JP2014192251A - 波長変換部材およびこれを用いた半導体発光装置 - Google Patents

波長変換部材およびこれを用いた半導体発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】特に外観向上と発光輝度維持を両立する光学特性を発現する波長変換部材およびこれを用いた半導体発光装置を提供することを課題とする。
【解決手段】入射光の少なくとも一部を波長変換して、該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、該入射光の少なくとも一部を吸収して該入射光とは異なる波長の出射光を放出する少なくとも1種の蛍光体と、該蛍光体を保持する樹脂とを含む、面状構造を有するものであって、該面状構造の少なくとも一部に凹凸を有し、該凹凸の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上、1.5μm以下であることを特徴とする波長変換部材により課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は波長変換部材に関し、特に、半導体発光装置に好ましく適用される波長変換部材に関する。
半導体発光素子を用いた発光装置は、省エネルギー発光装置としてその存在感が高まっている。近年では、半導体発光装置として、半導体発光素子を含む半導体ボディーと、波長変換材料を含む光学素子とが別個にされ、半導体ボディーと光学素子とが間隔をあけて配置された構成を有するものが知られている(例えば特許文献1)。
一般にリモートフォスファー技術と称されるこのような半導体発光装置においては、励起源の青色光を発生する半導体発光素子と、波長変換する蛍光体を含む波長変換部材とが空間的に離れて設置されることで、蛍光体の劣化を抑制することができる。特に出力が大きいパワーデバイスの場合には、励起源から発せられる励起光のエネルギーが高いため蛍光体の劣化が激しいことから、このような技術が好ましく適用される。
また、リモートフォスファー技術を用いた半導体発光装置を、励起源を発生する半導体発光素子と波長変換部材とが空間的に近接している発光装置と比較すると、該波長変換部材の設置位置が発光装置の最外近傍へ配備され、また波長変換部材の面積が大きいといった点も一般的な特徴として挙げられる。
このことから、例えば照明装置としてリモートフォスファー技術を用いた半導体発光装置の場合には、波長変換部材が外部から容易に視認可能となり、外観上好ましい色調がより強く望まれている。
従来から、リモートフォスファー技術の有無に関わらず、蛍光体が含まれる波長変換部材は蛍光体由来の色調を有しており、その外観向上に関して種々検討されている。
特許文献2、3には、励起源を発生する半導体発光素子と波長変換部材とが空間的に近接している発光装置において、波長変換部材の外側に新たに光拡散能を有する透光部材を設けることで、外観向上させることが開示されている。
特許文献3、4、5には、波長変換部材の上層に、光拡散性の層や波長変換部材とは異なる色調の層を設けることで、波長変換部材の外観を向上することが開示されている。
また、通常スリガラスのような表面に微細な凹凸を有する透光部材は、その凹凸により光散乱性を有することが知られており、均質な発光を得る目的などで照明カバーなどにスリガラスやスリガラス状の表面凹凸を有する透光性樹脂等を用いることも行われている。
特表2009−506557号公報 特開2011−9480号公報 国際公開第2010/048935号パンフレット 欧州特許出願公開第1906462号公報 特開2009−16779号公報
上述のように、発光装置では波長変換部材の外観向上が求められている。しかしながら、リモートフォスファー技術を用いる半導体発光装置において、最外部近傍へ設置されている波長変換部材のさらに外側へ、新たに光拡散能を有する透光部材を設置すると、発光装置が大型化してしまい、装置として好ましくない。また、大型化を防ぐ目的で、励起源を発生する半導体発光素子と波長変換部材との空間を小さくすると、リモートフォスファー技術の特徴である蛍光体の劣化を抑制する効果が十分に得られないという問題がある。
本発明者らが鋭意検討したところ、波長変換部材の外観向上のために、新たな層を波長変換部材の上層に設ける工程は、特に曲面形状を有するような発光装置において、均質な層を設けがたく、結果良好な光学特性が得がたくなることがわかった。さらに、リモートフォスファー技術に用いる波長変換部材において、単純に表面凹凸を設けると輝度低下を招くことが判明した。
本発明は、このような課題を解決するものであり、特に外観向上と発光輝度維持を両立する光学特性を発現する波長変換部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、リモートフォスファー技術に用いる波長変換部材は、波長変換部材のある特定の表面粗さ範囲においては、外観向上と発光輝度維持を両立しうる光学特性を発現することを見出し、本発明に至った。
本発明の第一の実施態様は、入射光の少なくとも一部を波長変換して、該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、該入射光の少なくとも一部を吸収して該入射光とは異なる波長の出射光を放出する少なくとも1種の蛍光体と、該蛍光体を保持する樹脂とを含む、面状構造を有するものであって、該面状構造の少なくとも一部に凹凸を有し、該凹凸の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上、1.5μm以下であることを特徴とする波長変換部材である。
前記波長変換部材は、前記凹凸を有する面が、前記面状構造のいずれか一方の面であることが好ましい。
前記波長変換部材は、前記凹凸が、有機溶剤との接触により設けられることが好ましく、また、前記凹凸が、樹脂組成物を成形する工程において、凹凸を設けた型に注型することで設けられることも好ましい。
前記波長変換部材は、前記少なくとも1種の蛍光体が、少なくとも1種の黄色蛍光体および少なくとも1種の赤色蛍光体であることが好ましい。
前記波長変換部材は、前記樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂がポリカーボネートであることが好ましい。
本発明の第二の実施態様は、前記波長変換部材と半導体発光素子とを含み、該波長変換部材と該半導体発光素子とが離間している半導体発光装置である。
前記発光装置は、前記波長変換部材の前記凹凸を有する面状構造が、発光装置における光の出射面のみに存在することが好ましい。
前記発光装置は、前記波長変換部材と前記半導体発光素子との間に透明樹脂を備えていることが好ましく、また、前記波長変換部材と前記半導体発光素子との間に空間を有して
いることも好ましい。
本発明の第一の実施態様により、発光装置に適用した際に、外観向上と発光輝度維持を両立する光学特性を発現する波長変換部材を提供することができる。
本発明の第二の実施態様は、半導体発光素子および上記第一の実施態様に係る波長変換部材を用いた発光装置である。
本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。 本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。
<1−1.波長変換部材>
本発明の第一の実施態様は、入射光の少なくとも一部を波長変換して、該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、該入射光の少なくとも一部を吸収して該入射光とは異なる波長の出射光を放出する少なくとも1種の蛍光体と、該蛍光体を保持する樹脂とを含む、面状構造を有するものであって、該面状構造の少なくとも一部に凹凸を有し、該凹凸の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上、1.5μm以下であることを特徴とする波長変換部材に関する。
