JP2014186274A - コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】正常なコネクタ嵌合時に発せられる嵌合音の音量を、より聞き取りに適するように大きくすることができること。
【解決手段】本発明の一実施の形態にかかるコネクタは、相手側コネクタハウジングと嵌合するコネクタハウジングと、この相手側コネクタハウジングを係止する係止部と、この係止部を支持する支持部と、この支持部を補助する補助ばねとを備える。支持部は、これらコネクタハウジング同士の嵌合に伴う係止部の動作に応じて、相手側コネクタハウジングのハウジング壁面から係止部を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。補助ばねは、この弾性変形に伴い、ハウジング壁面に向けて係止部を付勢する付勢力を蓄積し、この付勢力を用いて、支持部の弾性変形からの復元を補助する。係止部は、これら復元力と付勢力とを共に用いて、ハウジング壁面を叩打するとともに相手側コネクタハウジングを係止する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一実施の形態にかかるコネクタは、相手側コネクタハウジングと嵌合するコネクタハウジングと、この相手側コネクタハウジングを係止する係止部と、この係止部を支持する支持部と、この支持部を補助する補助ばねとを備える。支持部は、これらコネクタハウジング同士の嵌合に伴う係止部の動作に応じて、相手側コネクタハウジングのハウジング壁面から係止部を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。補助ばねは、この弾性変形に伴い、ハウジング壁面に向けて係止部を付勢する付勢力を蓄積し、この付勢力を用いて、支持部の弾性変形からの復元を補助する。係止部は、これら復元力と付勢力とを共に用いて、ハウジング壁面を叩打するとともに相手側コネクタハウジングを係止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバケーブル等の各種ケーブルのコネクタに関するものである。
従来、車両内における制御信号、画像信号、音声信号等の通信情報量の増大に伴い、情報信号の伝送に使用される伝送路として、従来のメタルケーブルに代えて光ファイバケーブルが用いられている。光ファイバケーブルは、通信速度の高速化によって周囲にノイズを放出するというメタルケーブルの問題が生じず、また、周囲からのノイズの影響を受けないため、高速、大容量の情報通信に適する信号伝送路である。
光ファイバケーブルは、その端部に光コネクタを備えている。光コネクタは、例えば、光ファイバケーブルの先端に取り付けられるフェルールと、このフェルールを保持し、他の光コネクタと嵌合可能な構造を有するハウジングとを備える。また、光コネクタは、相互に嵌合可能な雄型コネクタと雌型コネクタとに分類される。光ファイバケーブル同士の接続は、光コネクタ同士の嵌合、すなわち、雄型コネクタと雌型コネクタとの嵌合によって実現される。なお、光ファイバケーブル同士の接続は、Wire to Wire接続と呼ばれる。一方、FOT(Fiber Optical Transceiver)等の光通信を行なうための装置(以下、通信装置と略す)に光コネクタが設けられる場合がある。このような通信装置は、光コネクタ同士の嵌合によって光ファイバケーブルと接続することができる。
また、雄型コネクタと雌型コネクタとを正常に嵌合し終えた際には、一般に、所定の音(以下、嵌合音という)が生じる。このような嵌合音は、例えばWire to Wire接続または光ファイバケーブルと通信装置との接続が光コネクタ同士の嵌合によって正常に実現されると同時に、光コネクタから発せられる。車両内に光ファイバケーブルをワイヤハーネス等として配索する際、作業者は、光コネクタの嵌合音を聞き取ることによって、光ファイバケーブル同士または光ファイバケーブルと通信装置とが正常に接続されたか否かを確認している。
なお、雄雌嵌合型のコネクタの従来技術として、例えば、相互に嵌合可能な一対の雄型コネクタハウジングおよび雌型コネクタハウジングのうち、係止突起を有するロックアームを雄型コネクタハウジングに設け、この係止突起と係合する係合部を雌型コネクタハウジングに設け、これら各コネクタハウジング同士の嵌合において係止突起と係合部とが係合すると同時に、この係合部の壁面にロックアームの被打撃面が叩打されるように構成したコネクタがある(特許文献1参照)。この特許文献1に記載のコネクタにおいて、ロックアームのうちの被打撃面の内側には空間が形成されている。
近年、Wire to Wire接続等の配線接続において、光コネクタ等のコネクタ同士の嵌合を正常に行えたか否かを確認し易くするという観点から、コネクタの嵌合音の音量を大きくすることが要望されている。なお、このような嵌合音の音量は、一般に、嵌合するコネクタの小型化に伴って小さくなる。このため、コネクタが小型化された場合、その嵌合音の音量を、小型のコネクタから従来発せられる嵌合音に比して大きくすることがより望ましい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、正常なコネクタ嵌合時に発せられる嵌合音の音量をより聞き取りに適するように大きくすることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるコネクタは、相手側コネクタハウジングと嵌合するコネクタハウジングと、前記相手側コネクタハウジングを係止する係止部と、前記係止部を支持し、前記相手側コネクタハウジングと前記コネクタハウジングとの嵌合に伴う前記係止部の動作に応じて、前記相手側コネクタハウジングのハウジング壁面から前記係止部を離間させる方向に撓む弾性変形を行う支持部と、前記弾性変形に伴い、前記ハウジング壁面に向けて前記係止部を付勢する付勢力を蓄積し、前記付勢力を用いて、前記支持部の前記弾性変形からの復元を補助する補助ばねと、を備え、前記係止部は、前記弾性変形の復元力と前記付勢力とを共に用いて、前記ハウジング壁面を叩打するとともに前記相手側コネクタハウジングを係止することを特徴とする。
また、本発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記補助ばねは、前記支持部の前記弾性変形に連動して撓み、前記支持部とともに復元することを特徴とする。
