JP2014187151A - 避雷器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化した場合であっても絶縁信頼性の高い避雷器を提供する。
【解決手段】内部に絶縁性ガス2が封入される筒状の絶縁容器1と絶縁容器1に収容される非直線抵抗体を複数積層した内部要素3と、絶縁容器1の一方の端部に設けられ、内部要素3と電気的に接続された接地側固定電極4と、絶縁容器1の他方の端部に設けられ、内部要素3と電気的に接続された高電圧側固定電極5と、を備えた避雷器Aであって、絶縁容器1の内周面の少なくとも一部に、非線形抵抗コーティング7が塗布され、接地側固定電極4と高電圧側固定電極5とが、非線形抵抗コーティング7を介して電気的に接続されている。また、絶縁容器1の高電圧側固定電極側5の近傍部分が、高電圧側固定電極5からの電気力線に沿った形状に形成されていても良い。
【選択図】図1
【解決手段】内部に絶縁性ガス2が封入される筒状の絶縁容器1と絶縁容器1に収容される非直線抵抗体を複数積層した内部要素3と、絶縁容器1の一方の端部に設けられ、内部要素3と電気的に接続された接地側固定電極4と、絶縁容器1の他方の端部に設けられ、内部要素3と電気的に接続された高電圧側固定電極5と、を備えた避雷器Aであって、絶縁容器1の内周面の少なくとも一部に、非線形抵抗コーティング7が塗布され、接地側固定電極4と高電圧側固定電極5とが、非線形抵抗コーティング7を介して電気的に接続されている。また、絶縁容器1の高電圧側固定電極側5の近傍部分が、高電圧側固定電極5からの電気力線に沿った形状に形成されていても良い。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、電力系統に用いられる避雷器に関する。
送変電および配電の電力系統においては、落雷などにより発生した過電圧を大地に放電させて系統の施設や電力危機の絶縁を保護するために、避雷器が設けられている。近年では、酸化亜鉛素子を使用した避雷器が、電圧電流非直線性、放電大量特性、化学的安定性の面で優れた特性を有しており、種々の電力系統に適用されている。
このような避雷器は、非直線抵抗体である酸化亜鉛素子を複数個直列に積層して構成された内部要素を有する。内部要素において、酸化亜鉛素子は高電圧電極と接地電極の間に固定されている。この内部要素は、円筒状に形成された絶縁容器の内部に収納される。このとき、内部要素の高電圧電極が、電力系統に電気的に接続されている高電圧側固定電極と接続される。また、内部要素の接地電極は、接地電位部に電気的に接続されている接地側固定金属と接続される。なお、絶縁容器の内部には、絶縁性ガスが封入されている。
以上のように構成されている避雷器では、内部要素は、電力系統の運転電圧下では殆ど電流が流れず絶縁体に近い働きをする。一方、内部要素の動作電圧より高い過電圧が印加された場合には内部要素に大きな電流が流れるため、過電圧が電気系統に接続されている高電圧側固定電極に印加されることはない。
ところで、避雷器の耐電圧試験においては、内部要素が収納されていない絶縁容器自体が雷インパルス耐電圧試験に耐えることが規格上必要とされている。内部要素が収納されていない場合、過電圧は絶縁容器に印加されることとなる。過電圧が印加された絶縁容器においては、高電圧側固定電極の周辺の電界強度が高くなることで、絶縁上の弱点となることがあった。
この電界集中を解消するために、従来は、絶縁容器のみの耐電圧試験があることを考慮して、例えば円筒状の絶縁容器の直径を大きくしたり、絶縁容器自体の厚みを増したりして、絶縁寸法を確保していた。そのため、避雷器全体が大型化していた。
近年、電力設備は小型化がますます求められており、避雷器の小型化についても需要が高まっている。避雷器を小型化する場合には、絶縁容器を小型化することが重要となる。しかし、絶縁容器の小型化が進めば、内部要素が収納されていない状態での耐電圧試験における電界集中が一層大きくなり、絶縁信頼性が低下することが懸念されていた。
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。その目的は、小型化した場合であっても絶縁信頼性の高い避雷器を提供することである。
