JP2014187240A - 電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリズムに好適な形状の溝を短時間で形成し、生産性を向上させる。
【解決手段】本適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法は、第1のマスクを形成する工程(ステップS1)と、第2のマスクを形成する工程(ステップS2)と、第1のマスク及び第2のマスクに開口部を形成する工程(ステップS3)と、基板に開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程と、第1のマスクを除去する工程(ステップS6)と、を備え、基板に開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程は、第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(ステップS4)と、第2のマスクがエッチング除去された後に第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(ステップS5)とを含み、ステップS4における基板のエッチング速度は、ステップS5における基板のエッチング速度よりも早いことを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】本適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法は、第1のマスクを形成する工程(ステップS1)と、第2のマスクを形成する工程(ステップS2)と、第1のマスク及び第2のマスクに開口部を形成する工程(ステップS3)と、基板に開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程と、第1のマスクを除去する工程(ステップS6)と、を備え、基板に開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程は、第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(ステップS4)と、第2のマスクがエッチング除去された後に第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(ステップS5)とを含み、ステップS4における基板のエッチング速度は、ステップS5における基板のエッチング速度よりも早いことを特徴とする。
【選択図】図6
Description
本発明は、電気光学装置用基板の製造方法、当該製造方法で製造した電気光学装置用基板、当該電気光学装置用基板を搭載した電気光学装置、及び当該電気光学装置を搭載した電子機器に関する。
電気光学装置として、例えば液晶プロジェクターの光変調素子(ライトバルブ)に用いられる透過型のアクティブ液晶装置が知られている。当該液晶装置は、画素電極が設けられた素子基板、対向電極が設けられた対向基板、及び素子基板と対向基板とで挟持された液晶層などを有している。当該液晶装置は、光が透過する開口領域と光が遮られる非開口領域とを有し、開口領域に入射する光が変調され表示光として射出される。
例えば、非開口領域に光の反射部としてのプリズムを設け、非開口領域に入射する光(表示光に利用されない光)をプリズムで開口領域に反射し、表示光の一部に利用することによって、光の利用効率を向上させる液晶装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載のプリズムは、光軸方向(深さ方向)に長くなった略二等辺三角形形状の断面を有する溝を有している。当該二等辺三角形形状の長辺(溝の斜面)が、光の反射面となる。光の反射面としての長辺と光軸とのなす角度はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、長辺と光軸とのなす角度が3度以下、すなわち頂角が6度以下の略二等辺三角形形状の断面を有するプリズムを形成することによって、光の利用効率が高められ、より明るい表示が実現されるとされている。特許文献1では、光軸となす角度が3度以下の急峻な斜面を有し、深さ方向に長く尖った溝(略二等辺三角形形状の断面を有する溝)が、ドライエッチング法で対向基板側に形成されている。
特許文献1に記載のプリズムは、光軸方向(深さ方向)に長くなった略二等辺三角形形状の断面を有する溝を有している。当該二等辺三角形形状の長辺(溝の斜面)が、光の反射面となる。光の反射面としての長辺と光軸とのなす角度はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、長辺と光軸とのなす角度が3度以下、すなわち頂角が6度以下の略二等辺三角形形状の断面を有するプリズムを形成することによって、光の利用効率が高められ、より明るい表示が実現されるとされている。特許文献1では、光軸となす角度が3度以下の急峻な斜面を有し、深さ方向に長く尖った溝(略二等辺三角形形状の断面を有する溝)が、ドライエッチング法で対向基板側に形成されている。
しかしながら、上述した深さ方向に長く尖った溝をドライエッチング法で形成する場合処理時間が長くなり、生産性が低下するという課題があった。
詳しくは、例えば八フッ化シクロブタン(C4F8)などの堆積性ガスを用いて、基板をエッチングするFラジカルや保護膜(エッチングを抑制する膜)を形成するフルオロカーボンラジカル(CFxラジカル)などを含むプラズマによって基板に異方性エッチングを施し、上述した深さ方向に長く尖った溝を形成する。すなわち、横方向(深さ方向と交差する方向)の面(側壁側に形成される斜面)にCFxラジカルによる保護膜を堆積し、横方向のエッチングを抑制しながら、Fラジカルで深さ方向にエッチングすることで、上述した深さ方向に長く尖った溝を形成する。CFxラジカルの影響を強くすると、上述した深さ方向に長く尖った溝を形成することは可能であるが、全体的にエッチングが抑制され、処理時間が長くなり、生産性が低下する。深さ方向に早くエッチングしようとすると、Fラジカルと基板とが反応するための領域、つまり横方向に広がった領域(底面)が、エッチングが進行する側(底部)に形成される。底部側に形成される横方向に広がった底面は、側壁側に形成される斜面と異なる方向に光を反射する光の反射面となり、光の利用効率の低下を招く。すなわち、深さ方向に早くエッチングしようとすると、底部側に横方向に広がった底面を有する溝(プリズムとして好ましくない溝)が形成される。
このように、ドライエッチング法で、プリズムに好適な溝、すなわち深さ方向に長く尖った溝を形成する場合、処理時間が長くなり、生産性が低下するという課題があった。
このように、ドライエッチング法で、プリズムに好適な溝、すなわち深さ方向に長く尖った溝を形成する場合、処理時間が長くなり、生産性が低下するという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法は、基板の第1面に第1のマスクを形成する工程と、前記第1のマスクを覆う第2のマスクを形成する工程と、前記第1のマスク及び前記第2のマスクに、前記第1面を露出させる開口部を形成する工程と、前記基板に前記開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程と、前記第1のマスクを除去する工程と、を備え、前記基板に前記開口部から異方性エッチングを施し溝を形成する工程は、前記第2のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程と、前記第2のマスクが除去された後に前記第1のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程と、を含み、前記第2のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程における前記基板のエッチング速度は、前記第2のマスクが除去された後に前記第1のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程における前記基板のエッチング速度より早いことを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法では、基板の第1面を第1のマスク及び第2のマスクで覆い、第1のマスク及び第2のマスクに基板の第1面を露出させる開口部を形成し、基板をエッチングする活性種及び基板のエッチングを抑制する保護膜を用いて、保護膜で溝の側壁部のエッチングを抑制しながら、開口部で露出された基板を深さ方向にエッチングする異方性エッチングを施し、深さ方向に尖った細長い溝を形成する。
