JP2014160296A - プリント回路板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミアンダ配線等で配線調整を行わなくても、受信素子に伝搬する信号の波形の乱れを抑えて、スキューを小さくすることが可能なプリント回路板を提供する。
【解決手段】マザーボード200は、一端が送信素子311に接続される主配線202と、主配線202の他端から分岐する分岐配線203,204と、を有するバス配線201を備える。受信素子321Aは、分岐配線203の終端部211に接続され、受信素子321Dは、分岐配線204の終端部212に接続されている。終端抵抗303は、分岐配線203,204のうち、配線長が長い方の分岐配線204の終端部212にのみ接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】マザーボード200は、一端が送信素子311に接続される主配線202と、主配線202の他端から分岐する分岐配線203,204と、を有するバス配線201を備える。受信素子321Aは、分岐配線203の終端部211に接続され、受信素子321Dは、分岐配線204の終端部212に接続されている。終端抵抗303は、分岐配線203,204のうち、配線長が長い方の分岐配線204の終端部212にのみ接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、受信素子への信号の伝送路となるバス配線を有するプリント配線板を備えたプリント回路板に関する。
一般に、メモリシステムは、メモリコントローラと複数のメモリデバイスとを有して構成されている。メモリデバイスとしては、DDR2−SDRAM(Double Data Rate 2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)が一般的に知られている。
メモリデバイスの実装形態としては、マザーボードに実装される場合と、モジュール基板に実装される場合とがある。メモリデバイスがモジュール基板に実装される場合は、メモリコントローラが実装されたマザーボードにコネクタ接続されてメモリシステムが構成される。
高速大容量が要求されている装置では、メモリデバイスを有するメモリモジュールをマザーボードにコネクタ経由で実装する形態とすることで、ユーザーの必要に応じてメモリ増設に対応できるようになっている。
一方、要求されるメモリ量が固定されている装置などにおいては、メモリモジュールやその搭載用コネクタは使わず、マザーボードにメモリデバイスを直接実装する、いわゆる直付けメモリの形態をとる。直付けメモリの配線トポロジーは、メモリモジュールの構成を踏まえつつ、装置の仕様に応じたものが用いられる。
メモリコントローラは、アドレス/コマンド信号を送信し、各メモリデバイスは、そのアドレス/コマンド信号を受信することで制御され、メモリコントローラと複数のメモリデバイスの間でデータ信号の送受信が行われる。
アドレス/コマンド信号の配線トポロジーとしては、等長T分岐構造と等長多段分岐構造とがある。
アドレス/コマンド信号の等長T分岐構造の例が非特許文献1のPage20に記載されている。メモリコントローラに接続された主配線からは等長に分岐配線が2分岐するように構成されている。それぞれの分岐配線には、2つ以上のメモリデバイスが芋づる式に接続されている。等長T分岐構造は、信号の多重反射による波形の乱れが発生しやすいため、高速化には適していないが、プリント配線板の層数を2層のみで配線することができ、低コストである。
一方、アドレス/コマンド信号の等長多段分岐構造の例が非特許文献2のPage4.20.11−37に記載されている。メモリコントローラから各メモリデバイスへの配線長が等しくなるように、メモリコントローラに接続された配線は等長2分岐し、それぞれの配線は、さらに等長2分岐し、その末端にメモリデバイスが接続される。等長多段分岐構造は信号の多重反射による波形の乱れが少ないため信号の高速化に適しているが、分岐配線を構成するためには、プリント配線板の層数が3層以上必要となり、高コストである。
直付けメモリの形態を用いる際に、プリント配線板の層数を増やすことは製造コスト上困難であることから、層数を増やさないで実現することが要望されており、DDR2−SDRAMでは、安価な層構成で設計可能な等長T分岐構造で設計される場合がある。
JEDEC Standard No. 21C Release 13 Section 4.20.6 PC3200/PC2700/PC2100/PC1600 DDR SDRAM Unbuffered SO−DIMM Reference Design Specification Revision 1.4 January 10, 2003
JEDEC Standard No. 21C Page 4.20.11−1 PC2−6400/PC2−5300/PC2−4200/PC2−3200 DDR2 Unbuffered SO−DIMM Reference Design Specification Revision 2.5 July, 2008
しかしながら、アドレス/コマンド信号を伝送する配線は、メモリの容量によって若干の差異はあるが、例えば20本程度等、多数本で構成されるバス配線である。そのため、バス配線においてT分岐構造を実現しようとすると、メモリコントローラから分岐点までの配線エリアが広く必要である。そのため、配線長調整を行わない場合、バス配線の端付近ではT分岐の等長を維持するのが難しく、不等長T分岐構造となる。
不等長T分岐構造の不等長性が大きくなると、メモリデバイスに伝搬する波形に乱れが発生する。そのため、従来、ミアンダ配線といわれる蛇行させた配線を用いて等長T分岐構造となるように調整が行われていた。このミアンダ配線は、配線を蛇行させるために広い配線エリアが必要となる。特に、アドレス/コマンド信号のバス配線のように本数が多い場合には配線収容が難しく、配線エリアの拡大や、配線層数の増加が必要となるため、プリント配線板のコストが高くなる。
一方、等長調整を行わないT分岐構造の配線を用いれば配線エリアは最小となる。しかし、不等長T分岐構造となるバス配線では、各メモリデバイスに到達する信号の波形が乱れてスキューが大きくなるという問題があった。
また、メモリデバイスが接続される配線の全ての終端にそれぞれ終端抵抗を接続することで、波形のリンギングを抑える手法もあるが、終端抵抗を増やすと配線面積や部品コストが増加するという問題があった。
