JP2014176877A - 異材継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】高Cr鋼とNi基超合金により構成される異材継手において、Cの拡散を抑制し、高Cr鋼とNi基超合金の間で脱炭、及び、浸炭が発生するのを抑制すること。
【解決手段】溶接継手は、フェライト系Cr鋼と、オーステナイト系Ni基超合金が溶接により接合されている異材継手であって、フェライト系Cr鋼とオーステナイト系Ni基超合金の双方のCr含有量が10〜15質量%であることを特徴とする。Cr含有量10〜15質量%のフェライト系Cr鋼と、オーステナイト系Ni基超合金を用いることにより、両合金間のCr含有量の差を小さく抑えることができ、脱炭・浸炭を回避することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば蒸気タービンやガスタービンのロータに適用できる溶接による異材継手に関する。
従来、蒸気タービンやガスタービンの高温部に用いるロータ用の材料として、フェライト系12Cr鋼(例えばC:0.13%,Si:0.06%,Mn:0.52%,Ni:0.7%,Cr:10.3%,Mo:0.38%,W:1.81%,V:0.17%,Nb:0.05%,Fe:残部)が用いられている。なお、本願において、%は質量%を意味する。
近年、熱効率向上のため、例えば蒸気タービンにおいては蒸気温度を650℃以上に昇温させるべく開発が進められている。
このように蒸気温度が高温化すると、大型のロータに求められる耐熱強度が高くなり、従来のフェライト系12Cr鋼(以下、高Cr鋼という)では対応することができない。そこで、高Cr鋼と、高Cr鋼よりも高い耐熱強度を有するNi基超合金を溶接により一体化したロータが提案されている。この複合化ロータは、高い耐熱強度が要求される部分に、Ni基超合金により構成される部分が配置される。
高Cr鋼とNi基超合金のように材質の異なる素材同士を溶接する場合、溶融境界面で脱炭、浸炭が生じる。つまり、Cr含有量が異なる素材を溶接した後に高温に加熱されると、低Cr素材の側から高Cr素材の側にCが拡散して移動し、低Cr素材には脱炭層が、また、高Cr素材には浸炭層が形成されてしまう。通常、脱炭層が軟化(硬度低下)する一方、浸炭層は硬化するため、低Cr素材と高Cr素材からなる異材継手は所期の機械的強度が得られないおそれがある。
この脱炭・浸炭を防止するために、特許文献1は、低Cr鋼と高Cr鋼の間に両者の中間の組成をもつ溶接材料(以下、中間材)を介在して溶接することを提案している。
特開昭62−130776号公報 特許4800856号 特許2948324号
しかし、特許文献1の提案では、中間材と低Cr素材の間、中間材と高Cr素材の間で、Cの移動が生じるおそれがある。また、中間材と低Cr素材の間、中間材と高Cr素材の間の溶接を行うので、中間材を用いない場合に比べて溶接の手間が増える。さらに、選択する低Cr素材と高Cr素材のCr含有量によって、複数種の中間材を用意しなければならない場合もあり、コストがかかる。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、高Cr鋼とNi基超合金により構成される異材継手において、Cの拡散を抑制し、高Cr鋼とNi基超合金の間で脱炭、及び、浸炭が発生するのを抑制することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の溶接継手は、フェライト系Cr鋼と、オーステナイト系Ni基超合金が溶接により接合されている異材継手であって、フェライト系Cr鋼とオーステナイト系Ni基超合金の双方のCr含有量が10〜15質量%であることを特徴とする。
Cr含有量10〜15質量%のフェライト系Cr鋼と、オーステナイト系Ni基超合金を用いることにより、両合金間のCr含有量の差を小さく抑えることができ、脱炭・浸炭を回避することができる。