また、本発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記係止部は、前記支持部から前記コネクタハウジングの長手方向に延在するように前記支持部と一体的に形成され、少なくとも前記相手側コネクタハウジングの係止部分に比して前記係止部の延在端側を前記ハウジング壁面に叩き付けることを特徴とする。
また、本発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記コネクタハウジングは、前記相手側コネクタハウジング内に嵌め込まれる雄型コネクタハウジングであることを特徴とする。
また、本発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記コネクタハウジングおよび前記相手側コネクタハウジングは、光コネクタのハウジングであることを特徴とする。
本発明によれば、正常なコネクタ嵌合時に発せられる嵌合音の音量をより聞き取りに適するように大きくすることができるという効果を奏する。
以下に、図面を参照して本発明にかかるコネクタの実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、本発明にかかるコネクタの一例として光コネクタを挙げて本実施の形態を説明するが、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各構成部の寸法の関係、各構成部の寸法の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光コネクタ接続体の一構成例を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる光コネクタの一構成例を示す斜視図である。図1,2に示すように、本実施の形態1における光コネクタ接続体10は、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合によって構成される。このコネクタ同士の嵌合は、図2の太線矢印に示される方向に向かって雄型光コネクタ1を雌型光コネクタ11内に嵌め込み、この嵌合状態をロックすることにより、実現される。なお、雌型光コネクタ11への雄型光コネクタ1の嵌合方向(挿入方向)は、例えば、雄型光コネクタ1の長手方向、すなわち、雄型光コネクタ1内に収容される光ファイバの長手方向と同じ方向である。
図1は、本発明の実施の形態1における光コネクタ接続体の一構成例を示す側面図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる光コネクタの一構成例を示す斜視図である。図1,2に示すように、本実施の形態1における光コネクタ接続体10は、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合によって構成される。このコネクタ同士の嵌合は、図2の太線矢印に示される方向に向かって雄型光コネクタ1を雌型光コネクタ11内に嵌め込み、この嵌合状態をロックすることにより、実現される。なお、雌型光コネクタ11への雄型光コネクタ1の嵌合方向(挿入方向)は、例えば、雄型光コネクタ1の長手方向、すなわち、雄型光コネクタ1内に収容される光ファイバの長手方向と同じ方向である。
雄型光コネクタ1は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの一例である。雌型光コネクタ11は、この雄型光コネクタ1と相互に嵌合可能な相手側コネクタの一例である。図1,2に示すように、雄型光コネクタ1は、光ファイバケーブル2と、雄型ハウジング3と、係止部4と、支持部5と、補助ばね6と、操作部7とを備える。雌型光コネクタ11は、光ファイバケーブル12と、雄型ハウジング3を嵌め込み可能な雌型ハウジング13と、雄型ハウジング3の係止部4に対応する突起部14とを備える。
光ファイバケーブル2,12は、例えば図2に示すように2芯構造のものであり、被覆部材によって外周を覆われた光ファイバ等を用いて実現される。光ファイバケーブル2,12の先端面から所定の長さの部分(以下、先端部分という)は、被覆部材を除去して光ファイバを露出させている。これら光ファイバケーブル2,12の各先端部分は、所定のフェルール内に各々固定配置される。
雄型ハウジング3は、雌型光コネクタ11の雌型ハウジング13と嵌合するコネクタハウジングである。具体的には、雄型ハウジング3は、図2に示すように、前部3aと後部3bとによって構成される。前部3aおよび後部3bは、樹脂の成型加工等によって一体的に形成される。前部3aは、雌型ハウジング13内に嵌め込み可能な形状をなす。また、前部3aの先端面には、光ファイバケーブル2の光ファイバ先端面に対応する貫通孔(図示せず)が形成される。後部3bは、雌型ハウジング13の開口端の壁面に当接する形状をなす。雄型ハウジング3は、上述した光ファイバケーブル2の先端部分を前部3a内に収容し、この先端部分の後部側を後部3b内に収容する。この場合、光ファイバケーブル2は、その光ファイバの長手方向と雄型ハウジング3の長手方向(雌型ハウジング13への雄型ハウジング3の嵌合方向)とが一致するように、雄型ハウジング3内に固定配置される。また、この雄型ハウジング3内に固定配置された光ファイバケーブル2の光ファイバ先端面は、上述した前部3aの貫通孔を介して外部に通じる。なお、雄型ハウジング3を構成する樹脂材料として、例えば、耐熱性、機械強度、成型性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。また、車内の配線接続のための光コネクタのハウジングとして雄型ハウジング3が利用されることを考慮すれば、耐熱性を有し且つ熱膨張率の小さい樹脂を用いて雄型ハウジング3を構成することが好ましい。
係止部4は、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aを叩打して嵌合音を発生させるとともに、雌型ハウジング13を係止するものである。具体的には、係止部4は、弾性のある樹脂の成型加工等によって形成される板状部材である。例えば図1,2に示すように、係止部4は、支持部5から雄型ハウジング3の長手方向に延在するように支持部5と一体的に形成される。係止部4は、雌型ハウジング13の突起部14に対応する嵌合孔4aを有する。嵌合孔4aは、図1に示すように、係止部4をその厚さ方向に貫通する孔であり、雌型ハウジング13の突起部14を嵌め込み可能な形状に形成される。係止部4は、嵌合孔4a内に雌型ハウジング13の突起部14を嵌め込んだ直後、自身の裏面4bを雌型ハウジング13のハウジング壁面13aに叩き付けてハウジング壁面13aを叩打するとともに雌型ハウジング13を係止する。その際、係止部4は、少なくとも雌型ハウジング13の係止部分(例えば嵌合孔4aの形成部分)に比して自身の延在端側をハウジング壁面13aに叩き付ける。係止部4は、このようにハウジング壁面13aを叩打することによって嵌合音を発生させるとともに、嵌合孔4a内への突起部14の嵌め込みによって雌型ハウジング13を係止することにより、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合をロックする。
