JP2014179161A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】チップサイズの増大を防止するとともに、消費電力の増加を抑制しつつ、MOSトランジスタの温度依存性を補償する。
【解決手段】半導体装置が、情報電荷蓄積用コンデンサとメモリセル選択用トランジスタから構成されるDRAMセルを有し、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧値をモニタし、情報電荷蓄積用コンデンサの容量とビット線寄生容量とから定まる転送比によって、モニタしたMOSトランジスタの閾値電圧値を変換する。そして、変換された電圧値を基準温度において、プリチャージ回路のプリチャージ電圧が予め設定された電圧となるように、レベルシフトし、レベルシフトされた電圧値に電流供給能力を付加し、プリチャージ電圧として供給する。
【選択図】図5
【解決手段】半導体装置が、情報電荷蓄積用コンデンサとメモリセル選択用トランジスタから構成されるDRAMセルを有し、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧値をモニタし、情報電荷蓄積用コンデンサの容量とビット線寄生容量とから定まる転送比によって、モニタしたMOSトランジスタの閾値電圧値を変換する。そして、変換された電圧値を基準温度において、プリチャージ回路のプリチャージ電圧が予め設定された電圧となるように、レベルシフトし、レベルシフトされた電圧値に電流供給能力を付加し、プリチャージ電圧として供給する。
【選択図】図5
Description
本発明は、半導体装置に用いられるセンス回路に関し、特に、センス回路を構成するMOSトランジスタにおける閾値電圧の温度依存性を好適に補償するセンス回路、センス回路の温度補償方法およびデータ処理システムに関する。
一般に、半導体装置に用いられるMOSトランジスタにおいては、その閾値電圧が温度に依存して変化し、これにより回路の温度マ−ジンが低下することが知られている。そのため、従来より、この温度依存性を補償するための技術が多く提案されている。
例えば、特許文献1に記載の技術は、MOSスタティックメモリにおけるセンスアンプ回路に関するものであり、差動増幅器を用いて、この差動増幅器の出力レベルを温度に応じて変化させ、これにより、センスアンプ回路の出力バッファのオン出力レベルを安定させる技術が開示されている。
また、特許文献2に記載の技術は、電圧比較器の入力閾値の制御に関するものであり、ゲートに信号を入力し、ドレインを電源に接続するとともに、ソースを出力ラインに接続したPMOSトランジスタと、出力ラインとグランドの間に直列に2つのNMOSトランジスタが接続されるとともに、これを縦列に配置し、直列接続された一方のNMOSトランジスタのゲートに信号を入力するとともに、他方のNMOSトランジスタのゲートに、固定された制御電圧を入力した電圧比較器が開示されている。この技術は、MOSトランジスタのコンダクタンスがゲート電圧と一意の関係にあることに着目し、上記回路を抵抗からなる等価回路と考え、各MOSトランジスタに供給するゲート電圧を個別に調整して、コンダクタンスを変化させることにより、電圧比較器の入力閾値を制御しようとするものである。
ここで、図19は、階層型ビット線構造のDRAMに用いられるセンス回路に温度補償を適用しない場合のMOSトランジスタの閾値電圧分布、すなわち、製造ばらつきの許容範囲を示す図である。縦軸は電圧を示し、左側の棒グラフは電源電位VDDが1Vの場合のメモリーセルノードの電位を示す。なお、ビット線プリチャージ電位は0Vに設定されている。
通常、DRAMの場合、ハイデータは1V、ロウデータは0Vが、メモリーセルノードに書き込まれるが、不十分な書き込みやリークなどにより損失が生じる。この例では、損失によりハイデータは0.7V、ロウデータは0.2Vになっている。ワード線が、ハイとなりメモリセルが選択されると、メモリセルのキャパシタCsとビット線寄生容量Cbとの間のチャージ転送により、ビット線に信号電圧が読み出される。この読み出し信号電圧は、メモリーセルノードの電圧が、転送比Cs/(Cs+Cb)分減少して、ビット線に現れる。この例では転送比は0.7となる。
ビット線に読み出された信号電圧は、読み出し時のノイズによりさらに損失を受け、この例では、ハイ読み出し信号電圧は0.45V、ロウ読み出し信号電圧は0.18V程度となっている。この電圧の差をMOSトランジスタが増幅してドレイン電流の差に変換し、グローバルビット線の放電時間の差をグローバルビット線センス回路が正しくハイとロウを判定するためには、ハイ読み出し電圧の下限とMOSトランジスタの閾値電圧分布の上限との間、及びロウ読み出し電圧の上限とMOSトランジスタの閾値電圧分布の下限との間に判定マージンが必要となる。
前述したように、MOSトランジスタの閾値電圧は、一般に温度依存性を持って変化するため、例えば動作補償温度、この例では0℃から100℃の間で上記の判定マージンを確保するためには、製造ばらつきによる閾値電圧の分布が温度依存性による変化を吸収できるように、小さく抑えなくてはならない。
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、センスアンプごとに差動増幅器を設ける構成となるため、回路規模が大きくなり、チップサイズが増大するという問題がある。さらに、上記特許文献1に開示された技術は、差動増幅器のゲインを調整するものであるため、例えば、1つのMOSトランジスタから構成される、いわゆる、シングルエンド型センスアンプ等には、そのまま、適用できないという問題もある。
また、上記、特許文献2に記載の技術では、数多くのMOSトランジスタを必要とすることから、回路規模が大きくなり、チップサイズが増大するという問題がある。さらに、多くのMOSトランジスタのゲートに電圧を印加した状態で、温度補償を行うことから、消費電力が増大するという問題もある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チップサイズの増大を防止するとともに、消費電力の増加を抑制しつつ、MOSトランジスタの温度依存性を補償するセンス回路、センス回路の温度補償方法およびデータ処理システムを提供することを目的とする。
本発明は、上記した課題を解決するために以下の事項を提案している。
(1)本発明は、データを増幅すべくデータ信号の信号線がゲートに接続され、ドレインが出力線に接続されたセンシングトランジスタと、前記信号線に接続され、前記信号線に前記データ信号が伝達される前に、前記信号線を所定の電位へ制御する制御トランジスタと、で構成されたセンスアンプと、前記制御トランジスタ又は前記センシングトランジスタのソースに接続される内部電源回路と、前記内部電源回路の出力電圧を制御して前記センシングトランジスタの温度依存性を補償する温度補償回路と、を備えたことを特徴とする半導体装置を提案している。
(2)本発明は、情報を記憶する記憶素子と該素子を選択する選択用トランジスタから構成されるメモリセルと、前記メモリセルに接続されたビット線と、前記ビット線にゲートが接続され、ドレインが出力線に接続され、前記ビット線のデータを読み出す電界効果トランジスタで構成されたセンシングトランジスタと、前記ビット線に接続され、前記ビット線に前記メモリセルから情報が出力される前に、前記ビット線を所定電位に制御する制御トランジスタと、前記センシングトランジスタと前記制御トランジスタとを含むセンスアンプと、前記制御トランジスタ又は前記センシングトランジスタのソースに接続される内部電源回路と、前記内部電源回路の出力電圧を制御して前記センシングトランジスタの温度依存性を補償する電界効果トランジスタで構成された温度補償回路と、を備えたことを特徴とする半導体装置を提案している。