基板に異方性エッチングを施す工程は、第2のマスクをエッチングマスクとして第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第1エッチング工程)と、第2のマスクが除去された後に第1のマスクをエッチングマスクとして第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第2エッチング工程)とで構成される。さらに第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第1エッチング工程)における基板のエッチング速度は、第2のマスクが除去された後に第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第2エッチング工程)における基板のエッチング速度より早くなっている。
第1のマスクは第2のマスクよりも保護膜の影響を強くする材料で構成され、第1エッチング工程では保護膜の影響が弱く、第2エッチング工程では保護膜の影響が強いため、第1のエッチング工程における基板のエッチング速度は、第2エッチング工程における基板のエッチング速度よりも早くなっている。詳しくは、エッチングが進行する側(溝の底部)に形成される基板と活性種とが反応する領域は、第2エッチング工程で狭くなり、第1エッチング工程で広くなる。このため、第2エッチング工程では、反応領域が狭いため遅くエッチングが進行し、第1エッチング工程では、反応領域が広いため早くエッチングが進行する。その結果、エッチング速度が小さい第2エッチング工程では、エッチングが進行する方向(深さ方向)に狭くなった(尖った)形状の溝を形成することができる。一方、エッチング速度が大きい第1エッチング工程では、このような深さ方向に尖った溝を形成することが難しい。
本適用例の製造方法は、エッチング速度が大きい第1エッチング工程で、深さ方向に細長い溝を早く(短時間で)形成した後に、エッチング速度が小さい第2エッチング工程で、深さ方向に尖った形状となるように底部側の形状を加工している。このため、本適用例の製造方法は、第2エッチング工程だけで形成する場合と比べて、深さ方向に尖った細長い溝(プリズムに好適な溝)をより短時間で形成することができ、生産性を向上させることができる。
基板に異方性エッチングを施す工程は、第2のマスクをエッチングマスクとして第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第1エッチング工程)と、第2のマスクが除去された後に第1のマスクをエッチングマスクとして第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第2エッチング工程)とで構成される。さらに第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第1エッチング工程)における基板のエッチング速度は、第2のマスクが除去された後に第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第2エッチング工程)における基板のエッチング速度より早くなっている。
第1のマスクは第2のマスクよりも保護膜の影響を強くする材料で構成され、第1エッチング工程では保護膜の影響が弱く、第2エッチング工程では保護膜の影響が強いため、第1のエッチング工程における基板のエッチング速度は、第2エッチング工程における基板のエッチング速度よりも早くなっている。詳しくは、エッチングが進行する側(溝の底部)に形成される基板と活性種とが反応する領域は、第2エッチング工程で狭くなり、第1エッチング工程で広くなる。このため、第2エッチング工程では、反応領域が狭いため遅くエッチングが進行し、第1エッチング工程では、反応領域が広いため早くエッチングが進行する。その結果、エッチング速度が小さい第2エッチング工程では、エッチングが進行する方向(深さ方向)に狭くなった(尖った)形状の溝を形成することができる。一方、エッチング速度が大きい第1エッチング工程では、このような深さ方向に尖った溝を形成することが難しい。
本適用例の製造方法は、エッチング速度が大きい第1エッチング工程で、深さ方向に細長い溝を早く(短時間で)形成した後に、エッチング速度が小さい第2エッチング工程で、深さ方向に尖った形状となるように底部側の形状を加工している。このため、本適用例の製造方法は、第2エッチング工程だけで形成する場合と比べて、深さ方向に尖った細長い溝(プリズムに好適な溝)をより短時間で形成することができ、生産性を向上させることができる。
[適用例2]上記適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法において、前記第1のマスクの構成材料はアルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化シリコンのいずれかであり、前記第2のマスクの構成材料はタングステンシリサイドまたはシリコンのいずれかであることが好ましい。
アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化シリコンは、保護膜の影響を強くする材料である。第1のマスクをアルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化シリコンで構成することによって、基板の深さ方向のエッチングが抑制され、深さ方向に尖った形状の溝を形成することができる。タングステンシリサイドまたはシリコンでは、保護膜の影響を強くすることが難しく、第2のマスクをタングステンシリサイドまたはシリコンで構成することで、基板を深さ方向に早く(短時間で)エッチングすることができる。タングステンシリサイドまたはシリコンで構成された第2のマスクで基板を深さ方向に早く(短時間で)エッチングした後に、アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化シリコンで構成された第1のマスクで深さ方向に尖った形状に加工する(仕上げる)ことによって、当該第1のマスクだけで形成する場合と比べて、深さ方向に尖った細長い形状の溝(プリズムに好適な溝)をより短時間で形成することができ、生産性を向上させることができる。
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置用基板の製造方法において、前記基板の構成材料は、石英またはガラスのいずれかであることが好ましい。
石英またはガラスは、透光性を有している。基板を石英またはガラスで構成することによって、プリズムに好適な溝を有する透光性の基板を製造することができる。
[適用例4]本適用例に係る電気光学装置用基板は、上記適用例に記載の電気光学装置用基板の製造方法で製造されていることを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置用基板では、第2のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第1エッチング工程)と、第1のマスクをエッチングしながら基板をエッチングする工程(第2エッチング工程)とによって、プリズムに好適な溝を所定の位置(任意の位置)に形成することができる。従って、光の反射部が所定の位置に形成された電気光学装置用基板を提供することができる。
[適用例5]本適用例に係る電気光学装置は、画素電極と前記画素電極を駆動するトランジスターとを有する第1の基板と、前記第1の基板に対向配置された第2の基板と、を有する電気光学装置であって、前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方は、上記適用例に記載の電気光学装置用基板を備えていることを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置では、画素電極が配置された領域(開口領域)の光が表示光となる。開口領域の周辺(非開口領域)に光の反射部としての溝が形成された電気光学装置用基板を備えた電気光学装置では、当該光の反射部で非開口領域の光を開口領域に反射させ、開口領域の光(表示光)の一部とすることによって、表示光の輝度を高めることができる。従って、上記適用例に記載の電気光学装置用基板を備えた電気光学装置では、より明るい表示が実現される。
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備え、電気光学装置用基板に設けられた光の反射部としての溝によって、当該電気光学装置ではより明るい表示が実現されている。例えば、投射型表示装置、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)、直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、POSなどの情報端末機器、及び電子手帳などの電子機器に、上記適用例に記載の電気光学装置を適用させることで、より明るい表示を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「液晶装置の概要」
実施形態1に係る液晶装置100は、電気光学装置の一例であり、薄膜トランジスター(以降、TFTと称す)30を備えた透過型の液晶装置である。本実施形態に係る液晶装置100は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子として好適に使用することができるものである。
