JP2014159519A - 高耐熱性ポリイミド樹脂 - Google Patents

高耐熱性ポリイミド樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、従来困難とされていた400℃を超えるガラス転移温度及び500℃を超える樹脂の分解温度を有しながら、溶剤可溶性に優れるポリイミド樹脂を提供すること。
【解決手段】
3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(A)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(B)のテトラカルボン酸二無水物と、フルオレン骨格ジアミン(C)とを、特定のモル比で、イミド化重合反応して得られるポリイミド樹脂を使用すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、高耐熱性ポリイミド樹脂に関する。
従来、耐熱絶縁材料、特にFCCLと称されるフレキシブルプリント基板に代表される電子材料用のポリイミド系のベースフィルムとしては、ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルの縮合物(商品名カプトン)に代表される耐熱温度400℃超のポリイミド樹脂が使用されてきた。しかし、この種の耐熱性の高いポリイミドは溶剤に不溶のケースが多く、実際の使用に関しては、その前駆体であるアミド酸ワニスを用い、その塗膜を例えば350℃以上の温度に加熱して、イミド化反応を行う方法が取られてきた。また、このようなアミド酸型は保存安定性が悪く、室温保管では経日的な粘度減少を伴う為、冷蔵又は冷凍保管を必要とするなど保存上の問題があった。
また、従来のアミド酸ワニスから、ポリイミド成形体を得るには、特殊な溶媒に溶解したアミド酸を高温下で、脱水イミド化反応をさせる必要があり、特殊な製造設備が必要であった。
ポリアミド酸ワニスに代えて、溶剤可溶性ポリイミド樹脂が多く提案され、例えば、フルオレン骨格を有するジアミンを構成成分とするポリイミドが開示されている(特許文献1−6)。例えば、特許文献1には、版材用樹脂として、フルオレン骨格を有するジアミンをその成分とする、有機溶媒に可溶で、250℃以上のガラス転移点を有するポリイミド樹脂が開示されている。特許文献2−5にも、特許文献1と同様にフルオレン系ジアミンを有するポリイミドの耐熱性と溶剤可溶性とに着目した用途特許が提出されている。
しかながら、これらの特許文献に記載のポリイミド樹脂であっても、従来のポリアミド酸ワニスから得られるポリイミド樹脂に比較するとガラス転移温度及び樹脂の分解温度が低い上、ポリイミド樹脂溶液の保存安定性も必ずしも満足できるものではない。このように、一般的には耐熱性と溶剤可溶性とは相反する性質であり、400℃を超えるガラス転移温度及び500℃を超える樹脂の分解温度を有し、且つ、溶剤可溶性に優れたポリイミド樹脂は知られていない。
近年、自動車・航空機産業では、特殊な配電ボードの絶縁遮熱材やタービン内保護膜などの耐熱性部材を用いることが多く、成型時に400℃以上の高温処理を必要とするものや、長期間400℃という高温領域で使用されるものが増えている。また、電気炉や乾燥炉の断熱材として400℃に耐え得るものも要求されている。これらの用途において従来の溶剤可溶性ポリイミド樹脂では、ガラス転移温度及び樹脂の分解温度が必ずしも満足できるものではない。したがって、400℃を超えるガラス転移温度及び500℃を超える樹脂の分解温度を有し、且つ、溶剤可溶性に優れたポリイミド樹脂が求められていた。
特開2005−289034号公報 特開2000−008020号公報 特開2003−051210号公報 特開2005−262529号公報 特開平11−212097号公報 特開2005−325332号公報
本発明は、従来困難とされていた400℃を超えるガラス転移温度及び500℃を超える樹脂の分解温度を有しながら、溶剤可溶性に優れるポリイミド樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、特定の2種のテトラカルボン酸二無水物と、特定のジアミン成分とから得られるポリイミド樹脂が、400℃を超えるガラス転移温度及び500℃を超える樹脂の分解温度を有し、かつ溶剤可溶性に優れることを見出した。さらに、2種のテトラカルボン酸二無水物のモル比を検討した結果、ある特定のモル比の範囲で、ポリイミド成形体(フィルム)として使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のポリイミド樹脂を提供するものである。
[項1]
反応溶媒存在下、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(A)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(B)のテトラカルボン酸二無水物と、
下記一般式(1)で表されるフルオレン骨格ジアミン(C)とを、
