JP2014162550A - 光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学用シートのフロント加工およびバックコート加工において、加工適正に優れ、加工後のシートの平面性が非常に良好で、高品質なシートを安定して提供することができ、歩留りの低下を発生させることなく、ポリエステルフィルムロールが周辺雰囲気中の水分の影響を受けることなく、特にロールからフィルムを巻き出した時のフィルム幅方向両端部における平面性に非常に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 円筒状コアー上に巻かれた光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのロールのフィルム幅方向両端部および両端面全体を、透湿度が30g/m2・24hr(25℃)以下であるラップフィルムと、さらにその上全体を、透湿度が5.0g/m2・24hr(40℃)以下である防湿性フィルムとで覆ってなることを特徴とする光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの包装体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの包装体に関するものであり、詳しくは、携帯から液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合あり)などに用いるバックライトの構成部材として使用される、拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度上昇シート、複合シート等のベースフィルムに用いられるポリエステルフィルムロールの包装体に関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用シートに多く使用され、携帯からLCDのバックライトの構成部材である拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度上昇シート、複合シート、反射シート、また、タッチパネル等のITO加工の基材であるハードコートフィルムのベースフィルムや、反射防止用ベースフィルム、携帯、ディスプレイ等の防爆用ベースフィルム、PDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられている。
このバックライトを構成する部材における光学用シートは、片面に、拡散、プリズムやマイクロレンズなどの機能を有するフロント加工、その加工面とは反対面側に、各シート同士の貼り付きを防止したり、カールや熱によるタワミやウネリを防止することを目的として剛性を持たせたり、また光拡散機能を持たせたりすることを目的として、静防性、滑り性、光拡散性などの機能を有するバックコート加工が行われるが、この時、ベースとなるフィルムの平面性が良好な状態でないと、これらフロント加工およびバックコート加工において樹脂(レジン)を均一に塗布することができない、樹脂塗布時にムラ、ヌケ、スジなどが発生する、均一に塗布、加工することができても打ち抜き加工を行った最終製品である光学用シートの平面性が悪くバックライトの構成部材として使用することができない、などの不具合が発生し、生産性や歩留まりが著しく落ちることになるため、光学用シートに用いるフィルムの平面性については、良好な状態であることが必要である。特に、近年では、コスト対応のためポリエステルフィルムロール幅方向両端部に至るまで使用、加工されるため、両端部における平面性についてもフィルム幅方向中央部と同様に良好な状態であることが厳しく求められている。
そのため、フィルム製膜工程において、フィルムの平面性については、高度な管理と制御をして製膜が行われているが、フィルムは、実際に加工(使用)されるまでの間に、製膜後のフィルムを円筒状コアーに巻き取り、包装、梱包後、倉庫で保管、そして、出荷、輸送、納入、納入先の倉庫で保管、の各過程があり、各過程における周辺雰囲気、特に周辺雰囲気中の水分の影響を受けるようになる。
ポリエステルフィルムロールは、これら各過程の周辺雰囲気の影響により、雰囲気中の水分を吸湿し、フィルムが膨張するようになる。この時、フィルムロール最外周部の最表層部については、フィルム幅方向均一に水分を吸湿するようになるため平面性は比較的良好であるが、ポリエステルフィルムロール中巻き部については、周辺雰囲気中にフィルムロール両端面部が接している関係上、両端面部はフィルム幅方向中央部と比較してより多くの水分を吸湿するようになり、フィルム幅方向においてフィルムの膨張率に差が生じ(フィルム幅方向両端部の方がフィルム幅方向中央部と比較して膨張するようになり)、フィルム幅方向両端部においては、長手方向に連続した波状のウネリ(凹凸)状態が発生し(吸湿タルミ)、平面性が著しく悪化するようになる。
この対策として、アルミニウム層を有する防湿フィルムを用いてポリエステルフィルムロール外周全体を被い、周辺雰囲気中の水分のフィルムへの吸湿を防ぐ方法が一般的に行われているが、近年のフィルムへの高品質の要求から、フィルム幅方向両端部における長手方向に連続した波状のウネリ(凹凸)状態(吸湿タルミ)について、僅かな波状のウネリ状態についても発生しないことが強く要求されるようになって来ており、フィルムロール外周全体を防湿フィルムで被った時の密閉性や、防湿フィルムとポリエステルフィルムロールとの間の空間の水分の影響が問題になって来ている。
そこで、除湿剤を防湿フィルムでポリエステルフィルムロール外周全体を被う前にポリエステルフィルムロールに取り付け、防湿フィルムとポリエステルフィルムロールの空間の水分を除去する方法が提案されているが、バックライトを構成する部材である光学用シートなどのように、光学用途、電子部材用途の極端に異物を嫌う用途においては、これら除湿剤の袋の成分がコンタミ源等、異物の原因となる可能性があり、また、除湿剤の袋が破れてコンタミ源となる場合もあり得るため、実用的に好ましい方法ではなかった。さらには、コスト対応の面から多量の除湿剤を用いることができない、などの問題があり、十分な効果を発揮し得なかった。
