JP2014183658A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部負荷20の要求電圧に応じた直流電圧を出力する場合に生じるスイッチング損失及びスイッチングに伴うノイズを好適に低減させることのできる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、コンデンサ16、第1の電気経路Lα、第2の電気経路Lβ、第iのp側スイッチング素子Spi(i=1〜6)及び第iのn側スイッチング素子Sniを備える。こうした構成において、外部負荷20の要求電圧が高いほど、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子のスイッチング周波数を低く設定する。そして、設定されたスイッチング周波数に基づき、第iのp側スイッチング素子Spi(i=1〜6)及び第iのn側スイッチング素子をオンオフ操作する。
【選択図】 図1
【解決手段】電力変換装置は、コンデンサ16、第1の電気経路Lα、第2の電気経路Lβ、第iのp側スイッチング素子Spi(i=1〜6)及び第iのn側スイッチング素子Sniを備える。こうした構成において、外部負荷20の要求電圧が高いほど、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子のスイッチング周波数を低く設定する。そして、設定されたスイッチング周波数に基づき、第iのp側スイッチング素子Spi(i=1〜6)及び第iのn側スイッチング素子をオンオフ操作する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、1個の電池セル又は隣接する複数個の電池セルの直列接続体を備える単位電池を複数直列接続してなる組電池に適用される電力変換装置に関する。
従来、下記特許文献1に見られるように、高効率コンバータ及びこのコンバータの出力側に接続された降圧チョッパ回路を備える電源装置が知られている。
ここで、上記特許文献1に記載された電源装置では、降圧チョッパ回路から出力される直流電圧をその目標値に制御すべく、降圧チョッパ回路の備えるスイッチング素子が高いスイッチング周波数で開閉操作される。このため、降圧チョッパ回路におけるスイッチング損失やスイッチングに伴うノイズが増大するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、所望の直流電圧を出力する場合に生じるスイッチング損失及びスイッチングに伴うノイズを好適に低減させることのできる電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、1個の電池セル又は隣接する複数個の電池セルの直列接続体を備える単位電池(Ci:i=1〜6)を複数直列接続してなる組電池(10)に適用され、外部負荷(20)と接続可能であってかつ電気エネルギを蓄積可能な蓄電手段(16)と、前記単位電池の正極端子と前記蓄電手段の一端とを接続する電気経路に設けられてかつ該電気経路を開閉する第1の開閉手段(Spi)と、前記単位電池の負極端子と前記蓄電手段の他端とを接続する電気経路に設けられてかつ該電気経路を開閉する第2の開閉手段(Sni)と、を備え、前記組電池を構成する複数の前記単位電池のうち前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記蓄電手段と接続される単位電池を選択対象と定義し、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段の操作によって前記選択対象の数を変更する処理、並びに前記選択対象の一端に接続された前記第1の開閉手段の開閉操作によって該第1の開閉手段の開閉操作1周期あたりに前記選択対象から前記蓄電手段へと供給される電気エネルギを変更する処理のうち少なくとも一方を実行することで、前記蓄電手段を介して前記外部負荷へと出力される直流電圧を可変とする可変手段と、を備えることを特徴とする。
上記発明では、直流電圧を可変とすべく選択対象の数を変更する処理を実行する場合、外部負荷の要求電圧を超える端子間電圧を出力可能な選択対象の数を設定するように第1の開閉手段及び第2の開閉手段を操作すればよいことから、第1の開閉手段及び第2の開閉手段の開閉操作が多くならない。一方、直流電圧を可変とすべく上記電気エネルギを変更する処理を実行する場合、蓄電手段、第1の開閉手段及び第2の開閉手段が上記態様にて接続されていることから、選択対象の電気エネルギを用いて直流電圧を可変とするときに第1の開閉手段の開閉周波数(スイッチング周波数)が高くならない。このため、上記発明では、蓄電手段を介して外部負荷へと所望の直流電圧を出力する場合に生じる電力変換装置におけるスイッチング損失を好適に低減させることができ、ひいては電力変換装置における電力変換効率を高めることができる。さらに、電力変換装置におけるスイッチングに伴うノイズも好適に低減させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電力変換装置を、車載主機として回転機(モータジェネレータ)を備える車両(例えば、ハイブリッド車や電気自動車)に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下、本発明にかかる電力変換装置を、車載主機として回転機(モータジェネレータ)を備える車両(例えば、ハイブリッド車や電気自動車)に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、組電池10は、車載高電圧システムを構成し、モータジェネレータ等の電源となる。組電池10は、「単位電池」としての電池セル(単電池)の直列接続体であり、その端子電圧は、所定の高電圧(例えば数百V)となる。ここで、1つの電池セルの端子間電圧は、例えば数V(より具体的には3〜4V)である。本実施形態では、説明の便宜上、組電池10を構成する電池セルの数を6つとしている。本実施形態では、以降、これら電池セルのそれぞれを第iの電池セルCi(i=1〜6)と称すこととする。ちなみに、本実施形態では、電池セルとしてリチウムイオン2次電池を用いている。
第iの電池セルCiの正極端子には、信号線L(i+1)が接続され、第iの電池セルCiの負極端子には、信号線Liが接続されている。すなわち、信号線L1,L7を除いて、隣接する電池セルのうちの高電位側の電池セルの負極端子側の信号線と低電位側の電池セルの正極端子側の信号線とは共通化されている。
第iの電池セルCiの端子間電圧は、信号線Li,L(i+1)と、抵抗体及びコンデンサを備えて構成される第iのローパスフィルタRCiとを介して制御回路12に取り込まれる。ここで、第iのローパスフィルタRCiは、電圧信号に重畳する高周波ノイズを除去し、第iの電池セルCiの端子間電圧の検出精度を高めるために設けられている。