(A)と(B)のモル比が、(A):(B)=40:60〜80:20の範囲であり、且つ、(A)と(B)の合計モルに対して(C)が90〜110の範囲のモル比で、イミド化重合反応して得られるポリイミド樹脂。
[式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、メチル基、エチル基、フッ素又は塩素を表す。]
[項2]
項1に記載のポリイミド樹脂及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
[項3]
有機溶剤が、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤である、項2に記載のポリイミドワニス。
[項4]
絶縁材料用、耐熱塗料用、耐熱コーティング材料用、耐熱接着剤用又は耐熱バインダー用である、項2又は項3に記載のポリイミドワニス。
[項5]
項2又は項3に記載のポリイミドワニスを成形加工して得られるポリイミド成形体。
[項6]
ポリイミド成形体が、膜状、フィルム状又はシート状の形態である、項5に記載のポリイミド成形体。
[項7]
項1に記載のポリイミド樹脂を使用した、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
本発明によれば、溶剤可溶性でありながら、ガラス転移温度が400℃を超え、且つ、樹脂の分解温度が500℃を超える極めて高い耐熱性を有するポリイミド樹脂が得られる。さらに、当該ポリイミド樹脂のワニスは、加熱イミド化を必要としないため、加工性に優れ、得られるポリイミド成形体は、絶縁材料、耐熱塗料、耐熱コーティング材料、耐熱接着剤、耐熱バインダー等の用途に好適に用いられる。
また、当該ポリイミド樹脂は、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材に使用できる。
[ポリイミド樹脂]
本発明のポリイミド樹脂組成物は、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(以下、(A)成分と略記する。)及び、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、(B)成分と略記する。)のテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(1)で表されるフルオレン骨格ジアミン(以下、(C)成分と略記する。)とを、イミド化重合反応して得られるポリイミド樹脂である。
[テトラカルボン酸二無水物:(A)成分及び(B)成分]
本発明に係るポリイミド樹脂の構成成分である(A)成分及び(B)成分は、特に制限はなく市販品や従来公知の製造方法により得られるものが使用できる。
(A)成分及び(B)成分のモル比は、(A):(B)=40:60〜80:20の範囲であり、好ましくは、55:45〜75:25の範囲が推奨される。この範囲で得られる本発明のポリイミド樹脂は、溶剤可溶性でありながら、ガラス転移温度且つ樹脂の分解温度が極めて高く、且つ成形体(フィルム)として使用できるポリイミド樹脂が得られる。(A)成分のモル比が、40より少ない((B)成分のモル比が60より多い)と、該ポリイミド樹脂は成形体(フィルム)として使用できず、また、(B)成分のモル比が20より少ない((A)成分のモル比が80より多い)と、ガラス転移温度が400℃より低く、且つ、樹脂の分解温度が500℃より低くなる。
また、(A)成分又は(B)成分は、本発明の効果を妨げない範囲で、該テトラカルボン酸二無水物の一部を他のテトラカルボン酸二無水物に置き換えて使用することができる。他のテトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物又は、脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
具体的に例示すると、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、1,2−エチレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−テトラメチレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,5−ペンタメチレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサメチレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)等が例示される。
また、脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が例示される。
また、脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等、ビシクロ[2.2.2]−オクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が例示される。
上記の他のテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上を混合してイミド化重合反応に供することができる。