また、防湿フィルムをチューブ状にし、ポリエステルフィルムロール外周全体を防湿フィルムチューブで被い、チューブ内の空間の空気を吸引し、真空にする方法が考えられるが、防湿フィルムチューブ内吸引における作業性と、所定の真空度に達するまでの吸引時間の問題、また、長期間真空状態を安定的に保持するための防湿フィルムのチューブ形状とチューブ両端部における結束機構の複雑さの問題、さらにはチューブ形状にすることと、チューブ両端部に長時間真空状態を安定的に保持するための結束機構を設けることによるコスト面の問題がある。
また、周辺雰囲気中の水分の源として、円筒状コアー(巻芯)や、フィルムロールを箱包装等で梱包し積載しているパレットが要因としてなることが考えられるため、巻芯については、紙製からプラスチック製に、パレットについては、木製からプラスチック製にする対策も考えられるが、コスト面から必ず事前に回収ルートが問題なく機能するよう整備する必要があること、バックライトを構成する部材における光学用シートにおいては、ポリエステルフィルム幅の要求が5mm単位で都度変化するが、多様なサイズ(幅)のプラスチック製の巻芯を絶えず準備しておくことは実際の生産対応の面において対応することが非常に難しい状況である。
さらに、乾燥工程を設けて、ポリエステルフィルムロールを加工(使用)する前に、ロール自体を所定の条件と時間で乾燥し、フィルム中の水分を除去する方法も提案されているが、大掛かりな乾燥工程が必要になるため、加工コストが高くなるという問題と、緊急で加工する必要がある場合、直ぐにポリエステルフィルムロールを使用することができない、などといった問題がある。
特許第4155806号公報 特開2002−173270号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、携帯電話からLCDの部材、バックライトに使用される光学用シートにおいて、フロント加工およびバックコート加工において加工適正に非常に優れ、また加工後のシートの平面性が非常に良好で高品質なシートを安定して提供することができ、歩留りの低下を発生させることなく、これまでに提案されている包装体と比較して格段に低いコストで作業性にも優れた簡易的な包装体により、ポリエステルフィルムロールが周辺雰囲気中の水分の影響を受けることなく、特にロールからフィルムを巻き出した時のフィルム幅方向両端部における平面性に非常に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムロール包装体によれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、円筒状コアー上に巻かれた光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのロールのフィルム幅方向両端部および両端面全体を、透湿度が30g/m2・24hr(25℃)以下であるラップフィルムと、さらにその上全体を、透湿度が5.0g/m2・24hr(40℃)以下である防湿性フィルムとで覆ってなることを特徴とする光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの包装体に存する。
本発明のフィルムは、携帯電話からLCDの部材、バックライトに使用される光学用シートにおいて、フロント加工およびバックコート加工において加工適正に非常に優れ、また加工後のシートの平面性が非常に良好で高品質なシートを安定して提供することができ、歩留りの低下を発生させることなく、これまでに提案されている包装体と比較して格段に低いコストで作業性にも優れた簡易的な包装体により、ポリエステルフィルムロールが周辺雰囲気中の水分の影響を受けることなく、特にロールからフィルムを巻き出した時のフィルム幅方向両端部における平面性に非常に優れたポリエステルフィルムを提供することができることとなるため、工業的価値は極めて高い。
本発明のポリエステルフィルムロールの包装体は、光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのロールを包装してなる包装体であって、円筒上コアー上に巻かれた光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのロール、該ポリエステルフィルムロールのフィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を被うように巻かれたラップフィルム、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面全体を被うように巻かれた防湿性フィルム、からなるものである。そして、円筒上コアー上に巻かれた光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールのフィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を被うように、ラップフィルムを巻き、その上に、ロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面全体を被うように、フィルム幅と端面の長さと同一長さの防湿性フィルムを巻くことにより製造することができる。
