JP2014187998A - シグナル物質の機能の調節方法 - Google Patents

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【課題】アナモックス反応等の微生物反応において、シグナル物質の機能を調節する方法を提供し、これによって、アナモックス反応に用いるNO の濃度を直接的に調節することを目的とする。
【解決手段】pHによりホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法であって、pH8未満では機能を活性化し、pH8以上では機能を不活性化する、方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、シグナル物質の機能の調節方法、特にpHによるホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能の調節方法、及び該方法を用いた微生物反応の制御方法に関する。
従来、アンモニア態窒素含有排水の処理には、硝化細菌によるアンモニア態窒素(NH−N)から亜硝酸態窒素(NO−N)を経て硝酸態窒素(NO−N)へと酸化する硝化反応と、硝酸態窒素から亜硝酸態窒素を経て窒素ガスへと還元する脱窒反応とからなる生物窒素除去反応が利用されてきた。
近年、新規な生物窒素除去方法として、嫌気性アンモニア酸化反応(アナモックス反応)が注目されている。アナモックス反応は、嫌気条件下で嫌気性アンモニア酸化細菌(アナモックス細菌)によってアンモニア態窒素(NH−N)を亜硝酸態窒素(NO−N)と反応させて窒素ガスとして除去する方法である。アナモックス反応は、アナモックス細菌は独立栄養細菌であるため有機物が不要であり、また、部分硝化に必要な酸素量も従来の硝酸態窒素まで酸化する硝化脱窒法に比べて少なく、さらに、アナモックス細菌の増殖収率が小さいため汚泥発生量も少ないとの利点を有している。
さらに、アナモックス反応は、排水中のNH−NをNO−Nへと変換する部分亜硝酸化(部分硝化)と組み合わせることで、新たな生物学的窒素除去方法が構築できる。この際、アナモックス反応における最適なNH−N:NO−N比が1:1.32であるため、部分硝化によって産生されたNO の濃度が重要である。これまで、NO の濃度の調節は主に空気(酸素)の量や加熱処理により亜硝酸酸化細菌のみを失活させることによって行われているが(非特許文献1)、微調整が効かず最適なNH−N:NO−N比に調節するのが困難であるという問題点があった。
一方、微生物は微生物間情報伝達物質(以下、場合によって「シグナル物質」という)を介して情報伝達することが知られており、微生物の密度に依存した制御のことをクオラムセンシングという。クオラムセンシングを利用したものとして、シグナル物質を投与する方法として、創傷の薬剤(特許文献1)やバイオフィルムの制御(特許文献2)が知られている。これらは、単純にシグナル物質を薬剤として投与する内容に留まっている。一方、シグナル物質を阻害する方法として、アンタゴニストの使用(特許文献3)及び抗体の使用(特許文献4)が知られている。これらの方法は、操作が煩雑であり、シグナル物質の濃度を自由に調節することができない問題点があった。
さらに、従来の硝化反応と脱窒反応とからなる生物窒素除去反応においては、クオラムセンシングを利用し、シグナル物質の存在下で硝化細菌を培養することで硝化反応全体を促進することが報告されている(特許文献5)。しかしながら、従来のシグナル物質を利用した硝化反応の調節は、反応の促進か抑制しかなく、産生する物質を所望の濃度に自由にコントロールすることができない。
特開2012−025692号公報 特表2002−514092号公報 特開2008−214296号公報 特表2006−508910号公報 国際公開2010/150691号公報
アナモックス反応を利用した窒素除去技術の評価に関する報告書、平成22年3月、日本下水道事業団 技術評価委員会
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑み、アナモックス反応等の微生物反応において、シグナル物質の機能を調節する方法を提供し、これによって、アナモックス反応に用いるNO の濃度を直接的に調節することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、シグナル物質の一つであるホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能をpHによって活性化又は不活性化に調節することができることを見出し、これにより、アナモックス反応に用いるNO の濃度を直接的に調節できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明はpHによりホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法であって、pH8未満では機能を活性化し、pH8以上では機能を不活性化する、方法を提供する。
本発明はまた、上記方法を用いて、微生物反応を制御する方法を提供する。一実施形態では、上記微生物反応は、水処理における微生物反応である。別の実施形態では、上記水処理における微生物反応は、アナモックス反応である。更なる実施形態では、上記方法によってアナモックス反応に用いるNO 濃度を調節する。
他の実施形態では、微生物反応はバイオフィルムの形成である。
本発明のホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法によれば、pH8未満ではシグナル物質としての機能を活性化し、pH8以上ではシグナル物質としての機能を不活性化することができ、これによって、新たなシグナル物質又は阻害剤の添加がなくても、微生物反応促進のオン(促進開始)/オフ(促進停止)を容易に制御することができる。
また、pHによって部分硝化反応をオン/オフすることで、水処理における微生物反応、特にアナモックス反応において用いるNO 濃度を容易に調節することができ、これによって最適なNH−N:NO−N比に調節し、効率よくアンモニア態窒素含有排水を処理することができる。
さらに、pHによって微生物反応促進をオン/オフすることで、バイオフィルムの形成を容易に調節することができる。
アナモックス反応を利用した水処理を示す図である。(A)は一槽式、(B)は二層式を示す。 シグナル物質を添加したアナモックス反応を利用した水処理を示す図である。(A)は一槽式、(B)は二層式を示す。
<ホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法>
本発明のホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法は、pHによる調節方法であり、具体的には、pH8未満ではシグナル物質としての機能を活性化し、pH8以上ではシグナル物質としての機能を不活性化する。
本発明におけるホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質は、ホモセリンラクトン(2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸ラクトン)構造を有するシグナル物質をいい、例えば、N−ブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−オクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソオクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシオクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−デカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−トリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソトリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシトリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−テトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソテトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシテトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン等のアシル基の炭素数が4〜16であるN−アシル−L−ホモセリンラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
ホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質は、その機能を達成するためにホモセリンラクトンの構造が必要と考えられる。したがって、ホモセリンラクトンの構造を有しなくなる、例えば、ラクトンが開環する場合、シグナル物質の機能を果たせなくなると予想される。ホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質の開環は、N−アシル−L−ホモセリンラクトンを例に下記に示す。ホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質は、pH8以上では開環するため、pHを8以上に調節するとシグナル物質としての機能を失い、不活性化となる。一方、pHを8未満に調節すると、開環したラクトンが再び閉環するため、シグナル物質としての機能を取り戻し、活性化となる。
Figure 2014187998