本実施態様に係る波長変換部材とは、入射光の少なくとも一部を波長変換して、前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、前記入射光の少なくとも一部を波長変換して、前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体を含む。前記蛍光体は、樹脂等の可視光において吸収の少ない透明または半透明材料に分散等されていることが好ましい。また、該波長変換部材は、含有する透明材料等により自立した形状を保持している場合もある。さらに別の態様として、ガラス等の透明基板に蛍光体を必要に応じて樹脂等に混合して塗布したものであってもよい。
本実施態様の波長変換部材は、蛍光体と該蛍光体を保持する樹脂とを含む面状構造を有するものである。
面状構造とは、発光装置において発光面となる部分を意図しており、例えば波長変換部材が発光装置に備えられた際、その端部などにみられる他の部材との結合部・接合部・噛合部ではなく、波長変換部材中央近傍に位置する、主として励起光を受光して外部へ光を出射し得る箇所をいう。
図1を用いて説明すると、図1中の波長変換部材3における一点鎖線部はいずれも面状構造部分である。一方、波長変換部材3における配線基板2近傍部分については、面状構造ではない。
本実施態様の波長変換部材は、蛍光体と該蛍光体を保持する樹脂とを含む面状構造を有するものであって、該面状構造の少なくとも一部に凹凸を有するものであり、該面状構造の主要部に凹凸を有することが好ましく、波長変換部材の面状構造の全部に凹凸を有することがより好ましい。
ここで該面状構造の主要部とは、半導体発光装置に組み込んだ際に光を放出する前記面状構造のうち、主要となる光放出部分を意味する。
使用する蛍光体や樹脂の種類、添加剤の種類によるほか、面状構造に特定の表面粗さ範囲にある凹凸を設けて光を拡散させることにより、外観を向上させ、かつ、発光輝度を維持することができる。
該面状構造において、凹凸を有する面は両面でも片面でもよいが、入射光および出射光
による全体の光拡散性の調節が容易であることから、該凹凸を有する面は片面のみであることが好ましい。
<1−2.表面性状>
本実施態様の波長変換部材は、蛍光体と該蛍光体を保持する樹脂とを含む面状構造を有するものであって、該面状構造の少なくとも一部に適度な凹凸を有するものである。一般的に、波長変換部材の外観および発光輝度は、波長変換部材を透過した入射光と、該波長変換部材において該入射光が変換され、該入射光とは異なる波長で出射される出射光との合成光により規定される。本実施態様では、上述したように、該波長変換部材に特定の表面粗さ範囲にある凹凸を設けて光を拡散させることにより、外観を向上させ、かつ、発光輝度を維持することができる。
<1−2−1.算術表面粗さ(Ra)>
波長変換部材における凹凸表面性状を示す指標の一つとして、算術表面粗さ(Ra)を用いることができる。Raとは、平均線から絶対値偏差の平均値である。Raを測定する方法は常法に従えばよく、特段限定されないが、例えば触針式表面粗さ計や、原子間力顕微鏡(AFM)、レーザー顕微鏡などを用いた方法が挙げられる。特に同時に三次元画像やエッチング面等の微細構造を得る場合にはAFMを用いてもよく、実像に近い画像を得る場合にはレーザー変位計を用いてもよい。
面状構造に凹凸を設けて光を拡散させることにより、波長変換部材の外観を向上させるためには、Raは通常0.5μm以上、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。一方で、面状構造の凹凸による光の過剰拡散を防ぎ、発光輝度を維持するためには、Raは通常1.5μm以下、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.8μm以下である。
Raは波長変換部材の表面に凹凸を設ける表面加工によって調節できる。Raを調節する方法は特段限定されないが、例えば、発光装置における波長変換部材の表面を有機溶剤で処理することにより形成することが好ましく、また、後に詳述する樹脂組成物の成形工程において、凹凸を設けた型に注型することで形成することも好ましい。このような表面加工方法については後に詳述する。
樹脂に無機や有機の球状、粒状、繊維状、平板状等の各種充填材を配合する場合は、充填材の種類、大きさ、配合量、樹脂中での分散状態を最適化することによって、所望の凹凸を形成することも可能である。
また、波長変換部材を成形する際の成形条件を調整することによっても可能である。例えば、射出成形で波長変換部材を成形する場合は、成形温度、射出速度、射出圧力、金型温度等を最適化することによって、所望の凹凸を形成することができる。
さらに、成形体に、サンドプラスト等の手法を用いて、研磨、研削、切削等の後処理を施すことによっても、所望の凹凸を付与することが可能である。
上記Raのほかに、波長変換部材の表面性状を示す指標としては、例えば、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、局部山頂の平均間隔(S)などが挙げられる。
これらの値を測定する方法は常法に従えばよく、特段限定されないが、上記同様に、例えば触針式表面粗さ計や、原子間力顕微鏡(AFM)、レーザー顕微鏡などを用いた方法が挙げられる。特に同時に三次元画像やエッチング面等の微細構造も得る場合にはAFMを用いてもよく、実像に近い画像を得る場合にはレーザー変位計を用いてもよい。以下、詳細を説明する。
<1−2−2.凹凸の平均間隔(Sm)>
凹凸の平均間隔(Sm)とは、粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山−谷周期
の間隔の平均値である。すなわち、Smが大きいほど凹凸の目が粗く、小さいほど凹凸の目が細かい。面状構造に凹凸を設けて光を拡散させることにより、波長変換部材の外観を向上させるためには、Smは通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。一方で、面状構造の凹凸による光の過剰拡散を防ぎ、発光輝度を維持するためには、Smは通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。
<1−2−3.局部山頂の平均間隔(S)>
局部山頂の平均間隔(S)とは、隣り合う局部山頂間の間隔の平均値である。すなわちSが大きいほど凹凸の数は少なく、Sが小さいほど凹凸の数は大きい。面状構造に凹凸を設けて光を拡散させることにより、波長変換部材の外観を向上させるためには、Sは通常500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。一方
で、面状構造の凹凸による光の過剰拡散を防ぎ、発光輝度を維持するためには、Sは通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
<1−3.蛍光体>
本実施態様に係る蛍光体樹脂組成物は蛍光体を含む。含まれる蛍光体の種類は適宜選択されるが、無機蛍光体である事が好ましい。特にガーネット系蛍光体、酸窒化物蛍光体、及び窒化物蛍光体からなる群から選択される蛍光体を1種以上含むことが好ましい。赤色(橙色)、緑色、青色、黄色蛍光体については、代表的な蛍光体として下記のものが挙げられる。
<1−3−1.赤色蛍光体>
赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常565nm以上、好ましくは575nm以上、より好ましくは580nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
