JP2014172164A - 電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】モーターの回転が停止するときの負荷トルクのばらつきを小さくすることに貢献する電動工具を提供する。
【解決手段】電動工具1は、モーター30、クラッチ部50、工具出力軸60、負荷検知部81、および制御部100を有する。クラッチ部50は、工具出力軸60の負荷トルクに基づいて、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続または遮断する。負荷検知部81は、工具出力軸60の負荷トルクに応じて変化する負荷トルク信号を出力する。制御部100は、負荷トルク信号の立ち上がり変化に基づいてモーター30の回転を停止させる立ち上がり検知モード、および負荷トルク信号の立ち下がり変化に基づいてモーター30の回転を停止させる立ち下がり検知モードを有する。制御部100は、電動工具1の使用条件を示す使用条件信号としての回転数信号に基づいて、立ち上がり検知モードまたは立ち下がり検知モードを選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動工具に関する。
特許文献1は、従来の電動工具の一例を開示している。特許文献1の電動工具は、ギアケース(8)、モーター、リングギア(23)、遊星ギア(29)、キャリア(30)、出力軸(9)、トルククラッチ、クラッチセンサー(S)、およびシャットオフ回路を有する。トルククラッチは、リングギアの突条(32)、ボール(33)、クラッチ板(36)、およびクラッチばね(37)を有する。
モーターは、遊星ギアを回転させる。遊星ギアは、リングギアと噛み合わせられている。キャリアのピンは、遊星ギアに挿入されている。キャリアは、出力軸と連結されている。出力軸は、キャリアと一体的に回転する。クラッチばねは、クラッチ板およびボールを介してリングギアに荷重を入力している。
リングギアは、出力軸に作用する負荷トルクが所定のトルク未満のとき、クラッチばねから入力されている荷重により、ギアケースに対する回転が規制される。リングギアは、出力軸に作用する負荷トルクが所定のトルク以上の大きさを取るとき、遊星ギアから入力されるトルクによりハウジングに対して回転する。このため、遊星ギアは、出力軸に作用する負荷トルクが所定のトルク以上の大きさを取るとき、キャリアにトルクを入力しない。このため、出力軸は、モーターのトルクが入力されない。すなわち、トルククラッチは、出力軸に作用する負荷トルクが所定のトルク以上の大きさを取るとき、モーターと出力軸との間のトルクの伝達経路を遮断する。
リングギアは、ギアケースに対して回転しているとき、突条によりボールを変位させる。クラッチ板は、ボールの変位にともない変位する。クラッチセンサーは、クラッチ板の変位に基づいて信号を出力する。シャットオフ回路は、クラッチセンサーの信号が立ち上がり方向に変化したことに基づいて、モーター停止信号を出力する。モーターは、モーター停止信号に基づいて回転を停止する。
特開2000−15586号公報
本願発明者は、特許文献1の電動工具が次の問題を有することを見出した。
特許文献1の電動工具は、クラッチセンサーの信号に基づいてモーターの回転が停止するときの負荷トルクにばらつきが生じることがある。負荷トルクのばらつきは、以下の理由により生じると考えられる。
トルククラッチは、モーターと出力軸との間のトルクの伝達経路を遮断した後、リングギアの回転によりボールに対する突条の回転位置を変化させる。突条は、リングギアの回転によりボールを変位させる。ボールは、突条により変位させられることにより、クラッチ板を変位させる。クラッチばねは、クラッチ板の変位にともない圧縮される。
このため、クラッチばねは、突条がボールを変位させていないときと比較して、リングギアに入力する荷重を増加させる。このため、リングギアは、ギアケースに対して回転しにくくなる、またはギアケースに対して回転しなくなる。このため、遊星ギアは、キャリアにトルクを入力する。このため、キャリアは、出力軸にトルクを入力する。このため、出力軸の負荷トルクが増加する。
リングギアの回転時における負荷トルクの増加量は、モーターへの電流の入力が遮断された後におけるリングギアの回転量と相関を有する。この回転量は、電動工具の使用条件の影響を受ける。電動工具の使用条件は、一例として、モーター停止信号が出力される前のモーターの回転数を示す。上記リングギアの回転量は、モーターの回転数が高くなるにつれて大きくなる。このため、モーターの回転が停止するときの負荷トルクは、一例として、モーター停止信号が出力される前のモーターの回転数に応じて変化する。
特許文献1の電動工具は、リングギアの回転時における負荷トルクの増加量と電動工具の使用条件との関係を考慮していない。このため、特許文献1の電動工具は、電動工具の使用条件の変化に応じて、モーターの回転が停止するときの負荷トルクが変化する。このため、モーターの回転が停止するときの負荷トルクにばらつきが生じる。
なお、特許文献1の段落[0019]は、「なお、ねじの締め付けに関して言えば、端
子ねじのように、ねじの着座と同時に負荷が一気に増大するような時には、立ち上がり検知でモーターを停止させるのが好ましく、木ねじのように負荷がねじの着座直前から漸次増大するような時には、パルス検知でモーターを停止させるのが好ましい。従って、上記マイクロコンピュータからなる制御回路Fを用いる場合には、トルククラッチ動作検出信号の立ち上がりでモーターを停止させるか、立下りを待ってモーターを停止させるかを切り換えることができるようにしておいてもよい。」旨の事項を開示している。しかし、特許文献1は、モーターの停止方法を切り換えるための具体的な内容について検討していない。このため、モーターの回転が停止するときの負荷トルクのばらつきが生じるおそれがある。
本発明は、以上の背景をもとに発明されたものであり、モーターの回転が停止するときの負荷トルクのばらつきを小さくすることに貢献する電動工具を提供することを目的とする。
〔1〕本電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、モーター、クラッチ部、工具出力軸、負荷検知部、および制御部を有し、前記モーターは、前記モーターの出力軸である工具駆動軸を有し、前記工具駆動軸の回転を前記工具出力軸に入力し、前記クラッチ部は、前記工具出力軸の負荷トルクに基づいて、前記工具駆動軸と前記工具出力軸との間のトルクの伝達経路を接続または遮断し、前記負荷検知部は、前記工具出力軸の負荷トルクに応じて変化する負荷トルク信号を出力し、前記制御部は、前記負荷トルク信号の立ち上がり変化に基づいて前記モーターの回転を停止させる立ち上がり検知モード、および前記負荷トルク信号の立ち下がり変化に基づいて前記モーターの回転を停止させる立ち下がり検知モードを有し、前記電動工具の使用条件を示す使用条件信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔2〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、条件設定用操作部および条件設定用検知部を有し、前記条件設定用操作部は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有し、前記条件設定用検知部は、前記条件設定用操作部の操作に応じて変化する信号を前記使用条件信号として出力し、前記制御部は、前記使用条件信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔3〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、前記条件設定用操作部としての回転数設定用操作部を有し、前記条件設定用検知部としての回転数設定用検知部を有し、前記回転数設定用検知部は、前記回転数設定用操作部の操作に応じて変化する設定回転数信号を出力し、前記制御部は、前記使用条件信号としての前記設定回転数信号に基づいて、前記モーターの回転数を制御し、前記設定回転数信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔4〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、前記条件設定用操作部としてのトルク設定用操作部を有し、前記条件設定用検知部としてのトルク設定用検知部を有し、前記トルク設定用検知部は、前記トルク設定用操作部の操作に応じて変化する設定トルク信号を出力し、前記制御部は、前記使用条件信号としての前記設定トルク信号に基づいて前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔5〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、回転数検知部を有し、前記回転数検知部は、前記工具駆動軸の回転数または前記工具出力軸の回転数に応じて変化する検知回転数信号を出力し、前記制御部は、前記使用条件信号としての前記検知回転数信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔6〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記制御部は、前記検知回転数信号に基づいて演算した回転数演算値と回転数演算値対比信号とを比較し、前記工具駆動軸の回転数または前記工具出力軸の回転数が基準回転数未満の大きさを取ることが前記回転数演算値および前記回転数演算値対比信号の関係により示唆されるとき、前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔7〕上記電動工具の一形態は、次の事項を有する。前記電動工具は、基準設定用操作部および基準設定用検知部を有し、前記基準設定用操作部は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有し、前記基準設定用検知部は、前記基準設定用操作部の操作に応じて変化する基準回転数信号を出力し、前記制御部は、前記使用条件信号としての前記基準回転数信号に基づいて、前記基準回転数を変更する。
本電動工具は、モーターの回転が停止するときの負荷トルクのばらつきを小さくすることに貢献する。
第1実施形態の電動工具のブロック図。 第1実施形態の電動工具の断面図。 第1実施形態の後段円環歯車およびボールの平面図。 第1実施形態のクラッチ部のモデル図。 第1実施形態のクラッチ部のモデル図。 第1実施形態のクラッチ部のモデル図。 第1実施形態のクラッチ部のモデル図。 第1実施形態のクラッチ部のモデル図。 第1実施形態の電動工具の動作に関するタイミングチャート。 第1実施形態の電動工具の動作に関するタイミングチャート。 第2実施形態の電動工具のブロック図。 第2実施形態の電動工具の動作に関するタイミングチャート。
(第1実施形態)
図1は、電動工具1の一形態を示している。
電動工具1は、一例として、ドリルドライバーの形態を有する。電動工具1は、電動工具本体10および電源部110を有する。電動工具1は、電動工具本体10および電源部110を互いに結合および分離することが可能な構造を有する。電動工具1は、電動工具本体10に結合されたビット2を介して作業対象部品にトルクを伝達する。作業対象部品は、一例として、ねじまたはボルトの形態を有する。
電動工具本体10は、ハウジング20、モーター30、動力伝達部40、クラッチ部50、工具出力軸60、操作部品群70、検知ブロック群80、駆動部90、および制御部100を有する。電動工具本体10は、ビット2との結合および分離が可能な構造を有する。電動工具本体10の電力ブロックは、電源部110から入力される電力により駆動する。電動工具本体10の電力ブロックは、モーター30、検知ブロック群80、駆動部90、および制御部100を含む。
ハウジング20は、使用者がグリップすることが可能な形状を有する。ハウジング20は、電動工具本体10の各構成要素を収容している。ハウジング20は、動力伝達部40の一部およびクラッチ部50の一部を構成している。ハウジング20は、収容部21およびねじ部22(図2参照)を有する。収容部21およびねじ部22は、クラッチ部50の一部を構成している。
モーター30は、ハウジング20の内部に配置されている。モーター30は、モーター本体31、およびモーター30の出力軸としての工具駆動軸32を有する。モーター30は、駆動部90から入力される電力により駆動する。モーター30は、正転モードおよび逆転モードを有する。正転モードは、工具駆動軸32を正転方向に回転させる。逆転モードは、工具駆動軸32を逆転方向に回転させる。
動力伝達部40は、ハウジング20の内部に配置されている。動力伝達部40は、工具駆動軸32の回転を減速し、減速した回転を工具出力軸60に出力する。動力伝達部40は、一例として、図2に示される複数の遊星歯車機構を有する。
クラッチ部50は、工具出力軸60の周囲に配置されている。クラッチ部50は、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続および遮断する。クラッチ部50は、一例として、図2に示される検知部品51および後段円環歯車43C等を有する。クラッチ部50は、工具出力軸60に作用する負荷トルク(以下、「負荷トルクTL」)が遮断トルクTX未満のとき、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続する。クラッチ部50は、負荷トルクTLが遮断トルクTX以上の大きさを取るとき、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を遮断する。
