JP2014192392A - 電磁波シールドルームの窓構造 - Google Patents

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博之 吉野
Fumiaki Munakata
文明 棟方
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Abstract

【課題】優れた電磁波シールド性能が良好に確保できる電磁波シールドルームの窓構造の提供。
【解決手段】中央の透明機材2と両外側透明機材3A、3Bとの間に透明接着剤層4A、4Bを介して第1と第2の導電性メッシュ構造5A、5Bを挟んだ光透過性電磁波シールド板1とその外周に嵌合する導電性金属製の窓枠10と、各導電性メッシュ構造が三枚の透明機材の外周端から突出して縁部の全周に有し、窓枠の嵌合部11は、透明板保持部12にて三枚の透明機材の外周端部を導電性メッシュ構造の縁部がその延長方向に通過可能に保持し、固定部15で各導電性メッシュ構造縁部の外周端領域を、間に導電性金属板17を配して一対の導電性金属製の壁面部材14A、14Bで少なくとも部分的に外側から同時に挟んで全周に導電性金属製ボルトBでネジ止め固定し、導電性メッシュ構造と壁面部との間に弾性を有するテープ状導電性ガスケット16A、16Bを介在させた。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えばMRI検査室等に採用される電磁波シールドルームに設けられる透光性の窓構造に関するものである。
現在、各種電気・電子機器において、その電磁環境が他からの電磁干渉によって汚染されることなく、同時に他の電磁環境に干渉、妨害を生じるような不要な電磁波を放出することがないという電磁環境両立性、所謂EMC(Electromagnetic Compatibility)の対策は、その機器が正しく機能し、充分な性能を発揮するためには欠かせないものとなっている。
このようなEMC対策は、大型の医療機器においても同様に必要であることはいうまでもない。特に核磁気共鳴画像振動装置、所謂MRI装置は、磁場内に置かれた人体の水素原子核にある特定の高周波磁場で共鳴現象を生じせしめてエネルギーの吸収と放出を起こさせ、該水素原子核から放出されたエコー信号を捉えて画像化するものであり、非常に強力な磁界の発生源であると共に、正確な診断のための信号受信において電磁環境の汚染を防止しなければならないものである。
従って、MRI装置は、通常電磁波シールドルームで構築された検査室内に載置されている。この電磁波シールドルームの基本構成は、簡便なものとして、磁性板からなる電磁波シールドパネルを連結して室の側壁面、天井面、床面を形成するものが挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような電磁波シールドパネルで囲まれることによって、MRI装置が周りを磁性体で囲まれ、その磁性材によって磁力線の通り道が確保されることによって、磁力線の外部からの侵入及び内部からの漏洩が遮断される。従って、各パネル同士は、磁力線の通り道が分断されることのないように連結されている。
なお、開閉ドアは、周囲の壁側磁性板とドアの磁性板との間に導電性部材を介在させることにより、ドア閉状態にて両磁性板間に電気的接続が実現され、磁力線の通り道が確保されている。電磁波シールドパネル材としては、鋼板性パネルを用いたものや、アルミニウム製又はアルミニウム合金製のパネルを用いて軽量化を図ったものもある。
このような電磁波シールドルームは、MRI検査時には密閉状態となるため、特に閉所恐怖症や小児の被験者には心的負担が大きく、検査が行えない場合もあった。また、被験者の状況を外部から観察することもできなかった。そこで、電磁波シールドルームに窓を設置することが望まれ、電磁波シールド機能を有する窓が開発されている。
電磁波シールド用の窓部材としては、ガラスや透明合成樹脂製の透明板を2枚重ねとしてこれらの間に電磁波シールド機能を付与するための金属線製メッシュが導電体シートとして挟み込まれた電磁遮蔽ガラス(特許文献3参照)が採用できる。この導電体シートは、2枚の透明板の外周端から縁部を突出させ、該縁部を一方の透明板の表面まで折り曲げた状態でこれを覆って導電性テープを両透明板を跨がって両表面に接着させると共に、該電磁遮蔽ガラスの外周に嵌合する窓枠に導電性部材を被覆し、該導電性部材被覆部と導電性テープとの間にチューブ状の導電性弾性部材を配置することにより、これら導電性テープと導電性弾性部材とを介して導電体シートを窓部周辺の壁面を構成する電磁シールドパネルが導通されている。
