JP2014188697A - 印刷装置、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】用紙が片側支持となっている状態でも、所期の印刷品質を確保することが可能な印刷装置を提供すること。
【解決手段】プリンター100によれば、搬送ローラー16に近い側に基準穴1が位置し、給紙ローラー12に近い側に長穴5が位置するように、吐出ヘッド10が取り付けられている。これにより、用紙99が片側支持となっている状態において、自由端となっている側に、吐出ヘッド10における位置精度が良い部位(ノズル群)が位置することになる。従って、片側支持状態において、位置精度が甘くなる用紙99の自由端側に、吐出ヘッド10の精度が良い側が位置することになるため、位置精度を補完することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、印刷装置、および印刷装置の製造方法に関する。
従来、圧電振動子をアクチュエーターとして用いた印刷用の吐出ヘッドが知られている。例えば、特許文献1には、セラミック積層板からなる圧電振動子や、ステンレス板(金属板)などを積層した構成の液体移送装置(駆動ユニット)の製造方法が開示されている。この駆動ユニットは、吐出ヘッドを構成する部位の一つであり、当該駆動ユニットと、所定のピッチで配置された複数のノズル(ノズル列)が形成されたノズルプレートを含む流路ユニットとを貼り合わせて吐出ヘッドを構成していた。なお、ノズルプレートとしては、樹脂板(ポリイミド樹脂)を用いるとしている。
他方、特許文献1のように、セラミック積層板や、金属板、樹脂板などの異なる材料を積層した構成では、製造効率が良いとはいえず、信頼性にも不安があった。詳しくは、材料ごとに専用の加工工程が必要となるばかりでなく、精密な位置合わせ工程を含む貼り合せ(接着)工程も必要であり、工程が複雑であった。さらに、各材料の熱膨張率も異なるため、貼り合せ後の温度変化に伴なう剥離(亀裂)が生じてしまう懸念もあった。
そこで、駆動ユニット、および流路ユニットを共にセラミック材料で形成することが考えられる。この場合、各ユニットを構成する複数のシート部材を、それぞれグリーンシートから加工しておき、これらを重ね合わせて一体化(積層)した後、焼成することにより、吐出ヘッドを構成する。この構成によれば、高解像度の吐出ヘッドを効率良く製造することができる。
このような吐出ヘッドを用いるプリンターでは、用紙を供給する給紙ローラーと、用紙を送り出す(排出する)搬送ローラーとの間に、吐出ヘッドを配置していた。これは、用紙の搬送経路において、上流側と下流側との両端が支持された状態の用紙に印刷することが印刷品質の確保に大切だからである。他方、用紙の供給開始から先端が搬送ローラーに到達するまでの間は、用紙が給紙ローラーだけで片側支持される状態となるため、両方が支持された状態に比べて、印刷品質が悪くなってしまうという問題があった。
特開2005−119289号公報
そこで、片側だけで支持された状態での印刷品質を向上させることを課題とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
(適用例)
基板表面と平行な2次元方向で位置決めを行う第1位置決め部と、基板表面と平行な1次元方向で位置決めを行う第2位置決め部と、を有する基板を含む吐出ヘッドと、吐出ヘッドに対向する印刷位置に複数回の液体吐出動作にわたって用いられる連続媒体を支持し、印刷位置の上流側に位置する第1支持部と、連続媒体が印刷位置を通過した後に、下流側で連続媒体を支持し、搬出する第2支持部と、を備え、吐出ヘッドは、第2支持部に近い側に第1位置決め部が位置し、第1支持部に近い側に第2位置決め部が位置するように配置されていることを特徴とする印刷装置。
本適用例によれば、用紙(連続媒体)が第1支持部(給紙ローラー)だけで片側支持される状態において、用紙の自由端となっている側に、吐出ヘッドにおける位置精度が良い部位(ノズル群)が位置することになる。詳しくは、第2支持部(搬送ローラー)に近い側に第1位置決め部(基準穴)が位置し、第1支持部(給紙ローラー)に近い側に第2位置決め部(長穴)が位置するように、吐出ヘッドが配置される。なお、好適例において基準穴(長穴)は、吐出ヘッドの製造工程における基準穴としても用いられており、基準穴と複数のノズル穴(ノズル列)との位置精度は確保されている。
よって、片側支持状態において、位置精度が甘くなる用紙の自由端側に、吐出ヘッドの精度が良い側が位置することになるため、位置精度を補完することができる。
