JP2014184817A - ハイブリッド車両の減速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータ・ジェネレータに掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制することが可能なハイブリッド車両の減速制御装置を提供する。
【解決手段】デュアルクラッチ式の変速機10を備え、第1入力軸13に第1MG3が、第2入力軸14に第2MG4がそれぞれ動力伝達可能に接続されたハイブリッド車両1Aに適用される減速制御装置において、車両1Aに対して減速が要求され、かつバッテリ6の残量が所定値以上のときにダウンシフトが要求された場合、エンジンブレーキを行いつつダウンシフトを実行した場合に生じると予想される車両1Aの減速度を推定し、推定した減速度が閾値A未満の場合にはエンジンブレーキで車両1Aを減速させ、推定した減速度が閾値A以上の場合には一方のモータ・ジェネレータで回生発電を行って車両1Aを減速させつつ他方のモータ・ジェネレータで内燃機関2を回転駆動して回生発電で発生した電力を消費する。
【選択図】図1
【解決手段】デュアルクラッチ式の変速機10を備え、第1入力軸13に第1MG3が、第2入力軸14に第2MG4がそれぞれ動力伝達可能に接続されたハイブリッド車両1Aに適用される減速制御装置において、車両1Aに対して減速が要求され、かつバッテリ6の残量が所定値以上のときにダウンシフトが要求された場合、エンジンブレーキを行いつつダウンシフトを実行した場合に生じると予想される車両1Aの減速度を推定し、推定した減速度が閾値A未満の場合にはエンジンブレーキで車両1Aを減速させ、推定した減速度が閾値A以上の場合には一方のモータ・ジェネレータで回生発電を行って車両1Aを減速させつつ他方のモータ・ジェネレータで内燃機関2を回転駆動して回生発電で発生した電力を消費する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路中に変速機、第1モータ・ジェネレータ、及び第2モータ・ジェネレータが設けられたハイブリッド車両に適用される減速制御装置に関する。
第1入力軸と出力系との間及び第2入力軸と出力系との間のそれぞれにギヤ列が設けられ、それら2つの入力軸のいずれか一方を選択的に内燃機関と接続するデュアルクラッチ式の変速機が知られている。また、このようなデュアルクラッチ式の変速機が搭載され、各入力軸にそれぞれモータが接続されたハイブリッド車両が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2〜4が存在する。
特許文献1に示されているようなハイブリッド車両では、バッテリの残量が十分にあって充電を行うことができない場合に、エンジンブレーキで車両を減速させることがある。このようにエンジンブレーキで車両を減速させているときに変速機を現在の変速段から低速側の変速段に変速するダウンシフトが行われた場合、その変速時の減速度が大きくなってドライバビリティが悪化するおそれがある。バッテリに充電できない場合には、一方のモータ・ジェネレータで回生発電を行いつつ他方のモータ・ジェネレータで内燃機関を回転駆動して発電した電力を消費することにより車両を減速させる方法もある。この場合には、モータ・ジェネレータに掛かる負荷が大きくなるおそれがある。
そこで、本発明は、モータ・ジェネレータに掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制することが可能なハイブリッド車両の減速制御装置を提供することを目的とする。
本発明の減速制御装置は、複数の変速段に変速可能かつ内燃機関の動力を駆動輪に伝達する変速機と、前記内燃機関と前記駆動輪との間の動力伝達経路への動力の出力及びその動力伝達経路からの動力の取り出しがそれぞれできるように設けられた第1モータ・ジェネレータ及び第2モータ・ジェネレータと、前記第1モータ・ジェネレータと前記第2モータ・ジェネレータとが接続されたバッテリと、を備え、前記第1モータ・ジェネレータ及び前記第2モータ・ジェネレータのうちの一方のモータ・ジェネレータにて前記駆動輪から入力された動力を用いて回生発電を行いつつ他方のモータ・ジェネレータにて前記内燃機関を回転駆動することが可能なハイブリッド車両に適用され、前記車両に対して減速が要求され、かつ前記バッテリの残量が所定値以上のときに、前記変速機の変速段を一段低速側に変速するダウンシフトが要求された場合、前記内燃機関の回転抵抗で前記駆動輪を制動するエンジンブレーキを行いつつそのダウンシフトを実行した場合に生じると予想される前記車両の減速度を推定し、推定した前記減速度が所定の閾値未満の場合には前記エンジンブレーキで前記車両を減速させるエンジンブレーキ制御を実行し、推定した前記減速度が前記閾値以上の場合には前記一方のモータ・ジェネレータにより前記駆動輪から入力された動力を用いて回生発電を行って前記車両を減速させつつ前記他方のモータ・ジェネレータにて前記内燃機関を回転駆動してその回生発電で発生した電力を消費する回生ブレーキ制御を実行する減速制御手段を備えている(請求項1)。
本発明の減速制御装置によれば、バッテリの残量が所定値以上であり、かつエンジンブレーキでダウンシフトを行うと車両の減速度が閾値以上なる場合には、回生ブレーキ制御が実行されるので、ダウンシフト時における車両の振動やショックを抑制できる。そのため、ダウンシフト時に車両がギクシャクと走行することを抑制できる。一方、車両の減速度が閾値未満の場合にはエンジンブレーキ制御が実行されるので、各モータ・ジェネレータに無駄な負荷が掛かることを抑制できる。そのため、モータ・ジェネレータに掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制できる。
