JP2014164935A - 圧着端子の製造方法及び圧着端子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電線の抜けを防止すること。
【解決手段】圧着端子(1)の形状に合わせて導電性の基材を打ち抜き、打ち抜いた基材を曲げて、電線と圧着接合される圧着部(30)を有する圧着端子(1)を製造する圧着端子の製造方法であって、打ち抜いた基材を曲げる前に、圧着部(30)における電線との接触領域(33)に深さが3〜15μmの圧痕(35)を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気導通を担う圧着端子の製造方法及び圧着端子に関する。
近年、自動車の燃費向上のために各構成部品の軽量化が求められている。そのため、自動車内のワイヤーハーネスなどに使用される電線の芯線として、一部の芯線には銅又は銅合金よりも軽量なアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられることがある。アルミニウム又はアルミニウム合金電線(以下、「アルミニウム電線」という)の先端に接続される圧着端子は、通常、金属材料が使用されるので、電線の終端接続部ではこれらの接続を適切に行うことが必要となる。
しかしながら、アルミニウム電線芯線の主成分であるアルミニウムと圧着端子を構成する金属(銅やアルミニウム、鋼など)とでは電位差が異なるため、アルミニウム電線の導体と圧着端子の接続部に水分等が付着すると、いずれかの金属の腐食が進んでしまう。例えば、端子に銅を用い、電線導体にアルミニウムを用いる場合、これらの接続部に水分が付着すると、アルミニウムの腐食が顕著となる。接続部の腐食が進行すると、電線及び圧着端子の接続部に割れや接触不良が生じることとなり、製品寿命が短くなるという問題がある。
アルミニウム電線の腐食を防止するために、圧着端子を電線導体と同種材のアルミニウム合金とすることで、従来の銅の圧着端子の場合に生じる異種金属腐食を抑止するものが開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。しかし、アルミニウム合金では強度やばね特性が不十分なため、圧着端子に鉄系素材のばねを組み込んだ構造としている。従って、やはり、ばね材料と端子基材(アルミニウム)間の異種金属腐食を免れることができない。また、組み込む手間が生じるために、製造コストが高くなるという問題がある。
また、アルミニウム電線の導体露出部に銅のキャップを取り付け、電線と圧着端子との接続部を保護するものが開示されている(例えば、特許文献3,4参照)。しかし、キャップの存在によって接続部の体積が増加することや、部品数の増加による圧着不良が生じやすい。また、部品数が多いということは、製造コスト高につながるという問題がある。
そこで、図7に示すように、金属端子の筒状圧着部でアルミニウム電線を被覆するような構造の圧着端子100が用いられる。図7に示した圧着端子100は、雌型端子のコネクタ部110と、アルミニウム電線が挿入された後、圧着によって電線と端子基材とを接続する筒状の筒状圧着部120と、これらのコネクタ部110と筒状圧着部120とを連絡するトランジション部130とを有する。この圧着端子100は筒状圧着部120が筒状であることにより、アルミニウム電線と圧着端子の金属基材の接点に外部からの水分が付着しにくい構造となっている。
特開2004−199934号公報 特開2003−338224号公報 特許第4598039号公報 特許第4616700号公報
しかし、上述のように電線との圧着部を筒状にした場合、ひずみや割れの発生を防止するために強く圧着することは困難である。そのため、筒状圧着部の内面と電線との圧着の度合いが十分でなく、端子と電線導体との接触抵抗が高くなってしまったり、電線が筒状圧着部から抜けてしまったりするおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、端子と電線導体との接触抵抗を低くし、かつ電線の抜けを防止する圧着端子の製造方法及び圧着端子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、圧着端子の形状に合わせて導電性の基材を打ち抜き、打ち抜いた基材を曲げて、電線と圧着接合される圧着部を有する圧着端子を製造する圧着端子の製造方法であって、打ち抜いた基材を曲げる前に、圧着部における電線との接触領域に深さが3〜15μmの圧痕を形成することを特徴とする。
