JP2014169652A - 電磁弁駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁弁23を駆動する装置21において、電磁弁23のコイル25に開弁用のピーク電流を流すための放電制御回路51は、トランジスタT12をオンさせた後、コイル電流が目標最大値に相当する閾値IthPにまで増加したことを検知すると、トランジスタT12をオフさせる。また、コイル25に一定の電流を流すための定電流制御回路53は、コイル電流が上側閾値IthHにまで増加したことを検知すると、トランジスタT11をオンからオフに切り換え、コイル電流が下側閾値IthLにまで減少したことを検知すると、トランジスタT11をオフからオンに切り換える。この装置21では、マイコン35が、コイル25の電流経路の電気的特性を計測し、その計測結果に対して最適な閾値IthP,IthH,IthLを、閾値マップ85〜87から算出して回路51,53に設定する。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、電磁弁駆動装置において、電磁弁のコイルに流すコイル電流の制御精度を向上させ、延いては、電磁弁の制御精度を向上させることを目的としている。
尚、本実施形態のECUは、車両に搭載された多気筒(この例では4気筒)のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンの各気筒#1〜#4に燃料を噴射する4個の電磁ソレノイド式インジェクタ(以下、電磁弁という)を駆動するものであり、その各電磁弁のコイルへの通電開始タイミング及び通電時間を制御することにより、各気筒#1〜#4への燃料噴射タイミング及び燃料噴射量を制御する。つまり、本実施形態のECUは、電磁弁駆動装置であると共に燃料噴射制御装置でもある。
図1に示すように、第1実施形態のECU21は、駆動対象である電磁弁23のコイル25の一端(上流側)が接続される端子CMと、コイル25の他端(下流側)が接続される端子INJと、端子INJに一方の出力端子が接続されたトランジスタT10と、トランジスタT10の他方の出力端子とグランドラインとの間に接続された電流検出用の抵抗R10と、を備える。
昇圧電圧源27は、コンデンサ29と、バッテリ電圧VBを昇圧してコンデンサ29を充電する昇圧回路31とを備える。コンデンサ29は、電磁弁23の弁体を開弁方向へ速やかに動かす(リフトさせる)ためのピーク電流を、コイル25に流すための電気エネルギを蓄積する。昇圧回路31は、コンデンサ29の正極側の電圧(以下、コンデンサ電圧という)VCが予め設定された目標電圧(>VB)となるように、コンデンサ29を充電する。
D/A変換器61には、マイコン35からシリアル通信線55を介して駆動用IC33に送られてくるデータのうち、閾値IthPに相当する閾値電圧VthPを表すピーク電流閾値データが、通信回路57を介して入力される。尚、増幅回路49の出力電圧Viが、コイル電流の値をG倍(Gは正の数)した電圧であるとすると、閾値IthPと閾値電圧VthPとの関係は「VthP=IthP×G」である。
比較器63は、D/A変換器61の出力電圧Vo1(=VthP)と、増幅回路49の出力電圧Viとを比較する。そして、比較器63の出力信号は、「Vo1>Vi」ならばハイになり、「Vo1<Vi」ならばローになる。また、比較器63の出力信号は、「Vo1=Vi」の場合には、例えば、「Vo1=Vi」になる前のレベルとは反対のレベルになるが、「Vo1=Vi」になる前のレベルを維持しても良い。
D/A変換器62には、マイコン35からシリアル通信線55を介して駆動用IC33に送られてくるデータのうち、上側閾値IthHに相当する閾値電圧VthHを表す上側閾値データと、下側閾値IthLに相当する閾値電圧VthLを表す下側閾値データとが、通信回路57を介して入力される。尚、増幅回路49の出力電圧Viが、コイル電流の値をG倍した電圧であるとすると、上側閾値IthHと閾値電圧VthHとの関係は「VthH=IthH×G」であり、下側閾値IthLと閾値電圧VthLとの関係も「VthL=IthL×G」である。
標準条件は、例えば、「周囲温度=25℃」、「バッテリ電圧VB=14V」、「コイル電流経路の電気的特性=標準値」、といった条件である。