(3)本発明は、情報電荷蓄積用コンデンサと、該コンデンサを選択する選択用トランジスタから構成されるメモリセルと、前記メモリセルに接続されたビット線と、前記ビット線にゲートが接続され、ドレインが出力線に接続され、前記ビット線のデータを読み出す電界効果トランジスタで構成されたシングルエンド型のセンスアンプであるセンシングトランジスタと、前記ビット線に接続され、前記ビット線に前記メモリセルから前記データが出力される前に、前記ビット線を所定電位に制御する制御トランジスタと、前記センシングトランジスタと前記制御トランジスタとを含むセンスアンプと、前記センスアンプの電源に接続される内部電源回路と、前記内部電源回路の出力電圧を制御して前記センシングトランジスタの温度依存性を補償する電界効果トランジスタで構成された温度補償回路と、を備え、前記出力電圧によって、前記ビット線の前記所定電圧または、前記センシングトランジスタのソース電圧が制御される、ことを特徴とする半導体装置を提案している。
本発明によれば、電界効果トランジスタの閾値電圧の温度依存性に伴う変化が、キャンセルされるため、センス回路の動作マージンが向上し、メモリのセンス動作が安定するという効果がある。つまり、逆の見方をすれば、電界効果トランジスタの製造ばらつき範囲の許容量を大きくすることが出来るため、本発明を適用した大容量DRAMのように多数のセンス回路を使うメモリの製造歩留まりを向上させ、製造コストを低減できるという効果がある。
また、電界効果トランジスタの温度依存性をモニタして、その温度依存性による変化をキャンセルするため、温度補償を高精度に行うことができ、上述の効果を一層高めることができるという効果がある。さらに、電界効果トランジスタの製造ばらつき範囲の許容量を大きくすることができるため、微細化、高集積化に適したメモリを提供できるという効果がある。
また、温度補償回路が、半導体チップ毎(半導体基板毎)に搭載されているため、半導体チップ毎のレベルシフト量を同じにすれば、センス回路を構成する電界効果トランジスタの閾値電圧について、チップ間、ウェハ間およびロット間のバラツキをもキャンセルすることができるという副次的効果がある。これによって、複数の半導体チップを搭載したモジュール(例えば、半導体チップを複数積層したMCP(マルチチップパッケージ)やPOP(パッケージオンパッケージ)などの半導体装置、複数の半導体装置を積層せず(例えば平面実装)に集積した半導体装置)等においても、それぞれの半導体チップの製造条件が異なりセンシングトランジスタの能力や特性が変化しても、また半導体チップが配置される場所においてそれぞれが異なる温度条件であっても、すべての半導体装置として均一な特性の半導体装置を制御するコントローラとを含めた半導体システムに提供できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
<第1の実施形態>
図1から図9を用いて、本発明に係る第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、N型チャネル電界効果トランジスタ(nMOSトランジスタ)、P型チャネル電界効果トランジスタ(pMOSトランジスタ)を使用した半導体装置として、階層型ビット線構成のDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)を例に説明する。ここで、階層型ビット線構成の場合には、ビット線の長さを短くできるため、メモリセルから読み出される信号の振幅を大きくすることができ、しかも、全体のチップサイズを小さくすることができ、好適な一例ではあるが、本発明は、これに限定されるものではない。
図1から図9を用いて、本発明に係る第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、N型チャネル電界効果トランジスタ(nMOSトランジスタ)、P型チャネル電界効果トランジスタ(pMOSトランジスタ)を使用した半導体装置として、階層型ビット線構成のDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)を例に説明する。ここで、階層型ビット線構成の場合には、ビット線の長さを短くできるため、メモリセルから読み出される信号の振幅を大きくすることができ、しかも、全体のチップサイズを小さくすることができ、好適な一例ではあるが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、DRAM以外にも揮発性メモリ、不揮発性メモリにも適用できる。更に、トランジスタは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor; FET)であれば良く、MOS(Metal Oxide Semiconductor)以外にもMIS(Metal-Insulator Semiconductor)トランジスタ等の様々なFETに適用できる。NMOSトランジスタ(N型チャネルMOSトランジスタ)は、第1導電型のトランジスタ、PMOSトランジスタ(P型チャネルMOSトランジスタ)は、第2導電型のトランジスタの代表例である。
更に、本願の実施例の構成は、単一の信号を入力し、単一の信号のみで増幅し、増幅された信号を出力するシングルエンド型のセンスアンプに関する技術である。一般的な差動型センスアンプは、シングルエンド型センスアンプに比べて高いゲインを有し、ノイズにも強い。また、差動型センスアンプの高いゲインは、増幅された出力信号を変化させる時間を短縮させる。一方、シングルエンド型センスアンプは、ノイズに対して非常に敏感であり、増幅出力を生成するために、より高い入力信号を必要とする。後述するビット線に接続される本願実施例のセンスアンプ(温度補償型センス回路2)は、シングルエンド型センスアンプである。
<全体回路構成>
図1は、本発明の温度補償型センス回路を含んだDRAMメモリセルアレイの一部分の回路を示す図である。図に示すように、同回路は、ワード線WLと、ローカルビット線であるビット線BLと、その交点に配置されるメモリセル1と、温度補償型センス回路2と、グローバルビット線GBLと、グローバルビット線センス回路3から構成されている。
図1は、本発明の温度補償型センス回路を含んだDRAMメモリセルアレイの一部分の回路を示す図である。図に示すように、同回路は、ワード線WLと、ローカルビット線であるビット線BLと、その交点に配置されるメモリセル1と、温度補償型センス回路2と、グローバルビット線GBLと、グローバルビット線センス回路3から構成されている。
ここで、温度補償型センス回路2は、シングルエンド型センスアンプであり、メモリセル1の情報を伝達するビット線BLをセンスアンプトランジスタのゲートに受け、そのトランジスタのドレインである出力ノードをグローバルビット線へ出力する、シングルエンド型のセンスアンプであるダイレクトセンシング技術を利用している。