式中、nは0、1、2又は3以上の整数であり、Rは−H、−OH又は=Oを示す。
上記特性を利用して、ホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質によって制御し得る微生物反応において、pHによって情報伝達物質の機能を活性化/不活性化し、それによって瞬時に微生物反応促進をオン/オフにすることができる。pHの調節は、必要に応じて任意の方法によって行うことができる。例えば、部分硝化反応槽に塩酸、硫酸等の酸、又は水酸化ナトリウム等の塩基を添加することによって行い得る。
本発明のシグナル物質の機能の調節方法は、必要に応じてpHを調節するのみで、容易に微生物反応促進をオンまたはオフにすることができ、さらなるシグナル物質又はその阻害剤の添加を必要としないため、操作が簡単であり、かつ、瞬時に効果が表れるため即効性がある。
<微生物反応を制御する方法>
本発明の微生物反応を制御する方法は、本発明のシグナル物質の機能の調節方法を用いるものである。制御し得る微生物反応、ホモセリンラクトン(HSL)構造を有するシグナル物質によって制御し得る微生物反応であれば、特に限定されず、例えば、アナモックス反応、硝化反応、脱窒反応等の水処理における微生物反応やバイオフィルム形成等が挙げられる。中では、特に従来調節が難しいとされていたアナモックス反応の制御に好ましく用いられる。以下、アナモックス反応及びこれを利用した水処理を例に具体的な制御方法を示す。
アナモックス反応は、嫌気条件下で嫌気性アンモニア酸化細菌(アナモックス細菌)によって排水中に存在するアンモニア態窒素(NH−N)を亜硝酸態窒素(NO−N)と反応させて窒素ガスとして除去する反応であり、具体的な反応式は下記に示す。アナモックス反応に用いるNO−N(NO )は、排水中のNH−N(NH )の一部をNO−N(NO )へと変換する部分亜硝酸化(部分硝化)によって得ることができる。したがって、アナモックス反応を利用した水処理は、部分硝化とアナモックス反応とからなる。アナモックス反応を効率よく行うために、アナモックス反応系において、NH :部分硝化によって得られたNO の比率が重要であり、この比率は下記の反応式に示したように、1:1.32であることが最適である。
Figure 2014187998