(A)成分又は(B)成分の一部を上記の他のテトラカルボン酸二無水物に置き換えて使用する場合には、その使用量は(A)成分及び(B)成分の合計モル数に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、特に1モル%以下が推奨される。
本明細書及び特許請求の範囲において、テトラカルボン酸二無水物は、「テトラカルボン酸二無水物」の形態で記載しているが、それらの代わりに以下に示す各種誘導体をイミド化重合反応に供することができる。例えば、前記テトラカルボン酸二無水物の誘導体であるテトラカルボン酸、そのテトラカルボン酸の酸塩化物、そのテトラカルボン酸と炭素数1〜4の低級アルコールとエステル等が挙げられる。
[フルオレン骨格ジアミン:(C)成分]
本発明に係るポリイミド樹脂の構成成分である上記一般式(1)で表される(C)成分は、特に制限はなく市販品や従来公知の製造方法により得られるものが使用できる。
一般式(1)で表される(C)成分の中で好ましいものとして、R、及びRは、同一又は異なって、それぞれが水素、メチル基、エチル基、フッ素又は塩素であるものが挙げられる。
このような(C)成分の具体例としては、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレンなどが例示される。これら(C)成分は、単独で使用してもよいし2種以上適宜混合して用いてもよい。
上記の中でも、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレンが推奨され、特に、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが推奨される。
また、(C)成分は、本発明の効果を妨げない範囲で、該ジアミンの一部を他のジアミンに置き換えて使用することができる。
具体的に例示すると、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、o−トリジン、m−トリジン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノ−3,6−ジメチル−9−チアフルオレン−9,9−ジオキシド、2,7−ジアミノ−1,6−ジメチル−9−チアフルオレン−9,9−ジオキシド等の芳香族ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂肪族又は脂環族ジアミンが例示される。
これらのジアミンは、単独で又は2種以上組み合わせてイミド化重合反応に使用することもできる。
(C)成分の一部を上記の他のジアミンに置き換えて使用する場合には、その使用量は(C)成分のモル数に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、特に1モル%以下が推奨される。
本明細書及び特許請求の範囲において、ジアミンは、「ジアミン」の形態で記載しているが、反応性の向上の目的で且つ本発明の効果を奏する限り、それらの代わりにアミノ基の一部又は全部をイソシアネート基に変換した化合物やシリル化した化合物等を使用することができる。
(反応溶媒)
本発明に係るイミド化重合反応で使用される反応溶媒は、イミド化重合反応より生成するポリイミド樹脂を溶解できるものであれば何れの反応溶媒でも良い。例えば、非プロトン性溶媒、フェノール系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒などが好ましい例として挙げられる。
非プロトン性溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素などのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミドなどの含リン系アミド系溶媒、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄系溶媒、アセトン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ピコリン、ピリジンなどのアミン系溶媒、酢酸(2−メトキシ−1−メチルエチル)などのエステル系溶媒などが例示される。
フェノール系溶媒の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールなどが例示される。
エーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが例示される。
また、カーボネート系溶媒の具体例としては、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが例示される。上記の反応溶媒は単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
これらの反応溶媒の中でも、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンが推奨される。
