JP2014162985A - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化成処理性が良好な熱延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】熱延鋼板を、質量%で、硝酸濃度が50〜200g/L、塩酸濃度が5〜200g/Lで、硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.01〜1.00であり、液温が20℃〜80℃の硝塩酸溶液に、3〜60秒間、浸漬する。このような処理を行うことで、鋼板表面にSi系酸化物が存在せず、鋼板表面に存在する鉄系酸化物の表面被覆率が85%以下である熱延鋼板が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼板の塗装下地処理として化成処理を行う際に、化成皮膜を鋼板表面に均一に生成することのできる化成処理性に優れた熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
鋼板を自動車ボディ用として用いる場合、鋼板表面を電着塗装などで塗装する。この際、下地処理として化成処理が行われる。化成処理は、鋼板表面を不活性な化成皮膜で覆うことによって、その上に施される塗膜の密着性と耐食性の向上を図るものである。
また、最近では、自動車の軽量化と安全性の観点から自動車ボディ用の鋼板として高強度鋼板が使用される。そして、自動車の足回り部材などには、冷延鋼板よりも安価な熱延鋼板が使用されている。
熱延鋼板の強度を高める方法には種々あるが、成形性を大きく損なわずに高強度化を図る有効な手段としては、Si添加による固溶強化法が挙げられる。しかし、熱延鋼板に多量のSi、特に0.5mass%以上のSiを添加した場合には、スラブ加熱時や熱間圧延時に、鋼板表面にSiOやSi−Mn系複合酸化物等のSi系酸化物が多量に生成することが知られている。このSi系酸化物は、化成処理性を著しく低下させるため、Siを多く含む高強度熱延鋼板は、化成処理性に劣るだけでなく、電着塗装後に、塩温水浸漬試験や、湿潤−乾燥を繰り返す複合サイクル腐食試験のような過酷な腐食環境に曝されると、通常の鋼板に比べて塗膜剥離を起こし易く、塗装後耐食性に劣るという問題がある。
このようなSi含有高強度熱延鋼板が抱える問題点に対して、例えば、特許文献1には、鋼板表面と鋼板内部とのSi濃度比を1.3以下にすることによって、化成処理性の劣化とそれによる塗装後耐食性の劣化を抑制した高強度熱延鋼板が開示されている。なお、この技術では、Si濃度比を上記範囲に制御する手段として、粗圧延と仕上圧延との間で高圧デスケーリングを行う方法、巻取から酸洗までの間にショットブラスト処理等を施す方法、酸洗後に研削を行う方法などを挙げている。
また、特許文献2には、Siを0.5〜3.0%含有する冷延鋼板に対し、冷間圧延後の焼鈍時に生成されるSi−Mn系酸化物を1段回目の酸洗で除去し、1段回目の酸洗で不可避的にできるFe系酸化物を2段回目の酸洗で除去し、塗装後耐食性を改善させる方法が開示されている。
特開平11−50187号公報 特許第4206029号
Si含有量の高い鋼では、スラブ加熱時、熱間圧延時及びコイル巻取り時にSi系酸化物が生成する。このSi系酸化物は塩酸に難溶性であるため、塩酸を用いた酸洗では完全に除去することは難しい。Si系酸化物が除去されずに残った鋼板に対し、塗装下地処理として化成処理が行われた場合、化成皮膜が正常に生成されない「スケ」と呼ばれる部位が存在することになる。このような部位は、塗装後、時間経過に伴い塗膜剥離などの問題が生じる。
上記特許文献1では、(1)粗圧延と仕上圧延との間に衝突圧25kgf/cm2以上の高圧でスケーリングを行うこと、(2)巻取りから酸洗までの間にショットブラスト処理及び/又はテンションレベラあるいはスキンパスで1〜3%程度の軽圧下処理を行うこと、(3)酸洗後に研削を行うこと、これらを単独もしくは適宜組み合わせで行うことで塗装後耐食性を改善する技術が開示されているが、いずれの方法においても鋼板表面粒界に生成するSi系の酸化物を安定して除去することは難しく、設備増強及び増設を伴うため、莫大な設備コスト及びランニングコストがかかる。
