JP2014180379A - 膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル - Google Patents

Abstract

【課題】手術時間を短縮でき、かつ器具の個数を少なくできる膝関節用大腿骨コンポーネントトライアルを提供することである。
【解決手段】外面３に互いに離れて位置している内顆４および外顆５と、外面視において、内顆４および外顆５の間に位置しているとともに、前後方向に沿って位置している内壁６１の外縁を長辺とし左右方向に沿って位置している内壁６２の外縁を短辺とする略矩形状の貫通孔６と、貫通孔よりも前方かつ上方に位置しているとともに、左右方向に沿って延びている第１ガイドスリット７と、貫通孔６の４つのコーナ部６３のそれぞれから長辺に沿って延びている４つの第２ガイドスリット８と、を有する、トライアル本体１Ａを備える、膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル１である。
【選択図】図１

Description

本発明は、膝関節用大腿骨コンポーネントのトライアルに関する。

従来から、機能の低下した膝関節を人工のものに置換する人工膝関節置換術が行われている。人工膝関節は、大腿骨に設置する大腿骨コンポーネントおよび脛骨に設置する脛骨コンポーネントを備えている。そして、これらのコンポーネントを骨に設置する前には、通常、コンポーネントと実質的に同じ形状を有する試着用のトライアル（trial）と呼ばれる器具を骨に設置し、試験整復を行う。

ここで、ＰＳ（Posterior Stabilized）タイプ等の脛骨コンポーネントにポスト（突起）を有するタイプの人工膝関節においては、大腿骨コンポーネントのトライアルを大腿骨に設置する際に、大腿骨の遠位端部における内顆および外顆の間である顆間部をカットする必要がある。顆間部のカットは、通常、顆間カットガイドと呼ばれる器具を使用して、以下の（ｉ）〜（iv）のステップで行う（例えば、特許文献１参照）。

（ｉ）大腿骨の遠位端部に顆間カットガイドを取り付ける。
（ii）顆間カットガイドを介して骨切り工具で顆間部をカットする。
（iii）顆間カットガイドを大腿骨の遠位端部から取り外す。
（iv）顆間カットされた大腿骨の遠位端部にトライアルを設置する。

特許文献１に記載されているような従来の顆間カットガイドは、トライアルと別の器具で構成されているため、トライアルの設置に上述した（ｉ）〜（iv）のステップが必要になり、手術時間が長くなるという問題があった。また、器具システムを構成する器具の個数が多くなるという問題もあった。

一方、特許文献２には、トライアルに顆間カットガイドを取り付ける構成が記載されている。
しかし、このような構成であっても、トライアルに顆間カットガイドを取り付けるのに時間を要するため、手術時間が長くなるという問題があった。また、上述した特許文献１と同様に器具の個数が多くなるという問題もあった。

実用新案登録第３１６５９３２号公報 特表２００８−５２３９６２号公報

本発明の課題は、手術時間を短縮でき、かつ器具の個数を少なくできる膝関節用大腿骨コンポーネントトライアルを提供することである。

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
（１）外面に互いに離れて位置している内顆および外顆と、外面視において、前記内顆および前記外顆の間に位置しているとともに、前後方向に沿って位置している内壁外縁を長辺とし左右方向に沿って位置している内壁外縁を短辺とする略矩形状の貫通孔と、前記貫通孔よりも前方かつ上方に位置しているとともに、左右方向に沿って延びている第１ガイドスリットと、前記貫通孔の４つのコーナ部のそれぞれから前記長辺に沿って延びている４つの第２ガイドスリットと、を有する、トライアル本体を備える、膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
（２）前記第１ガイドスリットおよび前記第２ガイドスリットはいずれも、前記トライアル本体と一体不可分に構成されている、前記（１）に記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
（３）前記第１ガイドスリットは、その左右方向に沿うスリット幅が、前記短辺の長さと略同一である、前記（１）または（２）に記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
（４）前記４つの第２ガイドスリットの先端部はいずれも、前記４つのコーナ部のそれぞれから離れるにつれて前記外面に近づくように傾斜している、前記（１）〜（３）のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
（５）前記第１ガイドスリットによってガイドされる第１骨切り工具がノミであり、前記４つの第２ガイドスリットによってガイドされる第２骨切り工具がボーンソーである、前記（１）〜（４）のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
（６）前記内顆および前記外顆にそれぞれ位置している一対のガイドホールをさらに備える、前記（１）〜（５）のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。

