JP2014161650A - 骨結束用索体、及び骨結束用索体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、運針時における骨周りに通過させる際に骨周囲に存する組織に対する損傷のリスクが少なく、且つ、骨の結束を安定的に行うことができる新規な骨結束用索体、及び骨結束用索体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】運針時には、断面形状が円形又は楕円形を維持した状態にて長さ方向に伸縮し、且つ、骨の結束時には平板状に偏平変形し、もって前記骨の表面に対して面接触し得るように、骨結束用索体1における索体本体2につき、金属製フィラメントの単線、又は金属製フィラメントの収束線からなる基本線21を筒網することによって構成された網状の周壁を有する中空の編組体となし、前記周壁を構成する前記基本線21の各々が前記周壁に沿って螺旋状に配されるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】運針時には、断面形状が円形又は楕円形を維持した状態にて長さ方向に伸縮し、且つ、骨の結束時には平板状に偏平変形し、もって前記骨の表面に対して面接触し得るように、骨結束用索体1における索体本体2につき、金属製フィラメントの単線、又は金属製フィラメントの収束線からなる基本線21を筒網することによって構成された網状の周壁を有する中空の編組体となし、前記周壁を構成する前記基本線21の各々が前記周壁に沿って螺旋状に配されるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、縦断裂した骨の結束時に使用する骨結束用索体、及び骨結束用索体の製造方法に関する。
例えば、開胸を要する外科手術を行うにあたっては、胸部中央に存する胸骨と称される骨を縦方向に切断して開いたうえで所定の処置を行い、最後に、切断した胸骨を結束糸にて結束する術式が行われる。
従来、このような開胸手術の際に使用される前記結束糸としては、単線のステンレスワイヤや平板帯状のステンレス板が用いられていた。
最近では、単線の細い糸又はワイヤを糸単独、ワイヤ単独或いは糸とワイヤを交織し編みこむことにより、一個あるいは鎖状の複数の輪を形成し、縫合時(運針時)には緊張により糸又はワイヤが直線状となり、結節時(結束時)には輪の穴を利用し締結しやすいという特徴を持ち、両端又は片端に胸骨を貫通させる直針又は湾曲した針が接続されており、針が接続している端部だけが中央部分より細く絞られて編みこまれている胸骨縫合用材料が開発されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
又、繊維を編組して断面概略円形の管状に形成してなる骨締結用中空ケーブルも開発されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
これらの結束糸は、いずれも胸骨外周に沿って巻き回された後、端部間が締結されることによって胸骨を結束するものである。
前記結束糸のうち、単線のステンレスワイヤからなるものは、断面形状が円形の線条体であることから、胸骨結束作業時における胸骨周りに通過させる際の組織損傷リスクが少なくなるといった利点がある反面、胸骨周りに縛り付ける際の力加減が難しく、胸骨に対して線接触する前記結束糸が胸骨に食い込み、患者に違和感や圧痛を生じさせる場合があった。
一方、前記結束糸のうち、帯状のステンレス板からなるものは、胸骨の外周面と面接触した状態にて胸骨周りに縛り付けることができることから、胸骨の固定は比較的安定的に行い得る。しかしながら、帯状のステンレス板からなる前記結束糸は、面方向にのみ湾曲し、エッジ方向へ湾曲しないものであることから、胸骨結束時に胸骨周りに通過させる際の作業性に劣る。しかも運針時にエッジにて胸骨周りの組織損傷を起こし易く、その止血処置により、手術時間が長くなる傾向があった。
又、単線のステンレスワイヤや帯状のステンレス板からなる前記結束糸は、いずれも伸縮性がないため、結束後に緩みが生じ、胸骨の結束が不十分となる場合もある。
この点につき、前記特許文献1に記載の胸骨縫合用材料は、伸縮性があることから、結束後の緩みの発生は比較的少なくなる利点がある。しかしながら、前記特許文献1に記載の胸骨縫合用材料は、結束時にテンションがかけられると線条体となるため、前述の単線のステンレスワイヤからなるものと同様、胸骨に対して線接触し、胸骨に食い込む場合がある。