本発明の減速制御装置の一形態において、前記変速機は、ドライバが変速段を切り替えるマニュアルモードと、前記車両の速度に基づいて変速制御手段が変速段を切り替える自動変速モードと、に変速モードを切り替え可能であり、前記変速機の変速モードが前記自動変速モードの場合には、前記閾値に第1の値を設定し、前記変速機の変速モードが前記マニュアルモードの場合には、前記閾値に前記第1の値より大きい第2の値を設定する閾値設定手段をさらに備えていてもよい(請求項2)。一般的にドライバは、自動変速モードで走行している場合にはG変動の少ない滑らかな走行を要求する。一方、マニュアルモードで走行している場合には、変速が体感できるようにアップシフト時やダウンシフト時にある程度のG変動を要求する。この形態では、変速モードがマニュアルモードの場合には第1の値よりも大きい第2の値を閾値に設定するので、ドライバの要求に適切に応えつつモータ・ジェネレータに無駄な負荷が掛かることを抑制できる。
本発明の減速制御装置の一形態において、前記変速機は、前記内燃機関と第1クラッチを介して接続された第1入力軸と、前記内燃機関と第2クラッチを介して接続された第2入力軸と、前記駆動輪と動力伝達可能に接続された出力系と、一部が前記第1入力軸と前記出力系との間に介在するとともに残りが前記第2入力軸と前記出力系との間に介在し、かつ互いに変速比が相違する複数のギヤ列と、を有するデュアルクラッチ式の変速機であり、前記第1入力軸と前記第1モータ・ジェネレータとが動力伝達可能に接続され、前記第2入力軸と前記第2モータ・ジェネレータとが動力伝達可能に接続されていてもよい(請求項3)。このようなデュアルクラッチ式の変速機の各入力軸にそれぞれモータ・ジェネレータを接続することにより、一方のモータ・ジェネレータで回生発電しつつ他方のモータ・ジェネレータで内燃機関を回転駆動することができる。
以上に説明したように、本発明の減速制御装置によれば、バッテリの残量が所定値以上であり、かつエンジンブレーキでダウンシフトを行うと車両の減速度が閾値以上なる場合には回生ブレーキ制御が実行され、車両の減速度が閾値未満の場合にはエンジンブレーキ制御が実行される。そのため、モータ・ジェネレータに掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制できる。
図1は、本発明の一形態に係る減速制御装置が組み込まれた車両を概略的に示している。この車両1Aは、走行用動力源として内燃機関(以下、エンジンと称することがある。)2と、第1モータ・ジェネレータ(以下、第1MGと略称することがある。)3と、第2モータ・ジェネレータ(以下、第2MGと略称することがある。)4とを備えている。すなわち、この車両1Aはハイブリッド車両として構成されている。エンジン2は、複数の気筒を有する周知の火花点火式内燃機関である。また、第1MG3及び第2MG4は、ハイブリッド車両に搭載されて電動機及び発電機として機能する周知のものである。そのため、これらに関する詳細な説明を省略する。第1MG3及び第2MG4は、インバータ5を介してバッテリ6と電気的に接続されている。
車両1Aには、複数の変速段(1速〜5速及び後進)に変速可能な変速機10が搭載されている。この変速機10は、デュアルクラッチ式の変速機として構成されている。変速機10は入力系11と、出力系12とを備えている。入力系11は、第1入力軸13と、第2入力軸14とを備えている。第1入力軸13は、第1クラッチ15を介してエンジン2と接続されている。第2入力軸14は、第2クラッチ16を介してエンジン2と接続されている。第1クラッチ15及び第2クラッチ16は、エンジン2と入力軸13、14との間で動力が伝達される係合状態及びその動力伝達が遮断される解放状態に切替可能な周知の摩擦クラッチである。
出力系12は、第1出力軸17と、第2出力軸18と、駆動軸19とを備えている。この図に示すように第1出力軸17には、第1出力ギヤ20が設けられている。また、第2出力軸18には、第2出力ギヤ21が設けられている。駆動軸19には、被駆動ギヤ22が設けられている。そして、第1出力ギヤ20及び第2出力ギヤ21は、それぞれ被駆動ギヤ22と噛み合っている。駆動軸19は、デファレンシャル機構7と動力伝達可能なように接続されている。デファレンシャル機構7は、入力された動力を左右の駆動輪8に分配する周知の機構である。
入力系11と出力系12との間には、第1〜第5ギヤ列G1〜G5及び後進ギヤ列GRが介在している。この図に示すように第1ギヤ列G1、第3ギヤ列G3、及び第5ギヤ列G5は、第1入力軸13と第1出力軸17との間に介在している。第2ギヤ列G2、第4ギヤ列G4、及び後進ギヤ列GRは、第2入力軸14と第2出力軸18との間に介在している。
第1ギヤ列G1は互いに噛み合う第1ドライブギヤ23及び第1ドリブンギヤ24にて構成され、第2ギヤ列G2は互いに噛み合う第2ドライブギヤ25及び第2ドリブンギヤ26にて構成されている。第3ギヤ列G3は互いに噛み合う第3ドライブギヤ27及び第3ドリブンギヤ28にて構成され、第4ギヤ列G4は互いに噛み合う第4ドライブギヤ29及び第4ドリブンギヤ30にて構成されている。第5ギヤ列G5は互いに噛み合う第5ドライブギヤ31及び第5ドリブンギヤ32にて構成されている。第1〜第5ギヤ列G1〜G5は、ドライブギヤとドリブンギヤとが常時噛み合うように設けられている。各ギヤ列G1〜G5には互いに異なる変速比が設定されている。変速比は、第1ギヤ列G1、第2ギヤ列G2、第3ギヤ列G3、第4ギヤ列G4、第5ギヤ列G5の順に小さい。そのため、第1ギヤ列G1が1速に、第2ギヤ列G2が2速に、第3ギヤ列G3が3速に、第4ギヤ列G4が4速に、第5ギヤ列G5が5速にそれぞれ対応する。後進ギヤ列GRは、後進ドライブギヤ33、中間ギヤ34、及び後進ドリブンギヤ35にて構成されている。
