JP2014173376A - キーおよびキーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】読み取りアンテナを必要とせず、露出部分はシリンダー錠の一部であることから構造的に堅牢であり、かつ小型に低コストで作ることが可能なキーおよびキーシステムの提供が望まれていた。
【解決手段】挿入部と把持部からなる導電性基材の把持部で接着層を介してRFIDタグが接着され、RFIDタグが磁性基材とその磁性基材の導電性基材側の面にグラウンド部と、他方の面に構成されたアンテナ部とICチップから構成され、ICチップがアンテナ部とグラウンド部が各々インピーダンス整合して接続されていることを特徴とするキーおよびキーシステムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、UHF帯およびSHF帯で用いられるRFIDタグを有するキーおよびこのキーを用いるキーシステムに関するものである。
RFIDタグを利用したキーシステムとしては、例えば、特許文献1、2に記載された発明では、カギの把持部にICチップおよびアンテナを設け、そのアンテナと読み取り装置のアンテナとの間で非接触の通信をおこなうことを提案している。
また特許文献3に記載された発明では、カギの中に設けられた無線タグのアンテナ線の一部にスイッチを設け、そのスイッチによるアンテナ線の通電、切断でアンテナ機能を制御するという提案であるが、カギ構造および使用周波数、通信方式などの詳細な記載はない。
特開2001−109922号公報 特開2001−262878号公報 特開2005−299264号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に記載されたRFIDタグを利用したキーシステムでは、キーシリンダーとは別に読み取りアンテナが必要であり、さらにはカギと読み取りアンテナとの距離に制限があり、かつ読み取りアンテナが露出した状態にあることから保護するための保護ケースも必要であった。このことから、キーシステムとしては小型化が難しくまたコストも上昇してしまうという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、従来のような読み取りアンテナを必要とせず、露出部分はシリンダー錠の一部であることから構造的に堅牢であり、かつ小型に低コストで作ることが可能なキーおよびキーシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
すなわち、請求項1に係る発明は、挿入部と把持部からなる導電性基材の把持部で接着層を介してRFIDタグが接着され、
前記RFIDタグが、磁性基材と、その磁性基材の導電性基材側の面にグラウンド部と、他方の面に構成されたアンテナ部とICチップから構成され、
前記ICチップが前記アンテナ部と前記グラウンド部が各々インピーダンス整合して接続されていることを特徴とするキーを提供する。
また、請求項2に係る発明は、把持部に、RFIDタグの他方の面側に第二の導電性基材が設けられ、導電性基材と第二の導電性基材が接続していることを特徴とする請求項1記載のキーを提供する。
また、請求項3に係る発明は、導電性基材と第二の導電性基材の間が非導電性封止材で封止されていることを特徴とする請求項2記載のキーを提供する。
また、請求項4に係る発明は、前記把持部の把持部分が非導電性の被覆部材で覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキーを提供する。
また、請求項5に係る発明は、前記ICチップが、データの暗号化及び復号化の機能が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のキーを提供する。
また、請求項6に係る発明は、前記挿入部には凸部、凹部がないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキーを提供する。
また、請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項6いずれか一項に記載のキーと、錠前からなるキーシステムであって、
錠前が錠前本体部と認証部から構成され、
錠前本体部の前記キーの挿入部を挿入するシリンダー錠部が絶縁体に覆われていることを特徴とするキーシステムを提供する。
また、請求項8に係る発明は、前記シリンダー錠部には、ピンタンブラーがないことを特徴とする請求項7に記載のキーシステムを提供する。
また、請求項9に係る発明は、前記錠前本体部には、振動センサー、音響センサー、温度センサー、カメラの内一つ以上が備えられていることを特徴とする請求項7または8記載のキーシステムを提供する。
また、請求項10に係る発明は、前記錠前本体部に、導波体を備えるとともに、前記キーの挿入部が前記シリンダー錠部に挿入された場合、前記導波体と、前記キーの前記挿入部とを、直接または前記シリンダー錠部を介して接触することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のキーシステムを提供する。
本発明のキーおよびキーシステムによれば、従来のような読み取りアンテナを必要とせず、露出部分はシリンダー錠の一部であることから構造的に堅牢であり、かつ小型に低コストで作ることができる。
本発明の実施形態のキー1および錠前本体部22を模式的に示す断面透視図である。 キー1の平面透視図である。 キー1の断面図である。 キー1の変形例であるキー3の断面図である。 RFIDタグ4を模式的に示す側面の断面図である。 RFIDタグ4の平面図である。 RFIDタグ4の底面図である。 導波体50の平面図である。 導波体50の側面図である。 データ読み取りユニット60を模式的に示す断面図である。 RFIDタグ70の平面図である。 RFIDタグ70の底面図である。
