JP2014165050A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】充電状態での高温保存時に局所的に発生する微小短絡を抑制し、自己放電の少ない高品質な非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】捲回電極体20が電池ケース80に収容されている非水電解質二次電池10であって、該捲回電極体は、正極活物質層が備えられた正極と、負極活物質層が備えられた負極とが、セパレータ70を介して積層されるとともに負極が外周側に位置するよう捲回されており、負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されており、捲回電極体の曲面部分で、かつ、電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層54であって、該負極活物質層の表面の少なくとも一部50Rに、リチウム箔100が貼り付けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は捲回電極体を備える非水電解質二次電池に関する。
リチウム二次電池等に代表される充放電可能な非水電解質二次電池は、車両搭載用電源あるいはパソコンおよび携帯端末の電源等として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられている。
かかる電池の一形態として、正極と負極とをセパレータを介して積層した電極体を、電解質とともに電池ケースに収容した密閉形式の電池が挙げられる。かかる密閉形式の電池は、典型的には、シート状の電極体が捲回されてなる捲回電極体が電池ケースに収容された後、蓋体が装着されて封口されることにより構築されている。そして、構築された電池は、実際に使用可能な状態に調整するために所定条件で充放電処理(コンディショニング処理)が施される。また、捲回電極体への非水電解液の含浸を促したり、自己放電量に相当し得る初期電池容量低下(初期劣化)が大きい電池の選別、さらには電池性能の安定化等の様々な効果を得たりする目的で、上記コンディショニング処理の後に、所定条件下で電池を保持するエージング処理が施されることがある。かかるエージング処理は、その目的にもよるが、室温域よりも高い温度域(例えば、30℃〜50℃程度)で行うことにより所定の効果を得るまでの上記保持時間を短時間で終了させることが可能である。
特開平05−144473号公報 特開2011−238568号公報
ところで、非水電解質二次電池の製造におけるエージング処理としては、製造過程において電池内に不可避的に混入する可能性のある金属異物を溶解・析出させる目的でも行われ得る。このような目的で行われるエージング処理は、例えば、コンディショニング処理の後に、電池を高SOC(State of Charge)状態に調整し、高温にて長時間(例えば、30℃〜50℃で24時間程度以上)保つこと等で実施されている。かかるエージング処理は、保持温度を更に高温に、例えば、50℃以上(より好ましくは60℃以上)の温度域に保つことで金属異物の溶解を更に促進でき、所定の効果を得るまでの保持時間をより一層短縮できるとともに、製造コストの低減を図ることが期待できる。
しかしながら、エージング処理の温度を60℃以上の高温(例えば60℃を超える温度)に設定すると、捲回電極体において上記の金属異物に起因するのとは別の微小な短絡が、極めて高い確率で発生し得るという新たな問題が発生することが明らかとなった。このような微小な短絡が発生した電池は自己放電が大きくなるために好ましくない。
本発明は、上述したような従来の問題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、充電状態で高温保存する際の微小短絡の発生が低減されて、自己放電が抑制されている高品質な非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者らは、捲回電極体を備える非水電解質二次電池に対して、充電状態で高温に保存した時に発生する微小短絡の発生状況について詳細な検討を重ねてきた。その結果、この微小短絡は捲回電極体の「特定の部位」において発生すること、そしてかかる微小短絡を誘起し得る状況を本質的に除去することでこの微小短絡に基づく自己放電の問題を改善し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。以下、本明細書における「高温」とは、特にことわりのない限り50℃以上程度の温度範囲、典型的には60℃以上の温度範囲を意味するものとする。
すなわち、この微小短絡を誘起し得る「特定の部位」とは、捲回電極体において、電池ケースの上下方向で上方にあって、典型的には電池ケース内の空間に直接的に開放され得る部分である。より詳細には、捲回電極体において、電池ケース内の空間に含まれる酸素に直接的に触れ得る環境にある正極活物質層の端部とこれに対向する負極活物質層の端部とにより構成される部位において、上記の微小短絡が多く発生し得る。
そして、本発明者らは、この微小短絡の原因が、電池が高温状態にあること、および、上記の電池ケース内の酸素の存在に加え、かかる特定の部位において正極の電位が局所的に上昇するという現象にあることに想到した。
そこで、上記課題を解決すべく、本出願においては、捲回電極体が電池ケースに収容されている非水電解質二次電池(以下、単に二次電池、電池等と省略して言う場合もある。)を提供する。かかる非水電解質二次電池において、上記捲回電極体は、正極集電体上に長手方向に直交する幅方向の一方の端部を残して正極活物質層が備えられた正極と、負極集電体上に長手方向に直交する幅方向の一方の端部を残して負極活物質層が備えられた負極とが、上記活物質層の形成されていない正極非塗工部および負極非塗工部が互いに上記幅方向の反対側の端部に突出された状態でセパレータを介して積層されるとともに、上記負極が外周側に位置するよう捲回された構成を有している。
そして、かかる捲回電極体は、上記負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、上記捲回電極体の曲面部分で、かつ、上記電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、上記幅方向で前記負極非塗工部が形成されていない側の端部を含む前記負極活物質層の表面の少なくとも一部に、リチウム箔が貼り付けられていることを特徴としている。
従来の捲回電極体においては、正極の最外周層で、かつ、正極集電体の捲回外周側に備えられた正極活物質層であって、幅方向で正極非塗工部が形成されている側の端部(すなわち、上記特定の部位であり得る。)は、正極集電体および負極集電体に阻まれることなく、最外周層の捲回内周側および外周側に配置される負極活物質層の端部と電荷担体の移動が可能な状態にあり得た。そのため、充電時に、この正極活物質層の端部から、これに対向する最外周層の捲回内周側の負極活物質層のみならず、捲回外周側に配置される負極活物質層の端部にまで電荷担体が拡散することで、かかる正極端活物質層の端部の電位は、他の正極部位と比較して相対的に高いものとなっていた。このような現象は、電極体が捲回されており、外周側に向かうほど対向する活物質層の体積が増大する状況で特に顕著に現れ得る。かかる電位状態で電池を高温に保存すると、正極活物質層に含まれる金属成分が溶出し、対向する負極表面に析出して微小短絡を発生する。
これに対し、上記の本発明の構成によると、充電時に、最外周層の捲回外周側に配置される負極活物質層の端部には電荷担体としてのリチウムイオンがリチウム箔より供給され、当該正極活物質層からは供給され難い状態を実現し得る。これにより、上記正極の特定部位の電位の上昇を抑え、微小短絡の発生を抑制することができる。
なお、上記の構成から明らかな通り、電荷担体としてリチウムイオンに代わる成分等が使用される場合には、かかる成分の供給源を上記のリチウム箔に置き換えて電池を構成することでも、同様の効果を得ることができる。すなわち、本発明は、本質的には、電荷担体としてリチウムイオンが使用される電池以外の電池に対しても応用することができる。
ところで、特許文献1には、負極板の最外周部に相当する部分で、なおかつ正極板と対向しない部分の全面に亘って金属リチウム箔を貼り付ける構成が開示されている。そして、かかる構成により、過放電後の電池であっても、再充電によって容量が速やかに回復されるため、容量劣化を抑制し得ることが記載されている。しかしながら、かかる引用文献1の開示は、充電状態での高温保存時に上記特定の部位に局所的に発生する微小短絡を好適に抑制し得るものとはなり得ていない。
また、特許文献2には、負極活物質層のうち、セパレータを介して正極活物質層と対向する対向部と、セパレータを介して対向する正極活物質層が存在しない非対向部とのうち、非対向部に予めLiが挿入されているリチウムイオン二次電池が開示されている。そしてかかる構成とすることで、負極活物質層の非対向部にLiが挿入されるのを抑制して、電池容量の低下を抑制することができることが記載されている。しかしながら、かかる引用文献2の開示によると、予め非対向部に挿入されているLiは、放電レート(放電電流値)を充電レート(充電電流値)よりも大きくした充放電サイクルを行うことで、負極活物質層の対向部に挿入されているLiの一部を、負極活物質層の非対向部に移動(非対向部の負極活物質に挿入)させたものであって、電池全体におけるLi量は変化していない。さらに、高温保存時に上記特定の部位に局所的に発生する微小短絡を好適に抑制し得るものとはなり得ていない。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記リチウム箔は、上記幅方向で上記負極非塗工部が形成されていない側の端部を含み、該端部から幅5cm以内の帯状領域内にある負極活物質層の表面にのみ貼り付けられていることを特徴としている。
上記のとおり、かかる微小短絡の問題は「特定の部位」において発生するものであり、リチウム箔はかかる特定の部位の状態を整え得る部位にのみ備えられれば十分であって、その他の部位に貼り付けられていても上記課題を解決するための効果を奏さない。かかる構成によると、より簡単で無駄のない構成により、効果的に微小短絡の発生を抑制することが可能となる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記リチウム箔の質量は、上記負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、上記捲回電極体の曲面部分で、かつ、上記電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、上記負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる上記負極活物質層の質量に対して少なくとも10質量%であることを特徴としている。
リチウム箔は、ごく少量でも備えられることで微小短絡の発生を抑制することができるが、その量を上記のとおり負極最外周部分の捲回外周側の負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる上記負極活物質層の質量に対して10質量%以上(例えば、10質量%以上20質量%以下)とすることでより効果的に微小短絡を抑制することが可能となる。すなわち、より無駄のない構成で、高温保存時の微小短絡の発生を抑制することが可能となる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記捲回電極体は、当該捲回の軸となる捲回軸に直交する一の方向に拉げさせた形状を有する扁平型捲回電極体であって、上記捲回軸が上記電池ケースの横方向で、かつ、上記捲回軸に直交する断面における長手方向が上記電池ケースの上下方向となるよう収容されている。また、捲回電極体の上記負極最外周部分は、上記捲回軸に直交する断面における長手方向に略平行な平面部分と、かかる平面部分をつなぐ曲面からなる曲面部分とから構成されている。そして、かかる捲回電極体は、上記曲面部分のうちの上記電池ケースの上方に配置される曲面部分の上記帯状領域にある上記負極活物質層の表面の少なくとも一部に、上記リチウム箔が貼り付けられていることを特徴としている。