更に、本発明ではメモリセルアクセス前のビット線を制御する電圧(プリチャージ電圧)について、DRAM等で使用されてきたビット線の1/2プリチャージ方式(メモリセルアクセス前のビット線制御電圧を、情報1と情報0に対応する相対電圧の中間電圧である1/2電圧に制御する)を使用せず、メモリセルを駆動する一般的な内部電圧(例えば、外部電源から降圧した内部電源電圧)やVSS電源等の電圧で制御する。例えば、実施例においては、メモリセル情報の「1」、「0」に関わらず、メモリセルのアクセス後のビット線電圧は、内部電源電圧もしくはVSSの所定の電位から一方向(VSSもしくは内部電源電圧)へ遷移することが特徴である。半導体装置の外部電源と内部電源の電圧が1V近く(CMOS型のセンスアンプが動作する動作点の限界に近い電圧)に低電圧化した半導体装置に於いては、前記ビット線の制御電圧は、前記シングルエンド型センスアンプを利用したセンシング方式と相まって高速化と安定性、製造条件変動による回路の安定性の相乗効果をより発揮する。
尚、階層ビット線構造には、データ信号であるメモリセル1の情報をローカルビット線を介して最初に増幅するシングルエンド型センスアンプであるセンスアンプ2と、センスアンプ2とグローバルビット線の間を接続するセンス回路選択用トランジスタQ3を含む。
センス回路選択用トランジスタQ3は、シングルエンド型センスアンプであるセンスアンプ2と、その増幅部の出力をグローバルビット線へ接続するトランジスタである。センス回路選択用トランジスタQ3に入力される制御信号は、センスアンプ2の出力とグローバルビット線を接続する制御信号であるが、該制御信号には、複数のローカルビット線と一つのグローバルビット線を選択するアドレス信号等の選択情報を含む場合がある。一般的に、ローカルビット線BLには、多数のメモリセルとセンスアンプ2が接続されメモリアレイを構成するため、ローカルビット線BLの配線ピッチは、グローバルビット線GBLの配線ピッチと等しいか、それよりも小さい。
温度補償センス回路2を構成するnMOSトランジスタQ1は、センシングトランジスタであり、ゲートにビット線BLが接続され、ビット線BLに読み出された信号電圧をセンス・増幅してドレイン電流に変換する。なお、本実施形態は、内部電源回路の出力電圧としてのプリチャージ電圧を制御して、センス回路を構成するnMOSトランジスタQ1の温度依存性を補償するものであり、消費電力の増加を抑制しつつ、的確に、MOSトランジスタの温度補償を実行するものであるが、温度補償の詳細については、後述する。
ビット線プリチャージnMOSトランジスタQ2は、信号線にデータ信号が伝達される前に、信号線を所定の電位へ制御する制御トランジスタであり、ゲートに、プリチャージ信号PCが入力され、PCがハイの状態にある時に、ビット線BLをビット線プリチャージ電位VPCにプリチャージする。
センス回路選択用nMOSトランジスタQ3は、ゲートに選択信号SEを受け、センス回路の出力ノードであるnMOSトランジスタQ1のドレインとグローバルビット線GBLを選択的に接続する。グローバルビット線GBLには、図示しない他の複数個の温度補償型センス回路を介してビット線BLと複数個のメモリセルが接続されており、nMOSトランジスタQ3は、選択されたメモリセルが属するセンスアンプのみをグローバルビット線GBLに接続する。なお、DRAMメモリセルは読み出すとデータが破壊されるため、再書き込みが必要であるが、図を簡単にするために図1には再書き込み回路は図示していない。
尚、複数のメモリセルとそれに対応する複数のセンスアンプで、メモリセルアレイを構成し、前記ローカルビット線と前記グローバルビット線により、階層型ビット線を構成し、前記温度補償回路により制御された前記内部電源回路の出力が、前記ローカルビット線にそれぞれ接続される前記センスアンプに共通に接続される。
尚、nMOSトランジスタQ3とnMOSトランジスタQ1は直列に接続されていれば良く、原則、その順序関係は問わない。最適には、グローバルビット線GBLに多くのnMOSトランジスタQ3が接続されるので、グローバルビット線GBLの低ノイズの効果を重視すれば、図1のようにnMOSトランジスタQ3がグローバルビット線GBL側に接続されるべきである。
メモリセルは、選択用nMOSトランジスタQ4と、情報を記憶する記憶素子である情報電荷蓄積用キャパシタCsを直列形態に接続したDRAMメモリセルである。選択用nMOSトランジスタQ4は、ワード線の電圧によって、情報電荷蓄積用キャパシタCsを選択し、ビット線に接続する。また、ビット線には、図示しない複数個のメモリセルが接続されている。ここで、ビット線の寄生容量はCbで示されており、特に規定されないが、この例では、Csは10fF、Cbは、30/7(≒4.3)fFとなっている。
グローバルビット線プリチャージMOSトランジスタQ5は、プリチャージ信号PCの反転信号/PCをゲートに受けるpMOSトランジスタで、/PCが、ロウの状態にある時に、グローバルビット線GBLを電源電位VDDにプリチャージする。なお、グローバルビット線の寄生容量はCgbで示されている。
なお、本実施形態では、各MOSトランジスタの極性を上記のように構成したが、これらのMOSトランジスタの極性をすべて反転させて回路を構成することも可能である。この場合、電源電位とグランドとの関係、および制御信号の極性についても反転する。
<温度補償回路の作用>
次に、図2から図4を用いて、温度変化による温度補償回路の作用について説明する。
なお、本実施形態においては、説明をより具体的にするために、nMOSトランジスタQ1の閾値Vtを90mV±30mVと想定しているが、これは、あくまでも例示であって、この数値に限定されるものではない。
次に、図2から図4を用いて、温度変化による温度補償回路の作用について説明する。
なお、本実施形態においては、説明をより具体的にするために、nMOSトランジスタQ1の閾値Vtを90mV±30mVと想定しているが、これは、あくまでも例示であって、この数値に限定されるものではない。
図2は、温度Tが0℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃を基準温度とすると、この例では、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtが30mV上昇する。このとき、ビット線プリチャージ電位VPCは後述するVPC生成回路によって0.1Vに設定される。ビット線プリチャージ電位VPCが0.1Vシフトしたことにより、ビット線に読み出される信号電圧は、(1−転送比)*VPC=(1−0.7)×0.1=0.03V、すなわち30mV上昇するため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性による上昇分30mVをキャンセルすることができる。従って、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は温度補償のない図19の場合に比べて広くすることができる。
図3は、温度Tが50℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃は基準温度なので、この例では、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtも基準値となる。この時、ビット線プリチャージ電位VPCは後述するVPC生成回路によって0Vに設定される。また、ビット線プリチャージ電位VPCが0Vなので、ビット線に読み出される信号電圧は、図19と同様になるが、他の温度におけるnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性がキャンセルされるため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は図19の場合に比べて広くすることができる。