本発明に係るキーおよびキーシステムの説明に入る前に、一般的なカギおよび管理について現状の課題(問題点)を下記に示す。
現状の一般的なカギ管理においては、カギの保管場所および収納庫、カギ管理台帳との現物カギの定期的な照合、カギの紛失、合いカギ作製等の管理コストが発生している。一方のカギ管理の運用面においては、下記のように運用されていることが多い。
(1)カギの保管場所まで取りに行く(カギ貸出台帳に持ち出しを記録)。
(2)対象となる場所まで向かい、そのカギで開錠および施錠。
(3)カギの保管場所まで戻しに行く(カギ貸出台帳に返却を記録)。
上記に示すように、カギの保管場所までの往復およびカギ貸出台帳への記入等、その時間に対して運用コスト(労務費)が発生している。またビル、倉庫など無人状態になる夜の時間帯だけ、管理会社、警備会社に委託している場合もあり、カギの管理と巡回見回りの委託コストがかかっている。
以上説明したように、現状のカギ管理においては管理コスト、運用コストおよび委託コストなどが生じており企業の負担となっている。本発明では、冒頭の課題に加えこれら現状の課題についても改善策を提案している。
(第1実施形態)
以下、本発明に係るキーシステムを、図1から図10を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の厚さや寸法の比率は適宜異ならせてある。
キーシステムは、図1に示すように鍵であるキー1、錠前本体部2、ネットワーク16とキー管理サーバー17からなる認証部で構成されている。錠前本体部2は、シリンダー錠12、制御回路14、データ読み取りユニット60の他に、不図示の変換機構、閂(デッドボルト)などで構成されている。図1では、キー1の挿入部がシリンダー錠12に挿入された状態を示している。キー1およびシリンダー錠12はどちらも導電性である金属が基材である。シリンダー錠12は、絶縁体13によって電気的に浮いた状態になっており、その機構の先端は接触部51を介してデータ読み取りユニット60に繋がれている。前述の通りキー1はシリンダー錠12に挿入された状態であるので、キー1とデータ読み取りユニット60とは後に示す様に直流的もしくは電磁誘導作用により電気的に接続された状態になっている。
始めにキー1について説明する。図2および図3に示すように、キー1は挿入部6と把持部と、その把持部に接着されているICチップから構成されており、さらにこの把持部は、第一の導電性基材5と第二の導電性基材7とからなっており、さらに側部で連結しており、さらにシリンダー錠12の鍵穴に挿入される部分である挿入部6とも連結して一体部材となっている。
第一の導電性基材5と第二の導電性基材7とは、図に示すような空間を有して重なっており、側部8で繋がった構造になっている。側面からみると「コ」の字の形状になっており、この内側の第一の導電性基材5側には後述するRFIDタグ4が配置されている。この構造は、キー1が機械的な外部応力、衝撃と、静電気など外部から電気的な衝撃を受け
た場合を想定し、これらの衝撃からRFIDタグ4を守るため第一の導電性基材5の他に第二の導電性基材7を設けられる意味と、後述の様に、RFIDタグ4のアンテナ部から発せられる信号を受信、もしくはRFIDタグに電力を供給する役割も果たす。
なお、上記の空間は封止部9で封止されており、封止部9の封止材料としては、樹脂系など公知の絶縁性封止材料を用いることができる。第一の導電性基材5と第二の導電性基材7とにおいて、適度な面(面積)が設けられ、かつ封止部9の封止材料が適度な硬さを有していれば、第一の導電性基材5または第二の導電性基材7の外面から受ける外部応力、衝撃を、対向する面同士で分散させ変形量を少なくできる。その結果として、RFIDタグ4の破壊を防ぐことができる。
実施例のキー1は、1mm厚のアルミの平面板を機械加工によって展開形状に成形し、空間が形成されるように、その中心部を折り曲げて作られている。なお把持部の寸法は約30mm×30mmである。実施例のキー1では機械加工が容易なアルミとしたが、導電性を有する金属であればどのようなものであってもよい。例えば、鉄、真鍮、チタンの他、複数の原材料を含んだ特殊金属合金などであってもよい。
後述するRFIDタグ4は、自身が有する接着力で、図2に示す位置に密着固定されているが、接着剤等で接着するものでも構わない。なお、RFIDタグ4を密着固定する場所は、第一の導電性基材5ではなく、第二の導電性基材7の同位置であってもかまわない。
キー1の第一の導電性基材5および第二の導電性基材7の外面は、樹脂などの非導電性を有する被覆部材10で覆われている。本発明のキー1では、金属部材で構成されたキー1の全体が放射アンテナとして機能していることが前提で、後述する接触通信方式というユニークなデータ読み取り方式を採用しているため、手で持つ部分を絶縁体で覆う必要がある。他方、手が接触する可能性のない部分については、被覆部材10は必須ではない。
次に、図4に示すキー3について説明する。
図に示すように、キー1に備えられた第二の導電性基材7と側部8がない、第一の導電性基材5のみの構造とすることもできる。
キー3に対して、想定される機械的な外部応力、衝撃と、静電気など外部から電気的な衝撃が少ない場合では、このような構造であってもかまわない。この場合では、被覆部材10がRFIDタグ4の保護部材となる。キー3の特長としては、第二の導電性基材7と側部8と封止部9とがないので、キー1と比べた場合では製造コストを下げることができる。
次に、RFIDタグ4について図5から図7を参照しながら説明する。
図5から図7に示すように、RFIDタグ4は、磁性シート40と、磁性シート40の一方の面40a上に配置されたアンテナ部31およびインピーダンス整合回路部32と、インピーダンス整合回路部32に設けられたICチップ33と、磁性シート40の他方の面40b上に配置されたグラウンド部34とを備えている。
磁性シート40の他方の面40bおよびグラウンド部34が、キー1の第一の導電性基材5に接する側の面である。
なお、図6および図7では、後述する基材35は説明の便宜のため示していない。