高温保存時の局所的な微小短絡の問題は、高容量で高エネルギー密度を実現し得る大型電池において顕著に見られる。例えば、扁平型捲回電極体を電池ケースに上記の構成となるよう収容した電池であり得る。かかる構成の電池に本願発明を適用することで、高温保存時の微小短絡の問題を抑制する効果がより明瞭に得られ、その技術的意義をいかんなく発揮することができる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様においては、上記電池ケースの上方に配置される曲面部分の頂部の表面に、上記リチウム箔が貼り付けられていることを特徴としている。
かかる構成によると、負極活物質層の上記帯状領域の一部にのみリチウム箔を備えた場合であっても、電荷担体としてのリチウムイオンの供給をスムーズに行うことが可能となる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記リチウム箔は、1cm以上25cm以下の面積のものが、1枚または2枚以上貼り付けられていることを特徴としている。リチウム箔は大きすぎると扱いが困難となり得る。かかる構成によると、負極活物質上への配設が容易なサイズのリチウム箔を、上記帯状領域の適切な位置に適切な配置で備えることができるため、負極活物質層へのリチウムイオンの供給を効率的に行うことができる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記リチウム箔は、上記曲面部分における上記負極活物質層の表面の上記曲面に沿った方向に発生した引張応力に基づき、上記曲面の曲率中心方向に作用する密着力により、上記負極活物質層の表面に密着した状態で貼り付けられていることを特徴としている。すなわち、リチウム箔は引張り応力により延伸するとともに、密着力により負極活物質層の表面に押しつけられるため、負極活物質層の表面の凹凸に対応し、凹凸の頂点近傍では活物質層の表面とリチウム箔とは隙間なく密着した状態であり得る。これにより、充電時の負極活物質層へのリチウムイオンの供給効率を著しく高めることが可能となる。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記リチウム箔は、同心円状に捲回されてなる捲回電極体に貼り付けられた後、該倦回電極体が扁平型捲回電極体に成形されることにより、上記負極活物質層の表面に密着した状態で貼り付けられていることを特徴としている。
リチウム箔は、扁平型捲回電極体が円筒形状の状態で貼り付けられ、その後扁平形状に成形されることにより、負極活物質層の表面に好適に密着した状態で貼り付けられる。かかる構成は、従来の製法において、実質的に捲回電極体にリチウム箔を貼り付けるという簡便な操作を加えるのみで実現することができ、これにより、高温保存時の微小短絡を効果的に抑制し得る非水電解質二次電池が低コストなものとして提供される。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい態様において、上記正極活物質層は、正極活物質として、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物を含むことを特徴としている。
本発明の二次電池においては、正極が上記の特定の部位において局所的に高電位となるのを抑制しているため、上記のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合でも、金属成分の溶出の問題は起こり難い。したがって、かかるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた、高いエネルギー密度および安定した高電位を実現し得る、高品質な非水電解質二次電池が提供される。
以上のとおり、ここに開示される非水電解質二次電池は、充電状態で高温保存した場合であっても、微小短絡の発生が抑制されているために、自己放電の少ない高品質な電池として実現され得る。そのため、例えば、金属異物の融解を目的とするエージング処理等を高温で短時間にかつ確実に行うことが可能となる。また、電池使用時の環境温度が高温となった場合であっても自己放電量を少なく抑えることができる。すなわち、高品質なヒス電解質二次電池が、低コストに実現され得る。なお、上記の効果は、本発明の非水電解質二次電池の構成を、例えば、高出力および高容量特性が特に求められる大型電池に適用した場合により明瞭に発揮され得る。したがって、具体的には、例えば、(イ)50A以上(例えば50A〜250A)、さらには100A以上(例えば100A〜200A)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定されるリチウム二次電池10や、(ロ)理論容量が10Ah以上(さらには20Ah以上)の大容量タイプであって5C以上(例えば5C〜50C)さらには10C以上(例えば10C〜40C)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定されるリチウム二次電池のいずれか、好ましくは(イ)および(ロ)の両方の特性を備える電池に好ましく適用することができる。そして、かかる構成の非水電解質二次電池(組電池の形態であり得る。)は、自動車等の車両に搭載される駆動用電源として好適に使用し得る。車両の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等とすることができる。
非水電解質二次電池の外観を模式的に例示した斜視図である。 図1におけるII−II線に沿う縦断面図である。 捲回電極体の構成を説明する図である。 電極体の端部における積層構造を模式的に説明する断面図である。 非水電解質二次電池の他の構成を例示した縦断面図である。 捲回電極体のリチウム箔の貼り付け位置を説明する図である。
上記のとおりの本発明者らの検討によると、捲回電極体を備える二次電池を充電状態で高温に保存した場合に発生する微小短絡の発生状況について、下記の知見が得られた。
[微小短絡部位]
かかる高温保存に伴う微小短絡は、上記のとおり、捲回電極体の最外周を構成する最外周部分の正−負極活物質層間、すなわち、正極最外周部分の捲回外周側の正極活物質層と負極最外周部分の捲回内周側の負極活物質層との間において発生する。
なお、かかる部位は、当該正−負極活物質層間の全面においてではなく、正極集電体の非塗工部が設けられている側の端部(以下、「特定の正極端部」という場合がある。)において発生する。すなわち、他端の、負極集電体の非塗工部が設けられる側ではみられない。
また、かかる部位は、捲回電極体の上方の端部、すなわち電池ケース内に配置される捲回電極体の両端部のうち、電池ケースの上方に位置する上記の特定の正極端部を起源として発生する。この特定部位が電池ケースの下方に位置する場合には、微小短絡は生じない。
そして、捲回電極体の正負極が、曲面部分のみならず、平らな平面部分を含む場合、かかる平面部分よりも曲面部分における上記特定の端部において、微小短絡が多く発生する。特に、捲回電極体が扁平に拉げられている場合には、その捲回軸に直交する断面において最も曲率の大きい曲面部分において、微小短絡が頻発する。
[正極高電位]
本発明者らの詳細な観察により、上記微小短絡部位は、正極側の電位が特に高くなっていることが確認できた。例えば高温エージング等の高温保存時における金属異物の溶解は、電気化学的反応を利用して行われるため、電池を高いSOC状態に調整して行っている。このとき、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池においては、エージング処理中の電圧降下を見越して、3.8Vを超える(例えば、3.97V)電池電圧に調整してエージング処理を開始するのが一般的である。かかる状態において正極電位は、電池電圧よりも更に高い電位(例えば、実測値で4.06V)となり得る。しかしながら、上記の微小短絡が発生する特定の正極部位においては、コンディショニング処理の直後、すなわちエージング処理直前において、上記の正極電位よりも遥かに高い電位(例えば、実測値で4.3V以上)となっていることが確認されている。一般的に正極電位が高いほど正極活物質は不安定な状態におかれ、構成金属成分の溶解(溶出)等の副反応を起こしやすくなる。したがって、かかる正極高電位による正極活物質からの金属成分の溶出と、対向する負極活物質層の表面への堆積により、微小短絡が発生するものと考えられる。
[正極高電位の原因]
上記の構成の従来の捲回電極体においては、正極の最外周層で、かつ、正極集電体の捲回外周側に備えられた正極活物質層の端部(特定の正極端部)は、正極集電体および負極集電体に阻まれることなく、最外周層の捲回内周側および外周側に配置される負極活物質層の端部と比較的近い位置関係にあり、電荷担体の移動が容易に可能となる状態であり得る。そのため、充電時には、この特定の正極端部から、最外周層の捲回内周側の負極活物質層のみならず、捲回外周側に配置される負極活物質層の端部にまで電荷担体が拡散し得る。かかる現象により、この特定の正極端部の電位は、他の正極部位と比較して相対的に高いものとなると考えられる。
[その他]
二次電池において、電池ケース内の空間は一般的にドライエアーで満たされている。本発明者らの検討によると、電池ケース内の空間を不活性ガスで満たすと、高温保存時の正極活物質からの金属成分の溶出やこれに伴う微小短絡は発生しないことが確認されている。つまり、これらの現象は、高温保存時に電池ケース内の上方に形成される空間にエアーあるいはドライエアーが存在する場合に発生するため、当該空間に酸素が存在することが微小短絡の何らかの原因となっていることが推定される。そしてこのことは、上記の微小短絡部位が電池ケース内の上方にのみ位置することとも整合がとれる。
しかしながら、かかる酸素の影響を防止するにあたり、製造ラインの一部を不活性ガス雰囲気として不活性ガスによる封入を行うことは、製造コストと製造ラインの安全性の面から好ましくない。したがって、例えば、大気あるいは空気雰囲気によるドライエアー封入を採用しても、高温でのエージング処理が可能となる非水電解質二次電池を実現することが望まれる。
一方で、例えば、充電状態での保存を比較的低い温度(例えば、60℃以下、典型的には50℃以下)とすることで、微小短絡は発生しないことが確認されている。しかしながら、より短いエージング処理時間、延いては製造時間での製造が可能な非水電解質二次電池が提供されることが望まれる。
そこで、ここに開示される非水電解質二次電池においては、上記の正極高電位に起因する微小短絡の問題を解消するべく、以下の特徴を具備することを特徴としている。
(1)負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、(2)捲回電極体の曲面部分で、かつ、(3)電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、(4)幅方向で負極非塗工部が形成されていない側の端部を含む負極活物質層の少なくとも一部に、(5)リチウム箔を備える。
すなわち、特定の正極端部から、最外周層の捲回外周側に配置される負極活物質層の端部に電荷担体が拡散しないよう、予め、かかる負極活物質層の端部に電荷担体を供給するリチウム箔を備える構成としている。これによって、初回充電時に上記負極活物質層の端部には電荷担体としてのリチウムイオンが十分に供給され、特定の正極端部からリチウムイオンが拡散していくことが抑制され、当該特定の正極端部が高電位となるのを防ぐことができる。
以下、ここに開示される非水電解質二次電池について、適宜図面を参照しつつ、好適な実施形態としてのリチウムイオン電池を例にしてより詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、本明細書において「二次電池」とは、電荷担体の移動により繰り返し充放電可能な蓄電池一般をいい、典型的には、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ、リチウム空気電池等を包含する。