工具出力軸60は、一部がハウジング20の内部に配置され、別の一部がハウジング20の外部に配置されている。工具出力軸60は、動力伝達部40およびクラッチ部50を経て伝達されたトルクによりビット2を回転させる。工具出力軸60は、作業対象部品に作用するトルク(以下、「締付トルクTC」)を変化させる。
操作部品群70は、トリガスイッチ71、回転方向設定用操作部72、およびトルク設定用操作部73を含む。操作部品群70は、使用者が電動工具1の使用条件を変更するための機能を有する。操作部品群70の各操作部は、条件設定用操作部に相当する。
トリガスイッチ71は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有する。トリガスイッチ71は、モーター30の出力を調整するために操作される。トリガスイッチ71の操作位置は、外部から入力される力により変化する。トリガスイッチ71の操作位置は、出力停止位置から最大出力位置までの範囲において連続的に変化する。出力停止位置は、ハウジング20に対する押し込み量が最も小さい操作位置を示す。最大出力位置は、ハウジング20に対する押し込み量が最も大きい操作位置を示す。
回転方向設定用操作部72は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有する。回転方向設定用操作部72は、工具出力軸60の回転方向を設定するために操作される。回転方向設定用操作部72は、操作位置として、正転設定位置および逆転設定位置を有する。回転方向設定用操作部72の操作位置は、外部から入力される力により変化する。正転設定位置は、モーター30の回転方向が正転方向に設定される操作位置を示す。逆転設定位置は、モーター30の回転方向が逆転方向に設定される操作位置を示す。
トルク設定用操作部73は、一例として、図2に示される荷重調整部55を有する。トルク設定用操作部73は、遮断トルクTXの大きさを調整するために操作される。トルク設定用操作部73は、操作位置として、最小調節位置、最大調節位置、および最小調節位置と最大調節位置との間の複数の調節位置を有する。トルク設定用操作部73の操作位置は、最小調整位置から最大調整位置までの範囲において段階的に変化する。
最小調整位置は、荷重入力部品53により遮断トルクTXが調整される範囲において、遮断トルクTXが最小値に設定される操作位置を示す。最大調整位置は、荷重入力部品53により遮断トルクTXが調整される範囲において、遮断トルクTXが最大値に設定される操作位置を示す。
検知ブロック群80は、負荷検知部81、回転数検知部82、トリガ操作検知部83、および回転方向設定用検知部84を有する。検知ブロック群80は、操作部品群70の構成要素の個々の操作に基づいて電圧信号を生成し、この電圧信号を制御部100に出力する機能を有する。検知ブロック群80の各検知部は、条件設定用検知部に相当する。検知ブロック群80の各検知部が出力する信号は、使用条件信号に相当する。
負荷検知部81は、工具出力軸60に作用する負荷トルクTLを間接的に検知する。負荷検知部81は、一例として、フォトインタラプターの形態を有する。負荷検知部81は、検知部品51の変位に基づいて負荷トルクTLを検知する。負荷検知部81は、検知部品51の変位に応じて変化する負荷トルク信号SLを制御部100に出力する。
回転数検知部82は、工具駆動軸32の回転数(以下、「駆動軸回転数NM」)を検知する。回転数検知部82は、駆動軸回転数NMに応じて変化する検知回転数信号SNを制御部100に出力する。なお、駆動軸回転数NMは、単位時間あたりの工具駆動軸32の回転量を示す。
トリガ操作検知部83は、トリガスイッチ71の操作位置を検知する。トリガ操作検知部83は、トリガスイッチ71の操作に応じて変化するトリガ操作信号SSを制御部100に出力する。トリガ操作検知部83は、トリガスイッチ71が出力停止位置以外の操作位置を取るとき、トリガスイッチ71の操作量に対応するトリガ操作信号SSを制御部100に出力する。トリガ操作検知部83は、トリガスイッチ71が出力停止位置を取るとき、トリガ操作信号SSを出力しない。
回転方向設定用検知部84は、回転方向設定用操作部72の操作位置を検知する。回転方向設定用検知部84は、回転方向設定用操作部72の操作に応じて変化する信号を制御部100に出力する。回転方向設定用検知部84は、回転方向設定用操作部72が正転設定位置を取るとき、正転方向設定信号SPを制御部100に出力する。回転方向設定用検知部84は、回転方向設定用操作部72が逆転設定位置を取るとき、逆転方向設定信号SQを制御部100に出力する。
駆動部90は、制御部100から受信した信号に基づいて動作する。駆動部90は、制御部100から回転駆動信号SMDを受信しているとき、モーター30に入力する電力の大きさをスイッチング動作により変化させる。駆動部90は、制御部100から正転駆動信号SMPを受信しているとき、モーター30を正転モードにより駆動する。駆動部90は、制御部100から逆転駆動信号SMQを受信しているとき、モーター30を逆転モードにより駆動する。駆動部90は、制御部100から回転停止信号SMSを受信したとき、モーター30への電力の入力を停止する。
制御部100は、検知ブロック群80から受信した信号に基づいて、モーター30を制御する信号を駆動部90に出力する。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて、駆動軸回転数NMを示す回転数演算値NMCを算出する。制御部100は、トリガ操作信号SSに基づいて、回転駆動信号SMDを駆動部90に出力する。制御部100は、負荷トルク信号SLに基づいて、回転停止信号SMSの出力を駆動部90に出力する。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて、回転停止信号SMSの出力を停止する。制御部100は、正転方向設定信号SPに基づいて、正転駆動信号SMPを駆動部90に出力する。制御部100は、逆転方向設定信号SQに基づいて、逆転駆動信号SMQを駆動部90に出力する。
図2は、動力伝達部40およびクラッチ部50の構造の一例を示す。動力伝達部40は、出力軸方向を規定する。出力軸方向は、工具駆動軸32または工具出力軸60の軸方向を示す。
動力伝達部40は、前段遊星歯車機構41、中段遊星歯車機構42、後段遊星歯車機構43、歯車支持部44、中間部品45、軸規制部品46、ラジアル軸受47、スラスト軸受48、およびカバー49を有する。
各遊星歯車機構41〜43は、出力軸方向において、工具駆動軸32と工具出力軸60との間に配置されている。各遊星歯車機構41〜43は、出力軸方向においてモーター30側から工具出力軸60側に向けて、前段遊星歯車機構41、中段遊星歯車機構42、および後段遊星歯車機構43の順に配置されている。
前段遊星歯車機構41は、1つの前段太陽歯車41A、3つの前段遊星歯車41B、1つの前段円環歯車41C、および1つの前段キャリア41Dを有する。前段遊星歯車機構41は、工具駆動軸32の回転を減速して中段遊星歯車機構42に入力する。
前段太陽歯車41Aは、工具駆動軸32に固定されている。前段遊星歯車41Bは、前段太陽歯車41Aおよび前段円環歯車41Cと噛み合わせられている。前段円環歯車41Cは、ハウジング20に固定されている。前段キャリア41Dのピンは、前段遊星歯車41Bの穴に挿入されている。
中段遊星歯車機構42は、1つの中段太陽歯車42A、3つの中段遊星歯車42B、1つの中段円環歯車42C、および1つの中段キャリア42Dを有する。中段遊星歯車機構42は、前段遊星歯車機構41の回転を減速して後段遊星歯車機構43に入力する。
中段太陽歯車42Aは、前段キャリア41Dと一体化されている。中段遊星歯車42Bは、中段太陽歯車42Aおよび中段円環歯車42Cと噛み合わせられている。中段円環歯車42Cは、前段円環歯車41Cと一体化されている。中段キャリア42Dのピンは、中段遊星歯車42Bの穴に挿入されている。
後段遊星歯車機構43は、1つの後段太陽歯車43A、3つの後段遊星歯車43B、1つの後段円環歯車43C、および1つの後段キャリア43Dを有する。後段遊星歯車機構43は、中段遊星歯車機構42の回転を減速して工具出力軸60に入力する。
後段太陽歯車43Aは、中段キャリア42Dと一体化されている。後段遊星歯車43Bは、後段太陽歯車43Aおよび後段円環歯車43Cと噛み合わせられている。後段キャリア43Dのピンは、後段遊星歯車43Bの穴に挿入されている。
後段円環歯車43Cは、クラッチ部50の荷重入力部品53により歯車支持部44の支持部品44Aに押し付けられている。後段円環歯車43Cと支持部品44Aとの間に生じる摩擦力(以下、「回転規制摩擦力」)は、ハウジング20に対する後段円環歯車43Cの回転抵抗として作用する。後段円環歯車43Cは、負荷トルクTLが遮断トルクTX未満のとき、かつ後段遊星歯車43Bが回転しているとき、支持部品44Aおよびハウジング20に対して回転しない。後段円環歯車43Cは、負荷トルクTLが遮断トルクTX以上の大きさを取るとき、後段遊星歯車43Bから入力されるトルクにより、支持部品44Aおよびハウジング20に対して回転する。すなわち、後段円環歯車43Cは、回転規制摩擦力および負荷トルクTLの関係に応じて、支持部品44Aおよびハウジング20に対する回転運動の形態を変化させる。以下の説明は、支持部品44Aおよびハウジング20に対する後段円環歯車43Cの回転を、「ハウジング20に対する後段円環歯車43Cの回転」、またはこの表現に類似する表現により記述する。
歯車支持部44は、支持部品44Aおよび固定部品44Bを有する。支持部品44Aは、出力軸方向において後段円環歯車43Cを支持している。固定部品44Bは、ハウジング20に固定されている。固定部品44Bは、出力軸方向において支持部品44Aを支持している。
中間部品45は、工具出力軸60に固定されている。中間部品45は、複数の穴を有する。中間部品45の穴は、後段キャリア43Dのピンが挿入されている。中間部品45は、後段キャリア43Dおよび工具出力軸60と一体的に回転する。
軸規制部品46は、一例として、C型止め輪の形態を有する。軸規制部品46は、ハウジング20に固定されている。軸規制部品46は、工具出力軸60の溝に嵌め込まれている。軸規制部品46は、出力軸方向におけるハウジング20に対する工具出力軸60の移動を規制する。
ラジアル軸受47は、一例として、金属製のすべり軸受の形態を有する。ラジアル軸受47は、ハウジング20に固定されている。ラジアル軸受47は、工具出力軸60のラジアル荷重を受ける。
スラスト軸受48は、一例として、スラスト玉軸受の形態を有する。スラスト軸受48は、ハウジング20に固定されている。スラスト軸受48は、工具出力軸60のスラスト荷重を受ける。
カバー49は、ハウジング20に固定されている。カバー49は、ハウジング20におけるモーター30側の開口部を閉塞している。カバー49は、工具駆動軸32が通過する穴を有する。
クラッチ部50は、検知部品51、操作感付与部品52、荷重入力部品53、複数のボール54、荷重調整部55、および後段円環歯車43Cを有する。クラッチ部50は、負荷トルクTLに応じて後段円環歯車43Cおよび支持部品44Aの結合状態を変化させることにより、後段遊星歯車43Bから後段キャリア43Dへのトルクの伝達状態を変化させる。すなわち、クラッチ部50は、負荷トルクTLに応じて後段円環歯車43Cおよび支持部品44Aの結合状態を変化させることにより、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続または遮断する。
検知部品51は、一例として、薄板形状を有する。検知部品51は、ボール54と接触している。検知部品51は、荷重入力部品53から入力される荷重によりボール54に押し付けられている。検知部品51は、出力軸方向においてハウジング20および後段円環歯車43Cに対して移動することができる。検知部品51は、出力軸方向における後段円環歯車43Cに対する位置(以下、「検知部品位置」)を、基準部品位置から上限部品位置までの範囲において変化させる。
基準部品位置は、検知部品51と後段円環歯車43Cとの距離が最も短くなる検知部品位置を示す。上限部品位置は、検知部品51と後段円環歯車43Cとの距離が最も長くなる検知部品位置を示す。検知部品位置は、基準部品位置に対する検知部品51の変位量(以下、「検知部品変位量L」)により記述することができる。検知部品変位量Lは、基準部品位置のときに基準部品変位量LLを取り、上限部品位置のときに上限部品変位量LHを取る。
操作感付与部品52は、荷重調整部55のハンドル55Aに固定されている。操作感付与部品52は、ハウジング20および検知部品51に対して回転することができる。操作感付与部品52は、複数の穴を有する。操作感付与部品52の複数の穴は、検知部品51の突起を挿入および離脱させることが可能な構造を有する。
操作感付与部品52は、検知部品51に対して回転することにより、検知部品51の突起が操作感付与部品52の穴に挿入された状態、および検知部品51の突起が操作感付与部品52の穴から離脱した状態を連続的に形成する。このため、操作感付与部品52は、ハンドル55Aの操作者に対してクリック感を付与する。
荷重入力部品53は、出力軸方向において荷重調整部55と検知部品51との間に配置されている。荷重入力部品53は、一例として、コイルスプリングの形態を有する。荷重入力部品53は、圧縮された状態において、荷重調整部55と検知部品51および操作感付与部品52との間に配置されている。