この発明の一態様として、圧痕は、圧着される電線の長手方向に直交する方向に延在していることが好ましい。
この発明の一態様として、打ち抜いた基材を曲げる前に、接触領域に圧痕とは異なる電線係止部を形成することが好ましい。
この発明の一態様として、電線係止部は、圧痕よりも深い溝状に形成することが好ましい。
この発明の一態様として、圧痕の形成後に、圧着部を筒状に形成することが好ましい。
この発明の一態様として、圧着部を筒状に形成した後に、圧着部の端部同士を溶接により接合することが好ましい。
この発明の一態様として、圧着端子を構成する基材が、銅または銅合金からなることが好ましい。
この発明の一態様として、圧着端子を構成する基材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることが好ましい。
また、本発明は、電線と圧着接合される圧着部を有する圧着端子であって、圧着部における電線との接触領域に深さが3〜15μmの圧痕を有することを特徴とする。
この発明の一態様として、圧痕は、圧着される電線の長手方向に直交する方向に延在していることが好ましい。
この発明の一態様として、接触領域に圧痕とは異なる電線係止部を有することが好ましい。
この発明の一態様として、電線係止部は、圧痕よりも深い溝状に形成されていることが好ましい。
この発明の一態様として、基材が、銅または銅合金からなることが好ましい。
この発明の一態様として、基材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることが好ましい。
この発明によれば、端子と電線導体との接触抵抗を低くし、かつ圧着端子からの電線の抜けを防止できる。
本発明の圧着端子の一実施形態を示した斜視図である。 本発明の圧着端子のプレス成形前の板状の状態を示した平面図である。 本発明の圧着端子における圧痕を形成する金型を示した斜視図である。 本発明の圧着端子における筒状圧着部を示した長手方向の一部の断面図である。 本発明の圧着端子に電線を圧着接合した状態を示した斜視図である。 本発明の圧着端子の筒状圧着部の溶接の形態を示した斜視図である。 従来の圧着端子を示した斜視図である。
この発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の実施形態をとり得る。
<圧着端子>
図1は、圧着端子1の斜視図である。図7に示した圧着端子100と同様に、圧着端子1は、雌型端子のコネクタ部20と、筒状に形成された筒状圧着部30と、これらの橋渡しとしてのトランジション部40とを有する。圧着端子1は、導電性と強度を確保するために、導電性の金属材料(銅、アルミニウム、鋼、またはこれらを主成分とする合金等)の基材から製造されている。ただし、圧着端子1の種々の特性を担保するために、例えば、圧着端子1の一部あるいは全部にスズめっきや銀めっき等が施されていても良い。
(コネクタ部)
雌型端子のコネクタ部20は、例えば、雄型端子の挿入タブの挿入を許容するコネクタ部である。このコネクタ部20の細部の形状は特に限定されない。すなわち、圧着端子1は必ずしもコネクタ部20を有さなくてもよく、例えば、コネクタ部20に代えて雄型端子の挿入タブであっても良い。また、他の形態に係る圧着端子の端部であっても良い。本実施形態においては、雌型端子の例を示しているが、どのような接続端部を有する圧着端子1であっても、トランジション部40を介して筒状圧着部30を有していれば良い。
(筒状圧着部)
筒状圧着部30は、圧着端子1と電線(図示せず)とを圧着接合する部位である。その一端はアルミニウム電線等の電線を挿入することができる挿入口31を有し、他端はトランジション部40に接続されている。筒状圧着部30のトランジション部40側は、閉口していることが好ましい。圧着端子1の金属基材(銅、アルミニウム、鋼など)とアルミニウム電線との接点に水分が付着すると、両金属の起電力の差からいずれかの金属(合金)が腐食してしまうので、筒状圧着部30は外部より水分等が侵入しないように筒状に形成されている。なお、圧着端子1と電線の芯線とがアルミニウム同士であっても微妙な合金組成の違いによって、それらの接合部は腐食を生じることがある。圧着端子1の筒状圧着部30は、筒状であれば腐食に対して一定の効果を得られる為、図1に示したように、必ずしも長手方向に対して円筒状である必要はなく、場合によっては楕円や矩形の筒状であっても良い。また、径が一定である必要はなく、長手方向で半径が変化していても良い。
