵する方法には、高圧タンクを用いて気体で貯める方法、液体で貯める方法、水素吸蔵媒体と呼ばれる金属に吸い込ませて貯める方法などが知られるが、何れも水素吸蔵物割合(H2質量(kg)/水素吸蔵物質量(kg))は、米国のDOE(アメリカ合衆国エネルギー省)や日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の目標値である5.5wt%に達していない。したがって、水素吸蔵割合を高めて、水素の貯蔵や輸送をより効率的に行いたいという要望が高まっている。
本発明は、上記実情に鑑み提案され、水蒸気改質プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法に関し、反応器のサイズを小さくして装置を小型化することができ、かつ運転稼働率を大幅に向上させることができる水素製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、水素を製造する水素製造方法において、蒸気化した炭素を含む物質と、乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した飽和液及び飽和蒸気からなる湿り水蒸気と、炭酸カリウムとを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記水素製造方法で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器に投入し、前記反応器での反応に比べて減圧した条件下で二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、かつ、生成した二酸化炭素ガスを除いて前記第2反応器での反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を得ることを特徴とする。
また、本発明は、上記水素製造方法で得られた炭酸カリウム水溶液に、反応で消費する量の水を加え、その上で加熱して乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を前記反応器に投入するとともに、蒸気化した炭素を含む物質を前記反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成し、炭酸カリウムの循環使用を可能としたことを特徴とする。
本発明において、炭素を含む物質は、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、芳香族、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂、ワックス及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であることが好ましい。
なお、本発明に係る水素製造方法において用いる炭素を含む物質を、水と混合された炭素混合水とすることで、この炭素混合水を水素製造のための水素貯蔵物としてみなして貯蔵することができる。すなわち、炭素混合水を加熱し、蒸気化した炭素を含む物質を含んだ飽和液をつくりだし、並行して炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度を所定の範囲内に制御して炭酸カリウムを含んだ湿り水蒸気をつくりだす。これらを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させることで、水素ガスを製造することができる。この水素貯蔵物とみなした炭素混合水を輸送手段により輸送することも容易である。
本発明は、蒸気化した炭素を含む物質と、乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した飽和液及び飽和蒸気からなる湿り水蒸気と、炭酸カリウムとを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する水蒸気改質プロセスと二酸化炭素吸収プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法である。本発明では、炭酸カリウムに、触媒と二酸化炭素吸収材の両機能を担わせることにより、反応器へ触媒充填層及び二酸化炭素吸収材を内蔵させることを不要とした。したがって、反応器のサイズを小型化することができるとともに、二酸化炭素吸収材を装置から取り出す等の作業を不要とし、反応器の半永久的な使用を可能として運転稼働率を大幅に向上させることができる。
また、S/Cが1〜4となる条件下で反応させるため、炭酸カリウムに炭素が析出することを防いで、炭酸カリウムの触媒能が失われることがない。炭酸カリウムは、乾き度が0.01〜0.2の値となるように制御された湿り水蒸気の微小な水粒子に溶けているから、流動触媒であり、反応物との接触面積が大きいので、比較的低い温度で効率的に反応を進ませることができる。なお、本発明では反応器への熱、圧力の入出力を制御することにより、反応速度、水素純度等を調整することができる。反応器に入れる炭酸カリウムの流量を調整でき、水粒子サイズも噴霧ノズル等によって調整することができる。
本発明では、製造した水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器に投入し、反応器での反応に比べて減圧した条件下で二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、かつ、生成した二酸化炭素ガスを除いて第2反応器での反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を得る構成である。さらに、得られた炭酸カリウム水溶液に、反応で消費する量の水を加え、その上で加熱して乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入するとともに、蒸気化した炭素を含む物質を反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する構成である。したがって、連続した運転の中で、炭酸カリウムを循環して使用することを可能とし、極めて合理的な水素製造を進めることができる。
本発明では、炭素を含む物質が炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、芳香族、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂、ワックス及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であればよく、炭素を含む物質である限り、原料に制限がない。したがって、例えば、炭素を含む物質として、廃糖、廃食用油、廃油、発酵液等を使用すれば、製造単価の安価な水素を製造することができる。しかも、バイオマス由来であるから生成する二酸化炭素はカーボンフリーとなる。また、原料の糖、発酵液等には水が含まれるため、この水を再生可能エネルギーであるとみなせば、すべてが再生エネルギーである原料から水素を製造することが実現される。
なお、本発明に係る水素製造方法において用いる炭素を含む物質を、水と混合された炭素混合水とすることで、この炭素混合水を水素製造のための水素貯蔵物としてみなして貯蔵することができ、水素の貯蔵をより効率的に行うことができ、水素貯蔵物の輸送も容易となる。この炭素混合水は水素吸蔵物割合が10%以上と従来に比べ大幅に高い。
本発明に係る水素製造方法の工程の概略を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:一般例)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l=0)の例として都市ガス(13A)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例としてメタノールを採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l=2)の例としてリノール酸を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として糖蜜(ショ糖)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質に木炭(炭素)及び糖蜜(ショ糖)の混合体を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として糖蜜(ショ糖)を採用した他の水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質に木炭(炭素)及び糖蜜(ショ糖)の混合体を採用した他の水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、コークス(C)を用いて水素を製造する実験に用いた実験装置の模式図である。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の経過時間と反応器内の測定温度との関係を示したグラフである。