第1ドライブギヤ23、第3ドライブギヤ27、第5ドライブギヤ31は、第1入力軸13と一体に回転するように第1入力軸13に固定されている。一方、第1ドリブンギヤ24、第3ドリブンギヤ28、及び第5ドリブンギヤ32は、第1出力軸17に対して相対回転可能なように第1出力軸17に支持されている。第2ドライブギヤ25、第4ドライブギヤ29、及び後進ドライブギヤ33は、第2入力軸14と一体に回転するように第2入力軸14に固定されている。一方、第2ドリブンギヤ26、第4ドリブンギヤ30、及び後進ドリブンギヤ35は、第2出力軸18に対して相対回転可能なように第2出力軸18に支持されている。中間ギヤ34は、変速機10の不図示のケースに回転自在に支持されている。この図に示すように中間ギヤ34は、後進ドライブギヤ33及び後進ドリブンギヤ35のそれぞれと噛み合っている。
第1出力軸17には、第1スリーブ36、第3スリーブ38、及び第5スリーブ40が設けられている。これらのスリーブ36、38、40は、第1出力軸17と一体に回転し、かつ軸線方向に移動可能なように第1出力軸17に支持されている。第1スリーブ36は、第1出力軸17と第1ドリブンギヤ24とが一体に回転するように第1ドリブンギヤ24と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。第3スリーブ38は、第1出力軸17と第3ドリブンギヤ28とが一体に回転するように第3ドリブンギヤ28と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。第5スリーブ40は、第1出力軸17と第5ドリブンギヤ32とが一体に回転するように第5ドリブンギヤ32と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。なお、以降では、第1スリーブ36、第3スリーブ38、及び第5スリーブ40が全て解放位置に切り替えられている場合をニュートラル状態と呼ぶことがある。また、第1スリーブ36、第3スリーブ38、及び第5スリーブ40をまとめて第1変速機構と呼ぶことがある。
第2出力軸18には、第2スリーブ37、第4スリーブ39、及び後進スリーブ41が設けられている。これらのスリーブ37、39、41は、第2出力軸18と一体に回転し、かつ軸線方向に移動可能なように第2出力軸18に支持されている。第2スリーブ37は、第2出力軸18と第2ドリブンギヤ26とが一体に回転するように第2ドリブンギヤ26と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。第4スリーブ39は、第2出力軸18と第4ドリブンギヤ30とが一体に回転するように第4ドリブンギヤ30と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。後進スリーブ41は、第2出力軸18と後進ドリブンギヤ35とが一体に回転するように後進ドリブンギヤ35と噛み合う係合位置と、その噛み合いが解除される解放位置とに切替可能に設けられている。なお、以降では、第2スリーブ37、第4スリーブ39、及び後進スリーブ41が全て解放位置に切り替えられている場合をニュートラル状態と呼ぶことがある。また、第2スリーブ37、第4スリーブ39、及び後進スリーブ41をまとめて第2変速機構と呼ぶことがある。
なお、図示は省略したが各出力軸17、18には、各スリーブ36〜41と各ドリブンギヤ24、26、28、30、32、35とを噛み合わせる際にこれらの回転を同期させるシンクロ機構がドリブンギヤ毎に設けられている。これらシンクロ機構には、摩擦係合により回転を同期させるシンクロ機構、例えば周知のキー式シンクロメッシュ機構を用いればよい。そのため、シンクロ機構の詳細な説明は省略する。
第1入力軸13には、第1被駆動ギヤ42が設けられている。第1MG3の出力軸3aには、第1被駆動ギヤ42と噛み合う第1駆動ギヤ43が設けられている。これにより第1MG3が第1入力軸13と動力伝達可能に接続される。なお、第1駆動ギヤ43と第1被駆動ギヤ42との間の変速比は、第1MG3の回転が減速して第1入力軸13に伝達されるように設定されている。第2入力軸14には、第2被駆動ギヤ44が設けられている。第2MG4の出力軸4aには、第2被駆動ギヤ44と噛み合う第2駆動ギヤ45が設けられている。これにより第2MG4が第2入力軸14と動力伝達可能に接続される。なお、第2駆動ギヤ45と第2被駆動ギヤ44との間の変速比は、第2MG4と第2入力軸14とが略同じ回転数で回転するように設定されている。このように第1駆動ギヤ43と第1被駆動ギヤ42との間の変速比と第2駆動ギヤ45と第2被駆動ギヤ44との間の変速比とは互いに異なるように設定されている。
第1クラッチ15、第2クラッチ16、及び各スリーブ36〜41の動作は、車両制御装置50にて制御される。また、エンジン2、第1MG3、及び第2MG4の動作も車両制御装置50にて制御される。車両制御装置50は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットとして構成されている。車両制御装置50は、車両1Aを適切に走行させるための各種制御プログラムを保持している。車両制御装置50は、これらのプログラムを実行することによりエンジン2及び各MG3、4等の制御対象に対する制御を行っている。車両制御装置50には、車両1Aに係る情報を取得するための種々のセンサが接続されている。車両制御装置50には、例えば車速センサ51、クランク角センサ52、アクセル開度センサ53、ブレーキペダルセンサ54、及びSOCセンサ55等が接続されている。車速センサ51は、車両1Aの速度(車速)に対応した信号を出力する。クランク角センサ52は、エンジン2の回転速度(回転数)に対応した信号を出力する。アクセル開度センサ53は、アクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル開度に対応した信号を出力する。ブレーキペダルセンサ54は、ブレーキペダルの踏み込み量に対応した信号を出力する。SOCセンサ55は、バッテリ6の残量、すなわちバッテリ6の充電状態(State of Charge)に対応した信号を出力する。