磁性シート40の厚さは、例えば250μmであり、磁性シート40には、磁性シート40の厚さ方向に貫通する孔部30が形成されている。磁性シート40としては、磁性粒子、または磁性フレークとプラスチックまたはゴムとの複合材からなる柔軟性に富んだ公知の材料を用いることができる。なお試作したキー1では、大同特殊鋼社製の磁性シート(型式:NRC025)を用いた。
磁性シート40は、アンテナ部31とグラウンド部34との間に高透磁率のこのような磁性シート40を設けることにより、アンテナ部31とグラウンド部34との間にロスの少ない磁束のルートを確保することで、グラウンド部31や第一の導電性基材5に近接していても使用できるRFIDタグ4とするものである。
アンテナ部31、インピーダンス整合回路部32、およびグラウンド部34は、図5に示すように、PETなどの樹脂でフィルム状に形成された基材35の主面35aに銀ペーストインキを印刷することで一体に形成されている。基材35の厚さは、例えば50μmである。
そして、磁性シート40に基材35を巻き付け、不図示の磁性シート用接着層により貼り付けることで、磁性シート40の面40a、40b上にアンテナ部31、インピーダンス整合回路部32、およびグラウンド部34が配置されている。
図5から図7に示すように、アンテナ部31およびグラウンド部34は、平面視で矩形状に形成されている。アンテナ部31およびグラウンド部34は、それぞれがインピーダンス整合回路部32と電気的に接続されている。グラウンド部34は、磁性シート40の他方の面40bおよび側面40c上に、磁性シート40の縁部40dに沿って配されるように折り曲げられている。
なお、グラウンド部34の面と、それに対面する第一の導電性基材5の面5aの面との面間で、基材35と不図示の接着剤の合成誘電率を用いて形成された静電容量結合によって、グラウンド部34と第一の導電性基材5とは電気的に接続されることになる。
インピーダンス整合回路部32は、図6に示すように所定の形状に蛇行させた配線により形成されている。インピーダンス整合回路部32は、ICチップ33の不図示の電気接点に電気的に接続され、ICチップ33とアンテナ部31との間、およびICチップ33とグラウンド部34との間に、互いに等しい所定のインピーダンスおよび抵抗値が生じるように構成されている。
ICチップ33は公知の構成のもの(NXP社製 UCODE G2iL)が用いられ、ICチップ33内には所定の情報が記憶されている。そして、ICチップ33に設けられた不図示の電気接点から電波方式により電波のエネルギーを供給することで、記憶された情報をこの電気接点から外部に電波として伝達させることができる。ICチップ33は、磁性シート40の孔部30に収容されている。
試作したキー1の読み取り実験をおこなったので、その内容を以下に示す。
読み取り装置は、SAMSUNG社製(型式VLACG1)の最大出力が1Wまで出せる、UHF帯高出力ハンディリーダーを用いた。試作したキー1に、ハンディリーダーが備えるパッチアンテナをかざして読み取りをおこなった結果、読み取り距離は短いが読み取りができた。この実験に際し、RFIDタグ4の第一の導電性基材5の面上における固定位置の検討もおこなった。その結果、図2に示す位置より側部8の方向にRFIDタグ
4を移動すると読み取りができなくなり、その逆方向の挿入部6付近において良好な読み取りができることがわかった。上記の実験結果から、ハンディリーダーのパッチアンテナと、RFIDタグ4に設けられたアンテナ部31とでは、両者の間は第二の導電性基材7に遮られ直接的に対面した状態にはなっていないことから、キー1は、金属部材を有する第一の導電性基材5、第二の導電性基材7、挿入部6、それに必要に応じて用いられた側部8で構成されたカギ全体が放射アンテナとして機能していると推測された。
キー1そのものが放射アンテナとして機能しているということは、キー1の外面は、アンテナそのものが露出していることになるため、このアンテナそのものが露出している。従って、非接触でデータを読み取るのではなく、キー1の外面に、直接接触させてデータを読み取ることが可能な構成になっているものである。
従来の一般的なRFIDタグでは、外観の問題、酸化、腐食、静電気破壊防止等の理由から、アンテナエレメントは保護層よって保護されており、さらには、有色の保護層であればアンテナエレメントを隠蔽する効果も兼ね備える。よって、従来のRFIDタグでは、アンテナエレメント(導体面)は、その外観から見ることもできず、露出もしていない。他方、従来の金属対応RFIDタグにおいても同様であり、金属面の影響を軽減するために、金属面から誘電体等を介し遠ざけて配置されたRFIDインレットは、前述と同様に外観の問題、酸化、腐食、静電気破壊防止等の他、外部応力、衝撃を吸収するために、ICチップを含めそのアンテナエレメントは保護層または保護構造よって保護されており、アンテナエレメントは、その外観から見ることもできず、露出もしていない。
グラウンド部34と第一の導電性基材5とは、前述のとおり静電容量結合によって電気的に接続されており、アンテナ部31から放射された電磁波は、磁性シート40を介して、グラウンド部34と一体化した第一の導電性基材5に伝わり、その結果、第一の導電性基材5がアンテナ部31の共振アンテナ(放射アンテナ)として作用していると考えられる。
別な表現をすると、磁性シート40は、アンテナ部31と第一の導電性基材5との間に位置し、両者においてあたかも電磁波コンバーター(変換器)のような振る舞い(作用)をしている存在といえる。このような作用は、アンテナ部31と第一の導電性基材5との間に、同程度の厚さの誘電体を設けた方法では、同様な作用は生じないことがわかっている。
次に、データ読み取りユニット60について図8から図10を参照しながら説明する。
なお本発明では、錠前は錠前本体部2とネットワーク16を介して接続しているキー管理サーバー17からなる。また、ハンディリーダーおよび以下に説明する導波体を含めてデータ読み取りユニット(機能装置)と定義している。