なお、本実施の形態1において、係止部4は、図1に示すように、その裏面4bと雌型ハウジング13のハウジング壁面13aとを対向させる。ハウジング壁面13aは、例えば雌型ハウジング13の上外壁面である。一方、係止部4の延在端は、係止部4の基端と反対側の端部である。すなわち、係止部4の延在端は自由端である。また、係止部4の基端は、係止部4と支持部5との連続部分である。
支持部5は、雄型ハウジング3上に係止部4および操作部7を支持するものである。具体的には、支持部5は、弾性のある樹脂の成型加工等によって、雄型ハウジング3、係止部4、補助ばね6および操作部7と一体的に形成される。支持部5は、例えば図2に示すように、雄型ハウジング3の上方に延在するように、雄型ハウジング3の後部3bの先端近傍(前部3aと後部3bとの境界部分近傍)に設けられる。支持部5は、雌型ハウジング13と雄型ハウジング3との嵌合に伴う係止部4の動作に応じて、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aから係止部4を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。支持部5は、この弾性変形の復元力を用いて、係止部4をハウジング壁面13aに押圧する。
補助ばね6は、支持部5の弾性変形からの復元を補助するものである。具体的には、補助ばね6は、弾性のある樹脂の成型加工等によって、支持部5と一体的に形成される。補助ばね6は、例えば図1,2に示すように、支持部5と操作部7との連続部分から雄型ハウジング3の上外壁面に向けて延在し、且つ、支持部5側に湾曲する。補助ばね6の延在端は、自由端であり、雄型ハウジング3の上外壁面と接触する。補助ばね6は、上述した支持部5の弾性変形に連動して撓み、この弾性変形に伴い、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aに向けて係止部4を付勢する付勢力を蓄積する。補助ばね6は、この蓄積した付勢力を用いて、支持部5の弾性変形からの復元を補助する。その際、補助ばね6は、支持部5の弾性変形からの復元とともに、撓み変形から復元する。このような補助ばね6の付勢力および支持部5の弾性変形の復元力は、共に、上述した係止部4の動作に用いられる。
操作部7は、上述した係止部4による雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合のロック状態を解除するためのものである。具体的には、操作部7は、図1,2に示すように、雄型ハウジング3の上外壁面の斜め上方に延在する板状部材であり、弾性のある樹脂の成型加工等によって、係止部4、支持部5および補助ばね6と一体的に形成される。操作部7は、その押し下げによって、上述した弾性変形を支持部5に行わせる。これに伴い、係止部4は、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aから離間して、嵌合孔4aから突起部14を外す。この結果、係止部4は、雌型ハウジング13の係止を解除する。操作部7は、このように雌型ハウジング13の係止を解除することによって、係止部4による雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合のロック状態を解除する。
一方、雌型ハウジング13は、上述した雄型光コネクタ1の雄型ハウジング3を嵌め込む雌型光コネクタ11のハウジングである。具体的には、雌型ハウジング13は、樹脂の成型加工等によって、雄型ハウジング3の前部3aを嵌め込み可能な形状(図2参照)に形成される。雌型ハウジング13は、上述した光ファイバケーブル12の先端部分を内部に収容する。この場合、光ファイバケーブル12は、その光ファイバの長手方向と雌型ハウジング13の長手方向(雌型ハウジング13への雄型ハウジング3の嵌合方向)とが一致するように、雌型ハウジング13内に固定配置される。この雌型ハウジング13内に固定配置された光ファイバケーブル12は、雄型ハウジング3と雌型ハウジング13とが正常に嵌合し終えた際、この雄型ハウジング3内の光ファイバケーブル2と光学的に接続される。また、図1,2に示すように、雌型ハウジング13は、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合状態をロックするための突起部14を有する。突起部14は、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aに形成される。突起部14は、雄型ハウジング3と雌型ハウジング13とが正常に嵌合し終えた際、図1に示すように、係止部4の嵌合孔4a内に嵌め込まれる。この結果、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合状態がロックされる。なお、雌型ハウジング13を構成する樹脂材料として、例えば、PPSまたはPBT等が挙げられる。また、車内の配線接続のための光コネクタのハウジングとして雌型ハウジング13が利用されることを考慮すれば、耐熱性を有し且つ熱膨張率の小さい樹脂を用いて雌型ハウジング13を構成することが好ましい。
つぎに、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11との嵌合動作について説明する。図3は、本実施の形態1にかかる雄型光コネクタと雌型光コネクタとの嵌合途中の状態を示す図である。図4は、本実施の形態1にかかる雄型光コネクタと雌型光コネクタとの嵌合完了の状態を示す図である。
雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11とを嵌合する際、まず、雄型ハウジング3をその前部3a側から雌型ハウジング13に近接させ(図2参照)、ついで、雄型ハウジング3の前部3aを雌型ハウジング13の内部に嵌め込む。この場合、雄型ハウジング3の嵌合方向は、雌型ハウジング13によって規制される。この雌型ハウジング13内に対する雄型ハウジング3の前部3aの嵌合が進むに伴い、係止部4は、雌型ハウジング13の上壁に乗り上がり、自身の裏面4bを雌型ハウジング13のハウジング壁面13aと接触させつつ、雌型ハウジング13の突起部14に向かってハウジング壁面13a上を摺動する。
上述した嵌合の更なる進行に伴い、係止部4は、図3に示すように、突起部14の傾斜状の前端部位に到達して、突起部14に乗り上がる。この係止部4の動作に応じて、支持部5は、ハウジング壁面13aから係止部4の裏面4bを離間させる方向に撓む弾性変形を行う。支持部5は、この突起部14への係止部4の乗り上がりが進行するに伴い、この弾性変形を増大させつつ、この弾性変形の復元力を蓄積する。この支持部5の弾性変形に連動し、補助ばね6は、その自由端側の部分を雄型ハウジング3の上外壁面に押圧して、図3に示すように撓む。補助ばね6は、支持部5の弾性変形の進行に伴い、撓み変形を増大させつつ、この撓み変形の復元力を蓄積する。これら支持部5および補助ばね6による各復元力の蓄積は、係止部4の嵌合孔4aの先端が突起部14の後端に到達するまで継続される。なお、嵌合孔4aの先端は、嵌合孔4aをなす貫通孔内壁のうちの係止部4の自由端側に位置する端部である。突起部14の後端は、突起部14のうちの雌型ハウジング13の開口端と反対側の端部である。
その後、雄型ハウジング3の前部3aを雌型ハウジング13の内部に嵌め込み終えた際、雌型ハウジング13の開口端の壁面と雄型ハウジング3の後部3bの先端面とが接触する。これによって、雌型ハウジング13内に対する雄型ハウジング3の嵌合の進行が制限され、この嵌合の進行が終了する。この状態において、係止部4は、図4に示すように、支持部5の弾性変形の復元力F1と補助ばね6の付勢力F2とを共に用い、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aを叩打するとともに雌型ハウジング13を係止する。
詳細には、支持部5は、雄型ハウジング3と雌型ハウジング13との嵌合の進行が終了した際、上述した弾性変形の状態から弾性変形前の自然状態に復元する。この支持部5の復元動作と同時に、補助ばね6は、上述した撓み変形の状態から撓み変形前の自然状態に復元する。この補助ばね6の撓み変形の復元力は、雌型ハウジング13のハウジング壁面13aに向けて係止部4を付勢する付勢力F2として支持部5に作用する。すなわち、補助ばね6は、この付勢力F2を用いて、支持部5の弾性変形からの復元を補助するとともに、この支持部5の弾性変形の復元力F1を強化する。支持部5は、付勢力F2によって強化された復元力F1を用い、ハウジング壁面13aに係止部4を押圧する。係止部4は、この強化された復元力F1によって、嵌合孔4a内に突起部14を嵌め込んだ後、直ちに、裏面4bをハウジング壁面13aに叩き付けて、ハウジング壁面13aを叩打するとともに、雌型ハウジング13を係止する。その際、係止部4は、少なくとも雌型ハウジング13の係止部分に比して自身の延在端側の部分をハウジング壁面13aに叩き付ける。具体的には、係止部4は、嵌合孔4aを除く裏面4bの全体をハウジング壁面13aに叩き付ける。
この結果、雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11とが正常に嵌合し終えるとともに、上述したように係止部4がハウジング壁面13aを叩打したことによる嵌合音が、光コネクタ接続体10の外部の空間、すなわち外部空間へ発せられる。ここで、係止部4がハウジング壁面13aを叩打する際に係止部4に作用する支持部5の復元力F1は、上述したように、補助ばね6の付勢力F2によって強化されている。このため、係止部4によるハウジング壁面13aの叩打力は、復元力F1のみを係止部4に作用させた場合(以下、この場合を「非強化復元力による叩打」という)に比して増大する。これにより、係止部4は、ハウジング壁面13aを叩打した際に生じる嵌合音の振動を、非強化復元力による叩打に比して大きくすることができる。この結果、嵌合音の音量が、作業者にとって十分に聞き取り易い程度に増大する。また、上述したように雄型光コネクタ1と雌型光コネクタ11とが正常に嵌合することにより、光コネクタ接続体10が構成される。この光コネクタ接続体10の内部において、光ファイバケーブル2,12の各光ファイバ同士は、正常な光学的接続を実現している。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、雌型光コネクタのハウジング(雌型ハウジング)と嵌合する雄型光コネクタのハウジング(雄型ハウジング)に、雌型ハウジングを係止する係止部と、この係止部を支持する支持部と、補助ばねとを設ける。支持部は、雌型ハウジングと雄型ハウジングとの嵌合に伴う係止部の動作に応じて、雌型ハウジングのハウジング壁面から係止部を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。補助ばねは、この弾性変形に伴い、雌型ハウジングのハウジング壁面に向けて係止部を付勢する付勢力を蓄積し、この付勢力を用いて、支持部の弾性変形からの復元を補助する。係止部は、支持部の弾性変形の復元力と補助ばねの付勢力とを共に用いて、雌型ハウジングのハウジング壁面を叩打するとともに雌型ハウジングを係止する。
このため、係止部によるハウジング壁面の叩打に寄与する支持部の弾性変形の復元力を、補助ばねの付勢力によって強化することができる。これによって、係止部によるハウジング壁面の叩打の際に生じる嵌合音の振動を可能な限り増大させることができる。この結果、正常なコネクタ嵌合時に発せられる嵌合音の音量を、たとえコネクタ規模が小型化された場合であっても、作業者による聞き取りに一層適する程度に増大させることができる。本発明によれば、作業者は、車両内等の配線接続において、コネクタ規模の大小によらず、多種多様なコネクタ同士を正常に嵌合できたか否か(例えばコネクタ接続体を介したWire to Wire接続または光ファイバケーブルと通信装置との接続が正常に実現されたか否か)を嵌合音の聞き取りによって容易に確認することができる。