一方、MRI装置の電磁波シールドルーム用窓においては、窓を通して向こう側の状況が視認できるようにある程度の透明性が必要であるため、導電体シートにも、少なくとも50%の可視光透過率が求められる。しかも、同時に高い電磁波シールド性能、例えば30MHz〜150MHzの電磁波を100dB以上遮蔽する性能が要求されることもある。これを実現するためには、導電体シートを構成しているメッシュの繊維の径を細くすると共に、メッシュ密度を高めることが最も有効である。
しかし、金属線製メッシュでは、金属線を5μm以下の細径にまですると縒れが生じて直線性が得られ難く、メッシュの織り密度を100本/1インチ以上と高密度にすると製織性が悪くなってしまうため、織られたメッシュの光透過性は期待されたものより大幅に低くなってしまう。
一方、合成繊維又は天然繊維の外周に金属酸化膜を表面に有する導電性金属層を付与したものを製織した導電性メッシュ織物(特許文献4参照)、或いは、導電性金属層を付与した繊維を製織してなるメッシュ織物の表面に黒色導電性金属皮膜を形成した導電性メッシュ織物(特許文献5参照)が開発されている。
これらの導電性繊維メッシュは、既に20〜50μmもの繊維径および1インチ当たり最大300本の織り密度が実現されており、しかも表面に黒色層によるツヤ消しで光の反射、散乱が抑えられるものである。従って、このような導電性繊維メッシュを透明板間に挟み込む導電体シートとして用いることで、優れた電磁波シールド効果と良好な光透過性との双方を備えた電磁波シールド窓が実現できた。
特公平7−109950号公報 特開2008−255617号公報 特許第3375057号公報 特開2003−25470号公報 特許第4634063号公報
しかしながら、上記の様な導電性繊維メッシュを用いて電磁波シールド窓を構成する場合でも、図7及び図8に示すように、導電性の窓枠Sとの嵌合部において、2枚のガラス(G1,G2)の間に挟み込まれた導電性繊維メッシュMは、導電性テープTとチューブ状導電性弾性部材Eを介して、窓外周の電磁波シールドパネルPと導通している窓枠Sに電気的に接続されていた。
しかし、このように、導電性繊維メッシュMと窓枠Sとの間の電気的接続を得るのに複数の導電性部材を介在させる構成では、その電気的接合度が不安定で、導電性の低下を招き、所望の電磁波シールド性能が得られなくなるおそれがある。
これは、特にチューブ状導電性弾性部材Eと窓枠Sとの接触部において、サッシ表面の微小な凹凸に対して電気的密着度にバラツキがあることが原因と考えられる。しかも、チューブ状導電性弾性部材Eとして、芯材が非導電性のシリコンチューブでその表面導電性SUS鋼ワイヤーを巻いた、所謂ワイヤーメッシュガスケットを使用すると、これにより余計なRLC回路が形成されて電気的な抵抗となってしまうことも考えられる。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、シンプルな構成でありながら、窓側から外周側への電気的接合度が従来よりも安定して高く、優れた電磁波シールド性能が良好に確保できる電磁波シールドルームの窓構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る電磁波シールドルームの窓構造は、一つの光透過性電磁波シールド板と、この光透過性電磁波シールド板の外周に嵌合すると共に、電磁波シールドルームの壁面を構成する電磁波シールドパネルに形成された開口部に嵌め込まれて該電磁波シールドパネルと電気的に接合される導電性金属製の窓枠と、を備えた電磁波シールドルームの窓構造において、
前記光透過性電磁波シールド板は、互いに重ね合わされた三枚の透明機材と、これらのうち中央の透明機材とその両表面にそれぞれ重ね合わされる外側透明機材との間に透明接着剤層を介して挟み込まれた第1と第2の導電性メッシュ構造とを備え、該第1と第2の導電性メッシュ構造は、三枚の透明機材より面積が大きく、これら三枚の透明機材の外周端から突出して外側に延びる縁部を全周に亘って各々有しており、