また、車両制御装置50には、図2のシフト操作装置60が接続されている。このシフト操作装置60は、ドライバが操作するシフトレバー61を備えている。シフトレバー61は、この図に示したシフトパターン62内を移動できる。シフトパターン62には、シフトレバー61を動かすことが可能な複数の操作位置として、パーキング位置P、リバース位置R、ニュートラル位置N、ドライブ位置D、及びマニュアル位置Mが設定されている。また、マニュアル位置Mでは、図中に「+」で示したアップシフト位置及び図中に「−」で示したダウンシフト位置にシフトレバー61を動かすことができる。シフト操作装置60には、シフトレバー61の位置に対応した信号を出力するシフトレバーポジションセンサ63が設けられている。車両制御装置50には、このセンサ63が接続されている。この他にも車両制御装置50には種々のセンサやスイッチ等が接続されているが、それらの図示は省略した。
この車両1Aでは、エンジン2、第1MG3、第2MG4、及び変速機10等を適宜に制御することにより複数の走行モードが実現される。複数の走行モードとしては、例えばEV走行モードと、エンジン走行モードとが設定されている。EV走行モードでは、第1クラッチ15及び第2クラッチ16をいずれも解放状態に切り替え、エンジン2を切り離す。そして、変速機10を適宜の変速段に切り替えて第1MG3又は第2MG4で駆動輪8を駆動する。エンジン走行モードでは、変速機10を適宜の変速段に切り替える。そして、第1クラッチ15及び第2クラッチ16のうちその変速段がある入力軸側のクラッチを係合状態に、他方のクラッチを解放状態にそれぞれ切り替え、主にエンジン2で駆動輪8を駆動する。
なお、以降では、車両1Aの走行に関与している一方の入力軸を走行側の入力軸と呼び、車両1Aの走行に関与していない他方の入力軸を非走行側の入力軸と呼ぶことがある。また、走行側の入力軸に設けられているクラッチ、MG、ギヤ列、変速機構をそれぞれ走行側のクラッチ、走行側のMG、走行側のギヤ列、走行側の変速機構と呼び、非走行側の入力軸に設けられているクラッチ、MG、ギヤ列、変速機構をそれぞれ非走行側のクラッチ、非走行側のMG、非走行側のギヤ列、非走行側の変速機構と呼ぶことがある。
また、この車両1Aでは、変速機10の変速段を切り替える変速モードとして自動変速モードと、マニュアルモードとが設けられている。これらの変速モードは、シフトレバー61が操作された位置に応じて切り替えられる。シフトレバー61がドライブ位置Dにある場合に自動変速モードに切り替えられ、シフトレバー6がマニュアル位置Mにある場合にマニュアルモードに切り替えられる。自動変速モードの場合、車速及びアクセル開度に応じて変速段が切り替えられる。この場合、車両制御装置50は、車速及びアクセル開度に基づいて変速段を決定し、その決定した変速段になるように変速機10を制御する。なお、変速段は、周知のオートマチックトランスミッションと同様に車速、アクセル開度、及び変速段の関係を示した変速線図を車両制御装置50のROMに記憶させておき、その変速線図を参照して決定すればよい。このように変速段を切り替えることにより、車両制御装置50が本発明の変速制御手段として機能する。一方、マニュアルモードの場合には、ドライバがシフトレバー61を操作した場合に変速段が切り替わる。この場合、車両制御装置50は、シフトレバー61がアップシフト位置に操作された場合には変速段を現在の変速段から一段高速側の変速段に切り替え、シフトレバー61がダウンシフト位置に操作された場合には変速段を現在の変速段から一段低速側の変速段に切り替える。
さらに、この車両1Aでは、車両1Aに対して減速が要求された場合に実行される減速モードとして、回生充電モードと、エンジンブレーキモードと、回生消費モードとが設けられている。回生充電モードでは、走行側のMGで回生発電を行って車両1Aを減速させる。回生発電で発生した電力はバッテリ6に充電される。エンジンブレーキモードでは、走行側の入力軸とエンジン2とが連結されるように走行側のクラッチが操作され、エンジン2の回転抵抗で車両1Aを減速させる。回生消費モードでは、非走行側の入力軸とエンジン2とが連結されるように非走行側のクラッチが操作される。そして、走行側のMGで回生発電を行いつつその回生発電で発生した電力を非走行側のMGで消費する。非走行側のMGは、エンジン2を回転駆動することによって電力を消費する。なお、説明は省略したが、車両1Aではこのようなエンジン2又はMG3、4による減速に加えて周知のブレーキ装置による制動も適宜に行われる。
これら減速モードは、車両1の状態に応じて使い分けられる。例えば、バッテリ6の残量が所定値未満であり、回生発電で発生した電力をバッテリ6に充電可能な場合には回生充電モードが実行される。一方、バッテリ6の残量が所定値以上であり、回生発電で発生した電力をバッテリ6に充電できない場合にはエンジンブレーキモード又は回生消費モードが実行される。ただし、回生消費モードは、バッテリ6の残量が所定値以上であり、変速機10の変速段を現在の変速段から一段低速側の変速段に切り替えるダウンシフトが要求され、かつエンジンブレーキモードでそのダウンシフトを行った場合にはダウンシフト時の車両1Aの減速度が所定の閾値A以上になると予想される場合に、実行される。
図3は、車両制御装置50がこのように減速モードを切り替えるべく実行する減速モード切替ルーチンを示している。このルーチンは、車両1Aの走行中に所定の周期で繰り返し実行される。
このルーチンにおいて車両制御装置50は、まずステップS11で車両1Aの状態を取得する。車両1Aの状態としては、車速、現在の変速段、現在の変速モード、エンジン2の回転数、バッテリ6の残量、アクセル開度、ブレーキペダルの踏み込み量などが取得される。次のステップS12において車両制御装置50は、車両1Aに対して減速が要求されているか否か判定する。この判定は、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて周知の判定方法で行えばよい。車両1Aに対して減速が要求されていないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。