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の反応器内の測定温度と測定圧力の関係を示したグラフである。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の経過時間と反応器内の測定圧力との関係を示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の温度との関係を図11に追加して示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の圧力との関係を図13に追加して示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の水蒸気及び生成ガスのモル数との関係を示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)から0分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始0分から15分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始15分から25分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の生成ガスの種別及び、そのモル数との関係を示したグラフである。 本発明に係る他の水素製造方法の工程の概略を示すフロー図である。
以下、本発明に係る水素製造方法についての実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明は特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
本発明に係る水素製造方法の概略は、水蒸気改質プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法である。図1に示すように、まず、炭素を含む物質を加熱し、蒸気化する。並行して、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度を所定の範囲内の値に制御し、飽和蒸気及び飽和液からなる炭酸カリウムを含んだ湿り水蒸気をつくりだす。さらに、蒸気化した炭素を含む物質、炭酸カリウムを含んだ湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを所定値とした条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する工程を有している。本発明に係る水素製造にかかる反応の一般式は、下記[化1]に記載されるとおりである。以下、化学式において、(G)は蒸気(気体)状態を示し、(L)は液体状態を示す。また、化学式に登場する変数であるn、mは、0より大きい実数であり、同じ変数のlは、0と0より大きい実数である。
また、本発明は、上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器に投入し、上記反応器での反応に比べて減圧した条件下で二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する工程を有している(炭酸カリウムの再生)。この工程では、生成した二酸化炭素ガスを除くことにより、反応を生成側へ促進させることで、効率的に炭酸カリウム水溶液を得ることができる。続いて、消費される量の水を、得られた炭酸カリウム水溶液に補充し、その炭酸カリウム水溶液を加熱して、湿り水蒸気の乾き度を所定の範囲内の値に制御した上で反応器に投入するとともに、蒸気化した炭素を含む物質を反応器に投入することで、炭酸カリウムを循環使用する工程を有している。この工程に続き、乾き度を制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び蒸気化した炭素を含む物質を反応器内で、S/Cを所定値とした条件下で反応させることで、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液をさらに生成することができる。本発明において、炭酸カリウムの再生に係る反応の一般式は、下記[化2]に記載されるとおりである。
本発明では、水蒸気改質プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法において、炭酸カリウムに、触媒と二酸化炭素吸収材の両機能を担わせている。すなわち、炭素を含む物質と水蒸気との反応に対し、反応器内で炭酸カリウムが流動触媒として働き、この反応で生成する二酸化炭素に対して炭酸カリウムが、二酸化炭素吸収材として働くのである。したがって、従来の触媒充填層と二酸化炭素吸収材とを不要とし、反応器のサイズを小さくして装置を小型化することができる。もちろん、反応器の壁等に反応触媒となるニッケル、銅、クロム、ジルコニウム、亜鉛等を含ませること等も不要である。二酸化炭素吸収材を取り出す必要がなくなるので、運転稼働率を大幅に向上させることができる。理論的には反応器を半永久的に稼働すること(半永久的な水素ガスの製造)が可能となる。
さらに、本発明では、炭酸カリウムが二酸化炭素吸収材として働くことで生成される炭酸水素カリウムを水溶液とすることで、炭酸カリウムを再生可能としている。すなわち、炭酸水素カリウム水溶液を所定環境下で反応させて、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、炭酸カリウム水溶液を得るのである。得られた炭酸カリウム水溶液は、反応で消費される量の水を補充し、その乾き度を所定の範囲内に制御した上で反応器に投入し、さらに蒸気化した炭素を含む物質を反応器に投入することで触媒及び二酸化炭素吸収材として循環使用することができる。したがって、極めて合理的な水素製造を実現することができる。
ここで、本発明では、炭素を含む物質と湿り水蒸気と炭酸カリウムとをS/Cが1〜4の範囲となる条件下で反応させる。S/Cは、[水蒸気:Steam]/[原料中の炭素:Carbon]のモル比で表される水蒸気と炭素との間の比率をいう。以下、本発明において、S/Cが1〜4となる条件下で反応させることとした理由を説明する。
0をnモルの炭素(C)と反応するのに必要な理論水蒸気モル数と定義すると、上記[化1]に示すように、蒸気化された炭素を含む物質に含まれる炭素のモル数はnであり、必要理論水蒸気のモル数は(2n−l)であるから、S0/C=(2n−l)/nとなる。そうすると、炭化水素を表すCnmは、S0/C=2、アルコール類等を表すCnm1は、S0/C=(2n−1)/n=2−1/n<2、カルボン酸等を表すCnm2は、S0/C=(2n−2)/n=2−2/n<2、糖類等を表すCnmlは、l≦nであるので、1≦S0/C≦2となる。このため、本発明では理論的にS/Cを、1≦S0/C≦2で表すことができる。
そして、Sをnモルの炭素(C)と反応するのに必要な実際の水蒸気のモル数とし、過剰率α=S/S0と定義すると、現状の反応器でのS/Cは触媒金属へのコーキング(炭素析出)を防止するためにα=2〜3であるが、本発明において触媒の役割を担うのが水に溶けている炭酸カリウムであるので、コーキングが起こり得ず、過剰水蒸気量は必要がなく、α=1.2〜1.5が現実的である。ただし、余裕を持たせるためにα=2を最大値として、S/C=α(S0/C)=2(2)=4(例えば、炭化水素を原料とする場合)とし、最小値(α=1)として、S/C=α(S0/C)=1(1)=1(例えば、糖類を原料とする場合)に設定している。
なお、プロパンの水蒸気改質反応(S0/C=2、α=3、S/C=6)の反応は、下記[化3]に示すとおりである。
また、本発明では、湿り水蒸気の乾き度が、反応器への投入時(反応器入口)において、0.01〜0.2の値の範囲に制御される。反応器で生成される炭酸水素カリウムをすべて水溶液にするためである。すなわち、炭酸水素カリウムの水への溶解度(32.2g/100ml(20℃))、反応器入口の温度と圧力等を考慮して、乾き度を求めると0.01〜0.2の範囲が適正である。0.01〜0.2の範囲であれば、反応器内で発生した炭酸水素カリウムは、周囲に十分な湿り水蒸気が確保されているため、その水滴中に速やかに溶解して水溶液の状態になる。乾き度が0.01を下回ると、水の液滴の割合が99%を超えるため、反応器に供給する水量が多くなり、加熱するためのエネルギーも多くなり、製造コストが高くついてしまう。一方、乾き度が0.2を上回ると、液体の水(水滴)が不足し、水への溶解ができない粉状の炭酸水素カリウムが反応器内に存在することになるので、反応器の半永久的な使用の観点から好ましくない。水の状態は、湿り水蒸気であるので超臨界状態ではなく、臨界温度未満の温度であり、臨界圧力未満の圧力の状態にある。
なお、乾き度の定義は、下記[化4]に示すとおりである。
以下、本発明に係る水素製造方法に関し、一般例として、Cnmlからなる炭素を含む物質を原料としたときの水素製造の構成について、図2を参照しつつ説明する。なお、化学式に登場する変数であるn、mは、0より大きい実数であり、同じ変数のlは、0と0より大きい実数である。
