JP2014159915A - 自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク - Google Patents

自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク Download PDF

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Abstract

【課題】低温環境下においてもヒートパイプの正常な作動を確保することが可能であると共に、取付け角度に対する対応性が高い自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクを提供すること。
【解決手段】複数本のヒートパイプ本体16を、互いに平行に所定の距離を隔てて同一平面上に配列して、それらヒートパイプ本体16の一方の端部をパイプ状の受熱ヘッダ14にそれぞれ連通するように立設し、更にそれらヒートパイプ本体16と受熱ヘッダ14に作動液と非凝縮性ガスとを封入してヒートパイプを構成し、それらヒートパイプ本体16の外周面に、ヒートパイプ本体16の軸心に対して所定の角度をもって傾斜した多数の放熱フィン18を所定の間隙をおいて取り付けると共に、受熱ヘッダ14を冷却対象であるLED素子20が取り付けられた受熱ブロック12に密着固定して、ヒートパイプ式ヒートシンク10を構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクに係り、特に、野球場やテニスコート等の屋外競技場で使用されるLED照明器の冷却用として好適に用いられるヒートパイプ式ヒートシンクであって、低温環境下においてもヒートパイプの正常な作動を確保することが可能であると共に、LED照明器の取付け方向に対する対応性が高いヒートパイプ式ヒートシンクに関するものである。
従来、野球場やテニスコート等の屋外競技場で使用されるような照明器は、大容量の光源からの光で所定領域を照明するものであって、日常用いられる汎用の照明装置とは異なり、大きな光量を必要とするために、光源には、例えばハロゲンランプや水銀灯が用いられてきているのであるが、それらハロゲンランプや水銀灯は、寿命が短いという問題点がある。
一方、近年では、長寿命のパワーLEDを用いたLED素子の大光量化が進んでおり、この超高輝度LED素子を用いることにより、大光量を必要とする照明にも対応が可能となってきている。しかしながら、LED素子は、従来からのハロゲンランプや水銀灯とは異なり、温度上昇に伴う性能劣化を防止するために、放熱が必要となるところから、一般に、LED素子を設けた部材に対して、ヒートパイプと放熱フィンを組合わせてなる放熱構造(ヒートパイプ式ヒートシンク)を配設する対策が、採用されることとなる。
そして、そのようなヒートパイプ式ヒートシンクの一つとして、古河電工株式会社のホームページ(http://www.furukawa.co.jp/what/2012/ele#120823.htm)には、ヒートパイプに対して、その軸方向に多数の放熱フィンを一体的に取り付けてなる組立体を用い、それを、発熱体(LED素子)に設置される受熱ブロックに対して、垂直方向に向かって延出するように取り付けてなるものが、明らかにされている。また、それは、天井照明用LED冷却器として、鉛直方向に設置せしめられるようになっているのである。
従って、そこでは、発熱体となるLED素子で発生した熱は、かかるLED素子から受熱ブロックへ伝達され、そして受熱ブロックに伝達された熱が、受熱ブロックに取り付けられたヒートパイプに伝達されて、その一方の端部側(吸熱部側)から他端側(放熱部側)へ移動し、更に放熱フィンを介して、外気に放出されることによって、放熱乃至は除熱されるようになっているのであるが、かかるLED冷却器は、その取付角度によって、その冷却機能を充分に果たし得なくなるという問題を内在しているのである。即ち、そのようなLED冷却器では、放熱フィン間を流れる空気の自然対流によって、放熱(冷却)が行われるようにした自然空冷方式が採用されているため、放熱フィンが重力に対して平行となる方向(鉛直方向)に位置するように、LED冷却器が設置されるようになっているところから、その照明の向きを90°傾けると、放熱フィンの向きが重力方向に対して直角となり、このため放熱フィン間の空気の自然対流が阻害されることとなって、放熱性能が著しく低下するという問題が惹起されることとなるのである。