図1は、本発明の好適な一実施形態としてのリチウムイオン電池10を模式的に示す斜視図である。かかるリチウムイオン電池10は、容器本体84と、蓋体82とから構成される電池ケース80の内部に、捲回電極体20を備えている。図2は、図1中のII−II線に沿う縦断面図である。図3は、捲回電極体20の構成を説明する図である。図4は、捲回電極体20の最外周付近の構造を説明する断面模式図である。各図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
[リチウムイオン電池の構成]
本実施形態におけるリチウムイオン電池10は、図1〜図3に示すように、円筒型の捲回電極体が、その捲回の軸となる捲回軸に直交する一の方向に拉げさせた形状を有する扁平型捲回電極体20を備えている。なお、捲回電極体20は、扁平形状の扁平型捲回電極体に限定されることなく、例えば、円筒型の捲回電極体とすることもできる。
[捲回電極体の構成]
捲回電極体20は、代表的には、長尺な正極集電体32の両面に正極活物質層34を備える正極シート(正極)30と、長尺な負極集電体52の両面に負極活物質層54を備える負極シート(負極)50とが、2枚のセパレータ70を介して互いに積層され、捲回されることで構成されている。
ここで、正極30は、正極集電体32の長手方向に直交する幅方向の一方の端部に、正極活物質層34が形成されずに正極集電体32が露出した正極非塗工部33が設けられている。また、負極50においても、その長手方向に直交する幅方向の一方の端部に負極活物質層54が形成されずに負極集電体52が露出した負極非塗工部53が設けられている。そして典型的には、電荷担体(この場合はリチウムイオン)の受入性を考慮して、負極活物質層54の幅は正極活物質層34の幅よりも幅広に形成されることが多い。また、2枚のセパレータ70は、正極活物質層34および負極活物質層54を確実に絶縁するために、これらの幅よりも幅広に形成されることが多い。
そして、例えば図2〜図4に示されるように、捲回電極体20において、負極活物質層54は、幅方向で正極活物質層34を覆うように配置される。また、2枚のセパレータ70は、正極活物質層34および負極活物質層54の間に、各々を幅方向で覆うように配置される。かかる構成によると、正極30は、捲回電極体20における捲回軸(WL)方向の両端部のうちの一方の端部において、正極活非塗工部33が負極50から突出した状態で積層される。負極50は、捲回電極体20の両端部のうちの他方の端部において、負極非塗工部53が正極30から突出した状態で積層される。すなわち、正負の非塗工部33、53は、セパレータ70の両側においてそれぞれ突出している。
捲回電極体20は、本質的には、リチウムイオンの受入性の観点から、より外周側に負極50が、より内周側に正極30が配置される。例えば、正極30、負極50およびセパレータ70は、図3に示したように、下から、セパレータ70、負極50、セパレータ70および正極30の順に積層され、負極が外周側に位置するように捲回される。
円筒型の捲回電極体20については、円筒形状の芯材を軸として、上記正極30、負極50およびセパレータ70の積層体を捲回することで構築することができる。一方、扁平型捲回電極体20については、代表的には、後述するような2通りの手法のうちいずれかの手法を採用することで、構築することができる。
<手法1>
断面形状が扁平円状の芯材を軸として、上記正極30、負極50およびセパレータ70の積層体を捲回した後、芯材を抜き去って、扁平型捲回電極体とする。
<手法2>
円筒形状の芯材を軸として、上記正極30、負極50およびセパレータ70の積層体を捲回して円筒型の捲回電極体を作製した後、芯材を抜き去り、捲回の軸となる捲回軸に直交する一の方向に拉げさせて扁平に成形することで、扁平型捲回電極体とする。
図4は、捲回電極体20の最外周を含む部分断面図であり、図の上から順に、セパレータ70、負極50の最外周を構成する負極最外周部分50X、セパレータ70、正極30の最外周を構成する正極最外周部分32X、負極50の外から2周目を構成する負極50…の順番に層が形成されている。
そして扁平型捲回電極体20は、図示されない非水電解質(典型的には、非水電解液)とともに電池ケース80に収容されることで、リチウムイオン電池10が構築される。ここで、電池ケース80には、図1および2に示されるように、発生した電力を外部に取り出すための外部接続端子(正極外部接続端子40および負極外部接続端子60)が備えられている。そして、扁平型捲回電極体20は、両端に突出した正極非塗工部33および負極非塗工部53をそれぞれ正極集電板42および負極集電板62に溶接等により広い面積にて確実に接続し、かかる非塗工部33,53を介して正極外部接続端子40および負極外部接続端子60に電気的に接続されることで、発生した電力をより損失なく外部に取り出すことが可能とされている。
つまり、電池ケース80に収容された扁平型捲回電極体20において、正負の非塗工部33,53は、扁平型捲回電極体20の捲回軸方向に直交する断面の短手方向で摘まれた状態にある。すなわち、図4の断面図において、扁平型捲回電極体20の一方の端部では、突出した最外周の正極集電体32X(非塗工部33)とその内周の正極集電体32(非塗工部33;複数であり得る。)とが摘まれた状態で接触している。また、他方の端部では、突出した最外周の負極集電体52X(非塗工部53)とその内周の負極集電体52(非塗工部53;複数であり得る。)とが摘まれた状態で接触している。したがって、正極活物質層34は、正極最外周部分30Xの捲回外周側に配置される正極活物質層34A以外は、幅方向(捲回軸方向)の両端部のうちの一方の端部が捲回電極体20から突出している正極非塗工部33によって緩やかに挟まれ、捲回電極体20の外部と隔離された状態となり得る。そして他方の端部は、回電極体20から突出している負極非塗工部53によって緩やかに挟まれ、捲回電極体20の外部と隔離された状態となり得る。一方で、正極最外周部分30Xの捲回外周側に配置される正極活物質層34Aの端部は、正負の非塗工部33,53により挟まれることがないため、負極最外周部分50Xの捲回内周側に配置される負極活物質層54Bの端部と、捲回外周側に配置される負極活物質層54Aの端部とに対して解放された状態となり得る。例えば、電解液を通じて正極活物質層34Aの端部から負極活物質層54Aの端部へと電荷担体が拡散により到達しやすい状態であり得る。
ここで電池ケース80の内部には、一般的に、捲回電極体20および非水電解質が占有する部分の他に、余剰の空間が上下方向の上方に形成され得る。したがって、上記の解放された状態にある正極活物質層34Aおよび負極活物質層54Aの端部が電池ケース80の上方にある場合には、この正極活物質層34Aの端部から、最外周層の捲回内周側の負極活物質層54Bのみならず、捲回外周側に配置される負極活物質層54Aの端部にまで電荷担体としてのリチウムイオンが拡散することで、かかる正極端活物質層34Aの端部の電位は、他の部位と比較して相対的に高いものとなる。さらに、かかる充電状態の電池10を高温に保存すると、正極端活物質層34Aの端部から正極活物質の金属成分(例えば、マンガン(Mn)やニッケル(Ni)等であり得る。)の溶出が促進されて対向する負極活物質層54B上に析出し、この正極活物質層34Aの端部と負極活物質層54Bの端部との間で微小短絡が発生しやすい。
そこで、かかる扁平型捲回電極体20においては、充電時に正極活物質層34Aの端部から負極活物質層54Aの端部へと電荷担体(ここではリチウムイオン)が拡散することを防ぐために、リチウム箔100を、かかる負極活物質層54Aの端部を含む部位に貼り付けるようにしている。すなわち、充電時には、リチウム箔100から電荷担体としてのリチウムイオンが溶出されるとともに負極活物質層54Aの端部に表面から速やかに供給される。これにより、負極活物質層54Aの電位は捲回内周側に配置される負極活物質層54Bの電位よりも速やかに上昇する。また、負極活物質層54Aの端部の表面からリチウムイオンが供給されるため、正極活物質層34Aの端部から溶出されたリチウムイオンが負極活物質層54Aの端部の表面からを吸収(吸蔵)されるのが抑制され、正極活物質層34Aの端部から過剰にリチウムイオンが溶出するのを防止することができる。その結果、正極活物質層34Aとこれに対向する負極活物質層54Bとの電位状態が安定し、正極活物質層34Aの端部で局所的に電位が上昇することが防止される。
なお、リチウム箔100を貼り付ける位置は、上記のとおり、問題となる特定の正極部位からのリチウムイオンの拡散の影響を受け得る位置とすることができる。かかる位置とは、すなわち上記の通り、(1)負極50の最外周を構成する負極最外周部分50Xの捲回外周側に配置される負極活物質層54Aであって、(2)捲回電極体20の曲面部分で、かつ、(3)電池ケース(80)の上下方向の上方に位置する負極活物質層54であって、(4)負極非塗工部53が形成されていない側の端部(正極非塗工部33が形成されている側の端部である)を含む位置である。より具体的には、かかる端部を含み、該端部から幅5cm以内の帯状領域50Rの少なくとも一部である。
リチウム箔100を貼り付ける位置がこの帯状領域50R以外であると、正極活物質層34Aから溶出するリチウムイオンの吸収を防ぐ効果が十分に発揮されないために好ましくない。なお、この帯状領域を規定する5cmとの幅は、比較的大型の電池(典型的には、捲回電極体の捲回軸方向の長さ(すなわち、正極又は負極シートの幅近傍の値)が10cmを超える電池)を想定した値であり得る。換言すると、かかる帯状領域50Rは、例えば、捲回電極体の捲回軸方向の長さの1/2以内の領域とすることができる。この帯状領域にリチウム箔100が貼り付けられることで、該帯状領域50R、より好ましくは負極活物質層54Aの端部、特に最端部を含む幅1cm程度の領域に、電荷担体としてのリチウムイオンが速やかにかつ十分に供給されることとなる。なお、かかる帯状領域50Rは、対象とする電池10の体格や、負極活物質層54Aの形態(例えば、厚み、空隙率等)と、リチウム箔100からのリチウムイオンの拡散性等に応じて、上記範囲より狭く設定することも可能である。例えば、端部から幅4cm以内の領域、端部から幅3cm以内の領域、端部から幅2cm以内の領域等を目安に設定することもできる。あるいは、例えば、捲回電極体20の捲回軸方向の長さの2/5以内、1/3以内、1/5および1/10以内等の寸法とすることもできる。
また、微小短絡の問題は、かかる曲面部分が電池ケース80の上下方向の上方に位置する場合においてのみ発生するために、この帯状領域も電池ケース80の上下方向の上方に位置する場合に上記の効果が発現される。例えば、図3の捲回電極体20において、図の上方が電池ケース80の上方となるように収容される場合、例えば、50Rで示される領域が帯状領域であり得る。
ここで、電池ケース80の上方とは、少なくとも上下方向で電池ケース80の内部の上方側1/2の領域、典型的には上方側3/5の領域、さらに限定的には2/5の領域とすることができる。
また、電池ケースは、電池を組み立てた後のコンディショニング等の各種処理、および、実際の使用状況おける標準的な設置状況を基準として上下方向が定められる。
さらに、帯状領域50Rは、捲回電極体20の曲面部分に設けられる。曲面部分においては捲回外周側となるほど活物質層34,54の体積が増大するため、正極活物質層34Aの端部から負極活物質層54Aの端部へのリチウムイオンの拡散の問題や、これに伴う正極活物質層34Aの端部における局所的な電位の上昇の問題が顕在化するためである。例えば、捲回電極体20に平面部分が含まれる場合であっても、かかる平面部分では正極活物質層34Aの端部における局所的な電位の上昇等の問題は生じないため、帯状領域50Rをかかる平面部分に設けてもこの問題を解消する効果は見られない。
より具体的には、例えば、円筒形状の捲回電極体20においては、平面部分はないと考えることができる。これに対し、扁平型捲回電極体20において、負極最外周部分50Xは、捲回軸に直交する断面における長手方向に略平行な二つの平面部分と、かかる二つの平面部分をつなぐ曲面からなる二つの曲面部分とから構成されると考えることができる。したがって、扁平型捲回電極体20においては、これら二つの曲面部分のうち、電池ケースの上方に配置される曲面部分に帯状領域50Rを設定することができる。