本発明によれば、貫通孔よりも前方かつ上方に位置しているとともに、左右方向に沿って延びている第１ガイドスリットと、貫通孔の４つのコーナ部のそれぞれから長辺に沿って延びている４つの第２ガイドスリットと、を有する、トライアル本体を備えることから、顆間カットガイドがトライアルと一体に構成されており、大腿骨の顆間カットと大腿骨コンポーネントのトライアル設置とを同時に達成することができ、手術ステップを減らして手術時間を短縮することが可能となる。また、器具の個数を少なくすることができ、それによるコストダウンの達成と、器具取替えによる位置ズレの抑制も可能となる。

本発明の一実施形態に係る膝関節用大腿骨コンポーネントトライアルを示す拡大斜視図である。 図１に示す膝関節用大腿骨コンポーネントトライアルを示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＡ１矢視底面図、（ｃ）は（ａ）のＡ２矢視平面図である。 図１に示す膝関節用大腿骨コンポーネントトライアルを示す図であり、（ａ）は図２（ａ）のＡ３矢視側面図、（ｂ）は（ａ）のＡ４矢視背面図である。

以下、本発明の一実施形態に係る膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル（以下、「トライアル」と言うことがある。）について、図１〜図３を参照して詳細に説明する。なお、図１〜図３中、Ｘ，ＹおよびＺの各矢印は、患者から見た方向を示しており、Ｘ１は前方、Ｘ２は後方、Ｙ１は右方（内方）、Ｙ２は左方（外方）、Ｚ１は上方、Ｚ２は下方をそれぞれ示している。また、本実施形態のトライアルは、左脚膝関節用であるが、これに限定されるものではない。すなわち、左右の鏡面対象設計によって右脚膝関節用のトライアルも容易に製造可能である。以下の説明においては、特記しない限り、左脚膝関節用の本実施形態のトライアルを使用する場合を例にとって説明する。

図１〜図３に示すように、本実施形態のトライアル１は、図示しない脛骨コンポーネントトライアルとともに試験整復を行う器具であり、トライアル本体１Ａを備えている。本実施形態のトライアル本体１Ａは、内面２および外面３を有する。

本実施形態の内面２は、トライアル１を大腿骨の遠位端部に設置したとき、トライアル１のうち大腿骨の遠位端部側に位置する面である。本実施形態の内面２は、複数の平面で構成されている。

一方、本実施形態の外面３は、その一部が脛骨コンポーネントトライアルに対する摺動面として機能する。本実施形態のトライアル本体１Ａは、外面３において互いに離れて位置している内顆４および外顆５を有する。また、本実施形態のトライアル本体１Ａは、外面視において、内顆４および外顆５の間に位置している貫通孔６を有する。外面視とは、外面３側からトライアル１を見た状態を意味するものとする。

本実施形態の貫通孔６は、脛骨コンポーネントトライアルのポスト部が挿入される部位であり、内面２から外面３まで貫通している。また、本実施形態の貫通孔６は、図２（ｂ）に示すように、外面視において、前後方向に沿って位置している内壁６１の外縁を長辺Ｌとし、左右方向に沿って位置している内壁６２の外縁を短辺Ｓとする略矩形状である。このような構成によれば、トライアル１を大腿骨の遠位端部に設置したとき、貫通孔６から大腿骨の顆間部を露出させることができる。

ここで、本実施形態のトライアル本体１Ａは、第１ガイドスリット７および第２ガイドスリット８を備えている。本実施形態の第１ガイドスリット７は、外面視において、貫通孔６よりも前方かつ上方に位置しているとともに、左右方向に沿って延びている。また、本実施形態の第２ガイドスリット８は、外面視において、貫通孔６の４つのコーナ部６３のそれぞれから長辺Ｌに沿って延びており、その数は４つである。これらの構成によれば、以下のような効果が得られる。

すなわち、上述した第１ガイドスリット７および第２ガイドスリット８はいずれも、顆間カットガイドとして機能する。具体的に説明すると、第１ガイドスリット７は、貫通孔６よりも前方かつ上方に位置していることから、患者の膝関節を屈曲させた状態で、ノミ等の第１骨切り工具を第１ガイドスリット７に挿入して大腿骨の顆間部にガイドすることができる。また、第２ガイドスリット８は、貫通孔６のコーナ部６３から長辺Ｌに沿って延びていることから、内壁６１に接続しており、それゆえボーンソー等の第２骨切り工具を、内壁６１および内壁６１に接続している２つの第２ガイドスリット８に沿って動かすことができる。したがって、上述した構成によれば、第１ガイドスリット７および第２ガイドスリット８を介して、第１、第２骨切り工具によって大腿骨の顆間カットを行うことができる。

