JP2014157935A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチングレートを高めることができ、エッチング選択比の低下を抑制できる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面にリン酸水溶液を供給することにより、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜を形成するリン酸供給装置と、リン酸水溶液の液膜に沿って配置されており、平面視で基板Wよりも大きい被覆面66によって基板Wの上面をリン酸水溶液の液膜を介して覆う被覆部材62と、リン酸水溶液の液膜が基板W上に保持されている状態で基板Wを加熱する加熱装置10と、リン酸水溶液の液膜に純水を供給する純水供給装置36とを含む。
【選択図】図2
【解決手段】基板処理装置は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面にリン酸水溶液を供給することにより、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜を形成するリン酸供給装置と、リン酸水溶液の液膜に沿って配置されており、平面視で基板Wよりも大きい被覆面66によって基板Wの上面をリン酸水溶液の液膜を介して覆う被覆部材62と、リン酸水溶液の液膜が基板W上に保持されている状態で基板Wを加熱する加熱装置10と、リン酸水溶液の液膜に純水を供給する純水供給装置36とを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とが形成された基板の表面にエッチング液としての高温のリン酸水溶液を供給して、シリコン窒化膜を選択的に除去するエッチング処理が必要に応じて行われる。特許文献1には、沸点付近のリン酸水溶液をスピンチャックに保持されている基板に供給する枚葉式の基板処理装置が開示されている。
特許文献1の基板処理装置では、100℃以上の高温のリン酸水溶液が基板に供給されるので、リン酸水溶液からは水分が徐々に蒸発する。その際、リン酸水溶液中で2H3PO4→H4P2O7+H2Oの反応が起こり、リン酸(H3PO4)からピロリン酸(pyrophosphoric acid:H4P2O7)が生成される。ピロリン酸はシリコン酸化膜をエッチングする能力を有している。本来は、シリコン窒化酸のみをエッチングし、シリコン酸化膜はエッチングせずできるだけ多く残存させることが望ましい。シリコン酸化膜のエッチング量を抑制しつつシリコン窒化膜のエッチング量を向上させると、エッチング選択比(シリコン窒化膜のエッチング量/シリコン酸化膜のエッチング量)の値を高くすることができる。しかし、前記のピロリン酸が発生すると本来は残存させたいシリコン酸化膜もエッチングされてしまうため、エッチング選択比が低下してしまう。
そこで、本発明の目的の一つは、エッチングレート(単位時間あたりのシリコン窒化膜のエッチング量)を高めると共に、エッチング選択比の低下を抑制できる基板処理装置を提供することである。
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板保持手段に保持されている基板の上面にリン酸水溶液を供給することにより、前記基板の上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜を形成するリン酸供給手段と、前記リン酸供給手段を制御することにより、前記リン酸供給手段から前記基板へのリン酸水溶液の供給を停止させた状態で前記リン酸水溶液の液膜を前記基板上に保持させる制御手段と、平面視で前記基板よりも大きい被覆面を有し、前記リン酸水溶液の液膜に沿って配置されており、前記被覆面によって前記基板の上面を前記リン酸水溶液の液膜を介して覆う被覆部材と、前記リン酸水溶液の液膜が前記基板上に保持されている状態で前記基板を加熱する加熱手段と、前記リン酸水溶液の液膜に水を供給する水供給手段とを含む、基板処理装置である。
この構成によれば、リン酸供給手段が、基板保持手段によって水平に保持されている基板の上面にエッチング液としてのリン酸水溶液を供給する。これにより、基板の上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜が形成され、基板へのリン酸水溶液の供給が停止されている状態でリン酸水溶液の液膜が基板上に保持される。そして、基板の上面がリン酸水溶液の液膜を介して被覆部材の被覆面に覆われている状態で、基板が加熱手段によって加熱される。これにより、リン酸水溶液が加熱され、エッチングレートが高められる。さらに、水供給手段が、基板上のリン酸水溶液の液膜に水を供給するので、H4P2O7+H2O→2H3PO4の反応によって、リン酸水溶液中のピロリン酸(H4P2O7)が減少する。これにより、エッチング選択比の低下要因であるピロリン酸のリン酸水溶液中の存在量を抑制することができるため、エッチング選択比の低下を抑制できる。
さらに、平面視で基板よりも大きい被覆面がリン酸水溶液の液膜を介して基板の上面を覆っているので、リン酸水溶液からの水の蒸発が被覆部材によって抑制され、水の蒸発量が低減される。これにより、リン酸水溶液の濃度変化を抑制できる。また、ピロリン酸の発生が低減されるため、エッチング選択比の低下を抑制または低減することができる。
請求項2に記載の発明は、前記水供給手段は、リン酸水溶液が前記基板から排出されない流量で前記リン酸水溶液の液膜に水を供給し、前記基板上にパドル状のリン酸水溶液の液膜を維持する、請求項1に記載の基板処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記水供給手段は、リン酸水溶液が前記基板から排出されない流量で前記リン酸水溶液の液膜に水を供給し、前記基板上にパドル状のリン酸水溶液の液膜を維持する、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板への水の供給流量は、リン酸水溶液が基板から排出されない値に設定されている。そのため、十分な活性を有するリン酸水溶液が基板から排出されることを防止できる。これにより、リン酸水溶液を効率的に使用できる。さらに、基板上のリン酸水溶液に供給される水が少ないので、リン酸水溶液の濃度および温度の変化を抑制できる。これにより、エッチング選択比の低下を抑制しながら、水の供給に伴うエッチングレートの変動を抑制できる。
請求項3に記載の発明は、前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置された赤外線ランプを含み、前記赤外線ランプから放出された赤外線を前記被覆面を介して基板に照射する、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆部材の被覆面が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプから放出された赤外線は、被覆面を介して基板に照射される。これにより、液膜の上面全域が被覆面で覆われた状態で、基板上のリン酸水溶液が加熱される。したがって、リン酸水溶液からの水の蒸発を抑制しながら、エッチングレートを高めることができる。
この構成によれば、被覆部材の被覆面が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプから放出された赤外線は、被覆面を介して基板に照射される。これにより、液膜の上面全域が被覆面で覆われた状態で、基板上のリン酸水溶液が加熱される。したがって、リン酸水溶液からの水の蒸発を抑制しながら、エッチングレートを高めることができる。
請求項4に記載の発明のように、前記被覆部材は、前記被覆面が前記リン酸水溶液の液膜に接触する接触位置に配置されていてもよい。また、前記被覆部材は、前記被覆面が前記リン酸水溶液の液膜から離れた非接触位置に配置されていてもよい。
いずれの構成においても、液膜の上面全域が被覆面で覆われた状態で、基板上のリン酸水溶液が加熱されるので、リン酸水溶液からの水の蒸発を抑制できる。特に、被覆面がリン酸水溶液の液膜に接触している状態で基板上のリン酸水溶液が加熱される場合には、リン酸やシロキサンの結晶が被覆面に付着したとしても、この結晶は、被覆面に接するリン酸水溶液に溶解して被覆面から除去される。したがって、結晶の付着によって被覆面が白濁し、基板に照射されるべき赤外線が被覆面の曇りによって遮られることを抑制または防止できる。これにより、赤外線ランプの輻射熱を基板に効率的に伝達することができる。
いずれの構成においても、液膜の上面全域が被覆面で覆われた状態で、基板上のリン酸水溶液が加熱されるので、リン酸水溶液からの水の蒸発を抑制できる。特に、被覆面がリン酸水溶液の液膜に接触している状態で基板上のリン酸水溶液が加熱される場合には、リン酸やシロキサンの結晶が被覆面に付着したとしても、この結晶は、被覆面に接するリン酸水溶液に溶解して被覆面から除去される。したがって、結晶の付着によって被覆面が白濁し、基板に照射されるべき赤外線が被覆面の曇りによって遮られることを抑制または防止できる。これにより、赤外線ランプの輻射熱を基板に効率的に伝達することができる。
請求項5に記載の発明は、前記被覆部材は、前記リン酸水溶液の液膜を取り囲む内周面をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、リン酸水溶液の液膜が、被覆部材の内周面によって取り囲まれる。リン酸水溶液の液膜は、被覆部材の被覆面と基板の上面との間の密閉度の高い空間に配置されている。被覆部材の被覆面が、基板の上面を覆っていることに加えて、被覆部材の内周面が、リン酸水溶液の液膜の周囲に配置されているので、リン酸水溶液の液膜が配置される空間の密閉度が高められている。したがって、リン酸水溶液からの水の蒸発量がさらに低減される。そのため、リン酸水溶液の濃度変化を抑制できる。また、リン酸水溶液中のピロリン酸を減少させることができるため、エッチング選択比の低下を抑制することができる。