そこで以下では、閾値の変更手法について説明する。尚、以下では、分かりやすくするために、閾値IthP,IthH,IthLのうち、閾値IthPの変更を例に挙げて説明するが、閾値IthH,IthLの各々についても同様である。
《1》ECU21の代表品(以下、マスタECUという)を用いて、図4の左側に例示するマスタ閾値マップ83を作成する。
車両に搭載された状態のECU21において、マイコン35は、所定の実行タイミングが到来すると、図5の閾値設定処理を行う。尚、マイコン35が行う処理は、CPU41がROM42内のプログラムを実行することで実現される。また、ECU21が搭載される車両では、車両の使用者が車両をイグニッションオン状態にする操作を行うと、ECU21に動作用電圧としてのバッテリ電圧VBを供給するための給電用リレー(いわゆるメインリレー)がオンして、ECU21が動作を開始する。そして、車両の使用者が車両をイグニッションオフ状態にする操作を行ってから、ECU21のマイコン35が上記給電用リレーのオフを許可するまでは、上記給電用リレーがオンし続けるようになっている。また、車両をイグニッションオン状態にする操作は、例えば、イグニッションスイッチをオンする操作であり、車両をイグニッションオフ状態にする操作は、例えば、イグニッションスイッチをオフする操作である。
具体的には、図6における(2)の部分に示すように、駆動用IC33から入力される増幅回路49の出力電圧Viを一定時間毎にサンプリングし、その出力電圧Viが増加変化しなくなった時点での該出力電圧Viの値を、飽和電圧VIsatとして記憶する。そして、その飽和電圧VIsatを前述のGで割ることにより、飽和電流Isat(=VIsat/G)を算出する。
尚、式1におけるVBとしては、バッテリ電圧VBの検出値をそのまま用いても良いが、例えば、バッテリ電圧VBの検出値から、トランジスタT11とダイオードD11とトランジスタT10とによる電圧降下分を引いた値を用いるとなお良い。また抵抗値Rの算出精度を更に上げる手法として、S120にて電流計測と合わせてバッテリ電圧VBを計測しておくのでもよい。このようにすれば、S120での電流計測時においてバッテリ電圧VBの変化(例えば落ち込み)が大きくなっても、抵抗値Rを精度良く算出することができる。一方、バッテリ電圧VBの検出値に代えて、バッテリ電圧VBの標準値(例えば14V)を用いることもでき、その場合にはバッテリ電圧VBの検出が不要となる。
Ilr=(1−1/e)×Isat …式2
尚、式2におけるeは、自然対数の底である。そして、時定数電流Ilrは、コイル25への通電開始から、コイル電流経路と等価と見なしたLR回路の時定数τ(=L/R)が経過した時の、コイル電流である。
次にS180にて、コイル電流が0から時定数電流Ilrになるまでの時間tlrを計測する。具体的には、図6における(6)の部分に示すように、増幅回路49の出力電圧Viを一定時間毎にサンプリングし、その出力電圧Viが0Vから時定数電流Ilrに相当する電圧VIlr(=Ilr×G)になるまでの時間を計測する。
次にS190にて、S130で算出した抵抗値Rと、S180で計測した時間tlrとを用いて、下記の式3により、コイル電流経路のインダクタンス値Lを算出する。
次にS200にて、不揮発性メモリ37に記憶されている前述の閾値マップ85から、S130,S190で算出したコイル電流経路の電気的特性値(R,L)に対応する閾値IthPを、補間演算等によって算出する。尚、算出した電気的特性値そのものが閾値マップ85に記録されていた場合には、算出した電気的特性値に対応する閾値IthPを閾値マップ85から読み出すだけで良い。また式3に関してはLR回路の時定数(tlr)からLを算出しているが、S180で計測する時間(ターゲット時間)を「tlr」→「a×tlr」とすれば(尚、aは任意の定数)、S140で用いる式2は下記の式2'となり、S180では、コイル電流が0から式2'で求めたIalrになるまでの時間を「a×tlr」として計測することとなる。そして、S190で用いる式3は下記の式3'となる。
L=a×tlr×R …式3’
インダクタンス値Lの算出精度が高くなるターゲット時間が開発段階で適合されていれば、上記式2’,式3’を採用してもよい。