本発明に使用するラップフィルムは、一般的に市販されている食品用ラップフィルムである。食材や料理を包んだり、皿など食器を料理ごと包んだりする際に用いられる樹脂フィルムのことであり、対象物とすばやくフィットできる自己粘着性や、伸縮性および柔軟性を兼ね備えている。特に、ラップフィルム同士を接触させると接着性を示すため、ラップフィルムでロール端面部を被う際は、まずはフィルムロール最表層の両端部の外周を被い、ここを基軸として(接着させて)ロール端面全体を被うと、作業性が格段に向上するが、被い方は他の方法であってもよい。また、このラップフィルムの接着性が、ラップフィルムで被った部分の密閉性向上にも繋がり、優れた防湿効果を発揮することとなる。また、食品用ラップフィルムは、ポリエチレン製、ポリ塩化ビニリデン製およびポリ塩化ビニル製や、ナイロンとポリエチレン製、およびポリエチレンとポリプロピレン製などの複合のものなどさまざまなものがあり、どれを用いてもよいが、透湿度が30g/m・24hr(25℃)以下である必要があり、好ましくは25g/m・24hr(25℃)以下である。透湿度が30g/m・24hr(25℃)を上回ると、ポリエステルフィルムロール端面部に巻かれたラップフィルム外側の周辺雰囲気中の水分の影響により、ロール端面部のフィルムが吸湿して膨張し、長手方向に波状のウネリ(凹凸)が発生してフィルムの平面性が不良となり、樹脂塗布時に加工ムラや樹脂塗布加工を行い打ち抜き加工を行った光学用シートの平面性が不良となるため、好ましくない。また、ラップフィルムによるフィルム幅方向両端部およびロール端面部被いについては、フィルム幅方向両端部以外のフィルム幅方向胴体の部分についても被っても問題はないが、胴体の部分について特別被う必要はなく、少しでもコスト対応の面から被わなくてもよい。
本発明で使用する防湿性フィルムとは、アルミニウム箔をポリエチレンフィルムにラミネートしたものや、アルミニウム蒸着が施されたポリエステルフィルムなど、透湿度が極めて低いフィルムを指す。透湿度については、5.0g/m・24hr(40℃)以下のものであり、好ましくは3.5g/m・24hr(40℃)以下、さらに好ましくは2.0g/m・24hr(40℃)以下である。透湿度が、5.0g/m・24hr(40℃)を上回ると、防湿性フィルムの外側の周辺雰囲気中の水分が、ロール端面部がラップフィルムで被われた製品フィルムロールと防湿性フィルムとの間の空間に浸入しがちとなり、その結果、特にラップフィルムで被っていないフィルム幅方向中央部の、ロール最表層部より数m中巻き部のフィルムについても吸湿が進むようになるが、吸湿箇所にムラが生じるためフィルム膨張率の差による平面性不良が発生し、加工時にムラが発生したり、加工後の光学用シートの平面性が不良となったりして、バックライトの構成部材として用いることができなくなる。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の20モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、および/またはジオール成分の20モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよい。またそれらの混合物であってもよい。
本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とジオールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用して良いが、好ましくはアンチモン化合物の量を零またはアンチモンとして100ppm以下にする事によりフィルムのくすみを低減したものが好ましい。
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜4μmが好ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、4μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、透明性に劣るようになってしまう。
さらに、ポリエステル中の粒子含有量は、フィルムを構成する全ポリエステルに対し通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させても良い。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常50〜300μmの範囲である。
本発明のフィルムの全光線透過率は、89.5%以上が好ましい。本発明のフィルムは、その優れた光透過性を有するために光学用途に広く用いられるが、全光線透過率が89.5%未満の場合には、光学用としては不適となる。
本発明のフィルムは、フィルムヘーズが通常2.0%以下、好ましくは1.8%以下である。本発明のフィルムは、その優れた透明性を有するために光学用途に広く用いられるが、フィルムヘーズが2.0%を超える場合には、光学用としては不適当となることがある。
本発明のフィルムは、150℃、30分間における加熱収縮率に関して、フィルム長手方向(MD)が通常1.3%以下、好ましくは1.1以下である。また、フィルム幅方向(TD)が通常0.8%以下、好ましくは0.5%以下である。フィルム長手方向(MD)が1.3%、幅方向(TD)が0.8%を超えて大きくなると、特に、近年、携帯電話、LCDなど薄型モデルの傾向にある製品においては、バックライト光源のランプや周辺部品の発熱の影響により、シートを形成しているフィルムの寸法安定性が損なわれ、シートの縁の部分において波状のうねり現象が発生するようになり、画像に歪みやムラが発生して画像品質の劣化の原因となることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、測定時の総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるように複数枚重ね合わせた時の色調 反射法 y値が0.3230以下の範囲であることが好ましい。色調 反射法 y値が0.3230を超える場合には、フィルムの黄色みが強く、ディスプレイ用として使用した場合、画像の色調が劣るようになったり、輝度が低下するなどの点で不適切となったりすることがある。また、加工された光学用シートの間で色調差が発生し、バックライトユニットに各シートを組み込んだ際に、都度、バックライト光源側の色調調整が必要になるという不具合が発生するおそれがある。
かかる色調のフィルムとするためには、原料のポリエステルを製造する際の触媒、助剤を選択し、なるべく触媒の量を少なくする事や、重合および製膜時にポリエステルが必要以上に高温度になったり、溶融時間が長くなったりしないようにすること、さらにリサイクル性の原料の配合量を少なくすることなどの方法を採用することができる。