特に、本実施形態では、第１ガイドスリット７にノミ等の第１骨切り工具を挿通させた状態で、第２ガイドスリット８に沿ってボーンソー等の第２骨切り工具を用いて骨をカットすることができる。その結果、ノミ等の第１骨切り工具が、ボーンソー等の第２骨切り工具による骨の切断深さを規制することができ、余分な骨の切除を抑えて、正確な骨切りを達成することができる。

また、上述した構成によれば、顆間カットガイドがトライアル１と一体に構成されている。言い換えれば、第１ガイドスリット７および第２ガイドスリット８がいずれも、トライアル本体１Ａと一体に構成されている。したがって、大腿骨の顆間カットとトライアル１の設置とを同時に達成することができ、手術ステップを減らして手術時間を短縮することが可能となる。なお、本実施形態では、第１ガイドスリット７および第２ガイドスリット８はいずれも、トライアル本体１Ａと一体不可分に構成されている。

さらに、上述した構成によれば、器具の個数を少なくすることができ、それによるコストダウンの達成と、器具取替えによる位置ズレの抑制も可能となる。

本実施形態の第１ガイドスリット７は、その左右方向に沿うスリット幅が、短辺Ｓの長さと略同一である。このような構成によれば、第１ガイドスリット７に挿入できるノミ等の第１骨切り工具の幅が、貫通孔６から露出する大腿骨の顆間部の幅に一致することから、顆間カット精度を向上させることができる。

また、本実施形態では、図１に示すように、４つの第２ガイドスリット８の先端部８ａがいずれも、４つのコーナ部６３のそれぞれから離れるにつれて、外面３に近づくように傾斜している。このような構成によれば、ボーンソー等の第２骨切り工具をスムーズに動かすことができるとともに、先端部８ａ近傍における骨の切り残しを抑制することができる。先端部８ａの傾斜角度としては、４０〜５０°であるのが好ましい。

なお、上述した４つの第２ガイドスリット８のそれぞれの長さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。

本実施形態のトライアル１は、内顆４および外顆５にそれぞれ位置している一対のガイドホール９，９をさらに備えている。本実施形態では、一対のガイドホール９，９がいずれも、内面２から外面３まで貫通しているとともに、外面視において、略円形状である。このような構成によれば、ドリル等の切削工具を一対のガイドホール９，９にそれぞれ挿入して大腿骨の遠位端部にガイドし、大腿骨コンポーネントが備える２つのペグに対応するペグ孔を大腿骨の遠位端部に形成することができる。

１ 膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル
１Ａ トライアル本体
２ 内面
３ 外面
４ 内顆
５ 外顆
６ 貫通孔
６１ 内壁
６２ 内壁
６３ コーナ部
７ 第１ガイドスリット
８ 第２ガイドスリット
８ａ 先端部
９ ガイドホール
Ｌ 長辺
Ｓ 短辺

Claims (6)

1. 外面に互いに離れて位置している内顆および外顆と、
   外面視において、前記内顆および前記外顆の間に位置しているとともに、前後方向に沿って位置している内壁外縁を長辺とし左右方向に沿って位置している内壁外縁を短辺とする略矩形状の貫通孔と、
   前記貫通孔よりも前方かつ上方に位置しているとともに、左右方向に沿って延びている第１ガイドスリットと、
   前記貫通孔の４つのコーナ部のそれぞれから前記長辺に沿って延びている４つの第２ガイドスリットと、
   を有する、トライアル本体を備える、膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
2. 前記第１ガイドスリットおよび前記第２ガイドスリットはいずれも、前記トライアル本体と一体不可分に構成されている、請求項１に記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
3. 前記第１ガイドスリットは、その左右方向に沿うスリット幅が、前記短辺の長さと略同一である、請求項１または２に記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
4. 前記４つの第２ガイドスリットの先端部はいずれも、前記４つのコーナ部のそれぞれから離れるにつれて前記外面に近づくように傾斜している、請求項１〜３のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
5. 前記第１ガイドスリットによってガイドされる第１骨切り工具がノミであり、前記４つの第２ガイドスリットによってガイドされる第２骨切り工具がボーンソーである、請求項１〜４のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。
6. 前記内顆および前記外顆にそれぞれ位置している一対のガイドホールをさらに備える、請求項１〜５のいずれかに記載の膝関節用大腿骨コンポーネントトライアル。

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