この構成によれば、リン酸水溶液の液膜が、被覆部材の内周面によって取り囲まれる。リン酸水溶液の液膜は、被覆部材の被覆面と基板の上面との間の密閉度の高い空間に配置されている。被覆部材の被覆面が、基板の上面を覆っていることに加えて、被覆部材の内周面が、リン酸水溶液の液膜の周囲に配置されているので、リン酸水溶液の液膜が配置される空間の密閉度が高められている。したがって、リン酸水溶液からの水の蒸発量がさらに低減される。そのため、リン酸水溶液の濃度変化を抑制できる。また、リン酸水溶液中のピロリン酸を減少させることができるため、エッチング選択比の低下を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、前記水供給手段は前記被覆面で開口し前記リン酸水溶液の液膜に向けて水を吐出する複数の水吐出口を含み、当該複数の水吐出口は前記基板の中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置に前記水を吐出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆面で開口する複数の水吐出口から吐出された水は、リン酸水溶液の液膜の複数の位置に着液する。この複数の位置は、基板の中心からの距離がそれぞれ異なる位置である。したがって、基板保持手段が鉛直線まわりに基板を回転させている状態で、複数の水吐出口がリン酸水溶液の液膜に向けて水を吐出すると、リン酸水溶液の液膜に水が均一に供給される。これにより、リン酸水溶液の濃度の面内均一性を高めることができる。
請求項7に記載の発明は、前記複数の水吐出口は、前記基板の回転方向の位置がそれぞれ異なる複数の位置に水を吐出する、請求項6に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆面で開口する複数の水吐出口から吐出された水は、基板の中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置であって、基板の回転方向に離れた複数の位置に着液する。したがって、基板保持手段が鉛直線まわりに基板を回転させている状態で、複数の水吐出口が基板の上面に向けて水を吐出すると、リン酸水溶液の液膜に水が均一に供給される。これにより、リン酸水溶液の濃度の面内均一性を高めることができる。
この構成によれば、被覆面で開口する複数の水吐出口から吐出された水は、基板の中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置であって、基板の回転方向に離れた複数の位置に着液する。したがって、基板保持手段が鉛直線まわりに基板を回転させている状態で、複数の水吐出口が基板の上面に向けて水を吐出すると、リン酸水溶液の液膜に水が均一に供給される。これにより、リン酸水溶液の濃度の面内均一性を高めることができる。
請求項8に記載の発明は、前記複数の水吐出口の少なくとも一つは前記基板の上面中央部に水を吐出する、請求項6または7に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板の周縁部よりも効率的に加熱される基板の中央部に向けて水が吐出されているため、基板の中央部の昇温を適切に抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、前記加熱手段は、前記基板の上面全域に向けて熱を発する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板の周縁部よりも効率的に加熱される基板の中央部に向けて水が吐出されているため、基板の中央部の昇温を適切に抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、前記加熱手段は、前記基板の上面全域に向けて熱を発する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、加熱手段が基板の上面全域に向けて熱を発するので、基板が均一に加熱される。したがって、リン酸水溶液の液膜が均一に加熱される。そのため、エッチングの均一性を高めることができる。
請求項10に記載の発明は、前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置されており、前記基板の上面の一部領域に赤外線を照射する赤外線ランプと、前記赤外線ランプを移動させることにより、前記基板の上面に対する赤外線の照射位置を前記基板の半径方向に移動させるヒータ移動手段とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置されており、前記基板の上面の一部領域に赤外線を照射する赤外線ランプと、前記赤外線ランプを移動させることにより、前記基板の上面に対する赤外線の照射位置を前記基板の半径方向に移動させるヒータ移動手段とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆部材の被覆面が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプは、被覆面の上方に配置されている。赤外線ランプから放出された赤外線は、被覆面を介して基板の上面の一部領域に照射される。ヒータ移動手段は、赤外線ランプを移動させることにより、基板の上面に対する赤外線の照射位置を基板の半径方向(回転半径方向)に移動させる。これにより、基板の上面全域が赤外線の照射位置によって走査され、基板の上面全域が加熱される。したがって、リン酸水溶液の液膜を均一に加熱でき、エッチングの均一性を高めることができる。
請求項11に記載の発明は、前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置されており、前記基板の上面中央部から前記基板の上面周縁部まで前記基板の半径方向に延びる矩形状の領域に向けて赤外線を放出する赤外線ランプを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆部材の被覆面が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプは、被覆面の上方に配置されている。赤外線ランプから放出された赤外線は、被覆面を介して基板の上面に照射される。赤外線ランプは、基板保持手段が基板を回転させている状態で、基板の上面中央部から基板の上面周縁部まで基板の半径方向に延びる矩形状の領域に赤外線を照射する。したがって、加熱手段は、赤外線ランプを移動させずに、基板の上面全域に赤外線を照射できる。そのため、リン酸水溶液の液膜を均一に加熱でき、エッチングの均一性を高めることができる。
請求項12に記載の発明は、前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータをさらに有し、前記水供給手段は、前記被覆面で開口し前記リン酸水溶液の液膜に向けて水を吐出する複数の水吐出口と、前記複数の水吐出口から吐出される水の流量を個別に調整する複数の水流量調整バルブとを有し、前記複数の水吐出口は前記基板の中心からの距離が異なる複数の位置に前記水を吐出し、前記制御手段は、前記基板の上面中央部に供給される単位面積あたりの水の量が前記基板の上面周縁部に供給される単位面積あたりの水の量よりも多くなるように、前記水供給手段を制御する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、被覆面で開口する複数の水吐出口は基板の中心からの距離が異なる、リン酸水溶液内の複数の位置に向けて水を吐出する。複数の水吐出口から吐出される水の流量は、複数の水流量調整バルブによって個別に調整される。したがって、リン酸水溶液の液膜の各部に供給される水の流量を個別に調整することができる。制御手段は、基板の上面周縁部に供給される水よりも多くの水が基板の上面中央部に供給されるように、水供給手段を制御する。このため、基板の上面中央部に供給される単位面積あたりの水の量は、基板の上面周縁部に供給される単位面積あたりの水の量よりも多くすることができる。
スピンモータが基板を回転させるとリン酸水溶液の液膜に遠心力が作用する。このとき、リン酸水溶液の基板上面中央部での濃度が基板上面周縁部での濃度よりも高くなることがある。請求項11に係る発明によればこのような濃度の不均一性を解消することができるためエッチングの均一性を向上させることができる。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。図2は、被覆部材62の縦断面およびスピンチャック5を示す模式図である。図3は、被覆部材62の底面を示す模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスなどの処理流体を用いて基板Wを処理する複数の処理ユニット2(図1には1つの処理ユニット2のみを図示)と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置3とを含む。なお、基板処理装置1が有する処理ユニット2は単数でもよい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。図2は、被覆部材62の縦断面およびスピンチャック5を示す模式図である。図3は、被覆部材62の底面を示す模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスなどの処理流体を用いて基板Wを処理する複数の処理ユニット2(図1には1つの処理ユニット2のみを図示)と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置3とを含む。なお、基板処理装置1が有する処理ユニット2は単数でもよい。
