JP2014180969A - ハイブリッド車両制御装置およびハイブリッド車両制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ガソリンエンジン用の燃料噴射ユニットをそのまま用いて、ガソリンエンジン車両をハイブリッド車両に変更する。
【解決手段】
HV用ECU70は、アクセル位置センサ10からのアクセル位置信号(AP信号)を入力する入力部と、疑似アクセル位置信号(疑似AP信号)を出力する疑似アクセル位置出力部と、処理ユニットとを備える。HV用ECU70の処理ユニットは、アクセル位置に基づいて疑似AP信号を生成し、疑似AP信号をFIユニット20が専用に備えるアクセル位置入力部へ出力する。
これにより、燃料車両用のFIユニット20をそのまま用いてハイブリッド車両に変更できる。
【選択図】図1
ガソリンエンジン用の燃料噴射ユニットをそのまま用いて、ガソリンエンジン車両をハイブリッド車両に変更する。
【解決手段】
HV用ECU70は、アクセル位置センサ10からのアクセル位置信号(AP信号)を入力する入力部と、疑似アクセル位置信号(疑似AP信号)を出力する疑似アクセル位置出力部と、処理ユニットとを備える。HV用ECU70の処理ユニットは、アクセル位置に基づいて疑似AP信号を生成し、疑似AP信号をFIユニット20が専用に備えるアクセル位置入力部へ出力する。
これにより、燃料車両用のFIユニット20をそのまま用いてハイブリッド車両に変更できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両制御装置およびハイブリッド車両制御方法に関し、特に、シリーズハイブリッド方式のハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両制御装置およびハイブリッド車両制御方法に関する。
ガソリンエンジンと電気モータを動力源とするハイブリッド車両が普及している。ハイブリッド車両にはエンジンとモータの使い方によって数種類の方式があり、その一種としてシリーズハイブリッド方式がある。シリーズハイブリッド方式とは、エンジンで発電機を駆動し、発生した電力を大容量バッテリに一旦蓄え、その電力でモータを駆動し、走行する仕組みである。
シリーズハイブリッド方式は、エンジン選定の自由度が最も高いシステムであり、通常のガソリンエンジン車からの移行が他のハイブリッド方式に比べて容易である。
従来、ハイブリッド車両を制御する装置として、走行速度を所定速度以下で維持する構成(特許文献1参照)や、前輪を駆動するモータと後輪を駆動するモータを配置し、スリップした場合に車輪のトルクを制限する構成が知られている(特許文献2参照)。
しかし、最初からシリーズハイブリッド方式の車両(以下、「シリーズハイブリッド車両」と呼ぶ)を製造する場合ではなく、ガソリンエンジン車両からシリーズハイブリッド車両へ変更しようとする場合、モータ等の他に、シリーズハイブリッド方式用の制御ユニットを追加するだけでは足りず、ガソリンエンジン用の燃料噴射ユニットをシリーズハイブリッド方式用の燃料噴射ユニットに変更しなければならないなど、大がかりな変更となってしまうという課題があった。
上記背景より、ガソリンエンジン車両をハイブリッド車両に容易に変更できる構成が望まれる。
本発明は、燃料制御手段とモータ駆動力手段とを備えるハイブリッド車両を制御する、ハイブリッド車両制御装置であって、アクセル位置を入力する第1アクセル位置入力部と、疑似アクセル位置信号を出力する疑似アクセル位置出力部と、処理ユニットと、を備える。当該処理ユニットは、アクセル位置に基づいて疑似アクセル位置信号を生成し、疑似アクセル位置信号を、燃料制御手段が入力部として専用に備える第2アクセル位置入力部へ出力するよう構成されている。
本発明の一の態様によると、モータ駆動力手段はバッテリであり、バッテリの電圧を入力する入力部をさらに備える。処理ユニットは、バッテリ電圧に基づいて疑似アクセル位置信号を生成する。
本発明の他の態様によると、処理ユニットは、燃料制御手段が燃料を供給するエンジンのエネルギー効率に基づいて疑似アクセル位置信号を生成する。
本発明の他の態様によると、処理ユニットは、燃料制御手段が燃料を供給するエンジンのBSFC情報に基づいて疑似アクセル位置信号を生成する。
本発明の他の態様によると、処理ユニットは、バッテリ電圧の低下速度に基づいて疑似アクセル位置信号を生成する。
本発明の他の態様によると、処理ユニットは、燃料制御手段が燃料を供給するエンジンの負荷に基づいて疑似アクセル位置信号を生成する。