第iの電池セルCiには、第iの電池セルCiに過電圧が印加されることを回避するための第iのツェナーダイオードZDiが並列接続されている。より具体的には、第iのツェナーダイオードZDiのカソードが信号線L(i+1)に接続され、第iのツェナーダイオードZDiのアノードが信号線Liに接続されている。
第iの電池セルCiの両端は、「第1の開閉手段」としての第iのp側スイッチング素子Spiと、「第2の開閉手段」としての第iのn側スイッチング素子Sniとを備えるコンバータ14を介して、「蓄電手段」としてのコンデンサ16の両端に接続可能とされている。詳しくは、コンデンサ16の一端には、第1の電気経路Lαが接続され、他端には、第2の電気経路Lβが接続されている。また、第iの電池セルCiの正極端子と第1の電気経路Lαとを接続する経路には、この経路を開閉する第iのp側スイッチング素子Spiが設けられ、第iの電池セルCiの負極端子と第2の電気経路Lβとを接続する経路には、この経路を開閉する第iのn側スイッチング素子Sniが設けられている。ちなみに、コンデンサ16の静電容量は、コンデンサ16の充電電圧が組電池10の正常時の端子間電圧に一致する際、組電池10よりも充電エネルギ量が非常に小さくなるように設定されている。
なお、本実施形態では、これらスイッチング素子Spi,Sniとして、互いにソース同士が短絡された一対のNチャネルMOSFETを用いている。ここで、ソース同士を短絡させたのは、一対のNチャネルMOSFETのオン操作(閉操作)又は開操作(オフ操作)を容易とするための設定である。つまり、NチャネルMOSFETは、ソースに対するゲート(「開閉制御端子」に相当)の電位であるゲート電圧によってオンオフ操作されるため、ソース同士を短絡させることで、一対のNチャネルMOSFETのソースの電位を同一とすることができ、ひいてはオンオフ操作を単一の開閉操作信号(電圧信号)によって行うことができる。
コンデンサ16の両端のうち第1の電気経路Lαが接続された側には、第1の遮断用スイッチング素子Q1を介してコネクタ18の一端に接続されている。また、コンデンサ16の両端のうち第2の電気経路Lβが接続された側には、第2の遮断用スイッチング素子Q2を介してコネクタ18の他端に接続されている。ここで、コネクタ18は、コンデンサ16の両端の端子間電圧を外部負荷20に対して出力するための出力端子である。コネクタ18には、例えば、補機バッテリや、電気機器(例えば、冷蔵庫)の電源用コンセントが接続される。なお、本実施形態では、第1の遮断用スイッチング素子Q1及び第2の遮断用スイッチング素子Q2として、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniと同様に、互いにソース同士が短絡された一対のNチャネルMOSFETを用いている。また、本実施形態において、第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2が、コンデンサ16及び外部負荷20の間を電気的に接続又は遮断すべくオンオフ操作される「遮断用開閉手段」に相当する。
なお、本実施形態では、組電池10を含む高電圧システムの基準電位と、外部負荷20を含む低電圧システムの基準電位とが相違している。特に、本実施形態では、高電圧システムの基準電位が組電池10の負極電位に設定され、低電圧システムの基準電位が組電池10の正極電位と負極電位との中央値である車体電位に設定されている。
上記制御回路12は、マイクロコンピュータを主体として構成され、第iの電池セルCiの端子間電圧を取り込んだり、コンデンサ16からコネクタ18を介して外部負荷20へと流れる負荷電流を検出する電流センサ22の検出値等を取り込んだりする。制御回路12は、また、第iの電池セルCiに対応する第iの駆動回路DUiを介して第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniをオンオフ操作したり、第1の遮断用スイッチング素子Q1及び第2の遮断用スイッチング素子Q2をオンオフ操作したりする。なお、本実施形態において、電流センサ22が「電流検出手段」を構成する。
特に、制御回路12は、セル電圧均等化処理及び直流電圧出力処理を行う。
まず、図2を用いて、本実施形態にかかるセル電圧均等化処理について説明する。この処理は、車両の航続距離を拡大すべく、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6の端子間電圧のばらつきを低減する処理である。
図2に、セル電圧均等化処理の手順を示す。この処理は、第1の遮断用スイッチング素子Q1及び第2の遮断用スイッチング素子Q2がオフ操作される状況下、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、6個の電池セルC1〜C6のそれぞれの電圧V1〜V6を検出する。
続くステップS12では、上記ステップS10における検出値に基づき、6個の電池セルC1〜C6の中から、端子間電圧が最高の電池セル(以下、最高電圧セルCmax)と、端子間電圧が最低の電池セル(以下、最低電圧セルCmin)とを選択する。
続くステップS14では、最高電圧セルCmaxの端子間電圧Vmax及び最低電圧セルCminの端子間電圧Vminの電位差が規定値Ve(>0)を超えたか否かを判断する。この処理は、電池セルの端子間電圧のばらつきが小さく、セル電圧均等化処理を実行する必要がない状況下においてこの処理が実行されることで、電池セルの端子間電圧が変動する現象(ハンチング)の発生を抑制するための処理である。
ステップS14において肯定判断された場合には、ステップS16に進み、最高電圧セルCmaxを含む電力供給元の電池セルCdisを複数選択する。本実施形態では、電力供給元の電池セルCdisとして、最高電圧セルCmaxを含む2個の電池セルを選択することを一例として示す。具体的には、最高電圧セルCmaxをCr(r=1,2,…,6)とすると、基本的には、最高電圧セルCrと、最高電圧セルCrの高電位側に隣接する電池セルC(r+1)とを電力供給元の電池セルCdisとして選択する。ただし、「r=6」(最高電圧セルCmaxがC6)の場合、最高電圧セルCmaxの正極端子側に隣接する電池セルが存在しないことから、電力供給元の電池セルCdisとして、電池セルC5,C6を選択する。なお、本実施形態において、本ステップ及び上記ステップS12の処理が「単位電池選択手段」を構成する。
本ステップにおいて電力供給元の電池セルCdisを複数選択することで、後述する放電処理時において、コンデンサ16から電力供給先の電池セルへ供給される充電電流を大きくすることができ、電池セルの端子間電圧の均等化に要する時間を短縮できる。