そこで、本発明は、ミアンダ配線等で配線調整を行わなくても、受信素子に伝搬する信号の波形の乱れを抑えて、スキューを小さくすることが可能なプリント回路板を提供する。
本発明のプリント回路板は、プリント配線板と、前記プリント配線板に実装された終端抵抗と、前記プリント配線板に実装され、送信素子から送信された信号を、前記プリント配線板を介して受信する第1受信素子及び第2受信素子と、を備え、前記プリント配線板は、一端が前記送信素子に接続される主配線と、前記主配線の他端から分岐する第1分岐配線及び第2分岐配線と、を有するバス配線を備え、前記第1受信素子は、前記第1分岐配線の終端部に接続され、前記第2受信素子は、前記第2分岐配線の終端部に接続され、前記終端抵抗は、前記第1分岐配線及び前記第2分岐配線のうち、配線長が長い方の分岐配線の終端部にのみ接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、ミアンダ配線等で配線調整を行わなくても、受信回路に伝搬する信号の波形の乱れを抑えることができ、スキューを小さくすることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント回路板の一例としてのメモリシステムの配線構成を示すトポロジー図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るプリント回路板の一例としてのメモリシステムの模式図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント回路板の一例としてのメモリシステムの配線構成を示すトポロジー図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るプリント回路板の一例としてのメモリシステムの模式図である。
プリント回路板としてのメモリシステム100は、プリント配線板としてのマザーボード200を備えている。また、メモリシステム100は、マザーボード200に実装された、送信回路ユニットとしてのメモリコントローラ301と、複数の受信回路ユニットとして複数のメモリデバイス302A,302B,302C,302Dとを備えている。また、メモリシステム100は、マザーボード200に実装された終端抵抗303及びダンピング抵抗304を備えている。メモリコントローラ301は、マザーボード200を介してアドレス信号又はコマンド信号(アドレス/コマンド信号)を各メモリデバイス302A〜302Dに送信することで、各メモリデバイス302A〜302Dを制御する。
マザーボード200は、メモリコントローラ301と各メモリデバイス302A〜302Dとをつなぐバス配線201を有している。
メモリコントローラ301は、半導体チップからなる送信素子311と、送信素子311に内部配線を介して接続された送信端子(接続パッド)312と、を有する半導体パッケージである。各メモリデバイス302A〜302Dは、半導体チップからなるメモリセルとしての受信素子321A〜321Dと、受信素子321A〜321Dに内部配線を介して接続された受信端子(接続パッド)322A〜322Dとを有する半導体パッケージである。本実施形態では、1つの送信素子311に対して、それぞれ1つの受信素子321A〜321Dが、1つのバス配線201で電気的に接続されている。
ここで、メモリデバイス302Aは第1受信回路ユニット、メモリデバイス302Dは第2受信回路ユニット、メモリデバイス302Bは第3受信回路ユニット、メモリデバイス302Cは第4受信回路ユニットである。また、受信素子321Aは第1受信素子、受信素子321Dは第2受信素子、受信素子321Bは第3受信素子、受信素子321Cは第4受信素子である。
本実施形態では、各メモリデバイス302A〜302Dは、DDR2−SDRAM(Double Data Rate 2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
メモリコントローラ301の送信素子311は、バス配線201を介して各メモリデバイス302A〜302Dの受信素子321A〜321Dにアドレス/コマンド信号を送信する。各受信素子321A〜321Dは、バス配線201を介してアドレス/コマンド信号を受信する。
マザーボード200は、複数層(例えば2層)の導体層と、導体層間に形成された絶縁体層(誘電体層)とが積層された積層基板である。
バス配線201は、主配線202と、主配線202から2分岐する第1分岐配線としての分岐配線203及び第2分岐配線としての分岐配線204と、を有している。
主配線202の一端には、メモリコントローラ301の送信端子312が電気的に接続されており、主配線202の他端には、分岐配線203の始端および分岐配線204の始端が電気的に接続されている。つまり、分岐配線203,204は、分岐点(接続点)P1で主配線202から分岐している。
主配線202には、ダンピング抵抗304が配設されている。具体的には、主配線202は、部分配線202Aと部分配線202Bとからなり、部分配線202Aの一端がメモリコントローラ301の送信端子312に電気的に接続され、部分配線202Aの他端がダンピング抵抗304の一端に電気的に接続されている。また、部分配線202Bの一端がダンピング抵抗304の他端に電気的に接続され、部分配線202Bの他端が分岐配線203,204の始端に電気的に接続されている。
分岐配線203の終端部211には、メモリデバイス302Aの受信素子321Aが電気的に接続されており、分岐配線204の終端部212には、メモリデバイス302Dの受信素子321Dが電気的に接続されている。
ここで、分岐配線203の終端部211とは、分岐配線203の終端及び終端近傍の部分であり、例えば、終端の位置と、終端から始端に向かって5[mm]程度の位置との間の範囲である。また、分岐配線204の終端部212とは、分岐配線204の終端及び終端近傍の部分であり、例えば、終端の位置と、終端から始端に向かって5[mm]程度の位置との間の範囲である。本実施形態では、メモリデバイス302Aの受信端子322Aは、分岐配線203の終端に接続され、メモリデバイス302Dの受信端子322Dは、分岐配線204の終端に接続されている。
