JP2014185632A - クリーンエネルギー発生装置及びクリーンエネルギー発生装置した移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体を提供する。
【解決手段】動力サイクルにおいて低温低圧作動流体を加圧して高圧作動流体を供給する加圧ポンプ27と、所定周期のパルス電力を供給するパルス電源28と、前記パルス電力に応答して通電することにより発熱して前記高圧作動流体から高温高圧動力ガスを生成する電気式動力ガス発生器42と、前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体200と前記ロータリピストン本体を回転可能に支持していて前記機械エネルギーの一部を前記加圧ポンプに伝達する出力軸132とを備えた回転式流体機械40とを備えたクリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体を得る。
【選択図】図1
【解決手段】動力サイクルにおいて低温低圧作動流体を加圧して高圧作動流体を供給する加圧ポンプ27と、所定周期のパルス電力を供給するパルス電源28と、前記パルス電力に応答して通電することにより発熱して前記高圧作動流体から高温高圧動力ガスを生成する電気式動力ガス発生器42と、前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体200と前記ロータリピストン本体を回転可能に支持していて前記機械エネルギーの一部を前記加圧ポンプに伝達する出力軸132とを備えた回転式流体機械40とを備えたクリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体を得る。
【選択図】図1
Description
本発明はクリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体に関し、特に、大気汚染や地球温暖化対策に有効なクリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化問題が顕在化しており、その緊急な対策が望まれている。特許文献1には、ハウジング内の上下離れた位置に上部ウエイトと下部ウエイトとをそれぞれ配置し、下部ウエイトの上面に空気を収納したブラッダーを連結して該ブラッダーにリールを介してロープの一端を締結し、一方、上部ウエイトを前記ロープの他端に連結してリールを介して上部ウエイトを上下動運動可能とし、ハウジング内の水位により変化する空気圧の変化を利用して複数のタービンを駆動することでクリーンエネルギーを発生させるようにしたクリーンエネルギー発生装置が提案されている。特許文献2には、円筒状コラムのほぼ全体領域に水を充填して、水中に浮き部材を配置し、該浮き部材の周期的な上下運動をロープを介して外部のチェーンとギャに連結して発電機を駆動するようにしたクリーンエネルギー発生装置が提案されている。特許文献3には、太陽熱と風力等の自然エネルギーを利用したクリーンエネルギー発電機が提案されている。特許文献4には、低熱源から熱エネルギーを汲み上げて電力をクリーンエネルギーとして得るようにしたエネルギー変換装置が提案されている。
ところで、特許文献1及び2で開示されたクリーンエネルギー発生システム並びにクリーンエネルギー発生装置は、いずれも装置構成が冗長で大型構造を呈するだけでなく、エネルギー出力が小さいため、実用化が困難であった。また、特許文献1で開示されたクリーンエネルギー発生システムでは発電機駆動装置としてタービンが利用されているが、タービンではタービンハウジングとタービンブレード間の空隙が大きいため、未利用の高速作動流体がタービンブレード間の空隙から有効利用されることなく無駄に棄てられ、タービン流量当たりの出力及び熱効率を改善することができなかった。特許文献2で開示されたクリーンエネルギー発生装置では直線運動/回転運動変換機構が採用されているが、この変換機構は構造が複雑であるばかりでなく、機械変換効率も悪く、実用的ではなかった。特許文献3で開示されたクリーンエネルギー発電機では、太陽熱と風力を回収するための設備が大型化するだけでなく、雨天や曇天又は無風時間帯にはクリーンエネルギーを発生させることができなかった。特許文献4で開示されたエネルギー変換装置は、600〜1000mの深海水からなる低熱源と表層水からなる高熱源を備えた海洋温度差発電装置として実用化されている。この装置は、複数のポンプを駆動するための消費電力が大きい上に熱効率が悪く、しかも、装置全体が巨大であり、定格出力30kWで30億円もの建設費がかかっていた。20年で建設費を償却したとして、保守・点検コストを無視して控えめな発電単価を試算すると570円/kWにもなり、エネルギー収支比(Energy Payback Ratio)又はエネルギー回収年数(Energy Payback Time)が極めて低かった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、エネルギー収支比(Energy Payback Ratio)又はエネルギー回収年数(Energy Payback Time)が高く、小型・軽量で低コスト生産が可能であり、限られた設置スペースに収納可能で天候や夜間などの外部環境に左右されることなく、何時でも投入エネルギーコストゼロで安定したクリーンエネルギーを供給可能なクリーンエネルギー発生装置、クリーンエネルギー発生方法及びクリーンエネルギー発生装置を具備した次世代移動体を提供することを目的とする。