一方、かくの如きヒートパイプにおける環境問題への対策として、ヒートパイプ内に封入される作動流体(作動液)として、水を使用するケースが増えてきているのであるが、作動流体として水を使用する場合において、低温環境下、つまり、周囲温度が0℃以下となるような環境下で用いられたときに、作動流体である水が、受熱側とは反対側となるヒートパイプの放熱側の端部や放熱フィンが設けられている部分において凍結してしまい、その結果、ヒートパイプとしての機能を奏し得なくなるという問題がある。
このため、特開平7−190655号公報や特開平11−289039号公報等においては、作動液として水を使用する通常のヒートパイプと、ヒートパイプのコンテナ内に、作動流体(純水)と共に、非凝縮性ガスを封入してなる可変コンダクタンスヒートパイプ(VCHP:Variable Conductance Heat Pipe)とを併用し、それら通常のヒートパイプと可変コンダクタンスヒートパイプとが吸熱ブロックに対して並列に配置されてなる構成のヒートパイプ式ヒートシンクが、提案されている。このような構成とされたヒートパイプ式ヒートシンクによれば、周囲の温度が0℃から大幅に下がった状態で発熱体が熱を発すると、通常のヒートパイプにおいては、凍結していた作動流体(純水)が融け、その一部は蒸発してヒートパイプの他端側へと移動しようとすることとなるが、可変コンダクタンスヒートパイプにおいては、前記した通常のヒートパイプと同様に、凍結した作動流体が融けて、その一部が蒸発することとなっても、ヒートパイプのコンテナ内には非凝縮性ガスが封入されているところから、分圧の低い水蒸気は、上方の他端側へ移動することが出来ず、そのために、放熱フィンの部位で、作動流体が凍結するようなことが効果的に防止され、以て低温環境下においても、ヒートパイプ本来の機能を維持することが出来ることとなる。
しかしながら、それら通常のヒートパイプと可変コンダクタンスヒートパイプの2種類を併用したヒートパイプ式ヒートシンクにあっては、上述したような低温環境下では、可変コンダクタンスヒートパイプは機能するものの、通常のヒートパイプは機能しなくなるのであり、このため、ヒートシンクに対するヒートパイプの設置本数の割りに、放熱性能は低いものとなる問題があり、また通常のヒートパイプと可変コンダクタンスヒートパイプとでは、上述せるように、ヒートパイプ内における作動流体の動作に差異があるために、低温環境下(冬季)以外の通常の雰囲気で使用される際には、最適な放熱部構造にすることが困難となるといった問題も、内在している。
そこで、本発明者らは、そのような新たに惹起される問題に対処すべく、先に、特開2005−214565号公報において、新たなヒートパイプ式ヒートシンクの構成を明らかにした。即ち、ヒートパイプとして、可変コンダクタンスヒートパイプを用いたヒートパイプ式ヒートシンクにおいて、かかるヒートパイプを、水平面に対して5°〜20°の角度をもって傾斜させて、配置せしめるようにした構造のものを、明らかにしたのである。そして、そのような構成を採用することによって、低温環境下における放冷性能を高度に確保せしめ、且つ、鉛直方向における設置スペースを狭くすることを可能ならしめたのである。
また、特開2004−125381号公報においては、複数の細いパイプの底部を断面積の大きなタンクの側面に立設させて接合し、それらタンクとパイプ内に冷媒を封入すると共に、複数のフィンを、かかる複数の細いパイプを貫通させて、取り付けてなるヒートパイプユニットと共に、そのようなヒートパイプユニットのタンク部分を金属製のベースブロックに埋め込んで、所謂ヘッダー付きヒートパイプ式ヒートシンクとしたヒートパイプ冷却器が、明らかにされている。このような構成のヒートパイプ冷却器によれば、複数の細いパイプをタンクを使用して一体結合することによって、フィン側の冷却効率を向上させることが可能となり、ヒートシンク全体の冷却効率が向上せしめられることとなる。また、半導体素子から発生する熱を、熱伝導性の良い金属製のベースブロックに伝熱し、かかるベースブロック中で均一に分散させて、多数の細いパイプを経由して放熱させるようになっているため、装置の構造が簡単で、製作し易く、小型である割には、冷却性能を高くすることが可能となる特徴を発揮し得るとされている。
しかしながら、かかるヒートパイプ冷却器にあっては、ヒートパイプ内部に封入する作動液として、水やフルオロカーボン等の冷媒液が用いられているため、前述したような低温環境下においては、作動液(水)が凍結して、ヒートパイプ冷却器の本来の機能を発揮することが出来なくなるという問題を内在するものとなる。また、そのような問題の発生を回避すべく、作動液と共に非凝縮性ガスを封入して、可変コンダクタンスヒートパイプ構造とすると、そのようなヒートパイプ冷却器を鉄道車両等において使用した場合に、車両が傾斜して、ヒートパイプ冷却器本体も傾斜するようなことがあると、冷媒(作動液)がタンク内やパイプ内で片寄ってしまい、そしてそのように作動液が片寄った側のパイプ内において非凝縮性ガスが不足してしまい、可変コンダクタンスヒートパイプとしての充分な機能を発揮することが困難となる等の問題が惹起されることとなる。