「液晶装置の概要」
実施形態1に係る液晶装置100は、電気光学装置の一例であり、薄膜トランジスター(以降、TFTと称す)30を備えた透過型の液晶装置である。本実施形態に係る液晶装置100は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子として好適に使用することができるものである。
まず、本実施形態に係る液晶装置100の全体構成について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、液晶装置の構成を示す概略平面図である。図2は、図1のJ−J’線で切った概略断面図である。図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る液晶装置100は、素子基板10、対向基板20、及び素子基板10と対向基板20とで挟持された液晶層50などを有する。
素子基板10は、本発明における「第1の基板」の一例である。対向基板20は、本発明における「第2の基板」の一例である。
素子基板10は、本発明における「第1の基板」の一例である。対向基板20は、本発明における「第2の基板」の一例である。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材52を介して接着され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材52は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材52には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
額縁状に配置されたシール材52の内側には、同じく額縁状に遮光膜53が設けられている。遮光膜53は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜53の内側が表示領域Eとなる。表示領域Eには、画素Pがマトリックス状に複数配置されている。
素子基板10の複数の外部接続用端子102が配列された第1辺と該第1辺に沿ったシール材52との間には、データ線駆動回路101が設けられている。該第1辺と直交し互いに対向する他の第2辺、第3辺に沿ったシール材52と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路104が設けられている。該第1辺と対向する他の第4辺に沿ったシール材52と表示領域Eとの間には、2つの走査線駆動回路104を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104に繋がる配線は、該第1辺に沿って配列された複数の外部接続用端子102に接続されている。
以降、該第1辺に沿った方向をX方向、該第1辺と直交し互いに対向する他の2辺(第2辺、第3辺)に沿った方向をY方向、及び素子基板10から対向基板20に向かう方向をZ方向として説明する。
以降、該第1辺に沿った方向をX方向、該第1辺と直交し互いに対向する他の2辺(第2辺、第3辺)に沿った方向をY方向、及び素子基板10から対向基板20に向かう方向をZ方向として説明する。
図2に示すように、素子基板10は、素子基板本体11、並びに素子基板本体11の液晶層50側の面に形成されたTFT30や画素電極17、及び画素電極17を覆う配向膜18などを有している。素子基板本体11は、例えば石英やガラスなどの透明材料で構成されている。また、TFT30や画素電極17は、画素Pの構成要素である。
素子基板10の詳細は後述する。
素子基板10の詳細は後述する。
対向基板20は、電気光学装置用基板5、電気光学装置用基板5の液晶層50側の面に順に積層された遮光膜53、絶縁膜22、対向電極23、及び配向膜24などを有している。
電気光学装置用基板5は、基板本体6、基板本体6の液晶層50側の面6aに設けられたプリズム70、及びプリズム70を覆う第2絶縁膜75などを有している。基板本体6には、例えば石英基板が使用されている。基板本体6は、酸化シリコンを主成分とする透光性の絶縁基板であればよく、石英基板の他にガラス基板などを使用することができる。第2絶縁膜75は、酸化シリコンで構成され、透光性を有している。
なお、基板本体6は、本発明における「基板」の一例である。基板本体6の液晶層50側の面6aは、本発明における「第1面」の一例である。以降、基板本体6の液晶層50側の面6aを、表面6aと称す。
電気光学装置用基板5の詳細は、後述する。
なお、基板本体6は、本発明における「基板」の一例である。基板本体6の液晶層50側の面6aは、本発明における「第1面」の一例である。以降、基板本体6の液晶層50側の面6aを、表面6aと称す。
電気光学装置用基板5の詳細は、後述する。
遮光膜53は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などで構成される。図1に示すように、遮光膜53は、平面的に走査線駆動回路104と重なる位置に額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から素子基板10側に入射する光を遮光して、走査線駆動回路104の光による誤動作を防止している。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮光して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
絶縁膜22は、透光性の無機絶縁材料で構成され、例えば常圧または減圧CVD法などを用いて形成された酸化シリコンを使用することができる。絶縁膜22は、電気光学装置用基板5に遮光膜53を形成することで生ずる表面凹凸を緩和可能な程度の膜厚を有している。
対向電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、表示領域Eに亘って形成される。図1に示すように、対向電極23は、対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106によって、素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
画素電極17を覆う配向膜18及び対向電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて設定されており、本実施形態では、酸化シリコンなどの無機材料の斜め蒸着膜(無機配向膜)が使用されている。また、配向膜18,24には、ポリイミドなどの有機配向膜を用いてもよい。
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線12及び複数のデータ線16や、データ線16に対して平行に延在する容量線41などを有する。なお、容量線41の配置はこれに限定されず、走査線12に対して平行に延在するように配置してもよい。
なお、走査線12、データ線16、及び容量線41は、遮光性の導電材料で構成され、素子基板10側に設けられている。
なお、走査線12、データ線16、及び容量線41は、遮光性の導電材料で構成され、素子基板10側に設けられている。
走査線12とデータ線16とで区分された領域には、画素電極17、TFT30、及び蓄積容量40などが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線12は、TFT30のゲート電極に電気的に接続されている。データ線16は、TFT30のソース電極に電気的に接続されている。画素電極17は、TFT30のドレイン電極に電気的に接続されている。
データ線16はデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号S1,S2,…,Snを各画素Pに供給する。走査線12は走査線駆動回路104(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路104から供給される走査信号G1,G2,…,Gmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線16に供給される画像信号S1,S2,…,Snは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線16同士に対してグループごとに供給してもよい。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1,G2,…,Gmの入力によりオン状態とされた期間に同期して、データ線16から供給される画像信号S1,S2,…,SnがTFT30を介して画素電極17に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極17に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極17と共通電極として機能する対向電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号S1,S2,…,Snがリーク(劣化)するのを防止するために、画素電極17と対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に、蓄積容量40が接続されている。蓄積容量40は、TFT30のドレイン電極と容量線41との間に設けられている。