第1発明によれば、クリーンエネルギー発生装置が、動力サイクルにおいて低温低圧作動流体を加圧して高圧作動流体を供給する加圧ポンプと、所定周期のパルス電力を供給するパルス電源と、前記パルス電力に応答して通電することにより発熱して前記高圧作動流体から高温高圧動力ガスを生成する電気式動力ガス発生器と、前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体と前記ロータリピストン本体を回転可能に支持していて前記機械エネルギーの一部を前記加圧ポンプに伝達する出力軸とを備えた回転式流体機械とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、極めて少ない部品点数で電気的に高温高圧動力ガスを発生させ、回転式流体機械のロータリピストン本体で高温高圧動力ガスを未利用動力ガスの無駄な漏洩を発生させることなく、効率的に膨張させることができる。したがって、動力ガスの正味仕事率を飛躍的に高めてクリーンエネルギーの発生量を増大させることでエネルギー収支比(Energy Payback Ratio)又はエネルギー回収年数(Energy Payback Time)を飛躍的に向上させることができる。さらに、このクリーンエネルギー発生装置は大気汚染や地球温暖化を生じさせることなく、数十kW〜数十万kWの容量まで安定したクリーンエネルギーを常時、連続的に投入エネルギーコストゼロで供給することができる。
好ましくは、クリーンエネルギー発生装置が、さらに、前記加圧ポンプから供給された前記高圧作動流体を蓄圧して圧力脈動を抑制しながら吐出するバッファアキュムレータと、前記回転式流体機械の膨張行程において前記バッファアキュムレータから前記電気式動力ガス発生器に吐出する前記高圧作動流体の流れを制御する制御弁と備え、前記回転式流体機械の始動時に、前記制御弁を開弁することで前記バッファアキュムレータと前記電気式動力ガス発生器とが前記回転式流体機械のスタータとして機能することを特徴とする。
この構成によれば、バッファアキュムレータに高圧作動流体を一旦、蓄圧して取り出すため、高圧作動流体の脈動が抑制され、回転式流体機械の回転ムラが防止され、回転式流体機械の出力が安定する。しかも、バッファアキュムレータは電気式動力ガス発生器と協同して回転式流体機械のスタータとしての機能を併せ持つ。クリーンエネルギー発生装置の始動時には、電気式動力ガス発生器にパルス電力を供給して制御弁を開弁すると、瞬時に高温高圧動力ガスを回転式流体機械に供給するため、回転式流体機械の始動を円滑に行うことができる。したがって、寒冷地対策用の装置始動のための特別の部品も不要であり、信頼性が高いクリーンエネルギー発生装置の提供が可能となる。
好ましくは、クリーンエネルギー発生装置が、さらに、前記出力軸に駆動連結されていて前記クリーンエネルギーの少なくとも一部により駆動されて発電電力を供給する発電機と、前記発電電力の一部を蓄電して蓄電電力を前記パルス電源に供給する蓄電システムとを備え、前記蓄電システムが、前記発電電力の一部を充電電力として供給する充電器と、前記充電電力を充電する第1及び第2蓄電装置と、前記充電器と前記第1及び第2蓄電装置との間に配置されていて前記第1及び第2蓄電装置を交互に前記充電器に接続する切替制御器と、を含み、前記切替制御器が、前記第1及び第2蓄電装置の一方から前記パルス電源に出力電力が供給されている間に前記第1及び第2蓄電装置の他方を前記充電器により充電するように制御することを特徴とする。
この構成によれば、回転式流体機械で得たクリーンエネルギーを利用して発電機を駆動することができるため、クリーンエネルギーで安定した電力供給が可能となる。また、発電電力の一部を蓄電システムの第1及び第2蓄電装置に交互に充電し、第1及び第2蓄電装置から交互にパルス電源に蓄電電力を供給することができる。この結果、外部電源からの電力補給を受けることなく、パルス電源には長期に亘って蓄電システムから電力が供給される。その結果、クリーンエネルギー発生装置は自立型装置として機能し、外部からのエネルギー、燃料及び燃焼用空気を必要としない。なお、蓄電システムは第1及び第2蓄電装置を備えているため、クリーンエネルギー発生装置を一旦、停止させることなく蓄電池の交換が可能となり、蓄電池交換時においてもクリーンエネルギーの供給ができる。
好ましくは、前記動力サイクルが二相作動流体を前記低温低圧作動流体として循環させるクローズド動力サイクルを備え、さらに、前記動力サイクルと熱的に結合していて冷媒を封入しているヒートポンプを備え、前記ヒートポンプが前記動力サイクルと同期しながら作動して前記クリーンエネルギーの一部を利用して前記冷媒から冷熱を生成して前記回転式流体機械の膨張ガスを冷却して前記低温低圧作動流体を再生することを特徴とする。
この構成によれば、クローズド動力サイクルとヒートポンプの利用によって、作動流体や冷媒が消費されないため、クリーンエネルギー発生装置のランニングコストを大幅に低減することができる。また、作動流体や冷媒として自然冷媒の二酸化炭素(CO2)を利用した場合は、CO2の経年変化による運転効率の低下が無いため、保守点検の頻度数も大幅に低減でき、
好ましくは、前記加圧ポンプが、前記作動流体と前記冷媒を同時にそれぞれ圧縮する作動流体圧縮手段と冷媒圧縮手段とを含む複合圧縮機を備えることを特徴とする
この構成によれば、加圧ポンプが複合機能によって作動流体と冷媒とを同時にそれぞれ圧縮するため、クリーンエネルギー発生装置の部品点数の削減を図って小型・軽量化と低コスト化が容易となる。しかも、作動流体と冷媒としてCO2を利用した場合は、容易に超臨界条件下で圧縮することができ、これら冷媒の圧縮に必要な動力を大幅に低減可能となる。そのため、クリーンエネルギー発生装置の運転効率を飛躍的に向上してクリーンエネルギー発生装置の小型高性能化がさらに容易となる。