図2に示すように、まず、原料となる炭素を含む物質(Cnml)を予熱器、蒸発器等を通じて加熱し、蒸気化する。さらに、必要なら脱硫器を使って脱硫する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内の値に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。そして、蒸気化した炭素を含む物質、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを1〜4(S0/C=1〜2、α=1〜2)とする条件下で反応させ、下記[化5]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
本実施形態では、現実的な反応を考慮し、乾き度を0.1に制御した湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを例えば2とした条件下で、下記[化6]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成するものとする。
ここで、上記[化6]に示す反応において、炭酸カリウムは触媒として、かつ、二酸化炭素吸収材として働いている。具体的には、炭酸カリウムは、反応器の全域で触媒として、かつ、二酸化炭素吸収材として働くが、特に、反応器の入口側で炭素を含む物質と水蒸気との反応に対して主に触媒として働き、この反応で生成する二酸化炭素に対して反応器の出口側で、主に二酸化炭素吸収材として働いている。そして、本実施形態では、図2に示すように、反応器の出口側に凝縮器を内蔵又は接続させることで、湿り水蒸気状態にある水を、所定の温度の液体状態にし、二酸化炭素吸収材として働くことで生成される炭酸水素カリウムをすべて溶かして水溶液化している。
上記[化6]に示す反応に関し、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での様子を下記[化7]〜[化10]に示し、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での様子を下記[化11]に示す。
まず、反応器の入口側において、下記[化7]に示すように、炭素を含む物質(Cnml)と炭酸カリウムが反応し、KC及びKCO、水素ガス、炭酸イオンが生成する。KがCと結合しやすく、また、KがCOとも結合しやすいためである。
さらに、下記[化8]に示すように、KCが等モルの水蒸気と反応し、KCO及び水素を生成する。
続いて、上記[化7]、[化8]で生成した合計nモルのKCOが、下記[化9]に示すように、等モルの水蒸気と反応して二酸化炭素及び水素、カリウムイオンを生成する。
また、上記[化7]、[化9]で生成した炭酸イオンとカリウムイオンとは結合し、下記[化10]に示すように炭酸カリウムが再生する。なお、上記[化7]〜[化10]の連続反応の熱量の収支が上記[化5]、[化6]中の熱量Qで表されることになる。
反応器の出口側において、上記[化9]で生成した合計nモルの二酸化炭素を下記[化11]に示すように、等モルの炭酸カリウムが吸収し、かつ、水に溶けることで炭酸水素カリウム水溶液が生成する。なお、このように二酸化炭素ガスが吸収されることにより、上記[化9]の反応が更に進んで、一酸化炭素ガスの存在が皆無となる。
本実施形態において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は熱量の収支がQ(MJ/kmol)で表される吸熱反応又は発熱反応であるので、加熱又は冷却する。具体的には、炭素を含む物質の種類によって調整されるものの、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下で反応を進ませることが好ましい。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は81.86n(MJ/kmol)の発熱反応であるので冷却する。さらに、反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において冷却することにより、凝縮器出口で水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を0.1〜5.0MPa、90〜100℃の状態にする。なお、本実施形態及び下記実施例にて表記する圧力はゲージ圧力である。
また、反応器入口側から反応器出口までの過程で、炭素を含む物質(Cnml)、水蒸気(H2O(G))、飽和水液(H2O(L))、炭酸カリウム(K2CO3)のモル数は反応が進むにつれて減っていく。一方、水素(H2)、炭酸水素カリウム(KHCO3)のモル数は反応が進むにつれて増えていく。二酸化炭素(CO2)のモル数は、水素の生成と共に生成されるものの直ちに炭酸カリウムに吸収されるため、見かけ上ゼロのまま推移することとなる。
次に、図2に示すように、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器としての溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化12]に示すような反応を、30〜50kPa、90〜100℃の環境下で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除くことにより、反応を生成側へ促進させることで、効率的に炭酸カリウム水溶液を得ることができる。
続いて、得られた炭酸カリウム水溶液を、図2に示すように、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱し、乾き度を0.01〜0.2の範囲内の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入する。この反応器に、蒸気化した炭素を含む物質を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、乾き度を制御した炭酸カリウム水溶液及び蒸気化した炭素を含む物質を反応器内で、S/Cを1〜4(S0/C=1〜2、α=1〜2)とした条件下で、上記[化6]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
本発明において炭素を含む物質(Cnml)は、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、芳香族、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂、ワックス及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であれば、その原料として採用することができる。すなわち、炭素を含む物質である限り、原料に制限がない。したがって、以下、いくつかの代表的な炭素を含む物質を取り上げて実施例を説明するものとする。
<実施例1:都市ガス(13A)>
実施例1では、炭素を含む物質(Cnml:l=0)の例である炭化水素類として、都市ガス(13A)(C1.24.4)を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、都市ガス(13A)は、メタン87.8mol%、エタン4.6mol%、プロパン7.6mol%で構成されている。
図3に示すように、まず、都市ガス(13A)を、予熱器等を通じて加熱するとともに脱硫器を使って脱硫する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例1において、乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。そして、都市ガス(13A)、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを2.4〜3とする(例えば、S0/C=2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化13]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
上記[化13]に示す反応において、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での反応は下記[化14]のように示され、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での反応は下記[化15]のように示される。
実施例1において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下(例えば、0.9MPa、180℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、0.86MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては吸熱反応となるので、反応器自体を加熱する。