図1に示すように、処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー4と、チャンバー4内で基板Wを水平に保持して基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、基板Wに処理液を供給する処理液供給装置(リン酸供給装置6、SC1供給装置7、リンス液供給装置8、純水供給装置36)と、スピンチャック5を取り囲む筒状のカップ9と、基板Wを加熱する加熱装置10とを含む。
図1に示すように、チャンバー4は、スピンチャック5等を収容する箱形の隔壁11と、隔壁11の上部から隔壁11内に清浄空気(フィルターによってろ過された空気)を送る送風ユニットとしてのFFU12(ファン・フィルタ・ユニット12)と、隔壁11の下部からチャンバー4内の気体を排出する排気ダクト13とを含む。FFU12は、隔壁11の上方に配置されている。FFU12は、隔壁11の天井からチャンバー4内に下向きに清浄空気を送る。排気ダクト13は、カップ9の底部に接続されており、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備に向けてチャンバー4内の気体を案内する。したがって、チャンバー4内を上方から下方に流れるダウンフロー(下降流)が、FFU12および排気ダクト13によって形成される。基板Wの処理は、チャンバー4内にダウンフローが形成されている状態で行われる。
図1に示すように、スピンチャック5は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース14と、スピンベース14の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン15と、スピンベース14の中央部から下方に延びる回転軸16と、回転軸16を回転させることにより基板Wおよびスピンベース14を回転軸線A1まわりに回転させる基板回転手段としてのスピンモータ17とを含む。スピンチャック5は、複数のチャックピン15を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース14の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
図1に示すように、カップ9は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。カップ9は、スピンベース14を取り囲んでいる。スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いたカップ9の上端部9aは、スピンベース14よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、カップ9によって受け止められる。そして、カップ9に受け止められた処理液は、図示しない回収装置または廃液装置に送られる。
図1に示すように、リン酸供給装置6は、スピンチャック5に保持されている基板Wに向けてリン酸水溶液を吐出するリン酸ノズル18と、リン酸ノズル18にリン酸水溶液を供給するリン酸配管19と、リン酸配管19からリン酸ノズル18へのリン酸水溶液の供給および供給停止を切り替えるリン酸バルブ20と、リン酸ノズル18に供給されるリン酸水溶液の温度を室温(20℃〜30℃の範囲内の所定温度)よりも高い温度まで上昇させるリン酸温度調節装置21とを含む。
リン酸バルブ20が開かれると、リン酸温度調節装置21によって温度調節されたリン酸水溶液が、リン酸配管19からリン酸ノズル18に供給され、リン酸ノズル18から吐出される。リン酸温度調節装置21は、リン酸水溶液の温度をたとえば80〜215℃の範囲内の一定温度に維持している。リン酸温度調節装置21によって調節されるリン酸水溶液の温度は、その濃度における沸点であってもよいし、沸点未満の温度であってもよい。リン酸水溶液は、リン酸を主成分とする水溶液であり、その濃度は、たとえば、50%〜100%の範囲、好ましくは80%前後である。
図1に示すように、リン酸供給装置6は、さらに、リン酸ノズル18が先端部に取り付けられたノズルアーム22と、スピンチャック5の周囲で上下方向に延びる回動軸線A2まわりにノズルアーム22を回動させると共に回動軸線A2に沿って鉛直方向にノズルアーム22を上下動させることにより、リン酸ノズル18を水平に移動させるリン酸ノズル移動装置23とを含む。リン酸ノズル移動装置23は、リン酸ノズル18から吐出されたリン酸水溶液が基板Wの上面に供給される処理位置と、リン酸ノズル18が平面視で基板Wの周囲に退避した退避位置との間で、リン酸ノズル18を水平に移動させる。
図1に示すように、SC1供給装置7は、スピンチャック5に保持されている基板Wに向けてSC1(NH4OHとH2O2とを含む混合液)を吐出するSC1ノズル24と、SC1ノズル24にSC1を供給するSC1配管25と、SC1配管25からSC1ノズル24へのSC1の供給および供給停止を切り替えるSC1バルブ26と、SC1ノズル24を水平および鉛直に移動させるSC1ノズル移動装置27とを含む。SC1バルブ26が開かれると、SC1配管25からSC1ノズル24に供給されたSC1が、SC1ノズル24から吐出される。SC1ノズル移動装置27は、SC1ノズル24から吐出されたSC1が基板Wの上面に供給される処理位置と、SC1ノズル24が平面視で基板Wの周囲に退避した退避位置との間で、SC1ノズル24を水平に移動させる。
図1に示すように、リンス液供給装置8は、スピンチャック5に保持されている基板Wに向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル28と、リンス液ノズル28にリンス液を供給するリンス液配管29と、リンス液配管29からリンス液ノズル28へのリンス液の供給および供給停止を切り替えるリンス液バルブ30とを含む。リンス液ノズル28は、リンス液ノズル28の吐出口が静止された状態でリンス液を吐出する固定ノズルである。リンス液供給装置8は、リンス液ノズル28を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を移動させるリンス液ノズル移動装置を備えていてもよい。
リンス液バルブ30が開かれると、リンス液配管29からリンス液ノズル28に供給されたリンス液が、リンス液ノズル28から基板Wの上面中央部に向けて吐出される。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール)、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
図1に示すように、処理ユニット2は、スピンチャック5の上方に配置された被覆部材62を含む。被覆部材62は、基板Wよりも直径が大きい円板状である。被覆部材62は、水平な姿勢で保持されている。被覆部材62の中心線は、基板Wの中心を通る鉛直線(回転軸線A1)上に配置されている。被覆部材62は、平面視で基板Wの全域に重なっている。処理ユニット2は、被覆部材62を上下方向に平行移動させる昇降装置63を含む。被覆部材62は、昇降装置63によって水平な姿勢に保持されている。昇降装置63は、被覆部材62を上下方向に平行移動させることにより、被覆部材62と基板Wとの間の上下方向の間隔を変更する。
図2に示すように、被覆部材62は、スピンチャック5の上方で水平な姿勢に保持された円板状の被覆板64と、被覆板64の外周部の全周から下方に延びる筒状の周壁65とを含む。周壁65は、被覆板64と一体であってもよいし、被覆板64と別体であってもよい。被覆板64は、基板Wよりも直径が大きい被覆面66を含む。被覆面66は、上下方向に間隔を空けて基板Wの上面全域に平行に対向している。したがって、被覆面66は、基板Wの上面全域を覆っている。また、周壁65は、上下方向に延びる筒状の内周面67を含む。内周面67は、被覆面66の外周部の全周から下方に延びている。内周面67は、鉛直方向に延びていてもよいし、被覆部材62の中心線から遠ざかるように斜め下方に延びていてもよい。内周面67の直径は、基板Wの直径よりも大きい。
昇降装置63は、被覆面66が基板W上の液膜に近接する処理位置(図2に示す位置)と、処理位置よりも上方の退避位置(図1に示す位置)との間で、被覆部材62を昇降させる。処理位置は、被覆面66が基板W上の液膜に接触する接触位置である。退避位置は、リン酸ノズル18が被覆面66と基板Wとの間に進入できる高さまで被覆面66が退避する位置である。処理位置は、被覆面66が基板W上の液膜に接触する位置に限らず、被覆面66が基板W上の液膜から離れた状態で基板W上の液膜に近接する非接触位置であってもよい。
図2に示すように、被覆部材62が処理位置に配置されると、周壁65の少なくとも一部が基板W上の液膜の周囲に配置される。したがって、液膜の全周が、周壁65によって取り囲まれる。処理位置は、周壁65の下端が基板W上の液膜の上面よりも下方に位置する位置である。周壁65の少なくとも一部が基板W上の液膜の周囲に配置されるのであれば、被覆部材62が処理位置に配置されている状態での周壁65の下端の高さは、基板Wの上面と等しい高さであってもよいし、基板Wの上面よりも高いまたは低い高さであってもよい。
図2に示すように、処理ユニット2は、基板Wに向けて純水を吐出する純水供給装置36を含む。純水供給装置36は、被覆面66で開口する複数の純水吐出口37と、複数の純水吐出口37に純水を供給する複数の純水配管39と、複数の純水配管39から複数の純水吐出口37への純水の供給および供給停止を切り替える複数の純水バルブ40と、複数の純水配管39から複数の純水吐出口37に供給される純水の流量を調整する複数の純水流量調整バルブ41とを含む。複数の純水配管39は、それぞれ、複数の純水吐出口37に接続されている。純水バルブ40および純水流量調整バルブ41は、各純水配管39に一つずつ取り付けられている。
図2に示すように、複数の純水吐出口37は、被覆面66から上方に延びている。複数の純水吐出口37は、基板Wの上面の中央部、中間部(中央部と周縁部の間の領域)、および周縁部に上下方向に対向している。図3に示すように、複数の純水吐出口37は、被覆面66の中心からの距離が異なる複数の位置に配置されていると共に、被覆面66の周方向に離れた複数の位置に配置されている。このように、複数の純水吐出口37は、被覆面66の全域に分布している。