また本発明は、ハイブリッド車両制御方法であって、アクセル位置を入力し、アクセル位置に基づいて疑似アクセル位置信号を生成し、燃料制御手段が入力部として専用に備えるアクセル位置入力部へ疑似アクセル位置信号を出力する。
ガソリンエンジン車両用の燃料制御手段をハイブリッド車両用の燃料制御手段に交換せずに、ガソリンエンジン車両をハイブリッド車両へ変更できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
以下に示す各実施形態に係るハイブリッド車両制御装置を用いれば、ガソリンエンジン車両用の燃料噴射ユニットをそのまま使用して、ガソリンエンジン車両をハイブリッド車両に変更できる。
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置を用いた車両の制御全体システムの構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置を用いた車両の制御全体システムの構成を示すブロック図である。
制御全体システム1は、アクセル位置センサ10と、燃料噴射ユニット(以下、「FIユニット(Fuel Injection Unit)」と呼ぶ)20と、エンジン30と、発電機40と、バッテリ50と、モータ60と、HV(Hybrid Vehicle)用ECU(Electronic Control Unit)70と、を備える。
FIユニット20と、エンジン30と、発電機40と、バッテリ50と、モータ60と、には、図示しないがCAN(Controller Area Network)インターフェースを備えたECUを有しており、HV用ECU70と必要な情報を通信できるように構成されている。
アクセル位置センサ10は、アクセルペダルの開度(以下、「アクセル開度」)を検出するセンサである。アクセル位置センサ10は、アクセル開度をアクセル位置信号(以下、「AP信号」)にして出力する。運転者は、アクセル開度により、エンジンの回転の調整と車速の調整をする。
FIユニット20は、燃料制御手段であり、液体の燃料を吸入空気に霧状に噴射する装置である。コンピュータにより噴射量を細かに制御しており、空気と燃料の混合割合を理論空燃比に近づけることや、運転状況に応じた空燃比の制御が可能となっている。
FIユニット20は、専用のアクセル位置入力(以下、「AP入力」)端子を備える。通常のエンジンシステムは、アクセル位置センサ10が直接FIユニット20に接続されており、いわゆるDBW(drive-by-wire)方式により、運転者がアクセルペダルを踏み込むとFIユニット20はAP信号を感知し、スロットル(throttle)を開き、エンジン回転数を制御する。
FIユニット20は、AP信号に変えて、後述する疑似アクセル位置信号(以下、「疑似AP信号」)を入力する。
また、FIユニット20はハイブリッド車両用のFIユニットではなく、通常のガソリンエンジン車両用のFIユニットをそのまま使用する。そのために次のような利点がある。
FIユニット20は、各地域の法規に適合するための機能が組み入れられている。たとえば、排気ガス関連部品の故障を検知することを求める法規が施行されている地域では、その法規に適合するための故障診断システム(On Board Diagnosis System)がFIユニット20に備えられている。また、販売する仕向地別に制御方法を変えている場合もあり、仕向地別によって専用のFIユニット20が装着されている。ガソリンエンジン車両用のFIユニットをそのまま使用できれば、仕向地別にハイブリッド車両専用のFIユニットを装着する必要がない。
エンジン(engine)30は、FIユニット20からの揮発性の高い液体を、燃焼室内に空気と適当な混合比になるように吸入、圧縮、電気火花で着火して運動エネルギーを作り出す装置である。シリーズハイブリッド車の場合、エンジン30は直接車両を走行駆動せず、発電機40を介してバッテリ50に充電する役割を果たす。
発電機40は、エンジン30が作り出した運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。発電機40はバッテリ50に接続され、バッテリ50の残容量を増加させる。
バッテリ(battery)50は、電気エネルギーを蓄える装置である。シリーズハイブリッド車両の場合、バッテリ50がモータ機動力手段となり、モータ60を回転させる。そのためにガソリンエンジン車両のバッテリよりも高電圧なバッテリ仕様となっている。