続くステップS18では、コンデンサ16の充電処理を開始する。ここで、充電処理は、選択された電力供給元の電池セルの直列接続体の両端のうち正極端子に接続されるp側スイッチング素子と、負極端子に接続されるn側スイッチング素子とをオン操作する処理となる。ここで、例えば、最高電圧セルCmaxが第5の電池セルC5となる場合の充電処理は、第6のp側スイッチング素子Sp6と、第5のn側スイッチング素子Sn5とをオン操作する処理となる。これにより、電池セルC5,C6の直列接続体、第6のp側スイッチング素子Sp6、第1の電気経路Lα、コンデンサ16、第2の電気経路Lβ及び第5のn側スイッチング素子Sn5を備える閉回路が形成されてコンデンサ16の充電が開始される。
続くステップS20では、上記ステップS18の充電処理が開始されてから第1の規定時間T1が経過するまで待機する。ここで、第1の規定時間T1は、電力供給元の電池セルCdisの電気エネルギによってコンデンサ16の充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、以下に説明する手法によって設定することができる。
コンデンサ16の端子間電圧V(t)は、下式(eq1)によって表すことができ、また、コンデンサ16の充電電流I(t)は、下式(eq2)によって表すことができる。
ここで、上式(eq1),(eq2)によれば、充電処理が開始されてからのコンデンサ16の端子間電圧V(t)及びコンデンサ16の充電電流I(t)の推移を把握することができる。このため、例えば、時定数「RC」に基づき第1の規定時間T1を設定(より具体的には、例えば、第1の規定時間T1を時定数「RC」に設定)することができる。また、例えば、上式(eq2)において、「I(t)=0」なる条件を課して算出された時間を第1の規定時間T1として設定することもできる。
続くステップS22では、上記ステップS18の処理においてオン操作されたスイッチング素子をオフ操作に切り替えることでコンデンサ16の充電処理を終了する。
続くステップS24では、コンデンサ16の放電処理を開始する。本実施形態では、電力供給先の電池セルを最低電圧セルCminのみとする。そして、放電処理は、電力供給先の最低電圧セルCminをCq(q=1,2,…,6)とすると、第qのp側スイッチング素子Spq及び第qのn側スイッチング素子Snqをオン操作する処理となる。ここで、例えば、最低電圧セルCminが電池セルC1となる場合の放電処理は、第1のp側スイッチング素子Sp1及び第1のn側スイッチング素子Sn1をオン操作する処理となる。これにより、コンデンサ16、第1の電気経路Lα、第1のp側スイッチング素子Sp1、電池セルC1、第1のn側スイッチング素子Sn1及び第2の電気経路Lβを備える閉回路が形成され、コンデンサ16に蓄えられた電気エネルギが放電されて電池セルC1が充電される。ちなみに、放電処理において、電力供給先の電池セルは、電力供給元の電池セルCdisのうち一部の電池セルと重複し得る。
続くステップS26では、上記ステップS24の放電処理が開始されてから第2の規定時間T2が経過するまで待機する。ここで、第2の規定時間T2は、コンデンサ16に蓄えられた電気エネルギによって最低電圧セルCminの充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、第2の規定時間T2は、先のステップS20の処理において説明した手法と同様の手法で設定することができる。ここでは、上式(eq1),(eq2)において、コンデンサ16の端子間電圧の初期値「V0」と、電池セルの端子間電圧「E」とを入れ替えることとなる。
続くステップS28では、上記ステップS24の処理でオン操作されたスイッチング素子をオフ操作に切り替えることで放電処理を終了する。ちなみに、本実施形態において、ステップS18〜S28の処理が「充放電操作手段」を構成する。
なお、上記ステップS14において否定判断された場合や、ステップS28の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
ちなみに、セル電圧均等化処理は、実際には、隣接する複数個の電池セルの直列接続体(スタック又はモジュールともいう)同士の端子間電圧のばらつきを低減させる処理と、これら直列接続体のそれぞれを構成する電池セル同士の端子間電圧のばらつきを低減させる処理とからなる。ここで、上記直列接続体同士の端子間電圧の均等化は、電池セル同士の端子間電圧の均等化と同じ手法によって行われることから、その詳細な説明を省略した。
続いて、上記直流電圧出力処理について説明する。
この処理は、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち少なくとも1個の電池セルを用い、外部負荷20に対してその要求電圧に応じた直流電圧を出力する処理である。本実施形態では、図3に示すように、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち第4のp側スイッチング素子Sp4、第1の電気経路Lα、第1のn側スイッチング素子Sn1及び第2の電気経路Lβを介してコンデンサ16と接続される4個の電池セルC1〜C4を選択対象とする。そして、選択対象の一端(第4の電池セルC4の正極端子)に接続された第4のp側スイッチング素子Sp4、及び選択対象の他端(第1の電池セルC1の負極端子)に接続された第1のn側スイッチング素子Sn1のオンオフ操作によって、これらスイッチング素子Sp4,Sn4のオンオフ操作1周期あたりに選択対象からコンデンサ16へと供給される電気エネルギを変更する処理を実行することで、コネクタ18から外部負荷20へと出力される直流電圧を可変とする。
特に、本実施形態では、上記電気エネルギを変更する処理として、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4の時比率Dutyを固定しつつ、これらスイッチング素子Sp4,Sn4のスイッチング周波数fsw(「開閉周波数」に相当)を可変設定することで、外部負荷20の要求電圧に応じた直流電圧をコネクタ18から出力させる。ここで、スイッチング周波数fswとは、図4に示すように、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4のオンオフ操作1周期Tswの逆数のことである。また、時比率Dutyとは、オンオフ操作1周期Tswに対するオン操作時間Tonの比率(又はその百分率)のことである。なお、本実施形態において、選択対象の数は、外部負荷20の要求電圧の取り得る範囲の最大値を超える直流電圧を出力可能な数に設定されている。
図5に、本実施形態にかかる直流電圧出力処理の手順を示す。この処理は、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、本実施形態において、図5に示す一連の処理が「可変手段」を構成する。
この一連の処理では、まずステップS30において、外部負荷20の要求電圧を取得する。