筒状圧着部30では、筒状圧着部30を構成する金属基材とアルミニウム(アルミニウム合金)電線とが機械的に圧着接合されることにより、同時に電気的な接合を確保する。圧着接合は、基材や電線(芯線)の塑性変形によって接合が行われる(かしめ接合)。従って、筒状圧着部30は、かしめ接合をすることができるように肉厚が設計される必要があるが、人力加工や機械加工等で接合を自由に行うことができるので、特に限定されるものではない。
(圧痕)
図2は、圧着端子1の形状にプレス成形する前における圧着端子1の板状の基材の状態を示したものである。筒状圧着部30において、筒状に形成したときに内側となる面(内周面)であって、電線に接触する接触領域33には、複数の圧痕34が形成されている。圧痕34は、例えば、平面視矩形状に形成されており、その深さが3〜15μmの範囲内で形成されている。各圧痕34は、接合される電線の長手方向(延在方向)に直交する方向に直線状に並ぶように形成されている。さらに、圧痕34は、電線の長手方向に直交する方向に複数列にわたって形成されている。
なお、圧痕34は、必ずしも図2に示したような複数の矩形状の凹部である必要はなく、直線状に延びる溝であっても良い。また、円形、楕円形、長円形、あるいは、菱形や六角形や三角形等の多角形であっても良い。また、圧痕34を溝として形成する場合には、その溝を曲線状に形成したり、直線の溝と曲線の溝との組み合わせ、又は、溝と凹部の組み合わせによって形成しても良い。また、圧痕34は、必ずしも圧着される電線の延在方向(長手方向)に直交する方向に延在している必要はなく、それ以外の方向に延在するように形成されていても良い。
(金型)
図3は、圧痕34を形成する金型2を示したものである。圧痕34は、図3に示すような金型2によって形成される。
金型2は、基材の受け皿となる下型21と、圧痕34を形成するために基材を変形させる上型22とを備えている。
下型21は、筒状圧着部30において、筒状に形成したときに外側となる面であって、接触領域33に対して裏側の面を受ける断面視矩形状の受け溝21aを有している。
上型22は、筒状圧着部30の接触領域33を変形させる突起状の加圧部22aを有している。上型22は、加圧部22aが下型21の受け溝21aに対向するように配置されており、上型22を下型21に接近させて下型21上に載置されている基材に圧痕34を形成することができる。受け溝21a及び加圧部22aの形状は、形成する圧痕の形状、大きさに合わせて作られており、受け溝21a及び加圧部22aの形状を変えることで、圧痕34の形状も自由に変更することができる。
なお、金型2は、圧痕34を形成するために用意されるものであるが、基材を打ち抜く際のプレス機に圧痕34のための型を設け、プレスと共に圧痕34も形成できるようにしても良い。また、領域33に電線係止部(後述する)を形成する場合には、電線係止部を形成する型に圧痕34を形成する型を設け、電線係止部と共に圧痕34も形成できるようにしても良い。
(電線係止部)
図4は、筒状圧着部30の長手方向の断面図の一部を示したものである。筒状圧着部30において、接触領域33には、圧痕34とは別個に電線との接触圧を保つ電線係止部としての電線係止溝35が形成されていても良い。電線係止溝35は、電線の長手方向に直交する方向に延在するように形成されており、複数列にわたって形成されている。電線係止溝35は、圧痕34だけで電気的性能を維持することができ、電線の抜けが十分に防止できる場合には、必ずしも形成する必要はないが、圧痕34と共に接触領域33に形成することで、電線の抜け止め効果をより向上させることができる。電線係止溝35は、セレ−ションとも呼ばれる。電線係止溝35は、例えば、その深さが0.1mm程度で形成されており、圧痕34よりも大きな深さを有している。このように、圧痕34とは異なる深さとすることで、圧痕34だけを形成する場合と比べて、電線との接触圧をより高めることができる。特に、電線がアルミニウム及びアルミニウム合金から作られている場合には、銅及び銅合金と比較すると接触抵抗が低いため、接続に不安がある。そこで、電線係止溝35を設けることで、溝の山によって接圧を大きくすることができる。図4において、電線係止溝35は矩形断面の溝状に形成されているが、他の形状であっても良い。また、電線係止部は、電線係止溝35のような溝ではなく、複数の凹部から形成しても良い。プレス成形のみによって形成するのは難しいが、凸部(突起)のような電線係止溝を設けても良い。