前記窓枠は、前記光透過性電磁波シールド板の外周部を保持する嵌合部を備え、該嵌合部は、前記三枚の透明機材の外周端部を前記第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部をそれぞれその延長方向に通過可能に保持する透明機材保持部と、該透明機材保持部を通過して延在する第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を少なくとも部分的に外側から挟むように互いに対向する一対の導電性金属製の壁面部材とを備え、これら一対の壁面部材に対して第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を同時に全周に亘って所定間隔毎に固定する固定部をさらに有し、
前記一対の壁面部材のうち少なくとも一方が窓枠と一体的に設けられており、
前記固定部は、一対の壁面部材の間に配置された導電性金属板と、該導電性金属板の両表面上に少なくとも部分的に重ねられた各導電性メッシュ構造と対向する壁面部との間に介在する弾性を有する一対のテープ状導電性ガスケットと、これら導電性金属板と一対のテープ状導電性ガスケット及び一対の壁面部とを貫通して前記所定間隔毎にネジ止め固定された複数個の導電性金属製ボルトとを備えていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係る電磁波シールドルームの窓構造は、請求項1に記載の電磁波シールドルームの窓構造において、前記テープ状導電性ガスケットは、非導電性弾性基材の表面に導電性ワイヤーメッシュが被覆されているものである。
請求項3に記載の発明に係る電磁波シールドルームの窓構造は、請求項1又は2に記載の電磁波シールドルームの窓構造において、前記窓枠は、少なくとも前記一対の壁面部材がオーステナイト系ステンレスからなることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係る電磁波シールドルームの窓構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールドルームの窓構造において、前記窓枠は、全ボルトのヘッド側を覆うカバー部材を取り外し可能に備えているものである。
本発明の電磁波シールドルームの窓構造によれば、光透過性電磁波シールド板と窓枠との嵌合部で余計なRLC回路を形成することなくシンプルな回路で光透過性電磁波シールド板から延在する導電性メッシュ構造が直接的に、しかもボルト締めによる機械的に強固に窓枠に電気的に接合されるため、高い電気的接合度が安定して実現され、窓側から外周側への導電性の低下もなく、優れた電磁波シールド性能が良好に確保できるという効果がある。加えて、一つの光透過性電磁波シールド板による薄型軽量タイプとして一対の光透過性電磁波シールド板からなる二重窓構造の場合と同等の電磁波シールド性能を実現可能としたものである。
本発明の一実施例による電磁波シールドルームの窓構造の概略正面図である。 図1の窓構造のカバー部材を外しt状態の概略正面図である。 図1のY−Y矢視断面図である。 図1のX−X矢視断面図である。 図4の拡大図である。 図1の窓構造が組み込まれた電磁波シールドパネルの概略平面図である。 従来の電磁波シールドルームの窓構造の一例を示す概略部分断面図であり、縦断面図である。 図4の窓構造の概略横断面図である。
本発明の電磁波シールドルームの窓構造においては、一つの光透過性電磁波シールド板と、この光透過性電磁波シールド板の外周に嵌合すると共に、電磁波シールドルームの壁面を構成する電磁波シールドパネルに形成された開口部に嵌め込まれて該電磁波シールドパネルと電気的に接合される導電性金属製の窓枠と、を備えた電磁波シールドルームの窓構造であり、光透過性電磁波シールド板が、三枚の透明機材が互いに重ね合わされて構成されるものであり、これら三枚のうち中央の透明機材と、その両表面にそれぞれ重ね合わされる外側透明機材との間に透明接着剤層を介して第1と第2の導電性メッシュ構造とが挟み込まれ、これら第1と第2の導電性メッシュ構造が三枚の透明機材より面積が大きく、それぞれ縁部が全周に亘ってこれら三枚の透明機材の外周端から突出して外側に延びるものである。そして、窓枠に備えられた嵌合部によって、光透過性電磁波シールド板の外周部が保持される。