本発明の異材継手は、フェライト系Cr鋼が、質量%で、C:0.08〜0.25%、Si:0.10%以下、Mn:0.10%以下、Ni:0.05〜1.0%、Cr:10〜12.5%、Mo:0.5〜1.9%、W:1.0〜1.95%、V:0.10〜0.35%、Nb:0.02〜0.10%、B:0.001〜0.01%、N:0.01〜0.08%、Co:2.0〜8.0%、残部は不可避的不純物及びFeであり、オーステナイト系Ni基超合金が、質量%で、C:0.15%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、Cr:10〜15%、Mo+1/2(W+Re):5〜10%、Ti:0.10〜0.95%、Al:0.1〜2.5%、B:0.001〜0.02%、Zr:0.001〜0.2%、Nb+1/2Ta:6.5%以下、Co:0.1〜5.0%Fe:4.0%以下、残部が不可避的不純物及びNiからなることが好ましい。
このようなフェライト系Cr鋼とオーステナイト系Ni基超合金を用いることにより、脱炭・浸炭を生じないCr鋼とNi基超合金からなる異材継手を提供することができる。
本発明によれば、フェライト系Cr鋼とオーステナイト系Ni基超合金からなる異材継手の脱炭・浸炭を抑制できる。
脱炭・浸炭を説明するための図である。 高Cr鋼/Ni超合金異材継手境界近傍の成分分布を示す図である。 高Cr鋼/Ni超合金異材継手境界近傍の硬さ分布を示す図である。 異材継手の引張強さを示す図である。 本実施形態に係るタービンロータの構成を模式的に示した平面図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
[構成]
本実施形態に係るタービンロータ1、例えば650℃以上の高温蒸気が導入される蒸気タービンに用いられる。
図5に示すように、タービンロータ1は、2つのNi基合金部11a、11b、2つの高Cr鋼部12a、12bから構成されている。なお、Ni基合金部11、高Cr鋼部12と総称することがある。
2つのNi基合金部11aとNi基合金部11bは溶接によって接合されて溶接継手21を形成し、2つのNi基合金部11a、11bはそれぞれ高Cr鋼部12a、12bと溶接によって接合されてそれぞれ溶接継手22a、22bを形成することで、一端部から高Cr鋼部12a、溶接継手22a、Ni基合金部11a、溶接継手21、Ni基合金部11b、溶接継手22b、高Cr鋼部12bの順に一体化されたタービンロータ1を形成している。
また、Ni基合金部11a、11b及び溶接継手21は650℃以上の温度の蒸気に晒される位置に配置され、溶接継手22a並びに22b、及び高Cr鋼部12a並びに12bは650℃以下の温度の蒸気に晒される位置に配置される。これらの配置、温度は一例に過ぎず、発明は他の配置を採用することを妨げない。
次に、タービンロータ1を構成するNi基合金部11、及び高Cr鋼部12を構成する合金、鋼の化学成分について説明する。
[Ni基合金部11]
Ni基合金部11は、C:0.15%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、Cr:10〜15%、Mo+1/2(W+Re):5〜10%、Ti:0.10〜0.95%、Al:0.1〜2.5%、B:0.001〜0.02%、Zr:0.001〜0.2%、Nb+1/2Ta:6.5%以下、Fe:4.0%以下、Co:0.1〜5.0%、残部が不可避的不純物及びNiからなる。このNi基超合金は、特許文献2に開示されているが、Crの含有量を高Cr鋼部12と整合させているところに特徴がある。
[C:0.15%以下]
Cは、Ti,Nb,Cr及びMoと結合して炭化物を形成し、高温強度を高めるとともに、結晶粒の粗大化を防止するために含有させる元素であるが、0.15%より多いと熱間加工性が低下するので、その含有量を0.15%以下とする。望ましくは、0.10%以下である。