(電線が接合された圧着端子の構造)
図5は、電線を圧着接合した状態の圧着端子1を示したものである。圧着端子1には、アルミニウム又はアルミニウム合金製の電線60が筒状圧着部30によって圧着接合されている。圧着の形態は特に限定されないが、図5では、第一の縮径部38及び第二の縮径部39を有している。通常、圧着接合すると、筒状圧着部30は塑性変形を起こして、元の径よりも縮径されることで、電線60に圧着される。図5においては、第一の縮径部38が、縮径率が一番高くなっている部分である。このように圧着接合を2段階の縮径で行ってもよい。
なお、電線60は、絶縁被覆61と図示しないアルミニウムまたはアルミニウム系合金電線の芯線とからなっている。電線60は裸線であっても良いが、防食の観点から通常は絶縁被覆された電線を用いる。
なお、アルミニウム電線の芯線としては、例えば鉄(Fe)を約0.2質量%、銅(Cu)を約0.2質量%、マグネシウム(Mg)を約0.1質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物かなるアルミニウム芯線を用いることができる。他の合金組成として、鉄(Fe)を約1.05質量%、マグネシウム(Mg)を約0.15質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物のもの、あるいは、鉄(Fe)を約1.0質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物のもの、鉄(Fe)を約0.2質量%、マグネシウム(Mg)を約0.7質量%、シリコン(Si)を約0.7質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物のものなどを用いることができる。これらは、さらにTi、Zr、Sn、Mn等の合金元素を含んでいてもよい。このようなアルミニウム芯線を用い、例えば0.5〜2.5sq(mm)、7〜19本撚りの芯線にして用いることができる。芯線の被覆材としては、例えばPE、PPなどのポリエレフィンを主成分としたものやPVCを主成分としたもの等を用いることができる。
圧着端子1の筒状圧着部30と電線60とを圧着する場合は、専用の治具やプレス加工機等で行う。このとき、筒状圧着部30の全体を縮径させても良いが、筒状圧着部を凹型のように部分的に強加工して圧着する場合もある。
<圧着端子の製造方法>
次に、圧着端子1の製造方法について説明する。
最初に、金属からなる基材(銅合金、アルミ合金、鋼など)を平面展開した圧着端子形状に打ち抜く(一次プレス成形)。
次いで、打ち抜かれた基材における筒状圧着部30の接触領域33に金型2を用いて圧痕34を形成する。この工程を上記の打ち抜き工程時に行っても良い。すなわち、圧痕34の形成は、圧着端子1の形状に曲げ加工(二次プレス成形)する前であれば、その順序は限定されない。より具体的には、圧痕34の形成と同時、あるいは、圧痕34の形成の前後に電線係止溝35を形成することができる。上述したように、電線係止溝35の形成は任意であるが、圧痕34と共に形成することで電線の抜け止め効果を向上させることができる。
次いで、曲げ加工によってコネクタ部20や筒状圧着部30を形成する。この時、筒状圧着部30は平面からの曲げ加工ではC字型断面となっている。
次いで、筒状圧着部30の開放部分を溶接によって接合し、筒状の筒状圧着部30を形成する。開放部分の接合は、ファイバレーザによるレーザ溶接によって接合することが好ましい。銅及び銅合金はレーザ光照射による熱吸収効率が悪いため、溶接幅を細くできなかったり、熱影響部の幅を狭くできなかったりする場合があるが、ファイバレーザ光のようなエネルギー密度が高いレーザ光を用いることで、この課題は克服される。アルミニウム及びアルミニウム合金でもファイバレーザでの溶接が可能である。
なお、圧着端子1は、異なる溶接手段によって筒状圧着部30が形成されていても良い。
また、ドリル等での切削によって筒状圧着部30を製造することも可能である。
図6は、圧着端子1の製造過程における状態を模式的に表した図である。図中のFLはファイバレーザ溶接装置を表している。溶接装置FLから発せられたファイバレーザ光Lが筒状圧着部30の未溶接部37を溶接するように照射されている。
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