次に、第2実施形態のECUについて説明する。尚、第1実施形態と同様の構成要素や処理等については、第1実施形態と同じ符号を用いるため、説明を省略する。そして、このことは、後述する他の実施形態についても同様である。
電圧供給用回路90は、一方の出力端子が一定の電圧VM(例えば5V)に接続されたトランジスタ(この例ではPチャネル型のFET)91と、トランジスタT11の他方の出力端子にアノードが接続され、カソードが端子CMに接続された逆流防止用のダイオード92と、一端が電圧VMに接続された抵抗93と、抵抗93の他端にコレクタが接続され、エミッタがグランドラインに接続されたNPNトランジスタ(以下単に、トランジスタという)94と、トランジスタ94のコレクタとトランジスタ91のゲートとの間に接続された抵抗95と、トランジスタ94のベースに一端が接続され、他端にマイコン35からの駆動信号Scが供給される抵抗96とを備える。
尚、式4におけるVMとしては、電圧VMの値(既知の値であり、この例では5V)をそのまま用いても良いが、例えば、電圧VMの値から、トランジスタ91とダイオード92とトランジスタT10とによる電圧降下分を引いた値を用いるとなお良い。
図8に示すように、第3実施形態のECU99は、第1実施形態のECU21と比較すると、下記〔1〕〜〔6〕の点が異なっている。
図10の閾値設定処理は、図5の閾値設定処理と比較すると、S195が追加されている点が異なる。そして、マイコン35は、そのS195では、駆動用電圧としてのコンデンサ電圧VC及びバッテリ電圧VBと、ECU内部温度と、燃料温度とを検出する。尚、コンデンサ電圧VCは、抵抗101,102同士の接続点の電圧から検出され、バッテリ電圧VBは、抵抗81,82同士の接続点の電圧から検出される。そして、ECU内部温度は、前述の内部温度モニタ電圧から検出され、燃料温度は、前述の燃料温度モニタ電圧から検出される。また、バッテリ電圧VBについては、このS195にて、改めて検出せずに、S130で検出した値をRAM43等から読み出しても良い。
〔6〕マイコン35は、図10の閾値設定処理とは別に、図11の第2設定処理も行う。第2設定処理は、例えば、車両がイグニッションオン状態である場合において、第n気筒#nの燃料噴射非実施期間(即ち、噴射指令信号S#nをローにしてから次にハイにするまでの期間)毎に実行される。
以上のような第3実施形態のECU99によれば、コイル電流経路の電気的特性に加えて、駆動用電圧(VC又はVB)とECU内部温度と燃料温度との各々に応じても、閾値を最適値に変更することができる。
また、閾値を決定するためのパラメータとして用いている物理量のうち、コイル電流経路の電気的特性以外の物理量(駆動用電圧、ECU内部温度、燃料温度)は、コイル電流経路の電気的特性と比較すると、検出するのに要する時間が短くて済むし、燃料噴射の実施期間中でも検出することができる。よって、コイル電流経路の電気的特性を計測する頻度よりも、電気的特性以外の物理量を検出してその検出結果に応じて閾値を更新する頻度を、高くすることができる。このため、本第3実施形態では、マイコン35が、図10の閾値設定処理とは別に、図11の第2設定処理を行うようにしている。
また、特許請求の範囲に記載された内容の範囲において、前述した実施形態の構成や処理のうちの、何れかの組み合わせを変える変形や、一部を削除する変形等を行うことも勿論可能である。
Claims (7)
- 電磁弁(23)のコイル(25)に電流を流す電流経路における前記コイルよりも上流側(CM)と、前記コイルに電流を流すための駆動用電圧(VC,VB)との間に、直列に設けられ、前記コイルに流れる電流であるコイル電流を制御するためにオン/オフされる電流制御用スイッチング素子(T12,T11)と、
前記電流制御用スイッチング素子を制御する制御手段(49,51,53)と、を備え、
前記制御手段は、前記電流制御用スイッチング素子を、オンとオフとの一方である第1状態から、オンとオフとの他方である第2状態へと切り換えるための閾値が設定され、前記電流制御用スイッチング素子を前記第1状態にしているときに、前記コイル電流が前記閾値に到達したことを検知すると、前記電流制御用スイッチング素子を前記第1状態から前記第2状態へと切り換えることにより、前記コイル電流の極値を目標の値に制御するようになっている、電磁弁駆動装置において、