また、分岐配線203の始端と終端との間の中間に位置する分岐点P2には、配線205を介してメモリデバイス302Bの受信端子322Bが電気的に接続されている。また、分岐配線204の始端と終端との間の中間に位置する分岐点P3には、配線206を介してメモリデバイス302Cの受信端子322Cが電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、メモリデバイス302Aが1つとしたが、複数であってもよい。同様に、メモリデバイス302Dが1つとしたが、複数であってもよい。また、メモリデバイス302Bがとしたが、複数であってもよく、メモリデバイス302Cが1つとしたが、複数であってもよい。また、メモリデバイス302Bが省略されていてもよく、また、メモリデバイス302Cが省略されていてもよい。
バス配線201は、不等長T分岐配線構造となっている。即ち、分岐配線203の始端から終端までの配線長と、分岐配線204の始端から終端までの配線長とが異なっている。分岐配線203の始端から終端までの配線長をL1、分岐配線204の始端から終端までの配線長をL2とする。本実施形態では、分岐配線204の配線長L2が、分岐配線203の配線長L1よりも長い。
したがって、終端抵抗303は、分岐配線203,204のうち相対的に配線長が長い方の分岐配線204にのみ接続されている。詳述すると、終端抵抗303は、分岐配線204の終端部212にのみ電気的に接続されている。即ち、終端抵抗303の一端が、分岐配線204の終端又は終端近傍に電気的に接続され、終端抵抗303の他端が、終端電位が印加される終端配線210に電気的に接続される。本実施形態では、終端抵抗303の一端は、配線207を介して分岐配線204の終端近傍の分岐点P4に電気的に接続されている。
なお、分岐配線203,204のうち相対的に配線長が長い方の分岐配線が分岐配線203の場合には、終端抵抗303は、分岐配線203の終端部211、例えば分岐点P5に電気的に接続される。分岐点P1〜P5は、例えばヴィア等で構成されている。
分岐配線203は、分岐点P1と分岐点P2との間の部分配線203A、分岐点P2と分岐点P5との間の部分配線203B、分岐点P5とメモリデバイス302Aとの間の部分配線203Cで構成されている。また、分岐配線204は、分岐点P1と分岐点P3との間の部分配線204A、分岐点P3と分岐点P4との間の部分配線204B、分岐点P4とメモリデバイス302Dとの間の部分配線204Cで構成されている。
不等長T分岐配線構造のバス配線において、メモリデバイスにおける信号の波形を決める要因として、3つの信号成分があると考えられる。1つ目は、送信素子から受信素子へ最初に伝わる信号成分、2つ目は、その信号成分の反射波が配線分岐によりマイナスの反射波となった信号成分、3つ目は、他の受信素子からのプラスの反射波の信号成分である。
ここで、マイナスの反射波とは、入射波の電圧振幅に対して逆符号の反射波であり、入射波に反射波が重畳して、信号振幅が小さくなる。一方、プラスの反射波とは、入射波と反射波の電圧振幅が同符号であり、入射波に反射波が重畳して信号振幅が大きくなる。
信号のリンギングの主要因は、配線分岐によりマイナスの反射波となった信号成分と、他の受信素子からのプラスの反射波の信号成分との遅延差で生成されることを見出した。この知見に基づき、反射波がメモリデバイス302A〜302Dの動作上、影響を及ぼさないように終端抵抗303の接続位置を、配線長が長い方の分岐配線204の終端部212に決定した。
図11は、比較例1のプリント回路板の一例であるメモリシステムを示す模式図である。なお、比較例1のメモリシステムにおいて、終端抵抗303の接続位置が本第1実施形態と異なるものであり、その他の構成は、本第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。この図11に示す比較例1のメモリシステムにおいて、終端抵抗303は、配線208を介して分岐点P1に電気的に接続されている。つまり、図11に示す配線構造は、トポロジーに対して線対称となる分岐点P1に終端抵抗303が接続された構造である。
この比較例1のメモリシステムの不等長T分岐トポロジーにおけるリンギングのメカニズムについて説明する。図12は、比較例1のメモリシステムにおけるリンギングの発生メカニズムを説明するための図である。
図12(a)は、メモリシステムの配線構成を示すトポロジー図である。図12(b)は、各受信素子321A〜321Dが受信する信号の波形図である。各受信素子321A,321B,321C,321Dが受信する信号S−2a,S−2b,S−2c,S−2dの波形を分析すると、波形の乱れが大きいのは、分岐点P1から最も遠い受信素子321A,321Dが受信する信号S−2a,S−2dであった。更に、分岐点P1に近い受信素子321B,321Cが受信する信号S−2b,S−2cの波形は、信号S−2a,S−2dの波形に追随しているだけと分析した。
図12(c)は、図12(a)の配線構成においてメモリデバイス302B,302Cを省略し、信号の波形の乱れが大きいメモリデバイス302A,302Dだけに単純化した配線構成を示すトポロジー図である。図12(d)は、図12(c)の配線構成において、受信素子321A,321Dが受信する信号S−2a,S−2dの波形図である。図12(b)と図12(d)との信号S−2a,S−2dの波形を比較すると、同様な傾向が見られることから、図12(c)の単純化した配線トポロジーでリンギングの要因を更に分析した。
図12(d)に示す信号S−2a,S−2dの波形の立ち上がり直後の波形の乱れ(電圧の変化)が、スキューに対して最も大きい影響を与えていると考えられる。まず、この立ち上がり直後の波形の乱れは、3種類の信号波形の重ね合わせで考えられると仮定した。
(1)送信素子から受信素子へ初めに伝わる信号成分(第1波)。(2)受信素子で反射した第1波が分岐点P1で反射して受信素子に戻る信号成分(第2波)。(3)他方の受信素子で反射した第1波が受信素子に伝わる信号成分(第3波)。
図13は、比較例1における3種類の信号成分により分岐配線が短い側の受信素子321Aで観測される波形を説明するための図である。
図13(a)は、第1波を示す模式図である。経路A−2aは、第1波の信号経路を示す。第1波は、送信素子311から送出されてダンピング抵抗304により減衰し、分岐点P1での配線分岐により更に振幅が下がった状態で受信素子321Aに到達する。受信素子321Aは高いインピーダンス状態であり、インピーダンス無限大で近似され、第1波である信号成分は受信素子321Aで全反射する。全反射することにより、受信素子321Aに伝わった第1波は2倍の振幅波形となる。送信素子311から受信素子321Aへの第1波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)となる。ここで、各T202A,T202Bは各配線202A,202Bを通過する信号の遅延時間、T203ABは、配線203A及び配線203Bを通過する信号の遅延時間である。T203Cは、配線203Cを通過する信号の遅延時間である。