特開平7−190655号公報 特開平11−289039号公報 特開2005−214565号公報 特開2004−125381号公報
古河電工株式会社ニュースリリース"エヌ・テック パワーLED用 軽量で小型のヒートパイプ放熱器「スタンドキッカー」を開発"、[online]、2012年8月23日、古河電工株式会社、[平成25年1月31日検索]、インターネット<URL:http://www.furukawa.co.jp/what/2012/ele#120823.htm>
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、低温環境下においてもヒートパイプの正常な作動を確保することが可能であると共に、取付け角度に対する対応性が高い自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクを提供することにあり、また、他の課題とするところは、LEDからの発熱を効率良く受熱し、小型・軽量化が容易なLED照明器用ヒートパイプ式ヒートシンクを提供することにある。
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、複数本のヒートパイプ本体を互いに平行に所定の距離を隔てて同一平面上に配列して、それらヒートパイプ本体の外周面に多数の放熱フィンを所定の間隙をおいて取り付けることにより、それらヒートパイプ本体が連結されてなると共に、それらヒートパイプ本体の一方の端部をそれぞれ受熱ブロックに配設したパイプ状の受熱ヘッダに連結して連通せしめ、更にそれらヒートパイプ本体と受熱ヘッダに作動液及び非凝縮性ガスを封入してなる構造のヒートパイプ式ヒートシンクにおいて、前記多数の放熱フィンが、それぞれ、前記ヒートパイプ本体の軸に直交する方向の面に対して傾斜した形態において互いに平行に取り付けられて、それら傾斜した放熱フィン間を流れる空気によって該ヒートパイプ本体の冷却が行われるようにしたことを特徴とする自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクを、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクの望ましい態様の一つにあっては、前記放熱フィンの傾斜角度が、20°〜70°となるように構成され、また、前記複数本のヒートパイプ本体が、前記受熱ブロックに対して70°〜90°の角度をもって立設せしめられるように構成されることとなる。
また、そのような本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクの望ましい態様の他の一つにおいては、前記受熱ヘッダの複数が前記受熱ブロックに互いに平行に配設されて、それら受熱ヘッダに対して、それぞれ、前記ヒートパイプ本体の複数本が連通するように立設せしめられていると共に、かかる複数の受熱ヘッダに立設されたそれぞれ複数本のヒートパイプ本体に対して、前記放熱フィンが傾斜してそれぞれ取り付けられて、それら複数の受熱ヘッダに立設された複数本のヒートパイプ本体同士が連結されている。
さらに、本発明の別の望ましい態様によれば、前記受熱ヘッダの一つに立設された前記複数本のヒートパイプ本体の他方の端部が、1本のパイプにて連結されて、相互に連通せる形態とされている。
そして、本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクは、屋外に設置されるLED照明器の冷却用として好適に用いられ、そこでは、かかるLED照明器におけるLED素子が、前記受熱ブロックの前記受熱ヘッダ配設側とは反対側の面に設置される構成が有利に採用されることとなる。
このように、本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクにあっては、受熱ブロックに立設せしめてなる形態の複数本ヒートパイプ本体に対して、多数の放熱フィンが傾斜した形態において、所定の間隙をおいて互いに平行に取り付けられてなる構造とされているところから、そのようなヒートシンクを、そのヒートパイプ本体が垂直方向となる垂直設置の状態から、ヒートパイプ本体が水平方向となる水平設置の状態にまで変化させて、設置しても、ヒートパイプ本体の外周面に取り付けられた傾斜した放熱フィン間における空気の流れは阻害されることなく、放熱フィン間においては、良好な自然対流が実現され得ることとなるのであり、以て、自然対流による冷却が有利に実現され得ることによって、例えばLED照明器による照明角度を鉛直方向から水平方向に至る90°の範囲内で任意の角度に設定しても、同一ヒートシンクにて有効な放熱が可能となり、そのようなヒートシンクの取り付け角度に対する対応性が、有利に高められ得ることとなったのである。