また、本発明の実施の形態1では、係止部によって雌型ハウジングのハウジング壁面を叩打する際、少なくとも雌型ハウジングの係止部分に比して係止部の自由端側をハウジング壁面に叩き付けている。このため、係止部の自由端から基端に亘る部分のうち、支持部における弾性変形の復元力のモーメントが比較的大きくなる(さらには最大となる)部分によって、雌型ハウジングのハウジング壁面を叩打することができる。この結果、支持部の弾性変形の復元力をハウジング壁面の叩打力として最大限に活用できることから、上述した嵌合音の音量増大を促進することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、係止部4によって雌型ハウジング13の上外壁面を叩打するとともに雌型ハウジング13を係止していたが、本実施の形態2では、係止部によって雌型ハウジングの内壁面を叩打するとともに雌型ハウジングを係止している。
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、係止部4によって雌型ハウジング13の上外壁面を叩打するとともに雌型ハウジング13を係止していたが、本実施の形態2では、係止部によって雌型ハウジングの内壁面を叩打するとともに雌型ハウジングを係止している。
図5は、本発明の実施の形態2における光コネクタ接続体の一構成例を示す側面図である。図6は、本発明の実施の形態2にかかる光コネクタの一構成例を示す斜視図である。なお、図5には、本実施の形態2にかかる光コネクタ同士の嵌合状態を明確に説明するために光コネクタ接続体の一部破断図が示されている。
図5,6に示すように、本実施の形態2における光コネクタ接続体20は、実施の形態1にかかる雄型光コネクタ1に代えて雄型光コネクタ21を備え、雌型光コネクタ11に代えて雌型光コネクタ31を備える。雄型光コネクタ21は、実施の形態1における雄型ハウジング3に代えて雄型ハウジング23を備え、係止部4に代えて突起部24aを有する係止部24を備え、支持部5に代えて支持部25を備え、補助ばね6に代えて補助ばね26を備え、操作部7に代えて操作部27を備える。雌型光コネクタ31は、実施の形態1における雌型ハウジング13に代えて雌型ハウジング33を備え、突起部14に代えて嵌合孔35を有するガイド部34を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図5,6に示すように、本実施の形態2における光コネクタ接続体20は、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合によって構成される。このコネクタ同士の嵌合は、図6の太線矢印に示される方向に向かって雄型光コネクタ21を雌型光コネクタ31内に嵌め込み、この嵌合状態をロックすることにより、実現される。なお、雌型光コネクタ31への雄型光コネクタ21の嵌合方向(挿入方向)は、例えば、雄型光コネクタ21の長手方向、すなわち、雄型光コネクタ21内に収容される光ファイバの長手方向と同じ方向である。
雄型光コネクタ21は、本発明の実施の形態2にかかるコネクタの一例である。雌型光コネクタ31は、この雄型光コネクタ21と相互に嵌合可能な相手側コネクタの一例である。図5,6に示すように、雄型光コネクタ21は、上述した光ファイバケーブル2と、雄型ハウジング23と、係止部24と、支持部25と、補助ばね26と、操作部27とを備える。雌型光コネクタ31は、上述した光ファイバケーブル12と、雄型ハウジング23を嵌め込み可能な雌型ハウジング33と、雄型ハウジング23の係止部24に対応するガイド部34とを備える。
雄型ハウジング23は、雌型光コネクタ31の雌型ハウジング33と嵌合するコネクタハウジングである。具体的には、雄型ハウジング23は、樹脂の成型加工等によって雌型ハウジング33内に嵌め込み可能な形状に形成される。また、雄型ハウジング23の先端面には、光ファイバケーブル2の光ファイバ先端面に対応する貫通孔(図示せず)が形成される。雄型ハウジング23の後端部には、雌型ハウジング33内への雄型ハウジング23の嵌入量を規制する規制部23aが形成される。規制部23aは、図5,6に示すように、フランジ状に形成される。規制部23aは、雌型ハウジング33内への雄型ハウジング23の嵌め込みが終了した際に雌型ハウジング33の開口端の壁面に当接して、この雄型ハウジング23の過度な嵌入を阻止する。一方、雄型ハウジング23は、実施の形態1の場合と同様に、光ファイバケーブル2を収容する。すなわち、光ファイバケーブル2は、その光ファイバの長手方向と雄型ハウジング23の長手方向(雌型ハウジング33への雄型ハウジング23の嵌合方向)とが一致するように、雄型ハウジング23内に固定配置される。また、雄型ハウジング23内に固定配置された光ファイバケーブル2の光ファイバ先端面は、この雄型ハウジング23の先端面の貫通孔を介して外部に通じる。なお、雄型ハウジング23を構成する樹脂材料として、例えば、PPSまたはPBT等が挙げられる。また、車内の配線接続のための光コネクタのハウジングとして雄型ハウジング23が利用されることを考慮すれば、耐熱性を有し且つ熱膨張率の小さい樹脂を用いて雄型ハウジング23を構成することが好ましい。
係止部24は、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aを叩打して嵌合音を発生させるとともに、雌型ハウジング33を係止するものである。具体的には、係止部24は、弾性のある樹脂の成型加工等によって形成されるアーム状部材である。例えば図5,6に示すように、係止部24は、雄型ハウジング23の先端から後端に向かって斜め上方に延在するように支持部25と一体的に形成される。係止部24は、雌型ハウジング33の嵌合孔35に対応する突起部24aを有する。突起部24aは、図5,6に示すように、係止部24の上壁面から突起する部分であり、雌型ハウジング33の嵌合孔35内に嵌め込み可能な形状(図5参照)に形成される。係止部24は、雌型ハウジング33の嵌合孔35内に突起部24aを嵌め込んだ直後、自身の上壁面を雌型ハウジング33のハウジング壁面34aに叩き付けてハウジング壁面34aを叩打するとともに雌型ハウジング33を係止する。その際、係止部24は、少なくとも雌型ハウジング33の係止部分(例えば突起部24aの形成部分)に比して自身の延在端側をハウジング壁面34aに叩き付ける。係止部24は、このようにハウジング壁面34aを叩打することによって嵌合音を発生させるとともに、嵌合孔35内への突起部24aの嵌め込みによって雌型ハウジング33を係止することにより、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合をロックする。