[Si:1%以下]
Siは、脱酸剤として添加されるばかりでなく、耐酸化性を改善させる元素であるが、1%を超えて含有させると延性が低下するので、その含有量を1%以下とする。望ましくは0.5%以下である。
[Mn:1%以下]
Mnは、Siと同様に脱酸剤として添加されるが、1%を超えて添加すると高温酸化特性が悪くなるばかりでなく、延性を害するη相(NiTi)の析出を助長するので、その含有量を1%以下とする。望ましくは0.5%以下である。
[Cr:10〜15%]
Crは、オーステナイト相に固溶し、高温酸化及び腐食を改善させるために含有させる元素である。
十分な耐高温酸化及び腐食特性を維持するためには多い方が望ましいが、線膨張係数を増加する元素である。ただし、本実施形態では、高Cr鋼部12との関係で10〜15%とする。
[Mo+1/2(W+Re):5〜10%]
Mo,W及びReは、オーステナイト相に固溶し、固溶強化によって高温強度を高めるとともに熱膨張係数を下げるために含有させる元素である。そのために、Mo+1/2(W+Re)の総和が最低5%以上必要であるがこの総和が多くなりすぎると熱間加工性が低下するばかりでなく、脆化相が析出して延性が低下するので、上限を10%以下にする。
[Ti:0.10〜0.95%]
Tiは、Niと結合してγ´相を形成し、γ´相を強化するとともに線膨張係数を低下させ、またγ´相の時効析出硬化を促進させる。この効果を得るために、Tiを0.10%以上含有させる。
一方0.95%を超えて添加すると脆化相であるη相(NiTi)の析出を促進して、溶接性を害し、また併せて熱間加工性を害する上、延性の低下を招くため、上限を0.95%とする。
[Al:0.1〜2.5%]
Alは、耐酸化性を向上させるとともにNiと結合してγ´相を形成し析出強化する最も重要な元素である。
この含有量が0.1%より少ないとγ´相の析出が十分でなく、またTiやNbとTaが多量に存在する場合にはγ´相が不安定になってη相やδ相が析出して脆化を起こし、熱間加工性が低下して部品への鍛造成形が困難となるので、その含有量を0.1〜2.5%とする。望ましい範囲は0.2〜2.0%未満である。
[B:0.001〜0.02%及びZr:0.001〜0.2%]
B及びZrは結晶粒界に偏析してクリープ強度を高める。またBはTiの多い合金ではη相の析出を抑える効果がある。但し過剰に含有させると熱間加工性及び溶接性を害するのでBについては含有量を0.001〜0.02%とし、Zrについては含有量を0.001〜0.2%とする。
[Nb+1/2Ta:6.5%以下]
Nb及びTaは炭化物を形成して延性低下割れを抑制する作用があると共に、Ni基超合金の析出強化相であるγ´相(Ni(Al,Nb,Ta))や炭化物を形成して高温強度を上昇させる作用がある。但し、Nb及びTaの合計量が多過ぎてしまうと、形成されるγ’相の体積割合が多くなり過ぎて熱間加工性および延性が著しく低下してしまうと共に、溶接時の凝固割れが許容できない範囲となってしまうことから、含有量をNb+1/2Taで66.5%以下とする。望ましい範囲は2.5%以下である。
[Fe:4.0%以下]
Feは、合金のコストを低減するために添加され、または合金にW,Mo等の成分を調整するために添加する母合金に粗製のフェロアロイを用いることで合金に含有される。
Feは合金の高温強度を低下させ線膨張係数を高くする。このために少ない方が望ましいが、4.0%以下であれば高温強度及び熱膨張係数に及ぼす影響が小さいため上限値を40%とする。より望ましくは2.0%以下とする。
[Co:0.1〜5.0%]
Coは合金に固溶して高温強度を高くする元素であるが、高価であるのでその含有量は5%未満とする。
[Ni:残部]
Niはマトリックスであるオーステナイトを形成する主元素であり、耐熱性及び耐食性を
向上させる元素である。また、析出強化相であるγ´相を形成する元素でもある。