しかも、ヒートパイプ本体が垂直方向(鉛直方向)となるようなヒートシンクの垂直設置により、LED照明器(投光器)の本体を垂直(下向き)に設置した際にあっても、ヒートパイプ本体に取り付けた傾斜した放熱フィンは、水平状態とはならないために、かかるLED照明器等の屋外設置に伴った粉塵等が、放熱フィン間に堆積し、その放熱性能を低下させるような問題は、何等惹起されることがないのであり、例え若干の粉塵等が放熱フィンの表面に付着したとしても、雨天時の雨にて洗い流されることとなるのであり、これによって放熱性能の低下も、効果的に抑制することが出来ることとなったのである。
また、かかる本発明に従うヒートパイプ式ヒートシンクによれば、受熱ブロックに配設したパイプ状の受熱ヘッダに対して複数本のヒートパイプ本体を立設せしめてなる形態において、所謂ヘッダ付き可変コンダクタンスヒートパイプ構造とされているところから、受熱ブロックに伝達された熱を受熱ブロック内で均一に分散させて、かかる受熱ブロックに配設されたパイプ状の受熱ヘッダから、それに連結されたヒートパイプ本体に作動液を介して伝熱し、さらにそれぞれのヒートパイプ本体に取り付けられた傾斜放熱フィンを介して効果的に放熱せしめられ得ることとなり、以て、放熱性能が効果的に高められ得るのであり、加えて、冷却を行う発熱体の発熱量の増大に対応してヒートパイプ本体の設置本数(配置密度)を増やすことによって、ヒートシンクの放熱性能を有利に高めることが出来るようになっている。
さらに、本発明に従うヒートパイプ式ヒートシンクは、可変コンダクタンスヒートパイプ構造を採用しているところから、冬季の氷点下のような低温環境下においても、放熱側での作動流体(水)の凍結を確実に防止することが可能となるのであり、このため、そのような低温環境下においても、ヒートパイプの機能を有利に発揮することが出来、野球場やテニスコート等の屋外競技場で使用されるLED照明器に取り付けるヒートパイプ式ヒートシンクとして有用なものとなるのである。
特に、本発明に係る有利な態様に従って、受熱ブロックに配設されるパイプ状の受熱ヘッダを複数として、それら複数の受熱ヘッダに連通せしめられたそれぞれ複数本のヒートパイプ本体を同じ放熱フィンに取り付け、固定せしめるようにすることによって、傾斜した放熱フィンとヒートパイプ本体との接触部を効果的に安定化した支持構造とすることが出来、これによって、傾斜放熱フィンの固定・保持を有利に確保し得ることとなったのである。
本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクの設置形態の一つを示すものであって、(a)は、その側面説明図であり、(b)は、その正面説明図である。 ヒートパイプ本体に対する放熱フィンの取付けの関係を示す説明図である。 図1に示されるヒートパイプ式ヒートシンクの異なる設置形態を示す説明図であって、(a)は、傾斜設置の形態を示し、(b)は、水平設置の形態を示している。 受熱ブロックに対するヒートパイプ本体の立設形態を示す説明図であって、(a)は、垂直立設形態を示し、(b)は、傾斜立設形態を示している。 本発明に従うヒートパイプ式ヒートシンクの異なる例を示す、図1(a)に対応する側面説明図であって、(a)は、それぞれ複数本のヒートパイプ本体が直線的に配列されてなる2列のヒートパイプ本体列が、同一の傾斜放熱フィンに取り付けられてなる形態を示す側面説明図であり、(b)及び(c)は、3列のヒートパイプ本体列に対する同一の傾斜放熱フィンの取付け形態の異なる状態を示す側面説明図である。 図5(a)に示されるヒートパイプ式ヒートシンクにおいて用いられる放熱フィンの説明図であって、(a)は、平面説明図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面説明図であり、(c)は、(b)におけるB部拡大説明図である。 受熱ブロックの鉛直線に対してそれぞれ傾斜配置された2列のヒートパイプ本体部に対して同一の傾斜放熱フィンの複数が取り付けられてなるヒートパイプ式ヒートシンクの例の垂直設置の状態を示す説明図であって、(a)は、その側面説明図であり、(b)は、その正面説明図である。 図7に示されるヒートパイプ式ヒートシンクの水平設置の形態を示す側面説明図である。 本発明に従う自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンクの別の異なる例を示す、図1に対応する説明図であって、(a)は、その側面形態説明図であり、(b)は、その正面形態説明図である。