図8に示すように、導波体50は、一方の端部が解放状態のリード線を、この端部を中心に渦巻き形状になるように巻かれた結合部52を備え、この結合部52から引き出されたリード線のもう一方の端部は、棒状の接触部51(接触針)に電気的に接続されている。導波体50は、これら結合部52と接触部51とで構成されている。
前述の結合部52は、ハンディリーダー61が備える小型パッチアンテナ62(円偏波)と対向(面)させることで、磁界優位の電磁誘導作用によって、両者を電気的に結合させることを目的とした機能要素であり、その一例が、図7に示す渦巻き形状の結合部52である。渦巻きの巻き方向はハンディリーダーの円偏波の方向と同じになっており、実験に使用したハンディリーダー61の小型パッチアンテナ62は右旋円偏波であったので、渦巻きの巻き方向も右巻きにしてある。なお結合部52は、前述の電磁誘導結合の他、静電容量(電界)結合など、読み取り装置のアンテナから放射される電磁波を効率よく導波体50に取り込めれば、どのような結合方法であってもかまわない。
接触部51は、例えば、棒状の接触針であって、金属製のキー1そのものが放射アンテナとして機能しているその外面とを、点または面接触させるための機能要素である。電磁誘導結合によって生じた高周波電流は、結合部52からリード線で引き出され電気的に接続されている接触部51にも流れる。さらには、接触部51に接触しているキー1の外面から前述の高周波電流が流れ込み、その結果キー1に内蔵されたICチップ33が活性化され、データ読み取りが可能となる。
前述の一般的なRFIDタグにおいても評価実験をおこなった。RFIDタグのアンテナ面を露出させ、そのアンテナエレメントの一部を接触部51に接触させたところ、良好なデータ読み取りができることが確認された。
図10に示すように、結合部52にハンディリーダー61のパッチアンテナ62を対向(面)させ、さらには、接触部51の先端にキー1を接触(図中の破線円A)させて、読み取りをおこなった結果、良好な読み取りが確認された。ハンディリーダー61の出力は27dBm(0.5W)に設定した。
以上、説明したように、本発明の導波体50は、結合部52にハンディリーダー61の小型パッチアンテナ62を対向(面)の状態にすることで、小型パッチアンテナ62と結合部52との間で、電磁誘導作用による結合状態が生成され、この作用により導波体内に高周波電流が誘起される。一方の接触部51に、金属製の本体そのものが放射アンテナとして機能しているキー1の外面を接触させることで、前述の誘起した高周波電流が接触部51を介してキー1に流れ込み、その結果キー1に内蔵されたICチップ33が活性化され、データ読み取りが可能となる。
前述のとおり、本発明では、ハンディリーダー61および導波体50を含めてデータ読み取りユニット60と定義している。これに対してデータ読み取りユニット60のデータ読み取り対象は、金属製の本体そのものが放射アンテナとして機能しているキー1となる。データ読み取りユニット60とキー1とのデータ通信は、双方を接触させてデータ通信をおこなう方法であることから、データ通信の方式は接触通信方式といえる。
通常、データ読み取り装置とRFIDタグとの間のデータ通信は、データ読み取り装置が備えるアンテナ部から電磁波を空間上に放射して、データの読み取り対象となるRFIDタグとの間で、非接触でデータ通信をおこなう非接触通信方式である。この非接触でおこなう通常の通信方式に対して、本発明の接触通信方式は、キーと錠前が空間上に電磁波を放射する仕組みとは異なり、RFIDのアンテナ部はキーの導電性基材と通信するのみであり、キーと錠前とは、錠前のデータ読み取りユニット60が備える接触部51とキー1の外面とを接触させて行う通信方式である。
通常の非接触通信方式では、空間上に電磁波を放射する仕組みから、非対象のRFIDタグのデータを誤って読んでしまう可能性がある。特に、読み取り対象のRFIDタグが密集状態で置かれている場合、さらには読み取り対象の近傍に金属体(金属物品等)がある場合などで、前者は読み取り対象を特定することが困難であり、後者はデータ読み取り装置から放射された電磁波が近傍の金属体に反射してマルチパスが生じ、この結果、思いも寄らない場所に置かれたRFIDタグのデータを読み取ってしまうことがある。キーの場合は、錠前が一般的に金属材であり、非金属材にする対処が困難な場合がある。
この問題に対しては、データ読み取り装置の送信出力を下げたり、データ読み取り後に
データ処理するなどして対処している。送信出力を下げる場合は通信の信頼性が低下する、データ処理する場合はその処理が必要になり反応速度の低下や価格が高くなるなどの問題点が生ずる。
これに対して本発明の接触通信方式では、データの読み取り対象であるキー1を特定し、接触させておこなう通信方式であることから、前述のような原因で非対象のキーのデータを誤って読んでしまうことはなく、安価に構成することができる。
実施例のデータ読み取りユニット60は、実験評価のために市販のハンディリーダー61を用いて、渦巻き形状の結合部52と接触部51という構成にしたが、データ読み取りユニット60としての形態は、接触部51を有し、その接触部51とキー1とが接触した状態で、交信周波数によるデータ通信がおこなわれれば、どのような形態であってもかまわない。例えば、小型パッチアンテナ62および渦巻き形状の結合部52の結合関係を、同等の機能要素に変えるなどして小型化することもできる。それをユニット化し、図1に示すようにデータ読み取りユニット60として制御回路14上に設けたりしてもよい。なお、接触部51とキー1との接触であるが、直流的な電気結合の他、交信周波数による電磁誘導結合で電気結合されていてもよい。ただし、この電磁誘導結合の場合、接触部51とキー1との間の距離は概ね0.5mm以下であることが好ましい。