反応溶媒の使用量としては、生成するポリイミド樹脂を溶解できる量であれば良い。具体的なポリイミド樹脂の濃度としては、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%となるように調整することが推奨される。
反応溶媒は、本発明に係るポリイミドワニスを構成する有機溶剤と同一でも異なってもよいが、溶媒置換の作業等の煩雑さを考慮すると同一であることが好ましい。
(イミド化重合反応)
イミド化重合反応の方法としては、(1)反応溶媒と少量の共沸溶剤の存在下でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを加熱し、生成水を共沸により系外に留去させる熱イミド化方法、(2)ポリイミド前駆体のポリアミド酸を製造後、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物、又はジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物の脱水作用を用いる化学イミド化方法、(3)ポリイミド前駆体のポリアミド酸を製造後、300℃以上に加熱する熱イミド化方法等が挙げられる。
上記ポリイミド樹脂の製造方法のうち(1)の熱イミド化方法が工業的に好ましく、例えば、反応溶媒中にテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを全量溶解させるか、又はテトラカルボン酸二無水物及び/又はジアミンの一部を段階的に溶解後、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜200℃に加熱し、共沸溶剤により系中の生成水を留去してイミド化重合反応する方法が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物に対して、ジアミンを過剰に用いることによりポリイミド樹脂のポリマー末端をアミン末端とすることができ、一方、テトラカルボン酸二無水物をジアミンより過剰に用いることによりポリイミド樹脂のポリマー末端を酸末端とすることができる。
上記の生成水を系外に留去するための共沸溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることができる。その使用量としては、反応溶媒量に対して通常1〜30重量%程度、好ましくは5〜10重量%程度である。
反応系内は、その反応系の着色防止及び安全性の観点から、不活性ガス雰囲気下とすることが望ましい。通常、不活性ガスで反応系内を置換し、反応中は不活性ガスを流通させるおく方法が推奨される。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが例示される。
本発明に係るイミド化重合反応において、公知の触媒を使用することができる。しかし、後処理が煩雑になること、また、使用触媒が微量残存することによるポリイミドワニスの貯蔵安定性の悪化及びポリイミドワニスの着色などの観点から、無触媒下で該反応を行うことが好ましい。
触媒を使用する場合には、例えば、塩基触媒としては、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基触媒、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムで代表される無機塩基触媒が例示される。
また、酸触媒としては、クロトン酸、アクリル酸、トランス−3−ヘキセノイック酸、桂皮酸、安息香酸、メチル安息香酸、オキシ安息香酸、テレフタル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが例示される。
イミド化重合反応の反応時間は、仕込み比率、基質濃度などにもよるが、 生成水の留出開始後、通常2〜10時間程度が好ましい。反応時間が短すぎる場合には、イミド化率が低くなる傾向が認められる。反応時間が長すぎる場合には、部分的に熱架橋反応を起こして反応系が増粘したりゲル状物が副生したり、また、反応溶媒の熱劣化により反応系が着色することがある。
イミド化重合反応で得られる本発明のポリイミド樹脂の数平均分子量は、好ましくは6,000以上、且つ、重量平均分子量が10,000以上であり、より好ましくは数平均分子量が6,000〜100,000で、且つ、重量平均分子量が10,000〜500,000の範囲のものである。この範囲は、特に成形体を与えることができる程度の重合度を有している範囲である。なお、本明細書及び特許請求範囲においてポリイミド樹脂の分子量は、後術の実施例に記載した方法で測定された値である。
上記イミド化重合反応におけるイミド化率は、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に95%以上が推奨される。さらに、ポリイミド樹脂の使用用途によってはイミド化率を100%に近づけることが望ましい場合もある。
その他に、本発明の効果を損なわない範囲において、分子量制御等を目的に、この分野で使用される公知の1官能の酸無水物やモノアミン等をエンドキャップ剤として併用することができる。該エンドキャップ剤の具体例としては、酸無水物では無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸など、モノアミンではアニリン、メチルアニリン、アリルアミンなどが例示される。