従って、用紙が片側支持となっている状態においても、所期の印刷品質を確保することが可能な印刷装置を提供することができる。
また、第1支持部、および第2支持部は、連続媒体を挟持するローラーであることが好ましい。
また、吐出ヘッドは、所定のピッチで配置された複数のノズルを有し、第1位置決め部は、丸穴からなる基準穴を有し、第2位置決め部は、長穴を有し、平面的に、基準穴と長穴との間に、複数のノズルからなるノズル列が配置されていることが好ましい。
また、連続媒体は、ロール紙又は折り畳み紙から供給される連続用紙であることが好ましい。
吐出ヘッドと、吐出ヘッドに対して、印刷媒体が間隙を持って対向するように、印刷媒体を吐出ヘッドの上流側で支持し、上流側から供給する第1支持部と、吐出ヘッドに印刷媒体が対向するように、印刷媒体を吐出ヘッドの下流側で支持する第2支持部と、を備えた印刷装置の製造方法であって、第2支持部に近い側に第1位置決め部が位置し、第1支持部に近い側に第2位置決め部が位置するように、吐出ヘッドを配置することを特徴とする印刷装置の製造方法。
実施形態1に係る印刷装置の主要部を示す斜視図。 印刷ヘッドユニットの概略構造を示す分解斜視図。 吐出ヘッドの概略構造を示す分解斜視図。 (a),(b)主走査方向における吐出ヘッドの側断面図。 吐出ヘッドの製造方法の流れを示すフローチャート図。 吐出ヘッドの平面図。 吐出ヘッドの配置方向に関する説明図。 変形例1に係る吐出ヘッドの平面図。 変形例2に係る吐出ヘッドの平面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
(実施形態1)
《印刷装置の概要》
図1は、印刷装置の主要部を示す斜視図である。なお、図1では、印刷機構が観察できるように、外装ケースを省略している。
まず、本実施形態に係る印刷装置としてのプリンター100の概要について説明する。プリンター100は、ロール紙55から供給される連続媒体(用紙99)に対して印刷を連続的に行うインクジェット式プリンターである。プリンター100は、カラー印刷を行うための3色(シアン、マゼンタ、イエロー)のインクが充填されたカートリッジ81〜83、および黒インクが充填されたカートリッジ84の計4つのカートリッジを備えている。4つのカートリッジ81〜84は、主走査方向91に往復して印刷動作を行うキャリッジ2にセットされている。キャリッジ2の底面(用紙99側)には、4つの吐出ヘッド(図示せず)を備えた印刷ヘッドユニット3が配置されている。
図2は、印刷ヘッドユニットの概略構造を示す分解斜視図である。図2に示すように、印刷ヘッドユニット3は、これらの4つのカートリッジ81〜84にそれぞれに対応した、各色用の4つの吐出ヘッド10を一体化した部位である。詳しくは、ケース21に、4つの吐出ヘッド10を並べてセットし、金属製の固定板22、およびヘッドカバー23で固定して一体化している。固定板22、およびヘッドカバー23には、吐出ヘッド10のインク吐出面(ノズル列)に対応した開口部24,25(穴)が形成されている。また、ケース21の上側(カートリッジ側)には、各カートリッジからのインクを対応する吐出ヘッド10に導入するための4つのインク針65〜68を備えた板状の針ホルダー26が設けられている。
図1に戻る。
図1において、主走査方向91と略直交し、用紙99が搬送(移動)される方向を副走査方向92という。用紙99は、搬送方向の上流側に配置された給紙ローラー12から送り出されて、印刷ヘッドユニット3で印刷された後、下流側の搬送ローラー16で送り出される。なお、用紙は、連続用紙であれば良く、例えば折り畳み用紙であっても良い。
ここで、吐出ヘッドは、下流側に吐出精度の良い部分(基準穴側)が位置し、上流側に普通の吐出精度部分(長穴側)が位置するように配置されている。
この構成により、用紙99が片側支持となっている状態においても、所期の印刷品質を確保することを実現している。以下、この構成について、および当該構成を実現するための方法について詳しく説明する。
《プリンターの構成および印刷動作》
引き続き、プリンター100の構成および印刷動作について説明する。
キャリッジ2は、主走査方向91に沿って延在するキャリッジ軸13に移動可能に取り付けられており、背面のタイミングベルト14から伝達される駆動力で主走査方向91に沿って往復運動(印刷動作)を行う。また、用紙99を介して、印刷ヘッドユニット3と相対する部分には、用紙99を支えるプラテン15が設けられている。