このような液晶装置100は透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも大きくて明表示となるノーマリーホワイトモードや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも小さくて暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光学設計に応じて、光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子(図示省略)が配置されて用いられる。
「素子基板及び電気光学装置用基板の概要」
図4は、画素電極の配置を示す概略平面図である。図5は、図4のA−A’線で切った液晶装置の概略断面図である。以下、図4及び図5を参照して、素子基板10及び電気光学装置用基板5の概要を説明する。
図4は、画素電極の配置を示す概略平面図である。図5は、図4のA−A’線で切った液晶装置の概略断面図である。以下、図4及び図5を参照して、素子基板10及び電気光学装置用基板5の概要を説明する。
図4に示すように、画素Pは、X方向及びY方向にマトリックス状に配置されている。
非開口領域D2は、素子基板10側に設けられた遮光性の導電材料で構成された信号線(データ線16、走査線12、容量線41)や、対向基板20側に設けられた遮光膜53などで構成された遮光領域である。非開口領域D2はX方向とY方向とに延在し、格子状に設けられている。X方向及びY方向における非開口領域D2の巾は、同じに設定されている。非開口領域D2で囲まれた領域が、光が透過する(光が変調される)開口領域D1となる。開口領域D1は、非開口領域D2で四角形(略正方形)に区画されている。
非開口領域D2は、素子基板10側に設けられた遮光性の導電材料で構成された信号線(データ線16、走査線12、容量線41)や、対向基板20側に設けられた遮光膜53などで構成された遮光領域である。非開口領域D2はX方向とY方向とに延在し、格子状に設けられている。X方向及びY方向における非開口領域D2の巾は、同じに設定されている。非開口領域D2で囲まれた領域が、光が透過する(光が変調される)開口領域D1となる。開口領域D1は、非開口領域D2で四角形(略正方形)に区画されている。
画素電極17は、画素P毎に設けられ、四角形(略正方形)の形状を有している。Z方向から見て、画素電極17の外縁部は、遮光性の非開口領域D2に重なるように配置されている。図4では図示を省略したが、非開口領域D2には、TFT30、蓄積容量40、及びプリズム70などが配置されている。
最初に、素子基板10の概要を説明する。
図5に示すように、素子基板10は、素子基板本体11、並びに素子基板本体11の液晶層50側の面に順に積層された走査線12、絶縁層13、TFT30、絶縁層14、データ線16、絶縁層15、画素電極17、及び配向膜18などを有している。
図5に示すように、素子基板10は、素子基板本体11、並びに素子基板本体11の液晶層50側の面に順に積層された走査線12、絶縁層13、TFT30、絶縁層14、データ線16、絶縁層15、画素電極17、及び配向膜18などを有している。
走査線12は、例えば、Al(アルミニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Cr(クロム)などの金属材料の少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらを積層したものからなり、遮光性を有している。
絶縁層13は、素子基板本体11と走査線12とを覆うように設けられている。絶縁層13は、例えば酸化シリコンで構成され、透光性を有している。TFT30は、絶縁層13上に設けられている。TFT30は、画素電極17を駆動するスイッチング素子である。図示を省略するが、TFT30は、半導体層、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極で構成されている。
半導体層は、例えば多結晶シリコン膜からなり、島状に形成されている。半導体層には、不純物イオンが注入されて、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域が形成されている。チャネル領域とソース領域、または、チャネル領域とドレイン領域との間には、LDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
ゲート電極は、Z方向から見て半導体層のチャネル領域と重なる領域に絶縁層14の一部(ゲート絶縁膜)を介して配置されている。図示を省略するが、ゲート電極は、下層側に配置された走査線12にコンタクトホールを介して電気的に接続されている。
絶縁層14は、絶縁層13とTFT30とを覆うように設けられている。絶縁層14は、例えば酸化シリコンで構成され、透光性を有している。絶縁層14は、TFT30の半導体層とゲート電極との間を絶縁するゲート絶縁膜を含む。絶縁層14により、TFT30によって生じる表面凹凸が緩和される。
絶縁層14上には、データ線16が設けられている。データ線16は、走査線12と同様の材料で形成され、遮光性を有している。TFT30は、遮光性を有する走査線12及びデータ線16との間に挟まれるように配置されている。これにより、TFT30の半導体層に光が入射することによるリーク電流の増加(TFT30の誤動作)が抑制される。
図示を省略するが、絶縁層14上には、データ線16と配線層を異ならせて容量線41が設けられている。絶縁層14とデータ線16と容量線41とを覆うように、絶縁層15が設けられている。絶縁層15は、例えば酸化シリコンで構成され、透光性を有している。
画素電極17は、絶縁層15上に設けられている。画素電極17は、絶縁層14や絶縁層15に設けられたコンタクトホール(図示省略)を介して、TFT30の半導体層におけるドレイン領域に電気的に接続されている。配向膜18は、画素電極17を覆うように設けられている。
次に、電気光学装置用基板5の概要を説明する。
図5に示すように、電気光学装置用基板5は、基板本体6、基板本体6の表面6aに設けられたプリズム70や、プリズム70を覆う第2絶縁膜75などを有している。
上述したように、基板本体6には石英基板が使用され、第2絶縁膜75は酸化シリコンで構成される。
図5に示すように、電気光学装置用基板5は、基板本体6、基板本体6の表面6aに設けられたプリズム70や、プリズム70を覆う第2絶縁膜75などを有している。
上述したように、基板本体6には石英基板が使用され、第2絶縁膜75は酸化シリコンで構成される。
プリズム70は、溝71と第1絶縁膜72と空気層73とで構成される。
溝71は、基板本体6をZ方向にエッチングすることで、基板本体6の表面6aに形成される。溝71は、X方向から見てZ方向に狭くなったV字形状となっている。換言すれば、溝71は、X方向から見てZ方向に尖った形状を有している。詳しくは、基板本体6の表面6a側における溝71のY方向寸法(開口寸法)は、上述した非開口領域D2の巾と略同じであり、概略1000nm〜2000nmである。溝71のZ方向寸法(深さ)は、概略30000nm〜35000nmである。溝71は、Z方向と交差する斜面71a,71cを有している。斜面71aと斜面71cとはZ方向で繋がり、X方向に沿った底辺71b(溝71の底部)が形成されている。また、斜面71a,71cとZ方向とがなす角度は、3度以下となっている。
溝71は、基板本体6をZ方向にエッチングすることで、基板本体6の表面6aに形成される。溝71は、X方向から見てZ方向に狭くなったV字形状となっている。換言すれば、溝71は、X方向から見てZ方向に尖った形状を有している。詳しくは、基板本体6の表面6a側における溝71のY方向寸法(開口寸法)は、上述した非開口領域D2の巾と略同じであり、概略1000nm〜2000nmである。溝71のZ方向寸法(深さ)は、概略30000nm〜35000nmである。溝71は、Z方向と交差する斜面71a,71cを有している。斜面71aと斜面71cとはZ方向で繋がり、X方向に沿った底辺71b(溝71の底部)が形成されている。また、斜面71a,71cとZ方向とがなす角度は、3度以下となっている。
第1絶縁膜72は、例えば酸化シリコンで構成され、透光性を有している。空気層73は、溝71と第1絶縁膜72とで囲まれた領域に配置されている。空気層73の屈折率は、基板本体6の屈折率よりも小さくなっている。
基板本体6(石英)、第1絶縁膜72(酸化シリコン)、及び第2絶縁膜75(酸化シリコン)は略同じ屈折率の材料で構成され、これら材料の界面(境界)では反射等による光の減衰が発生しない。従って、これら材料が積層された領域の界面は、光を良好に透過する。