純水吐出口37は、純水の液滴を一つずつ吐出する液滴吐出口である。純水は、純水吐出口37から鉛直下方に滴下される。液滴の吐出および吐出停止は、純水バルブ40によって切り替えられ、液滴の粒径は、純水流量調整バルブ41の開度によって調節される。純水吐出口37が基板Wの上面に上下方向に対向している状態では、純水の液滴が基板Wの上面に向かって鉛直下方に落下する。
複数の純水吐出口37は、基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出する。具体的には、複数の純水吐出口37は、基板Wの中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置に向けて純水を吐出し液膜に着液させると共に、基板Wの回転方向Dr(基板Wの周方向)に離れた複数の位置に向けて純水を吐出し液膜に着液させる。さらに、複数の純水吐出口37の少なくとも一つは、基板Wの上面の中心に向けて純水を吐出し液膜に着液させる。
このように、複数の純水吐出口37が被覆面66の全域に分布しており、複数の純水吐出口37が基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出するので、基板Wが静止している状態で、複数の純水吐出口37が純水の液滴を吐出すると、複数の純水の液滴が基板Wの上面全域に供給される。さらに、基板Wが回転している状態で、複数の純水吐出口37が純水の液滴を吐出すると、複数の純水の液滴が、基板Wの上面全域に均一に供給される。
加熱装置10は、輻射によって基板Wを加熱する輻射加熱装置を含む。図2に示すように、輻射加熱装置は、被覆部材62に内蔵された固定ヒータとしての赤外線ランプ34を含む。赤外線ランプ34は、フィラメントと、フィラメントを収容する石英管とを含む。赤外線ランプ34(例えばハロゲンランプ)はカーボンヒータであってもよいし、これら以外の発熱体であってもよい。図3に示すように、赤外線ランプ34は、被覆板64の全域に分布している。赤外線ランプ34は、平面視で基板Wの中心を取り囲むように基板Wの中央部から基板Wの周縁部までらせん状に延びている。
図2に示すように、赤外線ランプ34は、被覆面66の上方に配置されている。被覆面66は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。したがって、被覆部材62の少なくとも一部は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。赤外線ランプ34が発光すると、当該赤外線ランプ34からは赤外線を含む光が放出される。この赤外線を含む光は被覆部材62の被覆面66および内周面67を透過して被覆部材62から放射され、あるいは、被覆部材62を加熱しその被覆面66および内周面67から輻射光を放射させる。基板Wおよびその上面に保持されたリン酸水溶液の液膜は被覆部材62の被覆面66および内周面67からの透過光と輻射光とにより加熱される。上記のように被覆部材62からは赤外線を含む光が透過または輻射により放射されているが、以下では被覆部材62の被覆面66および内周面67を透過する赤外線に着目して赤外線ランプ34に関連する説明を行う。
赤外線ランプ34が発光すると、前記の赤外線が、被覆部材62を透過して被覆面66から基板Wの上面全域に向けて放出される。これにより、赤外線が基板Wの上面全域に吸収され、輻射熱が赤外線ランプ34から基板Wに伝達される。そのため、処理液などの液体が基板W上に保持されている状態で赤外線ランプ34が赤外線を発すると、基板Wの温度が上昇し、それに伴って、基板W上の液体の温度も上昇する。
図4は、処理ユニット2によって行われる基板Wの処理の一例について説明するための工程図である。図5A、図5B、および図5Cは、処理中の基板Wを示す模式図である。以下では、図1を参照する。図4、図5A、図5B、および図5Cについては適宜参照する。
以下では、シリコン窒化膜の一例であるLP−SiN(Low Pressure -Silicon Nitride)の薄膜と、シリコン酸化膜の一例であるLP−TEOS(Low Pressure -Tetraethyl orthosilicate)の薄膜とが表層に形成された基板W(シリコンウエハ)の表面にリン酸水溶液を供給して、LP−SiNの薄膜を選択的にエッチングする選択エッチングについて説明する。シリコン酸化膜は、TEOSの薄膜に限らず、熱酸化膜であってもよいし、シリケートガラス(silicate glass)系の酸化膜であってもよい。
以下では、シリコン窒化膜の一例であるLP−SiN(Low Pressure -Silicon Nitride)の薄膜と、シリコン酸化膜の一例であるLP−TEOS(Low Pressure -Tetraethyl orthosilicate)の薄膜とが表層に形成された基板W(シリコンウエハ)の表面にリン酸水溶液を供給して、LP−SiNの薄膜を選択的にエッチングする選択エッチングについて説明する。シリコン酸化膜は、TEOSの薄膜に限らず、熱酸化膜であってもよいし、シリケートガラス(silicate glass)系の酸化膜であってもよい。
基板Wが処理されるときには、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(図4のステップS1)が行われる。具体的には、制御装置3は、被覆部材62が退避位置に位置しており、全てのノズルがスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板Wを保持している搬送ロボット(図示せず)のハンドをチャンバー4内に進入させる。そして、制御装置3は、搬送ロボットに基板Wをスピンチャック5上に載置させる。その後、制御装置3は、スピンチャック5に基板Wを保持させる。続いて、制御装置3は、スピンチャック5によって基板Wを低速(たとえば10〜30rpm)で回転をさせ始める。制御装置3は、基板Wがスピンチャック5上に置かれた後、搬送ロボットのハンドをチャンバー4内から退避させる。
次に、エッチング液の一例であるリン酸水溶液を基板Wに供給するエッチング工程としてのリン酸供給工程(図4のステップS2)が行われる。具体的には、制御装置3は、リン酸ノズル移動装置23を制御することにより、被覆部材62が退避位置に位置している状態で、リン酸ノズル18を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、リン酸ノズル18が被覆部材62と基板Wとの間に配置される。その後、制御装置3は、リン酸バルブ20を開いて、リン酸温度調節装置21によって温度が調節されたリン酸水溶液を回転状態の基板Wの上面に向けてリン酸ノズル18から吐出させる。制御装置3は、この状態でリン酸ノズル移動装置23を制御することにより、基板Wの上面に対するリン酸水溶液の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。
図5Aに示すように、リン酸ノズル18から吐出されたリン酸水溶液は、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、リン酸水溶液が基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜が基板W上に形成される。これにより、基板Wの上面がエッチングされ、シリコン窒化膜が選択的に除去される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するリン酸水溶液の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、リン酸水溶液の着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、リン酸ノズル18から吐出されたリン酸水溶液が、基板Wの上面全域に直接供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
次に、基板Wへのリン酸水溶液の供給を停止させた状態でリン酸水溶液の液膜を基板W上に保持するパドル工程(図4のステップS3)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンチャック5を制御することにより、基板Wの上面全域がリン酸水溶液の液膜に覆われている状態で、基板Wを静止させる、もしくは、リン酸供給工程での基板Wの回転速度よりも遅い低回転速度(たとえば10rpm未満)まで基板Wの回転速度を低下させる。そのため、基板W上のリン酸水溶液に作用する遠心力が弱まり、基板W上から排出されるリン酸水溶液の量が減少する。制御装置3は、基板Wが静止している状態もしくは基板Wが低回転速度で回転している状態で、リン酸バルブ20を閉じて、リン酸ノズル18からのリン酸水溶液の吐出を停止させる。これにより、図5Bに示すように、基板Wへのリン酸水溶液の供給が停止された状態で、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液のパドル状の液膜が基板W上に保持される。制御装置3は、基板Wへのリン酸水溶液の供給を停止した後、リン酸ノズル移動装置23を制御することにより、リン酸ノズル18をスピンチャック5の上方から退避させる。
次に、基板W上のリン酸水溶液を加熱する加熱工程(図4のステップS4)と、基板W上のリン酸水溶液に純水の液滴を供給する純水供給工程(図4のステップS4)とが、パドル工程と並行して行われる。具体的には、制御装置3は、赤外線ランプ34からの発光を開始させる。その後、制御装置3は、昇降装置63によって被覆部材62を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、被覆部材62がリン酸水溶液の液膜に沿って配置され、被覆部材62の被覆面66が基板W上のリン酸水溶液の液膜に接触する。制御装置3は、被覆部材62が処理位置に位置している状態で、基板Wを静止させてもよいし、低回転速度で回転させてもよい。
