JP2014168735A - 塗布工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のヘッド部材2が隣接配置され、隣り合うヘッド部材2同士の間に形成されたマニホールド4、及びヘッド部材2の先端側に向けて開口されたスリット3を通して被塗布物に塗布液を塗布する塗布工具1であって、マニホールド4はヘッド部材2の延在方向Lに沿って延び、マニホールド4内には、延在方向Lに沿って延びヘッド部材2に回転可能に軸支される軸体15と、該マニホールド4に塗布液を供給する供給口16とが設けられ、軸体15の外周面には、軸O方向に向かうに従い漸次軸O回りに向けて螺旋状に捩れるスクリュー部20が設けられ、ヘッド部材2に対して軸体15が軸O回りに回転させられることで、スクリュー部20は塗布液を供給口16から延在方向Lに離間させる向きに送液可能である。
【選択図】図2
Description
すなわち、従来の塗布工具においては、例えば供給口がマニホールドの中央部に配置された場合に、該中央部への塗布液の充填が早く、両端部への塗布液の充填が遅くなるため、この時間差に起因してマニホールドに内圧差が生じることになる。このようにマニホールドに内圧差が生じると、内圧が低い部位に対応するスリット幅に対して、内圧が高い部位に対応するスリット幅が大きくなりやすくなり、塗布精度を確保することが難しかった。具体的に、スリット幅が該スリットの延在する方向に沿う各部で異なることに起因して、被塗布物への塗布量(塗布厚)が該被塗布物の幅方向(つまりスリットの延在する方向)に沿って一定となりにくかった。
すなわち、塗布液の粘度が高い場合には、スリットの延在する方向の中央部におけるスリット幅が、該スリットの両端部におけるスリット幅よりも大きくなりやすく、前記中央部から被塗布物に塗布される塗布液の膜厚が、前記両端部から塗布される塗布液の膜厚よりも厚くなりやすかった。
このような現象を抑制して、塗工の初期段階や塗布液の性質(粘度)に係わらず、塗布精度を安定して高めることが要求されていた。
すなわち、本発明は、複数のヘッド部材が隣接配置され、隣り合う前記ヘッド部材同士の間に形成されたマニホールド、及び該マニホールドに連通するとともに前記ヘッド部材の先端側に向けて開口されたスリットを通して、被塗布物に塗布液を塗布する塗布工具であって、前記マニホールドは、前記ヘッド部材の延在方向に沿って延びており、前記マニホールド内には、前記延在方向に沿って延び、前記ヘッド部材に回転可能に軸支される軸体と、該マニホールドに塗布液を供給する供給口と、が設けられ、前記軸体の外周面には、該軸体の軸方向に向かうに従い漸次軸回りに向けて螺旋状に捩れるスクリュー部が設けられており、前記ヘッド部材に対して前記軸体が軸回りに回転させられることで、前記スクリュー部は、塗布液を前記供給口から前記延在方向に離間させる向きに送液可能であることを特徴とする。
これにより、高い粘度の塗布液の塗工においては、スリットの延在方向の中央部での口開き現象を軽減することが可能になり、塗り始めの塗布液の膜厚が均一になる。尚、低粘度の塗布液の塗工では、塗り始めまで軸体を回転させておきマニホールドの内圧が均一となった後は、該軸体の回転を停止するようにしてもよい。
本実施形態の塗布工具1は、例えば可撓性を有するシート状部材やパネル状部材などの被塗布物の表面に、塗布液を所定の膜厚となるように塗布するスロットダイである。この塗布工具1は、低粘度から中/高粘度まで種々の塗布液に適用可能である。
ここで、ヘッド部材2は、長尺の矩形板状又はブロック状をなしており、前記一対のヘッド部材2同士は、その厚さ方向に隣接するように対向配置されている。本明細書においては、ヘッド部材2が延在するその長手方向を塗布工具1の延在方向Lといい、ヘッド部材2の厚さ方向を塗布工具1の幅方向Wといい、これら延在方向L及び幅方向Wに垂直な方向を塗布工具1の高さ方向Hという。また、高さ方向Hのうち、ヘッド部材2間からスリット3が外部に開口される向き(被塗布物に塗布液が吐出される向き)を先端側(ヘッド部材2の先端側であり、図1及び図2における上側)といい、スリット3が外部に開口される向きとは反対側を基端側(ヘッド部材2の基端側であり、図1及び図2における下側)という。
つまり、隣接配置された一対のヘッド部材2同士は、スリット3側(先端側)に向けて開口するコ字状又はU字状の前記シムを互いの内面8同士の間に挟んだ状態でボルト等により連結されており、これにより、スリット3幅が所定値(シム厚に相当)となるように設定されている。
ヘッド部材2において先端側を向く先端面10は、幅方向Wの内側(つまり幅方向Wの中央側、スリット3側)に向かうに従い漸次先端側に向かって傾斜している。また、先端面10における幅方向Wの内側の端部は、該端部以外の部位よりも先端側に向けて突出するエッジ部6とされており、一対のヘッド部材2のエッジ部6同士はスリット3を画成する隙間をあけて対向配置されている。またエッジ部6は、延在方向Lに長尺とされた矩形板状をなしており、エッジ部6の先端部(刃先エッジ)同士の間に、スリット3の開口部が形成されている。尚、エッジ部6は先端面10に突設されていなくてもよく、この場合、ヘッド部材2において先端面10と内面8とが交差する稜線部分が、該ヘッド部材2の刃先エッジとなる。
また本実施形態では、一対のヘッド部材2の先端部にエッジ部6が一体に形成されているが、これに限らず、例えば超硬合金等の硬質材料からなるエッジ部6を別体として作製し、ヘッド部材2の先端部にろう付けや着脱機構により配設してもよい。