一方、溝71の斜面71a,71cは、異なる屈折率の材料(基板本体6、空気層73)の界面であり、光の反射性を有する。すなわち、溝71の斜面71a,71cは、プリズム70における光の反射面となる。詳細は後述するが、プリズム70を設けると、プリズム70を設けていない場合に表示に利用されない光が、溝71の斜面71a,71cで反射され表示に寄与する光(表示光)となるので、光の利用効率を高めることができる。
仮に、プリズム70の底部側に、X方向及びY方向に広がった面が形成されると、当該面も光の反射面となる。X方向及びY方向に広がった面は、斜面71a,71cと異なる方向に光を反射し、X方向及びY方向に広がった面の反射光は表示光とならない。よって、表示光となる方向に光を反射する斜面71a,71cだけで、光の反射面を形成することが好ましく。プリズム70は、上述したようにX方向から見てZ方向に尖った形状を有することが好ましい。
本実施形態の液晶装置100は、後述する液晶プロジェクターに好適に使用できる光変調素子(ライトバルブ)である。光源(図示省略)から発した光は、対向基板20側から素子基板10側に向けて入射し、液晶装置100の開口領域D1で変調され、表示光として、対向基板20から素子基板10に向かう方向、すなわちZ(−)方向に射出される。
図5において符号L1,L2が付された矢印は、光源から発せられ対向基板20側から素子基板10側に入射する光(以降、入射光と称す)を示している。実線で示された入射光L1は、開口領域D1に向けて入射する(進行する)光であり、破線で示された入射光L2は、非開口領域D2に向けて進行する光である。
図5に示すように、開口領域D1に向けて進行する入射光L1は、開口領域D1を通過し、表示光としてZ(−)方向(対向基板20から素子基板10に向かう方向)に射出される。非開口領域D2に向けて進行する入射光L2は、溝71の斜面71a,71cで反射され、開口領域D1を通過し、表示光としてZ(−)方向に射出される。
このように、電気光学装置用基板5にプリズム70を形成することによって、開口領域D1に向けて進行する入射光L1以外に非開口領域D2に向けて進行する入射光L2も表示光として利用できるので、プリズム70を形成していない場合と比べて光の利用効率を高めることができる。すなわち、プリズム70を有する電気光学装置用基板5を使用することによって、より明るい表示が実現される。
なお、光源から発した光は、素子基板10側から対向基板20側に向けて入射する場合であっても、プリズム70によって入射光の利用効率を高めることができる。
なお、光源から発した光は、素子基板10側から対向基板20側に向けて入射する場合であっても、プリズム70によって入射光の利用効率を高めることができる。
「電気光学装置用基板の製造方法」
図6は、電気光学装置用基板を形成するための工程フローである。図7乃至図9は、図5に対応しており、図6に示す各工程を経た後の電気光学装置用基板の状態を示す模式断面図である。なお、図面を見やすくするために、図7乃至図9における基板本体6の表面6aの位置が、図5における基板本体6の表面6aの位置と異なっている(逆になっている)。具体的には、基板本体6の表面6aは、図5では基板本体6の下側に配置されているが、図7乃至図9では基板本体6の上側に配置されている。
以下、図6乃至図9を参照して、電気光学装置用基板5の製造方法を説明する。
図6は、電気光学装置用基板を形成するための工程フローである。図7乃至図9は、図5に対応しており、図6に示す各工程を経た後の電気光学装置用基板の状態を示す模式断面図である。なお、図面を見やすくするために、図7乃至図9における基板本体6の表面6aの位置が、図5における基板本体6の表面6aの位置と異なっている(逆になっている)。具体的には、基板本体6の表面6aは、図5では基板本体6の下側に配置されているが、図7乃至図9では基板本体6の上側に配置されている。
以下、図6乃至図9を参照して、電気光学装置用基板5の製造方法を説明する。
図6のステップS1では、基板本体6の表面6aに、スパッタなどの公知技術を用いてアルミニウムを堆積し、第1のマスク81を形成する。第1のマスク81の膜厚は、概略400nm〜500nmである。第1のマスク81を構成する材料は、上述したアルミニウムの他に、例えば酸化アルミニウムや窒化シリコンなどを使用することができる。
図7(a)は、ステップS1を経た後の状態を示している。同図に示すように、第1のマスク81は、基板本体6の表面6aを覆って形成される。
図6のステップS2では、スパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition)などの公知技術を用いてタングステンシリサイドを堆積し、第2のマスク82を形成する。第2のマスク82の膜厚は、概略2500nm〜3000nmである。第2のマスク82を構成する材料は、上述したタングステンシリサイドの他に、例えばシリコンを使用することができる。
図7(b)は、ステップS2を経た後の状態を示している。同図に示すように、第2のマスク82は、第1のマスク81を覆って形成される。
図6のステップS3では、フォトリソ法で形成したレジスト(図示省略)をマスクとして、公知技術、例えば塩素や酸素などの混合ガスを用いて第1のマスク81及び第2のマスク82にZ方向の異方性エッチングを施し、基板本体6の表面6aを露出させる開口部86を形成する。
図7(c)は、ステップS3を経た後の状態を示している。当該異方性エッチングによって、レジストで覆われていない領域の第1のマスク81及び第2のマスク82が除去され、基板本体6の表面6aを露出させる開口部86が形成される。開口部86の巾(Y方向寸法、以降開口寸法と称す)W1は、概略1000nm〜2000nmである。
次に、開口部86の露出した基板本体6をZ方向に異方性エッチングし、基板本体6の表面6aに溝71を形成する。基板本体6をZ方向に異方性エッチングする工程は、公知技術、例えばフルオロカーボン(例えば、八フッ化シクロブタン(C4F8))や酸素などの混合ガスをエッチングガスに使用したCCP装置によって処理される。CCP装置では、励起された電子とこれらエッチングガスとが反応し、Fラジカル、フルオロカーボンラジカル(CF、CF2、CF3、C4F5、C4F6、C4F7、C4F8などのエッチングガスのラジカル、以降CFxラジカルと称す)、酸素ラジカルなどを含むプラズマが発生する。Fラジカルは、例えば酸化シリコン(石英基板)と反応し、揮発性のSiFxを生成し、基板本体6をエッチングする。CFxラジカルは、エッチング面に炭素系ポリマーなどの保護膜を形成し、基板本体6のエッチング(SiFxの生成)を抑制する。酸素ラジカルは、過剰な保護膜の形成を抑制する。
例えば、エッチングガス中の酸素濃度を大きくすると、CFxラジカル(CFxラジカルを基に形成される保護膜)の影響が抑制され、Fラジカルによる基板本体6のエッチングが促進される。酸素濃度を大きくしすぎると、Fラジカル濃度が減少し、基板本体6のエッチングが抑制される。また、上記エッチングガスに、例えば一酸化炭素を添加すると、保護膜の影響を強くすることができる。
CCP装置では、基板本体6をエッチングするFラジカルがZ方向に供給される。上述したCFxラジカルを基に形成される保護膜や、Z方向に供給されるFラジカルなどによって、基板本体6はZ方向にエッチングされる。また、Z方向と交差する方向のエッチングは抑制され、Z方向と比べてエッチング速度が小さくなっている。
エッチングを抑制する保護膜の影響は、エッチングガスの組成、圧力、プラズマを発生させる高周波電源のパワー、温度などの条件によって変化する。これら条件を調整することで、基板本体6のエッチング形状(溝の形状)を制御することができる。例えば、保護膜の影響を強くすると、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝を形成することができる。保護膜の影響を弱くすると、Z方向に早く(短時間で)エッチングできるが、溝の底部側にFラジカルと基板本体6とが反応する領域(エッチング領域)が形成される。その結果、溝の底部側に、X方向及びY方向に沿った面(底面)が形成される。
発明者は、エッチングマスクを構成する材料で保護膜の影響が変化し、基板本体6のエッチング形状が変化するという事実を見出した。以下にその詳細を説明する。
図10は、タングステンシリサイドでエッチングマスクを形成し、基板本体にZ方向の異方性エッチングを施した場合の基板本体の状態を示す図である。同図(a)は、斜め方向(Z方向と交差する方向)から観察したSEM写真であり、同図(b)は、同図(a)のB−B’線に沿った模式断面図である。図11は、アルミニウムでエッチングマスクを形成し、基板本体にZ方向の異方性エッチングを施した場合の基板本体の状態を示す図である。同図(a)は、斜め方向から観察したSEM写真であり、同図(b)は、同図(a)のC−C’線に沿った模式断面図である。
また、図10及び図11は同じ条件でエッチングされ、エッチングマスクを構成する材料だけが異なる。例えば、エッチングガスの組成、圧力、パワーなどの条件は同じである。