制御装置3は、被覆部材62が処理位置に位置している状態で、複数の純水バルブ40を複数回開閉する。これにより、図5Cに示すように、各純水吐出口37が、複数の純水の液滴を一つずつ吐出する。すなわち、各純水吐出口37が、純水の液滴を間欠的に吐出する。したがって、基板Wからのリン酸水溶液の排出が停止されている状態で、複数の純水の液滴が基板Wの上面内の複数の位置に供給される。制御装置3は、赤外線ランプ34による基板Wの加熱が所定時間にわたって行われた後、純水ノズルとしての複数の純水吐出口37からの液滴の吐出を停止させると共に、被覆部材62を退避位置に退避させる。その後、制御装置3は、赤外線ランプ34の発光を停止させる。
このように、制御装置3は、赤外線ランプ34からの赤外線を基板Wの上面全域に照射するので、基板Wが均一に加熱される。したがって、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜も均一に加熱される。赤外線ランプ34による基板Wの加熱温度は、リン酸水溶液のその濃度における沸点以上の温度(100℃以上。たとえば、140℃〜160℃内の所定温度)に設定されている。したがって、基板W上のリン酸水溶液が、その濃度における沸点まで加熱され、沸騰状態に維持される。特に、赤外線ランプ34による基板Wの加熱温度が、リン酸水溶液のその濃度における沸点よりも高温に設定されている場合には、基板Wとリン酸水溶液との界面の温度が、沸点よりも高温に維持され、基板Wのエッチングが促進される。
さらに、制御装置3は、被覆部材62が処理位置に位置している状態で、基板W上のリン酸水溶液を加熱する。この状態では、被覆板64の被覆面66が基板W上の液膜に接触している。したがって、リン酸水溶液の液膜は、基板Wと被覆板64とによって形成された密閉度の高い空間に配置される。また、この状態では、被覆部材62の周壁65が基板W上の液膜を取り囲んでいるので、基板Wと被覆板64との間の空間の密閉度が高められている。本実施形態では、基板W上のリン酸水溶液を密閉度の高い空間に配置された状態で加熱しているので、リン酸水溶液からの水分の蒸発を抑制し、ピロリン酸の発生を低減することができる。このようにシリコン酸化膜をエッチングするピロリン酸の発生を低減することができるため、エッチング選択比の低下を抑制または防止することができる。
さらに、被覆面66が基板W上の液膜に接触している状態で、基板W上のリン酸水溶液を加熱しているので、基板W上のリン酸水溶液から発生する蒸気が、被覆面66に付着することを防止できる。したがって、リン酸やシロキサンの結晶が被覆面66に付着して、被覆面66が白濁することを防止できる。また、仮に、リン酸水溶液中で発生したリン酸やシロキサンの結晶が、被覆面66に付着したとしても、被覆面66がリン酸水溶液に接触しているので、被覆面66に付着している結晶が、リン酸水溶液に溶解し、被覆面66から除去される。そのため、基板Wに照射されるべき赤外線が、被覆面66に付着しているリン酸の結晶に遮られることを防止できる。これにより、赤外線ランプ34の輻射熱を基板Wに確実に伝達でき、基板Wの加熱効率の低下を抑制または防止できる。
また、被覆部材62によって水の蒸発量が低減されるものの、加熱工程(S4)ではリン酸水溶液が加熱されているため水分が僅かながら蒸発する。当該蒸発に伴い、2H3PO4→H4P2O7+H2Oの反応によって、シリコン酸化膜をエッチングするピロリン酸(H4P2O7)が発生する。しかし、制御装置3は、リン酸水溶液からの水の蒸発量に相当する量の純水を基板W上のリン酸水溶液に供給するので、リン酸水溶液から蒸発した水分が補われ、リン酸水溶液の濃度変化が低減される。これにより、エッチングレートの変動が抑えられる。
さらに、リン酸水溶液中で一旦発生したピロリン酸が、補充された純水との反応により減少するので、エッチング選択比の低下が抑制または防止される。
シリコン酸化膜のエッチングは、基板Wとリン酸水溶液との界面に存在するピロリン酸を減少させることにより、効率的に抑制される。純水供給工程では、液滴の形態で純水が基板W上のリン酸水溶液に供給される。供給された純水の液滴は固まったままリン酸水溶液中を移動するため(図5C参照)、純水を基板Wとリン酸水溶液との界面に確実に到達させ、基板Wとリン酸水溶液との界面に存在するピロリン酸を確実に低減させることができる。これにより、エッチング選択比の低下が確実に抑制または防止される。
シリコン酸化膜のエッチングは、基板Wとリン酸水溶液との界面に存在するピロリン酸を減少させることにより、効率的に抑制される。純水供給工程では、液滴の形態で純水が基板W上のリン酸水溶液に供給される。供給された純水の液滴は固まったままリン酸水溶液中を移動するため(図5C参照)、純水を基板Wとリン酸水溶液との界面に確実に到達させ、基板Wとリン酸水溶液との界面に存在するピロリン酸を確実に低減させることができる。これにより、エッチング選択比の低下が確実に抑制または防止される。
リン酸水溶液に補充される純水は、純水吐出口37から噴霧されてもよいし、純水吐出口37から連続的に吐出されてもよい。しかし、霧状の純水ではその多くがリン酸水溶液の表層で吸収されるため、十分な量の純水を基板Wとリン酸水溶液との界面まで到達させることができないおそれがある。このため、純水吐出口37から吐出される純水は液滴状であることが望ましい。また、基板W上のリン酸水溶液が100℃以上に加熱されているので、蒸発し易い霧状の純水ではそもそもリン酸水溶液の表層に到達させること自体が難しい。この観点からも、純水吐出口37から吐出される純水は液滴状であることが望ましい。
リン酸水溶液に補充される純水は、純水吐出口37から連続的に吐出されてもよいし、純水吐出口37から間欠的に吐出されてもよい。但し、微量の水を高い精度で連続的に供給することは困難である。これに対して、純水を間欠的に吐出する場合には微量の水を比較的高い精度で供給することができる。このため、純水吐出口37から純水を間欠的に吐出させると、リン酸水溶液の濃度および温度の変化をより確実に抑制することができる。
次に、基板W上のリン酸水溶液を排出するリン酸排出工程(図4のステップS5)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンチャック5を制御することにより、被覆部材62が退避位置に位置しており、基板Wへの液体の供給が停止されている状態で、パドル工程での基板Wの回転速度よりも速い回転速度(例えば500〜3000rpm)で基板Wを回転させる。これにより、パドル工程のときよりも大きな遠心力が基板W上のリン酸水溶液に加わり、基板W上のリン酸水溶液が基板Wの周囲に振り切られる。また、基板Wの周囲に飛散したリン酸水溶液は、カップ9によって受け止められ、カップ9を介して回収装置に案内される。そして、回収装置に案内されたリン酸水溶液は、再び基板Wに供給される。これにより、リン酸水溶液の使用量が低減される。
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第1リンス液供給工程(図4のステップS6)が行われる。具体的には、制御装置3は、被覆部材62が退避位置に位置している状態でリンス液バルブ30を開いて、基板Wを回転させながら、リンス液ノズル28から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成され、基板Wに残留しているリン酸水溶液が純水によって洗い流される。そして、リンス液バルブ30が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ30を閉じて純水の吐出を停止させる。
次に、薬液の一例であるSC1を基板Wに供給する薬液供給工程(図4のステップS7)が行われる。具体的には、制御装置3は、SC1ノズル移動装置27を制御することにより、被覆部材62が退避位置に位置している状態で、SC1ノズル24を退避位置から処理位置に移動させる。制御装置3は、SC1ノズル24が被覆部材62と基板Wとの間に配置された後、SC1バルブ26を開いて、回転状態の基板Wの上面に向けてSC1をSC1ノズル24から吐出させる。制御装置3は、この状態でSC1ノズル移動装置27を制御することにより、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で往復移動させる。そして、SC1バルブ26が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、SC1バルブ26を閉じてSC1の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、SC1ノズル移動装置27を制御することにより、SC1ノズル24を基板Wの上方から退避させる。
SC1ノズル24から吐出されたSC1は、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、基板W上の純水は、SC1によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これにより、基板W上の純水の液膜が、基板Wの上面全域を覆うSC1の液膜に置換される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SC1の着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、SC1ノズル24から吐出されたSC1が、基板Wの上面全域に直接吹き付けられ、基板Wの上面全域が均一に処理される。