図4は、温度Tが100℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃を基準温度とすると、この例ではnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtが30mV低下する。この時、ビット線プリチャージ電位VPCは後述するVPC生成回路によって−0.1Vに設定される。ビット線プリチャージ電位VPCが−0.1Vシフトしたことにより、ビット線に読み出される信号電圧は(1−転送比)*VPC=(1−0.7)×(−0.1)=−0.03V、すなわち30mV低下するため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性による低下分30mVをキャンセルすることができる。従って、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は、図19の場合に比べて広くすることができる。
<温度補償回路(VPC生成回路)の構成>
図5を用いて、温度補償回路(VPC生成回路)の構成について、説明する。
図5に示すように、温度補償回路(VPC生成回路)は、Vtモニタ回路41と、転送比変換回路42と、レベルシフト回路43と、VPCドライバ回路44と、シフト量設定回路45とから構成されている。
図5を用いて、温度補償回路(VPC生成回路)の構成について、説明する。
図5に示すように、温度補償回路(VPC生成回路)は、Vtモニタ回路41と、転送比変換回路42と、レベルシフト回路43と、VPCドライバ回路44と、シフト量設定回路45とから構成されている。
まず、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性をモニタするVtモニタ回路41の出力電圧が、転送比変換回路42で変換され、レベルシフト回路43に入力される。レベルシフト回路43には、シフト量設定回路45からシフト量を決める情報が送られ、これに基づいてシフト量が決定される。
シフト量設定回路45は、上述した基準温度、この例では50℃において、ビット線プリチャージ電位VPCが0Vになるように設定される。この作業は、例えばDRAMのプローブ検査の際に、ウェハ温度を50℃に設定し、ビット線プリチャージ電位VPCの値をモニタしながらシフト量設定回路45の設定値をチップごとにプログラムすることで行われる。あるいは、基準となるシフト量を決定し、チップごとに同じ値をプログラムしてもよい。この場合には、チップ間、ウェハ間およびロット間におけるVtバラツキについてもキャンセルできるという副次的な効果がある。
プログラム手段としては、レーザヒューズ、電気ヒューズ、不揮発性メモリ素子、ワンタイムプログラマブル素子などが利用できる。レベルシフト回路43の出力は電流駆動能力を増加させるためのVPCドライバ回路44を通してビット線プリチャージ用nMOSトランジスタQ2のソース電位に供給される。
<Vtモニタ回路の構成>
図6は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧VtをモニタするVtモニタ回路の例を示す。
ここで、VKKは負の電源電位である。また、nMOSトランジスタQ6はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧をモニタするためのモニタトランジスタであり、nMOSトランジスタQ1と概略同じサイズで形成されている。nMOSトランジスタQ6のソースとVKKの間には、閾値電圧を定義するための一定の電流Ibiasを流す電流源が接続されている。オペアンプOP1は、この電流を流している状態でnMOSトランジスタQ6のソース電位がグラウンド電位0VになるようにnMOSトランジスタQ6のゲート電位を制御するため、出力ノードN1にグラウンド電圧を基準としたnMOSトランジスタQ6の閾値電圧Vtが出力される。したがって、簡易な回路構成で、正確に、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtをモニタすることができる。
図6は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧VtをモニタするVtモニタ回路の例を示す。
ここで、VKKは負の電源電位である。また、nMOSトランジスタQ6はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧をモニタするためのモニタトランジスタであり、nMOSトランジスタQ1と概略同じサイズで形成されている。nMOSトランジスタQ6のソースとVKKの間には、閾値電圧を定義するための一定の電流Ibiasを流す電流源が接続されている。オペアンプOP1は、この電流を流している状態でnMOSトランジスタQ6のソース電位がグラウンド電位0VになるようにnMOSトランジスタQ6のゲート電位を制御するため、出力ノードN1にグラウンド電圧を基準としたnMOSトランジスタQ6の閾値電圧Vtが出力される。したがって、簡易な回路構成で、正確に、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtをモニタすることができる。
<転送比変換回路、レベルシフト回路、VPCドライバ回路の構成>
図7は、転送比変換回路、レベルシフト回路、VPCドライバ回路の構成を示している。転送比変換回路42は、オペアンプOP2を用いた反転増幅回路であり、入力にN1すなわち、図6におけるQ6の閾値電圧Vtが印加される。また、抵抗R1とR2の比は、CbとCs+Cbの比に等しく設定され、OP2の出力電圧V2は−(Cs+Cb)Vt/Cbとなる。したがって、情報電荷蓄積用キャパシタCsの容量および寄生容量Cbの影響を考慮した上で、最適な補償値を設定することができる。
図7は、転送比変換回路、レベルシフト回路、VPCドライバ回路の構成を示している。転送比変換回路42は、オペアンプOP2を用いた反転増幅回路であり、入力にN1すなわち、図6におけるQ6の閾値電圧Vtが印加される。また、抵抗R1とR2の比は、CbとCs+Cbの比に等しく設定され、OP2の出力電圧V2は−(Cs+Cb)Vt/Cbとなる。したがって、情報電荷蓄積用キャパシタCsの容量および寄生容量Cbの影響を考慮した上で、最適な補償値を設定することができる。
レベルシフト回路43は、オペアンプOP3を用いた反転増幅回路であり、入力にOP2の出力電圧−(Cs+Cb)Vt/Cbが印加され、通常グラウンドとされる端子にはシフト電圧としてシフト量設定回路45の出力電位Vsが印加される。また、レベルシフト回路43の抵抗は、R3=R4とされ、増幅率は、−1に設定されているため、OP3の出力電圧V3は((Cs+Cb)*Vt)/Cb+2Vsとなる。
シフト量設定回路45は、電源電位VDDと負の電源電位VKKを抵抗分割して取り出した多数の中間電位の中から所望の電位をセレクタで選択してVsとして出力する。セレクタが、どの中間電位を選択するかは、タップ選択回路にプログラムされ、その出力信号に従って、セレクタが所望の電位を選択する。また、シフト量設定回路45の出力電位Vsはローパスフィルタを通して、レベルシフト回路43に供給される。