上記特許文献2では、酸化性の酸を用いて加熱時に形成されるSi系酸化物の除去を行っているが、硝酸等の酸化性の酸では熱延スケールを効率よく除去することは難しく、良好な耐食性を示すことは困難である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、化成処理性が良好な熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決するべく、熱間圧延後の鋼板に対し、効率良く、かつ、確実にSi系酸化物を除去する酸洗方法について鋭意研究を重ねた。その結果、熱間圧延後の鋼板表面を硝酸と塩酸の混酸を用いて強酸洗することで、鋼板表面に生成されたSi系酸化物を効率良く、かつ、確実に除去できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1] 成分組成が、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.01〜0.80%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.070%以下、S:0.010%以下、Al:0.015〜0.100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を、
質量%で、硝酸濃度が50〜200g/L、塩酸濃度が5〜200g/Lで、硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.01〜1.00であり、液温が20℃〜80℃の硝塩酸溶液に、3〜60秒間、浸漬する酸洗処理を施すことを特徴とする化成処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
[2]さらに、成分組成として、質量%で、Ti:0.30%以下、Nb:0.50%以下、V:0.50%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記[1]に記載の化成処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
[3]前記[1]または[2]に記載の製造方法により製造される熱延鋼板であって、
鋼板表面にSi系酸化物が存在せず、鋼板表面に存在するFe系酸化物の表面被覆率が85%以下であることを特徴とする熱延鋼板。
本発明によれば、化成処理性が良好な熱延鋼板が得られる。また、本発明の製造方法によれば、上記熱延鋼板を、通常の熱間圧延工程及び酸洗工程を経て、酸洗条件を調整するだけで、容易に、かつ、安定的に製造することができる。
さらに、本発明によれば、鋼板表面のSi系酸化物が完全に除去されるため、化成処理性が劣化することがなく、引いては塗装後の塗膜剥離の問題がなくすことが可能となるので、自動車車体の強度部材等に好適に用いることができる。
熱延鋼板標準サンプルNo.aおよびbの鋼板表面の反射電子像写真を示す図 熱延鋼板標準サンプルNo.aおよびbの反射電子像写真のグレー値に対するピクセル数のヒストグラムを示す図
以下に詳細に説明する。なお、以下の説明において、鋼成分組成の各元素の含有量の単位、硝酸濃度および塩酸濃度の単位は「質量%」であり、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
まず、本発明の基本的な技術思想について説明する。
化成処理は、鋼板表面に付着している油を脱脂処理で取り除いた後、化成処理液に所定時間浸漬することで行われる。この処理により、鋼板からFeイオンが処理液中に溶出して化成処理液中の成分と反応し、Fe、Zn、P、Oなどを含む化合物で構成される化成結晶粒の核が多数生じ、それらが成長して鋼板全面を覆う皮膜になる。このとき、10μm以下の微細な化成結晶粒を全面均一に付着させることが必要とされ、この付着状態が悪く、「スケ」と呼ばれる非付着部位が存在すると、塗装時における塗膜の密着不良や、塗装後の耐食性低下といった問題が生じる。
鋼板のSi含有量が高くなると、熱間圧延後の表面スケールにSi系酸化物が多くなり、通常の塩酸酸洗では、鋼板表面に残存しやすい。Si系酸化物が残存した鋼板を化成処理すると、「スケ」と呼ばれる非付着部位が生じやすい。この現象から、Si系酸化物の残存部位では、化成処理時にFeイオンの溶出が遅れ、化成結晶粒の生成反応が遅れ、スケになると考えられる。