赤色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常1nm〜120nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような赤色蛍光体として、例えば、特開2006−008721号公報に記載されているCaAlSiN:Eu(本願明細書で「CASN」と記載することもある。)、特開2008−7751号公報に記載されている(Sr,Ca)AlSiN:Eu、特開2007−231245号公報に記載されているCa1−xAl1−xSi1+x3−x:Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体等や、特開2008―38081号公報(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu(以下、「SBS蛍光体」と略称することがある。)を用いることも可能である。
そのほか、赤色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu等のEu付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、(Y,La,Gd,Lu)S:Eu等のEu付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW:Eu、LiW:Eu,Sm、Eu、Eu:Nb、Eu:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Eu、LiY(SiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al
12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、BaMgSi:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO2:Mn等の
Mn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−x−yScCe(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGe12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることもできる。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、赤色蛍光体として、赤色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の赤色蛍光体(以下、「狭帯域赤色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができるし又は他の赤色蛍光体、特に赤色発光スペクトルの半値幅が50nm以上の赤色蛍光体と混合して用いることができる。そのような赤色蛍光体としては、A2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)で表されるKSF、KSNAF、及びKSFとKSNAFの固溶体、(k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+(ただし、式中、kは2.8〜5の実数であり、xは0.1〜0.7の実数であり、yは0.005〜0.015の実数であり、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)の化学式で示される、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のマンガン活性の深赤色(600nm〜670nm)ジャーマネート蛍光体、(La1−x−y,Eu,LnS(x及びyは、それぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)の化学式で示されるLOS蛍光体等が挙げられる。
また、国際公開WO2008−096300号公報に記載されているSrAlSiや、米国特許7524437号公報に記載されているSrAlSi14:Euを用いることもできる。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、CASON蛍光体、SBS蛍光体が好ましい。
以上に例示した赤色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−3−2.緑色蛍光体>
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
緑色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常1nm〜80nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0mμ以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような緑色蛍光体として、例えば、国際公開WO2007−091687号公報に記載されている(Ba,Ca,Sr,Mg)SiO:Eu(以下、「BSS蛍光体」と略称することがある。)で表されるEu付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、例えば、特許第3921545号公報に記載されているSi6−zAl8−z:Eu(但し、0<z≦4.2である。以下、「β−SiAlON蛍光体」と略称することがある。)等のEu付活酸窒化物蛍光体や、国際公開WO2007−088966号公報に記載されているMSi12:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表す。以下、「BSON蛍光体」と略称することがある。)等のEu付活酸窒化物蛍光体や、特開2008−274254号公報に記載されているBaMgAl1017:Eu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体(以下、「GBAM蛍光体」と略称することがある。)を用いることも可能である。
その他の緑色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu等のEu付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)(Sc,Y,Lu,Gd)(Si,Ge)24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、MSi:Eu等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることもできる。
また、国際公開WO2009−072043号公報に記載されているSrAlSi2135:Euや、国際公開WO2007−105631号公報に記載されているSrSi13Al21:Euを用いることもできる。
以上の中でも、緑色蛍光体としては、BSS蛍光体、β−SiAlON蛍光体、BSON蛍光体が好ましい。
以上に例示した緑色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、緑色蛍光体として、緑色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の緑色蛍光体(以下、「狭帯域緑色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができる。
<1−3−3.青色蛍光体>
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460以下の波長範囲である。
青色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常10nm〜100nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような青色蛍光体として、例えば、(Ca,Sr,Ba)(POCl:Euで表されるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al24:Euまたは(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、SrAl1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu,Tb,Sm付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