なお、前記特許文献1には、胸骨内に位置する中央部分をテープ状の平織りとする旨も開示されているが、このような形状とした場合にあっては、前述の帯状のステンレス板からなるものと同様、運針時にエッジにて組織損傷を起こし易いものとなる。
一方、前記特許文献2に記載の骨締結用中空ケーブルは、運針時において円形の断面形状となり、組織損傷のリスクを小さくすると共に、結束時において帯状に変形し、骨の陥没や損傷を生じ難くする利点がある。しかしながら、前記特許文献2に記載の骨締結用中空ケーブルは、平織、又は斜文織によって、繊維を編組していることから、長さ方向への伸縮性が殆ど無く、単線のステンレスワイヤや帯状のステンレス板からなる前記結束糸と同様、結束後に緩みが生じ、胸骨の結束が不十分となる場合がある。
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、運針時における骨周りに通過させる際に骨周囲に存する組織に対する損傷のリスクが少なく、且つ骨の結束を安定的に行うことができる新規な骨結束用索体、及び骨結束用索体の製造方法を提供することを目的とする。
前記技術的課題を解決するために、本発明の骨結束用索体は、縦断裂した骨を結束する際に用いられる骨結束用索体であって、金属製フィラメントの単線、又は金属製フィラメントの収束線からなる基本線が複数本、互いに交差された状態にて編組された索体本体を具備してなり、運針時には、前記索体本体の断面形状が円形又は楕円形を維持した状態にて長さ方向に伸縮し、且つ、骨の結束時には平板状に偏平変形し、もって前記骨の表面に対して面接触し得るように、前記索体本体が、前記基本線を筒編みすることによって構成された網状の周壁を有する中空の編組体となされ、前記周壁を構成する前記基本線の各々が前記周壁に沿って螺旋状に配されてなることを特徴とする(以下、本発明索体と称する。)。
本発明索体においては、前記基本線が、複数本の金属製フィラメントを各々長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線となされたものが好ましい態様となる(以下、この態様を本発明第一索体と称する。)。
本発明第一索体においては、前記基本線が、二本、又は三本の金属製フィラメントを各々長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線となされたものが好ましい態様となる。
本発明第一索体においては、前記金属製フィラメントが、9〜300μmの線径を有するものが好ましい態様となる。
本発明索体においては、前記基本線が、複数本の金属製フィラメントを撚ることによって形成された撚線型の収束線となされたものが好ましい態様となる(以下、この態様を本発明第二索体と称する。)。
本発明第二索体においては、前記基本線が、芯材となる一本の金属製フィラメントの周囲に複数本の金属製フィラメントを巻き付けて形成された有芯撚線型の収束線となされたものが好ましい態様となる。
本発明第二索体においては、前記金属製フィラメントが、3〜150μmの線径を有するものが好ましい態様となる。
本発明第二索体においては、前記基本線に、前記基本線の仮想軸芯を中心として捻転するねじれが無いものが好ましい態様となる。
本発明索体においては、下記試験条件によって前記索体本体が引張された際、少なくとも2mm引張するまでに要する引張応力が、15N以下であるものが好ましい態様となる。
<試験>
チャック間距離200mmにて前記索体本体をつかみ、毎分5mmの引張速度で前記索体本体を長さ方向に引張させながら引張応力を測定する。
チャック間距離200mmにて前記索体本体をつかみ、毎分5mmの引張速度で前記索体本体を長さ方向に引張させながら引張応力を測定する。
本発明索体においては、前記試験条件によって前記索体本体が引張された際、引張応力が100N以下であれば、その後、試験力が付与されない状態とされた際に伸縮性を回復するものが好ましい態様となる。
本発明の骨結束用索体の製造方法は、前記本発明第二索体を製造する方法であって、前記基本線を編組するに先立ち、前記基本線に対し、軸芯を中心として捻転するねじれを付与し、前記ねじれがほどける方向に向かって前記基本線を編組することを特徴とする。
本発明によれば、運針時における骨周りに通過させる際に骨周囲に存する組織に対する損傷のリスクが少なく、且つ骨の結束を安定的に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<実施形態1>
図1(a)は、実施形態1に係る本発明索体1の全体構成の概略を示すものである。この本発明索体1は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