発明者らは、上記のような化成処理性の劣化に対応するべく、鋼板の化成処理性を向上させる方法について検討を重ねた。その結果、熱間圧延後の鋼板表面を、強い酸化力を持つ硝酸を用いて強酸洗し、熱間圧延等で生成された鋼板表面のSi系酸化物を除去することが有効であることを見出した。しかし、硝酸の強い酸化力のためにSi系酸化物の除去後に鋼板表面にFe系酸化物を生成してしまい、化成処理液と反応する際に、Feイオンの溶出を阻害することもわかった。そこで、酸化膜破壊効果を持つ塩酸(塩化物イオン)と硝酸とを混合した酸を用いて酸洗したところ、Fe系酸化物の生成を抑制し、スケの発生を抑制できることを見出した。以上より、本発明では、塩酸(塩化物イオン)と硝酸とを混合した酸溶液(以下、硝塩酸溶液と称す)を用いて、熱延鋼板を酸洗する。なお、本発明において、Si系酸化物を除去するとは、GDS(グロー放電発光分光分析)で鋼板表面を深さ方向に分析したときに、SiやOのピークが現れないレベルまで酸洗してSi系酸化物層を除去することをいう。また、Si系酸化物とは、数十nmの厚みで存在する膜状のSiや酸化物中に占めるSiの濃度が比較的高いSi−Mn系複合酸化物などである。Fe系酸化物とは、酸化物を構成する酸素以外の元素のうちで鉄の原子濃度比が30%以上である鉄主体の酸化物である。このFe系酸化物は、鋼板表面上に不均一な厚さで存在しており、数nmの厚さで均一かつ層状に存在する自然酸化皮膜とは異なる酸化物である。なお、鋼板表面に生成したFe系酸化物は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察や電子線回折によるディフラクションパターン(回折図形)の解析結果から非晶質であることがわかっている。
Si系酸化物のうち、Si−Mn系複合酸化物は酸に容易に溶解するが、SiOは難溶性を示す。これに対して、酸洗液として硝酸を用いることで、このSiOを除去することが可能となる。鋼板表面のSi系酸化物を地鉄ごと取り除くことができる。
鋼板表面の酸化を抑制し、化成処理における「スケ」を抑制するには、硝塩酸溶液を用いて酸洗を行い、鋼板表面へのFe系酸化物の生成を抑制し、Fe系酸化物による鋼板表面の被覆率を85%以下に低減することが重要である。そのためには、硝塩酸溶液を用いて酸洗を行うに際し、硝酸濃度を適正範囲に制御して硝酸による酸化を抑制するとともに、酸化膜破壊効果のある塩酸を所定の比率で混合することが重要である。
強酸である硝酸を用いて地鉄ごと酸化物層を除去する強酸洗を行うためには、硝酸濃度を50g/L以上とする必要がある。しかし、硝酸は強酸化性の酸でもあるため、溶出したFeが酸化してFe系酸化物を生成して鋼板表面に析出し、却って化成処理性に悪影響を及ぼす。そこで、上記弊害を抑制するため、硝酸濃度は200g/L以下に抑える必要がある。以上より、硝酸濃度は50g/L以上200g/L以下の範囲とする。好ましくは75〜150g/Lの範囲である。
しかし、硝酸濃度を上記範囲に制限しただけでは、硝酸酸洗により鋼板表面に生成するFe系酸化物の表面被覆率を安定して85%以下に制御することは難しい。そこで、本発明では、Fe系酸化物の鋼板表面への生成をより確実に抑制するため、硝酸濃度を上記範囲に制限することに加えて、さらに、酸化膜破壊効果のある塩化物イオン、つまり塩酸を塩酸濃度で5〜200g/Lの範囲で、かつ、硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.01〜1.00の範囲となるよう混合する。塩酸濃度が5g/L未満、比率Rが0.01未満では、上記Fe系酸化物の生成抑制効果が小さく、一方、塩酸濃度が200g/Lを超える、または、比率Rが1.00を超えると、酸洗減量が低下しSi系酸化物層を除去することができなくなる。
硝塩酸溶液の温度は20〜80℃、浸漬時間は3〜60秒の範囲である。硝塩酸溶液の温度が20℃以上、かつ酸洗時間が3秒以上であれば、焼鈍時に生成された鋼板表層のSi系酸化物層を十分に除去することができ、化成処理性や塗装後耐食性を低下させることがない。一方、硝塩酸溶液の温度が80℃以下、かつ60秒以下であれば、酸洗過剰のために、鋼板表面が粗くなって化成処理皮膜が不均一となったり、Fe系酸化物による表面被覆率が高くなったりすることがないので、化成処理性を低下させることがない。
次に、本発明の熱鋼板の成分組成を限定する理由について説明する。
本発明において、鋼板の成分組成は自動車の足回り部材などに使用できる高強度を有し、さらに良好な化成処理性も有するように限定される。
C:0.03〜0.15%