このうち、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+、BaMgAl1017:Euを好ましく用いることができる。また、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+で示される蛍光体のうち、SrBaEu(POCl(c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数であり、xは好ましくは0.3≦x≦1.0である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0.05≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足するものであり、b/(a+b)は好ましくは0.1≦b/(a+b)≦0.6である。)で示される蛍光体を
好ましく用いることができる。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、青色蛍光体として、青色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の青色蛍光体(以下、「狭帯域青色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができる。
<1−3−4.黄色蛍光体>
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲である。黄色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常80nm〜130nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、特に好ましくは10μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような黄色蛍光体として、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)やMaMbMc12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表す。)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AEMdO:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mdは、Si、及び/又はGeを表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN構造を有する窒化物系蛍光体をCeで付活した蛍光体が挙げられる。
これらの中で、ガーネット系蛍光体は好ましく用いられるが、その中でも特にYAl12:Ce(本願明細書で「YAG」と記載することもある。)が好ましく用いられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa:Eu、(Ca,Sr)Ga:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al):Eu等の硫化物系蛍光体、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体、(M1−A−BEuMn(BO1−P(POX(但し、Mは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、F、Cl、及びBrからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。A、B、及びPは、各々、0.001≦A≦0.3、0≦B≦0.3、0≦P≦0.2を満たす数を表す。)等のEu付活又はEu,Mn共付活ハロゲン化ホウ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属元素を含有していても良い、LaSi11構造を有するCe付活窒化物系蛍光体等を用いることも可能である。なお、前述のCe付活窒化物系蛍光体は、その一部がCaやOで一部置換されていても良い。
<1−3−5.蛍光体混合物>
蛍光体は1種または2種以上の混合物であっても良く、平均一次粒径(平均重量メディアン径)は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、特に好ましくは10μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。0.1μm以下であると、蛍光体自体の発光効率が低く、LED発光装置としての発光効率が低下するため好ましくなく、30μm以上であると、鉄元素含有量を低減するのが困難で、また樹脂マトリクス中で沈降等を起こしやすく均質な蛍光体樹脂組成物が得られないため好ましくない。
平均重量メディアン径は、用いられる1種以上の蛍光体混合物の重量メディアン径であり、2種以上の蛍光体の場合は、あらかじめ蛍光体を混合した後に、重量メディアン径を測定する。
本発明において、蛍光体を混合物で用いる場合は、少なくとも1種の黄色蛍光体および少なくとも1種の赤色蛍光体を用いることが好ましい。
本実施態様では、成形体中の蛍光体含有量は1.0重量%以上が好ましく、2.0重量%以上がより好ましく、2.5重量%以上がさらに好ましい。一方20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。
蛍光体含有量が1重量%未満だと、蛍光体の量が少なく、LED発光装置としての十分な光量が得がたく好ましくなく、20重量%より多いと、鉄元素含有量低減が困難となり、結果、LED発光装置としての発光効率が低下し好ましくない。
蛍光体は、上記熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂と混合され、混練したものを成形することで、本実施態様に係る成形体となる。また、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を溶融し、蛍光体を加えて混練した後、成形することでも本実施態様に係る成形体となる。
蛍光体含有量は、蛍光体樹脂組成物中においても1.0重量%以上が好ましく、2.0重量%以上がより好ましく、2.5重量%以上がさらに好ましい。一方20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。
また、本実施態様に係る蛍光体は、組成物中の鉄元素含有量を低減させる目的で、表面がコーティングされていることが好ましい。蛍光体表面をコーティングすることで、蛍光体からの鉄元素の流入を防ぐことができる。コーティング剤やその方法は公知のものを用いればよく、その中でもシランカップリング材(モノアルキルトリシラノール、ジアルキルジシラノール、トリアルキルシラノール、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン)、置換基を有するシロキサン、シリコーンなどでコーティングされていることが好ましい。
<1−4.樹脂>
本実施態様では、波長変換部材に、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の既知の蛍光体を加えることもでき、そのような態様についても本発明の範囲に含まれる。
本実施態様に係る波長変換部材は、樹脂を含む。樹脂としては、透明材料が好ましく、実質的に光を吸収することなく透過することができ、蛍光体を分散させる際に用いるものであれば特段限定されないが、1.3以上1.7以下の屈折率を有していることがより好ましい。なお、透明材料の屈折率の測定方法は、以下の通りである。測定温度は20℃であり、プリズムカプラー法にて測定する。測定波長は450nmである。