荷重入力部品53の復元力(以下、「入力荷重F」)は、検知部品51および操作感付与部品52をボール54に向けて押す力として作用する。入力荷重Fは、操作感付与部品52、検知部品51、およびボール54を介して後段円環歯車43Cに入力される。このため、入力荷重Fは、回転規制摩擦力の大きさを変化させる。
複数のボール54は、3つのグループに分類される(図3参照)。各グループは、2つのボール54により形成されている。1つのグループを形成する2つのボール54は、1つの収容部21に配置されている。2つのボール54は、収容部21において1列のボール列を形成している。1列のボール54は、出力軸方向においてハウジング20に対して移動することができる。一方のボール54は、後段円環歯車43Cと接触している。他方のボール54は、検知部品51と接触している。
荷重調整部55は、ハンドル55Aおよび回転部品55Bを有する。荷重調整部55は、個別の部品として形成されたハンドル55Aおよび回転部品55Bが互いに結合された構造を有する。荷重調整部55は、ハウジング20に対して回転することにより、荷重入力部品53の圧縮変形量を変化させる。
ハンドル55Aは、内部に空間を有する。ハンドル55Aは、内部の空間に検知部品51、操作感付与部品52、荷重入力部品53、回転部品55B、およびハウジング20の一部を収容している。ハンドル55Aは、ハウジング20に対して回転することができる。ハンドル55Aは、荷重入力部品53の圧縮変形量を調整するために操作される。
回転部品55Bは、雌ねじを有する。回転部品55Bの雌ねじは、ハウジング20に形成されたねじ部22と噛み合わせられている。回転部品55Bは、荷重入力部品53と結合されている。回転部品55Bは、ハウジング20に対してハンドル55Aと一体的に回転する。
図3は、クラッチ部50における一部の構成要素の平面構造を示す。
後段円環歯車43Cは、円環歯車平面43CFおよび3つの凸部43Xを有する。円環歯車平面43CFは、後段円環歯車43Cにおける検知部品51側の端面を形成している。各凸部43Xは、円環歯車平面43CFから検知部品51に向けて突出している。各凸部43Xは、周方向において等間隔に形成されている。凸部43Xおよびボール54の相対的な回転位置の関係は、後段円環歯車43Cがハウジング20およびボール54に対して回転することにより変化する。
図4は、クラッチ部50、およびクラッチ部50に関連する構成要素のモデル図を示す。図4は、後段円環歯車43C等の各構成要素を仮想の平面上に展開して示している。以下の説明は、後段円環歯車43Cの周方向の位置に関して周方向前方および周方向後方の用語を用いる。周方向前方は、後段円環歯車43Cの周方向において、後段円環歯車43Cがハウジング20に対して回転する方向を示す。周方向後方は、後段円環歯車43Cの周方向において、後段円環歯車43Cがハウジング20に対して回転する方向とは反対の方向を示す。
凸部43Xは、一例として、図4に示される側面形状を有する。凸部43Xは、凸部第1斜面43XA、凸部第2斜面43XB、および凸部頂部43XCを有する。凸部43Xは、後段円環歯車43Cの回転にともない出力軸方向においてボール54を変位させることが可能な形状を有する。
凸部第1斜面43XAは、凸部43Xと円環歯車平面43CFとの一方の境界部分から凸部頂部43XCまでにわたり形成されている。凸部第1斜面43XAは、工具駆動軸32が正転方向に回転する場合において、凸部頂部43XCに対して周方向前方側に存在する。
凸部第2斜面43XBは、凸部43Xと円環歯車平面43CFとの他方の境界部分から凸部頂部43XCまでにわたり形成されている。凸部第2斜面43XBは、工具駆動軸32が正転方向に回転する場合において、凸部頂部43XCに対して周方向後方側に存在する。
凸部頂部43XCは、凸部43Xの高さ(以下、「凸部高さH」)が最も高い部分を形成している。凸部高さHは、一例として、出力軸方向における円環歯車平面43CFと凸部43Xの表面との距離により規定される。凸部43Xの表面は、凸部第1斜面43XA、凸部第2斜面43XB、および凸部頂部43XCの頂面を示す。
凸部43Xは、後段円環歯車43Cがハウジング20に対して回転することにより、ボール54に対する回転位置を変化させる。凸部43Xは、ボール54に接触することにより、出力軸方向において検知部品51に向けて作用する力をボール54に付与する。ボール54に作用する力は、検知部品51および操作感付与部品52を介して荷重入力部品53に作用する。
荷重入力部品53は、ボール54に作用する力に応じて圧縮変形量を変化させる。荷重入力部品53は、ボール54に作用する力が増加するとき、圧縮変形量を増加させる。このため、ボール54、検知部品51、および操作感付与部品52は、荷重入力部品53を圧縮変形させながら、出力軸方向において後段円環歯車43Cから離間する方向に変位することができる。
ボール54は、荷重入力部品53側に変位することにより、円環歯車平面43CFから離間する。以下の説明は、凸部43Xとの接触によりボール54が円環歯車平面43CFから離間している状態を、「ボール54が凸部43Xに乗り上げた状態」、またはこの表現に類似する表現により記述する。以下の説明は、ボール54が凸部43Xに対して形成する一連の動作を、「ボール54が凸部43Xを乗り越える」、またはこの表現に類似する表現により記述する。ボール54が凸部43Xを乗り越える動作は、ボール54が円環歯車平面43CFと接触している状態から凸部43Xに乗り上げた状態に移行し、その後に凸部頂部43XCを超えて再び円環歯車平面43CFと接触する状態に移行する一連の動作を示す。
検知部品51および後段円環歯車43Cは、出力軸方向において部品間距離Dを有する。ボール54の列は、部品間距離Dを規定している。部品間距離Dは、検知部品位置の変化に応じて変化する。部品間距離Dは、検知部品位置が基準部品位置から上限部品位置に向けて変化するにつれて長くなる。部品間距離Dは、検知部品位置が基準部品位置を取るとき、基準部品間距離DLを取る。部品間距離Dは、検知部品位置が上限変位位置を取るとき、上限部品間距離DHを取る。
入力荷重Fは、検知部品位置の変化に応じて変化する。入力荷重Fは、検知部品位置が基準部品位置を取るとき、基準入力荷重FLを取る。入力荷重Fは、検知部品位置が上限部品位置を取るとき、最大入力荷重FHを取る。基準入力荷重FLは、検知部品位置の変化にともなう入力荷重Fの変化範囲において、最も小さい入力荷重Fを示す。最大入力荷重FHは、検知部品位置の変化にともなう入力荷重Fの変化範囲において、最も大きい入力荷重Fを示す。基準入力荷重FLおよび最大入力荷重FHは、検知部品位置が基準部品位置を取る場合における荷重入力部品53の圧縮変形量に応じて変化する。この圧縮変形量は、ハウジング20に対する荷重調整部55の回転量に応じて変化する。
負荷検知部81は、検知部品位置の変化に応じて、負荷トルク信号SLの出力形態を変化させる。負荷検知部81は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満のとき、負荷トルク信号SLを出力しない。負荷検知部81は、検知部品51が基準部品位置から上限部品位置に向けて変位する過程において、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLを出力しはじめる。負荷検知部81は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさを取るとき、負荷トルク信号SLを出力する。負荷検知部81は、検知部品51が上限部品位置から基準部品位置に向けて変位する過程において、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLの出力を停止する。
検知部品位置は、ハウジング20に対する後段円環歯車43Cの回転に応じて変化する。後段円環歯車43Cは、負荷トルクTLに応じてハウジング20に対して回転する。このため、検知部品変位量Lに基づく負荷検知部81の信号の出力形態は、負荷トルクTLを間接的に検知している。
図4〜図8は、ハウジング20に対する後段円環歯車43Cの回転にともない、検知部品位置が基準部品位置から上限部品位置に変化し、上限部品位置から再び基準部品位置に変化する一連の過程を示している。
図4は、ボール54が凸部43Xに乗り上げていない状態を示す。検知部品位置は、基準部品位置を取る。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLを取る。部品間距離Dは、基準部品間距離DLを取る。入力荷重Fは、基準入力荷重FLを取る。負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。凸部43Xは、図4に示される状態において後段円環歯車43Cがボール54に対して回転することにより、円環歯車平面43CFから離間する方向にボール54を変位させる。
図5は、ボール54が凸部第1斜面43XAに乗り上げた状態を示す。検知部品位置は、基準部品位置と上限変位位置との間の位置を取る。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLと上限部品変位量LHとの間の大きさを取る。部品間距離Dは、基準部品間距離DLと上限部品間距離DHとの間の長さを取る。入力荷重Fは、基準入力荷重FLと最大入力荷重FHとの間の大きさを取る。負荷検知部81は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLを出力しはじめる。凸部43Xは、図5に示される状態において後段円環歯車43Cがボール54に対して回転することにより、円環歯車平面43CFから離間する方向にボール54をさらに変位させる。
図6は、ボール54が凸部頂部43XCに乗り上げた状態を示す。検知部品位置は、上限変位位置を取る。検知部品変位量Lは、上限部品変位量LHを取る。部品間距離Dは、上限部品間距離DHを取る。入力荷重Fは、最大入力荷重FHを取る。負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力する。凸部43Xは、図6に示される状態において後段円環歯車43Cがボール54に対して回転することにより、円環歯車平面43CFに接近する方向にボール54を変位させる。
図7は、ボール54が凸部第2斜面43XBに乗り上げた状態を示す。検知部品位置は、基準部品位置と上限変位位置との間の位置を取る。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLと上限部品変位量LHとの間の大きさを取る。部品間距離Dは、基準部品間距離DLと上限部品間距離DHとの間の大きさを取る。入力荷重Fは、基準入力荷重FLと最大入力荷重FHとの間の大きさを取る。負荷検知部81は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLの出力を停止する。凸部43Xは、図7に示される状態において後段円環歯車43Cがボール54に対して回転することにより、円環歯車平面43CFに接近する方向にボール54をさらに変位させる。
図8は、ボール54が凸部43Xに乗り上げていない状態を示す。検知部品位置は、基準部品位置を取る。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLを取る。部品間距離Dは、基準部品間距離DLを取る。入力荷重Fは、基準入力荷重FLを取る。負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。凸部43Xは、図8に示される状態において後段円環歯車43Cがボール54に対して回転することにより、円環歯車平面43CF上に存在するボール54に対する回転位置を変化させる。
制御部100は、モーター30の停止制御を実行する。モーター30の停止制御は、ハードウェアにより構成される形態を有する。制御部100は、制御部100内の各機能ブロックにおける信号の通信により、モーター30の停止制御を実行する。
モーター30の停止制御は、以下の技術的意義を有する。なお、以下の事項は、モーター30の停止制御が有する技術的意義の1つを示したものであり、停止制御が取り得る具体的構成の内容を、下記事項に基づく内容のみに限定することを意図していない。すなわち、モーター30の停止制御は、下記事項とは異なる側面から構成される余地を有する。
後段円環歯車43Cは、負荷トルクTLが遮断トルクTX未満から遮断トルクTX以上の大きさに変化したとき、ハウジング20に対して回転しはじめる。すなわち、クラッチ部50は、負荷トルクTLが遮断トルクTX未満から遮断トルクTX以上の大きさに変化したとき、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を遮断する。クラッチ部50は、負荷トルクTLが遮断トルクTX以上の大きさを取るとき、基本的には工具出力軸60にトルクを伝達しない。以下の説明は、後段円環歯車43Cがハウジング20に対して回転しはじめるタイミングを「出力遮断開始時期」と記述する。
負荷検知部81は、出力遮断開始時期以降の期間において、検知部品51の変位に基づいて、負荷トルク信号SLの出力形態を変化させる。制御部100は、負荷トルク信号SLに基づいて、回転停止信号SMSを出力する。駆動部90は、回転停止信号SMSに基づいて、モーター30への電流の入力を停止する。モーター30は、電流の入力が停止された後、慣性回転モードに移行する。モーター30は、慣性回転モードにおいて減速しながら回転した後、回転を完全に停止する。以下の説明は、駆動部90がモーター30への電流の入力を停止するタイミングを「駆動電流遮断時期」と記述し、駆動電流遮断時期以降においてモーター30の回転が完全に停止するタイミングを「回転完全停止時期」と記述する。