Cは0.03%未満では伸びが低くなる。一方で、Cを過剰に添加すると溶接性が低下するが、0.15%以下であれば大きな低下は生じない。以上より、Cは0.03%以上0.15%以下とする。
Si:0.01〜0.80%
高強度化を図るためにはSiの添加が非常に有効である。しかし、0.80%を超えると熱間圧延時の加熱により、Si系酸化物が多く生成され、酸洗性が低下する。以上より、Siは0.01%以上0.80%以下とする。
Mn:0.50〜3.00%
Mnは0.50%未満では伸びが低くなり、3.00%を超えると酸洗性が低下する。また、Mnの過剰な添加は原料コストの上昇を招くため望ましくない。以上より、Mnは0.50%以上3.00%以下とする
P:0.070%以下
Pは、スポット溶接性を害する元素であるので、0.070%以下とする。
S:0.010%以下
Sは、鋼中に不可避的に混入してくる不純物元素であり、MnSとして析出し、鋼板の伸びフランジ性を低下させる有害な成分でもある。伸びフランジ性を低下させないために、Sは0.010%以下とする。
Al:0.015〜0.100%
Alは、製鋼工程で脱酸剤として添加される元素であり、また、伸びフランジ性を低下させる非金属介在物をスラグとして分離するのに有効な元素であるので、0.015%以上とする。しかし、過剰な添加は原料コストの上昇を招くので、Alの上限は0.100%とする。
本発明の鋼板は、上記成分のほかに必要に応じて次の成分を単独または組み合わせて含有することができる。
Ti:0.30%以下、Nb:0.50%以下、V:0.50%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Ti、NbおよびVは、炭化物や窒化物を生成し、フェライトの成長を抑制して組織を微細化し、成形性、特に伸びフランジ性を向上させる元素である。これらの効果を得るため、含有する場合は、Ti:0.30%以下、Nb:0.50%以下、V:0.50%以下とする。
以上のように、本発明の熱延鋼板は、上記からなる成分組成を有し、鋼板表面にSi系酸化物が存在せず、鋼板表面に存在するFe系酸化物の表面被覆率が85%以下であることを特徴とする。表面被覆率が85%超えでは、塗装下地処理である化成処理結晶が正常に形成されないため塗装後耐食性が劣化してしまう。
なお、Fe系酸化物の表面被覆率は、以下のようにして求めることができる。極表層情報を検出できる極低加速電圧の走査型電子顕微鏡(ULV−SEM)を用いて酸洗後の鋼板表面を加速電圧2kV、作動距離3.0mm、倍率1000倍程度で5視野程度を観察し、エネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて分光分析し、反射電子像を得る。この反射電子像を画像解析ソフト、例えば、Image Jを用いて2値化処理して黒色部の面積率を測定し、各視野の測定値を平均化することでFe系酸化物の表面被覆率を得ることができる。なお、上記極低加速電圧の走査型電子顕微鏡(ULV−SEM)としては、例えば、SEISS社製;ULTRA55を、また、エネルギー分散型X線分光器(EDX)としては、例えば、Thermo Fisher社製;NSS312Eを挙げることができる。
ここで、上記2値化処理の閾値について説明する。表1に示す鋼NoXの鋼スラブを、表2に示す条件で、熱間圧延し、板厚が1.8mmの熱延鋼板とし、次いで、表3に示す条件で、酸洗し、水洗し、乾燥した後、鋼板表面のFe系酸化物量が異なるNo.aおよびNo.bの2種類の熱延鋼板を得た。
次いで、上記No.aの熱延鋼板をFe系酸化物の多い標準サンプル、No.bの熱延鋼板をFe系酸化物の少ない標準サンプルとし、それぞれの鋼板について、走査型電子顕微鏡を用いて前述した条件で反射電子像を得た。図1は、No.a、bの鋼板の反射電子像写真を、また、図2は、No.a、bの鋼板の上記反射電子像写真のグレー値に対するピクセル数のヒストグラムをそれぞれ示したものである。本発明では、図2に示したNo.a、bのヒストグラムの交点(X点)に対応するグレー値(Y点)を閾値として定めた。因みに、上記閾値を用いて、No.a、bの鋼板のFe系酸化物の表面被覆率を求めたところ、No.aの鋼板は94.1%、No.bの鋼板は70.9%であった。
次に、本発明の熱延鋼板の製造方法について説明する。