図1(a)は、実施形態1に係る本発明索体1の全体構成の概略を示すものである。この本発明索体1は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
図1(a)の拡大図(前記索体本体2の中ほどの部分の拡大図)に示すように前記索体本体2は、金属製フィラメント(本実施形態においては、ステンレス製フィラメント)の単線からなる基本線21が複数本(本実施形態においては48本)、互いに交差された状態にて編組されたものである。前記索体本体2は、前記基本線21の各々を筒編みし、前記基本線21の各々が螺旋状に配置されることによって網状の周壁となり、もって、全体として中空の編組体となされたものである。本発明において「筒編み」とは、「輪編み」とも称される縦糸と横糸の区別が無い編み方であり、前記索体本体2を構成する各基本線21を、前記索体本体2の軸芯周りにおいて、同一の螺旋ピッチにて螺旋状に走るように配置しながら各々を互い違いに交差させて編組する編み方を意味する。係る筒編みにて編組された前記索体本体2は、前記索体本体2の軸芯と、前記索体本体2の長さ方向に対して螺旋状に走る各基本線21の走行方向とがなす角が、前記索体本体1のいずれの位置においても等しくなる。
前記索体本体2を構成する前記基本線(本実施形態の場合、フィラメントの単線)21の線径(φ)としては、前記索体本体2に要求される強度や太さ、或いは使用される基本線21の本数に応じて適宜決定すれば良く、特に限定されるものではない。前記基本線21の線径(φ)としては、9〜300μm(より好ましくは、15〜150μm)のものを用いることが好ましい。
本実施形態においては、前記基本線21としてステンレス製のものが用いられているが、前記基本線21の素材としては、ステンレスの他、例えば、ニッケルチタン合金やチタン合金などの耐食性金属が好適に用いられる。
又、本実施形態においては、都合48本の前記基本線21にて前記索体本体2の周壁を構成しているが、前記周壁を構成する前記基本線21の本数としては、30〜100本(より好ましくは、36〜96本)の範囲内とすることが好ましい。
前記索体本体2は、結束時の締め付け代を残した状態にて結束対象の骨の外周を周回することができる長さがあれば、その長さについて特に限定されるものではない。前記索体本体2の長さとしては、10〜100cm(より好ましくは、15〜65cm)とすることが好ましい。
図1(b)、(c)に示すように、このような構成を有する前記索体本体2は、長さ方向に沿って引張応力が付加されると、その線径を委縮させながら長さ方向に伸長し、その後、長さ方向に沿う引張応力から解放されると、ほぼ元の状態に弾性的に回復する性質(伸縮性)を有する。又、何らかの対象物に巻き付けられると、図1(d)に示すように、伸縮性を維持したまま偏平し、平板状に変形する性質(偏平変形性)も有する。
従って、前記索体本体2自体の線径は引張応力に応じて変化するため不定であるが、長さ方向に沿って引張応力(20〜100N程度)が付加された際の前記索体本体2自体の線径(Φ)は、0.5〜10mm(より好ましくは、1〜5mm)の範囲内、引張応力から解放された際(定常時)の前記索体本体2自体の線径(Φ0)は、1〜20mm(より好ましくは、2〜10mm)となるようにすることが好ましい。
又、前記索体本体2が平板状に変形された際の幅長としては、0.75〜15mm(より好ましくは、1.5〜7.5mm)となるようにすることが好ましい。
前記貫通刃3は、結束対象たる骨の周囲に存する生体組織に突き刺して、前記索体本体2を周回させるための通路を切開するためのものであり、先端側が鋭利となされた刃31と、湾曲する胴体部32と、末端側の基端部33とを具備する。前記貫通刃3は、前記基端部33が前記索体本体2の一端側に挿入された状態にて前記索体本体2に溶接固定されており、この際、前記索体本体2の一端側は、前記基端部33の外径に応じて線径を委縮させた状態となされている。
前記バックル4は、平板状の金属製板材であり、前記索体本体2に溶接固定されている。前記バックル4には、前記索体本体2が挿通可能となされた二つの長穴41、42が設けられており、各長穴41、42には、前記索体本体2に噛合し得るノコギリ刃状の返し部41a、42aが設けられている。骨固定時において、このバックル4が異物感の原因とならないように、前記バックル4は、前記索体本体2と溶接固定された状態にて、厚さ2mm以下となるように構成することが好ましい。