読み取り装置の送信アンテナとRFIDタグの受信アンテナを対向させて空間伝搬で通信を行う従来の方式に対して、接触通信方式では、データ読み取りユニット60の接触部51とキー1の金属性の本体を直接接触させて通信を行うので、前述の空間伝搬のスペースが不要となることから、錠前本体部2を小型化することができる。さらには、錠前本体部2の外装面全体をシールド化することで、装置内部で発生した電磁波の漏洩を抑えることもできる。
次に、錠前本体部2について説明する。
カギの溝とシリンダー錠12内のタンブラー(障害)のキーウェイを一致させて開錠、施錠をおこなう従来の方法に対して、本発明のキー1では、同様なカギの溝はなく、他方のシリンダー錠12においてもシリンダー内にはカギの溝に合わせて動くタンブラーもない。すなわち、カギとシリンダー錠の組み合わせ(Lockset)とした場合、カギの溝に形成された造形の組み合わせ(種類)という概念はなく、他方のシリンダー錠においてもキーウェイ、タンブラーという概念はないものとなる。このことから、使用する全てのキー1の形状を同一なものとすることができ、他方のシリンダー錠12においてもタンブラーのない同一のシリンダー錠12とすることができる。ここでいう同一とは、シリンダー錠12のカギ穴にキー1が挿入されて、シリンダーが回転出来る必要最低限の部位のことであり、カギの把持部の形状、錠前本体部2の構造などは含まれない。
キー1とシリンダー錠12をこのようにすることで、例えば、ビル・倉庫のドア/シャッター、書類保管ロッカー、機器収納ロッカー、薬品保管庫、金庫、貴重品保管庫、事務机の引き出しなどのシリンダー錠12を全て同一の形状とすることができ、かつ一つのキー1でこれら全てのシリンダー錠12を開錠することが可能となる。さらには、これらビル・倉庫は立地するエリアに留まらず、全国規模であってもよく、またその形状はISO等で規格化されたものであってもかまわない。
なお、偽装のため、もしくはキー使用者の使い分けのためにキーにカギの溝をあえて付しても構わないが、その場合のカギの溝は共通で一種類でも、バラバラでも構わないが、シリンダー錠内のタンブラー(障害)のキーウェイを設ける必然性はない。
加えて、本願のRFID認証と物理的キーとの二重キーシステムとすることも可能であり、セキュリティ精度を高めることも可能である。
錠前本体部2に設けられたシリンダー錠12の回転部と不図示の閂(デッドボルト)とは、回転運動を直動運動に変える公知の変換機構(不図示)によってつながっており、シリンダー錠12の回転部、変換機構部、閂部のいずれかに、電磁ソレノイド15の可動鉄心(プランジャ)もしくはこれに連動するピン等が入り込み、結果的に閂の動きを制限し、開錠を妨げる機構になっている。
錠前本体部2は、後述するキー管理サーバー17から能動的に開錠許可に関する情報を受け取ることで、電磁ソレノイド15が動作し、可動鉄心が電磁ソレノイド15本体に引かれ、閂の動きを妨げないような状態になり、この状態において、シリンダー錠12に挿入したキー1を回転させることで、シリンダー錠12の回転部が回転し、その結果、閂が不図示の受座(ストライク)から抜けて開錠状態になる。
なお、電磁ソレノイドを使用する方法ではなく、その他の開閉機構でも構わない。
読み取りアンテナを必要とする従来の非接触ICのキーシステムでは、露出した読み取りアンテナを保護するための保護ケースが必要であることから、小型化が難しくまたコストも上昇してしまうという問題があった。それに対して本発明の錠前本体部2は、非接触で読み取るためのアンテナを不要としているので、露出部はシリンダー錠12のみであり、その外観は従来のシリンダー錠とほぼ同様で、かつ金属部材で構成されているため堅牢に作ることができる。よって小型でかつ安価にでき、さらには露出部分を堅牢にすることができる。
錠前本体部2は、ネットワーク16を介してキー管理サーバー17と接続されており、キー管理サーバー17との交信において自身を特定するためのシリンダー錠ID情報を有する。錠前本体部2への電力供給であるが、ネットワーク16および電力供給への接続を、例えばPoE(Powerof Ethernet(登録商標))のような仕組みを利用することで、専用の電源を持つ必要がなくなり、それに掛かる電源装置、設置工事等も不要になることから導入時のコストを低減することができる。
錠前本体部2には、キー挿入センサー20、開錠センサー21、施錠センサー22などカギの状態を検出する機能の他に、表示ランプ27、スピーカー28などの通知機能が備えられている。キー挿入センサー20はキー1がシリンダー錠12に挿入されたことを検知するセンサーである。開錠センサー21はキー1が挿入されシリンダー錠12が回転し、閂が受座から抜けて開錠状態になったことを検知するセンサーであり、他方の施錠センサー22は、キー1が挿入されシリンダー錠12が回転し、閂が受座に入り施錠状態になったことを検知するセンサーである。表示ランプ27は、施錠中、開錠中、開錠可能、開錠不可、異常発生などその時の状態を示すランプであり、一つのランプで発光色を変えたり点滅させるなどしてもよいし、複数のランプを用いてもよい。また表示ランプ27の設置位置においても、図1に示すようなシリンダー錠12の露出部分でも、シリンダー錠12から離れた位置であってもよい。一方のスピーカー28は、キー挿入検出、開錠可能、開錠不可(開錠拒絶)、異常発生など状態が変化した際に、音で知らせるためのものである。なおこれら表示ランプ27およびスピーカー28は、いずれも利便性を向上するための機能なので、その必要がなかったり、逆に隠蔽しようとする場合には省略することができる。
錠前本体部2には、前述の主機能の他に、振動センサー23、音響センサー24、温度センサー25、カメラ26などの監視機能も備えられている。これらは無人状態の時間帯