モータ(motor)60は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換する。変換された運動エネルギーは車両の駆動軸を動かす。
HV用ECU70は、ハイブリッド車両制御装置であり、モータ60やエンジン30の回転などを制御して、シリーズハイブリッド車両を統合制御する電子制御装置である。
HV用ECU70は、アクセル位置センサ10からAP信号を入力する。また、HV用ECU70は、CANインターフェースによってFIユニット20と、エンジン30と、発電機40と、バッテリ50と、モータ60と、接続されている。
HV用ECU70は、FIユニット20へ疑似AP信号を出力する。FIユニット20では、本来AP信号を入力するAP入力端子に、疑似AP信号が接続される。すなわち、FIユニット20は、AP信号の代わりに疑似AP信号により制御がされる。
次に、HV用ECU70について詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置の構成を示すブロック図である。
ハイブリッド車両制御装置であるHV用ECU70は、A/Dコンバータ110と、D/Aコンバータ120と、処理ユニット130と、CANインターフェース部150と、を備える。
A/Dコンバータ110は、入力信号の電圧レベルをデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ110は、アクセル位置センサ10からのAP信号を入力する。
D/Aコンバータ120は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。D/Aコンバータ120は、疑似AP信号を、FIユニット20が備える専用のAP入力へ出力する。
処理ユニット130は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等のメモリ140を有するコンピュータであり、疑似アクセル位置生成部132と、モータ制御部134と、スタータ制御部136と、統括制御部138と、を備える。処理ユニット130が備える上記各部は、コンピュータである処理ユニット130がプログラムを実行することにより実現され、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
なお、処理ユニット130が備える上記各部は、プログラムの実行により実現されるほか、それぞれ一つ以上の電気部品を含む専用のハードウェアとして構成することもできる。
CANインターフェース部150は、FIユニット20と、エンジン30と、発電機40と、バッテリ50と、モータ60と、を処理ユニット130と接続する、CANインターフェースの入出力部である。
処理ユニット130は、CANインターフェース部150を入力部として、FIユニット20からBSFC(Brake Specific Fuel Consumption)情報を入力する。BSFC情報とは、実用的な燃料消費率の情報であり、1PSあるいは1kWの出力を1時間出し続けるのに消費した燃料の重量で表される。
また処理ユニット130は、CANインターフェース部150を入力部として、バッテリ50から残容量など、バッテリ50の状態に関する情報を入力する。
また処理ユニット130は、CANインターフェース部150を出力部として、エンジン30のスタータモータを始動させるスタータ制御信号をFIユニット20へ出力する。
さらに処理ユニット130は、CANインターフェース部150を介して、CANで接続されている各ユニットからハイブリッド車両制御に必要な種々の情報の入力と出力を行う。
処理ユニット130の疑似アクセル位置生成部132は、FIユニット20に送る疑似AP信号を生成する。疑似AP信号は、AP信号、バッテリ残容量、BSFC情報、モータ状態、エンジン負荷、モータ負荷などに基づいて総合的に生成される。
シリーズハイブリッド車は、モータ60だけで駆動して車両を走行させるので、バッテリ50の残容量レベルが高いときはエンジン30を回転させる必要がない。しかしバッテリ50の残容量が低下して、なおAP信号がアクセルペダルを踏み込んだレベルを示すと、バッテリ50を充電するためにエンジン30を回転させる必要がある。エンジン30の回転量は、運転者の加速意思の程度を示すAP信号、バッテリ50の残容量の他に、バッテリ50の残容量の低下するスピードや、モータ60が高車速状態で動作しているか、モータ60の負荷、エンジン30の負荷、によっても変えられる。