前記電気式動力ガス発生器が、好ましくは、前記回転式流体機械に同心的に連結されたリアクタケーシングと、前記リアクタケーシングに形成されている動力ガス発生室と、前記動力ガス発生室に収納されていて前記パルス電力に応答して発熱して前記高圧作動流体から前記高温高圧動力ガスを発生させる複数の導電性高融点管状加熱手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、パルス電力のデューティ比を変えることで複数の導電性高融点管状加熱手段の発熱温度を自由に高精度で制御することができる。作動流体の加熱温度を化石燃料の燃焼で達成する燃焼温度に近い温度、例えば、800〜1500℃の温度範囲で制御することも可能である。したがって、高圧作動流体から生成される高温高圧動力ガスの温度や圧力を正確に制御することができ、クリーンエネルギー発生装置の運転上の信頼性を飛躍的に向上させることができる。しかも、複数の導電性高融点管状加熱手段は、管状加熱手段の穴部も流通経路として機能するため、作動流体の流動抵抗が極めて小さくできる。したがって、電気式動力ガス発生器が回転式流体機械の高速回転に追随して十分な流量で高温高圧動力ガスを供給することができる。この結果、回転式流体機械は高速回転領域においても安定した運転が可能となり、クリーンエネルギー発生装置によって安定したクリーンエネルギーの供給が可能となる。
第2発明によれば、クリーンエネルギー発生方法が、動力サイクルにおいて加圧ポンプにより低温低圧作動流体を圧縮して高圧作動流体を生成し、パルス電源から所定周期のパルス電力を電気式動力ガス発生器に供給して導電性高融点加熱手段を通電させて高温度領域に昇温させ、前記高温高圧作動流体を前記導電性高融点加熱手段に接触させて高温高圧動力ガスを発生させ、回転式流体機械のロータリピストン本体で前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換し、前記クリーンエネルギーの一部で前記加圧ポンプが駆動されることを特徴とする。
この構成によるクリーンエネルギー発生方法では、クリーンな方法で高温高圧動力ガスを発生させ、回転式流体機械で未利用の動力ガスを無駄に棄てることなく、効率的に高温高圧動力ガスを有効活用してクリーンエネルギーを発生させることができる。そのため、クリーンエネルギーを安全に、そして、安価で提供することが容易となり、経済市場の活性化と地球環境保全に優れた効果を発揮する。
第3発明によれば、次世代移動体が、クリーンエネルギー発生装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、次世代移動体がクリーンエネルギー発生装置を備えることでクリーンエネルギーの自給自足が可能となる。したがって、次世代移動体は燃焼用空気や化石燃料、或いは、リチウムイオンバッテリ等の高価な蓄電池や大型・大重量の電気モータ等を必要とせず、自ら発生させたクリーンエネルギーで航続距離を飛躍的に向上させることができる。しかも、次世代移動体は排気ガスを出さないため、大気汚染や地球温暖化の問題を容易に解消できる。なお、次世代移動体は、発電電力を一般家庭や事務所等に供給する移動可能な分散型自家発電設備としても利用可能である。この移動型自家発電設備は、巨大地震や台風によるインフラ破壊(特に停電)の発生時においてエネルギー供給の緊急な対応が可能となり、社会インフラへの貢献度が非常に高い。
以下、本発明の実施例によるクリーンエネルギー発生装置を次世代移動体に適用した実施態様について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明において、クリーンエネルギー発生装置は次世代移動体としての自動車に適用したものとして図示されているが、これは一例であり、本発明は図示された実施態様の移動体に限定されない。本発明によるクリーンエネルギー発生装置は定置型発電プラントを含む各種産業機械を始め、船舶、航空機、鉄道機関車、トラック・バス、飛行船、宇宙往還機等の各種移動体や建設機械、農業機械、各種ロボット等の動力源として広い用途を有する。
図1に示した実施例において、次世代移動体10は、作動流体を利用して熱エネルギーからクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するクリーンエネルギー発生装置12と、機械エネルギーの一部を複数の駆動輪14からなる推進手段に伝達する出力装置16とを備える。出力装置16はクリーンエネルギー発生装置12の機械エネルギーを選択的に遮断若しくは締結するクラッチCLと、クリーンエネルギー発生装置12の機械エネルギーを複数の走行速度にシフトするトランスミッションTMと、トランスミッションTMの出力を駆動輪14に伝達するためのプロペラシャフトPSを備える。プロペラシャフトPSはディファレンシャル18及びアクスルAxlを介して駆動輪14を駆動する。
クリーンエネルギー発生装置12は、作動流体Wfを循環させる動力サイクル15と、熱的に動力サイクル15に結合されたヒートポンプHPとを備える。動力サイクル15は、低温低圧作動流体Wfを加圧する加圧ポンプ(複合圧縮機)27と、加圧ポンプ27から吐出された高圧作動流体Wfpを蓄圧する摺動ピストン及びバネ手段30aを内蔵した蓄圧室30bを有するバッファアキュムレータ30と、バッファアキュムレータ30のアウトレット30cから供給される高圧作動流体Wfpの流れ(流通期間)を制御する電磁弁(制御弁)32と、バッファアキュムレータ30から供給された高圧作動流体WfpがヒートポンプHPの熱交換器HErから熱エネルギーを受け取った後、排熱エネルギーを回収して高圧作動流体Wfpを予熱する再熱器41と、再熱器41から導入された高圧作動流体Wfpを加熱して瞬時に高温高圧動力ガスを発生させる電気式動力ガス発生器42と、高温高圧動力ガスを作動室116内において爆発的に膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体200を有する回転式流体機械40と、ヒートポンプHPの蒸発器Evから構成されていて、回転式流体機械40の低温低圧膨張ガスを約0℃の冷熱で冷却する凝縮器(冷却器)43とを備える。
電磁弁32は、本願発明者と同一発明者による特願2012−270756号「超臨界エンジン及び超臨界エンジン駆動発電装置並びにこれを具備した次世代移動体」に記載されたものと同一の構造を有するため、詳細な説明を省略する。