続くステップS32では、取得された要求電圧に基づき、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4のスイッチング周波数fswを可変設定する。詳しくは、要求電圧が高いほど、スイッチング周波数fswを低く設定する。この設定は、スイッチング周波数fswを低くするほど、選択対象からコンデンサ16へと供給されるオンオフ操作1周期Tswあたりの電気エネルギが増大し、コンデンサ16の端子間電圧の時間平均値(以下、平均電圧)が高くなることに基づくものである。より詳しくは、スイッチング周波数fswが低くなると、オンオフ操作1周期Tswにおけるスイッチング素子Sp4,Sn4のオン操作時間Tonが長くなることから、コンデンサ16の端子間電圧の変動が大きくなり、コンデンサ16の平均電圧が高くなる。
ここで、図6(a),(b)には、スイッチング周波数fswを「1kHz」,「2kHz」とした場合のコンデンサ16の端子間電圧の推移を示した。図示されるように、スイッチング周波数fswが低いほど、コンデンサ16の平均電圧が高くなっている。
先の図5の説明に戻り、続くステップS34では、上記ステップS32において設定されたスイッチング周波数fswに基づき、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4を同期させてオンオフ操作する。詳しくは、これらスイッチング素子Sp4,Sn4がオン操作される場合、選択対象からコンデンサ16及びコネクタ18を介して外部負荷20に電流が流れ、これらスイッチング素子Sp4,Sn4がオフ操作される場合、コンデンサ16から外部負荷20へと電流が流れる。
特に、本実施形態では、高電圧システム側と低電圧システム側とを絶縁すべく、図7に示すように、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4の組と、第1の遮断用スイッチング素子Q1及び第2の遮断用スイッチング素子Q2の組とを相補的にオンオフ操作する。これにより、選択対象によってコンデンサ16が充電される期間において、コンデンサ16及び外部負荷20の間が絶縁される。そして、コンデンサ16が充電された後に第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2がオン操作されることで、コンデンサ16から外部負荷20へと電流が流れることとなる。ちなみに、図7では、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4の組と、第1の遮断用スイッチング素子Q1及び第2の遮断用スイッチング素子Q2の組との間のデッドタイムの図示を省略している。
ちなみに、図7に示した第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2の操作処理が「絶縁操作手段」を構成する。
なお、ステップS34の処理が完了した場合、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)外部負荷20の要求電圧が高いほど、スイッチング周波数fswを低く設定する直流電圧出力処理を行った。本実施形態では、コンデンサ16、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniが先の図1に示したように接続されている。また、本実施形態では、コネクタ18から外部負荷20へと出力される直流電圧の変換に用いる「蓄電手段」として、容量性の受動素子であるコンデンサを用い、高周波スイッチングで使用される磁気部品を用いていない。これらのため、本実施形態では、上記特許文献1に記載された技術と比較して、上記直流電圧出力処理を行う場合において、所望の直流電圧を得るための電力変換装置におけるスイッチング周波数fswを低く設定することができる。これにより、電力変換装置におけるスイッチング損失を好適に低減させることができ、ひいては電力変換装置における電力変換効率を高めることができる。更に、スイッチングに伴うノイズを低減させることもできる。
(2)選択対象から第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4を介してコンデンサ16を充電する場合において、第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2をオフ操作した。また、コンデンサ16から外部負荷20へと電力を供給する場合において、第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2をオン操作した。このため、高電圧システム側と低電圧システム側との間を絶縁しつつ、外部負荷20の要求電圧に応じた直流電圧を出力させることができる。
さらに、第1,第2の遮断用スイッチング素子Q1,Q2を電力変換装置に備える構成によれば、セル電圧均等化処理と直流電圧出力処理との双方で用いるコンデンサを共通化することもできる。
(3)セル電圧均等化処理用のスイッチング素子Spi,Sni等を備える充放電回路を流用して直流電圧出力処理を行った。このため、外部負荷20の要求電圧に応じた直流電圧を出力するための部品数の増大を好適に回避することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、直流電圧出力処理手法を変更する。詳しくは、選択対象の数及びスイッチング周波数fswを固定しつつ、外部負荷20の要求電圧が高いほど、時比率Dutyを高く設定する。
図8に、本実施形態にかかる直流電圧出力処理の手順を示す。この処理は、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図8において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与している。
この一連の処理では、ステップS30の処理の完了後、ステップS36において、取得された要求電圧が高いほど、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4の時比率Dutyを高く設定する。この設定は、時比率Dutyを高くするほど、コンデンサ16の平均電圧が高くなることに基づくものである。
続くステップS38では、上記ステップS36において設定された時比率Dutyに基づき、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4を同期させてオンオフ操作する。