なお、扁平型捲回電極体20については、例えば、その捲回軸が、図2に示されるように、電池ケースの横方向となるよう電池ケース80に収容された場合、帯状領域50Rは扁平型捲回電極体20の負極最外周部分50Xの捲回外周側の負極活物質層54Aの端部のうち上方の曲面部分に設定される。一方で、その捲回軸が、電池ケースの上下方向となるよう電池ケース80に収容される場合は、扁平型捲回電極体20の正極非塗工部33が電池ケース80の上方となるようにケース80内に電極体20を収容し、負極最外周部分50Xの捲回外周側の負極活物質層54Aの端部に形成される2つの曲面部分のそれぞれに帯状領域50Rを設定することができる。
したがって、帯状領域50Rは、(1)負極50の最外周を構成する負極最外周部分50Xの捲回外周側に配置されるとともに、(2)捲回電極体20の曲面部分で、かつ、(3)電池ケース80の上下方向の上方に位置する負極活物質層54Aであって、(4)幅方向で負極非塗工部53が形成されていない側の端部を含む位置(帯状領域内)とするのが肝要である。これ以外の部位にリチウム箔100を備えても、かかるリチウム箔100は上記の正極30の局所的な電位の上昇を解消することに寄与しないため、リチウム箔100が無駄となり不経済であり得る。
リチウム箔100は、上記の帯状領域50Rの全域に渡って(例えば、かかる負極活物質層の帯状領域を平面に展開した時の平面視で全面に渡って)備えられてもよいし、その一部に備えられてもよい。また、一部に備えられる場合は、1カ所に備えられてもよいし、2か所以上の複数の箇所に備えられてもよい。
また、リチウム箔100は、ごく少量でも備えられることで、上記の正極30の局所的な電位の上昇ならびに微小短絡の発生を抑制することができる。より適切には、例えば、リチウム箔100の量を、上記の帯状領域50Rのうち、さらに、端部から幅1cmの領域に含まれる負極活物質層54Aの質量に対して10質量%以上とすることで、より効果的に微小短絡を抑制することが可能となる。なお、リチウム箔100の量が多すぎる場合は、充電時に電荷担体としてのリチウムイオンが負極活物質層54Aに供給されずに余ってしまい、効果的に寄与しない事態が生じ得る。したがって、リチウム箔100の量は、例えば、20質量%以下を目安とすることができる。例えば、10質量%以上15質量%以下とすることが好ましい例として示される。このように、本発明においては、負極活物質層の質量に対して極めて少量のリチウム箔の貼り付けにより、高温保存時の微小短絡の問題を効率的に解消することが可能とされる。
リチウム箔100の貼り付け手法については特に制限はない。例えば、リチウム箔の貼り付けには、特に接着剤等の貼り付けのための別材料は必要なく、静電引力等の吸着力により貼り付けることができる。
例えば、一例として、リチウム箔100としてリチウム箔を用いる場合、従来と同様に用意した負極50の帯状領域50Rとなる部分の負極活物質層54Aの表面に所定量のリチウム箔を貼り付け(吸着させて)、後は従来と同にして電池を構築することにより、ここに開示される電池10を製造することが例示される。
ここで、リチウム箔を貼り付けるタイミングについては特に制限されず、例えば、負極集電体52に負極活物質層54を形成した直後から、負極50をセパレータ70に積層する前、捲回電極体20の最外周部分を捲回するとき、捲回電極体20を構築した後で集電板42との接続までの間、等の何れであってもよい。
なかでも、負極活物質層54Aの表面へのリチウム箔の貼り付けは、かかる貼り付け後に負極活物質層54Aを湾曲させるようなタイミングで行うことが好ましい。すなわち、捲回電極体20の構築が完了する前に負極活物質層54Aの表面へリチウム箔を貼り付けておくのが好ましい。というのは、負極活物質層54Aの表面へリチウム箔を貼り付けた後に、負極活物質層54Aを湾曲させて曲面部分を形成することで、リチウム箔と負極活物質層54Aの表面との密着性を高めることができるためである。
詳細には、リチウム箔を表面に備えた負極活物質層54Aをリチウム箔の側が凸となるように湾曲させることで、かかる湾曲面に沿って発生する引張り応力によりリチウム箔は延伸する。これと同時に、湾曲面に沿った方向に発生する引張応力に基づき当該曲面の曲率中心方向に作用する力(密着力)によりリチウム箔は負極活物質層54Aの表面に押しつけられる。これによりリチウム箔は、例えば、負極活物質層54Aの表面の微細な凹凸にも対応し、かかる凹凸の頂点近傍では活物質層の表面とリチウム箔とは隙間なく密着した状態で一体化した状態となり得る。と負極活物質層54Aの表面とは密着した状態となり得る。したがって、かかる密着状態で充電を行うと、リチウム箔100から負極活物質層へのリチウムイオンの供給がスムーズに進行し、速やかに負極活物質層54Aの電位を高めることができる。
上記のリチウム箔を備えた負極活物質層54Aの湾曲は、正極30、負極50およびセパレータ70の積層体を捲回する工程であってもよいし、例えば、上記の<手法2>に示したように、円筒形状の捲回電極体20を拉げさせて扁平型捲回電極体に成形する工程であってもよい。リチウム箔の負極活物質層54Aへの密着力をより強く作用させるには、リチウム箔を備えた負極活物質層54Aに対し、後者の円筒形状の捲回電極体20を拉げさせて扁平型捲回電極体に成形する工程を施すことが好ましい。
なお、上記の<手法2>に示されるように、円筒形状の捲回電極体20を拉げさせて成形された扁平型捲回電極体は、平面部分における内周側の層と外周側の層との間に必然的に発生する周長の差がその曲面部分に集約されるため、曲面部分において正極30、負極50およびセパレータ70の間に隙間が発生し得る。かかる隙間は内部抵抗となり最外周層における正極活物質層34Aと負極活物質層54Bとの間の電位バランスがより広範囲で損なわれる可能性があるため、かかる<手法2>により形成される捲回電極体20に本発明の構成を適用するのがより効果的であって好ましい。
また、円筒形状の捲回電極体20を拉げさせることで扁平型捲回電極体20に成形する場合、一般的には、扁平型捲回電極体20の断面の長手方向の最長部分に、曲面部分の曲率が最も高い頂部が形成されることがあり得る。このような場合には、かかる頂部を含む帯状領域50Rにリチウム箔100を貼り付けることで、負極活物質層54Aに対してより密着性高くリチウム箔100を備えることができるために好ましい。また、かかる頂部は曲面部分のほぼ中央に形成されることが多く、負極活物質層54Aへのリチウムイオンの供給効率を高め得る点においても好ましい。
この様にして用いられるリチウム箔100の形状は、電池の体格等にもよるため一概には言えないが、例えば、面積が1cm以上25cm以下程度の大きさのものとすることが好ましい例として示される。かかる形状とすることで、負極活物質層54Aへの貼り付けを容易に行うことができるとともに、負極活物質層54Aに対して適切な場所にリチウム箔100を配設することができる。例えば、帯状領域50Rに簡便かつ効率的に配置することができる。また、例えば、かかるリチウム箔100を帯状領域50Rの複数の部位に分散して配設することで、負極活物質層54Aへのリチウムイオンの供給効率をより一層高めることができる。
なお、本発明においては理解を容易にするために、負極50の最外周層を構成する負極最外周部分50Xは、正極30の最外周層を構成する正極最外周部分30Xに対向して発電要素となり得る最外周の負極50部分である。したがって、例えば、正極最外周部分30Xに対向する負極50部分よりもさらに長尺方向に負極50が形成されている場合は、かかる発電要素となり得ない延長された負極部分は負極最外周部分50Xとして考慮しない。
なお、上記の実施形態は、一つの電池10につき捲回電極体20が一つ備えられた例を示しているが、本発明の非水電解質二次電池においては、一つの電池10につき捲回電極体20が複数(2個以上、例えば、5個以上。)備えられていてもよい。この場合も、上記の(1)〜(4)の要件を備える帯状領域50Rに、(5)リチウム箔100を備えることで、本発明の非水電解質二次電池を実現することができる。
また、上記の実施形態において、捲回電極体20は断面が略扁平円形状の扁平型捲回電極体が、捲回軸を横方向にして電池ケース80に収納されている場合を例示しているが、捲回電極体20はかかる形状に限定されることなく、例えば、図5に示されるように、捲回軸に直交する断面が略円形状の円筒型の捲回電極体20であってもよい。かかる円筒型の捲回電極体20を備える電池としては、典型的には、円筒型電池10を考慮することができる。また、この図5に例示されるように、捲回軸が上下方向となるように電池ケース80内に収容されていてもよい。このような場合も、例えば図5に例示されるように、上記の(1)〜(4)の要件を備える帯状領域50Rに、(5)リチウム箔100を備えることで、本発明の非水電解質二次電池10とすることができる。
さらに、上記の実施形態においては、帯状領域50Rの負極活物質層54Aの表面に電荷担体の供給源としてのリチウム箔100を貼り付ける例のみを具体的に示しているが、かかるリチウム箔100は、その厚みが比較的薄い(例えば1mm以下、代表的には0.5mm以下)完全な面からなる一般的なリチウム箔に限定されることはない。例えば、メッシュ状等の微細孔等が設けられたリチウム箔100や、リチウム繊維からなる不織布等からなるリチウム箔100であってもよい。
以上の構成のリチウムイオン電池10は、充電状態で高温(例えば60℃以上)環境に保存しても、微小短絡が発生することが無く、自己放電量が低く抑制され得る。したがって、例えば、電池10を構築した後、初期コンディショニング充電を行った状態で、高温エージング処理等の高温での保存に好適に供することができる。すなわち、例えば、下記のコンディショニング処理とその後に行う高温エージング処理とを、短時間で好適に実施することができる。
[コンディショニング処理]
コンディショニング処理は、電池の性能を安定化させるために行われる充放電であって、その条件は特に制限されない。例えば、適切な電流密度で一回あるいは複数回の充放電を行うことが例示される。
[高温エージング処理]
高温エージング処理は、典型的には上記コンディショニング処理に引き続き、あるいは、上記コンディショニング処理を行わずに、60℃以上の高温温度域に電池を保持する処理である。かかる高温エージング処理は、典型的には、まず、正極電位が溶解の対象である不可避的に混入される金属異物の酸化還元電位よりも高い電位となるよう予備充電を行った後、その充電状態のままで所定の時間保持するものとすることができる。例えば、金属異物として銅(Cu)の溶解を行う場合には、電池電圧をCuの酸化還元電位である3.8V以上とすることができ、例えばエージング処理中の電圧降下を見越して3.9V以上とすること等が例示される。
また、エージング処理の温度は、50℃以上とすることで、エージング処理中に進行する反応の促進を期待することができる。例えば、捲回電極体20に混入した金属異物の溶解反応を好適に促進することができ、工程時間の短縮と製造コストの低減とを図ることができる。エージング処理の温度は、典型的には60℃を超過する温度とすることができ、好ましくは65℃以上(例えば、65℃を超過する温度)でありうる。さらには、70℃以上(例えば、70℃を超過する温度、80℃程度であり得る。)とすることもできる。エージング処理の温度の上限については特に制限はないものの、二次電池10の構成の安定を保つために、例えば、85℃以下程度とすることが例示される。
なお、かかるエージング処理の時間については、エージング処理の目的や、製造する二次電池10の構成(体格)等を考慮して適宜設定することができる。例えば、電池の体格や、溶解の対象となる金属異物の特性(例えば、大きさ、電解液への溶解性等)等を考慮することができる。このように、エージング処理の時間については一概には言えないものの、例えば、50℃未満程度の温度域で行う従来のエージング処理に要する時間と比較して、1/2〜1/10程度の時間とすることができ、かかる時間を目安としてエージング処理の時間を設定すればよい。