以下の表1に、透明材料として一般的に用いられる樹脂の屈折率を記載する。なお、表1における各樹脂の屈折率は一般的な参考値であり、各樹脂の屈折率が必ずしも表1における値に限定されるわけではない。
Figure 2014192251
上述した透明材料として用いられるこれらの樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂の共重合体であってもよい。
透明材料としては、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂、ガラス等を用途に応じて使用することができるが、ポリカーボネート樹脂、及びシリコーン樹脂が、透明性、耐熱性、機械的特性、難燃性に優れる点で、好ましく使用でき、汎用性の観点からポリカーボネートがより好ましく、耐熱性の観点からはシリコーン樹脂が好ましい。
以下に、ポリカーボネート樹脂について詳細に説明する。
本実施態様に用いられるポリカーボネート樹脂は、下記の一般的な化学式(1)で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 2014192251

化学式(1)中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重
合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;2,2’−オキシジエタノール(即ち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類が挙げられ、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲンや、ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメ
ート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適な、界面重合法及び溶融エステル交換法について具体的に説明する。
(界面重合法)
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、ピリジン、グアニン、グアニジンの塩等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、メルカプタン、フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール、エポキシ基含有フェノール、o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
(溶融エステル交換法)
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する
場合、その混合比率は前記の通りである。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは18,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を
測定し、下記数式(1)により算出した値である。
Figure 2014192251
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いる場合は、樹脂成分中のポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以上であることが好ましく、60重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
<1−5.添加剤>
上述した透明材料には、本発明の特性を損なわない範囲において必要に応じて公知の各種添加剤を含有させることができる。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、熱伝導性改良剤、導電性改良剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、抗菌剤、耐薬品性改良剤、強化剤、レーザーマーキング改良剤、拡散材などが挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類や量は、透明材料に対して公知の好適なものを選択することができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂に配合する好ましい添加剤について例示する。
<1−5−1.熱安定剤>
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
中でも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定性改良効果が得難く、多すぎると逆に熱安定性が低下する場合がある。
<1−5−2.酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
<1−5−3.離型剤>
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリン
ジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
<1−5−4.難燃剤>
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系、有機酸金属塩系、シリコーン系、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、窒素化合物等の有機難燃剤及び無機難燃剤、難燃助剤としては、フッ素樹脂系難燃助剤が挙げられる。
難燃剤及び難燃助剤は併用することも可能であり、また、複数を組み合わせて使用することもできる。中でも好ましいのは、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、フッ素樹脂系難燃助剤である。
リン系難燃剤としては芳香族リン酸エステルやリン原子と窒素原子の結合を主鎖に有するフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼン等のホスファゼン化合物が挙げられる。
前記芳香族リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェ−ト、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ−ト)等が挙げられる。難燃剤の含有量は、樹脂100重量部に対し、通常0.01〜30重量部である。
有機酸金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩が好ましく含フッ素の有機スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を例示できる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂
、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。窒素系化合物としては、例えば、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等が挙げられる。無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。
フッ素系難燃助剤としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましく、フィブリル構造を有するテトラフルオロエチレン樹脂が例示できる。フッ素系難燃助剤はパウダー状でもディスパージョン状でも、フッ素樹脂を別の樹脂で被覆したパウダー状でも何れの形態であってもよい。
<1−5−5.紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる傾向にある。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
<1−5−6.拡散材>