モーター30は、出力遮断開始時期から回転完全停止時期までの期間(以下、「出力遮断後期間」)において、所定の角度にわたり回転する。出力遮断後期間におけるモーター30の回転量(以下、「出力遮断後回転量RV」)は、少なくとも以下の3つの要因の影響を受けて変化する。
1つ目の要因は、出力遮断開始時期と駆動電流遮断時期との間隔を示す。出力遮断後回転量RVは、出力遮断開始時期と駆動電流遮断時期との間隔が長くなるにつれて大きくなる。2つ目の要因は、駆動軸回転数NMを示す。出力遮断後回転量RVは、駆動軸回転数NMが高くなるにつれて大きくなる。3つ目の要因は、負荷トルクTLを示す。出力遮断後回転量RVは、負荷トルクTLが小さくなるにつれて大きくなる。
凸部43Xは、出力遮断後期間において、ボール54および検知部品51を変位させる。検知部品51は、検知部品変位量Lに応じて荷重入力部品53の圧縮変形量を変化させる。入力荷重Fは、検知部品変位量Lが基準部品変位量LLよりも大きいとき、基準入力荷重FLよりも大きくなる。回転規制摩擦力は、入力荷重Fの増加に応じて増加する。すなわち、回転規制摩擦力は、出力遮断後期間においてボール54が凸部43Xに乗り上げることにより、一時的に増加する。
後段円環歯車43Cは、負荷トルクTLが遮断トルクTX以上の状態において、基準入力荷重FLに基づく回転規制摩擦力が発生しているとき、ハウジング20に対して回転する。後段円環歯車43Cは、基準入力荷重FLよりも大きい入力荷重Fに基づく回転規制摩擦力が発生しているとき、ハウジング20に対して回転しにくくなる、またハウジング20に対して回転しない。
このため、後段円環歯車43Cは、出力遮断後期間においてボール54が凸部43Xに乗り上げていることにより回転規制摩擦力が増加しているとき、ハウジング20に対して回転しにくくなる、またはハウジング20に対して回転しない。このため、後段遊星歯車43Bは、回転規制摩擦力が増加しているとき、後段キャリア43Dにトルクを入力する。このため、工具出力軸60は、作業対象部品にトルクを入力する。このため、締付トルクTCは、遮断トルクTXよりも大きいトルクに変化する。以下の説明は、出力遮断後期間における回転規制摩擦力の増加により工具出力軸60に入力されるトルクを「遮断後入力トルクTS」と記述する。
モーター30の回転が完全に停止したときの締付トルクTC(以下、「最終締付トルクTCZ」)は、主として、遮断トルクTXおよび遮断後入力トルクTSに応じて決定される。最終締付トルクTCZは、作業対象部品に関する作業の精度を決める。このため、各作業対象部品の最終締付トルクTCZは、ばらつきが小さいことが好ましい。作業対象部品毎の最終締付トルクTCZのばらつきは、各作業対象部品の最終締付トルクTCZが適正範囲内に存在することにより、好ましいばらつきの範囲に収められる。
本願発明者は、最終締付トルクTCZを適正範囲内に収めるため、電動工具1の使用条件と最終締付トルクTCZとの関係を確認する試験(以下、「締付トルク検証試験」)を実施した。
図9は、締付トルク検証試験において確認された各パラメーターの変化の一例を示している。図9のX軸は、出力遮断後期間におけるモーター30および後段円環歯車43Cの回転角度を示している。
締付トルク検証試験は、制御部100による回転停止信号SMSの出力方式(以下、「検知モード」)として、立ち上がり検知モードおよび立ち下がり検知モードを設定した。立ち上がり検知モードは、負荷トルク信号SLの立ち上がり変化に基づいて回転停止信号SMSを出力する検知モードを示す。立ち下がり検知モードは、負荷トルク信号SLの立ち下がり変化に基づいて回転停止信号SMSを出力する検知モードを示す。
本願発明者は、締付トルク検証試験として、第1の締付トルク検証試験、第2の締付トルク検証試験、および第3の締付トルク検証試験を実施した。第1実施形態は、第1の締付トルク検証試験の結果を開示する。第2実施形態は、第2の締付トルク検証試験および第3の締付トルク検証試験の結果を開示する。
第1の締付トルク検証試験は、電動工具1の使用条件として、高速駆動使用条件および低速駆動使用条件を設定した。高速駆動使用条件は、基準回転数NX以上の駆動軸回転数NMによりモーター30が駆動している状態において、負荷トルクTLが遮断トルクTXに到達した使用条件を示す。低速駆動使用条件は、基準回転数NX未満の駆動軸回転数NMによりモーター30が駆動している状態において、負荷トルクTLが遮断トルクTXに到達した使用条件を示す。
第1の締付トルク検証試験は、検知モードおよび電動工具1の使用条件の組み合わせにより、4つの試験パターンにおいて電動工具1の使用条件と最終締付トルクTCZとの関係を確認した。
第1試験第1パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。第1試験第2パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定したパターンを示す。第1試験第3パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定したパターンを示す。第1試験第4パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定したパターンを示す。
第1試験第1パターンは、一例として以下の結果を示す。
回転角度R0は、出力遮断開始時期に対応している。検知部品変位量Lは、回転角度R0において、基準部品変位量LLを取る。入力荷重Fは、回転角度R0において、基準入力荷重FLを取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R0において、「0」または実質的に「0」とみなせる大きさを取る。締付トルクTCは、回転角度R0において、遮断トルクTXを取る。出力遮断後回転量RVは、回転角度R0以降における回転角度の変化量に相当する。
回転角度R11は、出力遮断開始時期以降において、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げはじめる直前の回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R11以降の回転角度において、ボール54の変位量に応じて増加する。入力荷重Fは、回転角度R11以降の回転角度において、検知部品変位量Lに応じて増加する。遮断後入力トルクTSは、回転角度R11以降の回転角度において、入力荷重Fに応じて増加する。締付トルクTCは、回転角度R11以降の回転角度において、遮断後入力トルクTSに応じて増加する。
回転角度R12は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R12において、立ち上がり変化を示す。制御部100は、立ち上がりモードを選択しているため、回転角度R12において、回転停止信号SMSを出力しはじめる。すなわち、回転角度R12は、駆動電流遮断時期に対応している。
回転角度R13は、ボール54が凸部頂部43XCに乗り上げたときの回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R13において、上限部品変位量LHを取る。検知部品変位量Lは、回転角度R13以降の回転角度において、ボール54の変位量に応じて減少する。入力荷重Fは、回転角度R13において、最大入力荷重FHを取る。入力荷重Fは、回転角度R13以降の回転角度において、検知部品変位量Lに応じて減少する。遮断後入力トルクTSは、回転角度R13において極大値を取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R13以降の回転角度において、入力荷重Fに応じて減少する。締付トルクTCは、回転角度R13以降の回転角度において、遮断後入力トルクTSに応じて増加する。
回転角度R14は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R14において、立ち下がり変化を示す。制御部100は、立ち上がり検知モードを選択しているため、回転角度R14において、回転停止信号SMSの出力形態を変化させない。
回転角度R15は、出力遮断開始時期以降において、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えた直後の回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R15において、基準部品変位量LLを取る。入力荷重Fは、回転角度R15において、基準入力荷重FLを取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R15において、「0」または実質的に「0」とみなせる大きさを取る。締付トルクTCは、回転角度R15において、遮断トルクTXよりも大きい第1回目乗越後トルクTCAを取る。
回転角度R21は、出力遮断開始時期以降において、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げはじめる直前の回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R15から回転角度R21までの回転角度の範囲において、基準部品変位量LLを取る。入力荷重Fは、回転角度R15から回転角度R21までの回転角度の範囲において、基準入力荷重FLを取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R15から回転角度R21までの回転角度の範囲において、「0」または実質的に「0」とみなせる大きさを取る。締付トルクTCは、回転角度R15から回転角度R21までの回転角度の範囲において、第1回目乗越後トルクTCAを取る。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R15から回転角度R21までの範囲において回転を完全に停止する。このため、最終締付トルクTCZは、第1回目乗越後トルクTCAを取る。以下の説明は、モーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止する回転角度を「完全停止回転角度」と記述する。完全停止回転角度は、出力遮断開始時期におけるモーター30または後段円環歯車43Cの回転角度を基準とした相対角度を示す。
第1試験第1パターンは、完全停止回転角度が回転角度R15から回転角度R21までの範囲におけるいずれの回転角度を取る場合においても、最終締付トルクTCZが第1回目乗越後トルクTCAを取る。すなわち、第1試験第1パターンは、完全停止回転角度の変化に対して、最終締付トルクTCZのばらつきが生じにくい。
第1試験第2パターンは、一例として以下の結果を示す。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R12から回転角度R13までの範囲において回転を完全に停止する。このため、最終締付トルクTCZは、遮断トルクTXと第1回目乗越後トルクTCAとの間の締付トルクTCを取る。
第1試験第2パターンは、完全停止回転角度が回転角度R12から回転角度R13までの範囲において取る回転角度に応じて、最終締付トルクTCZが変化する。すなわち、第1試験第2パターンは、完全停止回転角度の変化に対して、最終締付トルクTCZのばらつきが生じやすい。
第1試験第1パターンの完全停止回転角度および第1試験第2パターンの完全停止回転角度は、上記のとおり互いに相違する。各試験パターンの完全停止回転角度の相違は、駆動電流遮断後時期においてボール54が凸部43Xを乗り越える形態の相違を形成している。各試験パターンの完全停止回転角度が互いに相違する理由は、以下のとおり考えられる。
モーター30の動作は、制御部100の指令信号が出力されるタイミングに対して応答遅れを持つ。このため、モーター30が回転停止信号SMSに基づいて慣性回転モードに移行する時期(以下、「停止動作開始時期」)は、回転停止信号SMSの出力時期に対して遅れを持つ。
駆動電流遮断時期以降におけるモーター30の回転量(以下、「電流遮断後回転量RI」)は、少なくとも次の2つの要因の影響を受けて変化する。1つ目の要因は、駆動軸回転数NMを示す。電流遮断後回転量RIは、駆動軸回転数NMが高くなるにつれて大きくなる。2つ目の要因は、負荷トルクTLを示す。電流遮断後回転量RIは、負荷トルクTLが小さくなるにつれて大きくなる。
第1試験第1パターンは、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取る。このため、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取る場合と比較して、電流遮断後回転量RIが大きくなる。すなわち、モーター30は、駆動軸回転数NMが高いことにより、回転停止信号SMSの出力時期に対する停止動作開始時期の遅れが生じている期間において、回転量の増加量が大きい。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えた後に回転を停止する。