各配線の遅延時間T[ps]は、単位長さ当たりの遅延時間τ[ps/mm]と配線の長さL[mm]から、T=τ×Lで求められる。この単位長さ当たりの遅延時間は、FR−4(誘電率が4程度)を用いたプリント配線板では、τは6.0〜7.0[ps/mm]である。
図13(b)は、第2波を示す模式図である。経路B−2aは、第2波の信号経路を示す。第2波は、受信素子321Aで反射した第1波が、分岐点P1において再度反射し、受信素子321Aに戻る信号成分である。この第2波の振幅は、第1波の信号振幅に対する分岐点P1における反射係数により決まる。反射係数は、分岐点P1を境界として、前後の配線の特性インピーダンスから求められる。配線203A,203Bの特性インピーダンスに対して、3分岐後の配線の特性インピーダンスは低くなるため、反射係数は負の値となる。つまり、振幅が反転して反射する。ここでは、マイナスの振幅と呼ぶこととする。第1波よりも小さいマイナス振幅の信号で、受信素子321Aにおいては高いインピーダンス状態で全反射するため、伝わった信号の2倍のマイナス振幅波形となる。この第2波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)+(T203C+T203AB)+(T203AB+T203C)となる。
図13(c)は、第3波を示す模式図である。経路C−2aは、第3波の信号経路を示す。第3波は、送信素子311から受信素子321Dへの第1波が反射し、分岐点P1を透過し、受信素子321Aに伝わる信号成分である。この第3波の振幅は、第1波の信号振幅に対する分岐点P1における透過係数により決まり、第1波よりも小さい振幅の信号で、受信素子321Dにおいては高いインピーダンス状態で全反射するため、伝わった信号の2倍の振幅波形となる。この第3波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T204AB+T204C)+(T204C+T204AB)+(T203AB+T203C)となる。ここで、T204ABは、配線204A及び配線204Bを通過する信号の遅延時間である。T204Cは、配線204Cを通過する信号の遅延時間である。
図13(d)は、第1波SA−2a、第2波SB−2a、第3波SC−2aによって、受信素子321Aで観測される信号の波形図である。この図13(d)には、3つの波を合成した信号波S−2aが図示されている。図12(c)に示したトポロジーでは、分岐配線204が分岐配線203よりも長い不等長T分岐配配線である。分岐配線203と分岐配線204との長さの差によって、第2波SB−2aと第3波SC−2aが受信素子321Aに到達する時刻が異なる。受信素子321Aでは、第1波SA−2aが到着後、第2波SB−2aが到着する。第2波SB−2aはマイナスの振幅のため、信号波S−2aの電圧が降下する。その後、第3波SC−2aが到着し、信号波S−2aの電圧が上昇する。
図14は、比較例1における3種類の信号成分により分岐配線が長い側の受信素子321Dで観測される波形を説明するための図である。
図14(a)は、第1波を示す模式図である。経路A−2dは、第1波の信号経路を示す。第1波は、送信素子311から送出されてダンピング抵抗304により減衰し、分岐点P1での配線分岐により更に振幅が下がった状態で受信素子321Dに到達する。受信素子321Dは高いインピーダンス状態であり、インピーダンス無限大で近似され、第1波である信号成分は受信素子321Dで全反射する。全反射することにより、受信素子321Dに伝わった第1波は2倍の振幅波形となる。送信素子311から受信素子321Dへの第1波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T204AB+T204C)となる。
図14(b)は、第2波を示す模式図である。経路B−2dは、第2波の信号経路を示す。第2波は、受信素子321Dで反射した第1波が、分岐点P1において再度反射し、受信素子321Dに戻る信号成分である。第2波は、第1波よりも小さいマイナス振幅の信号である。第2波は、受信素子321Dにおいては高いインピーダンス状態であるので全反射する。そのため、第2波は、伝わった信号の2倍のマイナス振幅波形となる。この第2波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T204AB+T204C)+(T204C+T204AB)+(T204AB+T204C)となる。
図14(c)は、第3波を示す模式図である。経路C−2dは、第3波の信号経路を示す。第3波は、送信素子311から受信素子321Aへの第1波が反射し、分岐点P1を透過し、受信素子321Dに伝わる信号である。この第3波は、第1波よりも小さい振幅の信号で、受信素子321Aにおいては高いインピーダンス状態で全反射するため、伝わった信号の2倍の振幅波形となる。この第3波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)+(T203C+T203AB)+(T204AB+T204C)となる。
図14(d)は、第1波SA−2d、第2波SB−2d、第3波SC−2dによって、受信素子321Dで観測される信号の波形図である。この図14(d)には、3つの波を合成した信号波S−2dが図示されている。図12(c)に示したトポロジーでは、分岐配線204が分岐配線203よりも長い不等長T分岐配配線である。分岐配線203と分岐配線204との長さの差によって、第2波SB−2dと第3波SC−2dが受信素子321Dに到達する時刻が異なる。受信素子321Dでは、第1波SA−2dが到着後、第3波SC−2dが到着する。第3波SC−2dによって、信号波S−2dの電圧が上昇する。その後、第2波SB−2dが到着し、信号波S−2dの電圧が降下する。
図15は、比較例1における第1受信素子である受信素子321A及び第2受信素子である受信素子321Dで観測される信号波S−2a,S−2dの波形を示す模式図である。
信号波S−2a,S−2dの波形を分析し改善策を検討した。配線長が短い分岐配線203に接続された受信素子321Aにおける信号S−2aの波形では、反射波である第2波SB−2aにより振幅が小さくなり過ぎることを改善するために、第1波SA−2aの信号振幅を上げることで波形の乱れを改善できることを見出した。