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第2リンス液供給工程(図4のステップS8)が行われる。具体的には、制御装置3は、被覆部材62が退避位置に位置している状態でリンス液バルブ30を開いて、基板Wを回転させながら、リンス液ノズル28から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。これにより、基板W上のSC1が、純水によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上のSC1の液膜が、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜に置換される。そして、リンス液バルブ30が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ30を閉じて純水の吐出を停止させる。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(図4のステップS9)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンチャック5によって基板Wの回転を加速させて、第2リンス液供給工程までの回転速度よりも速い高回転速度(たとえば500〜3000rpm)で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる。
次に、基板Wをチャンバー4内から搬出する搬出工程(図4のステップS10)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンチャック5による基板Wの保持を解除させる。その後、制御装置3は、被覆部材62が退避位置に位置しており、全てのノズルがスピンチャック5の上方から退避している状態で、搬送ロボット(図示せず)のハンドをチャンバー4内に進入させる。そして、制御装置3は、搬送ロボットのハンドにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、搬送ロボットのハンドをチャンバー4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
図6は、基板Wの中心から純水の着液位置までの半径方向への距離と着液位置の半径方向の移動速度および純水供給流量との関係の一例を示すグラフである。
制御装置3は、複数の純水流量調整バルブ41の開度を変更することにより、各純水吐出口37から吐出される純水の量を制御する。
シリコン窒化膜のエッチング量は基板Wの上面全面に亘って均一であることが望ましい。そのためには、エッチングレートの面内均一性を高くする必要がある。換言すると、基板Wの上面周縁部と上面中心部とのシリコン窒化膜のエッチングレートを略同一にする必要がある。シリコン窒化膜のエッチングレートはリン酸水溶液の濃度に依存するため、当該濃度が基板Wの上面全面において一定となるように純水を補充する必要がある。基板Wが停止しているとき、または実質的に停止しているとき(数rpmで回転しているとき)には各純水吐出口37からの純水の吐出流量を同一にすることが望ましい。こうすると基板Wの上面周縁部と上面中心部とには単位面積あたりで実質的に同量の純水が補給されるためリン酸水溶液の濃度を基板Wの上面に亘って均一にすることができる。よって、エッチングレートの面内均一性を高くすることができる。
制御装置3は、複数の純水流量調整バルブ41の開度を変更することにより、各純水吐出口37から吐出される純水の量を制御する。
シリコン窒化膜のエッチング量は基板Wの上面全面に亘って均一であることが望ましい。そのためには、エッチングレートの面内均一性を高くする必要がある。換言すると、基板Wの上面周縁部と上面中心部とのシリコン窒化膜のエッチングレートを略同一にする必要がある。シリコン窒化膜のエッチングレートはリン酸水溶液の濃度に依存するため、当該濃度が基板Wの上面全面において一定となるように純水を補充する必要がある。基板Wが停止しているとき、または実質的に停止しているとき(数rpmで回転しているとき)には各純水吐出口37からの純水の吐出流量を同一にすることが望ましい。こうすると基板Wの上面周縁部と上面中心部とには単位面積あたりで実質的に同量の純水が補給されるためリン酸水溶液の濃度を基板Wの上面に亘って均一にすることができる。よって、エッチングレートの面内均一性を高くすることができる。
ところが、前述の純水供給工程で基板Wを比較的高速度で回転させると、基板W上のリン酸水溶液には基板Wの半径方向に濃度むらが生じるほどの遠心力が作用する。リン酸水溶液は水よりも粘度が高いため、純水よりも基板Wの外方に移動し難いと考えられる。したがって、基板Wの上面中心部から多くの純水が基板Wの上面周縁部に移動し、基板Wの中心部でリン酸水溶液の濃度が相対的に高くなり、逆に基板Wの周縁部でリン酸水溶液の濃度が相対的に低くなると考えられる。
事実、本願発明者らは、基板横行速度が一定で、純水吐出口37からの純水の吐出流量が一定である場合において、基板Wの回転速度をたとえば10rpm程度まで増加させると、基板Wの上面周縁部のシリコン窒化膜のエッチング量が基板Wの上面中央部のエッチング量よりも小さくなる現象を確認した。
これは、前記したメカニズムが基板W上の液膜に作用したためであると考えられる。すなわち、基板Wの回転速度が10rpm程度の場合、基板W上の液膜の厚みは概ね均一であるが、それにもかかわらず、エッチング量に差が生じているのは、多くの純水が基板Wの周縁部に移動し、その結果、基板Wの周縁部でのリン酸水溶液の濃度が低下したためであると考えられる。したがって、基板Wを比較的高速度(たとえば10rpm以上)で回転させながら基板W上のリン酸水溶液の液膜に純水を供給する際には基板Wの上面周縁部よりも基板Wの上面中心部において単位面積当たりの純水供給量を多くすれば、リン酸水溶液の濃度の基板Wの半径方向についてのばらつきを低減でき、その結果、エッチングレートの基板Wの半径方向についてのばらつきを抑制または防止できると考えられる。
これは、前記したメカニズムが基板W上の液膜に作用したためであると考えられる。すなわち、基板Wの回転速度が10rpm程度の場合、基板W上の液膜の厚みは概ね均一であるが、それにもかかわらず、エッチング量に差が生じているのは、多くの純水が基板Wの周縁部に移動し、その結果、基板Wの周縁部でのリン酸水溶液の濃度が低下したためであると考えられる。したがって、基板Wを比較的高速度(たとえば10rpm以上)で回転させながら基板W上のリン酸水溶液の液膜に純水を供給する際には基板Wの上面周縁部よりも基板Wの上面中心部において単位面積当たりの純水供給量を多くすれば、リン酸水溶液の濃度の基板Wの半径方向についてのばらつきを低減でき、その結果、エッチングレートの基板Wの半径方向についてのばらつきを抑制または防止できると考えられる。
単位面積あたりの純水供給量を基板Wの上面周縁部よりも上面中心部で多くするには、純水吐出口37からの純水吐出流量が基板Wの上面周縁部よりも基板Wの上面中心部で多くなるように各純水吐出口37に連通する純水流量調整バルブ41を制御すればよい(図6参照)。
図7は、基板Wに供給されるリン酸水溶液の温度とエッチングレートおよびエッチング選択比との関係を示すグラフである。
図7は、基板Wに供給されるリン酸水溶液の温度とエッチングレートおよびエッチング選択比との関係を示すグラフである。
図7に示すように、シリコン窒化膜の一例であるLP−SiNのエッチングレートは、リン酸水溶液の温度上昇に伴って加速度的に増加している。これに対して、シリコン酸化膜の一例であるLP−TEOSのエッチングレートは、リン酸水溶液の温度が140℃以下の範囲ではほぼ零である。LP−TEOSのエッチングレートは、リン酸水溶液の温度が140℃から170℃までの範囲ではリン酸水溶液の温度上昇に伴って緩やかに増加しており、リン酸水溶液の温度が170℃以上の範囲ではリン酸水溶液の温度上昇に伴って加速度的に増加している。リン酸水溶液の温度を高めれば、それ伴ってシリコン窒化膜のエッチングレートが増加するものの、リン酸水溶液の温度が140℃以上の範囲ではシリコン酸化膜もエッチングされてしまう。そのため、エッチング選択比が低下してしまう。したがって、リン酸水溶液の温度を120℃〜160℃内の所定温度(好ましくは、140℃)に設定することにより、高いエッチング選択比を維持しつつ、エッチングレートを高めることができる。
以上のように第1実施形態では、リン酸供給装置6が、スピンチャック5によって水平に保持されている基板Wの上面にエッチング液としてのリン酸水溶液を供給する。これにより、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜が形成され、基板Wへのリン酸水溶液の供給が停止されている状態でリン酸水溶液の液膜が基板W上に保持される。そして、基板Wの上面がリン酸水溶液の液膜を介して被覆部材62の被覆面66に覆われている状態で、基板Wが加熱装置10によって加熱される。これにより、リン酸水溶液が加熱され、エッチングレートが高められる。さらに、純水供給装置36が、基板W上のリン酸水溶液の液膜に純水を供給するので、H4P2O7+H2O→2H3PO4の反応によって、リン酸水溶液中のピロリン酸(H4P2O7)が減少する。これにより、エッチングレートを高めることができ、選択比の低下を抑制できる。
さらに、被覆部材62がリン酸水溶液の液膜に沿って配置されているので、被覆部材62の被覆面66が基板Wの上面に近接している。さらに、平面視で基板Wよりも大きい被覆面66が、リン酸水溶液の液膜を介して基板Wの上面を覆っているので、液膜の上面全域が、被覆部材62の被覆面66によって覆われる。したがって、リン酸水溶液の液膜は、液膜の上面全域が被覆面66に覆われている状態で加熱される。そのため、リン酸水溶液からの水の蒸発が被覆部材62によって抑制され、水の蒸発量が低減される。これにより、リン酸水溶液の濃度変化を抑制できる。また、リン酸水溶液中のピロリン酸の発生を抑制できるため、エッチング選択比の低下を抑制することができる。