一方、車両1Aに対して減速が要求されていると判定した場合はステップS13に進み、車両制御装置50はバッテリ6が高SOCの状態か否か判定する。なお、本発明における高SOCの状態とは、バッテリ6の残量が多く、バッテリ6への充電が不可能な状態を示す。そのため、バッテリ6が高SOCか否かは、例えばバッテリ6の残量に基づいて判定すればよい。そして、バッテリ6の残量が予め設定した所定値以上の場合に、バッテリ6が高SOCであると判定すればよい。バッテリ6が高SOCの状態ではないと判定した場合はステップS14に進み、車両制御装置50は回生充電モードを実行する。その後、今回のルーチンを終了する。
一方、バッテリ6が高SOCの状態であると判定した場合はステップS15に進み、車両制御装置50は車両1Aに対してダウンシフトが要求されているか否か判定する。変速モードがマニュアルモードの場合には、シフトレバー61がダウンシフト位置に操作された場合にダウンシフトが要求されていると判定すればよい。変速モードが自動変速モードの場合には、車速及びアクセル開度から変速段が決定された際に、その決定された変速段が現在の変速段よりも一段低速側の変速段であった場合にダウンシフトが要求されていると判定すればよい。ダウンシフトが要求されていないと判定した場合はステップS16〜S20をスキップしてステップS21に進み、車両制御装置50はエンジンブレーキモードを実行する。その後、今回のルーチンを終了する。
一方、ダウンシフトが要求されていると判定した場合はステップS16に進み、車両制御装置50はダウンシフト時の車両1Aの減速度を推定する。上述したようにダウンシフトが要求されていない場合には、エンジンブレーキモードが実行される。そのため、この減速度は、エンジンブレーキモードでダウンシフトした場合の減速度である。この処理では、まず現在の車速及びダウンシフト後の変速段の変速比に基づいて、この条件におけるエンジン2の回転数を推定する。この推定した回転数は、ダウンシフト後にエンジン2がなるべき回転数である。そして、この推定した回転数と現在のエンジン2の回転数との差に基づいてダウンシフト時の減速度を推定する。周知のように、推定した回転数と現在の回転数との差が大きいほどダウンシフト時の減速度は大きくなる。そこで、推定した回転数と現在の回転数との差とダウンシフト時の減速度との関係を予め実験や数値計算等により求めて車両制御装置50のROMにマップとして記憶させておき、このマップを参照して減速度を推定すればよい。
次のステップS17において車両制御装置50は、現在の変速モードが自動変速モードか否か判定する。現在の変速モードが自動変速モードであると判定した場合はステップS18に進み、車両制御装置50は閾値Aに第1の値A1を設定する。上述したように、この閾値Aはダウンシフト時の減速モードを回生消費モードに切り替えるか否か判定する判定基準として設けられている。そのため、第1の値A1には、例えばエンジンブレーキモードでダウンシフトを行っても車両1Aがほぼ滑らかに走行する減速度の範囲の上限値が設定される。一方、現在の変速モードがマニュアルモードであると判定した場合はステップS19に進み、車両制御装置50は閾値Aに第2の値A2を設定する。この第2の値A2には、第1の値A1よりも大きな値が設定される。すなわち、第1の値A1<第2の値A2である。
ステップS18又はステップS19で閾値Aを設定した後はステップS20に進み、車両制御装置50は推定した減速度が閾値A以上か否か判定する。推定した減速度が閾値A未満と判定した場合はステップS21に進み、車両制御装置50はエンジンブレーキモードを実行する。その後、今回のルーチンを終了する。
一方、推定した減速度が閾値A以上と判定した場合はステップS22に進み、車両制御装置50は回生消費モードを実行する。その後、今回のルーチンを終了する。
以上に説明したように、本発明では、バッテリ6が高SOCの状態であり、かつエンジンブレーキモードでダウンシフトを行うと車両1Aの減速度が閾値A以上になると予想される場合には、減速モードを回生消費モードに切り替えるので、ダウンシフト時における車両1Aの振動やショックを抑制できる。そのため、車両1Aがダウンシフト時にギクシャクと走行することを抑制できる。一方、車両1Aの減速度が閾値A未満になると予想される場合にはエンジンブレーキモードを維持するので、各MG3、4に無駄な負荷が掛かることを抑制できる。そのため、MG3、4に掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制できる。また、これによりMG3、4の使用頻度を低減できるので、MG3、4が故障し難くなる。
一般的にドライバは、自動変速モードで走行している場合にはG変動の少ない滑らかな走行を要求する。一方、マニュアルモードで走行している場合には、変速が体感できるようにアップシフト時やダウンシフト時にある程度のG変動を要求する。本発明では、変速モードがマニュアルモードの場合には第1の値A1よりも大きい第2の値A2を閾値Aに設定するので、ドライバの要求に適切に応えつつMG3、4に無駄な負荷が掛かることを抑制したりMG3、4の使用頻度を低減したりすることができる。
上述した形態では、図3のルーチンを実行することにより車両制御装置50が本発明の減速制御手段として機能する。また、図3のステップS17〜S19を実行することにより車両制御装置50が本発明の閾値設定手段として機能する。そして、エンジンブレーキモードが本発明のエンジンブレーキ制御に対応し、回生消費モードが本発明の回生ブレーキ制御に対応する。