また、本発明のフィルムは、180℃で10分間熱処理後のフィルム表面へのオリゴマー(環状三量体)析出量の表裏面の総和が、15mg/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは10.0mg/m以下、特に好ましくは8.0mg/m以下である。フィルム表面へのオリゴマー析出量が15mg/m2を超える場合には、表面でオリゴマーが結晶化してフィルム上に設ける機能層に溶け込んで特性に影響を及ぼす等の問題を引き起こすことがある。
熱処理によるフィルム表面へのオリゴマー析出量を上記の範囲とするためには、オリゴマー含有量の少ないポリエステルを用いたり、インライン/オフラインで塗布層を設けたりすることにより、フィルム表面にオリゴマーが析出するのを押えることで、熱処理後のフィルム表面へのオリゴマー析出量を上記範囲とすることができる。
本発明のフィルムは、共押出法を用いて積層構造とすることができるが、その際最外層厚みは、片側のみの厚みで、通常2μm以上かつ総厚みの1/10以下であることが好ましい。かかる厚みが2μm未満では、加工中の熱履歴等により、内層に含有されているオリゴマー(環状三量体)がフィルム表面に析出し、生産ラインの汚染やフィルム表面の異物量の増加が見られる可能性があったりする場合がある。一方、1/10を超えるとフィルムがカールしやすくなる傾向があり、光学用フィルムとして好ましくない場合がある。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、公知の手法により乾燥した、または未乾燥のポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、好ましくは縦方向に70〜145℃で3.0〜5倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で3.0〜5倍延伸を行い、220〜240℃で10〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。そして、フィルムの平面性を良好なものとするため、フィルムの厚みふれを抑えるために、主結晶化ゾーンとその前工程のゾーンの温度差を10℃以上にすることが好ましく、さらに、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に1〜10%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、前記の通りポリエステルの溶融押出機を2台以上用いて、いわゆる共押出法により3層の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料を用いてA/B/A構成のフィルムとすることができる。
特に本発明のフィルムは、携帯電話からLCD用のバックライトとして使用される、拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度上昇シートなどに用いるため、拡散、プリズム、マイクロレンズ、などの各樹脂や液晶、また、スティック防止性、ハードコート性のバックコート用の各樹脂と密着性を向上する事を目的として、両面に下引き層としての塗布層を設けることができる。
かかる塗布層の形成に当たっては、フィルムを製造する工程内、特に縦方向に延伸した後、横方向の延伸の前に行う方法が、極めて薄い塗布層を形成できる点、塗布液の乾燥や硬化反応を製膜工程内で実施できることなどの点で好ましい。
塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなるものが好ましく、バインダー樹脂としては密着性の観点から、通常ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびポリウレタンの中から選ばれたポリマーを採用する。上記のポリマーは、それぞれそれらの誘導体をも含むものとする。ここでいう誘導体とは、他のポリマーとの共重合体、官能基に反応性化合物を反応させたポリマーを指す。
なお、必要に応じてフィルムの製造後にオフラインコートでコートしてもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は、水系および/または溶剤系いずれでも良いが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
本発明のフィルムは、光学用に用いるので、特にフロント側の加工面とは反対面側において、静電気によるゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成させることもさらに好ましい。
本発明で塗布剤として用いる、上記のポリエステル、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリイミドの中で、特に好ましいポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上、さらには40℃以上のもので、ポリウレタンの中でもポリエステルポリウレタンであり、カルボン酸残基を持ち、その少なくとも一部はアミンまたはアンモニアを用いて水性化されているポリマーである。
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が特に好ましい。 メラミン系樹脂としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの光透過性を低下させる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。一方有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
本発明における塗布層は、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.01〜0.5μm、好ましくは0.015〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.01μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