さらに嵌合部は、第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部をその延長方向に通過させた状態で三枚の透明機材の外周端部を保持する透明機材保持部と、該透明機材保持部を通過して延在する第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を少なくとも部分的に外側から挟むように互いに対向する一対の導電性金属製の壁面部材とを有し、固定部によって一対の壁面部材に対して第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を同時に全周に亘って所定間隔毎に固定するものであり、固定部は、一対の壁面部材の間に導電性金属板が配置され、該導電性金属板の両表面上に各導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域が少なくとも部分的に重ねられ、この各導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域と対向する壁面部との間に弾性を有する一対のテープ状導電性ガスケットが介在しており、これら導電性金属板と一対のテープ状導電性ガスケットとを一対の壁面部材と共に前記所定間隔毎に複数個の導電性金属製ボルトでネジ止め固定するものである。
以上の構成において、一対の壁面部材の少なくとも一方が窓枠と一体的に設けられており、第1と第2の導電性メッシュ構造は、中央の導電性金属板の当接面に対してテープ状導電性ガスケットを介して一対の壁面部材で押圧挟持状態でボルト締めされるため、第1と第2の導電性メッシュ構造と窓枠とはほぼ直接的に電気的接続がなされると同時に、その接合は機械的に強固なものでもある。しかも、壁面部材と導電性金属板との間で導電性メッシュ構造の外周端領域が部分的に押さえつけられている場合であっても、テープ状導電性ガスケットの弾性によってその密着度は高い。
従って、本発明の窓構造においては、各導電性メッシュ構造は、三枚の透明機材から外側に突出する縁部の外周部が、窓枠に直接的に電気的に接続されるものであり、従来のようにガラス表面に沿って折り曲げられた状態で導電性テープ及びチューブ状の導電性弾性体を介して窓枠に電気的接合がなされる際のチューブ状導電性弾性部材の電気的密着度のバラツキや、電気的抵抗となり得る余分なRLC回路が形成されることもなく、従来よりも、導電性メッシュ構造と窓枠との安定した高い電気的接合度が機械的にも強固な状態で実現する。よって、窓側から外周壁側の電磁波シールドパネルへの導電性の低下もなく、窓付きの電磁波シールドルームとして、優れた電磁波シールド性能が良好に確保でき、その上、一対の光透過性電磁波シールド板からなる二重窓構造の場合と同等の電磁波シールド性能を一つの光透過性電磁波シールド板による薄型軽量タイプとして実現できる。
なお、本発明において、固定部で壁面部材の下で中央の導電性金属板に各導電性メッシュ構造を押圧するテープ状導電性ガスケットとしては、弾性を有すると共に少なくとも表面に導電性を有するものであれば良い。例えば、テープ状のポリウレタンフォームや合成樹脂合成ゴム等のゴム質弾性体など、非導電性で弾性を有するテープ状基材の外表面に導電性金属フィルムやワイヤーメッシュを被覆したものが挙げられる。このようなテープ状導電性ガスケットは、従来よりEMIガスケットとして用いられている市販のものが対応可能である。
また、本発明では、前記固定部は、部材の貫通を伴うボルト締めでなされるため、窓枠の、少なくとも一対の壁面部は、強度に優れた金属が望まれる。例えば、SUS304等、オーステナイト系ステンレスが、耐食性、靭性、延性、加工性に優れていると同時に汎用性のある素材であることから、好適である。
さらに、第1と第2の光透過性電磁波シールド板の装着後は、窓枠のボルトのヘッドが露呈する側を覆うカバー部材を設けることが望ましい。この場合、カバー部材は取り外し可能とすることで、後の光透過性電磁波シールド板の交換作業等が容易となる。
なお、光透過性電磁波シールド板を構成する三枚の透明機材には、ガラス板や透明合成樹脂製の板やフィルム、シート等が採用可能である。さらに三枚の透明機材の間で導電性メッシュ構造を固定するための接着層を成す接着剤としては、透明性と共に高い強度のものが望まれる。各種合成樹脂系接着剤が対応可能であるが、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂の接着剤は、高い透明性と耐光性および耐衝撃性から安全ガラスの中間膜に使用されていることから、本発明においても最も好ましい接着剤の一つである。
また、導電性メッシュ構造としては、導電性繊維をメッシュ状に製織した導電性繊維メッシュや、導電性シート、フィルムをメッシュ状に打ち抜いたものなどが採用できるが、窓の向こう側が目視できる窓機能を確保するため、可視光の透過率が50%以上のものが望ましい。本発明の場合、実質的に導電性メッシュ構造は二枚重ねの配置に相当するものとして、二枚重ねでこの光透過率を得られるものとするのがさらに望ましい。加えて、MRI装置に対応した電磁波シールド機能を確保すべく、繊維が5μm以下の細径で織り密度が100本/1インチ以上の高密度のメッシュが望ましい。これは、例えば前述の特許文献4及び5に開示されているものが対応する。