上記のような目的を達成するための実施形態の避雷器は、内部に絶縁性ガスが封入される筒状の絶縁容器と、前記絶縁容器に収容される非直線抵抗体を複数積層した内部要素と、前記絶縁容器の一方の端部に設けられ、前記内部要素と電気的に接続された接地側固定電極と、前記絶縁容器の他方の端部に設けられ、前記内部要素と電気的に接続された高電圧側固定電極と、を備えた避雷器であって、前記絶縁容器の内周面の少なくとも一部に、非線形抵抗コーティングが塗布され、前記接地側固定電極と前記高電圧側固定電極が、前記非線形抵抗コーティングを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
[第1の実施形態]
[1.構成]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の避雷器の概略構成の一例を模式的に示す縦断面図である。図1に示す通り、本実施形態にかかる避雷器Aは、円筒状に形成されている絶縁容器1を含む。絶縁容器1は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂から構成されている。絶縁容器1の内部には、絶縁性ガス2が封入されている。絶縁性ガス2は、例えば六フッ化硫黄ガス、窒素、二酸化炭素、乾燥空気のいずれかから適宜選択すれば良い。
[1.構成]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の避雷器の概略構成の一例を模式的に示す縦断面図である。図1に示す通り、本実施形態にかかる避雷器Aは、円筒状に形成されている絶縁容器1を含む。絶縁容器1は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂から構成されている。絶縁容器1の内部には、絶縁性ガス2が封入されている。絶縁性ガス2は、例えば六フッ化硫黄ガス、窒素、二酸化炭素、乾燥空気のいずれかから適宜選択すれば良い。
また、絶縁容器1の内部には、円柱状の内部要素3が挿入されている。内部要素3は、絶縁容器1の中央部に、絶縁容器1と同軸上に収容されている。この内部要素3は、非直線形抵抗体である酸化亜鉛素子3aを複数直列に積層したものを有する。また、内部要素3において、酸化亜鉛素子3aは高電圧電極3bと接地電極3cの間に固定されている。
絶縁容器1の端部には、接地側固定電極4と高電圧側固定電極5がそれぞれ設けられている。また、絶縁容器1の外周面には導電性塗料6が、内周面の少なくとも一部には非線形コーティング7がそれぞれ塗布されている。
接地側固定電極4は、絶縁容器1と直径を略同一とする円形状の部材であり、絶縁容器1の一端(図1においては下側の端部)に絶縁容器1と同軸上に設けられている。接地側固定電極4は、絶縁容器1側の面が、内部要素3の接地側電極3cと電気的に接続されている。また、接地側固定電極4は、絶縁容器1と反対側の面が、接地電位となる導電性塗料6と電気的に接続されている。
高電圧側固定電極5は、絶縁容器1の他端(図1においては上側の端部)に設けられている。高電圧側固定電極5は、絶縁容器1側の面が、内部要素3の高電圧電極3bと電気的に接続されている。また、高電圧側固定電極5は、絶縁容器1と反対側の面が、図示しない送変電および配電などの電力系統に電気的に接続されている。
非線形抵抗コーティング7は、絶縁容器1の内周面の少なくとも一部において、高電圧側固定電極5と接触するように塗布されている。本実施形態の非線形抵抗コーティング7は、絶縁容器1の内周面の全面に塗布されている。よって、接地側固定電極4と高電圧側固定電極5とが、非線形抵抗コーティング7を介して電気的に接続されることとなる。
ここで、図2を参照して、非線形抵抗コーティング7に用いられる非線形抵抗材料の特性について説明する。非線形抵抗材料は、所定の電界において抵抗率が非線形的に低下する材料である。すなわち、図2では、動作電界E1において、抵抗率が非線形に低下している。
具体的には、非線形抵抗材料はその動作電界E1を超えると、電圧が高い部分では抵抗が低下する一方、電圧が低い部分では抵抗が増加する。従って、電圧が高い部分では電圧分担が低減され、電界が弱くなる。一方、電圧が低い部分では電圧分担が増加され、電界が強くなる。従って、非線形抵抗材料において、電界均等化の作用が働き、電界が強い部分の電界強度が緩和される。このような非線形抵抗材料としては、酸化亜鉛や炭化珪素を用いることができる。非線形抵抗コーティング7は、非線形抵抗材料の粉末を塗料に溶解したり、樹脂に充填したりしたものを用いることができる。