なお、ステップS38の処理が完了した場合、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態において、スイッチング周波数fswが比較的低い周波数に固定されるなら、スイッチング損失をより好適に低減させることができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、電流センサ22によって検出された負荷電流が大きいほど、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4のオンオフ操作1周期Tswあたりに選択対象からコンデンサ16へと供給される電気エネルギを増大する処理を更に行う。特に、本実施形態では、この処理として、負荷電流が大きいほど、スイッチング周波数fswを低く設定する処理を行う。
図9に、本実施形態にかかる直流電圧出力処理の手順を示す。この処理は、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図9において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与している。
この一連の処理では、まずステップS40において、外部負荷20の要求電圧に加えて、電流センサ22によって検出された負荷電流を取得する。
ステップS40の処理の完了後、ステップS32を経由してステップS42に進む。ステップS42では、負荷電流が大きいほど、スイッチング周波数fswの補正量Δfを大きく設定する。この処理は、負荷電流が大きいほど、選択対象からコンデンサ16までの電気経路における電圧降下量が大きくなることに鑑み、要求電圧に対して実際の直流出力電圧が不足することを回避するための処理である。
続くステップS44では、上記ステップS32において設定されたスイッチング周波数fswから上記補正量Δfを減算した値に基づき、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4を同期させてオンオフ操作する。
なお、ステップS44の処理が完了した場合、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(4)負荷電流が大きいほど、スイッチング周波数fswを低く設定する処理を行った。このため、選択対象からコンデンサ16までの電気経路における電圧降下に起因して、外部負荷20の要求電圧に対して直流出力電圧が不足することを回避できる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、直流電圧出力処理手法を変更する。詳しくは、選択対象の数を固定しつつ、外部負荷20の要求電圧に応じてスイッチング周波数fsw及び時比率Dutyを可変設定する。
図10に、本実施形態にかかる直流電圧出力処理の手順を示す。この処理は、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図10において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与している。
この一連の処理では、ステップS30の処理の完了後、ステップS46に進み、取得された要求電圧に基づき、スイッチング周波数fsw及び時比率Dutyを可変設定する。以下、図11を用いて、本実施形態にかかるスイッチング周波数fsw等の設定手法について説明する。
図11に、スイッチング周波数fswがその上限値fth(例えば2kHz)及び下限値flの間となってかつ、複数の前記時比率(図中、20%,50%,80%として例示)のそれぞれについて要求電圧が高いほどスイッチング周波数fswが低くなるように、要求電圧及び時比率Dutyと関係付けられてスイッチング周波数fswが規定された規定線を示す。本実施形態において、規定線は、制御回路12の備える図示しない不揮発性メモリ(「記憶手段」に相当)に記憶されている。そして、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4のオンオフ操作に用いる時比率Duty及びスイッチング周波数fswを、ステップS30において取得された要求電圧と規定線との交点に対応する時比率Duty及びスイッチング周波数fswに設定する。ここで、図中、要求電圧が「Vα」となる場合におけるスイッチング周波数fswを「fα」にて例示した。
先の図10の説明に戻り、続くステップS48では、上記ステップS46において設定されたスイッチング周波数fsw及び時比率Dutyに基づき、第4のp側スイッチング素子Sp4及び第4のn側スイッチング素子Sn4を同期させてオンオフ操作する。
なお、ステップS48の処理が完了した場合、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(5)選択対象の数を固定しつつ、外部負荷20の要求電圧に応じてスイッチング周波数fsw及び時比率Dutyを可変設定した。このため、要求電圧に応じた直流電圧を出力する場合におけるスイッチング周波数fswを極力低く設定することができる。これにより、電力変換装置におけるスイッチング損失及びスイッチングに伴うノイズをいっそう好適に低減させることができる。更に、スイッチング周波数fswを低く設定できることから、スイッチングに伴い生じるサージ電圧や損失の低減などができ、駆動回路DUiにかかる負荷を低減させることもできる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、直流電圧出力処理手法を変更する。詳しくは、p側スイッチング素子及びn側スイッチング素子の操作によって選択対象の数を変更する処理を実行することで、コンデンサ16を介して外部負荷20へと出力される直流電圧を可変とする。
図12に、本実施形態にかかる直流電圧出力処理の手順を示す。この処理は、制御回路12によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図12において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与している。
この一連の処理では、ステップS30の処理の完了後、ステップS50に進み、取得された要求電圧が高いほど、選択対象の数を多く設定する。具体的には、図13に示すように、要求電圧が高いほど、選択対象の数「N」を段階的に多く設定する。ここで、本実施形態では、選択対象に、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち最も低電位側の電池セルC1を必ず含むこととした。なお、図中、「Vs」は、1個の電池セルの端子間電圧(例えば3V)を示している。
先の図12の説明に戻り、ステップS50の処理の完了後、ステップS32、S34に移行する。すなわち、要求電圧に応じた選択対象の数が決定された上でスイッチング周波数fswが可変設定される。
なお、ステップS34の処理が完了した場合、この一連の処理を一旦終了する。