において、悪意をもった第三者による破壊行為の監視用に設けられた監視センサー類である。振動センサー23は、ハンマーなどの打撃による破壊行為を振動で検出するためのセンサーである。音響センサー24は、破壊行為を音で検出するためのセンサーであり、また温度センサー25は、バーナー等の高温で錠前本体部2を破壊する行為を熱で検出するためのセンサーである。カメラ26は、上記のセンサー類が反応した場合、自律的に撮影を開始し、その影像をキー管理サーバー17に送ることができる。この他に通常の監視カメラとしても利用できる。例えば、キー挿入センサー20がキー1を検知した時から抜かれるまでの間を撮影し、動画ファイル化してキー管理サーバー17に送ることもできる。これらセンサー類は小型で低コストであることから、錠前本体部2にスペースも取らずかつ安価に監視機能を付加することができる。
錠前本体部2に備えられた監視機能と、他の監視装置(監視カメラ、人体検出センサー等)と組み合わせることで、警備員の巡回見回りの回数を減らしたり、巡回見回りそのものを省略することができる。この結果、前述の委託コストを大幅に減らすことができる。なおこれら監視機能は、いずれも利便性を向上するための機能なので、その必要がなければ省略することができる。
次に、キー管理サーバー17について説明する。
キー管理サーバー17は、ネットワーク16を介して全ての錠前本体部2と繋がれており、そのサーバー内のデータベースには、個人が持つICカード(社員証など)の個人ID情報、キー1に内蔵されたICチップのキーID情報、錠前本体部2のシリンダー錠ID情報、開錠/施錠履歴情報、その他キー1およびシリンダー錠12に付帯する各種フラグなどの情報が格納されている。
なお、キー管理サーバーは通常は一つであるが、災害等のため予備キー管理サーバーなどを設けることを否定するものではない。
ネットワーク16にて接続される全ての錠前本体部2は、悪意を持った第三者によるネットワーク16への進入によって、不正に操作されることを防ぐため、ネットワーク16上においてはキー管理サーバー17のみとの交信に限られている。
ただし、安価に構成するなどの理由で一般的な通信機器により構成することも可能である。
本発明のキーシステムでは、個人が持つICカード(社員証など)の個人ID情報と、キー1に内蔵されたICチップのキーID情報とは、キー管理サーバー17上でひも付けされ管理されている。なおICカードなどの個人ID情報がない場合は、システム上個人の特定ができないため、後述する個人ID情報を用いた一部の仕組みに制限が掛かるが、それ以外の仕組みにおいては問題にはならない。
使用者個人が持つ一つのキー1に対して、設置されている全ての錠前本体部2のシリンダー錠12一つ一つに対応した開錠/施錠許可フラグがキー管理サーバー17上に設定されている。この仕組みにより、一つのキー1において、開錠/施錠が可能なシリンダー錠12を選択し設定することが可能となる。またこの設定はキー管理サーバー17上にあることから変更も容易におこなえる。さらには従来のマスターキー、グランドマスターキーといったキーシステムの概念も設定することができる。
個人が持つキー1の有効性を示す有効/無効フラグが、キー管理サーバー17上に設定されており、このフラグの状態をみることでキー1の使用を制限することができる。例え
ば、出社、退社(システム)情報と連動させることで、使用者本人がまだ出社していない時間帯、または退社した後の時間帯などの第三者による無断使用を防止することもできる。その他としては、キー1を紛失してまった場合などであり、この場合には即座に有効/無効フラグを無効にすることで、第三者による成りすまし開施を一時的に阻止することができる。さらに紛失したキー1が戻らないとか、使用権限を失ったと判断された場合は、キー管理サーバー17上のキーID情報を削除することで、紛失したキー1との関わりを完全に断つこともできる。
キー管理サーバー17には、錠前本体部2に備えられた振動センサー23、音響センサー24、温度センサー25などの監視情報を能動的に取りにいく機能も備えられており、得られた監視情報が異常値と判断された場合には、アラート(警報通知)を発生させることができる。ビル・倉庫などで、無人状態になる時間帯において、一定時間毎に錠前本体部2を監視することもできる。またネットワーク16上のトラブルまたは悪意によるライン切断も、錠前本体部2からの情報が得られないことで、ネットワーク16異常というアラートを発生させることができる。
キー管理サーバー17には、錠前本体部2に備えられたキー挿入センサー20、開錠センサー21、施錠センサー22など錠前本体部2の状態を能動的に取りにいく機能も備えられており、さらにはこの得られた情報を、同じネットワーク16上に接続された他の装置に、情報として提供する機能も備えることが可能である。
ビル・倉庫などで最終退場者がキーシステムの全ての対象をチェックする場合であり、例えば、対象とする全ての施錠状態の確認、開錠状態の対象を探し出す場合、キー1が挿入されたままの状態の対象を探し出す場合などの対応のためである。ネットワーク16上に接続された他の装置とは、通常のPC(不図示)などであり、そのPCにおいて専用のアプリケーションソフトを実行させることで、キー管理サーバー17に対して、対象とする錠前本体部2の状態を問い合わせ、得られた情報をそのPCの画面上に表示するといったことも可能になる。
さらには、開錠状態の対象およびキー1が挿入されたままの対象の錠前本体部2に対して、キー管理サーバー17から施錠を促すコマンド(命令)を発することで、そのコマンドを受信した錠前本体部2は、前述の表示ランプ27の点灯/点滅およびスピーカー28による警告音を発生させるなどして、最終退場者に対象となる錠前本体部2の位置を知らせることもできる。なお前述のキー管理サーバー17から施錠を促すコマンド(命令)の発動は、ネットワーク16上に接続されたPCから行うことができる。
本発明のキーシステムによる実際の開錠に際しては、キー1がシリンダー錠12に挿入されたことをキー挿入センサー20が検知し、キー1に内蔵されたICチップのキーID情報が、錠前本体部2に内蔵されたデータ読み取りユニット60の読み取り機能により読み取られ、このキーID情報はシリンダー錠12のID情報と共にキー管理サーバー17に送られる。その後、キー管理サーバー17のデータベース上で、受け取った情報、個人ID情報、キー1およびシリンダー錠12に付帯する各種フラグなどの情報が照合され、これらが合致した場合のみ開錠が可能となる。