第1試験第2パターンは、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取る。このため、第1試験第1パターンと比較して、電流遮断後回転量RIが小さくなる。すなわち、モーター30は、駆動軸回転数NMが低いことにより、回転停止信号SMSの出力時期に対する停止動作開始時期の遅れが生じている期間において、回転量の増加量が小さい。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げた状態において回転を停止する。
第1試験第3パターンは、一例として以下の結果を示す。
回転角度R12は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R12において、立ち上がり変化を示す。制御部100は、立ち下がり検知モードを選択しているため、回転角度R12において、回転停止信号SMSの出力形態を変化させない。
回転角度R14は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R12において、立ち下がり変化を示す。制御部100は、立ち下がり検知モードを選択しているため、回転角度R14において、回転停止信号SMSを出力しはじめる。すなわち、回転角度R14は、駆動電流遮断時期に対応している。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R15から回転角度R21までの範囲において回転を停止しない。すなわち、モーター30は、回転角度R21に到達した後も慣性回転モードによる回転を継続する。後段円環歯車43Cは、モーター30の回転に基づいて回転を継続する。
回転角度R21は、出力遮断開始時期以降において、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げはじめる直前の回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R21以降の回転角度において、ボール54の変位量に応じて増加する。入力荷重Fは、回転角度R21以降の回転角度において、検知部品変位量Lに応じて増加する。遮断後入力トルクTSは、回転角度R21以降の回転角度において、入力荷重Fに応じて増加する。締付トルクTCは、回転角度R21以降の回転角度において、遮断後入力トルクTSに応じて増加する。
回転角度R22は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R22において、立ち上がり変化を示す。制御部100は、回転停止信号SMSをすでに出力しているため、回転角度R22において、回転停止信号SMSの出力形態を変化させない。
回転角度R23は、ボール54が凸部頂部43XCに乗り上げたときの回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R23において、上限部品変位量LHを取る。検知部品変位量Lは、回転角度R23以降において、ボール54の変位量に応じて減少する。入力荷重Fは、回転角度R23において、最大入力荷重FHを取る。入力荷重Fは、回転角度R23以降において、検知部品変位量Lに応じて減少する。遮断後入力トルクTSは、回転角度R23において極大値を取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R23以降において、入力荷重Fに応じて減少する。締付トルクTCは、回転角度R23以降において、遮断後入力トルクTSに応じて増加する。
回転角度R24は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R24において、立ち下がり変化を示す。制御部100は、立ち上がり検知モードを選択しているため、回転角度R24において、回転停止信号SMSの出力形態を変化させない。
回転角度R25は、出力遮断開始時期以降において、ボール54が2つ目の凸部43Xを乗り越えた直後の回転角度を示す。検知部品変位量Lは、回転角度R25において、基準部品変位量LLを取る。入力荷重Fは、回転角度R25において、基準入力荷重FLを取る。遮断後入力トルクTSは、回転角度R25において、「0」または実質的に「0」とみなせる大きさを取る。締付トルクTCは、回転角度R25において、第1回目乗越後トルクTCAよりも大きい第2回目乗越後トルクTCBを取る。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R25から3つ目の凸部43Xの直前までの範囲において回転を完全に停止する。このため、最終締付トルクTCZは、第2回目乗越後トルクTCBを取る。なお、駆動軸回転数NMが高速駆動使用条件よりもさらに高い回転数を取る場合、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が3つ目の凸部43Xに乗り上げた回転角度、または乗り越えた回転角度において停止する。高速駆動使用条件よりもさらに高い駆動軸回転数NMは、基準回転数NXよりも大きい高速基準回転数NXHにより規定することができる。すなわち、高速基準回転数NXH以上の大きさを取る駆動軸回転数NMは、高速駆動使用条件よりもさらに高い駆動軸回転数NMを示す。
本願発明者は、ボール54が2つ目の凸部43Xを乗り越える過程において、遮断後入力トルクTSが種々の変化傾向を示すことを確認した。遮断後入力トルクTSは、一例として、図9の実線、破線、および一点鎖線により示される変化を示す。
遮断後入力トルクTSは、実線により示されるとおり、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる過程において、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げる過程よりも小さくなる。
遮断後入力トルクTSは、破線により示されるとおり、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げる過程、およびボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる過程において等しくなる。
遮断後入力トルクTSは、一点鎖線により示されるとおり、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる過程において、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げる過程よりも大きくなる。
第1試験第3パターンは、別の一例として以下の結果を示す。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R21の直後から回転角度R23までの範囲において回転を完全に停止する。このため、最終締付トルクTCZは、第1回目乗越後トルクTCAと第2回目乗越後トルクTCBとの間の大きさを取る。
第1試験第3パターンの完全停止回転角度は、上記のとおり、回転角度R25から3つ目の凸部43Xの直前までの範囲、または回転角度R21〜回転角度R23までの範囲の回転角度を取ることがある。
第1試験第3パターンの最終締付トルクTCZは、少なくとも次の2つの理由により変動する。1つ目の理由は、ボール54が2つ目の凸部43Xを乗り越える過程における遮断後入力トルクTSの変化傾向を示す。2つ目の理由は、完全停止回転角度の大きさを示す。すなわち、第1試験第3パターンは、完全停止回転角度の変化に対して、最終締付トルクTCZのばらつきが生じやすい。
第1試験第4パターンは、一例として以下の結果を示す。
回転角度R12は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R12において、立ち上がり変化を示す。制御部100は、立ち下がりモードを選択しているため、回転角度R12において、回転停止信号SMSを出力しない。
回転角度R14は、検知部品変位量Lが出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する回転角度を示す。負荷トルク信号SLは、回転角度R14において、立ち下がり変化を示す。制御部100は、立ち下がりモードを選択しているため、回転角度R14において、回転停止信号SMSを出力しはじめる。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転角度R15から回転角度R21までの範囲において回転を完全に停止する。このため、最終締付トルクTCZは、第1回目乗越後トルクTCAを取る。
第1試験第4パターンは、完全停止回転角度が回転角度R15から回転角度R21まで範囲におけるいずれの回転角度を取る場合においても、最終締付トルクTCZが第1回目乗越後トルクTCAを取る。すなわち、第1試験第4パターンは、完全停止回転角度の変化に対して、最終締付トルクTCZのばらつきが生じにくい。
第1試験第3パターンの完全停止回転角度および第1試験第4パターンの完全停止回転角度は、上記のとおり互いに相違する。各試験パターンの完全停止回転角度の相違は、駆動電流遮断後時期においてボール54が凸部43Xを乗り越える形態の相違を形成している。各試験パターンの完全停止回転角度が互いに相違する理由は、以下のとおり考えられる。
第1試験第3パターンは、立ち下がり検知モードにより回転停止信号SMSを出力する。このため、第1試験第1パターンと比較して、駆動電流遮断時期以降の初期段階におけるモーター30および後段円環歯車43Cの回転抵抗が小さい。このことに加えて、第1試験第3パターンは、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取る。このため、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取る場合と比較して、電流遮断後回転量RIが大きくなる。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げた状態、またはボール54が2つ目の凸部43Xに乗り越えた後に回転を停止する。
第1試験第4パターンは、立ち下がり検知モードにより回転停止信号SMSを出力する。このため、第1試験第2パターンと比較して、駆動電流遮断時期以降の初期段階におけるモーター30および後段円環歯車43Cの回転抵抗が小さい。一方、第1試験第4パターンは、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取る。このため、第1試験第3パターンと比較して、電流遮断後回転量RIが小さくなる。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前に回転を停止する。
本願発明者は、第1の締付トルク検証試験の結果から以下の知見を得た。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越え、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前にモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが小さい。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が1つ目の凸部43Xに乗り上げた状態においてモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが大きい。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が2つ目の凸部43Xを乗り越え、ボール54が3つ目の凸部43Xに乗り上げる前にモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが大きい。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げた状態においてモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが大きい。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が3つ目または3つ目以降の凸部43Xを乗り越え、ボール54がその次の凸部43Xに乗り上げる前にモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが大きい。
最終締付トルクTCZは、出力遮断後期間において、ボール54が3つ目または3つ目以降の凸部43Xに乗り上げた状態においてモーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止したとき、ばらつきが大きい。
第1試験第1パターンおよび第1試験第4パターンは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越え、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前において、モーター30および後段円環歯車43Cの回転が完全に停止しやすい。
制御部100は、モーター30の停止制御において以下のとおり動作する。
制御部100は、回転数演算値NMCと回転数演算値対比信号SNXとを比較する。回転数演算値対比信号SNXは、基準回転数NXを示す信号として予め設定される。制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取ることが、回転数演算値NMCおよび回転数演算値対比信号SNXの関係により示唆されているとき、立ち上がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取るとき、立ち上がり検知モードを選択する。