次に、図2を参照しながら、前記本発明索体1の使用方法について、開胸手術時において切断された胸骨5の結束作業を例に挙げて説明する。
開胸手術においては、まず、胸部を胸骨5の中央にて縦方向に切断して開き、必要な処置を行った後、切断した胸骨5を接近させて仮閉じする。
次に、前記本発明索体1の一端に存する前記貫通刃3を肋骨51間に突き刺し、胸骨5の周囲に存する組織を切開しながら、前記貫通刃3に続く前記索体本体2を胸骨5の周囲に周回させる。
前記本発明索体1における前記索体本体2を胸骨5の周囲に周回した後は、前記索体本体2の他端側に存する前記バックル4を胸骨5の中央に位置させ、胸骨5の周囲を周回して術者の手元側に戻ってきた前記貫通刃3を前記バックル4に存する前記長穴41に通過させ、続く前記索体本体2を前記長穴41に挿通させる(図2(b)参照)。この状態で前記索体本体2の一端側を引っ張ると、前記索体本体2が伸長しながら胸骨5の周囲に押し付けられて平板状に偏平変形する(図2(c)参照)。引き伸ばされて平板状に偏平変形した前記索体本体2は、依然伸縮性を有していることから、収縮する方向に付勢されているが、前記索体本体2は、前記長穴41に設けられた前記返し部41aに周壁を構成する網が引掛かかるため、胸骨5の周囲に巻き付けられた状態にて固定される。
患者の骨密度や年齢に応じて、適当な弾性力を保った状態にて前記本発明索体1を胸骨5の周囲に固定した後は、前記貫通刃3を前記バックル4に存するもう一つの長穴42に通過させ、続く前記索体本体2を前記長穴42に挿通する。その後、前記索体本体2が緩まないことを確認したうえで、前記索体本体2の一端側の余分な部分を切断して前記貫通刃3を前記索体本体2から切り離す(図2(a)参照)。
本発明索体1は、運針時において、術者の引っ張りに応じて前記索体本体2が長さ方向に伸縮し、且つ、その断面形状が委縮しつつ、円形若しくは楕円形の線条体形状を維持するため、骨周囲に存する組織に必要以上の損傷を与えない。又、骨の結束後は、前記索体本体2の収縮力によってその結束状態を維持することができるため、骨を複数本の本発明索体1にて結束する際に、本発明索体1の各々において結束力に多少の差が生じていても、緩みやガタが生じることがなく、良好な結束状態を維持することができる。
又、本発明索体1は、骨の周囲に巻き付けられた際に、平板状に変形するため、骨の外周面に対して面接触した状態にて固定される。そのため、骨に対して食い込んだりすることがなく、術後の違和感や圧痛を患者に与えることがない。
更に、本発明索体1は、前記索体本体2の収縮力によって骨に固定されるため、術後に患者がくしゃみしたりせきしたりして瞬発的な力が加えられても、柔軟に伸縮して対応することができ、骨を損傷するリスクが少ないものとなる。
図3のグラフは、下記試験条件によって、前記本発明索体1における前記索体本体2の伸縮特性をチャートにて示したものであり、縦軸が前記索体本体2に付加された引張応力、横軸が引張距離(ストローク)を示す。
<試験>
チャック間距離200mmにて前記索体本体2をつかみ、毎分5mmの引張速度で前記索体本体2を長さ方向に伸長させた際の引張応力を測定する(試験機:SHIMADZU AG‐IS 50kN)。
チャック間距離200mmにて前記索体本体2をつかみ、毎分5mmの引張速度で前記索体本体2を長さ方向に伸長させた際の引張応力を測定する(試験機:SHIMADZU AG‐IS 50kN)。
図3のグラフに示すように、前記索体本体2は、長さ方向に沿って引張応力が付加されると、引張の初期段階(図中(A)の段階)において、ほとんど抵抗なく引き伸ばされる。この段階は、引張によって、前記索体本体2の周壁を構成する前記基本線21の各々の螺旋半径が小さくなると共に螺旋ピッチが長くなっている段階であり、螺旋状に配された前記基本線21の線形弾性力、及び各基本線21の交点において生じる摩擦力以外は、引張応力に対して抗しないためである。本発明においては、この図中(A)の段階が、少なくとも前記索体本体2を2mm(より好ましくは、2.5mm)引張するまで継続し、且つ、その際に要する引張応力が、15N以下(より好ましくは10N以下)であることが好ましい。この数値目標は、主に前記索体本体2の周壁を構成する前記基本線21の本数や線径、及び定常時における前記基本線21の螺旋半径や螺旋ピッチなどを適宜選択することによって達成することができる。