以下、本発明の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明に従う幾つかの実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う自然空冷型のヒートパイプ式ヒートシンクの一つの実施形態が、側面図及び正面図の形態において示されている。そこにおいて、ヒートパイプ式ヒートシンク10は、矩形の受熱ブロック12と、その上面部分に互いに平行に配設された2本のパイプ状の受熱ヘッダ14と、それら受熱ヘッダ14にそれぞれ連通するように立設された、細長な3本のヒートパイプ本体16からなる二つの列と、それら2列のヒートパイプ本体16に対して、それぞれの列ごとに独立して取り付けられた、ヒートパイプ本体16の軸心に対して傾斜する放熱フィン18の複数とを有し、また、それらヒートパイプ本体16や受熱ヘッダ14の内部には、所定の作動液と非凝縮性ガスとが封入されて、ヒートパイプが構成されている。
より詳細には、細長いヒートパイプ本体16の複数本(ここでは3本)が、互いに平行に、且つ所定間隔を隔てた形態において、直線的に、換言すれば一平面上に位置するように、受熱ブロック12に対して立設されて、一つの受熱ヘッダ14に連結されることにより、相互の内部が連通せしめられてなる構造とされているのである。そして、ここでは、受熱ヘッダ14が、2本、受熱ブロック12に埋設されるようにして設けられて、受熱ブロック12に対して密着固定されているところから、そのような3本のヒートパイプ本体16の列が2列設けられてなる形態とされているのである。また、それぞれのヒートパイプ本体16は、先端部(上端部)が、閉塞されている一方、その下端部において、ヒートパイプ本体16よりも大きな径とされたパイプ状の受熱ヘッダ14に対して、それぞれの内部が連通するように接続されて、それらヒートパイプ本体16と受熱ヘッダ14内には、所定量の作動液と共に所定量の非凝縮性ガスが封入されて、所謂可変コンダクタンスヒートパイプとなるように、構成されているのである。そして、受熱ブロック12の下面には、冷却対象物、ここではLED素子20が取り付けられているのである。
なお、それらヒートパイプ本体16や受熱ヘッダ14内に封入される作動液としては、公知の各種のものが採用され得るところであるが、一般に、環境に優しく且つ熱の輸送性能にも優れていると言う観点から、水が好適に採用されることとなる。一方、非凝縮性ガスとしては、使用環境下において凝縮しない気体であれば特に限定されるものではなく、従来から公知の非凝縮性ガスが適宜に選択使用されるところであって、例えば窒素ガス、アルゴンガス等を用いることが可能である。
また、かかるヒートパイプ式ヒートシンク10における各構成部材、具体的には受熱ブロック12や受熱ヘッダ14、ヒートパイプ本体16の材質にあっても、特に限定されるものではなく、従来と同様に、熱伝導性に優れた金属材料である銅若しくはその合金や、アルミニウム若しくはその合金等が適宜に選択されて、用いられることとなる。そして、ここでは、受熱ヘッダ14の直径がヒートパイプ本体16の直径よりも大きな径となるように構成されていることによって、受熱ヘッダ14と受熱ブロック12との間の受熱面積を大きくして、熱負荷が大きな場合でも、受熱ブロック12から受熱ヘッダ14への伝熱が効果的に行われ得るようになっているのである。
さらに、放熱フィン18は、熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウム若しくはその合金にて形成された、一般に薄肉矩形板形状を呈するものであって、一平面上に位置する複数本(ここでは3本)のヒートパイプ本体16におけるヒートパイプの放熱部となる所定長さ部分の外周面上に、ヒートパイプ本体16の軸方向(長手方向)において所定の間隙を隔てるようにして、多数配置されてなると共に、図2に示される如く、多数の放熱フィン18が、それぞれ、ヒートパイプ本体16の軸に直交する方向の面(水平面)Fに対して所定の角度:αで傾斜した形態において、互いに平行に取り付けられて、図1(a)に示される如き側面視形態とされている。なお、かかる放熱フィン18のヒートパイプ本体16に対する取り付け傾斜角度:αは、適宜に選定されることとなるが、有利には、20°〜70°の範囲内の傾斜角度が採用されることとなる。これによって、図3(a)及び(b)に示される如く、ヒートパイプ式ヒートシンク10が、図1(a)に示される如き垂直設置される場合のみならず、傾斜設置及び水平設置された場合にあっても、隣接する放熱フィン18,18間の間隙が上下方向に延びる形態において位置するようになるために、上下方向の空気の流れが放熱フィン18によって阻害されることがなく、それ故に、そのような放熱フィン18,18間を流れる空気が、自然対流し易くなるように構成されて、有効な放熱特性が発揮され得ることとなるのである。