回転数演算値NMCおよび回転数演算値対比信号SNXは、一例として、回転数演算値NMCが回転数演算値対比信号SNXの回転数情報以上の大きさを取るとき、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取ることを示唆する。
制御部100は、回転数演算値NMCと回転数演算値対比信号SNXとを比較する。制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取ることが、検知回転数信号SNおよび回転数演算値対比信号SNXの関係により示唆されているとき、立ち下がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満のとき、立ち下がり検知モードを選択する。
回転数演算値NMCおよび回転数演算値対比信号SNXは、一例として、回転数演算値NMCが回転数演算値対比信号SNXの回転数情報未満の大きさを取ることにより、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを取ることを示唆する。
図10は、電動工具1の動作の一例を示す。この動作例は、電動工具1にビット2としてのドライバーが結合されている場合において、(a)〜(g)の各項目が時間の経過に対して示す変化をタイムチャートの形式により示している。
時刻t11以前から時刻t11の直前の期間は、以下の状態を示す。
トリガスイッチ71は、最大出力位置を取る。制御部100は、トリガ操作信号SSに基づいて、回転駆動信号SMDを駆動部90に出力する。駆動部90は、回転駆動信号SMDに基づいて、モーター30に電流を入力する。負荷トルクTLは、遮断トルクTX未満の大きさを取る。このため、後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転しない。すなわち、クラッチ部50は、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続する。
検知部品51は、基準部品位置を取る。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。このため、制御部100は、回転停止信号SMSを出力しない。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて演算した駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取ることにより、立ち上がり検知モードを選択する。
時刻t11は、以下の状態を示す。
負荷トルクTLは、遮断トルクTX未満の大きさから遮断トルクTX以上の大きさに変化する。このため、後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転しはじめる。このため、クラッチ部50は、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を遮断する。凸部43Xは、ボール54に対して回転しはじめる。このため、検知部品51は、後段円環歯車43Cに対して変位しはじめる。このため、検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLから増加しはじめる。
検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLと出力切換変位量LXとの間の大きさを取る。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。このため、制御部100は、回転停止信号SMSを出力しない。このため、駆動部90は、回転駆動信号SMDに基づいて、モーター30に継続して電流を入力する。
時刻t11以降から時刻t12の直前の期間は、以下の状態を示す。
負荷トルクTLは、遮断トルクTX以上の大きさを取る。駆動部90は、モーター30に電流を入力している。後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転している。このため、凸部43Xは、ボール54に対して回転する。このため、凸部43Xは、後段円環歯車43Cの回転角度に応じてボール54との接触位置を変化させる。このため、検知部品変位量Lは、上限部品変位量LHに向けて増加する。
時刻t12は、以下の状態を示す。
検知部品変位量Lは、出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを制御部100に出力しはじめる。このため、負荷トルク信号SLは、立ち上がり変化を示す。
制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて演算した駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取ることにより、立ち上がり検知モードを選択している。このため、制御部100は、負荷トルク信号SLの立ち上がり変化に基づいて、回転停止信号SMSを駆動部90に出力しはじめる。このため、駆動部90は、モーター30への電流の入力を停止する。
時刻t12以降から時刻t13の直前の期間は、以下の状態を示す。
モーター30は、慣性回転モードにおいて回転する。後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転する。このため、凸部43Xは、ボール54に対して回転する。このため、凸部43Xは、後段円環歯車43Cの回転角度の変化に応じてボール54との接触位置を変化させる。このため、検知部品変位量Lは、上限部品変位量LHまで増加した後、上限部品変位量LHから基準部品変位量LLに向けて減少しはじめる。
時刻t13は、以下の状態を示す。
検知部品変位量Lは、出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLの出力を停止する。このため、負荷トルク信号SLは、立ち下がり変化を示す。
時刻t14は、以下の状態を示す。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転を完全に停止する。負荷トルクTLは、遮断トルクTX以上の大きさから遮断トルクTX未満の大きさに変化する。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLを取る。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて演算した駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満の大きさを有することにより、立ち下がり検知モードを選択する。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて演算した駆動軸回転数NMが「0」を取ることにより、回転停止信号SMSの出力を停止する。
電動工具1は、以下の効果を奏する。
(1)制御部100は、検知モードとして、立ち上がり検知モードおよび立ち下がり検知モードを有する。制御部100は、使用条件信号としての検知回転数信号SNに基づいて、検知モードを選択する。このため、電動工具1は、電動工具1の使用条件に応じて適切に検知モードが選択される。このため、モーター30は、適切に選択された検知モードに基づいて、回転が停止させられる。このため、モーター30の回転が停止するときの負荷トルクTL(最終締付トルクTCZ)のばらつきが小さくなる。
(2)制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX以上の大きさを取るとき、立ち上がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(3)制御部100は、駆動軸回転数NMが基準回転数NX未満のとき、立ち下がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の電動工具1の一形態を示している。
第2実施形態の電動工具1は、複数の構成要素を有する。第2実施形態の複数の構成要素は、第1実施形態の電動工具1が有する複数の構成要素と同様または類似の構造および機能を有する。第2実施形態の電動工具1の説明は、第1実施形態の構成要素と同様または類似の構造および機能を有する第2実施形態の構成要素の説明の一部または全部を省略する。第2実施形態の電動工具1の説明は、第1実施形態の構成要素と同様または類似の構造および機能を有する第2実施形態の構成要素に対して、第1実施形態の構成要素と同一の符号を付している。
第2実施形態の電動工具1は、主として、以下の点において第1実施形態の電動工具1と相違する。電動工具1は、電動工具本体10および電源部110に加えて、コントローラー200を有する。操作部品群70は、トリガスイッチ71、回転方向設定用操作部72、およびトルク設定用操作部73に加えて、回転数設定用操作部74を含む。検知ブロック群80は、負荷検知部81、回転数検知部82、トリガ操作検知部83、および回転方向設定用検知部84に加えて、トルク設定用検知部85および回転数設定用検知部86を含む。操作部品群70の各操作部は、条件設定用操作部に相当する。検知ブロック群80の各検知部は、条件設定用検知部に相当する。検知ブロック群80の各検知部が出力する信号は、使用条件信号に相当する。
回転数設定用操作部74は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有する。回転数設定用操作部74は、工具駆動軸32の回転数の目標値(以下、「設定回転数NV」)を設定するために操作される。回転数設定用操作部74は、外部から入力される力により操作位置を変化させる。回転数設定用操作部74の操作位置は、低速回転位置から高速回転位置までの範囲において段階的に変化する。回転数設定用操作部74は、低速回転位置と高速回転位置との間に複数の操作位置を有する。
低速回転位置は、設定回転数NVが複数の設定回転数NVのうちの最小値(以下、「低速設定回転数NVL」)に設定される操作位置を示す。低速回転位置は、設定回転数NVが複数の設定回転数NVのうちの最大値(以下、「高速設定回転数NVH」)に設定される操作位置を示す。
トルク設定用検知部85は、トルク設定用操作部73の操作位置を検知する。トルク設定用検知部85は、トルク設定用操作部73の操作位置に応じて変化する設定トルク信号STを制御部100に出力する。
回転数設定用検知部86は、回転数設定用操作部74の操作位置を検知する。回転数設定用検知部86は、回転数設定用操作部74の操作位置に応じて変化する設定回転数信号SVを制御部100に出力する。
コントローラー200は、携帯型装置の形態を有する。コントローラー200は、基準設定用操作部210および基準設定用検知部220を有する。コントローラー200は、電動工具本体10と無線通信する機能を有する。
基準設定用操作部210は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有する。基準設定用操作部210は、基準回転数NXを変更するために操作される。基準設定用操作部210は、複数のボタンを有する。
基準設定用検知部220は、基準設定用操作部210において操作されたボタンを検知する。基準設定用操作部210は、操作されたボタンに応じて変化する基準回転数信号SBを電動工具本体10に送信する。
制御部100は、設定回転数信号SVと回転数演算値NMCとに基づいて、駆動軸回転数NMをフィードバック制御する。制御部100は、一例として、低速設定回転数NVLが選択されているとき、駆動軸回転数NMを低速設定回転数NVLに収束させる。制御部100は、一例として、高速設定回転数NVHが選択されているとき、駆動軸回転数NMを高速設定回転数NVHに収束させる。
本願発明者は、第2の締付トルク検証試験を実施した。第2の締付トルク検証試験は、電動工具1の使用条件として、低負荷使用条件および高負荷使用条件を設定した。低負荷使用条件は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN未満の大きさに設定される使用条件を示す。高負荷使用条件は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN以上の大きさに設定される使用条件を示す。
第2の締付トルク検証試験は、検知モードおよび電動工具1の使用条件の組み合わせにより、4つの試験パターンにおいて電動工具1の使用条件と最終締付トルクTCZとの関係を確認した。
第2試験第1パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として低負荷使用条件を設定した試験パターンを示す。第2試験第2パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として高負荷使用条件を設定したパターンを示す。第2試験第3パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として低負荷使用条件を設定したパターンを示す。第2試験第4パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として高負荷使用条件を設定したパターンを示す。