以下、引き続き、好適な実施形態としてのリチウムイオン電池を例にして、ここに開示される非水電解質二次電池について詳細に説明する。
正極30は、上記のとおり、正極集電体32上に、正極活物質層34が形成されている。
正極集電体32としては、従来よりリチウムイオン電池の正極30に適する金属あるいは合金が好適に使用され得る。例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。この実施形態では、正極集電体32には、所定の幅を有し、厚さがおよそ1μmの帯状のアルミニウム箔が用いられている。また、正極集電体32には、幅方向片側の縁部に沿って非塗工部33が設けられている。そしてさらに、正極30の最外周を構成する部分を少なくとも含む正極最外周部分において、正極集電体32の少なくとも捲回外周側となる表面には、正極活物質層34が形成されていない。正極活物質層34は、少なくとも、正極集電体32に設定された非塗工部33と、最外周部分の捲回外周側を除いて、正極集電体32の両面に形成されている。
正極活物質層34は、少なくとも正極活物質を含んでいる。この実施形態では、正極活物質層34は、粒状の正極活物質を主体とし、これとともに導電性を高めるための導電材を含み、これらがバインダによって上記の正極集電体32上に固着されている。かかる正極活物質層34には、正極活物質粒子の間に電解液が染み込み得る空隙が形成されている。
正極活物質としては、リチウムイオン電池10の正極活物質として用いることができる各種の物質を使用することができる。具体的には、正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料を用いることができる各種の物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。このような正極活物質としては、リチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)が好適に用いられ、層状構造の酸化物あるいはスピネル構造の酸化物を適宜選択して使用することができる。例えば、リチウムニッケル系酸化物(代表的には、LiNiO)、リチウムコバルト系酸化物(代表的には、LiCoO)およびリチウムマンガン系酸化物(代表的には、LiMn)から選択される一種または二種以上のリチウム遷移金属酸化物の使用が好ましい。
ここで、例えば、「リチウムニッケル系酸化物」とは、LiとNiとを構成金属元素とする酸化物の他、LiおよびNi以外に他の一種または二種以上の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をNiよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらのいずれについてもNiよりも少ない割合)で含む複合酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の元素であり得る。リチウムコバルト系酸化物およびリチウムマンガン系酸化物についても同様であり得る。
また、組成が、一般式:
Li(LiMnCoNi)O
(前式中のa、x、y、zはa+x+y+z≒1、xyz≠0を満たす。)
で表わされるような、遷移金属元素を3種含むいわゆる三元系のリチウム遷移金属酸化物や、一般式:
xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO
(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす。)
で表わされるような、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等であってもよい。なお、これらのリチウム遷移金属酸化物は、その構成の明確のため上記一般式で示したが、かかる示性式中の遷移金属元素の一部(50原子%未満)が上記に例示したCo,Al,Mn,Cr,Fe…等からなる金属元素群から選択される一種または二種以上の元素で置換されていても良いことは言うまでもない。このようなリチウム遷移金属酸化物は、例えば、具体的には、D50が3〜8μm程度であり、比表面積(BET法による)が0.5〜1.9m/g程度のリチウム過剰遷移金属酸化物を用いるのが好ましい例として示される。正極活物質として、例えば、リチウム過剰遷移金属酸化物や、固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等を用いることで、高出力特性とハイレート特性を兼ね備えたリチウムイオン電池を構築することができる。
なお、本発明の電池においては、たとえ高電位に充電された状態で高温保存されても、正極活物質からの金属成分の溶出が抑えられ、かかる金属成分の局所的な析出による微小短絡の発生が防止されている。したがって、かかる効果は、例えば、高温下で溶出しやすいマンガン(Mn)およびニッケル(Ni)のいずれか一方あるいは両方を含むリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする電池に対しても、同様に発現され得る。したがって、ここに開示される電池においては、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合に、その効果が十分かつ明瞭に発揮されるために好ましい。
さらに、上記正極活物質として一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVから成る群から選択される。)で表記されるポリアニオン型化合物も挙げられる。
なお、本明細書において、D50は、レーザ回折散乱法により測定される粒度分布における、累積50%粒径(体積基準)で表わされる平均粒径を示している。以下、D50と平均粒径は同意で用いる。
このような正極活物質を構成する化合物は、例えば、公知の方法で調製して用意することができる。例えば、目的の正極活物質の組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定の割合で混合し、その混合物を適切な手段によって焼成する。これにより、例えば、正極活物質を構成する化合物としての酸化物を調製することができる。なお、正極活物質(典型的には、リチウム遷移金属酸化物)の調製方法は、それ自体は何ら本発明を特徴づけるものではない。
また、正極活物質の形状等について厳密な制限はないものの、上記のとおり調製された正極活物質は、適切な手段で粉砕、造粒および分級することができる。例えば、平均粒径がおよそ1μm〜25μm(典型的にはおよそ2μm〜15μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属酸化物粉末を、ここに開示される技術における正極活物質として好ましく採用することができる。これにより、所望する平均粒径および/または粒度分布を有する二次粒子によって実質的に構成される粒状の正極活物質粉末を得ることができる。
導電材は、導電性がさほど高くない正極活物質と正極集電体32との間の導電経路を確保する役割を有している。この導電材としては、導電性の良好な各種の導電材料を用いることができる。導電材としては、導電性の良好な各種の導電材料を用いることができる。例えば、炭素粉末や繊維状炭素等のカーボン材料が好ましく用いられる。より具体的には、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末等の炭素粉末や、針状黒鉛、気相成長炭素繊維(VGCF)等の繊維状炭素等であり得る。これらは、一種又は二種以上を併用してもよい。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。
バインダとしては、正極活物質層34の形成の際に使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いて正極活物質層34を形成する際には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマー、また例えば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体やスチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)などのゴム類;などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いて正極活物質層34を形成する際は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリアクリルニトリル(PAN)などのポリマーを好ましく採用することができる。
正極活物質層34は、例えば、上述した正極活物質、導電材およびバインダを、溶媒に混ぜ合わせたペースト状(または、スラリー状等であり得る。)の正極活物質層形成用組成物を調整し、これを正極集電体32に塗布し、乾燥させ、必要に応じて圧延することにより、形成することができる。この際、上記のとおり、正極活物質層34は、正極集電体32の両面の、少なくとも、正極集電体32に設定された非塗工部33と、最外周部分の捲回外周側を除いた部分に形成される。正極活物質層形成用組成物の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例として、典型的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダとして例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極活物質層形成用組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。なお、上記溶媒に替えて、ビヒクルを用いてもよい。
特に限定されるものではないが、正極集電体32の単位面積当たりに設ける正極活物質層34の質量(正極集電体32の両面に正極活物質層34を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜40mg/cm(典型的には10mg/cm〜30mg/cm)程度とすることができる。正極集電体32の両面に正極活物質層34を有する構成において、正極集電体32の各々の面に設けられる正極活物質層34の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、およそ50質量%以上(典型的には50質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%〜95質量%であることが好ましい。正極活物質層に占める導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して、例えばおよそ2質量部〜20質量部とすることができ、通常はおよそ2質量部〜15質量部(例えば2質量部〜10質量部、典型的には3質量部〜7質量部)とすることが好ましい。正極活物質層に占めるバインダの割合は、正極活物質100質量部に対して、例えばおよそ0.5質量部〜10質量部とすることができ、通常はおよそ1質量部〜5質量部(例えば2質量部〜7質量部、典型的には2質量部〜5質量部)とすることが好ましい。
また、上記正極に適宜プレス処理を施すことによって、正極活物質層の厚みや密度を調整することができる。プレス処理後の正極活物質層の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。また、正極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば1.5g/cm以上(典型的には2g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(典型的には4.2g/cm以下)とすることができる。また、正極活物質層の多孔度についても特に限定されないが、例えば、20%以上(典型的には25%以上)であって、40%以下(典型的には35%以下)であるのが好ましい。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