具体的に、本実施形態では、図1に示される一対のヘッド部材2A、2Bのうち一方のヘッド部材2Aにのみ、外面7と溝穴5とを連通する液供給路21が形成されており、該液供給路21においてマニホールド4の内周面に開口する部分が前記供給口16となっている。また図示の例では、供給口16は、マニホールド4の高さ方向Hに沿う中央部に開口している。液供給路21は、不図示の供給ポンプに接続されている。尚、液供給路21は、塗布工具1の外部に設置された前記供給ポンプとマニホールド4内とを連通可能にヘッド部材2に形成されていればよいことから、その形状や配置は本実施形態で示される例に限定されない。
具体的に、軸体15は、長尺の円柱状をなしマニホールド4内に収容される軸本体18と、該軸本体18の延在方向L(軸O方向と同一の方向)に沿う両端部から該延在方向Lの外側に向けて延設されるとともに、ヘッド部材2の軸受17に回転可能に軸支されるシャフト19と、軸本体18の外周面から径方向の外側へ向けて突設されるとともに、該外周面上を螺旋状に捩れて延びるスクリュー部20と、を備えている。尚、前記径方向とは軸Oに直交する方向である。
シャフト19は、軸本体18よりも小径とされているとともに、シャフト挿通孔14の内径と同等又は僅かに小さな外径とされていて、該シャフト挿通孔14内に挿通されている。軸本体18の両端部から延設される一対のシャフト19のうち、少なくともいずれか一方は、不図示のモータ等の回転駆動装置に連結されている。回転駆動装置は、ヘッド部材2に対して軸体15を軸O回りのうち少なくとも所定の回転方向Tに回転駆動可能に構成されて(図1を参照)、不図示の制御部に接続されている。また回転駆動装置は、インバータ等により軸体15の軸O回りの回転速度を調整可能とされている。
また、本実施形態では、マニホールド4の内周面と、スクリュー部20の径方向外側の端縁との間に、隙間が設けられている。
これにより、高い粘度の塗布液の塗工においては、スリット3の延在方向Lの中央部での口開き現象を軽減することが可能になり、塗り始めの塗布液の膜厚が均一になる。尚、低粘度の塗布液の塗工では、塗り始めまで軸体15を回転させておきマニホールド4の内圧が均一となった後は、該軸体15の回転を停止するようにしてもよい。
すなわち、マニホールド4の供給口16に対応するスリット3部分における塗布量が、該供給口16以外の部位に対応するスリット3部分における塗布量に比べて低減されるようなことが抑制される。具体的に、前述の構成とは異なり、例えばスクリュー部20が軸体15の供給口16に対応する部位を含めた該軸体15全体に設けられている場合には、マニホールド4内において供給口16付近の塗布液がスクリュー部20によって延在方向Lに送液される割合が高くなるとともに、該供給口16付近の内圧が下がりやすくなり、この供給口16に対応するスリット3部分へ向けては送られにくくなる可能性がある。一方、本実施形態の前述した構成によれば、スクリュー部20による前述した作用効果が十分に得られつつも、マニホールド4内において供給口16付近の内圧が低下するようなことを抑制でき、よってマニホールド4内全体に亘って内圧が均一化されるとともに、スリット3からの塗布量も該スリット3の延在する方向全体に均一にできる。
この場合、一度の塗布工程において、被塗布物に対して各スリット3から複数種類の塗布液を吐出可能であり、被塗布物の表面に塗布液が複数の膜(層)をなすように塗布される。
この場合も、マニホールド4内において供給口16付近の内圧が低下するような事態を抑制でき、マニホールド4内全体に亘って内圧が均一化されて、塗布精度が確保されることになる。
2 ヘッド部材
3 スリット
4 マニホールド
15 軸体
16 供給口
20(20A、20B) スクリュー部
L 延在方向
O 軸
T 軸体の回転方向
Claims (4)
- 複数のヘッド部材が隣接配置され、隣り合う前記ヘッド部材同士の間に形成されたマニホールド、及び該マニホールドに連通するとともに前記ヘッド部材の先端側に向けて開口されたスリットを通して、被塗布物に塗布液を塗布する塗布工具であって、
前記マニホールドは、前記ヘッド部材の延在方向に沿って延びており、
前記マニホールド内には、
前記延在方向に沿って延び、前記ヘッド部材に回転可能に軸支される軸体と、
該マニホールドに塗布液を供給する供給口と、が設けられ、
前記軸体の外周面には、該軸体の軸方向に向かうに従い漸次軸回りに向けて螺旋状に捩れるスクリュー部が設けられており、
前記ヘッド部材に対して前記軸体が軸回りに回転させられることで、前記スクリュー部は、塗布液を前記供給口から前記延在方向に離間させる向きに送液可能であることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1に記載の塗布工具であって、
前記供給口は、前記マニホールドにおける前記延在方向に沿う両端部同士の間の中間領域に開口しており、
前記スクリュー部は、前記軸体の前記供給口を挟んだ前記延在方向の両側にそれぞれ設けられるとともに、これらのスクリュー部同士は、互いに捩れ方向が異なっていることを特徴とする塗布工具。 - 請求項1又は2に記載の塗布工具であって、
前記スクリュー部は、前記軸体の前記延在方向に沿う前記供給口に対応する部位には設けられていないことを特徴とする塗布工具。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗布工具であって、
前記供給口は、前記マニホールドの前記延在方向に沿う中央部に開口していることを特徴とする塗布工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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