さらに、本実施形態の避雷器Aでは、絶縁容器1の円筒形状部分のうち、高電圧側固定電極5に近傍する部分(以下、近傍部分という)が、高電圧側固定電極5の電気力線に沿った形状に形成されていることが好ましい。例えば、図1の絶縁容器1の近傍部分は、高電圧側固定電極5の電気力線に沿うように、絶縁容器1の円筒形状部分から、高電圧側固定電極5に向かってすぼまっていくテーパー形状となっている。
もちろん、等電位線に直交する線は複数あるため、電気力線は複数想定することができる。本実施形態の避雷器Aでは、電気力線に沿う形状に加工することに加えて、避雷器Aに収容される内部素子3の寸法、作業員による作業スペースを考慮した上で、避雷器Aを最も小さく設計できる電気力線に沿う形状が採用されている。
[2.作用・効果]
以上のような構成を有する本実施形態の作用について以下に説明する。なお、避雷器Aに落雷等に起因する高電圧が印加された場合の作用については、従来と同様の作用であるためその記載を省略する。以下では、内部要素3が収容されていない絶縁容器1の雷インパルス耐電圧試験(以下、空耐電圧試験という)における作用について、従来例と比較しながら説明する。
以上のような構成を有する本実施形態の作用について以下に説明する。なお、避雷器Aに落雷等に起因する高電圧が印加された場合の作用については、従来と同様の作用であるためその記載を省略する。以下では、内部要素3が収容されていない絶縁容器1の雷インパルス耐電圧試験(以下、空耐電圧試験という)における作用について、従来例と比較しながら説明する。
まず、図3に示す従来の避雷器Bにおける、空耐電圧試験時の電界分布について説明する。ここで、従来の避雷器Bは、絶縁容器1の内周面に非線形抵抗コーティングが塗布されていない。また、絶縁容器1は円筒形状であり、高電圧側固定電極5の近傍部分の形状が加工されていない点において、特に本実施形態の避雷器Aと異なる。図3では、避雷器Bの右側に、絶縁容器1の長手方向と対応する電界強度Eaをプロットした電界分布図を示す。
図3からも明らかな通り、従来の避雷器Bで空耐電圧試験を行うと、絶縁容器1の内周面のうち高電圧側固定電極5の周辺においては、高電圧が印加されるため電界が強くなる。また、絶縁容器1に比べて絶縁性ガス2の耐電圧が低いために、高電圧側固定電極5の周辺かつ絶縁性ガス2側にある内周面(例えば図3において、点線の円で囲まれた範囲)において、沿面方向の電界がより強くなる。従来の避雷器Bでは、高電圧側固定電極5の周辺部において、絶縁容器1の内周面で電界集中が生じやすく、絶縁上の弱点となっていた。
一方、本実施形態における避雷器Aの空耐電圧試験時の電界分布の一例を図4に示す。図4から明らかな通り、高電圧側固定電極5に近傍する絶縁容器1の内周面において、電界強度が低くなり、電界集中が緩和されている。絶縁容器1の内面のうち、電気力線形状部分と、円筒状部分とが連続している面に角が形成されるため、電界集中が生じるが、絶縁性ガス2の絶縁破壊電界よりも低く抑制できている。
以上のような電界集中の緩和の効果は、まず、非線形抵抗コーティング7により奏されている。すなわち、絶縁容器1の内周面に非線形抵抗コーティング7が塗装されているので、絶縁容器1の内周面において非線形抵抗コーティング7による電界均等化の作用が働き、電圧が強い部分の電圧分担を、電圧が低い部分が負担することとなる。よって、電界集中を緩和することができる。
また、絶縁容器1の近傍部分は、高電圧側固定電極5の電気力線に沿う形状に形成されている。このため、空耐電圧試験時において、高電圧側固定電極5に高電圧が印加された場合に、非線形抵抗コーティング7で発生する電界が主に沿面成分から構成される。非線形抵抗コーティング7は絶縁容器1の内周面に塗布されているため、非線形抵抗コーティング7に沿って発生する沿面成分の電界によって抵抗特性が変わる。よって、絶縁容器1の近傍部分を電気力線に沿う形状に形成し、発生する電界を沿面方向とすれば、さらに効果的かつ確実に非線形抵抗コーティング7の電界均等化の作用を得ることができる。
以上のように、本実施形態の避雷器Aによると、空耐電圧試験においても耐電圧性能を