第2試験第1パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第1パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第1パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第2試験第2パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第2パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第2パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第2試験第3パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第3パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第3パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第2試験第4パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第4パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第4パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
制御部100は、モーター30の停止制御において以下のとおり動作する。
制御部100は、設定トルク信号STと設定トルク対比信号STXとを比較する。制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN未満の大きさを取ることが、設定トルク信号STおよび設定トルク対比信号STXの関係により示唆されているとき、立ち上がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN未満のとき、立ち上がり検知モードを選択する。
設定トルク信号STおよび設定トルク対比信号STXは、一例として、設定トルク信号STのトルク情報が設定トルク対比信号STXのトルク情報未満の大きさを取るとき、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN未満の大きさを取ることを示唆する。
制御部100は、設定トルク信号STと設定トルク対比信号STXとを比較する。制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN以上の大きさを取ることが、設定トルク信号STおよび設定トルク対比信号STXの関係により示唆されているとき、立ち下がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN以上の大きさを取るとき、立ち下がり検知モードを選択する。
設定トルク信号STおよび設定トルク対比信号STXは、一例として、設定トルク信号STのトルク情報が設定トルク対比信号STXのトルク情報以上の大きさを取るとき、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN以上の大きさを取ることを示唆する。
本願発明者は、第3の締付トルク検証試験を実施した。第3の締付トルク検証試験は、電動工具1の使用条件として、高速設定使用条件および低速設定使用条件を設定した。高速設定使用条件は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさに設定される使用条件を示す。低速設定使用条件は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさに設定される使用条件を示す。
第3の締付トルク検証試験は、検知モードおよび電動工具1の使用条件の組み合わせにより、4つの試験パターンにおいて電動工具1の使用条件と最終締付トルクTCZとの関係を確認した。
第3試験第1パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として高速設定使用条件を設定した試験パターンを示す。第3試験第2パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として低速設定使用条件を設定したパターンを示す。第3試験第3パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として高速設定使用条件を設定したパターンを示す。第3試験第4パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として低速設定使用条件を設定したパターンを示す。
第3試験第1パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第1パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第1パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第3試験第2パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第2パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第2パターンは、検知モードとして立ち上がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第3試験第3パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第3パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第3パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として高速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
第3試験第4パターンは、第1の締付トルク検証試験における第1試験第4パターンと類似の結果を示す。なお、第1試験第4パターンは、検知モードとして立ち下がり検知モードを設定し、使用条件として低速駆動使用条件を設定した試験パターンを示す。
制御部100は、モーター30の停止制御において以下のとおり動作する。
制御部100は、設定回転数信号SVと設定回転数比較信号SVXとを比較する。制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさを取ることが、設定回転数信号SVおよび設定回転数比較信号SVXの関係により示唆されているとき、立ち上がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさを取るとき、立ち上がり検知モードを選択する。
設定回転数信号SVおよび設定回転数比較信号SVXは、一例として、設定回転数信号SVの回転数情報が設定回転数比較信号SVXの回転数情報以上の大きさを取るとき、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさを取ることを示唆する。
制御部100は、設定回転数信号SVと設定回転数比較信号SVXとを比較する。制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさを取ることが、設定回転数信号SVおよび設定回転数比較信号SVXの関係により示唆されているとき、立ち下がり検知モードを選択する。すなわち、制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満のとき、立ち下がり検知モードを選択する。
設定回転数信号SVおよび設定回転数比較信号SVXは、一例として、設定回転数信号SVの回転数情報が設定回転数比較信号SVXの回転数情報未満の大きさを取るとき、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさを取ることを示唆する。
制御部100は、遮断トルクTXに基づく検知モードの選択結果、設定回転数NVに基づく検知モードの選択結果、および駆動軸回転数NMに基づく検知モードの選択結果の一部または全部が互いに相違するとき、次の判定を行う。制御部100は、予め規定された優先順位に基づいて、3つの選択結果のうちの最も優先順位が高い選択結果を最終的な検知モードとして確定する。
図12は、電動工具1の動作の一例を示す。この動作例は、電動工具1にビット2としてのドライバーが結合されている場合において、(a)〜(g)の各項目が時間の経過に対して示す変化をタイムチャートの形式により示している。
時刻t21以前から時刻t21の直前の期間は、以下の状態を示す。
トリガスイッチ71は、最大出力位置を取る。制御部100は、トリガ操作信号SSに基づいて、回転駆動信号SMDを駆動部90に出力する。駆動部90は、回転駆動信号SMDに基づいて、モーター30に電流を入力する。負荷トルクTLは、遮断トルクTX未満の大きさを取る。このため、後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転しない。すなわち、クラッチ部50は、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を接続する。
検知部品51は、基準部品位置を取る。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。このため、制御部100は、回転停止信号SMSを出力しない。制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさを取ることにより、立ち下がり検知モードを選択する。
時刻t21は、以下の状態を示す。
負荷トルクTLは、遮断トルクTX未満の大きさから遮断トルクTX以上の大きさに変化する。このため、後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転しはじめる。このため、クラッチ部50は、工具駆動軸32と工具出力軸60との間のトルクの伝達経路を遮断する。凸部43Xは、ボール54に対して回転しはじめる。このため、検知部品51は、後段円環歯車43Cに対して変位しはじめる。このため、検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLから増加しはじめる。
検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLと出力切換変位量LXとの間の大きさを取る。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを出力しない。このため、制御部100は、回転停止信号SMSを出力しない。このため、駆動部90は、回転駆動信号SMDに基づいて、モーター30に継続して電流を入力する。
時刻t21以降から時刻t22の直前の期間は、以下の状態を示す。
負荷トルクTLは、遮断トルクTX以上の大きさを取る。駆動部90は、モーター30に電流を入力している。後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転している。このため、凸部43Xは、ボール54に対して回転する。このため、凸部43Xは、後段円環歯車43Cの回転角度に応じてボール54との接触位置を変化させる。このため、検知部品変位量Lは、上限部品変位量LHに向けて増加する。
時刻t22は、以下の状態を示す。
検知部品変位量Lは、出力切換変位量LX未満の大きさから出力切換変位量LX以上の大きさに変化する。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLを制御部100に出力しはじめる。このため、負荷トルク信号SLは、立ち上がり変化を示す。
制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさを取ることにより、立ち下がり検知モードを選択している。このため、制御部100は、回転停止信号SMSの出力形態を変化させない。このため、駆動部90は、モーター30に継続して電流を入力する。
時刻t22以降から時刻t23の直前の期間は、以下の状態を示す。
モーター30は、駆動部90から入力された電流により回転する。後段円環歯車43Cは、ハウジング20に対して回転する。このため、凸部43Xは、ボール54に対して回転する。このため、凸部43Xは、後段円環歯車43Cの回転角度の変化に応じてボール54との接触位置を変化させる。このため、検知部品変位量Lは、上限部品変位量LHまで増加した後、上限部品変位量LHから基準部品変位量LLに向けて減少しはじめる。
時刻t23は、以下の状態を示す。
検知部品変位量Lは、出力切換変位量LX以上の大きさから出力切換変位量LX未満の大きさに変化する。このため、負荷検知部81は、負荷トルク信号SLの出力を停止する。このため、負荷トルク信号SLは、立ち下がり変化を示す。
制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満の大きさを取ることにより、立ち下がり検知モードを選択している。このため、制御部100は、負荷トルク信号SLの立ち下がり変化に基づいて、回転停止信号SMSを駆動部90に出力しはじめる。このため、駆動部90は、モーター30への電流の入力を停止する。
時刻t24は、以下の状態を示す。
モーター30および後段円環歯車43Cは、回転を完全に停止する。負荷トルクTLは、遮断トルクTX以上の大きさから遮断トルクTX未満の大きさに変化する。検知部品変位量Lは、基準部品変位量LLを取る。制御部100は、検知回転数信号SNに基づいて演算した駆動軸回転数NMが「0」を取ることにより、回転停止信号SMSの出力を停止する。