本発明が適用される車両は、上述した形態で示した車両1Aに限定されない。例えば、図4に示した車両1Bに本発明を適用してもよい。なお、この図において図1と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。この図に示すように車両1Bも、エンジン2及び2台のMG3、4を備えたハイブリッド車両である。また、車両1Bには、エンジン2及びMG3、4の動力を駆動輪(不図示)に伝達するための動力伝達装置70が搭載されている。
第1MG3は、ロータ3bと、ロータ3bの外周に同軸に配置されたステータ3cとを備えている。ステータ3cは、動力伝達装置70のケース70aに固定されている。第2MG4も同様に、ロータ4bと、ロータ4bの外周に同軸に配置されたステータ4cとを備えている。このステータ4cもケース70aに固定されている。ステータ3c及びステータ4cは、インバータ5を介してバッテリ6と電気的に接続されている。
動力伝達装置70は、変速機71を備えている。変速機71は、入力軸72と、出力軸73とを備えている。エンジン2のクランク軸2aは、トルクコンバータ80を介して入力軸72と接続されている。トルクコンバータ80は、回転可能に設けられたポンプインペラ81と、ポンプインペラ81と対向するように配置され、かつポンプインペラ81に対して相対回転可能なタービンランナ82と、それらの間に配置されたステータ83とを備え、これらの間でオイル等の作動流体を循環させてポンプインペラ81とタービンランナ82との間でトルクを伝達する周知の流体継手である。この図に示すようにクランク軸2aは、ポンプインペラ81と連結されている。入力軸72は、タービンランナ82と連結されている。ステータ83にはブレーキBtcが設けられている。ブレーキBtcは、摩擦式のブレーキであり、ステータ83を回転不能にロックするロック状態と、ステータ83を回転自在にする解放状態と、半係合状態でステータ83の回転を許容する状態とに切り替えることができる。トルクコンバータ80には、ロックアップクラッチ84が設けられている。ロックアップクラッチ84は、ポンプインペラ81とタービンランナ82とが互いに相対回転する解放状態と、ポンプインペラ81とタービンランナ82とが一体に回転するようにこれらを連結する完全係合状態と、ポンプインペラ81とタービンランナ82との相対回転を許容しつつロックアップクラッチ84を介してトルクが伝達される半係合状態とに切り替えることができる。
この図に示すようにクランク軸2aには、第1MG3のロータ3bが連結されている。入力軸72には、第2MG4のロータ4bが連結されている。図示は省略したが出力軸73は、デファレンシャル機構などを介して駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
変速機71は、第1遊星歯車機構74と、第2遊星歯車機構75とを備えている。第1遊星歯車機構74は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、外歯ギヤであるサンギヤSu11と、サンギヤSu11と噛み合いつつサンギヤSu11の周囲を公転する第1プラネタリギヤPl11と、第1プラネタリギヤPl11と噛み合いつつサンギヤSu11の周囲を公転する第2プラネタリギヤPl12と、第2プラネタリギヤPl12と噛み合う内歯ギヤであるリングギヤRi11と、第1プラネタリギヤPl11及び第2プラネタリギヤPl12を軸線の回りに回転自在に支持するキャリアCa11とを備えている。
第2遊星歯車機構75は、ラビニョ型の遊星歯車機構であり、外歯ギヤである第1サンギヤSu21と、第1サンギヤSu21と噛み合いつつ第1サンギヤSu21の周囲を公転する第1プラネタリギヤPl21と、第1プラネタリギヤPl21と噛み合いつつ第1サンギヤSu21の周囲を公転する第2プラネタリギヤPl22と、第2プラネタリギヤPl22と噛み合う内歯ギヤであるリングギヤRi21と、第1プラネタリギヤPl21及び第2プラネタリギヤPl22を軸線の回りに回転自在に支持するキャリアCa21と、第2プラネタリギヤPl22と噛み合う外歯ギヤである第2サンギヤSu22とを備えている。
この図に示すように第1遊星歯車機構74のサンギヤSu11は、ケース70aに回転不能に固定されている。第1遊星歯車機構74のリングギヤRi11は、第1クラッチC1を介して第2遊星歯車機構75の第1サンギヤSu21と接続されている。第1遊星歯車機構74のキャリアCa11は、入力軸72と連結されている。また、入力軸72は、第2クラッチC2を介して第2遊星歯車機構75のキャリアCa21と接続されている。第2遊星歯車機構75の第2サンギヤSu22は、回転部材76と一体回転するように連結されている。この回転部材76は、第3クラッチC3を介して第1遊星歯車機構74のリングギヤRi11と接続されている。また、回転部材76は、第4クラッチC4を介して第1遊星歯車機構74のキャリアCa11とも接続されている。さらに、回転部材76には、第1ブレーキB1が設けられている。第2遊星歯車機構75のキャリアCa21には、第2ブレーキB2が設けられている。第2遊星歯車機構75のリングギヤRi21は、出力軸73と一体回転するように連結されている。
第1クラッチC1は、リングギヤRi11と第1サンギヤSu21とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第2クラッチC2は、入力軸72とキャリアCa21とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第3クラッチC3は、回転部材76とリングギヤRi11とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第4クラッチC4は、回転部材76とキャリアCa11とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第1ブレーキB1は、回転部材76を回転不能に制動する制動状態と、その制動を解除する解放状態とに切り替えることができる。第2ブレーキB2は、キャリアCa21を回転不能に制動する制動状態と、その制動を解除する解放状態とに切り替えることができる。