本実施態様の波長変換部材は、拡散材を含有してもよい。拡散材を含有することで、波長変換部材に光拡散性を発現させることが可能である。
拡散材を含有する場合は、無機系光拡散材、有機系光拡散材又は気泡を含有することが好ましい。
無機系光拡散材の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカ)、ホワイトカーボン、溶融シリカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、硫化亜鉛、ガラス粒子、ガラス繊維、ガラスフレーク、マイカ、ワラストナイト、ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、カオリン、チタン酸カリウム等の材料が挙げられる。
これらの無機拡散材は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン、脂肪酸含有炭化水素化合物等の各種表面処理剤で処理されたものであっても良く、表面を不活性な無機化合物で被覆されたものでもよい。
有機系光拡散材としては、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系(共)重合体、ポリアミド系(共)重合体等の材料が挙げられる。これら、有機系拡散材の分子の一部又は全部は、架橋していても架橋していなくてもよい。ここで、「(共)重合体」とは「重合体」及び「共重合体」の双方を意味する。
拡散材としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、さらに平均粒子径が1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、積算重量百分率、粒度分布計等により測定した粒子径である。
また、拡散材としては、モース硬度が8未満であることが好ましく、7未満であることが更に好ましい。このような硬度の拡散材を用いることで、成形体の変色が抑えられ、また、容器を傷つけることなく不純物が混じらない。
また、拡散材としては、その長径Lと短径Dとの比L/Dが200以下であることが好ましい。このような範囲の拡散材を用いることで、成形体の変色が抑えられ、また、容器を傷つけることなく不純物が混じらない。L/Dは50以下であることがより好ましい。
また拡散材により波長変換部材の透過率を調整する際には、例えば、平均粒子径が小さい拡散材を添加する、波長変換部材との屈折率差が大きい拡散材を添加する、あるいは、拡散材の添加量を増やすことにより波長変換部材の透過率を下げることによる調整ができる。拡散材の平均粒子径は通常100μm以下で、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは0.1〜15μm、更に好ましくは1〜5μmである。
上述した材料のうち、少量で光拡散効果を大きくするためには、透明材料の屈折率と選択した拡散材の屈折率との差が大きい材料を選ぶことが好ましい。また、発光効率を大きく低下させないためには、高い透明性を有している材料を選ぶことが好ましい。
例えば、透明材料がポリカーボネート樹脂の場合、拡散材としては架橋アクリル系(共)重合体粒子、アクリル系化合物とスチレン系化合物の共重合体の架橋粒子、シロキサン系(共)重合体粒子、アクリル系化合物とケイ素原子を含む化合物のハイブリッド型架橋粒子を用いることが好ましく、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子を用いることがより好ましい。
架橋アクリル系(共)重合体粒子としては、非架橋性アクリルモノマーと架橋性モノマーからなる重合体粒子がより好ましく、メチルメタクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが架橋した重合体粒子がさらに好ましい。シロキサン系(共)重合体としては、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子がより好ましく、ポリメチルシルセキスキオキサン粒子がさらに好ましい。
本発明においては、とりわけポリメチルシルセスキオキサン粒子が、熱安定性に優れる点で好ましい。
波長変換部材中での拡散材の分散形状は、略球状、板状、針状、不定形の何れでもよいが、光散乱効果に異方性がない点で、略球状であることが好ましい。拡散材の平均的な寸法は、通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、また、通常0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上である。拡散材の平均的な寸法が上記範囲から外れる場合は、拡散材の微妙な含有量の差異や粒子径の差異によって光拡散性が大きく変動しやすくなり、光拡散性を安定的にコントロールすることが難しくなり、本発明で必要とされる十分な光拡散性を発揮することが困難となる場合がある。また、これにより、結果的に波長変換効率を好ましい範囲で安定制御することが難しくなる可能性が生じる。ここで、拡散材の平均的な寸法とは、体積基準による50%平均寸法であり、レーザー又は回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(D50)の値である。
また、拡散材の粒径分布は、単分散系でも、幾つかのピークトップを有する多分散系であってもよく、また、1つのピークトップであって、その粒径分布が狭くても広くてもよいが、好ましくは粒径分布が狭くほぼ単一の粒径であること(単分散又は単分散に近い粒
径分布)が好ましい。
拡散材の粒子径の分布の度合いを示す指標としては、拡散材の体積基準の平均粒子径Dと個数基準の平均粒子径Dの比(D/D)がある。本願発明においては、D/Dが1.0以上であることが好ましい。一方で、D/Dが5以下であることが好ましい。D/Dが大きすぎる場合には重量が大きく異なる拡散材が存在することになり、波長変換部材中において拡散材の分散が不均一となる傾向がある。
上述した拡散材として用いられる無機系光拡散材、有機系光拡散材、及び気泡は、1種類を単独で用いてもよく、材質や寸法の異なるものを2種類以上組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合に、拡散材の屈折率は、複数の拡散材の体積平均によって算出される。
拡散材の屈折率は、1.0以上1.9以下であることが好ましい。また、拡散材は、透明性が高く、光透過性に優れることが好ましく、例えば、消衰係数が10−2以下であってもよく、好ましくは10−3以下であり、更に好ましくは10−4以下であり、特に好ましくは10−6以下である。なお、拡散材の屈折率は、YOSHIYAMAらの液浸法(エアロ
ゾル研究 Vol.9, No.1 Spring pp.44-50 (1994))によって測定することができる。測定温度は20℃、測定波長は450nmである。
以下の表2に、拡散材として一般的に用いられる材料の屈折率を記載する。なお、表2における各材料の屈折率は一般的な参考値であり、各材料の屈折率が必ずしも表2における値に限定されるわけではない。
Figure 2014192251

波長変換部材中の拡散材の含有量は、透明材料の種類にもよるが、例えば、透明材料がポリカーボネート樹脂で、拡散材がポリメチルシルセスキオキサン粒子である場合、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、また、通常10.0重量部以下、好ましくは7.0重量部以下、より好ましくは3.0重量部以下である。拡散材の含有量が少なすぎると拡散効果が不十分となり、多すぎると機械的特定が低下する場合があり好ましくない。
<1−6.波長変換部材の製造方法>
波長変換部材の製造方法は特に限定されず、公知の手法を用いればよい。例えば、透明材料がポリカーボネート樹脂の場合の一般的な製造方法は次の通りである。
<1−6−1.樹脂組成物ペレットの製造>