負極50は、負極集電体52上に、負極活物質を含む負極活物質層54を備えている。
負極集電体52としては、負極に適する金属が好適に使用され得る。例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。この例において、具体的には、負極集電体52には、所定の幅を有し、厚さがおよそ10μmの帯状の銅箔を用いている。このような負極集電体52には、幅方向の片側縁端部に沿って非塗工部53が設定されている。負極集電体52に設定された非塗工部53を除いて、負極集電体52の両面に負極活物質層54が形成される。
この実施形態では、負極活物質層54は、粒状の負極活物質を主体として含み、この負極活物質がバインダによって上記の負極集電体52上に固着されている。このように形成された負極活物質層54には、負極活物質粒子の間に電解液が染み込み得る空隙が形成されている。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、これらの炭素材料を非晶質炭素でコートしたもの、または、これらの2種以上を組み合わせた炭素材料等であり得る。例えば、具体的には、D50が8〜11μm程度であり、比表面積(BET法による)が3.5〜5.5m/g程度の、非晶質炭素で被覆された黒鉛を用いるのが好ましい例として示される。
また、負極活物質として、例えば、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物(好ましくは、シリサイドまたは金属酸化物)などを用いるようにしても良い。例えば、負極活物質粒子として、LTO(チタン酸リチウム)を用いることもできる。金属化合物からなる負極活物質については、例えば、炭素被膜によって、金属化合物の表面を充分に被覆し、導電性に優れた粒状体として用いてもよい。この場合、負極活物質層に導電材を含有させなくてもよいし、下記の導電材の配合量を炭素被覆しない場合よりも低減させてもよい。これらの負極活物質の付加的な態様や、粒径等の形態は、所望の特性に応じて適宜に選択することができる。
また、特に限定するものではないが、負極活物質層54には、導電材が含まれていてもよい。導電材は、導電性が高くない負極活物質と負極集電体52との間の導電経路を確保する目的で使用され得る。このような導電材としては、上記正極活物質層における導電材を同様に用いることができる。
負極活物質層54は、典型的には、上記の負極活物質とバインダ、さらに必要に応じて導電材を含む負極活物質層形成用組成物を、上記負極集電体52上に塗工することで形成することができる。
ここで、負極活物質層54のバインダ、溶媒、増粘剤としては、上記正極活物質層34のバインダ、溶媒、増粘剤として例示した材料を同様に用いることができる。
溶媒としては、上記正極活物質層34で用いる水性溶媒および非水溶媒のいずれも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
また、上記正極活物質層34のバインダとして例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、負極活物質層形成用組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
なお、導電材を用いる場合は、その使用量は、負極活物質100質量部に対しておよそ1〜30質量部(好ましくは、およそ2〜20質量部、例えば5〜10質量部程度)とすることが例示される。また、負極活物質100質量部に対するバインダの使用量は、例えば0.5〜10質量部とすることができる。
負極集電体52の単位面積当たりに設けられる負極活物質層54の質量(負極集電体52の両面に負極活物質層54を有する構成では両面の合計質量)は、特に制限されないものの、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることができる。また、負極活物質層の多孔度についても特に制限されないが、例えば、30%以上(典型的には35%以上)であって、50%以下(典型的には45%以下)であるのが好ましい。また、負極集電体52の両面に負極活物質層54を有する構成において、負極集電体52の各々の面に設けられる負極活物質層54の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。負極活物質層54の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。
そして、上記負極に適宜プレス処理を施すことによって、負極活物質層54の厚みや密度を調整することができる。該プレス処理には、例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の公知の各種のプレス方法を採用することができる。プレス処理後の負極活物質層54の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。
また、特に限定するものではないが、上記正極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該正極活物質の質量(g)との積で算出される正極容量(C(mAh))と、上記負極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該負極活物質の質量(g)との積で算出される負極容量(C(mAh))と、の比(C/C)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9(例えば1.7〜1.9)とすることが好ましい。対向する正極容量と負極容量の割合は、電池容量(または不可逆容量)やエネルギー密度に直接的に影響し、電池の使用条件等(例えば急速充電)によってはリチウムの析出を招き易くなる。対向する正負極の容量比を上記範囲とすることで、電池容量やエネルギー密度等の電池特性を良好に維持しつつ、リチウムの析出を好適に抑制することができる。
セパレータ70は、正極30と負極50とを絶縁するとともに、電解質を保持し、その移動を許容する構成部材である。かかるセパレータ70としては、絶縁性を有し、電荷担体としてのリチウムイオンが移動できる程度の微細な細孔を有する多孔質体、不織布状体、布状体等であれば特に制限なく用いることができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。かかる樹脂材料についても本質的には限定されず、従来と同様の樹脂材料を使用することができる。代表的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリアミド(特に好ましくはアラミド)、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドイミド、等が挙げられる。セパレータ70の厚みには厳密な制限はないものの、例えば、10μm〜30μm程度、より好ましくは15μm〜25μm程度の厚みとするのが望ましい。
捲回電極体20は、既に説明したとおり、典型的には、負極シート50と正極シート30を2枚のセパレータ70で絶縁するように積層する。このとき、正極シート30の正極活物質層34の非塗工部33と負極シート50の負極活物質層54の非塗工部53とがセパレータ70の幅方向の両端部からそれぞれ異なる方向にはみ出すように、正極シート30と負極シート50とを幅方向にややずらして重ね合わせる。このように重ね合わせた電極体を負極シート50がより外周側となるように捲回してゆき捲回電極体20とする。なお、かかる捲回電極体20の構築の途中に、上記の帯状領域50Rの負極活物質層54Aにリチウム箔100を配設するのが好ましい。例えば、捲回電極体の巻き終わり時に金属箔を帯状領域50Rの負極活物質層54Aの表面に貼り付けてもよい。このようにして得られた捲回電極体20は、捲回軸WLに対して垂直な方向から押しつぶして拉げさせることによって、扁平型の捲回電極体20とすることができる。
次いで、かかる捲回電極体20を、図2に示すように、電池ケース80に収容する。この図の場合、電池ケース80はいわゆる角型の電池ケースであり、容器本体84と、蓋体82とを備えている。容器本体84は、有底角筒状を有しており、一側面(図では上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体82は、当該容器本体84の開口(上面の開口)に取り付けられ、この開口を塞ぐ部材である。例えば、車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、質量エネルギー効率(単位質量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、この実施形態では、電池ケース80を構成する容器本体84と蓋体82は、アルミニウムやアルミニウム合金などの軽量金属を好ましく採用することができる。これにより質量エネルギー効率を向上させることができる。また、蓋体82には、典型的には、電解液を注液するための注液口86と、電池ケース80内の圧力が所定値を上回った際に解放される安全弁88が設けられている。さらに、蓋体82には、電池ケース80の外部に突出されるように正極外部接続端子40および負極外部接続端子60が取り付けられている。また、正極外部接続端子40および負極外部接続端子60は、電池ケース80の内部の正極集電板42および負極集電板62とそれぞれ接続されている。これら正・負極の外部接続端子40、60および正・負極の集電端子板42、62は、電池ケース80とは電気的に絶縁された状態で固定されている。
図2に示すように、電池ケース80の扁平な内部空間は、捲回電極体20よりも横幅が少し広い。そこで、捲回電極体20は、両端部にはみ出ている正極集電体32の非塗工部33および負極集電体52の非塗工部53を、各々その中心付近で摘まむようにして束ね、蓋体82に固定された正極集電板41および負極集電板61にそれぞれ溶接等の手段により電気的および機械的に接続する。この状態で捲回電極体20をケース本体84の扁平な内部空間に収容することで、捲回電極体20において発生した電気を外部に取り出せるとともに、捲回電極体20の電池ケース80内での位置決めをすることができる。この際、それぞれの材質の違いから、正極集電板42と正極非塗工部33との接続には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、負極集電板62と負極非塗工部53との溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。
捲回電極体20を収容した後、蓋体82によって容器本体84を密閉することができる。蓋体82と容器本体84との合わせ目は、例えば、レーザ溶接によって溶接することで封止することができる。
その後、蓋体82に設けられた注液孔86から電池ケース80内に電解質が注入される。ここで、電解質の注入は、電池ケース80の内部の水分量を低減させるためにドライエアー中で行うのが好ましい。この電解質には、従来のリチウムイオン電池に用いられる非水電解質と同様の一種または二種以上のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解質は、典型的には、支持塩としてのリチウム塩を非水系の溶媒(典型的には、有機溶媒)中に含んだものであって、常温で液状の非水電解質(すなわち電解液)を好ましく使用し得る。
かかる電解質に用いられる非水系の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。
リチウム塩としては、例えば、従来からリチウムイオン電池の非水電解質の支持塩として用いられている公知のリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。例えば、かかるリチウム塩として、例えばLiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiCSO、LiC(SOCF、LiClO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解質は、例えば、上記支持塩の濃度が、0.1mol/L〜5mol/L程度、例えば、およそ0.8mol/L〜1.5mol/L程度の濃度で含有する非水電解液を好ましく用いることができる。なお、かかる液状電解液にポリマーが添加された固体状(ゲル状)の電解液を用いるようにしてもよい。固体状(ゲル状)の電解液は、それ自身をセパレータの代わりとして用いることができる。