このような塗布フィルムを光学用途に適用する場合には、塗布層表面の塗布ヌケが、この塗布層のさらに上に拡散用の樹脂、バックコート用の樹脂を設ける時に問題となっている。塗布ヌケが生じる理由は明確ではないが、フィルム中にある異物がフィルム表面に粗大突起を作りそれが核となって塗布剤がはじき、それが延伸されて塗布ヌケが発生したり、フィルムの表面に付着したオリゴマーやゴミが核となりそこを核として塗布剤がはじきヌケとなる場合等が考えられる。従って、かかる核となり得るゴミや異物をできる限り除去した条件で製膜する事が必要である。かかる異物にはフィルム上に付着または析出したオリゴマーも含まれるため、フィルムが含有するオリゴマー量を低減する事も塗布のヌケを減少させる効果を有する。
かくして得られる本発明のフィルムは、塗布層を有する場合その塗布ヌケの個数(N)がフィルム1m当たりで以下の式を満足することが好ましい。
0≦N≦50
Nは、さらに好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下である。
いずれにせよ今後ますます厳しくなる光学用フィルムにおいては、塗布ヌケは可能な限り零にすることが好ましい。
本発明のフィルムは、光学用として使用されたときに、特にその優れた効果を発揮するが、その具体的な部材としては、携帯電話からLCD用のバックライトとして使用される拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度上昇シート、複合シート等に用いられるポリエステルフィルムであって、高度な光学的性能を必要とする基材として特に有効に使用される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)第三成分(共重合成分)含有量の測定
樹脂試料を重水化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)を用いて、1 H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から共重合成分の含有量を算出した。
(3)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(4)全光線透過率、ヘーズ
全光線透過率はJIS−K−7361、ヘーズはJIS−K−7136に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH2000」により、全光線透過率、ヘーズを測定した。
(5)加熱収縮率
試料を無張力状態で150℃に保ったオーブン中、30分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(L0−L1)/L0}X100
(上記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)フィルム長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれについて平均値を求めた。
(6)色調 反射法 y値
JIS−Z−5722に準じたミノルタ製分光測色計「CM−3700d」により、色調 反射法 y値を測定した。測定は、例えば、フィルムの厚みが100μmの時は10枚重ね、188μmの時は5枚重ね、250μmの時は4枚重ねとして、総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるようにフィルムを複数枚重ね合わせて測定した。
(7)透湿度
ラップフィルムの透湿度については、JIS Z0208に基づき測定を実施した。また、防湿性フィルムの透湿度については、JIS Z7129に基づき測定を実施した。
(8)フィルム平面性
マスターロールから、任意の幅で1000mの巻き長さにスリットし、任意の包装体で包装を行った製品ロールについて、2ヶ月間倉庫で保管した後、製品ロールを倉庫から搬出して円筒状コアーから500mの位置において、長手方向(MD)5mのフィルムを切り出し、定盤上においてフィルムを静置させ、静置させたフィルムの上を長手方向に、布等を外周に巻き付けた長さがフィルム幅より長い円筒状のパイプを一往復転がし、定盤とフィルムの間の空気溜まりを取り除いた後、フィルムを3分間静置させ、フィルム幅方向端部の変形度合いから、以下の観点から、総合的に評価した。
A:フィルム幅方向端部から100mmまでの部分において、長手方向に連続した波状のウネリ(凹凸跡)が全くなく、両端部の平面性について不具合がないレベル
B:フィルム幅方向端部から100mmまでの部分において、長手方向に連続した波状のウネリが僅かに確認でき、両端部の平面性について僅かに不具合があるレベル
C:フィルム幅方向端部から100mmまでの部分において、長手方向に連続した波状のウネリが明らかに確認でき、両端部の平面性について不具合があるレベル
(9)光学部材適性(輝度)
光学用部材として、プリズムシートとして使用した場合の特性を評価した。すなわちフィルムの片面に、アクリル系バインダーを塗布してプリズム層を形成し、反対面側にアクリル系バインダーを塗布してスティック防止層を形成し、得られたプリズムシート、2枚をバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の品質を以下の観点で評価した。
輝度レベル:輝度計を用いて評価し、比較例1のフィルムを使用した場合と比
較した。
A:輝度が向上し、改良が見られた
B:輝度の低下は確認できなかった
C:輝度が低下した
(10)光学部材適性(画像ムラ遮蔽性)
上記(9)にて得られたプリズムシート2枚を、光源であるLEDライトが、バックライトユニット上下に設置する2バー方式のエッジタイプのバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の画像品質を以下の観点で評価した。
A:画像ムラが現れず、改良が見られた
B:画像ムラが画面状において部分的に薄く現れた
C:画像ムラが画面状において全体的にはっきりと現れた