ポリカーボネート樹脂に蛍光体、及び必要に応じて配合される拡散材などのその他の成分を加え、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機で混合する。混合は全原料一括混合でも、幾つかの原料を分割して混合してもよい。その後に、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物ペレットを得る。
透明材料がポリカーボネート樹脂の場合で、気泡以外の拡散材を含有させる場合について、さらに詳しく好ましい条件を例示する。
ポリカーボネート樹脂と蛍光体、拡散材、その他添加剤をタンブラーミキサーで混合後、単軸或いは二軸押出機を用いて溶融混練する。溶融混練条件としては、剪段力を加え過ぎない様に、スクリューとして順送りのフライトスクリューエレメントを中心に構成されたスクリューを使用する。逆送りのフライトスクリュー、ニーディングスクリューエレメントなどの剪段力を強く負荷するスクリューエレメントの多用は、樹脂の変色を招き好ましくない。また、蛍光体が固い場合、スクリュー、シリンダーの材質として、削れ難い耐摩処理の施された材質のものを用いることが好ましい。
また、混練温度は230〜340℃の範囲が好ましい。実測樹脂温度として340℃を超えると変色しやすくなるため好ましくなく、樹脂温度が230℃未満ではポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高過ぎて押出機への機械的負荷が大きくなり好ましくない。特に好ましい混練温度は240〜300℃の範囲である。
スクリュー回転数、吐出量は生産速度、押出機への負荷、樹脂ペレットの状態を鑑みて適宜選択すればよい。また、押出機には原料と共に巻き込んだ空気、加熱により発生したガスを押出機系外に放出するベント構造を1カ所以上設置することが好ましい。
以上により得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを用いて、波長変換部材を成形する。
<1−6−2.成形>
波長変形部材の成形方法は特段限定されず、要求される仕様に従い、公知の方法により成形すればよい。例えば、シート・フィルムなどの押出成形、異型押出成形、真空成形、射出成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、回転成形、発泡成形などが挙げられる。中でも、射出成形法を採用することが好ましい。さらに、必要に応じてその成形体を更に溶着、接着、切削など加工することもできる。また、拡散材が気泡の場合は、発泡剤配合、窒素ガス注入、超臨界ガス注入などの手法により部材内に気泡を構成させればよい。
波長変換部材は、蛍光体組成物のみから成形される波長変換部材の態様でもよく、ガラスやアクリル板などの透明基板上に蛍光体組成物を塗布することで成形し、波長変換部材としてもよい。
波長変換部材の表面に凹凸を設ける表面加工方法は特段限定されないが、例えば上述した射出成形において、波長変換部材の表面に凹凸を設けるために、予め所望の凹凸を設けた型を製造しておき、その型へ融解した樹脂組成物ペレットを流し込み、固化後、型を外すことで、波長変換部材の表面に凹凸を設けてもよい。
上述した鋳型を用いる方法のほか、以下に説明するように、溶剤を使用した浸漬やブラッシングなどの方法が挙げられる。使用する溶剤は特に限定されないが、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、PGMEA、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、1-メトキシ-2プロパノールなどの有機溶剤が挙げられる。波長変換部材において有機溶剤で処理する面は、両面でも片面でもよいが、入射光および出射光による全体の光散乱性の調節が容易であることから、該凹凸を有する面は片面のみであることが好ましい。
波長変換部材を有機溶剤に所定時間浸漬し、その後乾燥させることで、波長変換部材の表面に凹凸を設けてもよい。浸漬時間は、有機溶剤の蒸気圧などにも影響されるが、通常5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましい。一方、60秒以下であることが好ましく、50秒以下であることがより好ましく、45秒以下であることがさらに好ましい。
また、有機溶剤を含浸したブラシを使用して、波長変換部材に有機溶剤を塗布し、その後乾燥させることで、波長変換部材の表面に凹凸を設けてもよい。塗布時のブラッシングの速度は、0.001cm/秒以上であることが好ましく、0.01cm/秒以上であることがより好ましく、0.1cm/秒以上であることがさらに好ましい。一方、20cm/秒以下であることが好ましく、10cm/秒以下であることがより好ましく、5cm/秒以下であることがさらに好ましい。
<2.発光装置>
本発明の第二の実施態様は、半導体発光素子および第一の実施態様に係る波長変換部材を備える発光装置である。
図1は、本実施態様に係る、波長変換部材を備えた発光装置の一例を示す模式図である。
半導体発光装置10は、その構成部材として、少なくとも青色半導体発光素子1と波長変換部材3を有する。青色半導体発光素子1は、波長変換部材3に含有される蛍光体を励起するための励起光を発する。
青色半導体発光素子1は、通常ピーク波長が425nm〜475nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が430nm〜465nmの励起光を発する。青色半導体発光素子1の数は、装置が必要とする励起光の強さにより適宜設定することが可能である。
青色半導体発光素子1の代わりに、紫色半導体発光素子を用いることもできる。紫色半導体発光素子は、通常ピーク波長が390nm〜425nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が395〜415nmの励起光を発する。
青色半導体発光素子1は、配線基板2のチップ実装面2aに実装される。配線基板2には、これら青色半導体発光素子1に電極を供給するための配線パターン(図示せず)が形成され、電気回路を構成する。図1中、配線基板2に波長変換部材3が載っているように表示されているがこの限りではなく、配線基板2と波長変換部材3が他の部材を介して配置されていてもよい。
例えば図2では、配線基板2と波長変換部材3が、枠体4を介して配置される。枠体4は、光に指向性を持たせるために、テーパ状になっていてもよい。また、枠体4は反射材であってもよい。
配線基板2は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率が高いことが好ましいが、配線基板2のチップ実装面上で青色半導体発光素子1の存在しない面上、もしくは配線基板2と波長変換部材3を接続する他の部材の内面の少なくとも一部に反射率の高い反射板を設ける事もできる。このような配線基板もしくは反射板の反射率としては、80%以上であることが好ましい。このような配線基板としては、アルミナ系セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などを用いることができる。また、配線基板2のチップ実装面2a上に設置する反射板としては、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの白色顔料を含む樹脂を用いることができる。好ましい樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂等をあげることができる。
波長変換部材3は、青色半導体発光素子1が発する入射光の一部を波長変換し、入射光とは異なる波長の出射光を放射する。波長変換部材3は、透明材料、及び蛍光体を含有し、通常黄色蛍光体を含有し、好ましくは赤色蛍光体を含有する。蛍光体が分散される樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
また、波長変換部材3中には、蛍光体とともに、少量の拡散材を含有させることが好ましい。拡散材としては、無機系光拡散材、有機系光拡散材又は気泡が挙げられる。拡散材としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