前記電流経路における前記コイルよりも上流側に、前記電流経路の電気的特性を計測するための計測用電圧(VB,VM)を供給する電圧供給手段(69,90)と、
前記電圧供給手段を動作させて前記コイルに電流を流すと共に、その電流を観測することにより、前記コイルを含む前記電流経路の電気的特性を計測する計測手段(35,S110〜S190)と、
前記計測手段により計測される前記電気的特性をパラメータとして、前記制御手段に設定すべき前記閾値が記録された閾値設定用情報(85,86,87,107,108,109)を記憶する記憶手段(37)と、
前記閾値設定用情報から、前記計測手段により計測された前記電気的特性に対応する前記閾値を算出し、その算出した閾値を前記制御手段に設定する閾値設定手段(35,S200,S210,S330,S340)と、
を備えることを特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項1に記載の電磁弁駆動装置において、
前記電気的特性とは別の物理量であって、前記コイル電流が前記閾値に達してもなお同じ方向に変化して該閾値を超える量に相関がある物理量を検出する検出手段(35,S195,S310)を備え、
前記閾値設定用情報(107,108,109)は、前記検出手段により検出される前記物理量もパラメータとして、前記制御手段に設定すべき前記閾値が記録されたものであり、
前記閾値設定手段は、前記閾値設定用情報から、前記計測手段により計測された前記電気的特性と前記検出手段により検出された前記物理量とに対応する前記閾値を算出し、その算出した閾値を前記制御手段に設定すること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項2に記載の電磁弁駆動装置において、
前記物理量は、前記駆動用電圧であること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項2又は請求項3に記載の電磁弁駆動装置において、
前記物理量は、当該電磁弁駆動装置の内部温度であること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項2ないし請求項4の何れか1項に記載の電磁弁駆動装置において、
前記電磁弁は、内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁であり、
前記物理量は、前記電磁弁に供給される前記燃料の温度であること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の電磁弁駆動装置において、
前記電流経路における前記コイルよりも上流側と第1の駆動用電圧(VC)との間に直列に設けられ、前記コイルへの通電開始時にオンされることで、前記コイルに前記電磁弁の弁体を動かすためのピーク電流を流す第1スイッチング素子(T12)と、
前記電流経路における前記コイルよりも上流側と前記第1の駆動用電圧よりも低い第2の駆動用電圧(VB)との間に直列に設けられ、前記コイルに前記ピーク電流を流すことが終了してから前記コイルに前記ピーク電流よりも小さい一定の電流を流すためにオン/オフされる第2スイッチング素子(T11)と、を備え、
前記電流制御用スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との一方又は両方であり、
前記電圧供給手段(69)は、前記第2スイッチング素子をオンさせることにより、前記第2の駆動用電圧を前記計測用電圧として前記上流側に供給すること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。 - 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の電磁弁駆動装置において、
前記計測用電圧は一定の電圧(VM)であり、
前記電圧供給手段(90)は、前記電流経路における前記コイルよりも上流側と前記計測用電圧との間に直列に設けられた計測用スイッチング素子(91)を備え、該計測用スイッチング素子をオンさせることにより、前記上流側に前記計測用電圧を供給すること、
を特徴とする電磁弁駆動装置。
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