VPCドライバ回路は、オペアンプOP4を用いたボルテージフォロア回路であり、OP3の出力電圧をビット線プリチャージ電圧VPC=((Cs+Cb)*Vt)/Cb+2Vsとして出力する。
<センス回路の処理>
本実施形態のセンス回路は、次のような処理を行って、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を行う。
本実施形態のセンス回路は、次のような処理を行って、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を行う。
まず、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧値をモニタし(ステップS101)、情報電荷蓄積用コンデンサの容量とビット線寄生容量とから定まる転送比によって、モニタしたMOSトランジスタの閾値電圧値を変換する(ステップS102)。
次に、基準温度において、変換された電圧値がプリチャージ電圧として予め設定された電圧となるように、レベルシフトし(ステップS103)、レベルシフトされた電圧値に電流供給能力を付加し、プリチャージ電圧として供給する(ステップS104)。
したがって、簡易な構成により、的確に、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を実行し、センス回路の動作マージンを十分に確保することができる。
<VPCの生成過程>
次に、図8を用いて、VPCの生成過程を具体的に説明する。
図8は、上述したVPC生成回路における各回路の出力電圧の遷移を示した模式図である。本実施形態では、前述のようにCs=10fF、Cb=30/7(≒4.3)fFとなっている。Vtモニタ回路41では、基準温度50℃におけるQ6(これは、Q1のモニタトランジスタである)の閾値電圧Vtが0.09V、0℃と100℃における温度依存性による変化が、±0.03VというQ6の閾値電圧Vtの温度依存性がモニタ出力される。この電圧が、転送比変換回路42で反転して10/3倍され−0.3±0.1Vとなる。
次に、図8を用いて、VPCの生成過程を具体的に説明する。
図8は、上述したVPC生成回路における各回路の出力電圧の遷移を示した模式図である。本実施形態では、前述のようにCs=10fF、Cb=30/7(≒4.3)fFとなっている。Vtモニタ回路41では、基準温度50℃におけるQ6(これは、Q1のモニタトランジスタである)の閾値電圧Vtが0.09V、0℃と100℃における温度依存性による変化が、±0.03VというQ6の閾値電圧Vtの温度依存性がモニタ出力される。この電圧が、転送比変換回路42で反転して10/3倍され−0.3±0.1Vとなる。
続いて、レベルシフト回路43で、さらに反転して2Vsシフトされる。本実施形態では、基準温度50℃においてレベルシフト回路43の出力電圧が0Vに設定されるので、Vsの値が−0.15Vとなるようにシフト量設定回路45のタップ選択回路がプログラムされ、レベルシフト回路43の出力電位は0±0.1Vとなる。この電圧がVPCドライバ回路44からビット線プリチャージ電位VPCとして出力される。ここで、チップ毎に、シフト量Vsを同じ値にプログラムすると、VPCには、チップ毎のVtバラツキやウェハ間、ロット間におけるバラツキも反映されることになる。
<センス回路の動作波形>
次に、図9を用いて、温度補償が実行されている場合のセンス回路の動作波形について説明する。なお、図中、縦軸は、電圧を、横軸は時間を示している。
次に、図9を用いて、温度補償が実行されている場合のセンス回路の動作波形について説明する。なお、図中、縦軸は、電圧を、横軸は時間を示している。
まず、メモリセルからハイ("H")データを読み出す場合(図9(A))について説明する。なお、ビット線プリチャージ電圧VPCがそれぞれグラウンド電位0Vに設定されている。
ハイデータ読み出しの場合、まず、プリチャージ解除期間にPCがロウ、/PCがハイとなってnMOSトランジスタQ2、pMOSトランジスタQ5がそれぞれオフし、ビット線BLは0Vに、グローバルビット線GBLはVDDにプリチャージされた状態でフローティングとなる。
続いて、セル選択期間になると、SEがハイとなりWLがハイとなったところで、メモリセルからハイの信号電圧が、ビット線に読み出され(詳細には、メモリセルがアクセスされることによって、メモリセルデータの電荷がビット線(信号線)との容量比に対応してビット線(信号線)へ伝達される)、センス期間が始まる。センス期間では、ビット線の電位はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの分布上限より高い電位にあるため、nMOSトランジスタQ1のドレイン電流が大きく、グローバルビット線GBLの寄生容量Cgbに充電された電荷を早く引き抜くため、グローバルビット線GBLの電位がVDDから急速に0Vに放電される。
センス期間終了時のグローバルビット線GBLの電位は0Vとなり、この電位は、グローバルビット線センス回路では、ロウと検出され、図示しない反転回路で、反転されてハイデータとして読み出される。なお、図中の網掛け部分であるnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vt分布は、製造時の寸法ばらつきやゲート絶縁膜厚のばらつき、チャネル不純物分布のゆらぎなどで閾値電圧がばらつく範囲を示す。リストア期間になると、SEがロウとなり、図示しない再書き込み回路によってビット線電位がVDDのハイレベルにされ、メモリセルにハイデータが書き戻される。
一方、メモリセルからロウ("L")データを読み出す場合(図9(B))は、まず、プリチャージ解除期間にPCがロウ、/PCがハイとなってnMOSトランジスタQ2、pMOSトランジスタQ5がそれぞれオフし、ビット線BLは0Vに、グローバルビット線GBLはVDDにプリチャージされた状態でフローティングとなる。
続いて、セル選択期間になると、SEがハイとなり、WLがハイとなったところで、メモリセルからロウの信号電圧が、ビット線に読み出され、センス期間が始まる。センス期間では、ビット線の電位は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの分布下限より少し高い電位にあるため、nMOSトランジスタQ1のドレイン電流が小さく、グローバルビット線GBLの寄生容量Cgbに充電された電荷はゆっくりと引き抜かれ、グローバルビット線GBLの電位はVDDからゆっくりと放電される。
センス期間終了時のグローバルビット線GBLの電位はVDDよりわずかに下がった状態であるためグローバルビット線センス回路では、ハイとしてセンス増幅され、図示しない反転回路で反転されてロウデータとして読み出される。リストア期間になると、SEがロウとなり図示しない再書き込み回路によってビット線電位が0Vのロウレベルにされて、メモリセルにロウデータが書き戻される。
以上、説明したように、本実施形態によれば、プリチャージ電圧を制御して、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度依存性を補償するため、簡易な構成で的確に温度補償を実行することができる。また、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧の温度依存性に伴う変化が、キャンセルされるため、センス回路の動作マージンが向上し、メモリのセンス動作が安定する。さらに、MOSトランジスタの製造ばらつき範囲の許容量を大きくすることができるため、微細化、高集積化に適したメモリを提供できる。