この変速機71は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のそれぞれの状態を切り替えることにより、前進1速〜8速の変速段及び後進1速〜2速の変速段を実現できる。図5は、各変速段における各クラッチC1〜C4及び各ブレーキB1、B2のそれぞれの状態を示す作動係合表を示している。なお、この図中の「C1」〜「C4」は第1クラッチC1〜第4クラッチC4を示し、「B1」、「B2」は第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を示している。また、この図において「○」は係合状態又は制動状態を示し、「×」は解放状態を示している。
この車両1Bでは、ロックアップクラッチ84を解放状態に切り替えることにより、クランク軸2aと入力軸72とを別々に回転させることができる。そのため、第2MG4で回生発電しつつ第1MG3でエンジン2を回転駆動することができる。そこで、この車両1Bでも上述した形態と同様に減速モードとして、回生充電モード、エンジンブレーキモード、及び回生消費モードを設け、それらをバッテリ6の残量及びダウンシフト時の減速度等に応じて適宜に使い分けてもよい。これにより車両1Bでも、MG3、4に掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制できる。
図6は、本発明が適用されるさらに他の車両1Cを概略的に示している。なお、この図において図1又は図4と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。この車両1Cも、エンジン2及び2台のMG3、4を備えたハイブリッド車両である。車両1Cには、エンジン2及びMG3、4の動力を駆動輪(不図示)に伝達するための動力伝達装置90が搭載されている。
動力伝達装置90は、動力分割機構91と、変速機100とを備えている。動力分割機構91は、シングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されている。動力分割機構91は、外歯ギヤであるサンギヤSu31と、そのサンギヤSu31に対して同軸的に配置された内歯ギヤとしてのリングギヤRi31と、これらのギヤSu31、Ri31に噛み合うピニオンギヤPi31を自転可能かつサンギヤSu31の周囲を公転可能に保持するキャリアCa31とを備えている。この図に示すようにサンギヤSu31は、第1MG3のロータ3bと一体回転するように連結されている。キャリアCa31は、エンジン2のクランク軸2aと一体回転するように連結されている。
変速機100は、入力軸101と、出力軸102とを備えている。動力分割機構91のリングギヤRi31は、入力軸101と連結されている。また、この入力軸101には、第2MG4のロータ4bが一体回転するように連結されている。変速機100は、第1遊星歯車機構103と、第2遊星歯車機構104とを備えている。これらの遊星歯車機構103、104は、シングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されている。第1遊星歯車機構103は、外歯ギヤであるサンギヤSu41と、そのサンギヤSu41に対して同軸的に配置された内歯ギヤとしてのリングギヤRi41と、これらのギヤSu41、Ri41に噛み合うピニオンギヤPi41を自転可能かつサンギヤSu41の周囲を公転可能に保持するキャリアCa41とを備えている。第2遊星歯車機構104は、外歯ギヤであるサンギヤSu51と、そのサンギヤSu51に対して同軸的に配置された内歯ギヤとしてのリングギヤRi51と、これらのギヤSu51、Ri51に噛み合うピニオンギヤPi51を自転可能かつサンギヤSu51の周囲を公転可能に保持するキャリアCa51とを備えている。
この図に示すように、入力軸101は、第1クラッチC11を介して第2遊星歯車機構104のサンギヤSu51と接続されている。また、入力軸101は、第2クラッチC12を介して第1遊星歯車機構103のキャリアCa41と接続されている。さらに、入力軸101は、第3クラッチC13を介して第1遊星歯車機構103のサンギヤSu41と接続されている。このサンギヤSu41には、第1ブレーキB11が設けられている。
第1遊星歯車機構103のキャリアCa41は、連結部材105にて第2遊星歯車機構104のリングギヤRi51と連結されている。連結部材105には、連結部材105が所定の回転方向に回転することは許容し、連結部材105がその回転方向とは反対の逆方向に回転することは阻止するワンウェイクラッチ106が設けられている。また、この連結部材105には、第2ブレーキB12が設けられている。第1遊星歯車機構103のリングギヤRi41及び第2遊星歯車機構104のキャリアCa51は、出力軸102と一体回転するように連結されている。なお、図示は省略したが出力軸102は、デファレンシャル機構などを介して駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
第1クラッチC11は、入力軸101とサンギヤSu51とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第2クラッチC12は、入力軸101とキャリアCa41とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第3クラッチC13は、入力軸101とサンギヤSu41とを連結する係合状態と、その連結を解除する解放状態とに切り替えることができる。第1ブレーキB11は、サンギヤSu41を回転不能に制動する制動状態と、その制動を解除する解放状態とに切り替えることができる。第2ブレーキB12は、連結部材105を回転不能に制動する制動状態と、その制動を解除する解放状態とに切り替えることができる。