保つことができる。従って、空耐電圧試験を考慮して絶縁容器1を大型化する必要がない。以上より、絶縁容器1を小型化させることが可能となり、コンパクトな避雷器Aを提供することができる。また、避雷器Aにおいて、絶縁容器1の小型化を進めた場合であっても、空耐電圧試験における電界集中を絶縁破壊電界以下に抑制することができるため、絶縁信頼性を向上させることができる。
保つことができる。従って、空耐電圧試験を考慮して絶縁容器1を大型化する必要がない。以上より、絶縁容器1を小型化させることが可能となり、コンパクトな避雷器Aを提供することができる。また、避雷器Aにおいて、絶縁容器1の小型化を進めた場合であっても、空耐電圧試験における電界集中を絶縁破壊電界以下に抑制することができるため、絶縁信頼性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
[1.構成]
第2の実施形態の避雷器Aの概略構成の一例を図5に示す。第2の実施形態では、非線形抵抗コーティング7が、絶縁容器1の内面のうち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している面の周囲において、他の部分よりも厚く塗布されている。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
[1.構成]
第2の実施形態の避雷器Aの概略構成の一例を図5に示す。第2の実施形態では、非線形抵抗コーティング7が、絶縁容器1の内面のうち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している面の周囲において、他の部分よりも厚く塗布されている。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の避雷器Aでは、絶縁容器1の内面において、電気力線に沿って形成されたテーパー形状の面と、円筒形状の面という角度が異なる2面が連続している。従って、この2面が連続する部分に角が形成される。本実施形態の非線形抵抗コーティング7は、この角の部分を覆うように塗布された肉厚部分8を含む。この肉厚部分8は、絶縁容器1のその他の部分よりも非線形抵抗コーティング7を厚く塗布することで形成されている。なお、肉厚部分8は、絶縁容器1の内面形状に角がある場合など、電界集中の原因となる部分に適宜設けることもできる。
肉厚部分8が形成されると、絶縁容器1が有する角の形状が、非線形抵抗コーティング7の表面形状に影響を与えることが無い。すなわち、角を形成する2面に塗布された非線形抵抗コーティング7において、肉厚部分8の表面が丸みを帯びた形状となる。丸みを帯びた形状とは、角を形成する2面に塗布された非線形抵抗コーティング7の表面が、曲面形状となっており、頂点を有する角がないことを意味する。曲面形状は真円の弧の形状に限定されるものではなく、楕円形状でも良い。すなわち、角が無ければ曲面形状と解して良い。
[2.作用・効果]
以上のような第2の実施形態特有の作用効果としては、第1の実施形態と比べて、さらに電界集中を抑制できることがある。すなわち、非線形抵抗コーティング7が肉厚部分8を含んでいるため、絶縁容器1の内面形状に角を有する部分が形成されていたとしても、非線形抵抗コーティング7に電流をスムーズに流す電流路を形成することができる。すなわち、電流は非線形抵抗コーティング7の沿面部分を流れるので、非線形抵抗コーティング7の表面形状が丸みを帯びている場合には、角を有する面のように電流の流れが妨げられることがない。
以上のような第2の実施形態特有の作用効果としては、第1の実施形態と比べて、さらに電界集中を抑制できることがある。すなわち、非線形抵抗コーティング7が肉厚部分8を含んでいるため、絶縁容器1の内面形状に角を有する部分が形成されていたとしても、非線形抵抗コーティング7に電流をスムーズに流す電流路を形成することができる。すなわち、電流は非線形抵抗コーティング7の沿面部分を流れるので、非線形抵抗コーティング7の表面形状が丸みを帯びている場合には、角を有する面のように電流の流れが妨げられることがない。