また、波長変換部材3は、青色半導体発光素子1との間に距離を有する。このように、波長変換部材3と青色半導体発光素子1との間は、空間であってもよく、透明樹脂が備えられていてもよい。波長変換部材3と青色半導体発光素子1との間に距離を有する態様により、青色半導体発光素子1が発する熱によって波長変換部材3及び波長変換部材に含まれる蛍光体の劣化を抑制することができる。青色半導体発光素子1と波長変換部材3との間の距離は、10μm以上が好ましく、100μm以上がさらに好ましく、1.0mm以上が特に好ましい、一方、波長変換部材3と青色半導体発光素子1との距離が大きくなりすぎると、波長変換部材の発光面積が拡大し、蛍光体使用量が増大してしまうため、波長変換部材3と青色半導体発光素子1との距離は、1.0m以下が好ましく、500mm以下がさらに好ましく、100mm以下が特に好ましい。
さらに、波長変換部材3における凹凸を有する面状構造は、発光装置における光の出射面のみに存在していてもよい。半導体発光素子から発せられた光が波長変換部材へ入射する際の光散乱の効果が小さく、一方、該波長変換部材から出射する際の光散乱の効果が大きいため、より均質で十分な発光特性が得られるためである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施態様にのみ限られないことはいうまでもない。
以下に示す蛍光体、樹脂、拡散材を準備した。
<原料>
(蛍光体)
蛍光体A:三菱化学社製 BY−201
蛍光体B:三菱化学社製 BR−102
蛍光体C:三菱化学社製 BR−101
(樹脂)
ポリカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロンS3000
(拡散材)
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 トスパール120
<混練>
表3に示す重量比(%)で各材料を総重量50gとなるように秤量し、東洋精機社製ラボプラストミル10C−100、ミキサータイプ(R60)を用いて260℃、100rpmで5分間溶融混練し、それぞれ組成物A、組成物Bとなる蛍光体含有ポリカーボネートを得た。
Figure 2014192251
<プレス>
蛍光体含有ポリカーボネートを120℃で2時間真空乾燥後、熱プレス成型機(例えば井元製作所社製)を用いて260℃、2MPaで、2分溶融プレスした。続いて水冷プレス機(例えば井元製作所社製)を用いて20℃、1MPaで5分間冷却し、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートから15mmφの円板形状で試験片を打ち抜いた。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
15mmΦ平板試験片を表4に示す有機溶剤、接触面および接触時間で接触処理し、空気中で5分間静置乾燥することで、それぞれ表面凹凸形状を設けた。
有機溶剤との接触方法は、実施例1、2および比較例1においては、静置状態にて接触させ、実施例3においては、アセトンを含浸したブラシを用いて1cm/秒の速度で試験片上を塗布することで接触させた。
Figure 2014192251
各試験片に対して、KEYENCE社製ダブルスキャン高精度レーザー測定器LT−9000および高精度形状測定システムKC−1100を用いて、表面形状を測定し、算術平均粗さRaを求めた。さらに、ミノルタ社製色差計CR−300を用いて、D65光照射下での波長変換部材外側の色彩を測定した。その結果を表5にまとめた。
Figure 2014192251
表5より、表面処理を行った試験片は処理時間に応じて一般的な白色(CIE−x=0.33、CIE−y=0.33)の色彩値に近い値を示し、波長変換部材の体色が白色へと変化していることがわかる。
<光学特性測定方法>
表面凹凸を設けた15mmφの円板試験片に対して、LEDチップ(ピーク波長450nm)から発光させた青色光を照射することで白色光を得ることができる発光装置を作製した。その装置から発光スペクトルをSphereOptics社製20inch積分球およびOceanOptics社製分光器USB2000を用いて観測し、色度、光束(Lumen)、演色指数(CRI)を計測した。測定結果を表6に示す。なお、該発光装置において、LEDチップと試験片との距離は30mmであった。
Figure 2014192251
表5および表6からわかるように、表面処理した波長変換部材外側の、算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以上1.5μmの範囲にある試験片においては、白色に近い外観を有しており、かつLumen、CRIの低下が同一の発光色度を呈する未処理の試験片に対しても見られず、高い値を維持できている。すなわち、本発明にかかる波長変換部材は、光特性の低下なく外観向上することが示されている。
10 発光装置
1 青色半導体発光素子
2 配線基板
2a チップ実装面
3 波長変換部材
4 枠体

Claims (11)

  1. 入射光の少なくとも一部を波長変換して、該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、
    該波長変換部材は、該入射光の少なくとも一部を吸収して該入射光とは異なる波長の出射光を放出する少なくとも1種の蛍光体と、該蛍光体を保持する樹脂とを含む、面状構造を有するものであって、
    該面状構造の少なくとも一部に凹凸を有し、該凹凸の算術平均粗さ(Ra)が、0.5μm以上、1.5μm以下であることを特徴とする波長変換部材。
  2. 前記凹凸を有する面が、前記面状構造のいずれか一方の面である、請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記凹凸が、有機溶剤との接触により設けられる、請求項1または2に記載の波長変換部材。
  4. 前記凹凸が、樹脂組成物を成形する工程において、凹凸を設けた型に注型することで設けられる、請求項1または2に記載の波長変換部材。
  5. 前記少なくとも1種の蛍光体が、少なくとも1種の黄色蛍光体および少なくとも1種の赤色蛍光体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  7. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネートである、請求項6に記載の波長変換部材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の波長変換部材と半導体発光素子とを含み、該波長変換部材と該半導体発光素子とが離間している、半導体発光装置。
  9. 前記波長変換部材の、前記凹凸を有する面状構造が、発光装置における光の出射面のみに存在する、請求項8に記載の発光装置。
  10. 前記波長変換部材と前記半導体発光素子との間に透明樹脂を備えている、請求項8または9に記載の発光装置。
  11. 前記波長変換部材と前記半導体発光素子との間に空間を有している、請求項8または9に記載の発光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016103576A (ja) * 2014-11-28 2016-06-02 三菱樹脂株式会社 蛍光体含有シリコーンシート及び発光装置
JP2016180023A (ja) * 2015-03-23 2016-10-13 日亜化学工業株式会社 蛍光体粒子及びその製造方法並びに発光装置
US11535748B2 (en) * 2019-09-20 2022-12-27 Trinseo Europe Gmbh Matte polycarbonate compositions, articles and method to make them

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