一方、配線長が長い分岐配線204に接続された受信素子321Dにおける信号S−2dの波形では、第1波SA−2dと第3波SC−2dにより振幅が大きくなり過ぎることを改善するために、信号振幅を下げることで波形の乱れを改善できることを見出した。
ここで更に、振幅に影響を与えているのは分岐配線の配線長以外に、終端抵抗の接続位置であることにも着目した。分岐配線が短い側の受信素子321Aから終端抵抗303を遠ざけることによって、信号振幅を上げることができ、分岐配線が長い側の受信素子321Dに終端抵抗303を近づけることによって、信号振幅を下げることができることを見出した。
従って、本実施形態では、リンギングの要因を抑制するために、分岐点P1から最も遠い受信素子321Aの近くに終端抵抗303を設けた。
図3は、本発明の第1実施形態に係るメモリシステムにおいて、分岐配線が短い側の受信素子321Aで観測される波形を説明するための図である。
図3(a)は、第1波を示す模式図である。経路A−2aは第1波の信号経路を示す。第1波は、送信素子311から送出されてダンピング抵抗304により減衰し、分岐点P1での配線分岐により更に振幅が下がった状態で受信素子321Aに到達する。但し、比較例1と異なり、分岐点P1に終端抵抗303がないため、第1波の振幅の低下は、比較例1よりも小さい。受信素子321Aは高いインピーダンス状態であり、インピーダンス無限大で近似され、第1波である信号成分は受信素子321Aで全反射する。全反射することにより、受信素子321Aに伝わった第1波は2倍の振幅波形となる。送信素子311から受信素子321Aへの信号の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)となる。
図3(b)は、第2波を示す模式図である。経路B−2aは、第2波の信号経路を示す。第2波は、受信素子321Aで反射した第1波が分岐点P1で再度反射して受信素子321Aに戻る信号成分である。この第2波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)+(T203C+T203AB)+(T203AB+T203C)となる。
図3(c)は、第3波を示す模式図である。経路C−2aは、第3波の信号経路を示す。受信素子321Dに終端抵抗303が設けられており、分岐配線204の特性インピーダンスと終端抵抗303の抵抗値とが略等しい場合には、第3波は発生しないと考えてよい。
図3(d)は、第1波SA−2a及び第2波SB−2aによって、受信素子321Aで観測される信号の波形図である。この図3(d)には、2つの波を合成した信号波S−2aが図示されている。受信素子321Aでは、第1波SA−2aが到着後、第2波SB−2aが到着する。第2波SB−2aはマイナスの振幅のため、信号波S−2aの電圧が降下するが、第1波SA−2aが比較例1よりも大きいため、比較例1よりも波形の乱れが改善する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るメモリシステムにおいて、分岐配線が長い側の受信素子321Dで観測される波形を説明するための図である。
図4(a)は、第1波を示す模式図である。経路A−2dは、第1波の信号経路を示す。第1波は、送信素子311から送出されてダンピング抵抗304により減衰し、分岐点P1での配線分岐により更に振幅が下がった状態で受信素子321Dに到達する。但し、比較例1と異なり、分岐点P1に終端抵抗303がないため、第1波の振幅の低下は、比較例1よりも小さい。受信素子321Dには、終端抵抗303があるため、分岐配線204の特性インピーダンスと終端抵抗303の抵抗値とが略等しい場合には、反射波は発生しない。送信素子311から受信素子321Dへの第1波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T204AB+T204C)となる。
図4(b)は、第2波を示す模式図である。経路B−2dは、第2波の信号経路を示す。第2波は、受信素子321Dに終端抵抗303があるため、分岐配線204の特性インピーダンスと終端抵抗303の抵抗値とが略等しい場合には反射波はほぼ発生しない。従って第2波は発生しないと考えてよい。
図4(c)は、第3波を示す模式図である。経路C−2dは、第3波の信号経路を示す。第3波は、送信素子311から受信素子321Aへの第1波が、受信素子321Aで反射し、分岐点P1を透過し、受信素子321Dに伝わる信号成分である。この第3波の振幅は第1波よりも小さい。この第3波の遅延時間は、(T202A+T202B)+(T203AB+T203C)+(T203C+T203AB)+(T204AB+T204C)となる。
図4(d)は、第1波SA−2d及び第3波SC−2dによって、受信素子321Dで観測される信号の波形図である。この図4(d)には、2つの波を合成した信号波S−2dが図示されている。受信素子321Dでは、第1波SA−2dが到着後、第3波SC−2dが到着する。終端抵抗303によって、第1波SA−2dと第3波SC−2dによる見かけ上の信号波S−2dの振幅は比較例1の波形よりも小さくなり、比較例1よりも波形の乱れが改善する。
なお、仮に、分岐配線204の終端部212に接続する代わりに、相対的に配線長が短い分岐配線203の終端部211に終端抵抗303を接続した場合、本実施形態よりも第3波が遅れて到着するため、スキューの改善には至らない。
図5は、第1実施形態における第1受信素子である受信素子321A及び第2受信素子である受信素子321Dで観測される信号波S−2a,S−2dの波形を示す模式図である。本実施形態の構成では、図5に示したように、比較例1と比べ、信号の振幅の改善と、多重反射の低減により、信号の波形の乱れが改善される。
以上、本第1実施形態によれば、分岐配線203よりも配線長が長い分岐配線204の終端部212に終端抵抗303を設けたことで、各受信素子321A〜321Dに到達する信号のリンギングを抑えることが可能となる。その結果、従来のようにミアンダ配線により等長T分岐構造としなくとも、スキューを抑えることが可能となり、高速な信号伝送が実現できる。
また、1つのバス配線201に対して、1つの終端抵抗303を接続する構成であるため、終端抵抗303となる抵抗素子の数が削減され、コストダウンが図られている。
(実施例1)
本実施例1では、上記第1実施形態の構成においてシミュレータを用いてシミュレーションを行った。図6は、実施例1における4つの受信素子321A〜321Dにて受信される信号の波形図である。各受信信号の波形は、コンピュータシミュレーションによって算出した。シミュレータは、Synopsys社製のHSPICEを用いた。