電解液には、各種の添加剤を含有させることができる。例えば、過充電防止剤として、酸化電位がリチウムイオン電池の稼動電圧以上(例えば、4.2Vで満充電となるリチウムイオン電池の場合は、4.2V以上)であって、酸化されると大量のガスを発生するような化合物を特に限定なく用いることができる。例えば、4.2Vで満充電状態となるリチウムイオン電池においては、酸化反応電位が4.6V以上4.9V以下の範囲のものが好ましく用いられる。例えば、ビフェニル化合物、シクロアルキルベンゼン化合物、アルキルベンゼン化合物、有機リン化合物、フッ素原子置換芳香族化合物、カーボネート化合物、環状カルバメート化合物、脂環式炭化水素等が挙げられる。より具体的には、ビフェニル(BP)、アルキルビフェニル、ターフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4、4’−ジフルオロビフェニル、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、trans−ブチルシクロヘキシルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミノベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、フェニルフルオライド、4−フルオロフェニルアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ビスターシャリーブチルフェニルカーボネート、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、等が挙げられる。特に、シクロヘキシルベンゼン(CHB)およびシクロヘキシルベンゼン誘導体が好ましく用いられる。使用する電解液100質量%に対する過充電防止剤の使用量は、例えばおよそ0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%程度とすることができる。
この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔86に金属製の封止キャップ87を取り付けて(例えば溶接して)電池ケース80を封止する。これにより、非水電解質二次電池としてのリチウムイオン電池10を製造することができる。
このリチウムイオン電池10においては、(1)負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、(2)捲回電極体の曲面部分で、かつ、(3)電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、(4)幅方向で負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅5cm以内の帯状領域にある負極活物質層の少なくとも一部に、(5)リチウム箔が備えられている。そのため、電池10が充電された際に、正極最外周部分30Xの捲回外周側に配置される正極活物質層34Aのうち、正極非塗工部33が形成された側の幅方向の端部において局所的に電位が上昇することが抑制されている。そのため、例えばエージング処理を60℃以上の高温で行う場合でも、正極活物質から金属成分が溶出するのが抑制しつつ、かつ金属異物の無害化を短時間で実施することが可能とされる。したがって、金属異物に基づく微小短絡と、正極の局所的高電位により生じる微小短絡との発生が防止されている。これにより、かかるリチウムイオン電池10の自己放電が大幅に抑さえられて、より高品質で信頼性に優れたリチウムイオン電池10が実現される。
以上、ここに開示される非水電解質電池についての説明を行ったが、かかる二次電池は、その詳細な構成、形態、容量、用途等は上記の例に限定されない。例えば、上記では、捲回電極体を備える二次電池について図面とともに詳しく説明を行ったが、ここに開示される発明は、積層型電極体においても好適に適用し得る。また、角型の二次電池について説明を行ったが、かかる電池を構成する電池ケースの形状(例えば金属製の筐体や円筒型、ボタン型、ラミネートフィルム構造物)やサイズ、あるいは正負極活物質の構成要素等について特に制限はない。
次に、本発明の一実施例を説明する。ただし、以下の説明は、本発明をかかる具体例に限定することを意図したものではない。
[評価用セルの準備]
評価セルとしての捲回電極体を備えるリチウム二次電池を、以下の手順に従って構築した。
(サンプル1)
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(戸田工業株式会社製)と、導電材としてのCB(電気化学工業株式会社製)と、結着剤としてのPVDF(株式会社クレハ製)との質量比が90:8:2となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を、厚さ15μm、幅110mm、長さ4500mmの正極集電体(アルミニウム箔)上に、幅方向の一方の端部(非塗工部)を残して、片面当たり6mg/cmの塗布量で両面に該組成物を塗布し、乾燥させることで、正極集電体上に幅94mm、厚さ155μmの正極活物質層を備える正極シートを作製した。なお、かかる正極活物質層の幅方向の中央部の多孔度(空隙率)は30%であった。
また、負極活物質としての非晶質炭素被覆黒鉛と、結着剤としてのポリオレフィン系樹脂(PE、三井化学製、S650)と、増粘剤としてのCMC(第一工業製薬製、BSH−6)との質量比が100:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させてペースト状の負極活物質層形成用組成物を調製した。なお、非晶質炭素被覆黒鉛としては、天然黒鉛粉末96質量%に対して、ピッチが4質量%となるようにこれらを混合および含浸させ、不活性雰囲気下、1000℃〜1300℃にて10時間焼成することで作製した、表面が非晶質炭素で被覆された黒鉛(D50が10.5μm)を用いた。この組成物を、厚さ20μm、幅115mm、長さ4700mmの負極集電体(銅箔)上に、幅方向の一方の端部(非塗工部)を残して、片面当たり4mg/cmの塗布量で両面に塗布し、乾燥させることで負極集電体上に長さ100mm、厚さ130μmの負極活物質層を備える負極シートを作製した。なお、かかる負極活物質層の幅方向の中央部の多孔度(空隙率)は40%であった。
セパレータとしては、総厚みが20μmのポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)からなる三層構造の微多孔質シートを基材とし、この基材の両面に耐熱層形成用ペーストを塗布することで用意した、耐熱層(HRL)付きのセパレータを用いた。なお、耐熱層形成用ペーストは、アルミナ(D50:0.9μm)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースCMCとを、これら材料の質量比が、アルミナ:バインダ:増粘剤として、97:2:1となるようにとなるように秤量し、これら材料を水に分散させてペースト状に調製し、これをグラビア塗工装置により基材に塗布した。
上記のとおり作製した正極シートおよび負極シートを、下から、HRL付きセパレータ、負極シート、HRL付きセパレータ、正極シートの順で、かつ、正・負極の互いの非塗工部が反対側の端部から突出するように重ね合わせ、この積層体を負極シートが外周側となるように円筒形の芯材を中心に同心円状に捲回して捲回電極体を構築した。
この捲回電極体の最外周の負極シートの捲回外周側の負極活物質層であって、負極非塗工部が形成されていない側の幅方向の端部の表面に、寸法が4mm×4mm×0.2mmのリチウム箔を貼り付けた。
その後、芯材を抜き去り、図5に示したように、リチウム箔の貼り付け位置が扁平型捲回電極体の曲面部分の頂部<1>となるように、常温下、4kN/cmの圧力で捲回軸に直交する方向で2分間の平板プレスを施すことで、扁平型の捲回電極体とした。
なお、上記寸法のリチウム箔は、扁平型捲回電極体の曲面部分における捲回外周側の面に形成された負極活物質層のうち、負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる負極活物質層の質量に対して10質量%に相当する量である。
扁平型捲回電極体の正極集電体の非塗工部および負極集電体の非塗工部を、リチウム箔貼り付け位置が電池ケースの上方に位置するように、電池ケース蓋体に備え付けられた正極端子および負極端子にそれぞれ溶接により接合した後、扁平型捲回電極体をアルミニウム製の角型の電池ケースに収容して蓋体と電池ケースとを密閉した。そして、この電池ケース内に、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とが体積比3:4:3で混合された混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させた電解液を、注液口から125g注入してリチウム二次電池(サンプル1)を作製した。かかるリチウム二次電池の定格容量は、24Ahである。このリチウム二次電池を計10個用意した。
(サンプル2)
上記サンプル1と同様にして、サンプル2のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔を貼り付けた捲回電極体は、図5に示したように、リチウム箔の貼り付け位置が扁平型捲回電極体の曲面部分であって、曲面部分と平面部分との境界に隣接する位置<2>となるように平板プレスを施すことで作製した。
(サンプル3)
上記サンプル1と同様にして、サンプル3のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、扁平型捲回電極体は、もとより扁平な円筒形の芯材を中心に積層体を捲回することで構築し、平板プレスは施さなかった。その後、図5に示したように、捲回電極体の最外周の負極シートの捲回外周側の負極活物質層であって、曲面部分の頂部の、負極非塗工部が形成されていない側の幅方向の端部の表面<1>に、上記のリチウム箔を貼り付けてから、電池ケースに収容した。
(サンプル4)
上記サンプル3と同様にして、サンプル4のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔は、図5に示したように、捲回電極体の最外周の負極シートの捲回外周側の負極活物質層の曲面部分であって、曲面部分と平面部分との境界に隣接する位置<2>の表面に貼り付けてから、電池ケースに収容した。
(サンプル5)
上記サンプル1と同様にして、サンプル5のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔は、寸法が4mm×4mm×0.4mmのものを貼り付けた。なお、このリチウム箔は、扁平型捲回電極体の曲面部分における捲回外周側の面に形成された負極活物質層のうち、負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる負極活物質層の質量に対して20質量%に相当する量である。
(サンプル6)
上記サンプル1と同様にして、サンプル6のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔は、寸法が4mm×4mm×0.1mmのものを貼り付けた。なお、このリチウム箔は、扁平型捲回電極体の曲面部分における捲回外周側の面に形成された負極活物質層のうち、負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる負極活物質層の質量に対して5質量%に相当する量である。
(サンプル7)