第1実施形態では、少量の純水がリン酸水溶液の液膜に供給される。より具体的には、基板Wへの純水の供給流量は、純水流量調整バルブ41によって、リン酸水溶液が基板Wから排出されない値、換言すると基板W上にパドル状のリン酸水溶液の液膜が保持される値に設定されている。そのため、十分な活性を有するリン酸水溶液が基板Wから排出されることを防止できる。これにより、リン酸水溶液を効率的に使用できる。さらに、基板W上のリン酸水溶液に供給される純水が少ないので、リン酸水溶液の濃度および温度の変化を抑制できる。これにより、エッチングレートの変動を抑制できる。
第1実施形態では、少量の純水がリン酸水溶液の液膜に供給される。より具体的には、基板Wへの純水の供給流量は、純水流量調整バルブ41によって、リン酸水溶液が基板Wから排出されない値、換言すると基板W上にパドル状のリン酸水溶液の液膜が保持される値に設定されている。そのため、十分な活性を有するリン酸水溶液が基板Wから排出されることを防止できる。これにより、リン酸水溶液を効率的に使用できる。さらに、基板W上のリン酸水溶液に供給される純水が少ないので、リン酸水溶液の濃度および温度の変化を抑制できる。これにより、エッチングレートの変動を抑制できる。
また第1実施形態では、被覆部材62の被覆面66が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプ34から放出された赤外線は、被覆面66を介して基板Wに照射される。これにより、液膜の上面全域が被覆面66で覆われた状態で、基板W上のリン酸水溶液が加熱される。このように、水の蒸発を抑制しながらリン酸水溶液を加熱することができるため、エッチングレートを高めることができる。
また第1実施形態では、被覆面66がリン酸水溶液の液膜に接触する接触位置、または被覆面66がリン酸水溶液の液膜から離れた非接触位置に、被覆部材62が配置されている状態で、リン酸水溶液の液膜が加熱される。被覆面66がリン酸水溶液の液膜に接触している状態で、基板W上のリン酸水溶液が加熱される場合には、リン酸やシロキサンの結晶が被覆面66に付着したとしても、この結晶は、被覆面66に接するリン酸水溶液に溶解して被覆面66から除去される。したがって、結晶の付着によって被覆面66が白濁し、基板Wに照射されるべき赤外線が被覆面66の曇りによって遮られることを抑制または防止できる。これにより、赤外線ランプ34の輻射熱を基板Wに効率的に伝達することができる。
また第1実施形態では、リン酸水溶液の液膜が、被覆部材62の内周面67によって取り囲まれる。リン酸水溶液の液膜は、被覆部材62の被覆面66と基板Wの上面との間の密閉度の高い空間に配置されている。被覆部材62の被覆面66が、基板Wの上面に近接していることに加えて、被覆部材62の内周面67が、リン酸水溶液の液膜の周囲に配置されているので、リン酸水溶液の液膜が配置される空間の密閉度が高められている。したがって、リン酸水溶液からの水の蒸発量がさらに低減される。そのため、リン酸水溶液の濃度変化を抑制できる。また、リン酸水溶液中のピロリン酸の発生が抑制されるため、エッチング選択比を高めることができる。実際に、第1実施形態のように基板W上のリン酸水溶液を被覆部材62で密閉してエッチング処理を実施した場合には、基板W上のリン酸水溶液を被覆部材62で密閉しなかった場合よりもエッチング選択比が15倍に増加したことが確認された。
また第1実施形態では、被覆面66で開口する複数の純水吐出口37が、基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出する。基板Wの上面内の複数の位置は、基板Wの中心からの距離がそれぞれ異なる位置である。したがって、スピンチャック5が回転軸線A1まわりに基板Wを回転させている状態で、複数の純水吐出口37が基板Wの上面に向けて純水を吐出すると、純水が、リン酸水溶液の液膜に均一に供給される。これにより、リン酸水溶液の濃度の均一性を高めることができる。
また第1実施形態では、被覆面66で開口する複数の純水吐出口37が、基板Wの中心からの距離が異なる、基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出すると共に、基板Wの回転方向Drに離れた、基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出する。したがって、スピンチャック5が回転軸線A1まわりに基板Wを回転させている状態で、複数の純水吐出口37が基板Wの上面に向けて純水を吐出すると、純水が、リン酸水溶液の液膜に均一に供給される。これにより、リン酸水溶液の濃度の均一性を高めることができる。
また第1実施形態では、スピンチャック5が、基板Wの上面中央部を通る鉛直線まわりに基板Wを回転させるので、基板Wの周縁部は、基板Wの中央部よりも大きい速度で鉛直線まわりに回転する。そのため、基板Wの周縁部は、基板Wの中央部よりも冷めやすい。言い換えると、基板Wの中央部は、基板Wの周縁部よりも効率的に加熱される。純水供給装置36は、被覆面66で開口する純水吐出口37から基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出する。したがって、純水の供給によって基板Wおよびリン酸水溶液の温度が変化したとしても、基板Wおよびリン酸水溶液が元の温度に戻る時間を短縮できる。
また第1実施形態では、加熱装置10が基板Wの上面全域に向けて熱を発するので、基板Wが均一に加熱される。したがって、リン酸水溶液の液膜が均一に加熱される。そのため、エッチングの均一性を高めることができる。さらに、加熱装置10の熱が、基板Wの上面全域に直接伝達されるので、加熱装置10は、静止した状態で基板Wの上面全域を加熱できる。したがって、加熱装置10を水平に移動させるための装置を設けなくてもよい。そのため、基板処理装置1の部品点数を減少させることができる。
また第1実施形態では、加熱装置10が基板Wの上面全域に向けて熱を発するので、制御装置3は、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させた状態で、加熱装置10に基板Wの上面全域を加熱させることができる。すなわち、制御装置3は、基板Wを静止させた状態で、加熱装置10に基板Wの上面全域を加熱させることができる。したがって、リン酸水溶液の液膜が加熱装置10によって加熱されているときに、リン酸水溶液の膜厚の均一性が、基板Wの回転によって低下することを防止できる。さらに、リン酸水溶液に補充された純水の分布に偏りが生じ、リン酸水溶液の濃度の均一性が低下することを防止できる。そのため、エッチングの均一性を高めることができる。
また第1実施形態では、被覆面66で開口する複数の純水吐出口37が、基板Wの中心からの距離が異なる、基板Wの上面内の複数の位置に向けて純水を吐出する。複数の純水吐出口37から吐出される純水の流量は、複数の純水流量調整バルブ41によって個別に供給される。したがって、リン酸水溶液の液膜の各部に供給される純水の流量が個別に調整される。制御装置3は、基板Wの上面周縁部に供給される純水よりも多くの純水が基板Wの上面中央部に供給されるように、純水供給装置36を制御する。基板Wの上面中央部に供給される単位面積あたりの純水の量は、基板Wの上面周縁部に供給される単位面積あたりの純水の量よりも多い。
本願発明者らは、基板Wの回転速度が大きいと、基板Wの上面中央部でのエッチング量が、基板Wの上面周縁部でのエッチング量よりも大きいことを確認した。このエッチング量の差は、基板Wの上面中央部でのリン酸水溶液の濃度が基板Wの上面周縁部でのリン酸水溶液の濃度よりも高いためであると考えられる。したがって、制御装置3は、基板Wの上面周縁部に供給される純水よりも多くの純水を基板Wの上面中央部に供給することにより、基板Wの上面中央部でのリン酸水溶液の濃度を低下させることができる。そのため、制御装置3は、基板Wの上面中央部でのエッチング量を減少させることができ、これによって、エッチングの均一性を高めることができる。
また第1実施形態では、リン酸ノズル18から吐出されるリン酸水溶液の温度が、リン酸温度調節装置21によって調整される。すなわち、リン酸温度調節装置21によって予め温度が調整された高温のリン酸水溶液が、リン酸ノズル18から吐出され、基板Wの上面に供給される。そのため、加熱装置10がリン酸水溶液の温度を所定温度まで上昇させる時間を短縮できる。これにより、エッチング時間を短縮できる。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態との主要な相違点は、加熱装置10が、被覆部材62に対して移動可能な可動ヒータとしての赤外線ヒータ231を備えていることである。以下の図8および図9において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態との主要な相違点は、加熱装置10が、被覆部材62に対して移動可能な可動ヒータとしての赤外線ヒータ231を備えていることである。以下の図8および図9において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る被覆部材62の縦断面と赤外線ヒータ231およびスピンチャック5を示す模式図である。図9は、本発明の第2実施形態に係る被覆部材62および赤外線ヒータ231の模式的な平面図である。
第2実施形態に係る加熱装置10は、赤外線を基板Wに照射する赤外線ヒータ231と、赤外線ヒータ231が先端部に取り付けられたヒータアーム232と、ヒータアーム232を移動させるヒータ移動装置233とを含む。加熱装置10は、被覆部材62に対して移動可能な可動ヒータとしての赤外線ヒータ231に加えて、被覆部材62に内蔵された固定ヒータとしての赤外線ランプ34をさらに備えていてもよい。
第2実施形態に係る加熱装置10は、赤外線を基板Wに照射する赤外線ヒータ231と、赤外線ヒータ231が先端部に取り付けられたヒータアーム232と、ヒータアーム232を移動させるヒータ移動装置233とを含む。加熱装置10は、被覆部材62に対して移動可能な可動ヒータとしての赤外線ヒータ231に加えて、被覆部材62に内蔵された固定ヒータとしての赤外線ランプ34をさらに備えていてもよい。