本実施例1では、上記第1実施形態の構成においてシミュレータを用いてシミュレーションを行った。図6は、実施例1における4つの受信素子321A〜321Dにて受信される信号の波形図である。各受信信号の波形は、コンピュータシミュレーションによって算出した。シミュレータは、Synopsys社製のHSPICEを用いた。
実施例1の波形シミュレーションに用いた各パラメータについて説明する。送信素子311は、出力インピーダンスを18[Ω]、出力容量を3[pF]とした。送信素子311が出力する信号は、出力電圧を1.8[V]、データレートを200[Mbps]、立ち上がり時間を100[ps]とした。受信素子321A〜321Dは入力容量を3[pF]とした。
終端抵抗303の抵抗値は56[Ω]とし、終端配線210に印加する終端電位を0.9[V]とした。ダンピング抵抗304の抵抗値は22[Ω]とした。
全ての配線の特性インピーダンスは55[Ω]とし、配線202Aは20[mm]、配線202Bは5[mm]、配線203A,203B,204A,204Bは、それぞれ10[mm],20[mm],30[mm],20[mm]とした。配線203C,205,206,203Dは、全て5[mm]、配線207は10[mm]とした。
本実施例1での論理確定電圧で確認した各受信素子321A〜321Dでのスキューは、約0.9[ns]となった。
一方、図11に示す比較例1の配線構造についても同様にシミュレーションを行った。図16は、比較例1における4つの受信素子321A〜321Dにて受信される信号の波形図である。
比較例1の波形シミュレーションに用いた各パラメータについて説明する。送信素子311は、出力インピーダンスを18[Ω]、出力容量を3[pF]とした。送信素子311が出力する信号は、出力電圧を1.8[V]、データレートを200[Mbps]、立ち上がり時間を100[ps]とした。受信素子321A〜321Dは入力容量を3[pF]とした。
終端抵抗303の抵抗値は56[Ω]とし、終端配線210に印加する終端電位を0.9[V]とした。ダンピング抵抗304の抵抗値は22[Ω]とした。
全ての配線の特性インピーダンスは55[Ω]とし、配線202Aは20[mm]、配線202Bは5[mm]、配線203A,203B,204A,204Bは、全て20[mm]とした。配線203C,205,206,203Dは、全て5[mm]、配線208は10[mm]とした。
比較例1での論理確定電圧で確認した各受信素子321A〜321Dでのスキューは、約1.3[ns]となった。
つまり、本実施例1での論理確定電圧で確認した各受信素子321A〜321Dでのスキューは約0.9[ns]であり、比較例1での論理確定電圧で確認した各受信素子321A〜321Dでのスキュー約1.3[ns]と比較して大きく改善した。このように、図16に示す比較例1の波形と比較して、図6に示す本実施例1の波形は、暴れが小さくなり安定していることが分かる。
図7は、分岐配線203の配線長と分岐配線204の配線長との差(配線長差)に対するスキューの関係を示すグラフである。図7には、実施例1のシミュレーション結果と比較例1のシミュレーション結果の両方を図示している。この図7から、配線長差が10[mm]以上かつ100[mm]以下の範囲において、本実施例1が比較例1よりもスキューが改善されている。なお、シミュレーションでは、配線長差が40[mm]までは、配線203Aと配線204Aとの合計の配線長を40[mm]に維持して、配線203Aと配線204Aの長さを変えることで検証した。配線長差が40[mm]を超える場合は、配線203Aを0[mm]として、配線204Aに配線を付加して検証した。
図8は、分岐配線203,204の特性インピーダンスに対するスキューの関係を示すグラフである。図8には、実施例1のシミュレーション結果と比較例1のシミュレーション結果の両方を図示している。なお、通常、プリント配線板の製造ばらつきを考慮すると、特性インピーダンスは±10%以上ばらつく可能性があり、特性インピーダンスは製造ばらつきの範囲で考える必要がある。また、配線の特性インピーダンスを高くするためには配線幅を微細に加工する必要があり、製造コストを安くするためには製造ばらつきを含めた特性インピーダンスの下限を60[Ω]以下に設定する必要があるが、ここでは80[Ω]まで確認した。分岐配線203,204の特性インピーダンスが30[Ω]以上かつ60[Ω]以下の範囲において、本実施例1が比較例1よりもスキューが改善されている。
図9は、終端抵抗303の抵抗値に対するスキューの関係を示すグラフである。図9には、実施例1のシミュレーション結果と比較例1のシミュレーション結果の両方を図示している。終端抵抗303の抵抗値が、30[Ω]以上かつ200[Ω]以下の範囲において、本実施例1が比較例1よりもスキューが改善されている。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るプリント回路板について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係るプリント回路板の一例であるメモリシステムを示す模式図である。
次に、本発明の第2実施形態に係るプリント回路板について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係るプリント回路板の一例であるメモリシステムを示す模式図である。
メモリシステム1100は、プリント配線板としてのマザーボード1200と、送信回路ユニットとしてのメモリコントローラ301と、を備えている。また、メモリシステム1100は、第1受信回路ユニットとしてのメモリデバイス302Aと、第2受信回路ユニットとしてのメモリデバイス302Dと、を備えている。また、メモリシステム1100は、複数(3つ)の終端抵抗3031〜3033及び複数(3つ)のダンピング抵抗3041〜3043を備えている。
メモリコントローラ301、メモリデバイス302A,302D、終端抵抗3031〜3033及びダンピング抵抗3041〜3043は、マザーボード1200に実装されている。
メモリコントローラ301は、マザーボード1200を介してアドレス信号又はコマンド信号(アドレス/コマンド信号)を各メモリデバイス302A,302Dに送信することで、各メモリデバイス302A,302Dを制御する。