図中(A)の段階を超えて、引張応力が付加されると、引張応力に対する伸長度が低下し、引張応力が増加してもほとんど前記索体本体2は伸長しなくなる(図中(B)の段階)。これは、前記索体本体2が引張されて、前記索体本体2の周壁を構成する前記基本線21の各々の螺旋半径が小さくなると共に螺旋ピッチが長くなると、隣接する前記基本線21同志が近接し、接触し始め、前記基本線21の自由度が喪失されるためである。この際、引張応力に抗する力は、主に前記基本線21各々が有する引張強度の総和となる。なお、図中(B)の段階で、前記索体本体21を引張応力から解放すると、多少の断面形状の委縮(線径の減少)は生じるが、ほぼ元の状態を回復する。本発明においては、少なくとも引張応力が100N以下(より好ましくは、200N以下)の間は、この図中(B)の段階に属していることが好ましい。この数値目標は、主に前記索体本体2の周壁を構成する前記基本線21の本数や線径、引張強度などを適宜選択することによって達成することができる。
なお、図中(B)の段階を超えて、更に引張応力が付加されると、前記索体本体2を構成する前記基本線21に回復不可能な伸びが生じ(図中(c)の段階)、最終的には、前記索体本体2が断線する(図中(D)の段階)が、実際の結束作業時や骨に固定された状態において、前記索体本体2に対し、図中(C)の段階や図中(D)の段階が生じることは考え難い。
即ち、本発明索体1は、容易に引張することができる図中(A)の段階と、伸縮性を回復し得る図中(B)の段階を有することから、作業性が良好で、且つ、安定的な結束状態を達成することができるのである。
参考として、同試験条件下で測定した、従来の結束糸(ステンレス製の帯状平板タイプ)の伸縮特性を図4に示す。図4のチャートに示すように、従来の結束糸は、長さ方向に引張されるとすぐさま回復不可能な延伸を生じ、伸縮性をほとんど示さないことが認められた。
<実施形態2>
図5は、実施形態2に係る本発明第一索体11の全体構成の概略を示すものである。この本発明第一索体11は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
図5は、実施形態2に係る本発明第一索体11の全体構成の概略を示すものである。この本発明第一索体11は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
前記索体本体2は、複数本(本実施形態においては二本)の金属製フィラメント(本実施形態においては、ステンレス製のフィラメント)Fを互いに長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線からなる基本線21が複数本(本実施形態においては48本)、筒編みによって、互いに交差された状態にて編組されたものである(図5の拡大図参照)。前記索体本体2は、基本線21として並列配置型の収束線を用いた以外は、前記実施形態1と同様の構成を有する。
前記基本線21を構成する金属製フィラメントFの線径としては、9〜300μm(より好ましくは、15〜150μm)のものを用いることが好ましい。
前記貫通刃3、及び前記バックル4は、前記実施形態1において用いたものと同様のものであり、前記実施形態1と同様の手段にて前記索体本体2に固定されている。
このような構成を有する本発明第一索体11は、前記基本線21として並列配置型の収束線を用いているため、何らかの対象物に巻き付けられて平板状に変形された際、金属製フィラメント単線からなる基本線21を用いて作成された前記実施形態1に係る本発明索体1と比較して、エッジ部分の鋭利さが緩和される。
これにより、骨の周囲に巻き回された際に、骨や骨周囲に存する組織に対して損傷を与えるリスクがより小さくなる利点が生じる。
ところで、並列配置型の収束線を基本線21として作成された本発明第一索体11は、係る収束線を構成する金属製フィラメントFの数が多くなればなるほど、何らかの対象物に巻き付けられて平板状に偏平変形された際に、エッジ部分の鋭利さがより緩和される傾向があることが確認されている。
但し、係る収束線を構成する金属製フィラメントF自体には伸縮性がほとんどないため、数多くの金属製フィラメントFを全て同一条件下で束ねることは非常に困難となる。言い換えれば、数多くの金属製フィラメントFを隣接させた並列配置型の収束線には、係る収束線を構成する金属製フィラメントFの一部に撓み等が生じ易くなる。撓んだ金属製フィラメントFは単独で断裂し易く、断裂した金属製フィラメントFは本発明第一索体1の周壁においてささくれを生じさせる原因となる。
そのため、本発明において、並列配置型の収束線を基本線21として用いるにあたっては、二本、又は三本の金属製フィラメントFを各々長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線を用いることが好ましい。