また、シリーズハイブリッド車は、エンジン30のエネルギー効率が一番良いところでエンジンを回転させることが理想である。エンジン30のエネルギー効率には種々の表現方法または情報があるが、本実施形態ではBSFC情報を用いる。一般に、スロットル開度を上げているときがエネルギー効率はよい。理想的なスロットル開度は回転数に基づいて変換できる。回転数とスロットル開度あるいは回転数とトルクによるマップから求められたBSFC情報を用いて、BSFC情報が高レベルとなるようにエンジン30を制御することで理想的なエネルギー効率でシリーズハイブリッド車を制御できる。
疑似アクセル位置生成部132は、上述したことを考慮した処理で疑似AP信号を生成する。
モータ制御部134は、モータ60を制御し、車両の速度を制御する。AP信号などにより運転者の加速、減速などの意思を車速に反映させる。
スタータ制御部136は、バッテリ50の残容量が低下するなど、バッテリ50に充電が必要となった場合に、エンジン30の始動を制御する。
統括制御部138は、疑似アクセル位置生成部132、モータ制御部134、スタータ制御部136を統括して制御する。
[制御動作]
次に、ハイブリッド車両制御装置の制御動作について図3および図4を参照して説明する。
次に、ハイブリッド車両制御装置の制御動作について図3および図4を参照して説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置の状態遷移例を示す図である。図3で、停止状態(S110)、加速状態(S120)、高車速状態(S130)、スタータ始動状態(S140)、BSFC処理状態(S150)、エンジン停止制御状態(S160)、減速状態(S170)、停止状態(S180)、の順に状態が移行する場合を例に説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置の状態遷移例に基づく制御のタイミング図である。図3で示す各状態は、図4で矢印tの方向に示す時間の経過に従って移行する。
まず、図4に示す各要素を説明する。
AP信号は、運転者がアクセルペダルを踏む量で変化する。低レベルでアクセルペダルが踏まれない状態を示し、高レベルでアクセルペダルが最大に踏まれた状態を示す。
バッテリ電圧はバッテリ50の残容量に基づく電圧を示す。この電圧はHV用ECU70のA/Dコンバータ110に入力される。低レベルで充電が必要となるレベルを示す。
モータの状態は、低レベルでモータ60の停止、高レベルでモータ60の高回転すなわち高車速を示す。
スタータ制御信号は、エンジン30を始動させるためのスタータ始動信号を示す。低レベルでスタータを始動させず、高レベルでスタータを始動させる。スタータ制御信号はFIユニット20へ送られる。
BSFC情報は、上述したように回転数とスロットル開度の関係から求められたBSFC情報を示す。FIユニット20からCANインターフェースを介して入力される。低レベルでBSFCが低い状態、高レベルでBSFCが高い状態を示す。
疑似AP信号は、FIユニット20へ送る疑似AP信号を示す。低レベルで開度が最低、高レベルで開度が最大を示す。
スロットル開度は、FIユニット20内のスロットルの開度を示す。低レベルで閉じた状態、高レベルで最大開度を示す。
スタータ作動信号は、スタータ制御信号を受けて、FIユニット20からエンジン30へ送られる。低レベルでスタータを作動させず、高レベルでスタータを作動させる。
まず図3で、停止状態(S110)から開始する。車両が停止の状態であり、図4で、タイミングT1までが相当する。AP信号はアクセルペダルが踏まれていない低レベルを示す。バッテリ電圧は高レベルである。モータ制御部134は、モータ60を停止させるのでモータ60の状態は低レベルを示す。スタータ制御部136は、スタータを作動させないので、スタータ制御信号は低レベルとなる。BSFC情報はエンジン30が回転していないので低レベルを示す。エンジン30を回転させないので、疑似アクセル位置生成部132は、疑似AP信号を低レベルにして出力する。スロットル開度は、疑似AP信号が低レベルであるので、エンジン30が回転せず低レベルとなる。スタータ作動信号は、スタータ制御信号に基づき低レベルとなる。
タイミングT1で、運転者はアクセルペダルを踏むとAP信号が変化し、加速状態(S120)へ移行する。加速状態(S120)は、図4でタイミングT1からT2までの状態である。