時刻t25は、以下の状態を示す。
回転数設定用操作部74は、操作位置が変更される。回転数設定用検知部86は、回転数設定用操作部74の操作位置の変化にともない設定回転数信号SVを制御部100に出力する。制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさを取ることにより、検知モードを立ち下がり検知モードから立ち上がり検知モードに変更する。
第2実施形態の電動工具1は、第1実施形態の電動工具1が奏する(1)の効果、すなわちモーター30の回転が停止するときの負荷トルクTLのばらつきが小さくなる旨の効果、ならびに(2)および(3)の効果を奏する。第2実施形態の電動工具1は、さらに以下の効果を奏する。
(4)制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN未満のとき、立ち上がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(5)制御部100は、遮断トルクTXが基準遮断トルクTXN以上の大きさを取るとき、立ち下がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(6)制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX以上の大きさを取るとき、立ち上がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(7)制御部100は、設定回転数NVが基準設定回転数NVX未満のとき、立ち下がり検知モードを選択する。このため、モーター30および後段円環歯車43Cは、ボール54が1つ目の凸部43Xを乗り越えてから、ボール54が2つ目の凸部43Xに乗り上げる前までの範囲において、回転が完全に停止しやすくなる。このため、最終締付トルクTCZのばらつきが小さくなる。
(その他の実施形態)
本電動工具は、第1実施形態および第2実施形態とは異なるその他の実施形態を含む。その他の実施形態は、一例として、以下に示される第1実施形態および第2実施形態の変形例の形態を有する。なお、以下の各変形例は、技術的に矛盾しない範囲において互いに組み合わせることができる。
・第1実施形態の負荷検知部81は、工具出力軸60に作用する負荷トルクTLを間接的に検知する。ただし、負荷検知部81による負荷トルクTLの検知形態は、第1実施形態に例示された内容に限られない。変形例の負荷検知部81は、負荷トルクTLを直接的に検知する。この負荷検知部81は、工具出力軸60の負荷トルクTLに応じて変化する負荷トルク信号SLを制御部100に出力する。変形例の負荷検知部81は、一例として、トルクセンサーの形態を有する。なお、第2実施形態の負荷検知部81においても同様の変形が成立する。
・第1実施形態の負荷検知部81は、検知部品変位量Lおよび出力切換変位量LXの関係に応じて負荷トルク信号SLの出力形態を変化させる。ただし、負荷検知部81による負荷トルク信号SLの出力形態は、第1実施形態に例示された内容に限られない。
変形例の負荷検知部81は、検知部品変位量Lが増加する過程において負荷トルク信号SLを出力するタイミングと、検知部品変位量Lが減少する過程において負荷トルク信号SLの出力を停止するタイミングとを互いに異ならせる。
変形例の負荷検知部81は、検知部品変位量Lが上昇出力切換変位量LXA未満の大きさから上昇出力切換変位量LXA以上の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLを出力しはじめる。
変形例の負荷検知部81は、検知部品変位量Lが下降出力切換変位量LXB以上の大きさから下降出力切換変位量LXB未満の大きさに変化したとき、負荷トルク信号SLの出力を停止する。
上昇出力切換変位量LXAは、一例として、下降出力切換変位量LXBよりも大きい。上昇出力切換変位量LXAは、別の一例として、下降出力切換変位量LXBよりも小さい。なお、第2実施形態の負荷検知部81においても同様の変形が成立する。
・第1実施形態の回転数検知部82は、工具駆動軸32の回転数に応じて変化する検知回転数信号SNを出力する。ただし、回転数検知部82の検知対象は、第1実施形態に例示された内容に限られない。変形例の回転数検知部82は、工具出力軸60の回転数に応じて変化する信号を検知回転数信号SNとして出力する。なお、第2実施形態の回転数検知部82においても同様の変形が成立する。
・第1実施形態の制御部100は、立ち下がり検知モードにおいて、負荷トルク信号SLの立ち下がり変化に基づいて、回転停止信号SMSを出力する。ただし、立ち下がり検知モードの内容は、第1実施形態に例示された内容に限られない。変形例の制御部100は、立ち下がり検知モードにおいて、負荷トルク信号SLの立ち上がり変化が形成されたことを判定し、その後に負荷トルク信号SLの立ち下がり変化が形成されたことを判定し、2つの判定に基づいて回転停止信号SMSを出力する。なお、第2実施形態の制御部100においても同様の変形が成立する。
・第1実施形態のモーター30の停止制御は、ハードウェアにより構成される形態を有する。ただし、モーター30の停止制御の構成は、第1実施形態に例示された内容に限られない。変形例のモーター30の停止制御は、ソフトウェアにより構成される形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせにより構成される形態を有する。制御部100は、モーター30の停止制御がソフトウェアの形態を有する場合、プログラムを実行することによりモーター30の停止制御を実行する。制御部100は、モーター30の停止制御がソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせの形態を有する場合、ソフトウェアの形態を有する場合およびハードウェアの形態を有する場合の組み合わせにより、モーター30の停止制御を実行する。なお、第2実施形態のモーター30の停止制御においても同様の変形が成立する。
・第2実施形態の電動工具1は、設定回転数信号SVに基づいてモーター30を制御することにより、駆動軸回転数NMを目標値としての設定回転数NVに収束させる。ただし、駆動軸回転数NMを目標値に設定するための構成は、第2実施形態に例示された内容に限られない。変形例の電動工具1は、回転数設定用操作部74に代えて回転数変更機構を有する。変形例の動力伝達部40は、減速比を変更するための減速比変更構造を有する。減速比変更構造は、一例として、動力伝達部40を構成する歯車の一部を他の歯車に対して変位させることにより、歯車同士の噛み合わせの関係を変更する。回転数変更機構は、一例として、動力伝達部40の歯車の一部を変位させることにより、動力伝達部40の減速比を変更する。回転数設定用検知部86は、動力伝達部40における歯車の変位に応じて変化する信号を設定回転数信号SVとして制御部100に出力する。
・第2実施形態の制御部100は、設定トルク信号STに基づいて検知モードを選択する。ただし、モーター30の停止制御に関する構成は、第2実施形態に例示された内容に限られない。変形例の制御部100は、設定トルク信号STに基づくモーター30の停止制御を有していない。
・第2実施形態の制御部100は、設定回転数信号SVに基づいて検知モードを選択する。ただし、モーター30の停止制御に関する構成は、第2実施形態に例示された内容に限られない。変形例の制御部100は、設定回転数信号SVに基づくモーター30の停止制御を有していない。
・第2実施形態の電動工具1は、コントローラー200に基準設定用操作部210および基準設定用検知部220を有する。ただし、電動工具1の構成は、第2実施形態に例示された内容に限られない。変形例の電動工具1は、電動工具本体10に基準設定用操作部210および基準設定用検知部220を有し、コントローラー200を有していない。
(課題を解決するための手段に関する付記)
課題を解決するための手段は、下記の〔付記項1〕および〔付記項2〕を含む。なお、〔付記項1〕および〔付記項2〕が有する事項は、実施形態において開示された事項と対応している。
〔付記項1〕
付記項1の電動工具は、請求項3に記載の電動工具において、次の事項を有する。前記制御部は、前記設定回転数信号と設定回転数比較信号とを比較する。前記制御部は、前記回転数設定用操作部により設定された設定回転数が基準設定回転数未満の大きさを有することが、前記設定回転数信号および前記設定回転数比較信号の関係により示唆されるとき、前記立ち下がり検知モードを選択する。
〔付記項2〕
付記項2の電動工具は、請求項4に記載の電動工具において、次の事項を有する。前記制御部は、前記設定トルク信号と設定トルク対比信号とを比較する。前記制御部は、前記トルク設定用操作部により設定された遮断トルクが基準遮断トルク以上の大きさを取ることが、前記設定トルク信号および前記設定トルク対比信号の関係により示唆されるとき、前記立ち下がり検知モードを選択する。
1…電動工具
30…モーター
32…工具駆動軸
50…クラッチ部
60…工具出力軸
73…トルク設定用操作部
74…回転数設定用操作部
81…負荷検知部
82…回転数検知部
85…トルク設定用検知部
86…回転数設定用検知部
100…制御部
210…基準設定用操作部
220…基準設定用検知部

Claims (7)

  1. 負荷トルクに基づいて回転を停止する電動工具であって、
    前記電動工具は、モーター、クラッチ部、工具出力軸、負荷検知部、および制御部を有し、
    前記モーターは、前記モーターの出力軸である工具駆動軸を有し、前記工具駆動軸の回転を前記工具出力軸に入力し、
    前記クラッチ部は、前記工具出力軸の負荷トルクに基づいて、前記工具駆動軸と前記工具出力軸との間のトルクの伝達経路を接続または遮断し、
    前記負荷検知部は、前記工具出力軸の負荷トルクに応じて変化する負荷トルク信号を出力し、
    前記制御部は、前記負荷トルク信号の立ち上がり変化に基づいて前記モーターの回転を停止させる立ち上がり検知モード、および前記負荷トルク信号の立ち下がり変化に基づいて前記モーターの回転を停止させる立ち下がり検知モードを有し、前記電動工具の使用条件を示す使用条件信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する
    電動工具。
  2. 前記電動工具は、条件設定用操作部および条件設定用検知部を有し、
    前記条件設定用操作部は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有し、
    前記条件設定用検知部は、前記条件設定用操作部の操作に応じて変化する信号を前記使用条件信号として出力し、
    前記制御部は、前記使用条件信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する
    請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記電動工具は、前記条件設定用操作部としての回転数設定用操作部を有し、前記条件設定用検知部としての回転数設定用検知部を有し、
    前記回転数設定用検知部は、前記回転数設定用操作部の操作に応じて変化する設定回転数信号を出力し、
    前記制御部は、前記使用条件信号としての前記設定回転数信号に基づいて、前記モーターの回転数を制御し、前記設定回転数信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する
    請求項2に記載の電動工具。
  4. 前記電動工具は、前記条件設定用操作部としてのトルク設定用操作部を有し、前記条件設定用検知部としてのトルク設定用検知部を有し、
    前記トルク設定用検知部は、前記トルク設定用操作部の操作に応じて変化する設定トルク信号を出力し、
    前記制御部は、前記使用条件信号としての前記設定トルク信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する
    請求項2または3に記載の電動工具。
  5. 前記電動工具は、回転数検知部を有し、
    前記回転数検知部は、前記工具駆動軸の回転数または前記工具出力軸の回転数に応じて変化する検知回転数信号を出力し、
    前記制御部は、前記使用条件信号としての前記検知回転数信号に基づいて、前記立ち上がり検知モードまたは前記立ち下がり検知モードを選択する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動工具。
  6. 前記制御部は、前記検知回転数信号に基づいて演算した回転数演算値と回転数演算値対比信号とを比較し、前記工具駆動軸の回転数または前記工具出力軸の回転数が基準回転数未満の大きさを取ることが前記回転数演算値および前記回転数演算値対比信号の関係により示唆されるとき、前記立ち下がり検知モードを選択する
    請求項5に記載の電動工具。
  7. 前記電動工具は、基準設定用操作部および基準設定用検知部を有し、
    前記基準設定用操作部は、ヒューマンマシンインターフェースの形態を有し、
    前記基準設定用検知部は、前記基準設定用操作部の操作に応じて変化する基準回転数信号を出力し、
    前記制御部は、前記使用条件信号としての前記基準回転数信号に基づいて、前記基準回転数を変更する
    請求項6に記載の電動工具。
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