圧着端子1の基材として、古河電気工業製の銅合金FAS−680を用いた。FAS−680の合金組成は、ニッケル(Ni)を約2.3質量%、シリコン(Si)を約0.6質量%、スズ(Sn)を約0.15質量%、亜鉛(Zn)を約0.5質量%およびマグネシウム(Mg)を約0.1質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。なお、その他の銅合金として、銅−鉄系合金、銅−ニッケル−シリコン系合金、銅−クロム系合金、銅−ジルコニウム系合金、銅−スズ系合金、銅−亜鉛系合金、銅−マグネシウム系合金、銅−ニッケル−スズ系合金などの銅合金全般を用いることもできる。
アルミニウム電線の芯線は、線径0.43mmのものを用いた。合金組成は、鉄(Fe)を約0.2質量%、銅(Cu)を約0.2質量%、マグネシウム(Mg)を約0.1質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物である。MSAlを用い2.5sq(mm)、19本撚りの電線にした。
圧痕34は、筒状圧着部30を溶接接合する前の打ち抜き工程時(一次プレス成形時)に、接触領域33に金型2により形成した。
形成された圧痕34の深さ(圧痕深さ)は、筒状圧着部30を溶接する前に光学顕微鏡にて観察し、測定した。この時の観察倍率は、100〜1000倍で、少なくとも50mm以上の領域を観察し、実測値の平均を算出した。
実施例1においては、圧痕34の平均深さが4μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その後、圧着端子の形状にプレス成形して筒状圧着部30を筒状に形成し、開放部分の溶接接合を行った。そして、電線を挿入口31から挿入し、筒状圧着部30の圧着を行った。圧着端子1は、オスタブ幅2.3mmのオスメス嵌合端子を作製した。
評価は、以下の2点の評価項目に基づいて行った。
(1)圧着端子の圧着部強度の評価
電線を圧着端子1に圧着した後、端子側と電線側とを50mm/minで引っ張り、電線が圧着端子1から抜けるときの荷重が電線強度の3/4以上であれば合格(表1において“合”と記載)、3/4未満であれば不合格(表1において“否”と記載)とした。
(2)接触抵抗の評価
端子を嵌合し、塩水噴霧試験(5%NaCl水、96時間)を行った後に、接触抵抗を測定した。
オスメス端子が嵌合したときの圧着端子1の両端の接触抵抗が3mΩ未満であれば合格(表1において“○”と記載)、なかでも1mΩ未満であれば優良(表1において“◎”と記載)、3mΩ以上であれば不合格(表1において“×”と記載)とした。
これらの評価項目に基づく結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例2においては、圧痕34の平均深さが7μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例3においては、圧痕34の平均深さが10μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例4においては、圧痕34の平均深さが12μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例5においては、圧痕34の平均深さが7μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35を形成した。電線係止溝35の形状は電線円周方向を長手となるように溝とした。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例6においては、圧痕34の平均深さが10μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35を形成した。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1として、圧痕34も電線係止溝35も形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例2においては、圧痕34の平均深さが1μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例3においては、圧痕34の平均深さが25μmとなるような条件で圧痕34を形成した。また、電線係止溝35は形成しなかった。