[ポリイミドワニス]
本発明のポリイミドワニスは、ポリイミド樹脂と有機溶剤とを含有することを特徴とするものである。
ポリイミドワニスの調製方法としては、(i)イミド化重合反応で得られたポリイミド樹脂の反応溶媒溶液をそのままポリイミドワニスとする方法、(ii)イミド化重合反応で得られたポリイミド樹脂の反応溶媒溶液からポリイミド樹脂を単離し、次いで所望の有機溶剤に単離したポリイミド樹脂を溶解させてポリイミドワニスを得る方法などが例示される。
ポリイミドワニスの粘度として所望の用途により適宜選択することができるが、好ましくは、0.1〜500Pa・s、より好ましくは1〜100Pa・sである。
ポリイミドワニス中のポリイミド樹脂の濃度としては、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%となるように調整することが推奨される。
有機溶剤は、本発明に係るポリイミド樹脂を溶解させることができる有機溶剤であれば特に限定されないが、具体的には上記の反応溶媒として例示したものが挙げられる。これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンが推奨される。
また、ポリイミドワニスからポリイミド樹脂の塗膜を得る際に、乾燥工程を効率よく行う目的で、有機溶剤の一部を低沸点溶剤に代えることができる。係る低沸点溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が例示される。これらの低沸点溶剤を使用する場合、その使用量は、全有機溶剤量に対して、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは、5〜20重量%の範囲が推奨される。
また、本発明のポリイミドワニスには、本発明の効果を妨げない範囲でその他の成分を添加しても良い。例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂(本発明のポリイミド樹脂を除く。)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの高分子化合物、平滑剤、レベリング剤、脱泡剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤などが例示される。
かくして得られるポリイミドワニスは、絶縁材料用、耐熱塗料用、耐熱コーティング材料用、耐熱接着剤用、又は耐熱バインダー用の用途に使用される。
[ポリイミド成形体]
本発明のポリイミド成形体は、本ポリイミドワニスを成形加工して得られるものである。成形加工する方法としては、特に制限なく従来公知の方法が使用できる。例えば、該ポリイミドワニスを、基板に塗布した後(膜状、フィルム状又はシート状に塗布若しくは成形した後)、該ポリイミドワニスから有機溶媒を除去して、膜状、フィルム状又はシート状のポリイミド成形体に成形する方法などが例示される。
ポリイミド成形体を製造する例としては、ガラス基板上にポリイミドワニスをキャストし、真空乾燥機内(減圧度1〜10mmHg)で、室温から230〜280℃まで1〜4時間で昇温し、その温度で2〜5時間乾燥し溶剤を完全に留去し、室温まで冷却後、真空乾燥機から取出すことでポリイミドフィルムを得ることができる。このように得られたポリイミドフィルムの厚みは、キャスト時の塗工厚みを調整することで目的の厚さに調整する方法が挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂の耐熱性は、ガラス転移温度及び樹脂の分解温度で評価することができる。 本発明のポリイミド樹脂のガラス転移温度は、400℃以上であり、また、樹脂の分解温度は、500℃以上である。ガラス転移温度及び樹脂の分解温度は、本明細書及び特許請求の範囲において、後述の実施例に記載した方法にて得られる値である。
[耐熱絶縁材/耐熱塗料/耐熱コーティング材/耐熱接着材]
本発明の耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材は本発明のポリイミド樹脂を使用したものである。 その製造方法は、従来公知の製造方法を用いることができる。何れも、該ポリイミド樹脂が、高い耐熱性を有することから、好適に使用される。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例及び比較例中の各特性の測定方法、化合物の略称は以下の通りである。
<化合物の略号>
以下の実施例に使用する略称は次の通りである。
DSDA : 3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
BPDA : 3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物
FDA : 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