図10は、タングステンシリサイドでエッチングマスクを形成し、基板本体にZ方向の異方性エッチングを施した場合の基板本体の状態を示す図である。同図(a)は、斜め方向(Z方向と交差する方向)から観察したSEM写真であり、同図(b)は、同図(a)のB−B’線に沿った模式断面図である。図11は、アルミニウムでエッチングマスクを形成し、基板本体にZ方向の異方性エッチングを施した場合の基板本体の状態を示す図である。同図(a)は、斜め方向から観察したSEM写真であり、同図(b)は、同図(a)のC−C’線に沿った模式断面図である。
また、図10及び図11は同じ条件でエッチングされ、エッチングマスクを構成する材料だけが異なる。例えば、エッチングガスの組成、圧力、パワーなどの条件は同じである。
タングステンシリサイドで構成されたエッチングマスクを用いて基板本体6をエッチングすると、基板本体6のエッチング速度は概略500nm/分であり、図10に示す溝66が形成された。溝66は、Y方向(溝66の側壁部)に配置されZ方向と交差する斜面66a,66c、及びZ方向(溝66の底部)に配置されX方向及びY方向に沿った底面66bを有する。溝66の底部側に形成された底面66bは、Fラジカルと基板本体6とが反応する領域(エッチング領域)に相当する。溝66の側壁部に保護膜を形成しながらエッチングしているので、急傾斜の斜面66a,66cが形成されている。なお、シリコンでエッチングマスクを形成した場合も、タングステンシリサイドでエッチングマスクを形成した場合と同様の結果が得られた。
アルミニウムで構成されたエッチングマスクを用いて基板本体6をエッチングすると、基板本体6のエッチング速度は概略200nm/分以下であり、基板本体6をZ方向にエッチングするに従って、基板本体6のエッチング速度は徐々に小さくなる。その結果、溝67は、Y方向(溝67の側壁部)に配置された斜面67a,67cと、斜面67aと斜面67cとがZ方向で繋がってX方向に沿った底辺67bと、を有する形状に加工される。すなわち、溝67はX方向から見てZ方向に尖った形状に加工される。た、斜面67aと斜面67cとがZ方向で繋がると、基板本体6のエッチングは停止する(エッチング速度はゼロがなる)。
このように、エッチングマスクの構成材料としてアルミニウムを使用した場合、エッチングマスクの構成材料としてタングステンシリサイドを使用した場合と比べて、エッチング速度が小さくなり、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝(溝67)が形成されることが分かった。エッチングマスクの構成材料としてアルミニウムを使用した場合、保護膜の影響が強くなり、基板本体6のエッチングが抑制され、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝67が形成されるものと考えられる。例えば、アルミニウムとFラジカルとが反応し、アルミフッ化物などの揮発性の低い反応生成物が生成し、CFxラジカルにより形成される保護膜に加えてアルミフッ化物が新たな保護膜となるので、保護膜の影響が強くなり、基板本体6のエッチングが抑制されたと推定される。
エッチングマスクの構成材料として酸化アルミニウムを使用した場合も、エッチングマスクの構成材料としてアルミニウムを使用した場合と同様の結果が得られた。酸化アルミニウムは、上述したアルミニウムと同様のメカニズムで、保護膜の影響が強くなり、基板本体6のエッチングが抑制されたと考えられる。
さらに、エッチングマスクの構成材料として窒化シリコンを使用した場合も、エッチングマスクの構成材料としてアルミニウムや酸化アルミニウムを使用した場合と同様の結果が得られた。よって、窒化シリコンは、アルミニウムや酸化アルミニウムと同様に、保護膜の影響を強くし、基板本体6のエッチングを抑制する。窒化シリコンでエッチングマスクを形成すると、窒化シリコンとFラジカルとが反応し、SiFxやNラジカルなどの反応生成物が生じる。SiFxは揮発性を有するので、保護膜として作用しにくい。一方、NラジカルはFラジカルと反応し、NF3を生じる。つまり、NラジカルとFラジカルとの反応でFラジカルが消費され、Fラジカルの濃度が小さくなり、CFxラジカルの影響が相対的に強くなったと推定される。このように、窒化シリコンは、アルミニウムや酸化アルミニウムと異なるメカニズムで、保護膜の影響を強くするものと考えられる。
このように、アルミニウム、酸化アルミニウム、及び窒化シリコンは、保護膜の影響を強くし、基板本体6のエッチングを抑制するという特徴を有している。
図6に戻って、電気光学装置用基板の製造方法を説明する。
本発明の特徴を分かりやすくするために、基板本体6の表面6aに溝71を形成する工程を、図6に示すステップS4及びステップS5に分けて説明する。また、ステップS4及びステップS5は、同じ装置(CCP装置)を用いて、同じ条件で連続的に処理されている。
本発明の特徴を分かりやすくするために、基板本体6の表面6aに溝71を形成する工程を、図6に示すステップS4及びステップS5に分けて説明する。また、ステップS4及びステップS5は、同じ装置(CCP装置)を用いて、同じ条件で連続的に処理されている。
図6のステップS4では、基板本体6にZ方向の異方性エッチングを施し、基板本体6の表面6aに前駆溝68を形成する。上述したように、当該異方性エッチングは、フルオロカーボン(例えば、八フッ化シクロブタン(C4F8))や酸素などの混合ガスを用いて処理される。
図8(a)は、ステップS4を経た後の状態を示している。ステップS4では、第2のマスク82をエッチングマスクとして、開口部86で露出された基板本体6をZ方向にエッチングする。このとき、第2のマスク82もZ方向にエッチングされる。すなわち、ステップS4は、第2のマスク82をエッチングしながら基板本体6をZ方向にエッチングする工程である。ステップS4では、第2のマスク82がエッチング除去されるまで、基板本体6をエッチングする。基板本体1(石英)のエッチング速度を1とすると、第2のマスク82(タングステンシリサイド)のエッチング速度は概略10である。第2のマスク82の膜厚は概略2500nm〜3000nmであるので、ステップS4によって、第2のマスク82の膜厚の約10倍の深さ(概略25000nm〜30000nm)の前駆溝68が、基板本体6の表面6aに形成される。
図10に示すように、タングステンシリサイドをエッチングマスクとした場合、溝の底部側にX方向及びY方向に沿った面が形成される。その結果、前駆溝68は、Y方向(前駆溝68の側壁部)に配置されZ方向と交差する斜面68a,68c、及びZ方向(前駆溝68の底部)に配置されX方向及びY方向に沿った底面68bを有する。
図6のステップS5では、前駆溝68にZ方向の異方性エッチングを施し、基板本体6の表面6aに溝71を形成する。
図8(b)は、ステップS5を経た後の状態を示している。ステップS5では、第2のマスク82がエッチング除去された後に第1のマスク81をエッチングマスクとして、開口部86で露出された基板本体6(前駆溝68)をZ方向にエッチングする。ステップS5で、第1のマスク81もZ方向にエッチングされる。換言すれば、ステップS5は、第2のマスク82がエッチング除去された後に第1のマスク81をエッチングしながら基板本体6をZ方向にエッチングする工程である。
第1のマスク81は、第2のマスク82を構成する材料(タングステンシリサイド)と比べて、保護膜の影響を強くする材料(アルミニウム)で構成される。図11に示すように、アルミニウムをエッチングマスクとした場合、保護膜の影響が強くなり、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝が形成される。その結果、第1のマスク81をエッチングマスクとして前駆溝68をZ方向にエッチングすると、前駆溝68の底部側に形成されたX方向及びY方向に沿った底面68bが、X方向に沿った底辺71bに加工される。具体的には、溝71は、Y方向(溝71の側壁部)に配置されZ方向と交差する斜面71a,71cを有する。斜面71aと斜面71cとはZ方向で繋がってX方向に沿った底辺71bが形成される。その結果、溝71は、X方向から見てZ方向に尖った形状を有するようになる。また、斜面71a,71cとZ方向とがなす角度は、3度以下である。このように、ステップS4及びステップS5によって、プリズム70に好適な形状の溝71が形成される。
基板本体1(石英)のエッチング速度を1とすると、第1のマスク81(アルミニウム)のエッチング速度は概略20であり、第1のマスク81の膜厚は概略400nm〜500nmである。ステップS5によって、前駆溝68をZ方向に概略5000nmエッチングし、深さ30000nm〜35000nmの溝71を形成する。仮に、前駆溝68をエッチングする途中で第1のマスク81が消失し保護膜の影響が弱くなると、溝71の形状が変化する恐れがある。従って、ステップS5では、第1のマスク81を残存させ保護膜の影響を強くした状態で、前駆溝68をエッチングすることが重要である。