従って、このような実施形態に係るヒートパイプ式ヒートシンク10にあっては、LED素子20の発光によって、そのようなLED素子20から受熱ブロック12に伝達される熱を、受熱ヘッダ14に効率よく伝え、そして作動液を介して、受熱ヘッダ14に連結された複数のヒートパイプ本体16へと伝達し、更にかかるヒートパイプ本体16の外周面に傾斜して取り付けられた多数の放熱フィン18から、効果的に放熱することが出来ることとなるのである。
しかも、そのような構成のヒートパイプ式ヒートシンク10にあっては、多数の放熱フィン18が、所定の間隔を隔てて、傾斜角度:αをもってそれぞれの列のヒートパイプ本体16に取り付けられてなる構造とされているところから、LED素子20が下向き方向に光を照射する図1(a)に示される如き垂直設置の形態にあっても、隣接する放熱フィン18,18間の空隙は、上方に傾斜して延びる空隙となっているために、暖められた空気が上方に容易に移動して、自然対流が有利に行われ得ることとなるのである。また、図3(a)に示される如きヒートパイプ式ヒートシンク10を傾斜設置した場合や、図3(b)に示される如く、そのようなヒートシンク10を水平設置した場合にあっても、それぞれの隣接する放熱フィン18,18間には、上下方向に延びる空隙が形成されるようになるところから、そのような空隙を通じて、空気の自然対流が有利に行われ得ることとなるのである。このように、本実施形態に係るヒートパイプ式ヒートシンク10の構成によれば、LED素子20による照明角度を90°の範囲内で任意の角度に設定しても、効果的な放熱が可能となるのであり、以て、そのようなヒートパイプ式ヒートシンク10の取り付け角の対応性の向上、ひいてはLED照明器の設置角の対応性が、有利に高められ得るのである。
また、そのようなヒートパイプ式ヒートシンク10にあっては、それを構成するヒートパイプが、可変コンダクタンスヒートパイプ構造とされていることにより、低温環境下において使用される場合にあっても、パイプ内に作動液と一緒に封入された非凝縮性ガスの存在により、作動液がヒートパイプ内で凍結するようなことが有利に防止され得るのであり、従って低温環境下においても、ヒートパイプの性能、ひいてはヒートパイプ式ヒートシンク10の放熱性能を、より効果的に発揮することが可能となる。そして、低温環境下においても、ヒートパイプの機能を有利に発揮することが出来るようになっているところから、少ないヒートパイプ本体16の設置本数にて、低温環境下におけるヒートパイプ式ヒートシンク10の放熱能力を高度に確保することが出来ることとなる。
さらに、かくの如き構造とされたヒートパイプ式ヒートシンク10によれば、作動液が凍結してしまうような低温環境下や、LED投光器(20)を下向き方向に設置する状況下においても、ヒートパイプとしての正常な作動を確保して、高い冷却能力を発揮すると共に、有利にその放熱性能を維持することが出来るのである。
かくして、かくの如き特徴を有するヒートパイプ式ヒートシンク10は、LED素子等の高発熱品に対しても放熱面積の確保が容易で、自然対流による冷却が可能であり、メンテナンスフリーを実現することが出来ると共に、照明器の設置角の対応性に優れ、しかも低温環境下においてもヒートパイプの正常な作動を確保することが出来るところから、野球場やテニスコート等の屋外競技場に設置されるLED照明器の冷却用として、特に有利に用いられることとなる。
なお、上記した実施形態においては、図4(a)にも示される如く、ヒートパイプ本体16が受熱ブロック12(受熱ヘッダ14)に対して垂直方向(鉛直方向)に立設されていたが、そのようなヒートパイプ本体16は、図4(b)に示される如く、受熱ブロック12に対して、換言すれば受熱ブロック12の設置面(取付面)に対して、所定の角度:βにおいて傾斜配置せしめることも可能であり、有利には、そのような傾斜角度:βとして、70°〜90°の範囲内の角度が選定されることとなる。このような傾斜角度:βとすることによって、ヒートパイプ式ヒートシンク10が水平設置された場合でも、ヒートパイプ内における作動液の還流が良好に実現され得ると共に、ヒートパイプに非凝縮性ガスを効果的に集めることが可能となり、以てヒートパイプ式ヒートシンク10の放熱性能(冷却性能)を充分に発揮させることが出来ることとなるのである。