連続媒体は、前述したように、ロール紙55から供給される長尺用紙である用紙99を用いている。なお、図1では、給紙系として、ロール紙55、給紙ローラー12の2つの部位を示しているが、実際には、両者の間に中間ローラー(図7)が介在している。ロール紙55の場合、初期状態と、終了間際とで自重が変化したり、サイズ(幅)によっても重さが変化するため、ロール紙55の駆動軸を含めて給紙系で3つのローラー構成(駆動制御含む)を採用して、用紙99の送り出し(給紙)精度を確保している。
給紙ローラー12は、対となる追従ローラー(図示せず)との間で用紙99を支持し、紙送りを行う。紙送りされた用紙99の先端が、印刷ヘッドユニット3の液体吐出位置(ノズル列)に対向する印刷位置に入ると、キャリッジ2が主走査方向91に走査するとともに、印刷ヘッドユニット3からインクが吐出される。これにより、バンド長さ(ノズル列長さ)に応じた帯状の印刷が行われる。ここで、用紙99の先端が搬送ローラー16に到達するまでの間は、用紙99が給紙ローラー12による片側支持となる。
印刷動作が継続されて、用紙99の先端が搬送ローラー16に到達すると、用紙99が給紙ローラー12と、搬送ローラー16との両側支持となる。この状態が用紙99の位置精度において最も好ましい状態である。なお、搬送ローラー16も、対となる追従ローラー17との間で用紙99を支持し、紙送りを行う。追従ローラー17は、印刷済みの紙面を走査するため、接触を少なくするために、ギザギザの歯車状をなした薄い金属板から構成されている。
所定の長さの印刷が終了すると、搬送ローラー16の下流に配置されたカッター(図示せず)により切断されて、長尺の印刷物が完成する。
その後、ロール紙55の駆動軸を逆回転させてロール紙55を巻き戻し、ロール紙55の先端を印刷位置上流の待機位置まで移動させる。
《吐出ヘッドの構成》
図3は、吐出ヘッドの概略構造を示す分解斜視図である。
吐出ヘッド10は、インクを噴射(吐出)するインクジェット式記録ヘッドであり、駆動ユニット8と、流路ユニット9とを積層した構成となっている。ここで、吐出ヘッド10は、各ユニットを構成する複数のシート部材から構成されており、好適例として、各シート部材には、第1位置決め部としての基準穴1と、第2位置決め部としての長穴5とが、それぞれ形成されている。基準穴1は、各シート部材における平面的な位置基準であり、各シート部材を積層して吐出ヘッド10を形成した際には、貫通穴となる。長穴5も、同様である。
駆動ユニット8は、振動板20、圧力室基板30などから構成されている。
振動板20は、圧力室基板30の一方の面を封止するものであり、圧力室基板30と接する面と逆側の面に、アクチュエーターとなる圧電素子70(図4)が搭載される。
圧力室基板30には、長方形状の溝からなる液体の流路31が櫛歯状に複数形成されている。流路31は、その長手(長辺)方向を主走査方向91と平行とした状態で、交差する副走査方向92(短辺方向)に複数並設されている。隣り合う流路31の間には、隔壁35が設けられている。それぞれの流路31は、供給孔32と、圧力室33と、連通孔34とを含んで構成されている。
圧力室33は、圧力室基板30の一方の面において開口しており、供給孔32および連通孔34は、圧力室基板30の他方の面において開口している。供給孔32は、圧力室33の長手方向における一端側近傍で圧力室33と連通している。連通孔34は、圧力室33の長手方向における他端側近傍で圧力室33と連通している。
流路ユニット9は、封止プレート40、リザーバープレート50、ノズルプレート60などから構成されている。
封止プレート40は、複数の第一連通孔41と、共通供給孔42とを有する。第一連通孔41と共通供給孔42とは、いずれも封止プレート40を貫通している。各第一連通孔41は、対応する各ノズル穴61(第二連通孔51)と平面的に重なる位置に配置されている。また、各第一連通孔41は、各連通孔34とも一対一で連通している。共通供給孔42は、副走査方向92においてリザーバー52と同様にノズル列62の長さに略対応した長さで形成されている。また、共通供給孔42は、各供給孔32と連通している。
リザーバープレート50は、複数の第二連通孔51と、リザーバー52とを有する。リザーバー52は、共通インク室とも呼ぶ。第二連通孔51とリザーバー52とは、いずれもリザーバープレート50を貫通している。各第二連通孔51は、対応する各ノズル穴61と平面的に重なる位置に配置されている。リザーバー52は、副走査方向92に長い長方形状に形成されており、後述するノズル列62の長さと略対応した長さが確保されている。リザーバー52は、(後述する外部からのインク供給経路を除いて)ノズルプレート60と接する側でノズルプレート60により封止され、封止プレート40と接する側で共通供給孔42と相対する箇所を除いて封止プレート40により封止されている。