ヒートポンプHPは、加圧ポンプ27に組み込まれ(内蔵され)ていて低温低圧冷媒Cmを圧縮して高温高圧冷媒Cmpを生成する冷媒圧縮手段P2(図2参照)と、高温高圧冷媒Cmpの熱を高圧作動流体Wfpに供給して低温高圧冷媒Cmhpを生成する熱交換器HErと、低温高圧冷媒Cmhpの圧力を減圧する圧力制御弁(膨張弁)47と、周囲環境から熱を吸収する周囲熱交換器HEaと、低温低圧冷媒を蒸発させて冷熱を発生させる蒸発器Evとを備える。周囲熱交換器HEaは外気Aの熱を吸収し、凝縮器43の膨張ガスを冷却する際に熱エネルギーを吸収して温度が上昇した低温低圧冷媒Cmは加圧ポンプ27の冷媒圧縮手段P2に供給されて圧縮される。蒸発器Evは凝縮器43として機能し、この冷熱を利用して動力サイクルの膨張ガスを極めて低温低圧まで冷却して低温低圧作動流体Wfを再生する。
本実施例において、動力サイクル15の作動流体及びヒートポンプHPの冷媒としては、本発明を限定するものではないが、オゾン層破壊係数がゼロで地球温暖化係数が1の自然冷媒である二酸化炭素(以下、CO2と略称する)を利用する。説明の便宜上、動力サイクル15の作動流体をCO2作動流体、ヒートポンプHPの冷媒をCO2冷媒と称する。CO2は、自然界に存在する安全な物質であり、極めて安価に手に入れることができる。動力サイクル15及びヒートポンプHPでは、本発明を限定するものではないが、低圧側の圧力が所定圧、例えば、約3MPaとなるように調節されてCO2作動流体及びCO2冷媒がそれぞれの系統内において充填される。しかしながら、CO2以外の媒体を利用する際は、所定圧はその媒体の種類に応じて適切な圧力値に選択される。
図2より明らかなように、加圧ポンプ27は、好ましくは、所定圧(例えば、3MPa)のCO2作動流体Wfを臨界圧力以上(例えば、10〜60MPa)で圧縮して高圧CO2作動流体(CO2超臨界流体)Wfpを生成する作動流体圧縮手段P1と、低温低圧CO2冷媒Cm(例えば、7℃:3MPa)を臨界圧(例えば、10〜60MPa)で圧縮して高圧CO2冷媒(超臨界冷媒)Cmpを生成する冷媒圧縮手段P2とを備えた複合型圧縮機から構成される。加圧ポンプ27をCO2作動流体及びCO2冷媒の臨界点以上の条件で運転する理由は、これら流体の圧縮に必要な動力を大幅に低減してクリーンエネルギーの発生効率を著しく向上させることができるためである。
図1及び図2に示すように、複合型圧縮機27は、電気式動力ガス発生器42に同心的に連結されたロータハウジング352と、クローズド超臨界動力サイクル15に接続されて低温低圧CO2作動流体Wfを吸引する第1インレット356Aと、高温高圧CO2作動流体(超臨界流体)Wfpを吐出する第1アウトレット358Aと、低温低圧冷媒Cmを吸引する第2インレット356Bと、超臨界冷媒Cmpを吐出する第2アウトレット358Bと、インレット356A,356B及びアウトレット358A,358Bが開口するロータ作動室360と、回転式流体機械40の駆動軸132に圧入その他の連結手段で駆動連結されていてロータ作動室360に回転可能に収納された加圧ロータ362とを備える。加圧ロータ362は、駆動軸132に形成されたメイン潤滑油供給通路132Lから径方向外側に延びる潤滑油通路362aと、潤滑油供給ポート362bと、潤滑油供給ポート362bからローブ364の外周端部に微量の潤滑油を供給可能な多孔質プラグ362cとを備える。メイン潤滑油供給通路132Lは、本願発明者と同一発明者による特願2011−290720号「回転式流体機械」に記載された潤滑油ポンプ等により潤滑油が供給される。
複合型圧縮機27は、さらに、ロータ作動室360の内周面上を回転移動しながらインレット356A,356BからそれぞれCO2作動流体Wf及び冷媒Cmをそれぞれ吸引すると共にこれら流体を超臨界圧まで圧縮しながらアウトレット358A,358Bから吐出する複数のローブ364と、ローブ364の径方向内側領域において周方向後縁部に形成された曲面摺動凹部366と、インレット356に隣接して加圧ロータ362に対して移動可能な可動弁368と、可動弁368と曲面摺動凹部366との間に形成された加圧チャンバ370とを備える。可動弁368は、ロータハウジング352内に形成されたバルブ膨張室372に収納されて、ピボット軸374を介して回動するバルブエレメント376を備える。バルブエレメント376の先端部にはローブ364と曲面摺動凹部366とに接触しながら摺動する曲面シール部376aと連通開口部376bとを備える。ロータハウジング352に形成されたバネ収納部378には押圧バネ380がバルブエレメント376を加圧ロータ362側に押圧している。回転式流体機械40の起動時に駆動軸132が図2において、例えば、時計方向に回転駆動されると、複合型圧縮機27において、加圧チャンバ370にはインレット356A,356BからそれぞれCO2作動流体Wfと冷媒Cmが吸引され、それぞれ超臨界作動流体及び超臨界CO2冷媒としてアウトレット358A,358Bから吐出される。このように、加圧ポンプ27の加圧ロータ362は作動流体圧縮機P1と、冷媒圧縮機P2の共通部品として機能する。
なお、複合型圧縮機27は本願発明者と同一発明者による特願2012−218058号「ロータリ燃焼機関、ハイブリッドロータリ燃焼機関及びこれらを具備した機械装置」に記載されたロータリポンプと同一の構造を有するため、さらなる詳細な説明を省略する。
図3に示すように、電気式動力ガス発生器42は、回転式流体機械40に対してこれと同心的に連結された円筒状リアクタケーシング1100を備える。円筒状リアクタケーシング1100には、円筒状リアクタケーシング1100の内側とケーシング1100の中央内周部1114の径方向外側に形成されたセラミック等の絶縁耐熱層1116と、絶縁耐熱層1116の内側に形成されている動力ガス発生室1118が形成されている。円筒状リアクタケーシング1100の中央内周部1114は回転式流体機械40の出力軸132を通過可能にするための直径を有する内周壁部1114を備える。
電気式動力ガス発生器42の吸入ポート1102は、径方向壁部1120に延びていて電磁弁32が装着されるとともに、径方向壁部1120には周方向に延びる複数の開口部1122を有する。動力ガス発生室1118のコーナー部1118a、1118bには対抗電極1124,1126がそれぞれ配置される。一対の電極1124,1126はパルス電源28に接続される。ケーシング1100には温度センサS2が装着され、温度信号Tがコントローラ60(図1参照)に供給され、パルス電力のパルス幅の制御用に利用される。