[高Cr鋼部12]
次に、高Cr鋼部12は、C:0.08〜0.25%、Si:0.10%以下、Mn:0.10%以下、Ni:0.05〜1.0%、Cr:10.0〜12.5%、Mo:0.6〜1.9%、W:1.0〜1.95%、V:0.10〜0.35%、Nb:0.02〜0.10%、B:0.001〜0.01%、N:0.01〜0.08%、Co:2.0〜8.0%、残部は不可避的不純物及びFeである。この高Cr鋼は、特許文献3に開示されているが、Crの含有量をNi基合金部11と整合させているところに特徴がある。
[C:0.08〜0.25%]
Cは焼入性を確保し、焼戻し過程でCr、Mo、Wなどと結合してM23型炭化物を結晶粒界、マルテンサイトラス粒界上に形成するとともに、Nb、Vなどと結合してMX型炭窒化物をマルテンサイトラス内に形成する。M23型炭化物及びMX型炭窒化物の析出強化により高温強度を高めることができる。さらに、Cは耐力や靱性を確保する以外にも、δ−フェライト及びBNの生成の抑制に必要不可欠な元素であり、本発明ロータ材に必要な耐力や靱性を得るためには、0.08%以上必要である。しかし、あまり多量に添加すると、かえって靱性を低下させるとともに、M23型炭化物を過度に析出させ、マトリックスの強度を低めてかえって長時間側の高温強度を損なうので、0.08〜0.25%に限定する。望ましくは、0.09〜0.13%である。さらに望ましくは、0.10〜0.12%である。
[Si:0.10%以下]
Siは溶鋼の脱酸剤として有効な元素である。しかし、Siは多く添加すると脱酸による生成物であるSiOが鋼中に存在し、鋼の清浄度を害し、靱性を低下させる。また、Siは金属間化合物であるラーベス相(FeM)の生成を促し、また粒界偏析等によりクリープ破断延性を低下させる。さらに、高温使用中において、焼戻し脆性を助長するので、有害元素としてその含有量を0.10%以下とした。
なお、近年、真空カーボン脱酸法やエレクトロスラグ再溶解法が適用され、必ずしもSi脱酸を行う必要がなくなってきており、そのときの含有量は0.05%以下でありSi量は低減できる。
[Mn:0.10%以下]
Mnは溶鋼の脱酸、脱硫剤として有効であり、また、焼入を増大させて強度を高めるのに有効な元素である。また、Mnは、δ−フェライト及びBNの生成を抑制し、M23型炭化物の析出を促進する元素として有効な元素である。しかし、Mn量増加とともにクリープ破断強度を低下させるので、その含有量を最大0.1%に限定する。望ましくは、0.05〜0.1%である。
[Ni:0.05〜1.0%]
Niは鋼の焼入性を増大させ、δ−フェライト及びBNの生成を抑制し、室温における強度及び靱性を高める有効な元素のため、最低0.05%必要であり、特に靱性向上に有効である。また、これらの効果はNi及びCr両元素の含有量の多い場合には、その相乗効果により著しく増加する。しかし、Niは1.0%を越えると、高温強度(クリープ強度、クリープ破断強度)を低下させ、また、焼戻し脆性を助長するので、その含有量を0.05〜1.0%とした。望ましくは、0.05〜0.5%である。
[Cr:10.0〜12.5%]
Crは耐酸化性・耐食性を付与し、析出分散強化により高温強度に寄与するM23型炭化物の構成元素として必要不可欠の元素である。上記の効果を得るためには本発明鋼の場合には最低10%必要であるが、12.5%を越えるとδ−フェライトを生成し、高温強度及び靱性を低下させるので10.0〜12.5%に限定する。望ましくは、10.2〜11.5%である。また、大型ロータの製造にあたっては、溶体化熱処理時にδ−フェライトの析出を阻止することが不可欠である、本発明鋼におけるCr当量(Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−2Mn−4Ni−2Co−30N)は7.5%以下に限定するのが好ましい。これより、δ−フェライトに生成を回避できる。