本発明の一実施例として、導電性メッシュ構造に導電性繊維メッシュを、透明機材にガラスまたは合成樹脂製の透明板を用いた電磁波シールドルームの窓構造を以下に示す。図1は、本実施例による窓構造の概略正面図であり、図2は該窓構造のカバー部材を外した状態の概略正面図である。図3は図1のY−Y矢視断面図であり、窓枠の側面を示すものであり、図4は図1においてX−X矢視部分の概略縦断面図である。さらに図5には図4の断面図を拡大したものを示す。
本実施例による窓構造では、光透過性電磁波シールド板1が、主に導電性金属性、例えばSUS304等のステンレスからなる窓枠10に嵌合され、該窓枠10が、図1,5の正面図に示すように、電磁波シールドルームの壁面を構成する電磁波シールドパネルPに形成された開口部Oに嵌め込まれるものである。両者の連結は、窓枠10の外周に延在する導電性フランジFと電磁波シールドパネルPの開口部内周領域とを重ね合わせてシート状導電性ガスケットKを介して表裏側からボルト・ナット(B・N)締めで固定することにより電気的接合が完了するものとした。
光透過性電磁波シールド板1は、同一面積の三枚の透明板が重ね合わされて構成されるものであり、三枚のうちの中央の透明板2と、その両表面にそれぞれ重ね合わされる外側透明板(3A,3B)との間に、PVB接着剤から成る透明接着剤層(4A,4B)を介して第1の導電性繊維メッシュ5Aと第2の導電性繊維メッシュ5Bとがそれぞれ挟み込まれており、これら第1と第2の導電性繊維メッシュ(5A,5B)は三枚の透明板より面積が大きく、三枚の透明板の外周端から突出する縁部(6A,6B)がそれぞれ全周に亘って外側に延在している。
窓枠10は、枠内で光透過性電磁波シールド板1の外周部を保持する嵌合部11を備えている。嵌合部は11は、三枚の第1と第2の透明板の外周端部を、その間の、例えばニトリルゴム製やポリアセタール樹脂製のゴムブロックやセッティングブロック等13を介して保持する透明板保持部12を備えており、該透明板保持部12は、その保持の際に第1と第2の導電性繊維メッシュの縁部(6A,6B)をそれぞれ延長方向に通過させる形態を持つものである。
さらに嵌合部11には、SUS304製の四角枠状の一対の壁面部材(14A,14B)の間に透明板保持部12を通過して延在する導電性繊維メッシュの縁部(6A,6B)の外周端領域を部分的に外側から挟んだ状態で全周に亘って所定間隔毎にステンレス製の六角ボルト18でネジ止め固定する固定部15が設けられている。
固定部では、一対の壁面部材(14A,14B)の間に四角枠状SUS304製の導電性金属板17が配置され、該導電性金属板17の両表面上に第1と第2の各導電性繊維メッシュの縁部(6A,6B)の外周端領域が部分的に重ねられ、この各導電性繊維メッシュ縁部(6A,6B)の外周端領域と対向する壁面部材との間に弾性を有する一対のテープ状導電性ガスケット(16A,16B)が四角枠状に介在しており、これら導電性金属板17と一対のテープ状導電性ガスケット(16A,16B)とが一対の壁面部材(14A,14B)と共に貫通状態で前記所定間隔毎に複数個のステンレス製六角ボルト18で金属製ワッシャ19を介してネジ止め固定される。また、本実施例では、一方の壁面部材14Bが窓枠10に一体的に連結されており、両者の電気的接続がなされている。
以上のような、間に導電性金属板17が配置された第1と第2の各導電性繊維メッシュ(5A,5B)の外周端領域を同時に、テープ状導電性ガスケット(16A,16B)を介して一対の壁面部材(14A,14B)で挟んだ状態でのこれら部材を貫通したボルト締めによる固定によって、第1と第2の導電性繊維メッシュ(5A,5B)はほぼ直接的に窓枠10に電気的に接続される。しかも、ボルト締めによる固定であるため、機械的にも強固な接合である。また、一対の壁面部材(14A,14B)と導電性金属板17との間でそれぞれ対応する導電性繊維メッシュ(5A,5B)が部分的に押さえつけられていても、テープ状導電性ガスケット(16A,16B)の弾性によってその密着度は高い。