以下に実施例/比較例を示すが、これに用いたポリエステルの製造方法は次の通りである。
〈ポリエステルの製造〉
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.64であった。
<ポリエステル(b)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.1μmのシリカ粒子を0.2部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.64に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は、極限粘度0.64であった。
<ポリエステル(c)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部とし、重合触媒として酸化ゲルマニウムを使用したこと以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様な方法を用いてポリエステル(c)を得た。なお、酸化ゲルマニウムの添加方法は公知の方法を採用し、その添加量はゲルマニウムとして原料重量に対して100ppmとした。得られたポリエステル(c)の固有粘度は0.67であった。
実施例1:
前述のポリエステル(c)、(b)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、B層の原料をポリエステル(c)100%として、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とする2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を18℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度83℃で縦方向に3.1倍に延伸した後、以下に示した組成の塗布剤を塗布した後テンターに導き、横方向に130℃で3.9倍延伸し、主結晶化ゾーンの前工程のゾーン温度を220℃、主結晶化ゾーン温度を235℃にて熱処理を行った後、横方向に5%弛緩し、得られたマスターロールから、紙製の円筒状コアーを用いて製品幅1000mm幅、巻き長さ1000m巻きのフィルムロールにスリッティング加工して、厚さ250μmの、積層二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/230/10μmであった。塗布層の厚みは、片方の面が0.09μm、反対の面が0.10μmであった。
(塗布剤の組成:重量比)
a/b/c/d=47/20/30/3
ここで、aは、テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/トリエチレングリコール=31/16/3/22/21(モル比)のポリエステル分散体;bは、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリルニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤);cは、ヘキサメトキシメチルメラミン(メラミン系架橋剤);dは、粒子径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体(無機粒子)
である。
次に、得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ナイロンとポリエチレン製の多層の透湿度が15g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体を、アルミニウム箔をポリエチレンフィルムにラミネートした透湿度が1.5g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この製品ロール包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
実施例2:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ88%、12%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)80%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を20%の割合で混合した混合原料をB層としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールおよび包装体を得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。
実施例3:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)100%をB層の原料としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ポリエチレンとポリプロピレン製の多層の透湿度が28g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体を、アルミニウム蒸着が施されたポリエステルフィルムの透湿度が3.8g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
実施例4:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、表面温度を15℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得、縦方向に2.9倍、横方向に3.5倍に延伸し、主結晶化ゾーンの前工程のゾーン温度を218℃、主結晶化ゾーン温度を230℃にて熱処理を行った後、横方向に4%弛緩したこと以外は実施例1と同様にして、厚み300μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、15/270/15μmであった。得られたポリエステルフィルムロールの包装については、実施例1と同様にして包装体を得、倉庫に保管を行った。