図14(a),(b)に、選択対象の数を「4個」,「5個」とした場合のコンデンサ16の端子間電圧の推移を示す。図示されるように、要求電圧が高いほど選択対象の数を多く設定することで、同一の平均電圧を実現するためのスイッチング周波数fswを低くすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(6)外部負荷20の要求電圧が高いほど、選択対象の数を多く設定した。スイッチング周波数fswを高くすると、コンデンサ16の平均電圧を低くすることができるものの、スイッチング損失やスイッチングに伴うノイズが増大する。ここで、本実施形態によれば、要求電圧に応じた選択対象の数が決定された上で、スイッチング周波数fswの調整によりコンデンサ16の平均電圧を調整することができる。このため、スイッチング周波数fswを高くすることなく要求電圧に応じた直流電圧を出力することができ、スイッチング損失等の低減効果を大きくすることができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、選択対象となる4つの電池セルのうち1個を規定期間(例えば1秒)毎に入れ替えるように、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniを操作する処理を制御回路12によって行う。具体的には、図15に示すように、選択対象の数を4個に固定しつつ、選択対象となる4つの電池セルを規定期間毎に電池セル1個分だけ高電位側にシフトさせることで選択対象を入れ替える。本実施形態では、このように選択対象を入れ替えるため、選択対象の設定として3つのモードが存在する。なお、選択対象となる4つの電池セルのうち最も高電位側の電池セルが、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち最も高電位側の電池セルC6と一致する場合、上記複数の電池セルC1〜C6のうち最も低電位側の電池セルC1を含むように次回の選択対象を設定する。また、図15には、上記3つのモードに対応して操作されるp側スイッチング素子及びn側スイッチング素子も併せて示した。さらに、本実施形態において、図15に示した態様で制御回路12によって選択対象が入れ替えられる処理が「入替操作手段」を構成する。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(7)選択対象の入れ替え処理を行った。このため、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち一部が偏って使用されることを極力回避することができる。また、選択対象となる電池セル、並びにこれに接続されたp側スイッチング素子及びn側スイッチング素子等のデバイスの放熱時間を確保することができ、ひいては電力変換装置の信頼性の低下を好適に回避することもできる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第7の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniのゲートに接続されたゲート抵抗の抵抗値を可変設定することで、時比率Dutyを可変設定する。なお、本実施形態では、第iのp側スイッチング素子Spiを例にして説明するが、第iのn側スイッチング素子Sniについても同様である。
図16に、第iのp側スイッチング素子Spi及びこれに対応する第iの駆動回路DUiを示す。なお、図16において、先の図1に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、第iの駆動回路DUiは、p側スイッチング素子Spiをオンオフ操作するためのブートストラップ回路を備えて構成されている。詳しくは、第iの駆動回路DUiは、電源30、ダイオード32、第iのp側スイッチング素子Spiのゲートに対する電力供給源となるフローティング電源用コンデンサ34、NチャネルMOSFET(充電用スイッチング素子36)及びドライバ38を備えている。より詳しくは、電源30及び接地部位の間には、ダイオード32、フローティング電源用コンデンサ34及び充電用スイッチング素子36の直列接続体が接続されている。また、フローティング電源用コンデンサ34及びダイオード32のカソードの接続点と接地部位との間には、フローティング電源用コンデンサ34を電源とするドライバ38が接続されている。ドライバ38の出力端子には、ゲート抵抗40を介して第iのp側スイッチング素子Spiのゲートが接続されている。そして、第iのp側スイッチング素子Spiのゲート及びゲート抵抗40の間には、抵抗体42を介して接地部位が接続されている。本実施形態では、ゲート抵抗40として、制御回路12の電子操作によって抵抗値が可変設定可能なものを用いている。
制御回路12は、充電用スイッチング素子36のゲートに対して充電側入力信号LINを出力し、また、ドライバ38に対して駆動側入力信号HINを出力する。詳しくは、充電側入力信号LINが論理「H」とされることで、充電用スイッチング素子36がオン操作され、電源30からダイオード32及びフローティング電源用コンデンサ34を介して充電用スイッチング素子36に電流が流れ、フローティング電源用コンデンサ34が充電される。一方、充電側入力信号LINが論理「L」とされてかつ、駆動側入力信号HINが論理「H」とされることで、ドライバ38からフローティング電源用コンデンサ34の充電電圧が出力される。これにより、第iのp側スイッチング素子Spiのゲート電圧を上昇させることができ、第iのp側スイッチング素子Spiをオン状態とすることができる。
続いて、本実施形態にかかる時比率Dutyの可変設定手法について説明する。
図17に示すように、本実施形態では、ゲート抵抗40の抵抗値Rvを低く設定することで、時比率Dutyを高く設定する。これは、ゲート抵抗40の抵抗値Rvが低いほど、第iのp側スイッチング素子Spiのゲート電圧の上昇速度が高くなり、駆動側入力信号HINの論理が「H」に切り替えられてから、第iのp側スイッチング素子Spiがオン状態とされるまでの時間が短くなることに基づく設定である。
以上説明した本実施形態によっても、上記第2の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第5の実施形態では、組電池10を構成する複数の電池セルC1〜C6のうち最も低電位側の第1の電池セルC1を選択対象に必ず含むようにしたがこれに限らず、選択対象に第1の電池セルC1を含まない場合があってもよい。
・上記第5の実施形態において、電流センサ22によって検出された負荷電流が大きいほど、選択対象の数を多く設定する処理を更に実行してもよい。
・負荷電流が大きいほど、オンオフ操作1周期Tswあたりに選択対象からコンデンサ16へと供給される電気エネルギを増大する処理手法としては、上記第3の実施形態に例示したものに限らない。例えば、上記第2の実施形態において、負荷電流が大きいほど、時比率Dutyを高くする処理を更に行ってもよい。