アナモックス反応を利用した水処理に用いる処理装置は、特に限定されないが、一般に一槽式と二槽式とがある。一槽式は、図1の(A)に図示したように、部分硝化とアナモックス反応とを同じ反応槽で行う方法であるのに対して、二槽式は、図1の(B)に図示したように、部分硝化とアナモックス反応とを別々の反応槽でそれぞれ行う方法である。
処理し得る原水としては、アンモニア態窒素含有排水が好適に使用される。例えば、アンモニア態窒素や、タンパク質、アミノ等生分解時にアンモニアを発生する物質を含有する排水が挙げられ、具体的には、工業排水、下水、し尿、浸出水、厨芥、家畜糞尿、消化汚泥、脱水ろ液等が挙げられる。
一槽式では、部分硝化とアナモックス反応との両方を行うため、反応槽中に硝化細菌、アナモックス細菌、硝化細菌及びアナモックス細菌の培養に必要な物質を含む培養液、部分硝化に必要な空気が含まれる。これらは、例えば従来の硝化反応及びアナモックス反応において一般的に用いられている細菌や物質、又は密度や濃度であればよく、特に限定されない。
二槽式では、部分硝化槽とアナモックス槽とが分かれており、原水の一部が部分硝化槽に導入され、残りの原水は部分硝化した液と一緒にアナモックス槽に導入される。部分硝化槽中には、硝化細菌、硝化細菌の培養に必要な物質を含む培養液、部分硝化に必要な空気が含まれる。アナモックス槽中には、アナモックス細菌、及びアナモックス細菌の培養に必要な物質を含む培養液が含まれる。これらは、例えば従来の硝化反応及びアナモックス反応において一般的に用いられている細菌や物質、又は密度や濃度であればよく、特に限定されない。
特許文献6に開示されているように、シグナル物質の存在下で硝化細菌を培養することで、NH−NからNO−Nを経てNO−Nへと酸化する硝化反応全体が促進されるため、このシグナル物質による微生物反応の促進は部分硝化にも応用できる。図2の(A)に図示したように、一槽式においてはシグナル物質を反応槽に導入し、また、図2の(B)に図示したように、二槽式においてはシグナル物質を部分硝化槽に導入し、シグナル物質の存在下で硝化細菌を培養することで、部分硝化反応を促進し得る。
シグナル物質としては、ホモセリンラクトン(2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸ラクトン)構造を有するシグナル物質、例えば、N−ブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシブタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシペンタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘキサノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘプタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−オクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソオクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシオクタノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシノナノイル−L−ホモセリンラクトン、N−デカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシウンデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシドデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−トリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソトリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシトリデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−テトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソテトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシテトラデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシペンタデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−ヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−オキソヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン、N−3−ヒドロキシヘキサデカノイル−L−ホモセリンラクトン等のアシル基の炭素数が4〜16であるN−アシル−L−ホモセリンラクトン等が好適に使用し得、これらに限定されない。シグナル物質は、化学合成によって得られたものであってもよく、シグナル物質産生菌を培養することで得られたものであってもよい。
シグナル物質を原水に添加してから反応槽に導入してもよく、原水と別に反応槽に導入してもよい。反応槽におけるシグナル物質の添加量は、部分硝化を促進する観点から、1nmol/L〜1mmol/Lであることが好ましく、10nmol/L〜100μmol/Lであることがより好ましい。
一槽式におけるpHによる部分硝化の制御は、まず、反応槽におけるNH 及びNO のそれぞれの濃度を測定し、両者の比率を得、NO 濃度がNH 濃度比で1.32を上回る場合は、NO の過剰を意味し、シグナル物質による部分硝化の促進をオフに(促進停止)するために、pHを8以上となるように調節する。一方、NO 濃度がNH 濃度比で1.32を下回る場合、NO の不足を意味し、シグナル物質による部分硝化の促進をオンに(促進開始)するために、pHを8未満となるように調節する。なお、NH 及びNO の濃度の測定やpHの調節は、本技術分野において知られる手法によって行えばよい。
二槽式におけるpHによる部分硝化の制御は、アナモックス反応槽におけるNH :NO の比率によって、部分硝化槽におけるpHを調節すること以外、一槽式と同様に行える。
<バイオフィルムの形成を制御する方法>
バイオフィルムとは、微生物により形成される構造体であり、基質に付着した微生物が、細胞外多糖(EPS;Extracellular Polysaccharides)と呼ばれる分泌物を分泌することにより形成される。例えば、医療においては、カテーテル内に黄色ブドウ球菌などがバイオフィルムを形成し、バイオフィルム内の微生物は、抗生物質や免疫に対する抵抗性が高いことから問題となる場合がある。例えば、日和見感染症におけるバイオフィルムの分解に関与する微生物の代謝活性を向上させることにより、結果としてバイオフィルムの形成を阻害し、抗生物質を病原菌に到達させることが可能となる。
バイオフィルムの分解に関与し、シグナル物質によって制御し得る微生物に対して、本発明の微生物反応を制御する方法によれば、必要に応じてpHを調節することで、バイオフィルムの形成を促進又は阻害することができる。
本発明の微生物反応を制御する方法は、海洋構造物、パイプラインなど、バイオフィルム形成が影響する様々な対象に適用できる。例えば、微生物電池においてはアノード及びカソードに緻密なバイオフィルムを形成させる技術に応用できる。また、海洋構造物の大型生物付着防止のためにバイオフィルムを形成させる技術に応用できる。

Claims (6)

  1. pHによりホモセリンラクトン構造を有するシグナル物質の機能を調節する方法であって、pH8未満では機能を活性化し、pH8以上では機能を不活性化する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法を用いて、微生物反応を制御する方法。
  3. 前記微生物反応は、水処理における微生物反応である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記水処理における微生物反応は、アナモックス反応である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記アナモックス反応に用いるNO 濃度を調節する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記微生物反応は、バイオフィルムの形成である、請求項2に記載の方法。
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