[Mo:0.5〜1.9%]
Moは、Crと同様にフェライト鋼の添加元素として重要な元素である。Moを鋼に添加すると、焼入性を増大し、また、焼戻し時の焼戻し軟化抵抗を大きくして、常温の強度(引張強さ、耐力)及び高温強度の増大に有効である。また、Moは固溶体強化元素として作用するとともに、M23型炭化物の微細析出を促進し、凝集を妨げる作用がある。そして、その他の炭化物を生成するため、析出強化用元素として、クリープ強度やクリープ破断強度などの高温強度の向上に非常に有効な元素である。さらに、Moは0.5%程度以上添加すると、鋼の焼戻し脆性を阻止するため、非常に有効な元素である。しかし、Moの過剰添加はδ−フェライトを生成し、靱性を著しく低下させるとともに、金属間化合物であるラーベス相(FeM)の新たな析出を招くが、本発明鋼の場合、Coを同時に添加しているため、上記δ−フェライトの生成は抑制される。したがって、Mo添加量の上限は1.9%まで高められるので、Mo量は0.5〜1.9%とした。
[W:1.0〜1.95%]
Wは、Mo以上にM23型炭化物の凝集粗大化を抑制する効果がある。さらに、固溶体強化元素として、クリープ強度やクリープ破断強度などの高温強度の向上に有効な元素であり、その効果はMoとの複合添加の場合に顕著である。しかし、Wを多く添加するとδ−フェライトや金属間化合物であるラーベス相(FeM)を生成しやすくなり、延性、靱性が低下するとともに、クリープ破断強度が低下する。また、Wの添加量はMoの添加量の他に、後述のCoの添加量に影響され、2.0〜8.0%のCoの添加量の範囲では、Wを2%より多く添加すると、大型鍛造品として、凝固偏析等の好ましくない現象もでてくる。これらを考慮して、W量は1.0〜1.95%とした。なお、Wを添加することによる効果は、Moとの複合添加の場合顕著に表れ、その添加量(Mo+0.5W)は、1.40〜2.45%が好ましい。この(Mo+0.5W)をMo当量と定義する。
[V:0.10〜0.35%]
Vは、Moと同様に常温における強度(引張強さ、耐力)の向上に有効な元素である。さらに、Vの微細な炭窒化物をマルテンサイトラス内に生成させるが、これら微細な炭窒化物は、クリープ中の転位の回復を制御してクリープ強度やクリープ破断強度など高温強度を増加させる。このため、Vは析出強化元素として、また固溶体強化元素としても重要な元素である。
そして、Vはある程度の添加範囲(0.03〜0.35%)の添加量であれば、結晶粒を微細化させて、靱性向上にも有効である。しかし、あまり多量に添加すると、靱性を低下させるとともに、Cを過度に固定し、M23型炭化物の析出量を減じて逆に高温強度を低下させるので、その含有量は0.10〜0.35%とした。望ましくは、0.15〜0.25%である。
[Nb:0.02〜0.10%]
Nbは、Vと同様に引張強さや耐力などの常温強度、ならびにクリープ強度やクリープ破断強度などの高温強度の増大に有効な元素であると同時に微細なNbCを生成して結晶粒を微細化させ、靱性向上に非常に有効な元素である。また、一部は焼入れの際、固溶して焼戻し過程での上記のV炭窒化物と複合したMX型炭窒化物を析出し、高温強度を高める作用があり、最低0.02%必要である。しかし、0.10%を越えると、Vと同様にCを過度に固定してM23型炭化物の析出量を減少し、高温強度の低下を招くので0.02〜0.10%に限定する。望ましくは、0.02〜0.05%である。また、大型ロータの製造にあたっては、鋼塊凝固時に塊状のNbCが晶出し、この塊状NbCが機械的性質に悪影響を及ぼすことがある。
そこで、Nbと0.4倍のCの和をNb+0.4C≦0.12%に限定するのが望ましい。この(Nb+0.4C)をNb当量と定義する。これより、塊状NbCの晶出を回避できる。
[B:0.001〜0.01%]