ところで、上述の実施形態においては、ヒートパイプ本体16の列のそれぞれに、多数の放熱フィン18が傾斜配置せしめられて、ヒートパイプ本体16の列毎に独立した形態とされていたが、本発明にあっては、図5に示される如く、ヒートパイプ本体16の複数列に対して、それらを連結するように、多数の放熱フィン22,24を傾斜配置せしめてなる構造も有利に採用されるところである。因みに、図5における(a)には、紙面に垂直な方向に所定の間隔を隔てて配設されたヒートパイプ本体16の列の2列を連結するように、放熱フィン22が傾斜配置され、そしてそのような放熱フィン22が、ヒートパイプ本体16の長手方向(軸方向)に所定の距離を隔てて多数取り付けられてなる構造が、示されている。また、図5(b)及び(c)においては、それぞれ、ヒートパイプ本体16の列の3列を連結するように、放熱フィン24が傾斜配置せしめられて、ヒートパイプ本体16の長手方向に所定間隙を設けた形態において、多数傾斜配置されてなる異なる構造が示されているのであり、特に(c)においては、それらヒートパイプ本体16の列の2列が、放熱フィン24の傾斜配置の上下端において、放熱フィン26にてそれぞれ連結されて、ヒートパイプの放熱作用が高められるようになっている。なお、それら(a)、(b)及び(c)に示されるヒートパイプ式ヒートシンクの正面図は、何れも、図1(b)に相当するものとなる。
そして、それら複数列のヒートパイプ本体16を連結する放熱フィン22,24,更には26は、例えば、図6(a)〜(c)に示される如き形態とされている。即ち、それらの図は、図5(a)に用いられる放熱フィン22の一例を示すものであって、そこでは、熱伝導性に優れたアルミニウム若しくはその合金からなる、薄肉矩形形状を呈する板材を用いて、その所定位置に、バーリング加工の如き従来と同様な加工法に従って、ヒートパイプ本体16が圧入される取付孔28の複数(ここでは3個)の列が、2列設けられている。しかも、そのような取付孔28は、(b)及び(c)から明らかな如く、フィン面に対して所定の角度:αをもって傾斜した軸を有する短筒形状のカラー部28aを有し、それらのカラー部28a内に、それぞれのヒートパイプ本体16を圧入することによって、それぞれの列のヒートパイプ本体16が放熱フィン22に対して相互に連結された形態において、傾斜して固定せしめられるようになっているのである。
このように、複数列のヒートパイプ本体16のそれぞれを、1枚の放熱フィン22(24,26)にて、そのような放熱フィン22(24,26)がヒートパイプ本体16の軸心に対して所定の角度:αにおいて傾斜した形態において連結せしめ、そしてそのような放熱フィン22(24)をヒートパイプ本体16の軸方向に所定距離を隔てて多数傾斜して取り付け、固定せしめるようにすることによって、それらヒートパイプ本体16と傾斜した放熱フィン22(24)との間の接触部を効果的に固定、保持せしめ得て、放熱フィン22(24)の傾斜形態を安定的に維持せしめることが出来ることとなる。
そして、図7及び図8に示されるヒートパイプ式ヒートシンク30においては、ヒートパイプ本体16が受熱ブロック12に対して角度:βをもって傾斜、配設されていると共に、そのようなヒートパイプ本体16の複数本(ここでは4本又は5本)からなる2列のヒートパイプ本体16の列に対して、それらの列のヒートパイプ本体16を連結するように放熱フィン32が傾斜配設され、更にそのような放熱フィン32が、ヒートパイプ本体16の軸方向に所定の距離を隔てて多数傾斜配設されてなる構造とされている。なお、かかるヒートパイプ式ヒートシンク30の正面図を示す図7(b)から明らかなように、正面形態において、一方の列のヒートパイプ本体16,16の間に、他方の列のヒートパイプ本体16が位置するように、ジグザグ形態となるような配置とされており、このため、そのような放熱フィン32に設けられるヒートパイプ本体16の取付孔の配設形態にあっても、図6(a)とは異なり、取付孔は、ジグザグ状配置とされることとなる。また、2列のヒートパイプ本体16の列は、その先端部と基部において、それぞれ、それらを軸直角方向に連結する、剛性を有する固定板34,34にて相互に連結されている。