従って、本実施形態の避雷器Aでは、図6の電界分布図に示す通り、絶縁容器1の内面形状に角がある場合でも、この角に起因する電界集中が生じることがない。これは非線形抵抗コーティング7の沿面にて、電流がスムーズに流れるため、非線形抵抗コーティング7の抵抗特性を確実に作用させて電界緩和効果を得ることができるからである。よって、避雷器Aにおいて、絶縁容器1の小型化を進めた場合であっても、空耐電圧試験における電界集中をより確実に抑制することができるため、絶縁信頼性を向上させることができる。
[第3の実施形態]
[1.構成]
第3の実施形態の避雷器Aの概略構成の一例を図7に示す。第3の実施形態では、絶縁容器1の内面のうち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している部分が、丸みを帯びた形状に形成されている。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
[1.構成]
第3の実施形態の避雷器Aの概略構成の一例を図7に示す。第3の実施形態では、絶縁容器1の内面のうち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している部分が、丸みを帯びた形状に形成されている。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の避雷器Aは、絶縁容器1の電気力線に沿って形成されたテーパー形状の面と、円筒形状の面という角度が異なる2面が連続している部分が、丸みを帯びた形状9に形成されている。例えば、連続している部分は、テーパー形状の面と円筒形状の面のそれぞれに内接する円弧の形状となるように加工されている。
ここで、丸みを帯びた形状9とは、電気力線形状部分と円筒状部分が連続している部分の表面が、曲面形状となっており、頂点を有する角がないことを意味する。曲面形状は真円の弧の形状に限定されるものではなく、楕円形状でも良い。すなわち、角が無ければ曲面形状と解して良い。
[2.作用・効果]
以上のような第3の実施形態特有の作用効果としては、第1の実施形態と比べて、さらに電界集中を抑制できることがある。すなわち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している部分が、丸みを帯びた形状に形成されているため、絶縁容器1の内周形状が角を有さない。絶縁容器1の内面形状が丸みを帯びている場合には、塗布された非線形抵抗コーティング7の表面も丸みを帯びることとなる。よって、非線形抵抗コーティング7に電流をスムーズに流すことができる電流路を形成することができる。電流は非線形抵抗コーティング7の沿面部分を流れるので、角を有する面のように電流の流れが妨げられることがない。
以上のような第3の実施形態特有の作用効果としては、第1の実施形態と比べて、さらに電界集中を抑制できることがある。すなわち、電気力線形状部分と筒状部分とが連続している部分が、丸みを帯びた形状に形成されているため、絶縁容器1の内周形状が角を有さない。絶縁容器1の内面形状が丸みを帯びている場合には、塗布された非線形抵抗コーティング7の表面も丸みを帯びることとなる。よって、非線形抵抗コーティング7に電流をスムーズに流すことができる電流路を形成することができる。電流は非線形抵抗コーティング7の沿面部分を流れるので、角を有する面のように電流の流れが妨げられることがない。
また、予め絶縁容器1の電気力線形状部分と筒状部分とが連続している部分を、丸みを帯びた形状としているため、絶縁容器1の内周面において非線形抵抗コーティング7を均一の厚さで塗布することができる。通常、溶剤などに溶解された非線形抵抗材料は、絶縁容器1に塗布された後、乾燥されるまで溶剤内で沈殿する。この沈殿等により、非線形抵抗コーティング7の抵抗特性に部分的な偏りが生じる可能性がある。
このような沈殿の現象は、非線形抵抗コーティング7の厚みが大きい部分でより頻繁に生じる。従って、絶縁容器1の内面形状を、非線形抵抗コーティング7が均一の厚さで塗布できる形状に形成することで、非線形抵抗コーティング7の抵抗特性の部分的な偏りを抑制することができる。よって、さらに効果的かつ確実に非線形抵抗コーティング7の電界均等化の作用を得ることができる。
従って、本実施形態の避雷器Aでは、図8の電界分布図に示す通り、絶縁容器1の形状に起因する電界集中が生じることがない。これは非線形抵抗コーティング7の沿面にて、電流がスムーズに流れるため、非線形抵抗コーティング7の抵抗特性を確実に作用させて電界緩和効果を得ることができるからである。よって、避雷器Aにおいて、絶縁容器1の小型化を進めた場合であっても、空耐電圧試験における電界集中をより確実に抑制することができるため、絶縁信頼性を向上させることができる。