上述したように、アルミニウム、酸化アルミニウム、及び窒化シリコンは、保護膜の影響を強くする材料であるので、第1のマスク81を酸化アルミニウムまたは窒化シリコンで形成しても、第1のマスク81をアルミニウムで形成した場合と同様に、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝71を形成することができる。
なお、基板本体1(石英)のエッチング速度を1とすると、窒化シリコンのエッチング速度は概略3であり、アルミニウムと比べてエッチング選択性が低い。よって、第1のマスク81の構成材料を窒化シリコンとした場合、第1のマスク81の構成材料をアルミニウムとした場合と比べて、第1のマスク81の膜厚を大きくする必要がある。
上述したように、タングステンシリサイドをエッチングマスクとした場合の基板本体6のエッチング速度(ステップS4のエッチング速度)は概略500nm/分であり、アルミニウムをエッチングマスクとした場合の基板本体6のエッチング速度(ステップS5のエッチング速度)は概略200nm/分以下である。このように、ステップS5では、ステップS4と比べて保護膜の影響が強く、基板本体6のエッチング速度が小さくなっている。
ステップS5だけで、X方向から見てZ方向に尖った溝71を形成することは可能であるが、基板本体6のエッチング速度が小さいため処理時間が長くなり、生産性が低下する。本実施形態は、Z方向に早くエッチングする工程(ステップS4)とZ方向に尖った形状に加工する工程(ステップS5)とによって、X方向から見てZ方向に尖った溝71(プリズム70に好適な溝71)を形成するので、ステップS5だけで形成する場合と比べて処理時間が短くなり、生産性が向上する。
ステップS5だけで、X方向から見てZ方向に尖った溝71を形成することは可能であるが、基板本体6のエッチング速度が小さいため処理時間が長くなり、生産性が低下する。本実施形態は、Z方向に早くエッチングする工程(ステップS4)とZ方向に尖った形状に加工する工程(ステップS5)とによって、X方向から見てZ方向に尖った溝71(プリズム70に好適な溝71)を形成するので、ステップS5だけで形成する場合と比べて処理時間が短くなり、生産性が向上する。
図6のステップS6では、公知技術、例えば塩素や酸素などの混合ガスを用いたドライエッチングによって、第1のマスク81をエッチング除去する。
図8(c)は、ステップS6を経た後の状態を示している。同図に示すように、X方向から見てZ方向に狭くなったV字形状の溝71が、基板本体6の表面6aに形成される。すなわち、Z方向となす角度が3度以下の斜面71a,71cと、X方向沿った底辺71bとを有し、X方向から見てZ方向に尖った形状の溝71が、基板本体6の表面6aに形成される。Z方向の異方性エッチングによって溝71を形成するので、基板本体6の表面6aにおける溝71のY方向寸法(以降、開口寸法と称す)W2は、ステップS2で形成した開口部86の開口寸法W1と略同等である。すなわち、概略1000nm〜2000nmの開口寸法W2、概略30000nm〜35000nm深さの溝71が、基板本体6の表面6aに形成される。
図6のステップS7では、段差被覆性に劣る成膜法、例えばシランを用いたプラズマCVDによって酸化シリコンを堆積し、第1絶縁膜72を形成する。第1絶縁膜72は溝71の開口部86を塞ぎ、第1絶縁膜72と溝71とで囲まれた領域(密封された領域)に空気層73を形成する。そして、溝71と第1絶縁膜72と空気層73とで構成されたプリズム70が形成される。
図9(a)は、ステップS7を経た後の状態を示している。
シランを用いたププラズマCVDは、シランなどの材料ガスと亜酸化窒素や酸素などの酸化ガス(酸素供給源としての材料ガス)とをプラズマ中で分解し、材料ガス(シラン)から生成される反応生成物(酸化シリコン)の前駆体ラジカルと、酸化ガスから生成される酸素ラジカルとを反応させ、酸化シリコンを形成する成膜方法である。当該プラズマCVDは、気相反応過程、表面反応過程、及び堆積膜反応過程という過程を経て、酸化シリコンが堆積される。シランは反応性が高いために、気相反応過程(気相中での化学反応)が支配的となる。すなわち、前駆体ラジカルと酸素ラジカルとが主に気相中で反応し、気相中で生成した酸化シリコンが、基板本体6の表面6aに堆積する。気相中で生成した酸化シリコンは、溝71の中にはいりにくく、溝71の開口部分を塞ぐように基板本体6の表面6aに堆積する。このとき溝71内は、酸化シリコンを堆積する際の雰囲気の状態で密封される。具体的には、シランを用いたプラズマCVDによって酸化シリコンを堆積する際に使用したガスが、減圧された状態で第1絶縁膜72と溝71とで囲まれた領域に密封され、空気層73が形成される。
シランを用いたププラズマCVDは、シランなどの材料ガスと亜酸化窒素や酸素などの酸化ガス(酸素供給源としての材料ガス)とをプラズマ中で分解し、材料ガス(シラン)から生成される反応生成物(酸化シリコン)の前駆体ラジカルと、酸化ガスから生成される酸素ラジカルとを反応させ、酸化シリコンを形成する成膜方法である。当該プラズマCVDは、気相反応過程、表面反応過程、及び堆積膜反応過程という過程を経て、酸化シリコンが堆積される。シランは反応性が高いために、気相反応過程(気相中での化学反応)が支配的となる。すなわち、前駆体ラジカルと酸素ラジカルとが主に気相中で反応し、気相中で生成した酸化シリコンが、基板本体6の表面6aに堆積する。気相中で生成した酸化シリコンは、溝71の中にはいりにくく、溝71の開口部分を塞ぐように基板本体6の表面6aに堆積する。このとき溝71内は、酸化シリコンを堆積する際の雰囲気の状態で密封される。具体的には、シランを用いたプラズマCVDによって酸化シリコンを堆積する際に使用したガスが、減圧された状態で第1絶縁膜72と溝71とで囲まれた領域に密封され、空気層73が形成される。
図6のステップS8では、段差被覆性に優れた成膜法、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を用いたプラズマCVDによって形成した酸化シリコンで第1絶縁膜72を覆い、当該酸化シリコンに平坦化処理を施し、平坦な面を有する第2絶縁膜75を形成する。
図9(b)は、ステップS8を経た後の状態を示している。TEOSを用いたプラズマCVDは段差被覆性に優れ、プリズム70を形成することによって発生した表面凹凸部分に空洞が形成されることなく、第1絶縁膜72を覆うことができる。TEOSを用いたプラズマCVDによって形成された酸化シリコンに、例えば化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと称す)によって平坦化処理を施し、第2絶縁膜75を形成する。CMPでは、研磨液に含まれる化学成分の化学的作用と、研磨剤と素子基板10との相対移動による機械的作用との兼ね合いによって、高速で平坦な研磨面を得ることができる。その結果、プリズム70を形成することによる表面凹凸が解消され、平坦な面を有する第2絶縁膜75が形成される。
なお、上述した第1絶縁膜72を堆積するだけで、溝71の頂部の開口部86を塞ぐことが難しい場合は、溝71の内部に予め犠牲膜となるポリシリコンなどを埋め込んで堆積し、ダマシン法で埋め込み平坦化する。その上層に第1絶縁膜72を堆積する。さらに、第1絶縁膜72にエッチング用の小孔を形成して選択的に犠牲膜をエッチング除去することで、溝71の内部を空洞にする。その後、第2絶縁膜75を堆積し、エッチング用の小孔を塞ぐことで、溝71の内部に空気層73が密閉されたプリズム70を形成することができる。この場合、TEOSを用いたプラズマCVDによって酸化シリコン(第2絶縁膜75)を堆積する際に使用したガスが、減圧された状態で第1絶縁膜72と溝71とで囲まれた領域に密閉され、空気層73が形成される。
本実施形態における溝71を形成する工程は、ステップS4(保護膜の影響が小さく、Z方向にエッチングしやすい条件)と、ステップS5(保護膜の影響が大きく、Z方向にエッチングしにくい条件)とを有しているので、ステップS5だけで形成する場合と比べて、X方向から見てZ方向に尖った溝71(プリズム70に好適な溝71)を短時間に形成することができる。さらに、ステップS4とステップS5とは、同じ装置及び同じ条件で連続的に処理されているので、例えばエッチング条件変更に伴う時間ロスなどが抑制され、効率的にエッチングすることができる。従って、本実施形態における溝71を形成する工程は、生産性に優れている。
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る液晶装置の概略断面図であり、図5に対応している。
以下、図12を参照して、本実施形態に係る液晶装置200を、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図12は、実施形態2に係る液晶装置の概略断面図であり、図5に対応している。
以下、図12を参照して、本実施形態に係る液晶装置200を、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
実施形態1に係る液晶装置100では、電気光学装置用基板5が対向基板20側に使用されている。本実施形態に係る液晶装置200では、電気光学装置用基板5が素子基板10側に使用されている。この点が本実施形態と実施形態1との相違点であり、他の構成は実施形態1と同じである。