変速機100は、第1クラッチC11、第2クラッチC12、第3クラッチC13、第1ブレーキB11、及び第2ブレーキB12のそれぞれの状態を切り替えることにより、前進1速〜4速の変速段及び後進の変速段を実現できる。また、この変速機100では、前進1速の状態で第1ブレーキB11を解放状態にすることにより、電気的無段変速状態にすることができる。図7は、各変速段における各クラッチC11〜C13及び各ブレーキB1、B2のそれぞれの状態を示す作動係合表を示している。なお、この図中の「C1」〜「C3」は第1クラッチC11〜第3クラッチC13を示し、「B1」、「B2」は第1ブレーキB11及び第2ブレーキB12を示している。また、この図において「○」は係合状態又は制動状態を示し、「×」は解放状態を示している。「◎」は、電気的無段変速状態にする場合には解放状態にし、固定段状態(前進1速)にする場合には制動状態にすることを示している。
この車両1Cでも、クランク軸2aと入力軸101とを別々の回転数で回転させることができる。そのため、第2MG4で回生発電しつつ第1MG3でエンジン2を回転駆動することができる。従って、この車両1Cでも上述した形態と同様に減速モードとして、回生充電モード、エンジンブレーキモード、及び回生消費モードを設け、それらをバッテリ6の残量及びダウンシフト時の減速度等に応じて適宜に使い分けてもよい。これにより車両1Cでも、MG3、4に掛かる負荷を低減しつつドライバビリティの悪化を抑制できる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上述した形態では自動変速モードとマニュアルモードとで閾値を変更したが、変速モードに応じて閾値を変更しなくてもよい。
1A、1B、1C 車両
2 内燃機関
3 第1モータ・ジェネレータ
4 第2モータ・ジェネレータ
6 バッテリ
8 駆動輪
10 変速機
12 出力系
13 第1入力軸
14 第2入力軸
15 第1クラッチ
16 第2クラッチ
50 車両制御装置(減速制御手段、変速制御手段、閾値設定手段)
71 変速機
100 変速機
A 閾値
A1 第1の値
A2 第2の値
G1〜G5、GR ギヤ列
2 内燃機関
3 第1モータ・ジェネレータ
4 第2モータ・ジェネレータ
6 バッテリ
8 駆動輪
10 変速機
12 出力系
13 第1入力軸
14 第2入力軸
15 第1クラッチ
16 第2クラッチ
50 車両制御装置(減速制御手段、変速制御手段、閾値設定手段)
71 変速機
100 変速機
A 閾値
A1 第1の値
A2 第2の値
G1〜G5、GR ギヤ列
Claims (3)
- 複数の変速段に変速可能かつ内燃機関の動力を駆動輪に伝達する変速機と、前記内燃機関と前記駆動輪との間の動力伝達経路への動力の出力及びその動力伝達経路からの動力の取り出しがそれぞれできるように設けられた第1モータ・ジェネレータ及び第2モータ・ジェネレータと、前記第1モータ・ジェネレータと前記第2モータ・ジェネレータとが接続されたバッテリと、を備え、
前記第1モータ・ジェネレータ及び前記第2モータ・ジェネレータのうちの一方のモータ・ジェネレータにて前記駆動輪から入力された動力を用いて回生発電を行いつつ他方のモータ・ジェネレータにて前記内燃機関を回転駆動することが可能なハイブリッド車両に適用され、
前記車両に対して減速が要求され、かつ前記バッテリの残量が所定値以上のときに、前記変速機の変速段を一段低速側に変速するダウンシフトが要求された場合、前記内燃機関の回転抵抗で前記駆動輪を制動するエンジンブレーキを行いつつそのダウンシフトを実行した場合に生じると予想される前記車両の減速度を推定し、推定した前記減速度が所定の閾値未満の場合には前記エンジンブレーキで前記車両を減速させるエンジンブレーキ制御を実行し、推定した前記減速度が前記閾値以上の場合には前記一方のモータ・ジェネレータにより前記駆動輪から入力された動力を用いて回生発電を行って前記車両を減速させつつ前記他方のモータ・ジェネレータにて前記内燃機関を回転駆動してその回生発電で発生した電力を消費する回生ブレーキ制御を実行する減速制御手段を備えている減速制御装置。 - 前記変速機は、ドライバが変速段を切り替えるマニュアルモードと、前記車両の速度に基づいて変速制御手段が変速段を切り替える自動変速モードと、に変速モードを切り替え可能であり、
前記変速機の変速モードが前記自動変速モードの場合には、前記閾値に第1の値を設定し、前記変速機の変速モードが前記マニュアルモードの場合には、前記閾値に前記第1の値より大きい第2の値を設定する閾値設定手段をさらに備えている請求項1に記載の減速制御装置。 - 前記変速機は、前記内燃機関と第1クラッチを介して接続された第1入力軸と、前記内燃機関と第2クラッチを介して接続された第2入力軸と、前記駆動輪と動力伝達可能に接続された出力系と、一部が前記第1入力軸と前記出力系との間に介在するとともに残りが前記第2入力軸と前記出力系との間に介在し、かつ互いに変速比が相違する複数のギヤ列と、を有するデュアルクラッチ式の変速機であり、
前記第1入力軸と前記第1モータ・ジェネレータとが動力伝達可能に接続され、
前記第2入力軸と前記第2モータ・ジェネレータとが動力伝達可能に接続されている請求項1又は2に記載の減速制御装置。
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JP2013060469A JP2014184817A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | ハイブリッド車両の減速制御装置 |
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2013
- 2013-03-22 JP JP2013060469A patent/JP2014184817A/ja active Pending
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