なお、本実施形態に係るセンス回路は、上述のように、温度補償により、センス回路の動作マージンが向上し、メモリのセンス動作が安定するため、高精度のデータ処理システム等にも用いることができる。
<第2の実施形態>
図10から図18を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、半導体装置として、階層型ビット線構成のDRAMを例に説明する。
図10から図18を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、半導体装置として、階層型ビット線構成のDRAMを例に説明する。
<全体回路構成>
図10は、本発明の温度補償型センス回路を含んだDRAMメモリセルアレイの一部分の回路を示す図である。図に示すように、同回路は、ワード線WLと、ビット線BLと、その交点に配置されるメモリセル1と、温度補償型センス回路20と、グローバルビット線GBLと、グローバルビット線センス回路3から構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
図10は、本発明の温度補償型センス回路を含んだDRAMメモリセルアレイの一部分の回路を示す図である。図に示すように、同回路は、ワード線WLと、ビット線BLと、その交点に配置されるメモリセル1と、温度補償型センス回路20と、グローバルビット線GBLと、グローバルビット線センス回路3から構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
温度補償センス回路20を構成するnMOSトランジスタQ1は、ゲートにビット線BLが接続され、ビット線BLに読み出された信号電圧をセンス・増幅してドレイン電流に変換する。なお、本実施形態は、nMOSトランジスタQ1のソース電位を予め設定した電位に制御して温度依存性を補償するものであり、消費電力の増加を抑制しつつ、的確に、MOSトランジスタの温度補償を実行するものであるが、温度補償の詳細については、後述する。
<温度補償回路の作用>
次に、図11から図13を用いて、温度変化による温度補償回路の作用について説明する。
図11は、温度Tが0℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃を基準温度とすると、この例では、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtが30mV上昇する。このとき、電圧VSSAは、後述するVSSA生成回路によって、−0.03Vに設定される。電圧VSSAが、−0.03Vシフトしたことにより、ビット線から見たnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtは、−0.03V、すなわち、30mV下がるため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性による上昇分30mVをキャンセルすることができる。従って、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は温度補償のない図19の場合に比べて広くすることができる。
次に、図11から図13を用いて、温度変化による温度補償回路の作用について説明する。
図11は、温度Tが0℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃を基準温度とすると、この例では、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtが30mV上昇する。このとき、電圧VSSAは、後述するVSSA生成回路によって、−0.03Vに設定される。電圧VSSAが、−0.03Vシフトしたことにより、ビット線から見たnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtは、−0.03V、すなわち、30mV下がるため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性による上昇分30mVをキャンセルすることができる。従って、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は温度補償のない図19の場合に比べて広くすることができる。
図12は、温度Tが50℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃は基準温度なので、この例では、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtも基準値となる。この時、電圧VSSAは、後述するVSSA生成回路によって、0Vに設定される。また、電圧VSSAが0Vなので、ビット線に読み出される信号電圧は、図19と同様になるが、他の温度におけるnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性がキャンセルされるため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は図19の場合に比べて広くすることができる。
図13は、温度Tが100℃の場合を示している。ここで、温度T=50℃を基準温度とすると、この例ではnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtが30mV低下する。この時、電圧VSSAは、後述するVSSA生成回路によって、0.03Vに設定される。電圧VSSAが、0.03Vシフトしたことにより、ビット線から見たnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtは、0.03V、すなわち、30mV上がるため、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性による低下分30mVをキャンセルすることができる。従って、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの製造バラツキによる分布の許容範囲は温度補償のない図19の場合に比べて広くすることができる。
<温度補償回路(VSSA生成回路)の構成>
図14を用いて、温度補償回路(VSSA生成回路)の構成について、説明する。
図14に示すように、温度補償回路(VSSA生成回路)は、Vtモニタ回路51と、反転&レベルシフト回路52と、VSSRドライバ回路53と、出力切替回路54と、シフト量設定回路55とから構成されている。
図14を用いて、温度補償回路(VSSA生成回路)の構成について、説明する。
図14に示すように、温度補償回路(VSSA生成回路)は、Vtモニタ回路51と、反転&レベルシフト回路52と、VSSRドライバ回路53と、出力切替回路54と、シフト量設定回路55とから構成されている。
まず、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの温度依存性をモニタするVtモニタ回路51の出力電圧が、反転&レベルシフト回路52に入力される。レベルシフト回路52には、シフト量設定回路55からシフト量を決める情報が送られ、これに基づいてシフト量が決定される。