NMP : N−メチル−2−ピロリドン
<ポリイミド樹脂の数平均分子量と重量平均分子量>
ポリイミド樹脂の反応溶液(ポリイミドワニス)約1gをN,N−ジメチルホルムアミド約30mlで希釈して、分子量測定用の試料溶液を調製する。ゲルパーミエーションクロマトクラフィー(GPC)を用いて下記の測定条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
[測定条件]
装置:東ソー株式会社製 EcoSEC HLC−8320GPC
カラム:東ソー株式会社製 SuperH−Hを1本とSuperHM−Mを3本直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液:(5.15mmol/L−臭化リチウム+5.10mmol/L−リン酸)/N,N−ジメチルホルムアミド
流速:0.5mL/min
検出器:RI
<ポリイミドワニスの樹脂濃度>
ポリイミドワニスの樹脂濃度(重量%)は、次の方法に従って求めた。ポリイミドワニス10mgを精秤し(小数点以下第2位まで)、TG−DTA装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 装置名;EXSTAR6000、TG−DTA6200)にセットし、下記の測定条件下で、350℃における重量を測定した。得られた測定値を用いて、下記の計算式(1)に従って算出した。
測定条件;
昇温速度:5℃/分
流通窒素量:100ml/分
測定開始温度:30℃
(計算式)
反応溶液中のポリイミド樹脂の濃度 =(W/W)×100 (1)
:350℃における測定サンプルの重量(g)
:測定開始前の測定サンプルの重量(g)
<溶剤可溶性の評価>
溶剤可溶性は、5重量%のポリイミド樹脂のNMP溶液を調整し、24時間室温で放置した後の状態を目視で観察して評価した。その評価の基準は次のとおりである。該基準では、○が溶剤可溶性に優れる。×が溶剤可溶性に劣るとの評価になる。その評価の基準は、次のとおりである。
○:24時間放置した後も、析出物の発生も反応溶液のゲル化も全く認められなかった。
×:24時間以内に、析出物の発生または反応溶液のゲル化が明らかに認められた。
<ガラス転移温度>
ポリイミド成形体(フィルム、厚さ40μm)を裁断して、Tg測定用の試料を得た。この測定試料についてエスアイアイ・ナノテクノロジー社製の示差熱走査熱量(DSC6220)を使用し、毎分10℃の昇温速度で昇温した時の変曲点をガラス転移温度とした。
<分解温度>
ポリイミド成形体(フィルム、厚さ40μm)を裁断して、約10mgを精秤し(小数点以下第2位まで)、TG−DTA装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 装置名;EXSTAR6000、TG−DTA6200)にセットし、下記の測定条件下で、初期の重量から5%減少した重量を分解温度として測定した。
[測定条件]
昇温速度:10℃/分
流通窒素量:200ml/分
測定開始温度:50℃
<機械特性(弾性率、強度、伸び)>
ポリイミド成形体(フィルム)の弾性率、強さ及び破断伸びは、万能材料試験機5565(インストロン社製)を用い、JISK7161(1994年)に準じて測定した。まず厚さ40μm、幅10mmの試験片を長さ50mmとなるように固定し、25℃、RH60%の条件下、10mm/分の速度で試験片を引き伸ばして測定した。
(実施例1)
温度計、撹拌機、窒素導入管、分液デカンタ及び、冷却管を備えた200mLの4つ口フラスコにDSDA(A成分)10.78g(30.09mmol)、BPDA(B成分)3.79g(12.88mmol)、FDA(C成分)14.98g(42.99mmol)、反応溶媒としてNMP100.8g、共沸溶剤としてキシレン11.2gを仕込み、反応系内を窒素置換した後、窒素気流下、180℃で攪拌し、生成水を系外に除去しながら5時間脱水イミド化重合反応を行った。反応終了後、樹脂濃度が20重量%になるようにNMPを追加し、本発明のポリイミド樹脂のNMP溶液(本発明のポリイミドワニス)を得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量、及び溶剤可溶性の測定結果を表1に示す。
得られたポリイミドワニスを、所定の溶媒留去後所定の厚さ(40μm)となるよう適宜テープシールの巻き数でギャップを調整したガラス棒を用いてガラス板上に流延した。次いで、窒素気流下、300℃、1時間、常圧で熱風乾燥した。室温まで冷却し、ガラス板から剥離して、ポリイミド成形体(フィルム、40μm)を得た。当該ポリイミド成形体を用いて、ガラス転移温度分解温度及び機械特性を測定した。結果を表1に示した。
(実施例2)
DSDA(A成分)7.85g(21.91mmol)、BPDA(B成分)6.45g(21.92mmol)、FDA(C成分)15.27g(43.82mmol)の比率を変更した以外は、実施例1と同様の方法で本発明のポリイミドワニス及びポリイミド成形体を得た。平均分子量、溶剤可溶性、樹脂濃度、ガラス転移温度、分解温度及び機械特性の測定結果を表1に示す。