ノズルプレート60には、インクを噴射するための貫通穴からなるノズル穴61が複数形成されている。副走査方向92に沿って連続する複数のノズル穴61からなる列をノズル列という。ノズルプレート60には、並行する2列のノズル列62,63が形成されている。ノズル列62は、等ピッチで配置された複数のノズル穴61から形成されている。ノズル列63も、ノズル列62と同じ配置ピッチで複数のノズル穴61が配置されているが、副走査方向92において半ピッチ分シフトしている。換言すれば、主走査方向91におけるノズル列62における配置ピッチの半分の位置に,ノズル列63のノズル穴61が位置するように、ジグザグ(交互)に配置されている。千鳥配置ともいう。この構成により、主走査方向91における印刷ドット密度(解像度)を高めている。
ここで、ノズルプレート60は、本願における基板であり、前述した基準穴1、および長穴5が形成されている。
基準穴1は、平面的に略真円に形成されており、主走査方向91と、副走査方向92とを含む2次元方向における平面的な位置決め穴である。換言すれば、ノズル列62,63を含むノズルプレート60の平面的な位置の基準である。
長穴5は、平面的に長穴に形成されており、主走査方向91における位置決め部である。長穴5の長手方向は、副走査方向92となっている。
基準穴1と、長穴5とは、主走査方向91においてノズル列62,63の略中間に引かれた中心線88に沿って配置されている。また、副走査方向92において、基準穴1と長穴5との間にノズル列62,63が位置している。換言すれば、平面的に、基準穴1と長穴5との間に、ノズル列62,63が介在(位置)している。
図4(a)は、図3のA−A断面における断面図である。詳しくは、主走査方向91におけるノズル列62の側断面図である。
ここでは、前述した駆動ユニット8と、流路ユニット9とを一体化した吐出ヘッド10の構造、およびインクの吐出原理について説明する。
図4(a)に示すように、圧力室33は、連通孔34、第一連通孔41および第二連通孔51を介して、ノズル穴61に連通している。振動板20の圧力室基板30と接する面と逆側の面には、圧電素子70が搭載されている。圧電素子70は、公知のように圧力室33の位置に対応して圧力室33毎に設けられる。
圧電素子70には、図示しない個別電極および共通電極が接続され、これら電極に対して、吐出ヘッド10を駆動するための回路基板87から供給された電圧が、ケーブル類(フレキシブル基板等)90を介して印加されることにより、圧電素子70が変形する。
リザーバー52へは、インク供給経路(図示せず)を介して、外部からインクが供給される。リザーバー52へ供給されたインクは、共通供給孔42を通過して、各供給孔32から各圧力室33へ供給される。上述のような圧電素子70の変形に伴い振動板20が撓むことにより、圧力室33内で圧力が高まり、かかる圧力の高まりに応じて圧力室33内のインクがノズル穴61から噴射される。
図4(b)は、図3のB−B断面における断面図であり、図4(a)に対応している。
図4(a)と、(b)との違いは、ノズル穴61および当該穴に至る流路の位置である。詳しくは、ノズル穴61の位置は、図4(a)と、(b)とで、主走査方向91に左右(図面に向かって)にシフトしている。これは、前述した千鳥配置によるものである。また、これに合わせて、各ノズル穴61に至る流路を形成する、連通孔34、第一連通孔41、および第二連通孔51も、それぞれ形状、または位置が異なっている。
このように、解像度を高めながらも、ノズル穴61および流路の位置や形状を工夫することにより、圧力室33や、リザーバー52などの構成を共通化して、効率化を図っている。
《印刷ヘッドユニットの製造方法》
図5は、印刷ヘッドユニットの製造方法の流れを示したフローチャートである。
ここでは、前述した好適例における仕様の吐出ヘッド10の製造方法について、図5を中心に、図3,4を交えて説明する。なお、当該製造方法には、プリンター100における印刷ヘッドユニット3(図1)の相対的な位置から、吐出ヘッド10の取り付け方向を決める方法も含まれている。
本実施形態では、吐出ヘッド10をセラミック材料で一体形成している。詳しくは、駆動ユニット8、および流路ユニット9を構成する全てのシート部材をセラミック材料で形成している。セラミック材料としては、ジルコニアを用いている。なお、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどを用いても良い。