シフト量設定回路55は、上述した基準温度、この例では50℃において、電圧VSSAが0Vになるように設定される。この作業は、例えばDRAMのプローブ検査の際に、ウェハ温度を50℃に設定し、電圧VSSAの値をモニタしながらシフト量設定回路55の設定値をチップごとにプログラムすることで行われる。
また、このとき、基準となるシフト量を決め、チップ毎に同じシフト量をプログラムしてもよい。このようにすると、チップ毎やウェハやロット単位でnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtがばらついた場合でも、それをキャンセルできるため効果的である。
プログラム手段としては、レーザヒューズ、電気ヒューズ、不揮発性メモリ素子、ワンタイムプログラマブル素子などが利用できる。レベルシフト回路52の出力は電流駆動能力を増加させるためのVSSRドライバ回路53を通してビット線プリチャージ用nMOSトランジスタQ2に供給される。
出力切替回路54は、ビット線に読み出し信号が発生し、nMOSトランジスタQ1によって、センス増幅動作が開始された後、一定の遅延時間をおいてVSSAの電源を温度補償されたVSSRからグランド電圧(VSS)に切り替える。これは、センス動作がある程度進むと、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtのばらつきの影響が少なくなるため、電圧VSSAをVSSRドライバ53から、より電流駆動能力のあるグランド電位(VSS)に切り替えることにより、増幅動作の高速化を図るためである。
<Vtモニタ回路の構成>
図15は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧VtをモニタするVtモニタ回路の例を示す。
ここで、VDLは、正の内部定電圧電源電位を、VELは、負の内部定電位電源電位を示している。また、nMOSトランジスタQ6はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧をモニタするためにnMOSトランジスタQ1と概略同じサイズで形成されている。nMOSトランジスタQ6のソースとVELの間には、閾値電圧を定義するための一定の電流Ibiasを流す電流源が接続されている。オペアンプOP1は、この電流を流している状態でnMOSトランジスタQ6のソース電位がグラウンド電位0VになるようにnMOSトランジスタQ6のゲート電位を制御するため、出力ノードN1にグラウンド電圧を基準としたnMOSトランジスタQ6の閾値電圧Vtが出力される。したがって、簡易な回路構成で、正確に、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtをモニタすることができる。
図15は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧VtをモニタするVtモニタ回路の例を示す。
ここで、VDLは、正の内部定電圧電源電位を、VELは、負の内部定電位電源電位を示している。また、nMOSトランジスタQ6はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧をモニタするためにnMOSトランジスタQ1と概略同じサイズで形成されている。nMOSトランジスタQ6のソースとVELの間には、閾値電圧を定義するための一定の電流Ibiasを流す電流源が接続されている。オペアンプOP1は、この電流を流している状態でnMOSトランジスタQ6のソース電位がグラウンド電位0VになるようにnMOSトランジスタQ6のゲート電位を制御するため、出力ノードN1にグラウンド電圧を基準としたnMOSトランジスタQ6の閾値電圧Vtが出力される。したがって、簡易な回路構成で、正確に、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtをモニタすることができる。
<反転&レベルシフト回路、VSSRドライバ回路、出力切替回路の構成>
図16は、反転&レベルシフト回路、VSSRドライバ回路、出力切替回路の構成を示している。反転&レベルシフト回路52は、オペアンプOP2を用いた反転増幅回路であり、入力にN1すなわち、図15におけるQ6の閾値電圧Vtが印加され、通常グランドとされる端子にはシフト電圧としてシフト量設定回路55の出力電圧Vsが印加される。また、レベルシフト回路の抵抗は、R1=R2とし、増幅率は、−1に設定されているため、OP2の出力電圧V2は、−Vt+2Vsとなる。
図16は、反転&レベルシフト回路、VSSRドライバ回路、出力切替回路の構成を示している。反転&レベルシフト回路52は、オペアンプOP2を用いた反転増幅回路であり、入力にN1すなわち、図15におけるQ6の閾値電圧Vtが印加され、通常グランドとされる端子にはシフト電圧としてシフト量設定回路55の出力電圧Vsが印加される。また、レベルシフト回路の抵抗は、R1=R2とし、増幅率は、−1に設定されているため、OP2の出力電圧V2は、−Vt+2Vsとなる。
シフト量設定回路55は、正の電源電位VDLと負の電源電位VELを抵抗分割して取り出した多数の中間電位の中から所望の電位をセレクタで選択してVsとして出力する。セレクタが、どの中間電位を選択するかは、タップ選択回路にプログラムされ、その出力信号に従って、セレクタが所望の電位を選択する。また、シフト量設定回路55の出力電位Vsはローパスフィルタを通して、反転&レベルシフト回路52に供給される。
VSSRドライバ回路53は、オペアンプOP3を用いたボルテージフォロア回路であり、OP2の出力電圧と同じ電圧をVSSR=―Vt+2Vsとして出力する。出力切替回路54は、電圧電位VSSAとしてVSSRまたは、グランド電位VSSを選択的に出力する。また、センスアンプ選択信号SEが遅延回路に入力され、反転されてnMOSトランジスタQ7のゲートに入力される。したがって、SEがロウの期間は、VSSA=VSSR、SEがハイの期間は、SEがハイに遷移してから一定の遅延の後に、VSSA=VSSとなるように制御される。これにより、前述のように、ビット線に読み出し信号電圧が発生し、nMOSトランジスタQ1によって、センス増幅動作が開始された後、一定の遅延期間をおいて、VSSAの電源が温度補償されたVSSRからグランド電位(VSS)に切り替えられる。
<センス回路の処理>
本実施形態のセンス回路は、次のような処理を行って、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を行う。
本実施形態のセンス回路は、次のような処理を行って、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を行う。
まず、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧値をモニタし(ステップS201)、基準温度において、変換された電圧値が、nMOSトランジスタQ1のソース電位をとなるように、レベルシフトする(ステップS201)。
そして、レベルシフトされた電圧値に電流供給能力を付加し、nMOSトランジスタQ1のソース電位をとして出力し(ステップS203)、nMOSトランジスタQ1のソース電位をビット線の読み出し信号電圧が発生した後、一定の遅延時間経過後、グランド電位に切り替える(ステップS204)。