次に、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化16]に示すような反応を、およそ30〜50kPa、90〜100℃の環境下(例えば、37kPa、98℃の環境下)で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。さらに、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させて炭酸カリウム水溶液を得る。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、都市ガス(13A)を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び都市ガス(13A)を反応器内で、例えば、S/Cを2.4〜3とする(例えば、S0/C=2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、上記[化13]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例2:メタノール>
実施例2では、炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例であるアルコール類として、メタノール(CH4O)を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例であるエーテル類等であっても、本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。
図4に示すように、まず、メタノールを予熱器、蒸発器等を通じて加熱し、過熱蒸気にする。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例2において、乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。そして、メタノール蒸気、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化17]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
上記[化17]に示す反応において、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での反応は下記[化18]のように示され、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での反応は下記[化19]のように示される。
実施例2において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下(例えば、0.9MPa、180℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、0.86MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては発熱反応となるので、反応器自体を冷却する。
次に、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化20]に示すような反応を、およそ30〜50kPa、90〜100℃の環境下(例えば、37kPa、98℃の環境下)で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。さらに、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させて炭酸カリウム水溶液を得る。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、過熱蒸気にしたメタノール蒸気を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及びメタノール蒸気を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、上記[化17]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例3:植物油の例示としてのリノール酸>
実施例3では、炭素を含む物質(Cnml:l=2)の例であるカルボン酸として、リノール酸(C18322)を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l=2)の例である他のカルボン酸等であっても、また、ヒマワリ油(C17.8832.62)等の食用油、廃食用油及びその他の廃油等であっても、本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。ヒマワリ油(C17.8832.62)は、リノール酸69mol%、オレイン酸20mol%、ステアリン酸5mol%、パルミチン酸6mol%で構成されている。
図5に示すように、まず、リノール酸(C18322)を予熱器、蒸発器等を通じて加熱し、蒸気化する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例3において、乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。そして、リノール酸(C18322)、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)で反応させ、下記[化21]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
上記[化21]に示す反応において、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での反応は下記[化22]のように示され、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での反応は下記[化23]のように示される。
実施例3において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ3.0〜5.0MPa、200〜300℃の環境下(例えば、3.9MPa、250℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、3.85MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては吸熱反応となるので、反応器自体を加熱する。
次に、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化24]に示すような反応を、およそ30〜50kPa、90〜100℃の環境下(例えば、37kPa、98℃の環境下)で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。さらに、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させて炭酸カリウム水溶液を得る。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、蒸気化したリノール酸を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び蒸気化したリノール酸を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で、上記[化21]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例4:糖類の例示としての糖蜜(ショ糖)>
実施例4では、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例である糖類として、糖蜜(C122211)を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例である他の糖類、糖液、廃糖蜜、廃糖等であっても、本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。
図6に示すように、まず、糖蜜(C122211)の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、蒸気化した糖蜜を含む湿り水蒸気として反応器に投入する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例4において、反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。糖蜜(C122211)を含む湿り水蒸気及び炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化25]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
上記[化25]に示す反応において、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での反応は下記[化26]のように示され、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での反応は下記[化27]のように示される。