Bは粒界強化作用とM23型炭化物中に固溶して、M23型炭化物の凝集粗大化を妨げる作用により、高温強度を高める効果があり、最低0.001%添加すると有効であるが、0.010%を越えると溶接性や鍛造性を害するので、0.001〜0.010%に限定する。望ましくは、0.003〜0.008%である。また、大型ロータの製造にあたっては、900〜1200℃に加熱した鍛造時に共晶FeB及びBNが生成し、鍛造困難及び機械的性質に悪影響を及ぼすことがある。そこで、Bと0.5倍のNの和をB+0.5N≦0.030%に限定するのが好ましい。この(B+0.5N)をB当量と定義する。これにより、共晶FeB及びBNの生成を回避できる。
[N:0.01〜0.08%]
Nは、Vの窒化物を析出したり、また固溶した状態でMoやWと共同でIS効果(侵入型固溶元素と置換型固溶元素の相互作用)により高温強度を高めたりする作用があり、最低0.01%は必要であるが、0.08%を越えると延性を低下させるので、0.01%〜0.08%に限定する。望ましくは、0.02%〜0.04%である。また、上記のBとの共存により共晶FeB及びBNの生成を助長することがある。したがって、上記の通りB当量(B+0.5N)≦0.030%に限定するのが好ましい。
[Co:2.0〜8.0%]
Coは、固溶強化に寄与するとともにδ−フェライトの析出抑制に効果があり、大型鍛造品の製造に有用である。Coの添加によりAC変態点(約780℃)をほとんど変えず、合金元素の添加が可能となり、高温強度が著しく改善される。このCoの効果を得るために、Coの下限は2.0%とするが、一方Coを過度に添加すると延性が低下し、またコストが上昇するので、上限は8.0%に限定する。
[試験片製作]
上述した高Cr鋼からなる試験片(母材)を用意し、この試験片の表面に、上述したNi基超合金からなる溶接材を溶接することで、高Cr鋼とNi基超合金からなる異材継手を作製した。なお、各々の主要成分は以下の通りであり(質量%)、Ni基超合金のCr含有量を抑えることで、両者のCr含有量の差を1.5%と小さく抑えている。
Ni基超合金 C:0.030%,Cr:12%,Mo+W:13%,残:Ni
高Cr鋼 C:0.100%,Cr:10.50%,Mo+W:1.5%,Ni:0.5%,残:Fe
[評価]
異材継手の高Cr鋼とNi基超合金の境界近傍の成分のライン分析を電子線マイクロアナライザ(Electron Probe MicroAnalyser)によって行った。その結果を図2に示す。なお、図2の破線BLは高Cr鋼とNi基超合金の境界を示している。
また、高Cr鋼とNi基超合金の境界近傍の硬さを測定した。その結果を図3に示す。
さらに、以上の異材継手について、引張強度試験(JIS Z3111準拠)を行った。その結果を図4に示す。
ここで、異材継手で脱炭・浸炭が生じる要因の一つとして、炭化物形成元素であるCrの含有量が挙げられる。Crは炭化物形成能が高く、そのため、異材継手を構成する各々の素材間でCr含有量の差が大きいと、溶接時の温度が高いか、または、溶接後に高温に晒される時間が長くなると、Cr含有量の少ない継手素材から、Cr含有量の多い継手素材へ、Cが拡散により移動する。そして、こうして移動したCはCrと結合し、Cr炭化物を形成する。
このことを、図1を参照して説明する。図1は、Cr含有量の異なる素材Aと素材Bからなる異材継手を模式的に示している。図1(b)に示すように、素材Aより素材BのCr含有量が多く、また、図1(c)に示すように、素材Aの方が素材BよりC含有量が多い。
この異材継手は、溶接後に高温に晒される時間が長くなると、Cが拡散により素材Aから素材Bに移動すると、素材Aは素材Bとの境界近傍のC含有量が減少し、素材Bは素材Aとの境界近傍のC含有量が増大する(図1(d))。
そこで、図2を参照すると、C含有量は、高Cr鋼とNi基超合金の境界近傍において、顕著な増減を示していない。当該境界近傍において、高Cr鋼には、CとCrのピークが一致するところがあるため、Cr炭化物が存在することが判る。一方、当該境界近傍において、Ni基超合金には、CとCrのピークが一致するところは観察されない。