その他は実施例1と同様の形状の圧着端子1を構成し、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
Figure 2014164935
(評価結果)
表1から明らかなように、圧痕深さの平均が3〜15μmの範囲内に収まっている場合には、電線係止溝35の形成の有無にかかわらず、圧着端子1の圧着部強度の評価及び接触抵抗は良好なものとなった。なかでも、圧痕34と共に電線係止溝35を形成した方が、接触抵抗においてより優れた圧着端子1であることがわかった。
一方、圧痕深さの平均が3μm未満である場合には、圧着端子の圧着部強度の評価及び接触抵抗の双方で良くなかった。これは、圧痕34が小さすぎて、電線の抜け落ちを止めることができなかった上、電線との接触が弱いために電気的導通が好適に図れなかったからである。
また、圧痕深さの平均が15μmを遥かに超えている場合には、圧着端子の圧着部強度の評価は良かったものの、接触抵抗の評価が良くなかった。これは、圧痕34が大きすぎて電線との接触面積が小さくなり、接触抵抗が上がってしまったからである。
このように、筒状圧着部30における電線との接触領域33に深さが3〜15μmの圧痕34を形成することで、圧着端子1から電線が抜けにくく、接触抵抗も小さくすることができた。
1 圧着端子
20 コネクタ部
30 筒状圧着部
31 挿入口
33 接触領域
34 圧痕
35 電線係止溝(電線係止部)
38 第一の縮径部
39 第二の縮径部
40 トランジション部
60 電線
61 絶縁被覆
FL ファイバレーザ溶接装置
L ファイバレーザ光

Claims (14)

  1. 圧着端子の形状に合わせて導電性の基材を打ち抜き、打ち抜いた基材を曲げて、電線と圧着接合される圧着部を有する圧着端子を製造する圧着端子の製造方法であって、
    前記打ち抜いた基材を曲げる前に、前記圧着部における電線との接触領域に深さが3〜15μmの圧痕を形成することを特徴とする圧着端子の製造方法。
  2. 前記圧痕は、圧着される電線の長手方向に直交する方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の圧着端子の製造方法。
  3. 前記打ち抜いた基材を曲げる前に、前記接触領域に前記圧痕とは異なる電線係止部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着端子の製造方法。
  4. 前記電線係止部は、前記圧痕よりも深い溝状に形成することを特徴とする請求項3に記載の圧着端子の製造方法。
  5. 前記圧痕の形成後に、前記圧着部を筒状に形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の圧着端子の製造方法。
  6. 前記圧着部を筒状に形成した後に、前記圧着部の端部同士を溶接により接合することを特徴とする請求項5に記載の圧着端子の製造方法。
  7. 前記基材が、銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の圧着端子の製造方法。
  8. 前記基材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の圧着端子の製造方法。
  9. 電線と圧着接合される圧着部を有する圧着端子であって、
    前記圧着部における電線との接触領域に深さが3〜15μmの圧痕を有することを特徴とする圧着端子。
  10. 前記圧痕は、圧着される電線の長手方向に直交する方向に延在していることを特徴とする請求項9に記載の圧着端子。
  11. 前記接触領域に前記圧痕とは異なる電線係止部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の圧着端子。
  12. 前記電線係止部は、前記圧痕よりも深い溝状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の圧着端子。
  13. 圧着端子を構成する基材が、銅または銅合金からなることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の圧着端子。
  14. 圧着端子を構成する基材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の圧着端子。
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