実施例4において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下(例えば、0.9MPa、180℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、0.86MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては発熱反応となるので、反応器自体を冷却する。
次に、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化28]に示すような反応を、およそ30〜50kPa、90〜100℃の環境下(例えば、37kPa、98℃の環境下)で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。さらに、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させて炭酸カリウム水溶液を得る。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、蒸気化した糖蜜を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び蒸気化した糖蜜を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で、上記[化25]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例5:炭素の混合体の例示としての糖蜜(ショ糖)+木炭(炭素)>
実施例5では、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の他の例として等モルの糖蜜(C122211)と木炭(C)からなる糖炭素混合体(C132211)の水溶液を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、芳香族、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂、ワックス及びデンプンからなる群から選ばれる2以上の混合体を、本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。
図7に示すように、まず、糖蜜と木炭からなる糖炭素混合体の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、蒸気化した糖炭素混合体を含む湿り水蒸気として反応器に投入する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例5において、反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。糖炭素混合体含む湿り水蒸気及び水を加熱して生成した湿り水蒸気とともに、炭酸カリウムを反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化29]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
上記[化29]に示す反応において、炭酸カリウムが主に触媒として働く反応器の入口側での反応は下記[化30]のように示され、主に二酸化炭素吸収材として働く反応器の出口側での反応は下記[化31]のように示される。
実施例5において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下(例えば、0.9MPa、180℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、0.86MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては発熱反応となるので、反応器自体を冷却する。
次に、気液分離器等により上記工程で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入する。溶液再生塔では、下記[化32]に示すような反応を、およそ30〜50kPa、90〜100℃の環境下(例えば、37kPa、98℃の環境下)で進ませ、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。さらに、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させて炭酸カリウム水溶液を得る。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、蒸気化した糖炭素混合体を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び蒸気化した糖炭素混合体を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で、上記[化29]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例6:糖類の他の例示としての糖蜜(ショ糖)>
実施例6では、実施例4と同様に糖蜜(C122211)を原料とした場合であって、実施例4とは別の水素製造の構成を説明する。
実施例6において実施例4と異なるのは、図8に示すように、糖蜜(C122211)の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、蒸気化した糖蜜を含む湿り水蒸気の状態(C122211+12H2O(G)+H2O(L))として反応器に投入する点である。また、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01(ただし、実施例6において反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気の状態(12K2CO3+H2O(G)+116H2O(L))をつくりだす点である。そして、糖蜜を含む湿り水蒸気及び炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを1.2〜3とする条件下で反応させる工程より後のプロセスにおいて、実施例4と同様にして水素製造を進めることができる。
すなわち、反応器において、その入口側で炭酸カリウムを主に触媒として働かせるとともに、その出口側で主に二酸化炭素吸収材として働かせることで、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。さらに、水素ガスを除き、その後に炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入し、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。続いて、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を再生する。そして、再生させた炭酸カリウム水溶液は循環使用することができ、水素ガスをさらに生成することができるのである。
<実施例7:炭素の混合体の他の例示としての糖蜜(ショ糖)+木炭(炭素)>
実施例7では、実施例5と同様に等モルの糖蜜(C122211)と木炭(C)からなる糖炭素混合体(C132211)の水溶液を原料とした場合であって、実施例5とは別の水素製造の構成を説明する。
実施例7において実施例5と異なるのは、図9に示すように、木炭(C)と糖蜜(C122211)とからなる糖炭素混合体(C132211)の溶液を、加熱器等を通じて加熱し、糖蜜を含む飽和水蒸気の状態(C132211+15H2O(G))として反応器に投入する点である。また、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0(実施例7において反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む飽和水液の状態(13K2CO3+135H2O(L))をつくりだす点である。そして、糖炭素混合体を含む湿り水蒸気及び炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを1.2〜3とする条件下で反応させる工程より後のプロセスにおいて、実施例5と同様にして水素製造を進めることができる。
すなわち、反応器において、その入口側で炭酸カリウムを主に触媒として働かせるとともに、その出口側で主に二酸化炭素吸収材として働かせることで、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。さらに、水素ガスを除き、その後に炭酸水素カリウム水溶液を溶液再生塔に投入し、二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成する。続いて、生成した二酸化炭素ガスを気液分離器により除いて反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を再生する。そして、再生させた炭酸カリウム水溶液は循環使用することができ、水素ガスをさらに生成することができるのである。