硬度測定の結果(図3)を参照しても、高Cr鋼の側とNi基超合金の側とで硬度の大小はあるものの、その増減量は少なく、境界近傍において顕著な硬化及び軟化は観察されない。
以上より、高Cr鋼とNi基超合金からなるこの異材継手には、脱炭・浸炭が生じていないか、生じていたとしても軽微なものと判断される。
このように異材継手が脱炭・浸炭を回避できたのは、高Cr鋼とNi基超合金のCr含有量の差が小さいためと推察している。つまり、Cr含有量の差が小さいと、Cの拡散自体が生じにくくなり、脱炭・浸炭を回避できたものと解される。
引張強度試験では、破断は溶接部近傍ではなく高Cr鋼側の母材で生じた。図4に示す結果より、引張強さは高Cr鋼母材相当である。この引張強度試験の結果も、本実施形態の異材継手で脱炭・浸炭が顕著に生じず、継手強度の低下を回避できたことを示唆している。
なお、図2において、C及びNiの含有量は、高Cr鋼及びNi基超合金の各々がそれ自体で含む量と相違するが、これはNi基超合金を溶接材として高Cr鋼に溶融して接合したためと解される。
本実施形態では、Cr含有量が10.5%の高Cr鋼、及び、Cr含有量が12.0%のNi基超合金を用いた例を説明したが、本発明で用いることができる合金素材はこれに限定されない。
高Cr鋼としては、例えば、以下の合金を用いることができる。
改良12Cr鋼1;C:0.05〜0.2%、Ni:2.5%以下、Cr:9.5〜10.5%、Mo:0.3〜2.0%、V:0.1〜0.3%、N:0.01〜0.08%及びNb:0.02〜0.15%を含有し、残部が実質的にFeからなる。
改良12Cr鋼2:C:0.05〜0.2%、Ni:1.0〜1.5%(1.0及び1.5%は含まず)、Cr:9.5〜10.5%、Mo:0.3〜2.0%、V:0.1〜0.3%、N:0.01〜0.08%及びNb:0.02〜0.15%を含有し、さらに重量%でTa:0.02〜0.2%、B:0.001〜0.03%、W:1〜2%、Co:1〜4%のうちの一種又は二種以上を含有し、残部が実質的にFeからなる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
1 ロータ
11 Ni基合金部
11a,11b Ni基合金部
12 高Cr鋼部
12a,12b 高Cr鋼部
21,22a,22b 溶接継手

Claims (2)

  1. フェライト系Cr鋼と、オーステナイト系Ni基超合金が溶接により接合されている異材継手であって、
    フェライト系Cr鋼とオーステナイト系Ni基超合金の双方のCr含有量が10〜15質量%である、ことを特徴とする異材継手。
  2. 前記フェライト系Cr鋼が、
    質量%で、C:0.08〜0.25%、Si:0.10%以下、Mn:0.10%以下、Ni:0.05〜1.0%、Cr:10〜12.5%、Mo:0.5〜1.9%、W:1.0〜1.95%、V:0.10〜0.35%、Nb:0.02〜0.10%、B:0.001〜0.01%、N:0.01〜0.08%、Co:2.0〜8.0%、残部は不可避的不純物及びFeであり、
    前記オーステナイト系Ni基超合金が、
    質量%で、C:0.15%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、Cr:10〜15%、Mo+1/2(W+Re):5〜10%、Ti:0.10〜0.95%、Al:0.1〜2.5%、B:0.001〜0.02%、Zr:0.001〜0.2%、Nb+1/2Ta:6.5%以下、Co:0.1〜5.0%、Fe:4.0%以下、残部が不可避的不純物及びNiからなる、
    請求項1に記載の異材継手。
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