・上記各実施形態において、電流センサ22によって検出された負荷電流が規定電流以下であると制御回路12によって判断されたことを条件として、直流電圧出力処理の実行を許可してもよい。これは、負荷電流が低い場合(例えば、負荷電流が50A以下となる場合)においては、直流電圧出力処理を用いることで電力変換装置における電力変換効率を高く維持できる一方、負荷電流が大きい場合には、選択対象からコンデンサ16までの電気経路における電圧降下量が大きいことから電力変換効率が低下し得ることに基づくものである。なお、負荷電流が大きい場合には、例えば、組電池10に接続された図示しないDCDCコンバータを用いて外部負荷20に所望の直流電圧を出力すればよい。
・電流センサ22の配置位置としては、コンデンサ16及びコネクタ18の間を接続する電気経路に限らない。例えば、第1の電気経路Lαのうち第6のp側スイッチング素子Sp6との接続点及びコンデンサ16との接続点との間や、第2の電気経路Lβのうち第6のn側スイッチング素子Sn6との接続点及びコンデンサ16との接続点との間であってもよい。ただし、この場合、上記第3の実施形態において、電流センサ22によって電流検出が可能な期間は、第iのp側スイッチング素子Spi及び第iのn側スイッチング素子Sniがオン操作されてコンデンサ16が充電される期間に限られる。
・ゲート抵抗の抵抗値の可変設定手法としては、上記第7の実施形態に例示したものに限らない。例えば、p側スイッチング素子Spiのゲート及びドライバ38の出力端子の間に、抵抗体及びスイッチング素子の直列接続体が複数並列接続されたものを接続する。そして、これらスイッチング素子のうちオン操作されるものを多くすることで、ゲート抵抗の抵抗値を低く設定してもよい。
・「可変手段」としては、上記各実施形態に例示したものに限らず、選択対象の数を変更する処理、スイッチング周波数fswを変更する処理、及び時比率Dutyを変更する処理のうち少なくとも1つ以上を含む(上記各実施形態に例示したものを除く)ものであってもよい。具体的には、例えば、上記第5の実施形態において、選択対象の数を変更する処理のみを実行してもよい。また例えば、選択対象の数を変更する処理、及び時比率Dutyを変更する処理のみを実行してもよい。さらに例えば、上記第4の実施形態において、スイッチング周波数fswを変更する処理及び時比率Dutyを変更する処理に加えて、選択対象の数を変更する処理を実行してもよい。
・「入替手段」としては、上記第6の実施形態に例示したものに限らない。例えば、選択対象の数を固定しつつ、選択対象となる電池セルを規定期間毎に低電位側に電池セル1個分だけシフトさせることで選択対象を入れ替えてもよい。また、規定期間毎に入れ替える選択対象の数としては、1個に限らず、複数個であってもよい。さらに、組電池10を構成する複数の電池セルの数が選択対象の数で割り切れることを条件として、上記複数の電池セルの数を選択対象の数で除算した値で上記複数の電池セルを分割し、分割された複数の電池セルのそれぞれを選択対象に順次に割り当てることで、選択対象を入れ替えてもよい。
・「単位電池選択手段」としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、電力供給元の単位電池として、複数の単位電池の平均電圧よりも高い単位電池を選択してかつ、電力供給先の単位電池として、上記単位電池の平均電圧よりも低い単位電池を選択してもよい。
また、「単位電池選択手段」によって選択される電力供給元及び電力供給先のそれぞれの数を、固定せずに可変設定してもよい。具体的には例えば、充電処理及び放電処理の一対の処理の一周期における電力供給先の単位電池への充電電流を大きくしたいほど、電力供給元の単位電池の数と電力供給先の単位電池の数の差の絶対値が大きくなるように、これら単位電池の数を可変設定すればよい。
・「単位電池選択手段」によって選択される電力供給元の単位電池の数としては、2個に限らず、それ以外であってもよい。また、電力供給先の単位電池の数としては、1個に限らず複数個であってもよい。さらに、電力供給先の単位電池の数を電力供給元の単位電池の数よりも多くしてもよい。
・「充放電操作手段」によって電力供給元の単位電池から電力供給先の単位電池に充電する目的としては、組電池を構成する単位電池同士の端子間電圧の均等化に限らない。例えば、組電池の温度が低い場合、単位電池同士で充放電処理を繰り返すことで組電池の温度を上昇させる目的であってもよい。この場合、充放電電流が大きいほど、電池セルの内部抵抗による発熱量が大きくなって温度上昇速度が高くなる。このため、組電池の温度が低いほど、電力供給元の電池セルの数を多くしたり、電力供給先の電池セルの数を少なくしたりしてもよい。
・「第1の開閉手段」としては、組電池を構成する複数の単位電池のそれぞれの正極端子全てに接続されるものに限らず、例えば、これら正極端子のうち複数であってかつ一部のそれぞれに接続されるものであってもよい。また、「第2の開閉手段」についても同様に、組電池を構成する複数の単位電池のそれぞれの負極端子のうち複数であってかつ一部のそれぞれに接続されるものであってもよい。なお、こうした開閉手段(具体的には、単位電池の正極端子及びコンデンサ16の一端を接続する電気経路に設けられた1又は複数のスイッチング素子、並びに単位電池の負極端子及びコンデンサ16の他端を接続する電気経路に設けられた1又は複数のスイッチング素子)としては、例えば、特願2012−231554の図2等に示されているものがある。
・上記第1〜第3の実施形態において、第4のn側スイッチング素子Sn4をオン操作固定しつつ、スイッチング周波数fswや時比率Dutyに基づき第4のp側スイッチング素子Sp4のみオンオフ操作してもよい。
・上記第1〜第4の実施形態において、「選択対象」の数としては4個に限らず、それ以外(例えば6個)であってもよい。なお、選択対象の数を多くする目的としては、例えば、外部負荷20の負荷電流がその最大値となる場合であっても、外部負荷20の要求電圧の取り得る範囲の最大値を超える直流電圧(例えば14V以上の電圧)を出力可能とすることが挙げられる。
・「蓄電手段」としては、コンデンサに限らず、これと同様な機能を有するものであれば、他の手段であってもよい。
・「単位電池」としては、1個の電池セルに限らず、複数個の電池セルの直列接続体であってもよい。この場合、複数の単位電池のそれぞれを構成する電池セルの数は、互いに同一であることを要しない。また、「単位電池」としては、複数の電池セルの直列接続体に限らず、複数の電池セルの直列接続体が複数並列接続されたものであってもよい。
・「電池セル」としては、リチウムイオン2次電池に限らず、例えばニッケル水素2次電池であってもよい。また、「電池セル」としては、2次電池に限らず、例えば燃料電池であってもよい。
・「電力変換装置」としては、車両に搭載されるものに限らず、例えば建物に設置されるものであってもよい。