メモリコントローラ301は、半導体チップからなる送信素子3111,3112,3113と、送信素子3111,3112,3113に内部配線を介して接続された送信端子(接続パッド)3121,3122,3123と、を有する半導体パッケージである。本実施形態では、送信素子311は複数(3つ)あり、送信端子312も複数(3つ)ある。
メモリデバイス302Aは、半導体チップからなるメモリセルとしての複数の第1受信素子である複数の受信素子321A1,321A2,321A3を有する半導体パッケージである。メモリデバイス302Aは、受信素子321A1,321A2,321A3に内部配線を介して接続された受信端子(接続パッド)322A1,322A2,322A3を有している。
メモリデバイス302Dは、半導体チップからなるメモリセルとしての複数の第2受信素子である複数の受信素子321D1,321D2,321D3を有する半導体パッケージである。メモリデバイス302Dは、受信素子321D1,321D2,321D3に内部配線を介して接続された受信端子(接続パッド)322D1,322D2,322D3を有している。
メモリシステム1100は、複数の送信素子311に対応した数の第1受信素子321A、第2受信素子321D、終端抵抗303、ダンピング抵抗304を複数備えている。そして、マザーボード1200は、これらに対応した数のバス配線201を複数有している。
つまり、1つの送信素子3111に対して、それぞれ1つの受信素子321A1,321D1が、1つのバス配線2011で電気的に接続されている。同様に、1つの送信素子3112に対して、それぞれ1つの受信素子321A2,321D2が、1つのバス配線2012で電気的に接続されている。同様に、1つの送信素子3113に対して、それぞれ1つの受信素子321A3,321D3が、1つのバス配線2013で電気的に接続されている。
本実施形態では、各メモリデバイス302A,302Dは、DDR2−SDRAM(Double Data Rate 2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
マザーボード1200は、複数層(例えば2層)の導体層と、導体層間に形成された絶縁体層(誘電体層)とが積層された積層基板である。
バス配線2011〜2013は、主配線2021〜2023と、主配線2021〜2023から2分岐する第1分岐配線としての分岐配線2031〜2033及び第2分岐配線としての分岐配線2041〜2043と、を有している。
主配線2021〜2023の一端には、メモリコントローラ301の送信端子3121〜3123が電気的に接続されている。主配線2021〜2023の他端には、分岐配線2031〜2033の始端及び分岐配線2041〜2043の始端が電気的に接続されている。つまり、分岐配線2031〜2033,2041〜2043は、分岐点(接続点)P11〜P13で主配線2021〜2023から分岐している。主配線2021〜2023には、ダンピング抵抗3041〜3043が配設されている。
分岐配線2031〜2033の終端部には、メモリデバイス302Aの受信素子321A1〜321A3が電気的に接続されており、分岐配線2041〜2043の終端部には、メモリデバイス302Dの受信素子321D1〜321D3が電気的に接続されている。
ここで、分岐配線2031〜2033の終端部とは、分岐配線2031〜2033の終端及び終端近傍の部分であり、例えば、終端の位置と、終端から始端に向かって5[mm]程度の位置との間の範囲である。また、分岐配線2041〜2043の終端部とは、分岐配線2041〜2043の終端及び終端近傍の部分であり、例えば、終端の位置と、終端から始端に向かって5[mm]程度の位置との間の範囲である。
本実施形態では、メモリデバイス302Aの受信端子322A1〜322A3は、分岐配線2031〜2033の終端に接続され、メモリデバイス302Dの受信端子322D1〜322D3は、分岐配線2041〜2043の終端に接続されている。
バス配線2011,2013は、不等長T分岐配線構造となっている。一方、バス配線2012は、等長T分岐配線構造となっている。即ち、分岐配線2031の始端から終端までの配線長と分岐配線2041の始端から終端までの配線長とが異なり、分岐配線2033の始端から終端までの配線長と分岐配線2043の始端から終端までの配線長とが異なる。また、分岐配線2032の始端から終端までの配線長と分岐配線2042の始端から終端までの配線長とが同一である。本第2実施形態では、分岐配線2041の配線長が、分岐配線2031の配線長よりも長く、分岐配線2033の配線長が、分岐配線2043の配線長よりも長い。
したがって、終端抵抗3031は、分岐配線2031,2041のうち相対的に配線長が長い方の分岐配線2041にのみ接続されている。また、終端抵抗3033は、分岐配線2033,2043のうち相対的に配線長が長い方の分岐配線2033にのみ接続されている。詳述すると、終端抵抗3031は、分岐配線2041の終端部にのみ電気的に接続されており、終端抵抗3033は、分岐配線2033の終端部にのみ電気的に接続されている。即ち、終端抵抗3031の一端が、分岐配線2041の終端又は終端近傍に電気的に接続され、終端抵抗3031の他端が、終端電位が印加される終端配線2101に電気的に接続される。また、終端抵抗3033の一端が、分岐配線2033の終端又は終端近傍に電気的に接続され、終端抵抗3033の他端が、終端電位が印加される終端配線2103に電気的に接続される。本実施形態では、終端抵抗3031の一端は、配線2071を介して分岐配線2041の終端近傍の分岐点P41に電気的に接続されており、終端抵抗3033の一端は、配線2073を介して分岐配線2033の終端近傍の分岐点P53に電気的に接続されている。
なお、終端抵抗3032の一端は、配線2082を介して分岐点P12に電気的に接続され、他端は、終端電位が印加される終端配線2102に電気的に接続されている。接続点P11〜P13、P41〜P43、P51〜P53は、例えばヴィア等で構成されている。
終端抵抗3031は、配線2071が短くなるように、メモリデバイス302Dの近傍の領域R1に配置されており、終端抵抗3033は、配線2073が短くなるように、メモリデバイス302Aの近傍の領域R2に配置されている。終端抵抗3032は、配線2082が短くなるように、メモリデバイス302Aとメモリデバイス302Dとの間の領域R3に配置されている。