なお、本実施の形態2において、係止部24は、図5,6に示すように、その上壁面と雌型ハウジング33(詳細にはガイド部34)のハウジング壁面34aとを対向させる。ハウジング壁面34aは、例えば雌型ハウジング33の上壁の一部を構成するガイド部34の上内壁面である。一方、係止部24の延在端は、係止部24の基端と反対側の端部である。すなわち、係止部24の延在端は自由端である。また、係止部24の基端は、係止部24と支持部25との連続部分である。
支持部25は、雄型ハウジング23上に係止部24および操作部27を支持するものである。具体的には、支持部25は、弾性のある樹脂の成型加工等によって、雄型ハウジング23、係止部24、補助ばね26および操作部27と一体的に形成される。支持部25は、例えば図5,6に示すように、雄型ハウジング23の上方に延在するように、雄型ハウジング23の先端部に設けられる。支持部25は、雌型ハウジング33と雄型ハウジング23との嵌合に伴う係止部24の動作に応じて、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aから係止部24を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。支持部25は、この弾性変形の復元力を用いて、係止部24をハウジング壁面34aに押圧する。
補助ばね26は、支持部25の弾性変形からの復元を補助するものである。具体的には、補助ばね26は、弾性のある樹脂の成型加工等によって、支持部25と一体的に形成される。補助ばね26は、例えば図5,6に示すように、支持部25から係止部24の長手方向に沿って延在する。補助ばね26の延在端は、自由端であり、自身の撓み変形時に雄型ハウジング23の上外壁面と接触する。補助ばね26は、上述した支持部25の弾性変形に連動して撓み、この弾性変形に伴い、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aに向けて係止部24を付勢する付勢力を蓄積する。補助ばね26は、この蓄積した付勢力を用いて、支持部25の弾性変形からの復元を補助する。その際、補助ばね26は、支持部25の弾性変形からの復元とともに、撓み変形から復元する。このような補助ばね26の付勢力および支持部25の弾性変形の復元力は、共に、上述した係止部24の動作に用いられる。
操作部27は、上述した係止部24による雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合のロック状態を解除するためのものである。具体的には、操作部27は、図5,6に示すように、係止部24の延在端から係止部24の長手方向に延在する板状部材であり、弾性のある樹脂の成型加工等によって、係止部24と一体的に形成される。操作部27は、その押し下げによって、上述した弾性変形を支持部25に行わせる。これに伴い、係止部24は、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aから離間して、嵌合孔35から突起部24aを外す。この結果、係止部24は、雌型ハウジング33の係止を解除する。操作部27は、このように雌型ハウジング33の係止を解除することによって、係止部24による雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合のロック状態を解除する。
一方、雌型ハウジング33は、上述した雄型光コネクタ21の雄型ハウジング23を嵌め込む雌型光コネクタ31のハウジングである。具体的には、雌型ハウジング33は、樹脂の成型加工等によって、係止部24等とともに雄型ハウジング23を嵌め込み可能な形状(図6参照)に形成される。雌型ハウジング33は、実施の形態1の場合と同様に、光ファイバケーブル12の先端部分を内部に収容する。すなわち、光ファイバケーブル12は、その光ファイバの長手方向と雌型ハウジング33の長手方向(雌型ハウジング33への雄型ハウジング23の嵌合方向)とが一致するように、雌型ハウジング33内に固定配置される。この雌型ハウジング33内に固定配置された光ファイバケーブル12は、雄型ハウジング23と雌型ハウジング33とが正常に嵌合し終えた際、この雄型ハウジング23内の光ファイバケーブル2と光学的に接続される。
また、雌型ハウジング33は、図5,6に示すように、嵌合孔35を有するガイド部34を備える。ガイド部34は、雄型ハウジング23の係止部24を挿入可能な形状(例えば中空の凸形状)をなすように、雌型ハウジング33の上壁の一部分に形成される。この場合、ガイド部34の開口端は、雌型ハウジング33の開口端と連続している。ガイド部34の長手方向は、雌型ハウジング33の長手方向と同じであり、ガイド部34の幅および長さは、係止部24の幅および長さに応じて設定される。このようなガイド部34内には、雌型ハウジング33内への雄型ハウジング23の嵌入に伴い、係止部24が支持部25側から操作部27側に亘って順次挿入される。ガイド部34は、このように挿入される係止部24を雌型ハウジング33の長手方向に案内することにより、雌型ハウジング33に対する雄型ハウジング23の嵌合方向を規制する。この結果、雄型ハウジング23は、雌型ハウジング33内に対して正常な方向に嵌入される。なお、ガイド部34は、図5,6に示すように、雌型ハウジング33の上壁の一部分を構成する。すなわち、ガイド部34の上内壁面に該当するハウジング壁面34aは、雌型ハウジング33の上内壁面である。一方、ガイド部34は、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合状態をロックするための突起部24aを嵌め込む嵌合孔35を有する。嵌合孔35は、図5に示すように、ガイド部34の上内壁面(ハウジング壁面13a)に、係止部24の突起部24aと係合する凹形状をなすように形成される。なお、嵌合孔35は、図5に示す凹部形状のものに限らず、ガイド部34の上壁を貫通するものであってもよい。このような嵌合孔35内には、雄型ハウジング23と雌型ハウジング33とが正常に嵌合し終えた際、図5に示すように、係止部24の突起部24aが嵌め込まれる。この結果、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合状態がロックされる。
なお、上述した雌型ハウジング33を構成する樹脂材料として、例えば、PPSまたはPBT等が挙げられる。また、車内の配線接続のための光コネクタのハウジングとして雌型ハウジング33が利用されることを考慮すれば、耐熱性を有し且つ熱膨張率の小さい樹脂を用いて雌型ハウジング33を構成することが好ましい。