従って、本実施例における窓構造によれば、第1と第2の導電性繊維メッシュ(5A,5B)は、光透過性電磁波シールド板1から外側に突出する各縁部(6A,6B)の外周端領域が、共に電気的密着度のバラツキや、電気的抵抗となり得る余分なRLC回路が形成されることもなく、窓枠10に直接的に電気的に接続されるものであり、第1と第2の導電性繊維メッシュ(5A,5B)と窓枠10との安定した高い電気的接合度が実現し、これにより窓側から外周壁側の電磁波シールドパネルPへの導電性の低下もなく、電磁波シールドルームの電磁波シールド性能が良好に確保できる。しかも一対の光透過性電磁波シールド板からなる二重窓構造の場合と同等の電磁波シールド性能を一つの光透過性電磁波シールド板による薄型軽量タイプとして実現できた。
なお、窓枠10には、ボルト18のヘッドが露呈したままとならないように嵌合部11を覆うカバー部材Cが設けられているが、該カバー部材Cは取り外し可能とすることで、後の光透過性電磁波シールド板1等の交換など、作業が容易になる。
S,10:窓枠
1:光透過性電磁波シールド板
2,3A,3B:透明板
4A,4B:透明接着剤層
M,5A,5B:導電性繊維メッシュ
6A,6B:導電性繊維メッシュの縁部
11:嵌合部
12:透明板保持部
13:ゴムブロック、セッティングブロック
14A,14B:壁面部材
15:固定部
16A,16B,K:テープ状導電性ガスケット
17:導電性金属板
18:六角ボルト
19,D:ワッシャ
C:カバー部材
F:導電性フランジ
P:電磁波シールドパネル
O:(電磁波シールドパネルの)開口部
B・N:ボルト・ナット
G1,G2:ガラス
T:導電性テープ
E:チューブ状導電性弾性体

Claims (4)

  1. 一つの光透過性電磁波シールド板と、この光透過性電磁波シールド板の外周に嵌合すると共に、電磁波シールドルームの壁面を構成する電磁波シールドパネルに形成された開口部に嵌め込まれて該電磁波シールドパネルと電気的に接合される導電性金属製の窓枠と、を備えた電磁波シールドルームの窓構造において、
    前記光透過性電磁波シールド板は、互いに重ね合わされた三枚の透明機材と、これらのうち中央の透明機材とその両表面にそれぞれ重ね合わされる外側透明機材との間に透明接着剤層を介して挟み込まれた第1と第2の導電性メッシュ構造とを備え、該第1と第2の導電性メッシュ構造は、三枚の透明機材より面積が大きく、これら三枚の透明機材の外周端から突出して外側に延びる縁部を全周に亘って各々有しており、
    前記窓枠は、前記光透過性電磁波シールド板の外周部を保持する嵌合部を備え、該嵌合部は、前記三枚の透明機材の外周端部を前記第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部をそれぞれその延長方向に通過可能に保持する透明機材保持部と、該透明機材保持部を通過して延在する第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を少なくとも部分的に外側から挟むように互いに対向する一対の導電性金属製の壁面部材とを備え、これら一対の壁面部材に対して第1と第2の導電性メッシュ構造の縁部の外周端領域を同時に全周に亘って所定間隔毎に固定する固定部をさらに有し、
    前記一対の壁面部のうち少なくとも一方が窓枠と一体的に設けられており、
    前記固定部は、一対の壁面部材の間に配置された導電性金属板と、該導電性金属板の両表面上に少なくとも部分的に重ねられた各導電性メッシュ構造と対向する壁面部との間に介在する弾性を有する一対のテープ状導電性ガスケットと、これら導電性金属板と一対のテープ状導電性ガスケット及び一対の壁面部とを貫通して前記所定間隔毎にネジ止め固定された複数個の導電性金属製ボルトとを備えていることを特徴とする電磁波シールドルームの窓構造。
  2. 前記テープ状導電性ガスケットは、非導電性弾性基材の表面に導電性ワイヤーメッシュが被覆されているものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドルームの窓構造。
  3. 前記窓枠は、少なくとも前記一対の壁面部材がオーステナイト系ステンレスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールドルームの窓構造。
  4. 前記窓枠は、全ボルトのヘッド側を覆うカバー部材を取り外し可能に備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールドルームの窓構造。
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