動力ガス発生室1118には、対抗電極1124,1126の間に介在していて多数の導電性高融点管状加熱手段1134が充填されている。パルス電力に応答して、多数の導電性高融点管状加熱手段1134は通電発熱して800〜1500℃の超高温領域に達するため、パルス電源28によってパルス電力のデューティサイクルが所定値となるように制御される。これら導電性高融点管状加熱手段1134の隙間はアーク放電領域1136としても作用する。導電性高融管状加熱手段1134としては、例えば、市販の外径6〜30mmで所定長さ(例えば、外形の0.5倍〜1.5倍の長さ)の銅タングステンパイプが挙げられる。図1において、銅タングステンパイプ1134は動力ガス発生室1118において整列状態で配置されたものとして図示されているが、実際の適用例においては、所定圧力で圧接されて電気的接続関係に維持されていればランダム状態に配置されても良い。CO2超臨界流体は、銅タングステンパイプ1134の隙間及び銅タングステンパイプ1134の穴部を通過する。このとき、これら銅タングステンパイプ1134の各部と衝突しながら加熱されて瞬時に高温高圧CO2超臨界流体からなる高温高圧動力ガスが生成される。
パルス電力のパルス電圧によっては、銅タングステンパイプ1134が互いに接触した箇所の隣接部分でアーク放電が発生しやすい。アーク放電は、パルス電圧を周期的に発生させるパルス電流の電圧がハイレベルとローレベルとの間で周期的に変化することでより頻繁に発生する。したがって、高温高圧動力ガスの圧力と温度をさらに高めるためには、パルス電流の電圧におけるハイレベルとローレベルとを制御することにより達成可能である。上述の導電性管状加熱体は作動流体の流通抵抗を大幅に低下させる点で有利であるが、導電性高融点加熱手段としてはその他の材料から構成しても良い。例えば、銅タングステンボール、カーボンボール、作動流体を通過させるための溝を配置したバルク状導電性金属体、バルク状導電性カーボン、多孔性高融点金属体や高融点ハニカム金属体等を利用しても良い。動力ガス発生室1118に隣接してフイルタ部1106が配置され、フイルタ部1106には耐熱性の金属ワイヤー等から形成されたフイルタ1110が充填される。電磁弁32が所定周期で開弁されると、フイルタ1110を通過した高温高圧動力ガスSCwはフィルター1142で濾過された後、アウトレット1140から回転式流体機械40のインレット124に供給される。
回転式流体機械40としては、好ましくは、本願発明者と同一発明者による日本特許5103570(発明の名称:回転式流体機械)、特願2012−195513号(発明の名称:回転式流体機械)、特願2012−147773号(日本特許第○○○○○○○○号:発明の名称:ロータリ熱機関及びロータリ熱機関駆動発電装置)及び特願2012−218058号((日本特許第○○○○○○○○号:発明の名称:ロータリ燃焼機関、ハイブリッドロータリ燃焼機関及びこれらを具備した機械装置)に開示された回転式流体機械と同一構造のものを採用するが、その他の回転式流体機械でもよい。
図1に戻って、発電機25は動力伝達手段45を介してクリーンエネルギー発生装置12の出力軸132に駆動連結されて発電電力を供給する。発電機25のパワーラインPLに電気機器等の負荷(図示せず)が接続される。パワーラインPLにはリレー等から構成される遮断器19を介して蓄電システム20が接続される。蓄電システム20は、遮断器19を介してパワーラインPLに接続される充電器21と、第1蓄電装置22と、第2蓄電装置23と、第1、第2蓄電装置22、23を充電器21に交互に接続する第1切替制御器24と、第1、第2蓄電装置22、23をパルス電源28に交互に接続する第2切替制御器26とを備える。図示を省略しているが、充電器21は公知の構造と同様に交流電力を充電電圧に降圧する変圧器と、低圧の交流電力を直流電力に変換する整流器と、平滑回路とを有する。第1、第2蓄電装置22、23にはそれぞれ電圧及び電流を検出するための電圧センサ及び電流センサ(いずれも図示せず)が接続される。これら電圧センサ及び電流センサの電圧検出値V1及び電流検出値11はコントローラ60に出力され、第1、第2蓄電装置22、23のそれぞれの残蓄電容量(SOC値:State of charge)を演算し、それぞれのSOC値に基づいて遮断器19や第1、第2切替制御器24,26の指令信号を出力するために用いられる。
コントローラ60は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を用いて構成される。コントローラ60は各種制御対象の制御パラメータを入力するための入力装置(図示せず)や装置始動用スイッチ等が接続されている。
第1、第2蓄電装置22、23としては、望ましくは、パルス充放電サイクル用途に対応可能な市販のウルトラキャパシタモジュール(米国”Maxwell Technologies“社製)が挙げられる。その他の蓄電装置としては、例えば、急速充放電型蓄電池(古河電池社製:商標名「ウルトラバッテリ」)、大容量電気二重層コンデンサからなるスーパーキャパシタ(トーキン製)、ナトリウムイオン電池、リチウムイオン電池やNi−MH電池(ニッケルー水素電池)やこれら電池と大容量電気二重層コンデンサを組み合わせたものから構成しても良い。なお、第1蓄電装置22の出力ラインの間にはウルトラキャパシタ(図示せず)を接続しても良い。第1蓄電装置22及び第2蓄電装置23から交互に出力電力がパルス電源28に供給される。