ここで、主配線2021〜2023は、部分配線202A1〜202A3と、部分配線202B1〜202B3とで構成されている。分岐配線2031〜2033は、分岐点P11〜P13と分岐点P51〜P53との間の部分配線203A1〜203A3、分岐点P51〜53とメモリデバイス302A1〜302A3との間の部分配線203C1〜203C3で構成されている。また、分岐配線2041〜2043は、分岐点P11〜P13と分岐点P41〜P43との間の部分配線204A1〜204A3、分岐点P41〜43とメモリデバイス302D1〜302D3との間の部分配線204C1〜204C3で構成されている。
なお、メモリシステム1100は、メモリデバイス302A,302Dの他に、更にメモリデバイスを備えていてもよく、各メモリデバイスの受信素子は、分岐配線の始端と終端との中間に接続すればよい。
図17は、比較例2のメモリシステムを示す模式図である。比較例2では、ミアンダ配線291,292を用いて等長T分岐配線を実現している。ミアンダ配線291,292を形成するための領域は、特に、アドレス/コマンド配線のように本数が多い場合には、それだけ多くの領域を必要とする。そのため、配線収容が難くなり、配線領域の拡大や配線層数の増加につながるため、基板のコストが高くなる。
一方、図10の実線で示した主配線2021〜2023、配線203C1〜203C3,204C1〜204C3,2082は第1層に設けられ、破線で示した配線203A1〜203A3,204A1〜204A3,2071,2072は第2層に設けられている。したがって、マザーボード1200の導体層の数は2つであり、また、ミアンダ配線を用いなくてもよいため、基板のコストダウンを図ることができる。
本第2実施形態によれば、以上のバス配線構造において、不等長T分岐配線構造となるバス配線2011,2013を対象に、分岐点P11,P13から最も遠い受信素子321D1,321A3に終端抵抗3031,3033を設けている。これによって、波形のリンギングを抑制できる。また、DDR2−SDRAMの直付けメモリのアドレス/コマンド配線でも、層数が少ないT分岐配線で、配線調整を行わずにリンギングの抑制が実現可能となる。
また、1つのバス配線に対して、1つの終端抵抗を接続する構成であるので、終端抵抗3031〜3033となる抵抗素子の数が削減され、コストダウンが図られている。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記第1、第2実施形態では、プリント回路板が、メモリシステムであり、プリント配線板が、メモリデバイスおよびメモリコントローラが実装されるマザーボードである場合について説明したが、これに限定するものではない。プリント回路板が、プリント配線板としてのモジュール基板と、モジュール基板に実装されたメモリデバイスとで構成されたメモリモジュール(DIMM:Dual Inline Memory Module)であってもよい。この場合、メモリコントローラは、マザーボードに実装されており、メモリモジュールをマザーボードにコネクタ等で接続することにより、メモリコントローラとメモリデバイスとが電気的に接続されることになる。
また、本発明は、メモリシステムやメモリモジュール以外にも、送信素子と受信素子との間で信号の伝送が行われるものについて適用可能である。
100…メモリシステム(プリント回路板)、200…マザーボード(プリント配線板)、201…バス配線、202…主配線、203…分岐配線(第1分岐配線)、204…分岐配線(第2分岐配線)、301…メモリコントローラ(送信回路ユニット)、302A…メモリデバイス(第1受信回路ユニット)、302D…メモリデバイス(第2受信回路ユニット)、303…終端抵抗、311…送信素子、321A…受信素子(第1受信素子)、321D…受信素子(第2受信素子)
Claims (7)
- プリント配線板と、
前記プリント配線板に実装された終端抵抗と、
前記プリント配線板に実装され、送信素子から送信された信号を、前記プリント配線板を介して受信する第1受信素子及び第2受信素子と、を備え、
前記プリント配線板は、一端が前記送信素子に接続される主配線と、前記主配線の他端から分岐する第1分岐配線及び第2分岐配線と、を有するバス配線を備え、
前記第1受信素子は、前記第1分岐配線の終端部に接続され、
前記第2受信素子は、前記第2分岐配線の終端部に接続され、
前記終端抵抗は、前記第1分岐配線及び前記第2分岐配線のうち、配線長が長い方の分岐配線の終端部にのみ接続されていることを特徴とするプリント回路板。 - 前記第1分岐配線と前記第2分岐配線との配線長の差が、10[mm]以上かつ100[mm]以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板。
- 前記第1分岐配線及び前記第2分岐配線の特性インピーダンスが、30[Ω]以上かつ60[Ω]以下であり、
前記終端抵抗の抵抗値が、30[Ω]以上かつ200[Ω]以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント回路板。 - 前記送信素子を有して送信回路ユニットが構成されており、
前記送信回路ユニットが、前記プリント配線板に実装されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント回路板。 - 複数の前記第1受信素子を有して第1受信回路ユニットが構成され、
前記第1受信素子に対応する数の前記第2受信素子を有して第2受信回路ユニットが構成され、
前記バス配線及び前記終端抵抗を、前記第1受信素子及び前記第2受信素子に対応して複数備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント回路板。 - 前記第1受信回路ユニット及び前記第2受信回路ユニットが、メモリコントローラにより制御されるメモリデバイスであることを特徴とする請求項5に記載のプリント回路板。
- 前記メモリデバイスが、DDR2−SDRAMであることを特徴とする請求項6に記載のプリント回路板。
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JP2013029576A Pending JP2014160296A (ja) | 2013-02-19 | 2013-02-19 | プリント回路板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014160296A (ja) |
-
2013
- 2013-02-19 JP JP2013029576A patent/JP2014160296A/ja active Pending
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