[他の実施形態]
(1)上記の実施形態においては、電界均等化の効果が高い例として、絶縁容器の内周面全体に非線形抵抗コーティングを塗布する例を記載したが、非線形抵抗コーティングは必ずしも絶縁容器の内周面全体に塗布する必要はない。例えば、絶縁容器の高電圧側固定電極側のように、特に電界集中が生じ易い部分にのみ塗布し、塗布された非線形抵抗コーティングと接地側固定電極を、非線形抵抗コーティングを内周面の一部に細く塗布したり、リード線等の導電性部材を用いたりして電気的に接続した場合も、上記の実施形態と同様の効果が得られる。また、非線形抵抗コーティングの塗布量を低減することができるため、経済性および作業性に優れている。
(1)上記の実施形態においては、電界均等化の効果が高い例として、絶縁容器の内周面全体に非線形抵抗コーティングを塗布する例を記載したが、非線形抵抗コーティングは必ずしも絶縁容器の内周面全体に塗布する必要はない。例えば、絶縁容器の高電圧側固定電極側のように、特に電界集中が生じ易い部分にのみ塗布し、塗布された非線形抵抗コーティングと接地側固定電極を、非線形抵抗コーティングを内周面の一部に細く塗布したり、リード線等の導電性部材を用いたりして電気的に接続した場合も、上記の実施形態と同様の効果が得られる。また、非線形抵抗コーティングの塗布量を低減することができるため、経済性および作業性に優れている。
(2)上記の実施形態においては、絶縁容器を円筒状とし、それに対応する内部素子や電極等の形状を記載したが、避雷器を構成する各部材の形状、寸法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、接地側固定電極は絶縁容器より直径が大きいものを用いても構わない。また、高電圧側固定電極は、絶縁容器の一端を覆うように設けられていても良い。すなわち、絶縁容器の基本構造がどのような形状であっても、上記の実施形態の構成を適用することにより電界集中緩和の効果が得られる。
(3)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
A、B…避雷器
1…絶縁容器
2…絶縁性ガス
3…内部素子
3a…酸化亜鉛素子
3b…高電圧電極
3c…接地電極
4…接地側固定電極
5…高電圧側固定電極
6…導電性塗料
7…非線形抵抗コーティング
8…肉厚部分
9…丸みを帯びた形状
1…絶縁容器
2…絶縁性ガス
3…内部素子
3a…酸化亜鉛素子
3b…高電圧電極
3c…接地電極
4…接地側固定電極
5…高電圧側固定電極
6…導電性塗料
7…非線形抵抗コーティング
8…肉厚部分
9…丸みを帯びた形状
Claims (4)
- 内部に絶縁性ガスが封入される筒状の絶縁容器と、
前記絶縁容器に収容される非直線抵抗体を複数積層した内部要素と、
前記絶縁容器の一方の端部に設けられ、前記内部要素と電気的に接続された接地側固定電極と、
前記絶縁容器の他方の端部に設けられ、前記内部要素と電気的に接続された高電圧側固定電極と、を備えた避雷器であって、
前記絶縁容器の内周面の少なくとも一部に、非線形抵抗コーティングが塗布され、
前記接地側固定電極と前記高電圧側固定電極が、前記非線形抵抗コーティングを介して電気的に接続されていることを特徴とする避雷器。 - 前記絶縁容器の前記高電圧側固定電極の近傍部分が、前記高電圧側固定電極からの電気力線に沿った形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の避雷器。
- 前記非線形抵抗コーティングが、前記絶縁容器の内面のうち、前記電気力線形状部分と前記筒状部分とが連続している面の周囲において、他の部分よりも厚く塗布されていることを特徴とする請求項2記載の避雷器。
- 前記絶縁容器の内面のうち、前記電気力線形状部分と前記筒状部分とが連続している部分が、丸みを帯びた形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の避雷器。
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