挿入されたキー1によってシリンダー錠12が回転し、開錠センサー21が開錠状態を検知すると、錠前本体部2はその情報をキー管理サーバー17に送り、キー管理サーバー17はこれを受け、個人ID情報に加えタイムスタンプ情報と共に、自身のデータベースに履歴情報として記録保存される。なお履歴情報の記録は、キー1がシリンダー錠12に挿入され、キー管理サーバー17に問い合わせをおこなった時点から記録してもかまわない。
一方の施錠に際しては、開錠状態にあるシリンダー錠12に、キー1が挿入されたことをキー挿入センサー20が検知し、キー1に内蔵されたICチップのキーID情報が、錠前本体部2に内蔵されたデータ読み取りユニット60の読み取り機能により読み取られ、このキーID情報はシリンダー錠ID情報と共にキー管理サーバー17に送られる。その後、キー管理サーバー17のデータベース上で、受け取った情報、個人ID情報、キー1およびシリンダー錠12に付帯する各種フラグなどの情報が照合され、これらが合致した場合のみ施錠が可能となる。
挿入されたキー1によってシリンダー錠12が回転し、施錠センサー22が施錠状態を検知すると、錠前本体部2はその情報をキー管理サーバー17に送り、キー管理サーバー17はこれを受け、個人ID情報に加えタイムスタンプ情報と共に、自身のデータベースに履歴情報として記録保存される。
キー1およびシリンダー錠12に付帯する各種フラグの設定においては、開錠と施錠の条件を同一ではない異なる条件とすることもできる。施錠行為は、資産持ち出し、情報流失の観点からみて安全側に働くので、例えば、一つのキー1で全てのシリンダー錠12が施錠できるといった条件も設定可能である。この場合、施錠のみグランドマスターキーの機能を持たせるといったことも可能となる。
(第2実施形態)
第1実施形態のキー1では、公知のRFID用ICチップを用いたが、このICチップ33は、暗号化および複合化の機能がICチップ33の内部に備わっていない。このままではセキュリティ性がないことから、簡単に偽造されたり、成りすましが成立してしまうなどが考えられる。ICチップの内部に、RFIDとしての通信機能に加え、ICカード、電子パスポートなどで採用されている、暗号化および複合化の機能を備えた不図示のICチップにすることで、耐偽造性が飛躍的に向上する。
次に、このICチップを搭載したキーを用いた場合の耐偽造性について説明する。
ICのシリコンチップを特殊な装置で厚さ方向に薄くスライスするか、特殊な薬品で構成層を一層ずつ溶かして、それぞれの面上のパターンを画像として撮影し、蓄積された複数枚の画像から回路パターンを抽出することで、製造用の原盤を作ることができる。よって、この原盤からコピー品(偽造チップ)を大量に作り出すことが可能になる。
偽造チップは、製造時の品質管理がされていないことから正規品に対して短寿命、性能不安定といった問題を有しており、例えば、偽造チップが医療機器に用いられた場合、生死に関わる可能性が考えられるので、世界的に大きな問題になっている。
一方で、前述のスライス手法、薬品融解手法などを用いても回路パターンの抽出が困難なICチップの製造方法を開発している会社もあり、さらには、その耐偽造性を客観的に評価する会社もある。本発明のようなICチップが内蔵されたカギおよびそのシステムの普及が見込まれており、そうすれば、双方の技術レベルは格段に向上することになるので、ICチップの偽造はさらに厳しいものとなると考える。
本発明のキーは、ネットワークを介してキー管理サーバーとが情報交換をする仕組みになっている。キーとキー管理サーバーとの間では、ソフトウェア的に変更可能な非公開の暗号鍵、複合鍵を用いた高度な暗号化通信を行っており、仮にハードウェア的に完全な偽造チップが作り出せたとしても、前述の暗号鍵、複合鍵を入手することができなければ、キー管理サーバーの認証が得られず、正規のキーと同様な処理はできない。
電子マネーなどに代表されるデジタル化決済の波及とともに、それにともなう暗号化技術の研究開発も盛んであることから、完全な偽造チップが作り出せたとしても、前述の暗号鍵、複合鍵に加え、例えば、新たな非公開情報および仕組みなどを付加することで、管理サーバーとの情報交換時における、正規のキーと同様な成りすましは、非常に困難になると考えられる。
以上説明したように、本発明のキーでは、ハードウェア面およびソフトウェア面の両面において、偽造品に対する様々な対策が講じられることから、キーの耐偽造性の強度を高くすることができる。また、その強度をさらに高めるために、将来開発されるであろう技術が付加できるように、予め仕組みに中に設けておいてもよい。
従来のカギは、本物のカギがあれば合いカギは簡単に出来てしまう。それに対して、本発明のキーでは、高い耐偽造性を有するICチップを使用していることから、従来カギと比較した場合、セキュリティレベルが格段に高いと考える。
本発明のキーは、その主たる本体が金属で形成されていることから電気的には1つの導体である。このため、本体に静電気など外部から電気的な衝撃を受けた場合、そのサージ電流は、通常の電線と同様で本体内部を流れるだけなので、内蔵されたRFIDタグへのダメージはほとんどないと考えられる。さらには内部抵抗が高い磁性シート上にアンテナ部、ICチップが設けられていることから、RFIDタグ単体でみてもサージ等の電気的な衝撃には強い層構成であるといえる。
本発明のキーシステムの対象は、開施/施錠をともなわないものであってよく、電気的な通電、遮断を制御するものであってよい。例えば、装置の電源スイッチ、機能切り替えスイッチなどの電気開閉器としてもよい。携帯電話、無線LANなどの無線通信手段を介して、キー管理サーバーと錠前本体部とをつなげることが可能であれば、キーシステムの対象はさらに広がり、例えば、自動車、自動二輪車等の移動体およびクレーン、フォークリフト等の荷役機械のエンジンなど動力源制御スイッチ鍵、無人自動販売機の開閉ドア鍵、貴重品収納可搬アタッシュケースの蓋鍵などであってもよい。