パルス電源28は第1、第2蓄電装置22,23からの供給電力から所定周期(例えば、50〜2000ヘルツ)のパルス電力を供給する。パルス電力において、パルス電圧は20〜120ボルトの間で設定され、ピーク電流とベース電流とからなるパルス電流が電気式動力ガス発生器42に流れるように回路設計される。クリーンエネルギー発生装置12の容量に応じて、パルス電流は、好ましくは、ピーク電流通電期間内において流れる50〜500アンペアのピーク電流と、ピーク電流の約十分の一の電流値を有し、オフピーク電流通電期間内において流れるベース電流とを有するように構成しても良い。電気式動力ガス発生器42において、多数の銅タングステンパイプ1134はパルス電力に応答して通電することにより二酸化炭素の臨界温度374℃以上の温度、例えば、800〜1500℃の温度に昇温するので、運転条件に合わせて設定温度を自由に選択される。高温高圧作動流体が銅タングステンパイプ1134の外表面に順次接触して通過する過程において、多数の銅タングステンパイプ1134の隙間には、上述のように、アーク放電も一部発生する。そのため、高温高圧動力ガスはさらに高温度領域で加熱されて高温の超臨界流体Scwとなる。
パルス電源28は、好ましくは、ピーク電流とベース電流とからなるパルス電流を発生させるものであれば、直流パルス電源又は交流パルス電源のいずれでも良い。直流パルス電源としては、例えば、日本国特許第2587343号に開示されたようなパルスアーク溶接用電源装置に使用されるような回路構成が挙げられる。
図1において、バッファアキュムレータの圧力センサS1からの圧力信号、電気式動力ガス発生器42の温度センサS2からの温度信号(図4参照)と、クリーンエネルギー発生装置12の出力軸132の回転数センサS3からのエンジン回転数信号と、次世代移動体10の走行速度センサS4の次世代移動体速度信号がコントローラ60に送信される。入力装置62はカレンダー信号や、温度や圧力等のパラメータ設定信号を基準信号としてコントローラ60に入力する。コントローラ60には、第1、第2蓄電器22,23のそれぞれの電圧信号V1と電流信号I1とが送信され、コントローラ60はこれら入力信号に応答して第1、第2蓄電器22,23の蓄電状態(State of Charge)を判別して第2切替制御器26を介して第1、第2蓄電装置22、23の一方をパルス電源28に接続するとともに第1切替制御器24を介して第1、第2蓄電装置22、23の他方を充電器21により充電する。さらに、コントローラ60は、センサS1〜S4からの入力信号に応答して電磁弁32を制御する。このとき、コントローラ60は、回転式流体機械40において膨張行程が継続している間は電磁弁32を開弁状態となるように制御する。したがって、回転式流体機械40のロータリピストン本体200には膨張行程の全期間中に高温高圧動力ガスが連続的に作用することになり、回転式流体機械40の正味有効平均圧力は200〜600Kg/cm2にも達する。既存のレーシングカーのエンジンの正味有効平均圧力が15Kg/cm2であることと比較すれば、クリーンエネルギー発生装置12の出力効率が如何に高いかが理解できる。一方、コントローラ60は、次世代移動体10の運転条件に合わせてクラッチCLを締結・離脱させるための制御信号Ccを出力する。
クリーンエネルギー発生装置12の作動において、装置始動用スイッチ(図示せず)が投入されると、コントローラ60によってパルス電源28が起動されて、周期的なパルス電力が電気式動力ガス発生器42に供給される。このとき、銅タングステンパイプ1134が通電して、例えば、800〜1500℃の温度領域から選択された設定温度に発熱する。電気式動力ガス発生器42の温度信号Tがこの設定温度に達したときに、コントローラ60から電磁弁32に指令信号が出力され、電磁弁32は通電して開弁する。このとき、バッファアキュムレータ30に蓄圧されていたCO2液化高圧作動流体Wfpが熱交換器HEr及び再熱器41を経由した後、電気式動力ガス発生器42に高速度で噴出する。電気式動力ガス発生器42では液化高圧作動流体Wfpが銅タングステンパイプ1134の外表面に順次接触して撹拌されながら均一に昇温し、さらに、これら銅タングステンパイプ1134の隙間で発生したアーク放電によりさらに加熱されて高温高圧動力ガス(高温高圧超臨界流体)となる。この高温高圧動力ガスは回転式流体機械40のインレット124から膨張室116に流入してロータリピストン本体200に作用して爆発的に膨張し、クリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換されて出力軸132にトルクが発生する。
クリーンエネルギー発生装置12の始動が完了すると、出力軸132に発生したトルクで加圧ポンプ27が起動し、加圧ポンプ27内の作動流体圧縮手段P1と冷媒圧縮手段P2が同時に作動し、動力サイクル15の起動に同期してヒートポンプHPが起動する。この時、ヒートポンプHPにおいて、凝縮器43から出た低温低圧CO2冷媒Cmが加圧ポンプ27の冷媒圧縮手段P2により圧縮されて高温高圧超臨界冷媒Cmpとなり、高温高圧超臨界冷媒Cmpは熱交換器HErを介して高温高圧作動流体Wfpと熱交換をして超臨界冷媒Cmhpとなる。超臨界冷媒Cmhpは圧力制御弁(膨張弁)47で減圧されて低温低圧(例えば、0℃:3MPa)冷媒となる。この低温低圧冷媒は周囲熱交換器HEaで外気Aから熱を汲み取って低温低圧(例えば、7℃:3MPa)の気体からなる冷熱を発生する。この冷熱は凝縮器43で回転式流体機械40の膨張ガスを冷却しながら熱エネルギーを得て温度が上昇した低温低圧冷媒Cmとなる。低温低圧冷媒Cmは加圧ポンプ27のインレット356Bに流入して冷媒圧縮手段P2によって圧縮され、高温高圧冷媒Cmpが生成され、以後、ヒートポンプサイクルが繰り返し実行される。一方、回転式流体機械40の膨張ガスは凝縮器43でヒートポンプHPから供給された冷熱(例えば、7℃:3MPa)で冷却されて低温低圧作動流体Wfが生成される。低温低圧作動流体Wfは、動力サイクル15の加圧ポンプ27のインレット356Aに循環される。