モータ制御部134は、AP信号を検知してモータ60の回転を加速させる。バッテリ50からモータ60へ電力を供給するために放電をするので、バッテリ電圧は高レベルから低下していく。しかしバッテリ電圧は充電を必要とする低レベルではないので、バッテリ50へ充電する必要がない。そのためエンジン30を起動させる必要がないので、スタータ制御部136は、エンジン30をスタートさせるスタータ制御信号を低レベルとする出力を継続する。
また疑似アクセル位置生成部132も、疑似AP信号を低レベルとする出力を継続する。そのため、FIユニット20は、停止状態と同じ制御をするために、スロットル開度、スタータ作動信号は停止状態と同じとなる。
タイミングT2で、モータ60の状態が高車速を示す高レベルとなると、高車速状態(S130)へ移行する。高車速状態(S130)は、図4でタイミングT2からT3までの状態である。
モータ制御部134は、モータ60の状態が高車速を継続するように制御する。バッテリ50からモータ60へ電力の供給を継続しているので、バッテリ電圧はさらに低下していく。しかしバッテリ電圧は充電を必要とする低レベルではないので、バッテリ50へ充電する必要がない。そのため、エンジン30の回転を要せず、スタータ制御部136は、エンジンをスタートさせるスタータ制御信号を低レベルとする出力を継続する。
また疑似アクセル位置生成部132も、疑似AP信号を低レベルとする出力を継続する。そのため、FIユニット20は、停止状態と同じ制御をするために、スロットル開度、スタータ作動信号は停止状態と同じとなる。
タイミングT3で、運転者がアクセルペダルを踏み続けている状態を示すAP信号が継続して検知され、バッテル電圧が所定の低レベルになると、スタータ始動状態(S140)へ移行する。スタータ始動状態(S140)は、図4でタイミングT3からT4までの状態である。
統括制御部138は、バッテリ50に充電が必要と判断する。スタータ制御部136は、エンジン30をスタートさせるためにスタータ制御信号をFIユニット20に出力する。FIユニット20はスタータ作動信号を出力し、エンジン30を始動させる。
タイミングT4で、エンジン30が始動すると、BSFC処理状態(S150)へ移行する。BSFC処理状態(S150)は、図4でタイミングT4からT7までの状態である。
エンジン30が始動したので、スタータ制御部136は、スタータ制御信号を低レベルにする。疑似アクセル位置生成部132は、疑似AP信号を高レベルにする。モータ回転数が高く、高電圧へ充電する必要があるという状態であり、エンジン30の負荷が大きいため、疑似AP信号を高くする必要があるからである。
FIユニット20は疑似AP信号に従ってスロットル開度を高レベルへ上げていく。エンジン30の回転数が上がっていくので、BSFC情報も低レベルから上昇していく。また、エンジン30の回転により発電機40で発電され、バッテリ電圧が上昇していく。
タイミングT5で、BSFC情報は高レベルから下がり始める。エンジン30の回転数が上がり、バッテリ50の負荷が少し下がったため、BSFCの効率が低下するからである。
タイミングT6で、BSFC情報が所定レベルまで下がると、エンジン30の負荷に合わせたBSFCの効率が高いところに合うように、疑似AP信号のレベルを制御する。たとえば、エンジン30の負荷が少し小さくなれば、エンジンの回転数を下げても、バッテリ電圧を上げる速度には支障がないからである。そのために最適な疑似AP信号のレベルを制御する。エンジン30の負荷は、バッテリ電圧の上昇速度、それまでの疑似AP信号の推移、モータ60の出力エネルギーなどから求められる。これによりエンジン30の回転数が適切に制御される。
疑似AP信号のレベルが高レベルから制御されたレベルへ変化するので、FIユニット20はスロットル開度を疑似AP信号に合わせて制御する。スロットル開度が制御されて効率のよいエンジン30の回転数になっていくので、BSFC情報は再び高レベルに上昇していく。バッテリ電圧は、エンジン30がBSFCの高い状態で回転するので上昇を続ける。
タイミングT7で、バッテリ電圧が十分高くなると、AP信号が高レベルであっても、これ以上バッテリ50に充電する必要がない。そのため、エンジン停止制御状態(S160)へ移行する。エンジン停止制御状態(S160)は、図4でタイミングT7からT8までの状態である。
疑似アクセル位置生成部132は、疑似AP信号を低レベルにする。
FIユニット20は減速燃料カット制御に移行し、エンジン30を停止させる。FIユニット20は、疑似AP信号が低レベルになるので、スロットル開度を全閉へ制御していく。スロットル開度はタイミングT8で全閉となる。BSFC情報は、エンジン停止へ制御されるので低レベルになる。