ステップS1では、駆動ユニット8を構成する複数のシート部材を形成する。詳しくは、セラミック材料、ガラスなどの焼結助剤、有機バインダー、可塑剤、溶剤を混合して形成されたグリーンシートを加工して、振動板20、圧力室基板30を形成する。ここで、各シート部材の形成時において、平面的な位置の基準は、基準穴1、および長穴5であり、グリーンシート加工段階から、まず、基準穴1、および長穴5を形成した後、当該穴を基準にして他の部位が形成される。なお、ブレス加工などの場合は、基準穴1、長穴5と、他の部位とを一緒に形成することであっても良い。ステップS2においても同様である。
ステップS2では、流路ユニット9を構成する複数のシート部材を形成する。詳しくは、グリーンシートを加工して、封止プレート40、リザーバープレート50、ノズルプレート60を形成する。
ステップS3では、駆動ユニット8、および流路ユニット9を構成する複数のシート部材を重ね合わせ(貼り合せ)て一体化し、吐出ヘッド10の前駆体を形成する。貼り合せは、基準穴1および長穴5に対応した2本の位置決めピンを有する案内板(図示せず)上に、当該位置決めピンを案内(軸)にして、ノズルプレート60、リザーバープレート50、封止プレート40、圧力室基板30、振動板20の順に重ね合せる。なお、駆動ユニット8と、流路ユニット9とをそれぞれ組み立ててから、両者を貼り合せる方法であっても良い。また、ここで、圧電素子70の前駆体も貼り合せておいても良い。また、各シート部材は、貼り合せる前段階で、予備乾燥されていることが好ましい。
ステップS4では、吐出ヘッド10の前駆体を焼成して、吐出ヘッド10を形成する。焼成工程では、ピークで1500℃以上の温度が印加される。この焼成によって、セラミック粉末が相互に焼結される一方、有機質バインダー成分などが分解除去されるため、長さで10〜30%位の寸法収縮が発生する。
ステップS5では、吐出ヘッド10の取り付け方向を決めて印刷ヘッドユニットを組み立てる。詳しくは、プリンター100(図1)の構成において、搬送ローラー16(第2支持部)に近い側に基準穴1(第1位置決め部)が位置し、給紙ローラー12(第1支持部)に近い側に長穴5(第2位置決め部)が位置するように、吐出ヘッド10を取り付ける。換言すれば、下流側に基準穴1が、上流側に長穴5が位置するように、吐出ヘッドを組み込む。各色用の4つの吐出ヘッドとも、この方向に取り付けて印刷ヘッドユニット3を組み立てる。なお、印刷ヘッドユニット3のケース21(図2)には、上記の取り付け方向に準じた位置に、基準穴1に対応する円柱状の基準ピン(図示せず)が設けられており、当該基準ピンに基準穴1を挿入して吐出ヘッド10を組み立てる。長穴5も同様である。
《実施例》
図6は、吐出ヘッドの平面図である。図7は、吐出ヘッドの取り付け態様を示す図である。ここでは、吐出ヘッド10の取り付け態様について、図7を中心に、適宜図6,1を交えて説明する。
図7は、プリンター100におけるロール紙55、中間ローラー56、給紙ローラー12、搬送ローラー16、および印刷ヘッドユニット3(吐出ヘッド10)の位置関係を示した模式図である。中間ローラー56は、2つの追従ローラー57との間で、用紙99を挟持して給紙ローラー12に送り出す。給紙ローラー12は、対となる追従ローラー18との間で、用紙99を挟持して下流側に送り出す。
プリンター100では、好適例として印刷ヘッドユニット3を給紙ローラー12と、搬送ローラー16との間における略中央に配置している。なお、印刷ヘッドユニット3の位置は、中央に限定するものではなく、上流側であっても良いし、下流側であっても良い。なお、印刷ヘッドユニット3の略中央を通る吐出中心線89は、図6に示すように、副走査方向92における2つのノズル列62,63の中心を示す線である。換言すれば、バンド長さの中心線である。
図7に示すように、用紙99が給紙ローラー12による片側支持となっている場合、支持されていない側の端部(自由端)の位置精度が不安定になってしまう。これは、紙は、基本的に剛体ではなく、反ったりしなったりするからである。さらに、印刷された領域では、インクの水分を吸収してしなり易くなったり、膨張してしまう恐れもある。