<実施例8:コークス(C)による水素製造>
ここで、本発明に係る水素製造方法における原料の投入から水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成するまでの工程に関し、実施例8として、炭素を含む物質としてのコークス(C)を用いて実験的に水素を製造したので、その結果を以下に説明する。図10は、本実験に用いた実験装置の模式図である。
実施例8で用いた実験装置は、図10に示すように、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する反応の場となる反応器と、この反応器の内部を加熱するための電気ヒーターと、反応器に投入する炭酸カリウム水溶液を貯めておく原料タンクと、この原料タンクから炭酸カリウム水溶液を反応器に投入するためのポンプとから構成されている。反応器の内壁に炭素を含む物質としてのコークス(C)が付着している。反応器の容積は1.8L(リットル)、そのサイズは54.9ID×750H(mm)である。反応器の入口及び出口にはバルブが設けられている。なお、電気ヒーターは、上下の二段に分けて反応器の周囲に設けられている。電気ヒーターの設定温度は上下段とも450℃である。反応器内の圧力及び温度を測定するため、反応器に圧力計及び温度計が設けられている。
実施例8では、濃度を5質量%とした炭酸カリウム水溶液200mL(ミリリットル)を反応器入口側で乾き度が0.1になるように制御し、湿り水蒸気の状態で反応器に投入した。続いて、反応器の入口及び出口のバルブを全閉し、熱平衡に達した時点(0分)から60分間、反応器内の温度及び圧力を測定した。
本実験における経過時間と反応器内の測定温度との関係を図11に示す。また、反応器内の測定温度と測定圧力の関係を図12に示す。経過時間と反応器内の測定圧力との関係を図13に示す。なお、図12、図13における飽和水蒸気圧を示すドットは、蒸気表に基づいてプロットしている。したがって、図に示した生成ガスと飽和水蒸気からなる測定圧力と、飽和水蒸気圧との差が生成した新たなガスの圧力となる。
図11において、0分から約5乃至10分まで温度上昇が緩やかであり、熱平衡に達した時点から反応器内の温度及び圧力が測定されていることが分かる。図12において、相対的に温度の低い状態(85〜159℃)のときに、反応により新たにガスが生成していることが分かる。図13において、経過時間が前半(0〜30分)であるときに、反応により新たにガスが生成していることが分かる。
また、図13に示すように、経過時間0分で既に、図に示した生成ガスと飽和水蒸気からなる測定圧力の値がその時点の温度の飽和水蒸気圧の値よりも高く、既に反応により新たなガスが生成していることが理解されたため、この新たなガスが発生し始めたであろう時点を計算により求めた。その結果、反応器内が50℃程度となる測定開始の9分前に、圧力値と飽和水蒸気圧が一致することが推算された。すなわち、反応器において測定開始−9分(マイナス9分)から、新たなガスが発生し始めたこととなる。これに基づいたデータを図11に追加し、経過時間と反応器内の温度との関係として図14に示した。
さらに、これに基づいたデータを図13に追加し、経過時間が−9分から25分であるときの反応器内の圧力を図15に示した。図15において、経過時間が−9分から約15分であるときに新たに生成されるガス圧力が高まり、それ以降、生成ガス圧力が低下していることが分かる。
また、経過時間が−9分から25分であるときの反応器内の温度とガス(生成ガス、水蒸気)のモル数との関係を図16に示した。図16において、測定温度約105℃が新たに生成されるガスのモル数のピークであることが分かる。約105℃を超えると、新たに生成されるガスのモル数が低下している。
以上、図11〜図16に示したような測定結果から、次のことが示唆される。
まず、経過時間が−9分から0分であるとき、図15や図16に示すように、反応により新たなガスが生成している。特に、反応器内では、50℃〜85℃程度の低温であるので水蒸気量が少なく、コークス(C)と水蒸気とから炭酸カリウムを触媒とし、一酸化炭素と水素が製造される下記[化33]の化学式で示される反応が起こると考えられる。経過時間が−9分から0分であるときの反応器内の様子を模式図として図17に示す。図17中、■は炭酸カリウム水溶液微粒子(1〜100μm)を示す。
次に、経過時間が0分から15分であるときも、図15や図16に示すように、反応により新たなガスが生成している。このとき、反応器内の温度が85℃以上に上昇し、水蒸気量が多くなってくるので、上記[化33]の反応とともに、一酸化炭素と水蒸気とから炭酸カリウムを触媒とし、二酸化炭素と水素が製造される下記[化34]の化学式で示される反応も起こる。
ただし、上記[化34]の化学式で示される反応から生成された二酸化炭素は、下記[化35]の化学式で示される反応のように、炭酸カリウムの二酸化炭素吸収能により吸収される。経過時間が0分から15分であるときの反応器内の様子を模式図として図18に示す。図18中、■は炭酸カリウム水溶液微粒子(1〜100μm)、○は炭酸水素カリウム水溶液微粒子(1〜100μm)を示す。なお、図18中に、二酸化炭素(CO2)が現されているが、炭酸カリウムの二酸化炭素吸収能により吸収されて瞬時に消滅する。
また、経過時間が15分から25分であるとき、図15や図16に示すように、反応により新たに生成するガスは減少している。これは、反応器内の温度が100℃以上に上昇し、圧力も高まってくるので、下記[化36]の化学式で示される反応のように、圧力が下がる方向の反応が、水素が製造される反応に追加して起こるためだと考えられる。すなわち、上記[化33]や上記[化34]の反応とともに、2モルの一酸化炭素から炭素と二酸化炭素が生成される反応や、2モルの水素と炭素からメタンが生成される反応も起こる。経過時間が15分から25分であるときの反応器内の様子を模式図として図19に示す。図19中、■は炭酸カリウム水溶液微粒子(1〜100μm)、○は炭酸水素カリウム水溶液微粒子(1〜100μm)を示す。なお、図19中に、二酸化炭素(CO2)が現されているが、炭酸カリウムの二酸化炭素吸収能により吸収されて瞬時に消滅する。
図20には、上記[化33]〜[化36]に示される化学式から考えられる生成ガスの種別及びそのモル数と、経過時間(−9分から25分)との関係を示した。算出した水素の最大値は、0.1135mol(2.724NL)であり、最大濃度は73.2%だった。このとき一酸化炭素が26.8%、二酸化炭素0%、メタン0%だった。
実施例8から、水素を製造するに際し、以下のことが示唆される。
(1)十分な水蒸気量を供給することで高純度(99%以上)の水素を製造することができる。
(2)水素製造のための温度は100℃以上あれば十分である。
(3)反応時間は約10分、反応圧力は約0.4MPa以下が最適である。
以上、本発明について例示する実施形態について複数説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
ここで、本発明に係る水素製造方法では、図21にその概略を示すように、炭素を含む物質と水とを混合した炭素混合水を用いることができる。この炭素混合水を加熱し、炭素を含む物質を含んだ湿り水蒸気あるいは飽和水蒸気をつくりだし、並行して炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度を所定の範囲内に制御して炭酸カリウムを含んだ湿り水蒸気をつくりだし、これらを反応器に投入することで水素を製造することができる。そうすると、炭素混合水は炭酸カリウムを混合しない限り、水素が製造されないから、水素製造の前段階としての水素貯蔵物とみなすことができる。この炭素混合水は、水素吸蔵物割合が10%以上と、従来の水素貯蔵に比べて大幅に高い割合で含まれる。したがって、この炭素混合水によって水素の貯蔵をより効率的に行うことができる。また、炭素混合水は、公知の輸送手段により容易に輸送することができるので、水素吸蔵物割合が10%以上となる水素貯蔵物の輸送をより効率的に行うことができる。
また、炭素混合水は液体水素より水素割合が大きいので、ロケットの液体水素の代わりに有効に使うことができる。燃料電池自動車の燃料としても使うことができる。水素ステーションにおける貯蔵タンクとして安全に使うことができる。
上記目的を達成するために、本発明は、水素を製造する水素製造方法において、蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質の少なくとも何れかと、乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した飽和液及び飽和蒸気からなる湿り水蒸気と、炭酸カリウムとを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記水素製造方法で得られた炭酸カリウム水溶液に、反応で消費する量の水を加え、その上で加熱して乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を前記反応器に投入するとともに、前記蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質の少なくとも何れかを前記反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成し、炭酸カリウムの循環使用を可能としたことを特徴とする。