図12に示すように、対向基板20は、対向基板本体21、対向基板本体21の液晶層50側の面に順に積層された遮光膜53(図示省略)、絶縁膜22、対向電極23、及び配向膜24などを有している。対向基板本体21には、例えば石英基板が使用されている。
素子基板10は、電気光学装置用基板5、並びに電気光学装置用基板5の液晶層50側の面に順に積層された走査線12、絶縁層13、TFT30、絶縁層14、データ線16、絶縁層15、画素電極17、及び配向膜18などを備えている。
電気光学装置用基板5には、光反射部としてのプリズム70が非開口領域D2に設けられている。プリズム70の光反射面を形成する溝71の斜面71a,71cは、Z方向に広がって配置されている。
本実施形態の液晶装置200は、後述する液晶プロジェクターに好適に使用できる光変調素子(ライトバルブ)であり、光源から発した光は、素子基板10側から対向基板20側に向けて入射するようになっている。液晶装置200に入射した光は、開口領域D1で変調され、Z方向に射出され、液晶プロジェクターの表示光となる。
開口領域D1に向かって進行する入射光L1は、開口領域D1を通過し、Z方向に射出され表示光となる。非開口領域D2に向かって進行する入射光L2は、プリズム70(溝71の斜面71a,71c)で反射され、開口領域D1を通過し、Z方向に射出され表示光となる。このように、プリズム70によって、開口領域D1に向かって進行する入射光L1以外に非開口領域D2に向かって進行する入射光L2も表示光として利用できるので、プリズム70を形成していない場合と比べて入射光の利用効率を高めることができ、より明るい表示が実現される。
なお、光源から発した光は、対向基板20側から素子基板10側に向けて入射する場合であっても、プリズム70によって入射光の利用効率を高めることができる。
なお、光源から発した光は、対向基板20側から素子基板10側に向けて入射する場合であっても、プリズム70によって入射光の利用効率を高めることができる。
(実施形態3)
「電子機器」
図13は電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の構成を示す概略図である。図13に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
「電子機器」
図13は電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の構成を示す概略図である。図13に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230には、上述した実施形態1の液晶装置100や実施形態2の液晶装置200が適用されている。液晶装置100や液晶装置200に使用されている電気光学装置用基板5(プリズム70)によって光の利用効率を高めることができ、より明るい表示を実現することができる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置及び該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)液晶装置100,200に適用させることに限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する発光装置にも適用することができる。電気光学装置用基板5(プリズム70)によって光の利用効率を高めることができるので、電気光学装置用基板5(プリズム70)を有する発光装置では、より明るい表示を実現することができる。
(変形例2)電気光学装置用基板5は、素子基板10側及び対向基板20側の両方に使用されていても良い。すなわち、電気光学装置用基板5は、素子基板10側及び対向基板20側の少なくとも一方に使用されていれば良い。
(変形例3)上記液晶装置100,200が適用される電子機器は、実施形態3の投射型表示装置1000に限定されない。投射型表示装置1000の他に、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、POSなどの情報端末機器、及び電子手帳などの電子機器に、液晶装置100,200を適用させることができる。
5…電気光学装置用基板、6…基板本体、6a…表面(面)、10…素子基板、11…素子基板本体、12…走査線、13,14,15…絶縁層、16…データ線、17…画素電極、18,24…配向膜、20…対向基板、21…対向基板本体、22…絶縁膜、23…対向電極、30…TFT、40…蓄積容量、41…容量線、50…液晶層、52…シール材、53…遮光膜、66,67…溝、68…前駆溝、68a…斜面、68b…底面、70…プリズム、71…溝、71a…斜面、71b…底辺、72…第1絶縁膜、73…空気層、75…第2絶縁膜、81…第1のマスク、82…第2のマスク、86…開口部、100,200…液晶装置、101…データ線駆動回路、102…外部接続用端子、104…走査線駆動回路、105…配線、106…上下導通部。
Claims (6)
- 基板の第1面に第1のマスクを形成する工程と、
前記第1のマスクを覆う第2のマスクを形成する工程と、
前記第1のマスク及び前記第2のマスクに、前記第1面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記基板に前記開口部から異方性エッチングを施し、溝を形成する工程と、
前記第1のマスクを除去する工程と、
を備え、
前記基板に前記開口部から異方性エッチングを施し、溝を形成する工程は、
前記第2のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程と、
前記第2のマスクが除去された後に前記第1のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程と、
を含み、
前記第2のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程における前記基板のエッチング速度は、前記第2のマスクが除去された後に前記第1のマスクをエッチングしながら前記基板をエッチングする工程における前記基板のエッチング速度より早いことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。 - 前記第1のマスクの構成材料は、アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化シリコンのいずれかであり、
前記第2のマスクの構成材料は、タングステンシリサイドまたはシリコンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板の製造方法。 - 前記基板の構成材料は、石英またはガラスのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気光学装置用基板の製造方法で製造されたことを特徴とする電気光学装置用基板。
- 画素電極と前記画素電極を駆動するトランジスターとを有する第1の基板と、
前記第1の基板に対向配置された第2の基板と、
を有する電気光学装置であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方は、請求項4に記載の電気光学装置用基板を備えていることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項5に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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JP2013061540A JP2014187240A (ja) | 2013-03-25 | 2013-03-25 | 電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置、及び電子機器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016133161A1 (ja) * | 2015-02-20 | 2016-08-25 | 日本碍子株式会社 | 光学素子の製造方法 |
JP7544051B2 (ja) | 2019-07-19 | 2024-09-03 | ソニーグループ株式会社 | 液晶表示装置、および電子機器 |
-
2013
- 2013-03-25 JP JP2013061540A patent/JP2014187240A/ja active Pending
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JPWO2016133161A1 (ja) * | 2015-02-20 | 2017-11-30 | 日本碍子株式会社 | 光学素子の製造方法 |
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