その余は、前記実施形態1において説明した事項と同様のため、繰り返しの説明を避けるべく、ここでは説明を省略する。
<実施形態3>
図6(a)は、実施形態3に係る本発明第二索体12の全体構成の概略を示すものである。この本発明第二索体12は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
図6(a)は、実施形態3に係る本発明第二索体12の全体構成の概略を示すものである。この本発明第二索体12は、索体本体2と、前記索体本体2の一端側に設けられた貫通刃3と、前記索体本体2の他端側に設けられたバックル4と、を具備する。
前記索体本体2は、複数本(本実施形態においては七本)の金属製フィラメント(本実施形態においては、ステンレス製のフィラメント)Fを撚ることによって形成された撚線型の収束線からなる基本線21が複数本(本実施形態においては48本)、筒編みによって、互いに交差された状態にて編組されたものである(図6(a)の拡大図参照)。前記索体本体2は、基本線21として撚線型の収束線を用いた以外は、前記実施形態1と同様の構成を有する。
前記基本線21に用いられる金属製フィラメントFの線径としては、3〜150μm(より好ましくは、9〜100μm)のものを用いることが好ましい。
前記貫通刃3、及び前記バックル4は、前記実施形態1において用いたものと同様のものであり、前記実施形態1と同様の手段にて前記索体本体2に固定されている。
このような構成を有する本発明第二索体12は、前記基本線21として撚線型の収束線を用いているため、何らかの対象物に巻き付けられて平板状に偏平変形された際、金属製フィラメント単線からなる基本線21を用いて作成された前記実施形態1に係る本発明索体1と比較して、エッジ部分の鋭利さが緩和される。
これにより、骨の周囲に巻き回された際に、骨や骨周囲に存する組織に対して損傷を与えるリスクがより小さくなる利点が生じる。
又、撚線型の収束線は、線径が同じ単線の金属製フィラメントと比較して引張応力に対する物理的強度が高くなるため、前述した図3における(b)の段階における引張応力の最大値が高くなる利点もある。
なお、本発明において、前記基本線21を構成する金属製フィラメントFの撚糸方法としては、特に限定されるものではない。前記基本線21を構成する金属製フィラメントFの撚糸方法としては、例えば、Z撚りと称される撚糸方法や、S撚りと称される撚糸方法を好適に用いることができる。
特に、本発明において、前記基本線21として撚線型の収束線を用いるにあたっては、図6(b)に示すような、芯材となる一本の金属製フィラメントFOの周囲に複数の金属製フィラメントFを巻き付けて形成された有芯撚線型の収束線を用いることが好ましい。
この有芯撚線型の収束線は、収束線の軸芯に沿って、芯材となる一本の金属製フィラメントFOが配置されていることから、芯材の無い撚線型の収束線と比較して、引張応力に対する物理的強度がより高くなる利点がある。
ところで、本発明第二索体12のように、前記基本線21として撚線型の収束線を、筒編みによって編組して前記索体本体2を作成すると、前記索体本体2の周壁に螺旋状に配置される前記基本線21において、その仮想軸芯を中心として捻転するねじれが生じる。このねじれは、前記基本線21を構成する金属フィラメントFの断裂の原因となる。そして、断裂した金属製フィラメントFは本発明索体1の周壁においてささくれを生じさせる原因となる。
そこで、本発明においては、前記基本線21として撚線型の収束線を筒編みによって編組して前記索体本体2を作成するにあたり、前記基本線21を編組するに先立って、前記基本線21に対し、軸芯を中心として捻転するねじれを付与し、前記ねじれがほどける方向に向かって前記基本線21を編組することが好ましい。
前記基本線21に対して前もって付与されるねじれの回数は、編組の際に、前記基本線21が螺旋状に巻き回される回数に応じて決定すれば良い。
このようにして作成された前記索体本体2は、その周壁を構成する前記基本線21においてねじれがなくなり、前記基本線21を構成する金属フィラメントFの断裂のリスクが小さくなる。
その余は、前記実施形態1において説明した事項と同様のため、繰り返しの説明を避けるべく、ここでは説明を省略する。
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
本発明索体は、縦に断裂した骨の結束に用いられるものであり、特に、開胸手術において切断された胸骨の結束に好適に用いられる。
1 本発明索体(骨結束用索体)
11 本発明第一索体(骨結束用索体)