本発明において、蒸気化した炭素を含む物質は、炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、芳香族、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂及びワックスからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であることが好ましい。また、固体の炭素を含む物質は、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖 及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であることが好ましい。
なお、本発明に係る水素製造方法において用いる蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質を、水と混合された炭素混合水とすることで、この炭素混合水を水素製造のための水素貯蔵物としてみなして貯蔵することができる。すなわち、炭素混合水を加熱し、蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質を含んだ飽和液をつくりだし、並行して炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度を所定の範囲内に制御して炭酸カリウムを含んだ湿り水蒸気をつくりだす。これらを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させることで、水素ガスを製造することができる。この水素貯蔵物とみなした炭素混合水を輸送手段により輸送することも容易である。
本発明は、蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質の少なくとも何れかと、乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した飽和液及び飽和蒸気からなる湿り水蒸気と、炭酸カリウムとを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する水蒸気改質プロセスと二酸化炭素吸収プロセスを利用して水素を製造する水素製造方法である。本発明では、炭酸カリウムに、触媒と二酸化炭素吸収材の両機能を担わせることにより、反応器へ触媒充填層及び二酸化炭素吸収材を内蔵させることを不要とした。したがって、反応器のサイズを小型化することができるとともに、二酸化炭素吸収材を装置から取り出す等の作業を不要とし、反応器の半永久的な使用を可能として運転稼働率を大幅に向上させることができる。
本発明では、製造した水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器に投入し、反応器での反応に比べて減圧した条件下で二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、かつ、生成した二酸化炭素ガスを除いて第2反応器での反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を得る構成である。さらに、得られた炭酸カリウム水溶液に、反応で消費する量の水を加え、その上で加熱して乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入するとともに、蒸気化した炭素を含む物質又は固体の炭素を含む物質の少なくとも何れかを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する構成である。したがって、連続した運転の中で、炭酸カリウムを循環して使用することを可能とし、極めて合理的な水素製造を進めることができる。
本発明では、蒸気化した炭素を含む物質として炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、芳香族、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂及びワックスからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であればよく、固体の炭素を含む物質として炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であればよい。したがって、例えば、炭素を含む物質として、廃糖、廃食用油、廃油、発酵液等を使用すれば、製造単価の安価な水素を製造することができる。しかも、バイオマス由来であるから生成する二酸化炭素はカーボンフリーとなる。また、原料の糖、発酵液等には水が含まれるため、この水を再生可能エネルギーであるとみなせば、すべてが再生エネルギーである原料から水素を製造することが実現される。
本発明に係る水素製造方法の工程の概略を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:一般例)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l=0)の例として都市ガス(13A)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 参考例としての炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例としてメタノールを採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l=2)の例としてリノール酸を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として糖蜜(ショ糖)を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質に木炭(炭素)及び糖蜜(ショ糖)の混合体を採用した水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として糖蜜(ショ糖)を採用した他の水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、炭素を含む物質に木炭(炭素)及び糖蜜(ショ糖)の混合体を採用した他の水素製造の構成例を示すフロー図である。 本発明に係る水素製造方法において、コークス(C)を用いて水素を製造する実験に用いた実験装置の模式図である。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の経過時間と反応器内の測定温度との関係を示したグラフである。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の反応器内の測定温度と測定圧力の関係を示したグラフである。 図10に示した実験装置において実施した実験(実施例8)の経過時間と反応器内の測定圧力との関係を示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の温度との関係を図11に追加して示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の圧力との関係を図13に追加して示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の水蒸気及び生成ガスのモル数との関係を示したグラフである。 測定開始−9分(マイナス9分)から0分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始0分から15分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始15分から25分までの経過時間における反応器内の様子を模式的に示した模式図である。 測定開始−9分(マイナス9分)からの経過時間と反応器内の生成ガスの種別及び、そのモル数との関係を示したグラフである。 本発明に係る他の水素製造方法の工程の概略を示すフロー図である。
本発明において炭素を含む物質(Cnml)は、蒸気化させる炭素を含む物質として、炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、芳香族、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂及びワックスからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であれば、その原料として採用することができる。また、固体の炭素を含む物質として炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体であれば、その原料として採用することができる。したがって、以下、いくつかの代表的な炭素を含む物質を取り上げて実施例を説明するものとする。