バッテリ電圧は、発電機40から回生充電がされるので、低下しない。
タイミングT9で、運転者がアクセルペダルを踏まない状態を示すAP信号が入力されると、モータは減速状態(S170)へ移行する。減速状態(S170)は、図4でタイミングT9からT10までの状態である。
モータ制御部134は、モータ60を減速させる。
タイミングT10で、モータ60の状態が低回転になり、運転者から走行停止要求があると、停止状態(S180)へ移行する。停止状態(S180)は、図4でタイミングT10以後の状態である。
モータ制御部134は、モータ60を停止させる。モータ60が停止するのでバッテリ50は放電されず、バッテリ電圧は保持された状態となる。
≪他の実施形態≫
第1実施形態では、高車速状態(S130)からスタータ始動させたが、低車速状態であってもバッテリ電圧の低下速度が早ければ、スタータ制御部136はスタータ始動をさせてエンジンを回転させ、BSFC処理状態へ移行して、バッテリ50へ充電を開始させる。バッテリ電圧の低下スピードが早いということは、登り坂走行中などモータ60の負荷が大きいことを意味し、早めにバッテリ50へ充電開始する必要があるからである。
第1実施形態では、高車速状態(S130)からスタータ始動させたが、低車速状態であってもバッテリ電圧の低下速度が早ければ、スタータ制御部136はスタータ始動をさせてエンジンを回転させ、BSFC処理状態へ移行して、バッテリ50へ充電を開始させる。バッテリ電圧の低下スピードが早いということは、登り坂走行中などモータ60の負荷が大きいことを意味し、早めにバッテリ50へ充電開始する必要があるからである。
また、スタータ制御部136がスタータ始動をさせる所定のバッテリ電圧は、車速やバッテリ電圧の低下スピードによって変えることができる。
また第1実施形態では、スタータ始動状態(S140)、BSFC処理状態(S150)はAP信号が高レベル状態の場合で説明したが、運転者が減速したいためにAP信号が低レベルとなった場合でも、バッテリ電圧が十分高くない場合は、統括制御部138は、エンジン駆動を継続させることができる。
また、バッテリ電圧がフルではないが所定電圧を超えている場合は、統括制御部138は、エンジン30を停止させ、発電機40から回生充電を行うように制御することもできる。
また第1実施形態では、AP信号が高レベルまたは低レベルの例で説明したが、運転者がアクセルペダルを踏む量は変化することが多い。AP信号のレベルにより、運転者がさらに加速することを望んでいることや少し減速することを望んでいることがわかるので、それによりエンジン30が求められる負荷が変わる。疑似アクセル位置生成部132は、変化するAP信号のレベルに基づいて、制御された疑似AP信号を生成することができる。
特に、AP信号が前より高いレベルに変化しても、車速が上がらない状態であれば、モータ60の負荷が大きい状態と判断できるので、疑似アクセル位置生成部132は、その判断に基づいて疑似AP信号をより高いレベルへ制御することができる。
また、疑似アクセル位置生成部132は、エンジン効率を示す情報としてBSFC情報に基づいて疑似AP信号を生成したが、エンジン効率を示す情報は種々存在する。他のエンジン効率を示す情報に基づいて疑似AP信号を生成してもよい。
このように疑似アクセル位置生成部132は、運転者の意思であるAP信号、バッテリ50の残容量、BSFC情報などのエンジン効率を示す情報に加えて、エンジン30の負荷、モータ60の負荷、モータ60の回転数、など種々の負荷、予測される負荷を勘案して疑似AP信号を生成してもよい。
以上のように、疑似アクセル位置生成部132は、AP信号、バッテリ電圧、BSFC情報などに基づいてエンジンを効率よく回転させる疑似AP信号を生成し、FIユニット20へ出力するので、シリーズハイブリッド車両として効率のよい、理想的なエンジン制御ができる。
ガソリン車両からシリーズハイブリッド車両に変更するためには、HV用ECU70をCANインターフェースに接続し、アクセル位置センサ10とHV用ECU70とを接続し、疑似AP信号をHV用ECU70からFIユニット20の専用のAP入力へ接続すればよい。すなわち、FIユニット20はガソリン車両のFIユニット20をそのまま使用し、HV用のFIユニットと交換する必要がない。