以上のように、本発明のキーシステムによれば、キーを特定の場所(置き場)で保管し、キー貸出台帳で管理するという概念はないことから、前述の管理コストおよび運用コストを大幅に低減することが可能になる。さらには従来の鍵方式では不可能であったことも容易に実現することができる
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記実施形態では、アンテナ部の形状を矩形状としたが、アンテナ形状はこれに限定されず、形状は、円形、楕円形、多角形状、メアンダ形状、アレーアンテナ形状などであってもよい。同様に、グラウンド部の形状も前記実施形態の形状に限定されず、円形、楕円形、多角形状などであってもよい。
実施例のRFIDタグ4では、ICチップにあるアンテナ接続端子の一方をグラウンド部34とし、グラウンド部34と把持部5とが静電容量結合で電気的に接続された形態であったが、RFIDタグの形態はこれに限らず、キー1の本体部が放射アンテナとなればどのような形態であってもよい。
例えば、図11および12に示す様なRFIDタグ70であり、ダイポールアンテナの双方のエレメント長を極端に短くした短縮ダイポールアンテナ71であってもかまわない。この形態では、アンテナ部72と73とから放射された電磁波は、前述のとおり電磁波コンバーターである磁性シート40を介して、第一の導電性基材5に伝わり、その結果、第一の導電性基材5がアンテナ部72と73の共振アンテナとして作用する。よって、短縮ダイポールアンテナという形態であっても、第1実施形態と同様に第一の導電性基材5を共振アンテナとすることができる。
従来のRFIDタグでは、通信距離の値が性能を表す最も重要な数値であったが、本発明の接触通信方式では、データ読み取り装置とキー1とを接触させて通信をおこなうことから、従来のような通信距離という概念はない。発明者が考えるキー1の通信性能を表す新しい概念を以下に示す。データ読み取り装置とキー1の接触通信において、キー1に内蔵されたICチップの情報の読み書きが保証される、送信出力の最小値が新しい数値になると考える。当然のことながら、事前に規定された計測環境において測定をおこなうものとする。通信性能を表す具体的な数値は、何mW(何dBm)という表記になる。
磁性シート40の電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)を好適なものにすることと、磁性シート40の厚さ、インピーダンス整合回路部32、アンテナ部31の形状を最適化することで、前述の通信性能はさらに向上すると考えられる。
1、3 キー
2 錠前本体部
4、70 RFIDタグ
5 第一の導電性基材
6 挿入部
7 第二の導電性基材
8 側部
9 封止部
10 被覆部材
12 シリンダー錠
13 絶縁体
14 制御回路
15 電磁ソレノイド
16 ネットワーク
17 キー管理サーバー
20 キー挿入センサー
21 開錠センサー
22 施錠センサー
23 振動センサー
24 音響センサー、
25 温度センサー
26 カメラ
27 表示ランプ
28 スピーカー
30 孔部
31 アンテナ部
32 インピーダンス整合回路部
33 ICチップ
34 グラウンド部
35 基材
40 磁性シート
50 導波体
51 接触部
52 結合部
61 ハンディリーダー
62 小型パッチアンテナ部
60 データ読み取りユニット
71 短縮ダイポールアンテナ
72、73 アンテナ部

Claims (10)

  1. 挿入部と把持部からなる導電性基材の把持部で接着層を介してRFIDタグが接着され、
    前記RFIDタグが、磁性基材と、その磁性基材の導電性基材側の面にグラウンド部と、他方の面に構成されたアンテナ部とICチップから構成され、
    前記ICチップが前記アンテナ部と前記グラウンド部が各々インピーダンス整合して接続されていることを特徴とするキー。
  2. 把持部に、RFIDタグの他方の面側に第二の導電性基材が設けられ、導電性基材と第二の導電性基材が接続していることを特徴とする請求項1記載のキー。
  3. 導電性基材と第二の導電性基材の間が非導電性封止材で封止されていることを特徴とする請求項2記載のキー。
  4. 前記把持部の把持部分が非導電性の被覆部材で覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキー。
  5. 前記ICチップが、データの暗号化及び復号化の機能が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のキー。
  6. 前記挿入部には凸部、凹部がないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキー。
  7. 請求項1〜請求項6いずれか一項に記載のキーと、錠前からなるキーシステムであって、
    錠前が錠前本体部と認証部から構成され、
    錠前本体部の前記キーの挿入部を挿入するシリンダー錠部が絶縁体に覆われていることを特徴とするキーシステム。
  8. 前記シリンダー錠部には、ピンタンブラーがないことを特徴とする請求項7に記載のキーシステム。
  9. 前記錠前本体部には、振動センサー、音響センサー、温度センサー、カメラの内一つ以上が備えられていることを特徴とする請求項7または8記載のキーシステム。
  10. 前記錠前本体部に、導波体を備えるとともに、前記キーの挿入部が前記シリンダー錠部に挿入された場合、前記導波体と、前記キーの前記挿入部とを、直接または前記シリンダー錠部を介して接触することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のキーシステム。
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