参考例:メタノール>
参考例では、炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例であるアルコール類として、メタノール(CH4O)を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l=1)の例であるエーテル類等であれば、本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。
図4に示すように、まず、メタノールを予熱器、蒸発器等を通じて加熱し、過熱蒸気にする。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(参考例において、乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。そして、メタノール蒸気、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化17]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
参考例において、反応器の入口側での炭酸カリウムが主に触媒として働く反応は吸熱反応であるのでプロセス流体温度は下がる。また、反応器の入口側では、およそ0.1〜5.0MPa、120〜300℃の環境下(例えば、0.9MPa、180℃の環境下)で反応を進める。一方、反応器の出口側で炭酸カリウムが主に二酸化炭素吸収剤として働く反応は発熱反応であるのでプロセス流体温度は上がり、続いて反応器の出口側に内蔵又は接続している凝縮器において、およそ0.1〜5.0MPa、90〜100℃の環境下(例えば、0.86MPa、98℃の環境下)で炭酸水素カリウムの水溶液化を進める。なお、反応器全体としては発熱反応となるので、反応器自体を冷却する。
図6に示すように、まず、糖蜜(C122211)の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、糖蜜を含む飽和水蒸気として反応器に投入する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例4において、反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。糖蜜(C122211)を含む飽和水蒸気及び炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化25]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、糖蜜を含む飽和水蒸気を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び糖蜜を含む飽和水蒸気を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で、上記[化25]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
<実施例5:炭素の混合体の例示としての糖蜜(ショ糖)+木炭(炭素)>
実施例5では、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の他の例として等モルの糖蜜(C122211)と木炭(C)からなる糖炭素混合体(C132211)の水溶液を原料とした場合の水素製造の構成を説明する。なお、炭素を含む物質(Cnml:l≧3)の例として、蒸気化した炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、芳香族、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂(樹液等)、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂及びワックスからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体を、固体の炭素を含む物質として炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体を、それぞれ本発明に係る水素製造方法の原料とすることができる。
図7に示すように、まず、糖蜜と木炭からなる糖炭素混合体の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、糖炭素混合体を含む飽和水蒸気をとして反応器に投入する。一方、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01〜0.2の範囲内(実施例5において、反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気をつくりだす。糖炭素混合体を含む飽和水蒸気及び水を加熱して生成した湿り水蒸気とともに、炭酸カリウムを反応器に投入し、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で反応させ、下記[化29]に示す反応式によって水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する。
得られた炭酸カリウム水溶液は、溶液循環ポンプにより炭酸カリウム水溶液タンクに送る。そして、そのタンクから炭酸カリウム水溶液を取り出し、反応で消費された量の水を補充する。その後、水を補充した炭酸カリウム水溶液を加熱して、乾き度を0.01〜0.2の範囲の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気として反応器に投入する。この反応器に、糖炭素混合体を含む飽和水蒸気を投入することで、炭酸カリウムを循環使用することができる。そして、炭酸カリウムを含む湿り水蒸気及び糖炭素混合体を含む飽和水蒸気を反応器内で、例えば、S/Cを1.2〜3とする(例えば、S0/C=1〜2とし、α=1.2〜1.5とする)条件下で、上記[化29]に示す反応を進めることで、さらに水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成することができる。
実施例6において実施例4と異なるのは、図8に示すように、糖蜜(C122211)の水溶液を、加熱器等を通じて加熱し、糖蜜を含む飽和水蒸気の状態(C122211+12H2O(G)+H2O(L))として反応器に投入する点である。また、炭酸カリウムを加えた水を加熱し、乾き度が0.01(ただし、実施例6において反応器入口側での乾き度は0.1)に制御された炭酸カリウムを含む湿り水蒸気の状態(12K2CO3+H2O(G)+116H2O(L))をつくりだす点である。そして、糖蜜を含む飽和水蒸気及び炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を反応器に投入し、S/Cを1.2〜3とする条件下で反応させる工程より後のプロセスにおいて、実施例4と同様にして水素製造を進めることができる。

Claims (4)

  1. 水素を製造する水素製造方法において、
    蒸気化した炭素を含む物質と、乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した飽和液及び飽和蒸気からなる湿り水蒸気と、炭酸カリウムとを反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成する、
    ことを特徴とする水素製造方法。
  2. 請求項1に記載の水素製造方法で製造した水素ガスを除き、この水素ガスを除いた後の炭酸水素カリウム水溶液を第2反応器に投入し、前記反応器での反応に比べて減圧した条件下で二酸化炭素ガス及び炭酸カリウム水溶液を生成し、かつ、生成した二酸化炭素ガスを除いて前記第2反応器での反応を生成側へ促進させ、炭酸カリウム水溶液を得る、
    ことを特徴とする水素製造方法。
  3. 請求項2に記載の水素製造方法で得られた炭酸カリウム水溶液に、反応で消費する量の水を加え、その上で加熱して乾き度を0.01〜0.2の値となるように制御した炭酸カリウムを含む湿り水蒸気を前記反応器に投入するとともに、蒸気化した炭素を含む物質を前記反応器に投入し、S/Cが1〜4となる条件下で反応させて、水素ガス及び炭酸水素カリウム水溶液を生成し、炭酸カリウムの循環使用を可能とした、
    ことを特徴とする水素製造方法。
  4. 前記炭素を含む物質は、
    炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、炭素(C)、コークス(C)、木炭(C)、炭化物、芳香族、糖類、糖液、糖蜜、廃糖蜜、廃糖、廃食用油、その他の廃油、天然樹脂、植物油、タール、木酢液、魚油、動物油、油脂、ワックス及びデンプンからなる群から選ばれる1の物質又は2以上の混合体である、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の水素製造方法。
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