以上説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両制御装置は、AP信号を入力し、AP信号が示すアクセル位置に基づいて疑似AP信号を生成し、疑似AP信号をFIユニット20が入力部として専用に備えるAP入力へ出力する。これにより、現在装着されているガソリン車用のFIユニット20をそのまま使用できるので、HV車用でその仕向地専用のFIユニットに変更する必要がない。
さらに、FIユニット20に対しては、FIユニット20が元々備える専用のAP入力端子に疑似AP信号を接続すればよいので、変更時の配線も簡単になる。
また本実施形態に係るハイブリッド車両制御装置は、バッテリ50の残容量またはエンジン効率を示す情報であるBSFC情報に基づいて疑似AP信号を生成するので、シリーズハイブリッド車として効率のよい、理想的なエンジン制御ができる。
なお、本実施形態では、ガソリンエンジン車用のFIユニットとエンジンをそのまま用いる例を説明したが、FIユニットとエンジンはガソリン車用エンジンに限らず、ディーゼル車用、天然ガス(natural gas あるいはcompressed natural gas)車用など、他の燃料車用でもよい。本発明は、専用のAP入力を有し、専用のAP入力から制御されるFIユニットであれば実施できる。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1・・・制御全体システム、10・・・アクセル位置センサ、20・・・FIユニット、30・・・エンジン、40・・・発電機、50・・・バッテリ、60・・・モータ、70・・・HV用ECU、110・・・A/Dコンバータ、120・・・D/Aコンバータ、130・・・処理ユニット、132・・・疑似アクセル位置生成部、134・・・モータ制御部、136・・・スタータ制御部、138・・・統括制御部、140・・・メモリ、150・・・CANインターフェース部。
Claims (7)
- 燃料制御手段とモータ駆動力手段とを備えるハイブリッド車両を制御する、ハイブリッド車両制御装置であって、
アクセル位置を入力する第1アクセル位置入力部と、
疑似アクセル位置信号を出力する疑似アクセル位置出力部と、
処理ユニットと、を備え、
前記処理ユニットは、
前記アクセル位置に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成し、
前記疑似アクセル位置信号を、前記燃料制御手段が入力部として専用に備える第2アクセル位置入力部へ出力する、
ハイブリッド車両制御装置。 - 前記モータ駆動力手段はバッテリであり、
前記バッテリの電圧を入力する入力部をさらに備え、
前記処理ユニットは、
前記バッテリ電圧に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成する、
請求項1に記載のハイブリッド車両制御装置。 - 前記処理ユニットは、
前記燃料制御手段が燃料を供給するエンジンのエネルギー効率に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成する、
請求項1ないし2のいずれか一項に記載のハイブリッド車両制御装置。 - 前記処理ユニットは、
前記燃料制御手段が燃料を供給するエンジンのBSFC情報に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成する、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。 - 前記処理ユニットは、
前記バッテリ電圧の低下速度に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。 - 前記処理ユニットは、
前記燃料制御手段が燃料を供給するエンジンの負荷に基づいて前記疑似アクセル位置信号を生成する
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。 - アクセル位置を入力し、
前記アクセル位置に基づいて疑似アクセル位置信号を生成し、
燃料制御手段が入力部として専用に備えるアクセル位置入力部へ前記疑似アクセル位置信号を出力する、
ハイブリッド車両制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013057632A JP2014180969A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | ハイブリッド車両制御装置およびハイブリッド車両制御方法 |
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