本発明の熱延鋼板の製造方法は、上記成分組成からなる鋼素材(スラブ)を加熱後、熱間圧延し、その後、酸洗する。この時、酸洗は、質量%で硝酸濃度が50〜200g/L、塩酸濃度が5〜200g/Lで硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.01〜1.00であり、液温が20℃〜80℃の硝塩酸溶液に、3〜60秒間浸漬して行う。このような酸洗処理をすることで、鋼板表面にSi系酸化物が存在せず、かつ、鋼板表面に生成するFe系酸化物の表面被覆率を85%以下にできる。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
表4に示す成分組成の熱延鋼板を、表5に示す条件で酸洗したのち、化成処理性を判定した。熱間圧延は、スラブ加熱温度は1200℃、熱間圧延仕上げ温度は870℃で実施した。次いで、巻き取り温度430℃で巻き取り、室温まで冷却した。酸洗は、作成した試料を70mm×150mmサイズの小片とし、実験用の酸洗槽に浸漬して行った。
化成処理は、上記小片を脱脂後、表面調整液に30秒浸漬した後、化成処理液(日本パーカライジング(株)製、PB−SX35)に浸漬して120秒の処理を行い、水洗、乾燥した。化成処理性は、化成皮膜を施した鋼板表面のSEM観察によるスケの有無、錆発生の有無で判断した。また、鋼板の機械特性(TS)を示した。以上により得られた結果を表6に示す。
表6において、本発明例のNo.1〜5、10〜17は、いずれも化成処理後のスケが無く、錆発生も無く、優れた化成処理性が得られた。
本発明例の酸洗条件は、表5のA〜Eが示すように硝酸濃度が50〜200g/L、塩酸濃度が5〜200g/L、硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.03〜1.00、温度が45〜55℃、酸洗時間が30〜40秒であり、このような酸洗条件で酸洗を行うことで、Fe系酸化物の表面被覆率は、表6に示すように85%以下であり、スケの発生も無く、錆発生も無く良好な化成処理性を示した。また、高い強度を有していた。
比較例のNo.6〜9は、酸洗条件が本発明範囲から外れている。酸洗条件がF、H、IのNo.6、8、9はSi系酸化物が残存し、スケが発生した。また、酸洗条件がGのNo.7はSi系酸化物は除去されているものの、硝酸濃度が高いため、Fe系酸化物の表面被覆率が85%を超え、同じくスケの発生が確認された。
比較例のNo.18〜23は、鋼板の成分が本発明範囲から外れている。No.18は、C量が高く、錆が発生した。No.19はSi量が高く、スケが有り、錆が発生した。No.20はMn量が高く、No.21はP量が高く錆が発生した。No.22はS量が低く、No.23はAl量が低く、錆が発生した。
本発明により製造される熱延鋼板は、化成処理性に優れるだけでなく、高い強度を有しているので、自動車部材の素材の他、家電や建築などの分野で同様の特性が求められる部材の素材としても好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 成分組成が、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.01〜0.80%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.070%以下、S:0.010%以下、Al:0.015〜0.100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を、
    質量%で、硝酸濃度が50〜200g/L、塩酸濃度が5〜200g/Lで、硝酸濃度に対する塩酸濃度の比R(HCl/HNO)が0.01〜1.00であり、液温が20℃〜80℃の硝塩酸溶液に、3〜60秒間、浸漬する酸洗処理を施すことを特徴とする化成処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  2. さらに、成分組成として、質量%で、Ti:0.30%以下、Nb:0.50%以下、V:0.50%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の化成処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造される熱延鋼板であって、
    鋼板表面にSi系酸化物が存在せず、鋼板表面に存在するFe系酸化物の表面被覆率が85%以下であることを特徴とする熱延鋼板。
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