したがって、簡易な構成により、的確に、センス回路を構成するMOSトランジスタの温度補償を実行し、センス回路の動作マージンを十分に確保することができる。
<VSSRの生成過程>
次に、図17を用いて、VSSRの生成過程を具体的に説明する。
図17は、上述したVSSA生成回路における各回路の出力電圧の遷移を示した模式図である。Vtモニタ回路51では、基準温度50℃におけるQ6の閾値電圧Vtが0.09V、0℃と100℃における温度依存性による変化が、±0.03VというQ6の閾値電圧Vtの温度依存性がモニタ出力される。
次に、図17を用いて、VSSRの生成過程を具体的に説明する。
図17は、上述したVSSA生成回路における各回路の出力電圧の遷移を示した模式図である。Vtモニタ回路51では、基準温度50℃におけるQ6の閾値電圧Vtが0.09V、0℃と100℃における温度依存性による変化が、±0.03VというQ6の閾値電圧Vtの温度依存性がモニタ出力される。
続いて、反転&レベルシフト回路52で反転して、2Vsシフトされる。本実施形態では、基準温度50℃においてレベルシフト回路の出力電圧が0Vに設定されるので、Vsの値が0.045Vとなるようにシフト量設定回路55のタップ選択回路がプログラムされており、その結果、レベルシフト回路の出力電位は0±0.1Vとなり、温度依存性は、Vtモニタ回路51の出力から反転され、この電圧がVSSRドライバ回路53から出力される。
<センス回路の動作波形>
次に、図18を用いて、温度補償が実行されている場合のセンス回路の動作波形について説明する。なお、図中、縦軸は、電圧を、横軸は時間を示している。
次に、図18を用いて、温度補償が実行されている場合のセンス回路の動作波形について説明する。なお、図中、縦軸は、電圧を、横軸は時間を示している。
まず、メモリセルからハイ("H")データを読み出す場合(図18(A))について説明する。なお、電圧VSSAがそれぞれグラウンド電位0Vに設定されている。
ハイデータ読み出しの場合、まず、プリチャージ解除期間にPCがロウ、/PCがハイとなってnMOSトランジスタQ2、pMOSトランジスタQ5がそれぞれオフし、ビット線BLは0Vに、グローバルビット線GBLはVDDにプリチャージされた状態でフローティングとなる。
続いて、セル選択期間になると、WLがハイとなったところで、メモリセルからハイの信号電圧が、ビット線に読み出され、その後、SEがハイとなりセンス期間が始まる。センス期間では、ビット線の電位はnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの分布上限より高い電位にあるため、nMOSトランジスタQ1のドレイン電流が大きく、グローバルビット線GBLの寄生容量Cgbに充電された電荷を早く引き抜くため、グローバルビット線GBLの電位がVDDから急速に0Vに放電される。
センス終了時のグローバルビット線GBLの電位は0Vとなり、この電位は、グローバルビット線センス回路では、ロウと検出され、図示しない反転回路で、反転されてハイデータとして読み出される。なお、図中の網掛け部分であるnMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vt分布は、製造時の寸法ばらつきやゲート絶縁膜厚のばらつき、チャネル不純物分布のゆらぎなどで閾値電圧がばらつく範囲を示す。リストア期間になると、SEがロウとなり、図示しない再書き込み回路によってビット線電位がVDDのハイレベルにされ、メモリセルにハイデータが書き戻される。
一方、メモリセルからロウ("L")データを読み出す場合(図18(B))は、まず、プリチャージ解除期間にPCがロウ、/PCがハイとなってnMOSトランジスタQ2、pMOSトランジスタQ5がそれぞれオフし、ビット線BLは0Vに、グローバルビット線GBLはVDDにプリチャージされた状態でフローティングとなる。
続いて、セル選択期間になると、WLがハイとなったところで、メモリセルからロウの信号電圧が、ビット線に読み出され、その後、SEがハイとなりセンス期間が始まる。センス期間では、ビット線の電位は、nMOSトランジスタQ1の閾値電圧Vtの分布下限より少し高い電位にあるため、nMOSトランジスタQ1のドレイン電流が小さく、グローバルビット線GBLの寄生容量Cgbに充電された電荷はゆっくりと引き抜かれ、グローバルビット線GBLの電位はVDDからゆっくりと放電される。
センス期間終了時のグローバルビット線GBLの電位はVDDよりわずかに下がった状態であるためグローバルビット線センス回路では、ハイとしてセンス増幅され、図示しない反転回路で反転されてロウデータとして読み出される。リストア期間になると、SEがロウとなり図示しない再書き込み回路によってビット線電位が0Vのロウレベルにされて、メモリセルにロウデータが書き戻される。
以上、説明したように、本実施形態によれば、MOSトランジスタのソース電位を予め設定した電位に制御して温度依存性を補償するため、簡易な構成で的確に温度補償を実行することができる。また、センス回路を構成するMOSトランジスタの閾値電圧の温度依存性に伴う変化が、キャンセルされるため、センス回路の動作マージンが向上し、メモリのセンス動作が安定する。さらに、MOSトランジスタの製造ばらつき範囲の許容量を大きくすることができるため、微細化、高集積化に適したメモリを提供できる。
なお、本実施形態に係るセンス回路は、上述のように、温度補償により、センス回路の動作マージンが向上し、メモリのセンス動作が安定するため、高精度のデータ処理システム等にも用いることができる。
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、本実施形態では、各MOSトランジスタの極性を上記のように構成したが、これらのMOSトランジスタの極性をすべて反転させて回路を構成することも可能である。この場合、電源電位とグランドとの関係等、および制御信号の極性についても反転する。
更に、DRAM以外の不揮発性メモリを含むその他のメモリにおいても、メモリ機能以外の部分におけるセンシング回路にも使用できる。
1・・・メモリセル、
2・・・温度補償型センス回路
3・・・グローバルビット線センス回路
41、51・・・Vtモニタ回路
42・・・転送比変換回路
43・・・レベルシフト回路
44・・・VPCドライバ回路
45、55・・・シフト量設定回路
52・・・反転&レベルシフト回路
53・・・VSSRドライバ回路
54・・・出力切替回路
2・・・温度補償型センス回路
3・・・グローバルビット線センス回路
41、51・・・Vtモニタ回路
42・・・転送比変換回路
43・・・レベルシフト回路
44・・・VPCドライバ回路
45、55・・・シフト量設定回路
52・・・反転&レベルシフト回路
53・・・VSSRドライバ回路
54・・・出力切替回路
Claims (1)
- メモリセルに接続されたビット線と、
センス回路に接続されたグローバルビット線と、
ゲートがビット線に接続された第1のトランジスタと、
前記ビット線をプリチャージする第2のトランジスタと、
前記グローバルビット線と前記第1のトランジスタのドレインとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの温度依存性を補償する温度補償回路と、を備えることを特徴とする半導体装置。
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