上述のように、加圧ポンプ27の第1作動流体圧縮手段P1により圧縮して得られた高温高圧作動流体Wfpはバッファアキュムレータ30で蓄圧された後、熱交換器HErで熱エネルギーを受け取った後に再熱器41で膨張ガスの排熱エネルギーを回収して加熱されてから電気式動力ガス発生器42に供給される。以後、動力サイクル15が繰り返され、回転式流体機械40の膨張行程の全期間中には連続して高温高圧超臨界流体がロータリピストン本体200に作用して機械エネルギーからなるクリーンエネルギーに変換される。一方、ヒートポンプHPも上述のヒートポンプサイクルで繰り返し作動して、周囲熱交換器HEaで外気Aから周囲熱を汲み上げ、さらに、凝縮器43で膨張ガスを冷却しながらその熱エネルギーを受け取って低温低圧CO2冷媒Cmが生成され、以後、上述のヒートポンプサイクルが実行される。このようにして、回転式流体機械40からクリーンエネルギーとして動力が得られ、その動力は出力装置16を介して駆動輪14に伝達されて次世代移動体10の推進用に利用される。一方、発電機25から得られた発電出力はパワーラインPLを介して次世代移動体の電気設備やアクセサリーの電気負荷で消費され、発電出力の一部は充電器21を介して蓄電システム20に蓄電されてパルス電源23の電力として利用される。
なお、移動体10の停車中に入力装置(図示せず)を操作してコントローラ60から電力供給モードの指令信号を出力させても良い。電力供給モードにおいては、クリーンエネルギー発生装置12の運転を継続しておいて、コントローラ60から指令信号をクラッチCLに出力して、これを解除することにより出力装置16を遮断状態に保持する。次に、クリーンエネルギー発生装置12の機械エネルギーにより発電機25を駆動して、そのパワーラインPLを介して発電出力を供給し、移動体10の外部である家庭用又は事務所用電力の一部として、或いは、緊急時におけるインフラ対策用電力の一部として利用しても良い。
以上、本発明の実施例によるクリーンエネルギー発生装置及びクリーンエネルギー発生方法が記載されたが、本発明はこの実施例に示された構成に限定されず、様々な変更が可能である。
(1)例えば、ヒートポンプは圧力制御弁と蒸発器との間に配置したものとして説明した が、周囲熱交換器は蒸発器(凝縮器)と加圧ポンプ(圧縮機)との間に配置しても 良い。
(2)また、図示実施例において、周囲熱交換器に並列にバイパス回路と開閉弁を設けて 、周囲熱が大きい場合には、該開閉弁を完全に開弁して圧力制御弁の冷熱の全量を 直接凝縮器に供給して膨張ガスの冷却能力を増加するように変形しても良い。
(3)熱交換器HErを動力サイクルから独立させて、給湯用熱源として利用しても良い 。
(4)さらに、クリーンエネルギー発生装置は単一の回転式流体機械を有する構造として 示されたが、複数の回転式流体機械をそれぞれ独立した位置(例えば、移動体の駆 動輪等)にそれぞれ直接組み込んで高温高圧動力ガスを配管で供給するとともに膨 張ガスをリターン配管により凝縮器(冷却器)に戻すように動力サイクルを変形し ても構わない。
(5)冷媒はCO2以外の冷媒を利用しても良く、作動流体はCO2と水との混合物、或 いは、その他の二相液体を利用しても良い。
(6)加圧ポンプは、複合型圧縮機からなるものとして説明したが、複合型圧縮機をそれ ぞれの機能に合わせて分離独立させた複数の独立圧縮機からなるように構成しても 良い。
(2)また、図示実施例において、周囲熱交換器に並列にバイパス回路と開閉弁を設けて 、周囲熱が大きい場合には、該開閉弁を完全に開弁して圧力制御弁の冷熱の全量を 直接凝縮器に供給して膨張ガスの冷却能力を増加するように変形しても良い。
(3)熱交換器HErを動力サイクルから独立させて、給湯用熱源として利用しても良い 。
(4)さらに、クリーンエネルギー発生装置は単一の回転式流体機械を有する構造として 示されたが、複数の回転式流体機械をそれぞれ独立した位置(例えば、移動体の駆 動輪等)にそれぞれ直接組み込んで高温高圧動力ガスを配管で供給するとともに膨 張ガスをリターン配管により凝縮器(冷却器)に戻すように動力サイクルを変形し ても構わない。
(5)冷媒はCO2以外の冷媒を利用しても良く、作動流体はCO2と水との混合物、或 いは、その他の二相液体を利用しても良い。
(6)加圧ポンプは、複合型圧縮機からなるものとして説明したが、複合型圧縮機をそれ ぞれの機能に合わせて分離独立させた複数の独立圧縮機からなるように構成しても 良い。
12 クリーンエネルギー発生装置;15 動力サイクル;16 出力装置;20 蓄電システム;21 充電器;22,23 第1、第2蓄電装置;24、26 第1、第2切替制御器;25発電機;27 加圧ポンプ(複合型圧縮機);28 パルス電源;30 バッファアキュムレータ;32 電磁弁;40 回転式流体機械;41 再生器;42 電気式動力ガス発生器;43 冷却器;60 コントローラ;EV 蒸発器;PR 圧力制御弁;;HEa 周囲熱交換器;HEr 熱交換器(放熱器)
第1発明によれば、クリーンエネルギー発生装置が、動力サイクルにおいて低温低圧作動流体を加圧して高圧作動流体を供給する加圧ポンプと、所定周期のパルス電力を供給するパルス電源と、前記パルス電力に応答して通電することにより発熱して前記高圧作動流体から高温高圧動力ガスを生成する電気式動力ガス発生器と、前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体と前記ロータリピストン本体を回転可能に支持していて前記機械エネルギーの一部を前記加圧ポンプに伝達する出力軸とを備えた回転式流体機械と、前記動力サイクルと熱的に結合していて冷媒を封入しているヒートポンプとを備え、前記動力サイクルが二相作動流体を前記低温低圧作動流体として循環させるクローズド動力サイクルを備え、前記ヒートポンプが前記動力サイクルと同期しながら作動して前記クリーンエネルギーの一部を利用して前記冷媒から冷熱を生成して前記回転式流体機械の膨張ガスを冷却して前記低温低圧作動流体を再生することを特徴とする。