比較例1:
ポリエステル(a)、(b)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、B層の原料をポリエステル(a)100%としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/230/10μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ポリ塩化ビニル製の透湿度が250g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体をアルミニウム蒸着が施されたポリエステルフィルムの透湿度が4.2g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
比較例2:
主結晶化ゾーンの前工程のゾーン温度を233℃、主結晶化ゾーン温度を240℃にて熱処理を行った後、横方向に3%弛緩したこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ポリエチレンとポリプロピレン製の多層の透湿度が20g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体を、アルミニウム蒸着が施されたポリエステルフィルムの透湿度が6.2g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
比較例3:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)を50%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部およびマスターロール耳部からの再生品を50%の割合で混合した混合原料をB層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ポリ塩化ビニル製の透湿度が260g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、その上にロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体をアルミニウム蒸着が施されたポリエステルフィルムの透湿度が6.4g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
比較例4:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ70%、30%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)を75%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部およびマスターロール耳部からの再生品を25%の割合で混合した混合原料をB層の原料としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、ロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体をポリエチレン製の透湿度が80.3g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
比較例5:
ポリエステル(c)、(b)をそれぞれ91%、9%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)100%をB層の原料とし、実施例1と同様にして、厚み250μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/228/11μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、ロール外周全体であるフィルム幅方向およびロール両端面の全体をアルミニウム箔をポリエチレンフィルムにラミネートした透湿度が1.8g/m・24hr(40℃)の防湿性フィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
比較例6:
縦方向に2.9倍、横方向に3.2倍に延伸し、主結晶化ゾーンの前工程のゾーン温度を208℃、主結晶化ゾーン温度を218℃にて熱処理を行った後、横方向に1.5%弛緩したこと以外は実施例4と同様にして、厚み300μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、15/270/15μmであった。得られたポリエステルフィルムロールについて、フィルム幅方向両端部およびロール両端面全体を、ポリエチレン製の透湿度が25g/m・24hr(25℃)のラップフィルムを用いて被い、この包装体を、温度20℃、相対湿度50%にコントロールされた倉庫に2ヶ月間保管した。
得られたフィルムロールの物性値を下記表1に、フィルムの平面性、光学部材適性を下記表2にまとめて示す。本発明の要件を満たすポリエステルフィルムロールの包装体は、光学用としての適性が高いことがわかる。
Figure 2014162550
Figure 2014162550
本発明の包装体によれば、例えば、光学用フィルムとして好適なものを提供することができる。

Claims (1)

  1. 円筒状コアー上に巻かれた光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのロールのフィルム幅方向両端部および両端面全体を、透湿度が30g/m2・24hr(25℃)以下であるラップフィルムと、さらにその上全体を、透湿度が5.0g/m2・24hr(40℃)以下である防湿性フィルムとで覆ってなることを特徴とする光学用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの包装体。
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