(比較例1)
DSDA(A成分)13.59g(37.93mmol)、BPDA(B成分)1.24g(4.21mmol)、FDA(C成分)14.69g(42.16mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリイミドワニス及びポリイミド成形体を得た。平均分子量、溶剤可溶性、樹脂濃度、ガラス転移温度、分解温度及び機械特性の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
DSDA(A成分)1.20g(3.35mmol)、BPDA(B成分)2.30g(7.82mmol)、FDA(C成分)3.90g(11.19mmol)反応溶媒としてNMP119.7g、共沸溶剤としてキシレン13.3gを仕込み、反応系内を窒素置換した後、窒素気流下、180℃で攪拌し、生成水を系外に除去しながら20時間脱水イミド化重合反応を行った。反応終了後、樹脂濃度が5重量%になるようにNMPを追加し、ポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量、及び溶剤可溶性の測定結果を表1に示す。
得られたポリイミドワニスを、所定の溶媒留去後所定の厚さとなるよう適宜テープシールの巻き数でギャップを調整したガラス棒を用いてガラス板上に流延した。次いで、窒素気流下、300℃、1時間、常圧で熱風乾燥した後、室温まで冷却した。得られたポリイミド成形体(フィルム)は非常に脆く、機械特性は測定できなかったが、ガラス転移温度及び分解温度を測定した。結果を表1に示した。
(比較例3)
DSDA(A成分)14.96g(41.76mmol)、FDA(C成分)14.55g(41.76mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドワニス及びポリイミド成形体を得た。平均分子量、溶剤可溶性、樹脂濃度、ガラス転移温度、分解温度及び機械特性の測定結果を表1に示す。
(比較例4)
DSDA(A成分)に代えて、BPDA(B成分)3.40g(11.56mmol)、FDA(C成分)を4.02g(11.54mmol)に変更した以外は、比較例2と同様の方法でイミド化反応を行ったところ、反応系がゲル化したため、溶剤可溶性のポリイミド樹脂組成物を得ることが出来なかった。
表1から、比較例1及び比較例3では、ガラス転移温度が400℃以下、分解温度が500℃以下と低いことがわかる。比較例2では、ガラス転移温度及び分解温度は満たすものの、ポリイミド成形体(フィルム)が脆く、成形体(フィルム)として使用できない。また、比較例4では、溶剤溶解性が不十分であることがわかる。
本発明のポリイミド樹脂は、表1から溶剤可溶性を有するポリイミド樹脂であり、ガラス転移温度400℃以上かつ分解温度500℃以上という優れた物性を有し、成形体(フィルム)としても使用できることが明らかである。
本発明により、ガラス転移温度が400℃以上、樹脂の分解温度が500℃以上と極めて高く、かつ溶剤可溶性、保存安定性に優れたポリイミドワニスが得られ、高温での加熱イミド化工程を必要とせず、塗布乾燥のみで高耐熱性の絶縁膜、耐熱性塗膜、耐熱性コーティング等を行える。

Claims (7)

  1. 反応溶媒存在下、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(A)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(B)のテトラカルボン酸二無水物と、
    下記一般式(1)で表されるフルオレン骨格ジアミン(C)とを、
    (A)と(B)のモル比が、(A):(B)=40:60〜80:20の範囲であり、且つ、(A)と(B)の合計モルに対して(C)が90〜110の範囲のモル比で、イミド化重合反応して得られるポリイミド樹脂。
    [式中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、メチル基、エチル基、フッ素又は塩素を表す。]
  2. 請求項1に記載のポリイミド樹脂及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
  3. 有機溶剤が、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤である、請求項2に記載のポリイミドワニス。
  4. 絶縁材料用、耐熱塗料用、耐熱コーティング材料用、耐熱接着剤用又は耐熱バインダー用である、請求項2又は3に記載のポリイミドワニス。
  5. 請求項2又は3に記載のポリイミドワニスを成形加工して得られるポリイミド成形体。
  6. ポリイミド成形体が、膜状、フィルム状又はシート状の形態である、請求項5に記載のポリイミド成形体。
  7. 請求項1に記載のポリイミド樹脂を使用した、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
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