この構成によれば、極めて少ない部品点数で電気的に高温高圧動力ガスを発生させ、回転式流体機械のロータリピストン本体で高温高圧動力ガスを未利用動力ガスの無駄な漏洩を発生させることなく、効率的に膨張させることができる。したがって、動力ガスの正味仕事率を飛躍的に高めてクリーンエネルギーの発生量を増大させることでエネルギー収支比(Energy Payback Ratio)又はエネルギー回収年数(Energy Payback Time)を飛躍的に向上させることができる。さらに、このクリーンエネルギー発生装置は大気汚染や地球温暖化を生じさせることなく、数十kW〜数十万kWの容量まで安定したクリーンエネルギーを常時、連続的に投入エネルギーコストゼロで供給することができる。さらに、クローズド動力サイクルとヒートポンプの利用によって、作動流体や冷媒が消費されないため、クリーンエネルギー発生装置のランニングコストを大幅に低減することができる。また、作動流体や冷媒として自然冷媒の二酸化炭素(CO2)を利用した場合は、CO2の経年変化による運転効率の低下が無いため、保守点検の頻度数も大幅に低減できる。
第2発明によれば、移動体が、クリーンエネルギー発生装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、移動体がクリーンエネルギー発生装置を備えることでクリーンエネルギーの自給自足が可能となる。したがって、移動体は燃焼用空気や化石燃料、或いは、リチウムイオンバッテリ等の高価な蓄電池や大型・大重量の電気モータ等を必要とせず、自ら発生させたクリーンエネルギーで航続距離を飛躍的に向上させることができる。しかも、移動体は排気ガスを出さないため、大気汚染や地球温暖化の問題を容易に解消できる。なお、移動体は、発電電力を一般家庭や事務所等に供給する移動可能な分散型自家発電設備としても利用可能である。この移動型自家発電設備は、巨大地震や台風によるインフラ破壊(特に停電)の発生時においてエネルギー供給の緊急な対応が可能となり、社会インフラへの貢献度が非常に高い。
Claims (8)
- 動力サイクルにおいて低温低圧作動流体を加圧して高圧作動流体を供給する加圧ポンプと、
所定周期のパルス電力を供給するパルス電源と、
前記パルス電力に応答して通電することにより発熱して前記高圧作動流体から高温高圧動力ガスを生成する電気式動力ガス発生器と、
前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換するロータリピストン本体と前記ロータリピストン本体を回転可能に支持していて前記機械エネルギーの一部を前記加圧ポンプに伝達する出力軸とを備えた回転式流体機械と、
を備えることを特徴とするクリーンエネルギー発生装置。 - さらに、前記加圧ポンプから供給された前記高圧作動流体を蓄圧して圧力脈動を抑制しながら吐出するバッファアキュムレータと、
前記回転式流体機械の膨張行程において前記バッファアキュムレータから前記電気式動力ガス発生器に吐出する前記高圧作動流体の流れを制御する制御弁と備え、
前記回転式流体機械の始動時に、前記制御弁を開弁することで前記バッファアキュムレータと前記電気式動力ガス発生器とが前記回転式流体機械のスタータとして機能することを特徴とする請求項1記載のクリーンエネルギー発生装置。 - 前記出力軸に駆動連結されていて前記クリーンエネルギーの少なくとも一部により駆動されて発電電力を供給する発電機と、前記発電電力の一部を蓄電して蓄電電力を前記パルス電源に供給する蓄電システムとを備え、前記蓄電システムが、
前記発電電力の一部を充電電力として供給する充電器と、
前記充電電力を充電する第1及び第2蓄電装置と、
前記充電器と前記第1及び第2蓄電装置との間に配置されていて前記第1及び第2蓄電装置を交互に前記充電器に接続する切替制御器と、を含み、
前記切替制御器が、前記第1及び第2蓄電装置の一方から前記パルス電源に出力電力が供給されている間に前記第1及び第2蓄電装置の他方を前記充電器により充電するように制御することを特徴とする請求項1又は2記載のクリーンエネルギー発生装置。 - 前記動力サイクルが二相作動流体を前記低温低圧作動流体として循環させるクローズド動力サイクルを備え、さらに、前記動力サイクルと熱的に結合していて冷媒を封入しているヒートポンプを備え、前記ヒートポンプが前記動力サイクルと同期しながら作動して前記クリーンエネルギーの一部を利用して前記冷媒から冷熱を生成して前記回転式流体機械の膨張ガスを冷却して前記低温低圧作動流体を再生することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクリーンエネルギー発生装置。
- 前記加圧ポンプが、前記作動流体と前記冷媒を同時にそれぞれ圧縮する作動流体圧縮手段と冷媒圧縮手段とを含む複合圧縮機を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクリーンエネルギー発生装置。
- 前記電気式動力ガス発生器が、前記回転式流体機械に同心的に連結されたリアクタケーシングと、前記リアクタケーシングに形成されている動力ガス発生室と、前記動力ガス発生室に収納されていて前記パルス電力に応答して発熱して前記高圧作動流体から前記高温高圧動力ガスを発生させる複数の導電性高融点管状加熱手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクリーンエネルギー発生装置。
- 動力サイクルにおいて加圧ポンプにより低温低圧作動流体を圧縮して高圧作動流体を生成し、パルス電源から所定周期のパルス電力を電気式動力ガス発生器に供給して導電性高融点加熱手段を通電させて高温度領域に昇温させ、前記高温高圧作動流体を前記導電性高融点加熱手段に接触させて高温高圧動力ガスを発生させ、回転式流体機械のロータリピストン本体で前記高温高圧動力ガスを膨張させてクリーンエネルギーとしての機械エネルギーに変換し、前記クリーンエネルギーの一部で前記加圧ポンプが駆動されることを特徴とするクリーンエネルギー発生方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のクリーンエネルギー発生装置を備えた次世代移動体。
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