上記サンプル1と同様にして、サンプル7のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、捲回電極体にはリチウム箔を貼り付けなかった。
(サンプル8)
上記サンプル1と同様にして、サンプル8のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔を貼り付けた捲回電極体は、図5に示したように、リチウム箔の貼り付け位置が平面部分<3>となるように平板プレスを施すことで作製した。
(サンプル9)
上記サンプル3と同様にして、サンプル9のリチウム二次電池を10個作製した。ただし、リチウム箔は、図5に示したように、捲回電極体の最外周の負極シートの捲回外周側の負極活物質層であって、平面部分<3>の表面に貼り付けてから、電池ケースに収容した。
上記の通り作製したサンプル1〜9のリチウム二次電池について、以下の手順にて、高温保存後のSOC低下速度を算出することで長期信頼性を評価した。
[容量測定条件]
まず、25℃の温度条件の下、電圧値(正負極端子間の電圧値)が4.1Vになるまで20Aで定電流充電後、定電圧充電に移行し、充電開始から2時間経過後に終止する定電流定電圧(CCCV)充電を行った。次いで、電圧値3.0Vまで24Aで定電流(CC)放電を行った。このとき放電された容量を初期容量(C)とした。また、下記の試験後にも、同様の手順で電池容量を測定した。
[高温保存試験]
上記初期容量測定後の電池に対し、25℃の温度条件の下、電圧値(正負極端子間の電圧値)が4.3Vになるまで20Aで定電流充電し、定電圧充電に移行した後、充電開始から3時間経過後に終止する定電流定電圧(CCCV)充電を行った。その後、各電池を80℃の恒温槽にて3日間保存(高温エージング)した。かかる80℃で保存後の電池容量(C80℃)を、上記の容量測定条件に従って測定した。
[長期保存試験]
上記の高温保存試験後の電池を電圧値4.1Vの満充電状態に充電し、25℃の温度条件の下で100日間保存した。かかる100日間保存後の電池の残存容量(C100D)を、上記の容量測定条件に従って測定した。
[SOC低下速度]
上記の各電池容量の測定結果から、下記式により、SOC低下速度(ΔSOC(%)/25℃100日)を算出した。その結果を、10個の電池の平均値として、下記の表1に示した。
SOC低下速度(%)=(C80℃−C100D)/C×100
Figure 2014165050
[析出物の観察]
上記のSOC低下速度を測定した後のサンプル1〜9の電池を解体し、扁平形状の捲回電極体の最外周層の負極活物質層の表面における析出物の有無を、蛍光X線分析により調べた。その結果、サンプル1,2および5の電池については、最外周層の負極活物質層の表面に析出金属は確認できなかった。一方、サンプル3,4および6の電池については、電池ケースの上方に位置する捲回曲面部分に相当する最外周層の負極活物質層であって、負極非塗工部の無い捲回内周側(すなわち、正極活物質層と対向している側)の端部に、僅かな金属析出を確認した。これに対し、サンプル7〜9の電池については、電池ケースの上方に位置する捲回曲面部分に相当する最外周層の負極活物質層であって、負極非塗工部の無い捲回内周側(すなわち、正極活物質層と対向している側)の端部に、Ni,CoおよびMnの各析出金属が確認され、かかる析出金属が正極表面に達している様子が伺えた。
[評価]
表1のサンプル1とサンプル7の比較から、扁平形状の捲回電極体の最外周の負極の捲回外周側に配置される負極活物質層であって、負極非塗工部が形成されていない側の端部の曲面部分の頂部にリチウム箔を貼ることで、SOC低下速度が大幅に低減されることがわかった。すなわち、かかる電池は、充電状態で高温に保存した後の自己放電速度を低く抑えられることが確認された。これは、以下のような機構によるものであると考えられる。
すなわち、負極活物質層表面の当該箇所に金属リチウムが予め供給されていることにより、充電時に正極最外周層の捲回外周側の正極活物質層の端部から、負極最外周層の捲回外周側の負極活物質層の端部へと、リチウムイオンが拡散することが抑制されて、充電状態の最外周層の捲回外周側の負極活物質層の端部が高電位となるのが抑制される。これに伴い、充電状態において最外周層の捲回外周側の正極活物質層の端部における電位の上昇もが抑制されるため、電池を充電状態で高温に保存した場合でも、正極活物質層(特に正極活物質)からの金属成分の溶出(典型的には、Ni成分の溶出)は抑制される。このため、かかる金属成分の析出により正極最外周層の捲回外周側の正極活物質層の端部と、負極最外周層の捲回内周側の負極活物質層との間に生じていた微小短絡の問題が解消される。
一方の、リチウム箔を貼り付けていないサンプル7の電池においては、正極最外周層の捲回外周側の正極活物質層の正極非塗工部が形成された側の端部が高電位となり、充電状態で高温に保存すると金属の溶出に伴う微小短絡が発生してしまい、SOC低下速度(自己放電速度の指標)が7.0%と高い値となってしまうと考えられる。
なお、サンプル1〜4と、サンプル8および9との比較から、リチウム箔の貼り付け位置は、電池ケース上方に位置する最外周層の曲面部分の端部であればいずれでもよいが、平面部分に貼り付けることではリチウム箔を貼り付けないサンプル7と同様の自己放電特性となり、リチウム箔を貼り付けることによる効果が何ら得られないことが確認できた。
以上のことから、本発明のリチウムイオン電池によると、例えば、SOC低下速度を5%以下(典型的には5%未満)と、従来の構成の約70%程度にまで低下させられることが確認できた。
なお、サンプル1および2と、サンプル3および4との比較から、リチウム箔の貼り付け方により自己放電速度の低減効果に違いがみられることがわかった。すなわち、扁平型の捲回電極体を構築するに際し、サンプル3および4のように、予め扁平形状に形成した捲回電極体にリチウム箔を貼り付けると、リチウム箔と負極活物質層との密着性はとりわけ高いものとはなっておらず、上記の通りのSOC低下速度は5%以下程度である。しかしながら、サンプル1および2のように、捲回電極体を構築し、リチウム箔を貼り付けた状態で扁平にプレスすることで、曲面部分の捲回外周側の表面には周方向に沿って強い引張の応力が発生するため、リチウム箔と負極活物質層との密着性が大幅に高められる。その結果、リチウム箔から負極活物質層へのリチウムイオンの供給が効果的に高められ、自己放電特性を著しく抑制することができる。例えば、SOC低下速度は3%以下(典型的には3%未満)と、従来の構成の約40%程度と、大幅に低下させられることが確認できた。
また、サンプル1、5および6の比較から、リチウム箔の貼り付け量によっても、自己放電速度の低減効果に違いがみられることがわかった。すなわち、リチウム箔の貼り付け量は、少量でも十分な自己放電速度の低減効果が得られるものの、負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる負極活物質層の質量に対して、5質量%とするよりは、5質量%を超える量(例えば、10質量%程度かもしくはそれ以上)とすることで、確実かつ効果的に自己放電速度の低減効果を得ることができる。つまり、10質量%以上のリチウム箔を貼り付けることで、充電時の当該負極端部のリチウム濃度を高めて負極電位の上昇を抑え、結果として正極からの金属の溶出を押さえられることが確認できた。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
10 非水電解質二次電池(リチウムイオン電池)
20 捲回電極体
30 正極
32 正極集電体
33 正極非塗工部
34 正極活物質層
30X 正極最外周部分
34A 捲回外周側の正極活物質層
34B 捲回内周側の正極活物質層
40 正極端子
42 正極集電板
50 負極
52 負極集電体
53 負極非塗工部
54 負極活物質層
50X 負極最外周部分
50R 帯状領域
54A 捲回外周側の負極活物質層
54B 捲回内周側の負極活物質層
60 負極端子
62 負極集電板
70 セパレータ
80 電池ケース
82 蓋体
84 容器本体
86 注液口
88 安全弁
100 リチウム箔
WL 捲回軸

Claims (9)

  1. 捲回電極体が電池ケースに収容されている非水電解質二次電池であって、
    前記捲回電極体は、
    正極集電体上に長手方向に直交する幅方向の一方の端部を残して正極活物質層が備えられた正極と、負極集電体上に長手方向に直交する幅方向の一方の端部を残して負極活物質層が備えられた負極とが、前記活物質層の形成されていない正極非塗工部および負極非塗工部が互いに前記幅方向の反対側の端部に突出された状態でセパレータを介して積層されるとともに、前記負極が外周側に位置するよう捲回されており、
    前記負極の最外周を構成する負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、前記捲回電極体の曲面部分で、かつ、前記電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、前記幅方向で前記負極非塗工部が形成されていない側の端部を含む前記負極活物質層の表面の少なくとも一部に、リチウム箔が貼り付けられている、非水電解質二次電池。
  2. 前記リチウム箔は、前記幅方向で前記負極非塗工部が形成されていない側の端部を含み、該端部から幅5cm以内の帯状領域内にある前記負極活物質層の表面にのみ貼り付けられている、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記リチウム箔の質量は、前記負極最外周部分の捲回外周側に配置されるとともに、前記捲回電極体の曲面部分で、かつ、前記電池ケースの上下方向の上方に位置する負極活物質層であって、前記負極非塗工部が形成されていない側の端部から幅1cmの領域に含まれる前記負極活物質層の質量に対して少なくとも10質量%である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記捲回電極体は、
    当該捲回の軸となる捲回軸に直交する一の方向に拉げさせた形状を有する扁平型捲回電極体であって、
    前記捲回軸が前記電池ケースの横方向で、かつ、前記捲回軸に直交する断面における長手方向が前記電池ケースの上下方向となるよう収容されており、
    ここで、
    前記負極最外周部分は、前記捲回軸に直交する断面における長手方向に略平行な平面部分と、かかる平面部分をつなぐ曲面からなる曲面部分とから構成されており、
    前記曲面部分のうちの前記電池ケースの上方に配置される曲面部分の前記帯状領域にある前記負極活物質層の表面の少なくとも一部に、前記リチウム箔が貼り付けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記電池ケースの上方に配置される曲面部分の頂部を含む表面に、前記リチウム箔が貼り付けられている、請求項4に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記リチウム箔は、前記曲面部分における前記負極活物質層の表面の前記曲面に沿った方向に発生した引張応力に基づき、前記曲面の曲率中心方向に作用する密着力により、前記負極活物質層の表面に密着した状態で貼り付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記リチウム箔は、同心円状に捲回されてなる捲回電極体に貼り付けられた後、該倦回電極体が扁平型捲回電極体に成形されることにより、前記負極活物質層の表面に密着した状態で貼り付けられている、請求項6に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記正極活物質層は、正極活物質として、マンガンおよびニッケルのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記リチウム箔は、1cm以上25cm以下の面積のものが、1枚または2枚以上貼り付けられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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