10…組電池、16…コンデンサ、20…外部負荷、Ci(i=1〜6)…第iの電池セル、Spi…第iのp側スイッチング素子、Sni…第iのn側スイッチング素子。
Claims (13)
- 1個の電池セル又は隣接する複数個の電池セルの直列接続体を備える単位電池(Ci:i=1〜6)を複数直列接続してなる組電池(10)に適用され、
外部負荷(20)と接続可能であってかつ電気エネルギを蓄積可能な蓄電手段(16)と、
前記単位電池の正極端子と前記蓄電手段の一端とを接続する電気経路に設けられてかつ該電気経路を開閉する第1の開閉手段(Spi)と、
前記単位電池の負極端子と前記蓄電手段の他端とを接続する電気経路に設けられてかつ該電気経路を開閉する第2の開閉手段(Sni)と、
を備え、
前記組電池を構成する複数の前記単位電池のうち、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記蓄電手段と接続される単位電池を選択対象と定義し、
前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段の操作によって前記選択対象の数を変更する処理、並びに前記選択対象の一端に接続された前記第1の開閉手段の開閉操作によって該第1の開閉手段の開閉操作1周期あたりに前記選択対象から前記蓄電手段へと供給される電気エネルギを変更する処理のうち少なくとも一方を実行することで、前記蓄電手段を介して前記外部負荷へと出力される直流電圧を可変とする可変手段と、
を備えることを特徴とする電力変換装置。 - 前記可変手段は、少なくとも前記選択対象の数を変更する処理を実行し、
前記選択対象を変更する処理とは、前記外部負荷の要求電圧が高いほど、前記選択対象の数を多く設定する処理であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。 - 前記蓄電手段に流れる電流を検出する電流検出手段(22)を更に備え、
前記可変手段は、前記電流検出手段によって検出された電流が大きいほど、前記選択対象の数を多く設定する処理を更に実行することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。 - 前記可変手段は、少なくとも前記電気エネルギを変更する処理を実行し、
前記電気エネルギを変更する処理には、前記外部負荷の要求電圧が高いほど、前記第1の開閉手段の開閉周波数を低く設定する処理が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記可変手段は、少なくとも前記電気エネルギを変更する処理を実行し、
前記電気エネルギを変更する処理には、前記外部負荷の要求電圧が高いほど、前記第1の開閉手段の開閉操作1周期に対する閉操作時間の比率である時比率を高く設定する処理が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記第1の開閉手段の開閉制御端子に対する電力供給源となる電源(34)と、
前記開閉制御端子及び前記電源の間に接続されてかつ抵抗値を可変設定可能な抵抗体(40)と、
を更に備え、
前記可変手段は、前記抵抗体の抵抗値を低く設定することで前記時比率を高く設定することを特徴とする請求項5記載の電力変換装置。 - 前記可変手段は、少なくとも前記電気エネルギを変更する処理を実行し、
前記電気エネルギを変更する処理には、前記外部負荷の要求電圧が高いほど、前記第1の開閉手段の開閉操作1周期に対する閉操作時間の比率である時比率を高く設定する処理と、前記外部負荷の要求電圧が高いほど、前記第1の開閉手段の開閉周波数を低く設定する処理とが含まれ、
前記可変手段は、
前記開閉周波数がその上限値及び下限値の間となってかつ、複数の前記時比率のそれぞれについて前記要求電圧が高いほど前記開閉周波数が低くなるように、前記要求電圧及び前記時比率と関係づけられて前記開閉周波数が規定された規定線を記憶する記憶手段を備え、
前記要求電圧と前記規定線との交点に対応する前記時比率及び前記開閉周波数で前記第1の開閉手段を開閉操作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記蓄電手段に流れる電流を検出する電流検出手段(22)を更に備え、
前記可変手段は、前記電流検出手段によって検出された電流が大きいほど、前記電気エネルギを増大する処理を更に実行することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記選択対象となる単位電池のうち少なくとも1個を規定期間毎に入れ替えるように、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を操作する入替操作手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記蓄電手段及び前記外部負荷の間を電気的に接続又は遮断すべく開閉操作される遮断用開閉手段(Q1,Q2)と、
前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段が閉操作される場合に前記遮断用開閉手段を開操作し、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段が開操作される場合に前記遮断用開閉手段を閉操作する絶縁操作手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記組電池を構成する複数の前記単位電池の中から、電力供給元の単位電池と、電力供給先の単位電池とを選択する単位電池選択手段と、
前記単位電池選択手段によって選択された前記電力供給元の単位電池から前記蓄電手段を介して前記電力供給先に充電すべく、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を開閉操作する充放電操作手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項10記載の電力変換装置。 - 前記充放電操作手段は、前記電力供給元の単位電池から前記蓄電手段を介して前記電力供給先に充電することで、前記組電池を構成する複数の前記単位電池同士の端子間電圧を均等化することを特徴とする請求項11記載の電力変換装置。
- 前記第1の開閉手段は、前記組電池を構成する複数の前記単位電池のそれぞれの正極端子と前記蓄電手段の一端とを接続する電気経路に設けられ、
前記第2の開閉手段は、前記組電池を構成する複数の前記単位電池のそれぞれの負極端子と前記蓄電手段の他端とを接続する電気経路に設けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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