従って、かかる図7及び図8に示される構造のヒートパイプ式ヒートシンク30にあっては、ヒートパイプ本体16の列の傾斜配置、ヒートパイプ本体16に対する放熱フィン32の傾斜配設、及び2列のヒートパイプ本体16列を放熱フィン32にて一体的に連結してなる構造を採用することによる前述せる如き作用・効果を有利に享受することが出来ると共に、更に、2列のヒートパイプ本体16の列をそれらの軸方向に直角な方向において剛性を有する固定板34,34にて連結することに基づくところの、放熱フィン32の傾斜配置の安定化効果が、より一層効果的に高められ得ているのである。
加えて、本発明にあっては、図9(a)、(b)に示される如く、一平面上に配列された複数本のヒートパイプ本体16の列において、そのような列を構成するヒートパイプ本体16の複数本(ここでは3本)を、その先端部において1本の連結管36にて連結して、ヒートパイプ式ヒートシンク38を構成することも、有利に採用されるところである。そのようなヒートパイプ本体16の先端部に取り付けた連結管36によって、それぞれの列の複数本のヒートパイプ本体16が相互に連通され、下部に設けた受熱ヘッダ14と共に、一つの循環回路を構成するようにすれば、更に本発明の特徴が有利に発揮されることとなる。
以上、本発明の代表的な実施形態のいくつかについて詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、それら実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。また、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 ヒートパイプ式ヒートシンク
12 受熱ブロック
14 受熱ヘッダ
16 ヒートパイプ本体
18 放熱フィン
20 LED素子
22,24,26 放熱フィン
28 取付孔
28a カラー部
30,38 ヒートパイプ式ヒートシンク
32 放熱フィン
34 固定版
36 連結管

Claims (6)

  1. 複数本のヒートパイプ本体を互いに平行に所定の距離を隔てて同一平面上に配列して、それらヒートパイプ本体の外周面に多数の放熱フィンを所定の間隙をおいて取り付けることにより、それらヒートパイプ本体が連結されてなると共に、それらヒートパイプ本体の一方の端部をそれぞれ受熱ブロックに配設したパイプ状の受熱ヘッダに連結して連通せしめ、更にそれらヒートパイプ本体と受熱ヘッダに作動液及び非凝縮性ガスを封入してなる構造のヒートパイプ式ヒートシンクにおいて、
    前記多数の放熱フィンが、それぞれ、前記ヒートパイプ本体の軸に直交する方向の面に対して傾斜した形態において互いに平行に取り付けられて、それら傾斜した放熱フィン間を流れる空気によって該ヒートパイプ本体の冷却が行われるようにしたことを特徴とする自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
  2. 前記放熱フィンの傾斜角度が、20°〜70°である請求項1に記載の自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
  3. 前記複数本のヒートパイプ本体が、前記受熱ブロックに対して70°〜90°の角度をもって立設せしめられている請求項1又は請求項2に記載の自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
  4. 前記受熱ヘッダの複数が前記受熱ブロックに互いに平行に配設されて、それら受熱ヘッダに対して、それぞれ、前記ヒートパイプ本体の複数本が連通するように立設せしめられていると共に、かかる複数の受熱ヘッダに立設されたそれぞれ複数本のヒートパイプ本体に対して、前記放熱フィンが傾斜してそれぞれ取り付けられて、それら複数の受熱ヘッダに立設された複数本のヒートパイプ本体同士が連結されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
  5. 前記受熱ヘッダの一つに立設された前記複数本のヒートパイプ本体の他方の端部が、1本のパイプにて連結されて、相互に連通せる形態とされている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
  6. 屋外に設置されるLED照明器の冷却のために、かかるLED照明器におけるLED素子が、前記受熱ブロックの前記受熱ヘッダ配設側とは反対側の面に設置される請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の自然空冷型ヒートパイプ式ヒートシンク。
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