つぎに、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31との嵌合動作について説明する。図7は、本実施の形態2にかかる雄型光コネクタと雌型光コネクタとの嵌合途中の状態を示す図である。図8は、本実施の形態2にかかる雄型光コネクタと雌型光コネクタとの嵌合完了の状態を示す図である。
雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31とを嵌合する際、まず、雄型ハウジング23をその先端側から雌型ハウジング33に近接させ(図6参照)、ついで、雄型ハウジング23を係止部24とともに雌型ハウジング33の内部に嵌め込む。この場合、係止部24は、雌型ハウジング33内への雄型ハウジング23の嵌入に伴ってガイド部34の内部に挿入される。雄型ハウジング23の嵌合方向は、この係止部24を挿入するガイド部34の作用によって規制される。この雌型ハウジング33内に対する雄型ハウジング23の嵌合が進むに伴い、係止部24は、その上壁面をガイド部34の上内壁面(ハウジング壁面34a)と接触させつつ、ガイド部34の嵌合孔35へ突起部24aを近づける方向に摺動する。
上述した嵌合の更なる進行に伴い、係止部24の突起部24aは、ガイド部34の開口端に到達する。突起部24aは、ガイド部34内への係止部24の挿入に伴ってガイド部34内に入り込む。係止部24は、図7に示すように、ハウジング壁面34aに突起部24aを押し付けつつ、ガイド部34の内壁に沿って進行する。この係止部24の動作に応じて、支持部25は、ハウジング壁面34aから係止部24の上壁面を離間させる方向に撓む弾性変形を行う。支持部25は、上述したハウジング壁面34aに対する突起部24aの押し付けによる反作用を受けて、この弾性変形を継続する。これにより、支持部25は、この弾性変形の復元力を蓄積する。この支持部25の弾性変形に連動し、補助ばね26は、その自由端側の部分を雄型ハウジング23の上外壁面に押圧して、図7に示すように撓む。補助ばね26は、支持部25の弾性変形に伴って撓み変形を継続し、これにより、この撓み変形の復元力を蓄積する。これら支持部25および補助ばね26による各復元力の蓄積は、係止部24の突起部24aの後端が雌型ハウジング33の嵌合孔35の先端に到達するまで継続される。なお、突起部24aの後端は、係止部24の自由端側を向く突起部24aの端部である。嵌合孔35の先端は、嵌合孔35をなす凹部内壁のうちのガイド部34の開口端側に位置する端部である。
その後、雄型ハウジング23を雌型ハウジング33の内部に嵌め込み終えた際、雌型ハウジング33の開口端の壁面と雄型ハウジング23の規制部23aの先端面とが接触する。これによって、雌型ハウジング33内に対する雄型ハウジング23の嵌合の進行が制限され、この嵌合の進行が終了する。この状態において、係止部24は、図8に示すように、支持部25の弾性変形の復元力F1と補助ばね26の付勢力F2とを共に用い、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aを叩打するとともに雌型ハウジング33を係止する。なお、操作部27は、図8に示すように、雌型ハウジング33の外部に露出している。このような操作部27は、作業者によって容易に押し下げ操作可能である。
詳細には、支持部25は、雄型ハウジング23と雌型ハウジング33との嵌合の進行が終了した際、上述した弾性変形の状態から弾性変形前の自然状態に復元する。この支持部25の復元動作と同時に、補助ばね26は、上述した撓み変形の状態から撓み変形前の自然状態に復元する。この補助ばね26の撓み変形の復元力は、雌型ハウジング33のハウジング壁面34aに向けて係止部24を付勢する付勢力F2として支持部25に作用する。すなわち、補助ばね26は、この付勢力F2を用いて、支持部25の弾性変形からの復元を補助するとともに、この支持部25の弾性変形の復元力F1を強化する。支持部25は、付勢力F2によって強化された復元力F1を用い、ハウジング壁面34aに係止部24を押圧する。係止部24は、この強化された復元力F1によって、嵌合孔35内に突起部24aを嵌め込んだ後、直ちに、自身の上壁面をハウジング壁面34aに叩き付けて、ハウジング壁面34aを叩打するとともに、雌型ハウジング33を係止する。その際、係止部24は、少なくとも雌型ハウジング33の係止部分に比して自身の延在端側の部分をハウジング壁面34aに叩き付ける。例えば図8に示すように、係止部24は、突起部24aから延在端に亘る部分をハウジング壁面34aに叩き付ける。
この結果、雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31とが正常に嵌合し終えるとともに、上述したように係止部24がハウジング壁面34aを叩打したことによる嵌合音が、光コネクタ接続体20の外部空間へ発せられる。ここで、係止部24がハウジング壁面34aを叩打する際に係止部24に作用する支持部25の復元力F1は、上述したように、補助ばね26の付勢力F2によって強化されている。このため、係止部24によるハウジング壁面34aの叩打力は、非強化復元力による叩打に比して増大する。これにより、係止部24は、ハウジング壁面34aを叩打した際に生じる嵌合音の振動を、非強化復元力による叩打に比して大きくすることができる。この結果、嵌合音の音量が、作業者にとって十分に聞き取り易い程度に増大する。また、上述したように雄型光コネクタ21と雌型光コネクタ31とが正常に嵌合することにより、光コネクタ接続体20が構成される。この光コネクタ接続体20の内部において、光ファイバケーブル2,12の各光ファイバ同士は、正常な光学的接続を実現している。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、雄型ハウジングを係止部とともに雌型ハウジング内に嵌入し、支持部の弾性変形の復元力と補助ばねの付勢力とを共に用いて雌型ハウジングの上内壁面に係止部を叩き付けるとともに、この係止部によって雌型ハウジングを係止するように構成し、その他を実施の形態1と同様に構成している。このため、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するコネクタとして、雄型ハウジングを係止部とともに雌型ハウジング内に嵌入するタイプの光コネクタを実現することができる。