このため、前述の組み立て方法(図5のステップS5)で説明したように、搬送ローラー16に近い側に基準穴1が位置し、給紙ローラー12に近い側に長穴5が位置するように、吐出ヘッド10が取り付けられている。つまり、当該図のF視に示すように、基準穴1が下流側となり、長穴5が上流側となる方向で吐出ヘッド10が取り付けられている。なお、F視とは、印刷ヘッドユニット3の吐出ヘッド10を白抜き矢印方向から見た平面視(図6と同様)であり、吐出ヘッド10の取り付け方向を明確にするために示した図である。また、この自由端の位置精度の不安定さは、給紙ローラー12から離れるほど大きくなる。そのため、印刷ヘッドユニット3の位置は、中央よりもできるだけ上流側にある方が望ましい。
以上述べたように、本実施形態に係るプリンター100、およびその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
吐出ヘッド10は、各シート部材の加工工程の段階から、基準穴1、長穴5を平面位置の基準として製造され、印刷ヘッドユニット3の組み立てにおいても、基準穴1を位置の基準としている。よって、吐出ヘッド10において、基準穴1側のノズル穴61群の位置精度は高く、吐出精度も優れている。
さらに、搬送ローラー16に近い側に基準穴1が位置し、給紙ローラー12に近い側に長穴5が位置するように、吐出ヘッド10が取り付けられている。これにより、用紙99が片側支持となっている状態において、自由端となっている側に、吐出ヘッド10における位置精度が良い部位(ノズル群)が位置することになる。
よって、片側支持状態において、位置精度が甘くなる用紙99の自由端側に、吐出ヘッド10の精度が良い側が位置することになるため、位置精度を補完することができる。
従って、用紙99が片側支持となっている状態においても、所期の印刷品質を確保することが可能なロール紙対応のプリンター100を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
図8は、変形例1に係る吐出ヘッドの平面図である。
前述の実施形態では、吐出ヘッドがキャリッジ2と一緒に主走査方向91に移動する構成として説明したが、この構成に限定するものではなく、いわゆるラインヘッド方式にも適用することができる。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一の構成部位には同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
吐出ヘッド77は、前述のセラミック材料で一体形成された焼成ヘッドであり、ラインヘッド方式に対応している。当該方式では、キャリッジは不要となり、ノズル列72,73が主走査方向91に延在する構成となる。ここで、ノズル列72,73のバンド長さBは、用紙99の幅(主走査方向91の長さ)以上に設定されている。
また、基準穴1、および長穴5は、主走査方向91において、バンド長さBの略中央を通る中心線95に沿って形成されており、両者の間にノズル列72,73が位置する構成となっている。なお、図8では、インク1色用の事例で説明しているが、基準穴1と長穴5との間に、複数色用のノズル列が並列に形成される構成であっても良い。
この構成においても、上記実施形態と同様に、下流側に基準穴1が位置し、上流側に長穴5が位置する方向で、吐出ヘッド77を取り付ければ良い。
このように、ラインヘッド方式の吐出ヘッド77であっても、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、ロール紙に印刷する場合を挙げて説明をしていたが、折り畳み用紙などそのほかの連続用紙であってもよい。材質も紙製に限られず樹脂のシート等であってもよい。また、これら連続用紙と単票紙を切り替えて使用出来るような印刷装置に適用することもできる。単票紙に印刷する場合、印刷の最初と最後との両方で片側支持状態になる。単票紙に印刷する場合でも精度よく印刷できるようにするには、給紙ローラー12よりも搬送ローラー16に近い側に吐出ヘッド77を設けるようにすることが望ましい。詳しく言うと、給紙ローラー12によって片側支持されている方が搬送ローラー16によって片側支持されている方よりも、自由端とローラー間の距離が長く位置精度も悪くなる。そして、上記実施形態のように、下流側に基準穴1が位置し、上流側に長穴5が位置する方向で、吐出ヘッド77を取り付けていると、給紙ローラー12によって片側支持されている場合の位置精度の悪さを補償することができる。よって、連続用紙と単票紙を切り替えて使用出来るような印刷装置の場合は、給紙ローラー12よりも搬送ローラー16に近い側に吐出ヘッド77を設けるようにすることが望ましい。
(変形例2)
図9は、変形例2に係る吐出ヘッドの平面図である。