12 本発明第二索体(骨結束用索体)
2 索体本体
21 基本線
3 貫通刃
31 刃
32 胴体部
33 基端部
4 バックル
41 長穴
42 長穴
5 胸骨
51 肋骨
F 金属製フィラメント
F0 金属製フィラメント(芯材)
11 本発明第一索体(骨結束用索体)
12 本発明第二索体(骨結束用索体)
2 索体本体
21 基本線
3 貫通刃
31 刃
32 胴体部
33 基端部
4 バックル
41 長穴
42 長穴
5 胸骨
51 肋骨
F 金属製フィラメント
F0 金属製フィラメント(芯材)
Claims (11)
- 縦断裂した骨を結束する際に用いられる骨結束用索体であって、
金属製フィラメントの単線、又は金属製フィラメントの収束線からなる基本線が、複数本、互いに交差された状態にて編組された索体本体を具備してなり、
運針時には、前記索体本体の断面形状が円形又は楕円形を維持した状態にて長さ方向に伸縮し、且つ、骨の結束時には平板状に偏平変形し、もって前記骨の表面に対して面接触し得るように、
前記索体本体が、前記基本線を筒網することによって構成された網状の周壁を有する中空の編組体となされ、前記周壁を構成する前記基本線の各々が前記周壁に沿って螺旋状に配されてなることを特徴とする骨結束用索体。 - 請求項1に記載の骨結束用索体において、
前記基本線が、複数本の金属製フィラメントを各々長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線となされた骨結束用索体。 - 請求項2に記載の骨結束用索体において、
前記基本線が、二本、又は三本の金属製フィラメントを各々長さ方向に沿って隣接させた並列配置型の収束線となされた骨結束用索体。 - 請求項2又は3に記載の骨結束用索体において、
前記金属製フィラメントが、9〜300μmの線径を有する骨結束用索体。 - 請求項1に記載の骨結束用索体において、
前記基本線が、複数本の金属製フィラメントを撚ることによって形成された撚線型の収束線となされた骨結束用索体。 - 請求項5に記載の骨結束用索体において、
前記基本線が、芯材となる一本の金属製フィラメントの周囲に複数本の金属製フィラメントを巻き付けて形成された有芯撚線型の収束線となされた骨結束用索体。 - 請求項5又は6に記載の骨結束用索体において、
前記金属製フィラメントが、3〜150μmの線径を有する骨結束用索体。 - 請求項5ないし7のいずれか1項に記載の骨結束用索体において、
前記基本線には、前記基本線の仮想軸芯を中心として捻転するねじれが無い骨結束用索体。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の骨結束用索体において、
下記試験条件によって前記索体本体が引張された際、少なくとも2mm引張するまでに要する引張応力が、15N以下である骨結束用索体。
<試験>
チャック間距離200mmにて前記索体本体をつかみ、毎分5mmの引張速度で前記索体本体を長さ方向に引張させながら引張応力を測定する。 - 請求項9に記載の骨結束用索体において、
前記試験条件によって前記索体本体が引張された際、引張応力が100N以下であれば、その後、試験力が付与されない状態とされた際に伸縮性を回復する骨結束用索体。 - 請求項8に記載の骨結束用索体の製造方法であって、
前記基本線を編組するに先立ち、前記基本線に対し、軸芯を中心として捻転するねじれを付与し、前記ねじれがほどける方向に向かって前記基本線を編組することを特徴とする骨結束用索体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013037699A JP2014161650A (ja) | 2013-02-27 | 2013-02-27 | 骨結束用索体、及び骨結束用索体の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017022124A1 (ja) * | 2015-08-06 | 2017-02-09 | 株式会社シンテック | 医療用線状部材の製造方法 |
KR20180111844A (ko) * | 2016-01-22 | 2018-10-11 | 포트 웨인 메탈스 리서치 프로덕츠 코포레이션 | 직조 또는 편조된 튜브형 금속 구성체 |
-
2013
- 2013-02-27 JP JP2013037699A patent/JP2014161650A/ja active Pending
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