なお、上述した実施の形態1では、係止部4に形成した嵌合孔4aの内部に雌型ハウジング13の突起部14を嵌め込むことによって雌型ハウジング13を係止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、係止部4に突起部を形成し、雄型ハウジング13のハウジング壁面13aに嵌合孔を形成し、この嵌合孔内に係止部4の突起部を嵌め込むことによって、雌型ハウジング13を係止してもよい。
また、上述した実施の形態2では、係止部24に形成した突起部24aを雌型ハウジング33の嵌合孔35内に嵌め込むことによって雌型ハウジング33を係止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、雌型ハウジング33のガイド部34の内壁面に突起部を形成し、雄型ハウジング23の係止部24に嵌合孔を形成し、この嵌合孔内に雌型ハウジング33の突起部を嵌め込むことによって、雌型ハウジング33を係止してもよい。
さらに、上述した実施の形態1,2では、雄型ハウジングの係止部によって雌型ハウジングの上外壁面または上内壁面を叩打するとともに雌型ハウジングを係止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。係止部によって雌型ハウジングの上下左右、いずれの外壁面または内壁面を叩打してもよい。すなわち、本発明において、雄型ハウジングと雌型ハウジングとの係止部分の位置および係止部によって叩打される壁面の位置は、特に問われない。
また、上述した実施の形態1,2では、雄型ハウジングに設けた係止部によって雌型ハウジングのハウジング壁面を叩打するとともに雌型ハウジングを係止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、雌型ハウジング内への雄型ハウジングの嵌め込みに伴って雄型ハウジングから離間する方向に撓む係止部と、この係止部の復元を補助する補助ばねとを雌型ハウジングに設け、この係止部の撓み変形(弾性変形)の復元力を補助ばねの付勢力によって強化し、この強化した復元力を用いて、この係止部が雄型ハウジングのハウジング壁面を叩打するとともに雄型ハウジングを係止してもよい。すなわち、本発明にかかる光コネクタは、雌型光コネクタであってもよい。
さらに、上述した実施の形態1,2では、本発明にかかるコネクタの一例として光コネクタを例示したが、これに限らず、本発明にかかるコネクタは、メタルケーブルのコネクタであってもよい。
また、上述した実施の形態1,2では、雄型ハウジングおよび雌型ハウジングを矩形状に形成していたが、これに限らず、雄型ハウジングおよび雌型ハウジングの各形状は、円筒形状等、矩形状以外の所望の形状であってもよい。すなわち、本発明において、コネクタハウジングの形状は特に問われない。
さらに、上述した実施の形態1,2では、2芯構造の光ファイバケーブルを備える雄型光コネクタおよび雌型光コネクタを例示したが、これに限らず、雄型光コネクタおよび雌型光コネクタの各々に設けられる光ファイバケーブルは、1芯構造または3芯以上の多芯構造の光ファイバであってもよい。本発明において、光ファイバケーブルの光ファイバ本数および光ファイバ構造は、特に問われない。
また、上述した実施の形態1,2では、Wire to Wire接続を実現する雄型光コネクタおよび雌型光コネクタを例示したが、これに限らず、本発明における雄型光コネクタおよび雌型光コネクタは、FOT等の通信装置と光ファイバケーブルとの接続を実現するコネクタであってもよい。
さらに、上述した実施の形態1,2では、補助ばねとして板ばねを用いていたが、本発明は、これに限定されるものではなく、コイルばね等の板ばね以外のばねを補助ばねとして用いてもよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1,21 雄型光コネクタ
2,12 光ファイバケーブル
3,23 雄型ハウジング
3a 前部
3b 後部
4,24 係止部
4a,35 嵌合孔
4b 裏面
5,25 支持部
6,26 補助ばね
7,27 操作部
10,20 光コネクタ接続体
11,31 雌型光コネクタ
13,33 雌型ハウジング
13a,34a ハウジング壁面
14,24a 突起部
23a 規制部
34 ガイド部
F1 復元力
F2 付勢力
2,12 光ファイバケーブル
3,23 雄型ハウジング
3a 前部
3b 後部
4,24 係止部
4a,35 嵌合孔
4b 裏面
5,25 支持部
6,26 補助ばね
7,27 操作部
10,20 光コネクタ接続体
11,31 雌型光コネクタ
13,33 雌型ハウジング
13a,34a ハウジング壁面
14,24a 突起部
23a 規制部
34 ガイド部
F1 復元力
F2 付勢力
Claims (5)
- 相手側コネクタハウジングと嵌合するコネクタハウジングと、
前記相手側コネクタハウジングを係止する係止部と、
前記係止部を支持し、前記相手側コネクタハウジングと前記コネクタハウジングとの嵌合に伴う前記係止部の動作に応じて、前記相手側コネクタハウジングのハウジング壁面から前記係止部を離間させる方向に撓む弾性変形を行う支持部と、
前記弾性変形に伴い、前記ハウジング壁面に向けて前記係止部を付勢する付勢力を蓄積し、前記付勢力を用いて、前記支持部の前記弾性変形からの復元を補助する補助ばねと、
を備え、前記係止部は、前記弾性変形の復元力と前記付勢力とを共に用いて、前記ハウジング壁面を叩打するとともに前記相手側コネクタハウジングを係止することを特徴とするコネクタ。 - 前記補助ばねは、前記支持部の前記弾性変形に連動して撓み、前記支持部とともに復元することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
- 前記係止部は、前記支持部から前記コネクタハウジングの長手方向に延在するように前記支持部と一体的に形成され、少なくとも前記相手側コネクタハウジングの係止部分に比して前記係止部の延在端側を前記ハウジング壁面に叩き付けることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
- 前記コネクタハウジングは、前記相手側コネクタハウジング内に嵌め込まれる雄型コネクタハウジングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のコネクタ。
- 前記コネクタハウジングおよび前記相手側コネクタハウジングは、光コネクタのハウジングであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のコネクタ。
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