前述の実施形態、および変形例では、基準穴1、および長穴5は、閉じた形状(穴)であるものとして説明したが、これに限定するものではなく平面方向における位置合せの基準となれば良い。例えば、前述の基準穴1、長穴5は、全ての部材について貫通をしていなくてもよい。詳しくは、最上層となる部材には、凹部となっていて、非貫通であってもよい。また、基準穴1、長穴5はそれぞれ2次元方向と1次元方向の位置決めを行うことができる基準部位であれば良い。例えば、図9の基準穴48や、長穴49のように、一部が側面に開放された穴であってもよい。
(変形例3)
前述の実施形態、および変形例では、セラミック材料を用いて一体形成した吐出ヘッドを用いて説明したが、この構成に限定するものではなく、金属、樹脂、セラミックなどの複数の材料を用いて形成された吐出ヘッドにも適用することができる。詳しくは、セラミック積層板や、金属板、樹脂板などの異なる部材を積層した構成であっても、前述の基準穴1、長穴5(または同様の基準部位)を平面位置の基準とした吐出ヘッドであれば良い。
これらの構成の吐出ヘッドであっても、前述の実施形態および変形例と同様の作用効果を得ることができる。
(変形例4)
前述の実施形態、および変形例では、吐出ヘッドの数は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色に対応した4つの構成として説明したが、この構成に限定するものではなく、いくつであっても良い。例えば、ブラック用の1つの吐出ヘッド構成であっても良いし、上記4色に、レッド、ブルー用の2色を加えた6つの吐出ヘッド構成であっても良い。
これらの構成であっても、前述の実施形態および変形例と同様の作用効果を得ることができる。
1…基準穴、2…キャリッジ、3…印刷ヘッドユニット、5…長穴、8…駆動ユニット、9…流路ユニット、10,77…吐出ヘッド、12…給紙ローラー、16…搬送ローラー、30…圧力室基板、33…圧力室、55…ロール体、56…中間ローラー、60…ノズルプレート、61…ノズル穴、62,63…ノズル列、70…圧電素子、81〜84…カートリッジ、100…プリンター。

Claims (5)

  1. 基板表面と平行な2次元方向で位置決めを行う第1位置決め部と、前記基板表面と平行な1次元方向で位置決めを行う第2位置決め部と、を有する基板を含む吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドに対向する印刷位置に複数回の液体吐出動作にわたって用いられる連続媒体を支持し、前記印刷位置の上流側に位置する第1支持部と、
    前記連続媒体が前記印刷位置を通過した後に、下流側で前記連続媒体を支持し、搬出する第2支持部と、を備え、
    前記吐出ヘッドは、前記第2支持部に近い側に第1位置決め部が位置し、前記第1支持部に近い側に第2位置決め部が位置するように配置されていることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記第1支持部、および前記第2支持部は、前記連続媒体を挟持するローラーであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記吐出ヘッドは、所定のピッチで配置された複数のノズルを有し、
    前記第1位置決め部は、丸穴からなる基準穴を有し、
    前記第2位置決め部は、長穴を有し、
    平面的に、前記基準穴と前記長穴との間に、前記複数のノズルからなるノズル列が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記連続媒体は、ロール紙又は折り畳み紙から供給される連続用紙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷装置。
  5. 吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドに対して、印刷媒体が間隙を持って対向するように、前記印刷媒体を前記吐出ヘッドの上流側で支持し、上流側から供給する第1支持部と、
    前記吐出ヘッドに前記印刷媒体が対向するように、前記印刷媒体を前記吐出ヘッドの下流側で支持する第2支持部と、を備えた印刷装置の製造方法であって、
    前記第2支持部に近い側に第1位置決め部が位置し、前記第1支持部に近い側に第2位置決め部が位置するように、前記吐出ヘッドを配置することを特徴とする印刷装置の製造方法。
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