赤外線ヒータ231は、被覆部材62の処理位置(図8に示す位置)よりも上方に配置されている。赤外線ヒータ231は、赤外線を発する赤外線ランプ234と、赤外線ランプ234を収容するランプハウジング235とを含む。赤外線ランプ234は、ランプハウジング235内に配置されている。ランプハウジング235は、平面視で基板Wよりも小さい。したがって、このランプハウジング235の内部に配置されている赤外線ヒータ231は、平面視で基板Wよりも小さくなる。赤外線ランプ234およびランプハウジング235は、ヒータアーム232に取り付けられている。したがって、赤外線ランプ234およびランプハウジング235は、ヒータアーム232と共に移動する。
赤外線ランプ234は、フィラメントと、フィラメントを収容する石英管とを含む。赤外線ランプ234(例えばハロゲンランプ)は、カーボンヒータであってもよいし、これら以外の発熱体であってもよい。ランプハウジング235の少なくとも一部は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。赤外線ランプ234が発光すると、赤外線ランプ234からは赤外線を含む光が放出される。この赤外線を含む光はランプハウジング235を透過してランプハウジング235の外表面から放射され、あるいは、ランプハウジング235を加熱してその外表面から輻射光を放射させる。上記のようにランプハウジング235の外表面からは赤外線を含む光が透過または輻射により放射されるが、以下ではランプハウジング235の外表面を透過する赤外線に着目して赤外線ランプ34に関する説明を行う。
ランプハウジング235は、被覆部材62の処理位置(図8に示す位置)よりも上方に配置されている。ランプハウジング235は、基板Wの上面と平行な底壁を有している。この底壁の上方には赤外線ランプ234が配置されている。底壁の下面は、基板Wの上面と平行でかつ平坦な照射面を含む。赤外線ヒータ231が基板Wの上方に配置されている状態では、ランプハウジング235の照射面が、間隔を空けて被覆部材62に上下方向に対向する。被覆部材62は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。したがって、この状態で赤外線ランプ234が赤外線を発すると、赤外線が、ランプハウジング235および被覆部材62を透過する。
赤外線ランプ234から放出された赤外線は、ランプハウジング235および被覆部材62を介して、被覆部材62の被覆面66を介して、基板Wの上面内の照射位置(基板Wの上面内の一部の領域)を照射される。これにより、赤外線が基板Wの上面に吸収され、輻射熱が赤外線ランプ234から基板Wに伝達されてリン酸水溶液の液膜が加熱される。あるいは赤外線がリン酸水溶液の液膜に吸収され、当該液膜を直接に加熱する。照射位置は、直径が基板Wの半径よりも短い円形の領域である。照射位置は、円形に限らず、長手方向の長さが基板Wの半径以上である矩形状であってもよいし、円形および矩形以外の形状であってもよい。
図9に示すように、ヒータ移動装置233は、スピンチャック5の周囲で上下方向に延びる回動軸線A3まわりにヒータアーム232を回動させることにより、赤外線ヒータ231を水平に移動させる。これにより、赤外線が照射される照射位置が基板Wの上面内で移動する。ヒータ移動装置233は、平面視で基板Wの中心を通る円弧状の軌跡X1に沿って赤外線ヒータ231を水平に移動させる。したがって、赤外線ヒータ231は、被覆部材62の上方を含む水平面内で移動する。
制御装置3は、赤外線ヒータ231が赤外線を発している状態で、スピンチャック5によって基板Wを回転させる。この状態で、制御装置3は、ヒータ移動装置233を制御することにより、照射位置が基板Wの上面中央部に位置するセンター位置(図9に示す位置)と、照射位置が基板Wの上面周縁部に位置するエッジ位置との間で、赤外線ヒータ231を移動させる。これにより、基板Wの上面全域が、加熱位置としての照射位置によって走査される。したがって、処理液などの液体が基板W上に保持されている状態で赤外線ランプ234が赤外線を発すると、基板Wの温度が上昇し、それに伴って、基板W上の液体の温度も上昇する。
基板Wが処理ユニット2によって処理されるとき、制御装置3は、前述の加熱工程において、被覆部材62を処理位置に位置させた状態で基板Wを回転させると共に、赤外線ヒータ231をセンター位置とエッジ位置との間で移動させる。これにより、赤外線ヒータ231からの赤外線が基板Wの上面全域に照射され、基板Wの全域が均一に加熱される。したがって、基板Wの上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜も均一に加熱される。赤外線ヒータ231による基板Wの加熱温度は、リン酸水溶液のその濃度における沸点以上の温度(100℃以上。たとえば、140℃〜160℃内の一定温度)に設定されている。したがって、基板W上のリン酸水溶液が、その濃度における沸点まで加熱され、沸騰状態に維持される。これにより、基板Wのエッチングが促進される。
以上のように第2実施形態では、被覆部材62の被覆面66が、赤外線を透過する材料で形成されている。赤外線ランプ234は、被覆面66の上方に配置されている。赤外線ランプ234から放出された赤外線は、被覆面66を介して基板Wの上面に照射される。赤外線ランプ234は、スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、基板Wの上面内の一部の領域に赤外線を照射する。ヒータ移動装置233は、赤外線ランプ234を移動させることにより、基板Wの上面に対する赤外線の照射位置を基板Wの半径方向(回転半径方向)に移動させる。これにより、基板Wの上面全域が赤外線の照射位置によって走査され、基板Wの上面全域が加熱される。したがって、リン酸水溶液の液膜を均一に加熱でき、エッチングの均一性を高めることができる。
他の実施形態
本発明の第1および第2実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1および第2実施形態では、内周面67を有する周壁65が被覆部材62に設けられている場合について説明したが、被覆部材62は、周壁65を備えていなくてもよい。
本発明の第1および第2実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1および第2実施形態では、内周面67を有する周壁65が被覆部材62に設けられている場合について説明したが、被覆部材62は、周壁65を備えていなくてもよい。
また第1および第2実施形態では、赤外線ランプ34および赤外線ランプ234が発熱体として用いられている場合について説明したが、電熱線などの他の発熱体が、赤外線ランプ34および赤外線ランプ234の代わりに用いられてもよい。
また第1および第2実施形態では、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック5が、基板保持装置として用いられている場合について説明したが、処理ユニット2は、スピンチャック5の代わりに、基板Wを静止状態で水平に保持する基板保持装置を備えていてもよい。
また第1および第2実施形態では、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック5が、基板保持装置として用いられている場合について説明したが、処理ユニット2は、スピンチャック5の代わりに、基板Wを静止状態で水平に保持する基板保持装置を備えていてもよい。
また第1および第2実施形態では、純水バルブ40の開閉によって純水の液滴が形成される場合について説明したが、純水供給装置36は、純水バルブ40が開かれている状態で純水吐出口37から吐出される純水に振動を加えることにより、純水吐出口37から吐出される純水を分断する圧電素子(piezo element)を備えていてもよい。
また第1および第2実施形態では、純水供給工程が行われている期間中、基板Wの回転速度が一定に維持される場合について説明したが、純水供給工程が行われている期間中に、基板Wの回転速度が変更されてもよい。
また第1および第2実施形態では、純水供給工程が行われている期間中、基板Wの回転速度が一定に維持される場合について説明したが、純水供給工程が行われている期間中に、基板Wの回転速度が変更されてもよい。
具体的には、リン酸供給工程での基板Wの回転速度よりも遅い低回転速度(たとえば10〜30rpm)で基板Wを回転させる低速回転工程と、前記低回転速度よりも速い高回転速度(たとえば50rpm)で基板Wを回転させる高速回転工程とが、純水供給工程と並行して行われてもよい。この場合、基板Wに供給された純水の液滴に加わる遠心力が、高速回転工程において大きくなるので、基板Wの上面内のより広い範囲に純水を短時間で拡散させることができる。
また第1および第2実施形態では、リン酸水溶液が基板Wに供給された後に、赤外線ランプ34および赤外線ランプ234による基板Wの加熱が開始される場合について説明したが、赤外線ランプ34および赤外線ランプ234による基板Wの加熱は、リン酸水溶液が基板Wに供給される前に開始されてもよい。この場合、基板Wが加熱されている状態で、リン酸水溶液が基板Wに供給されるので、リン酸水溶液の温度を所定温度まで上昇させる時間を短縮できる。
また前述の第1および第2実施形態では、複数の純水吐出口37が被覆面66の全域に分布している場合について説明したが、複数の純水吐出口37は、被覆面66の全域に分布しておらず、被覆面66の半径方向(平面視で基板Wの半径方向に一致)に並んでいてもよい。
また第2実施形態では、制御装置3は、ヒータ移動装置233によって、センター位置とエッジ位置との間で赤外線ヒータ231を水平に移動させる場合について説明したが、制御装置3は、赤外線が基板Wの上面周縁部に照射される2つのエッジ位置の間で、赤外線ヒータ231を移動させてもよい。
また第2実施形態では、制御装置3は、ヒータ移動装置233によって、センター位置とエッジ位置との間で赤外線ヒータ231を水平に移動させる場合について説明したが、制御装置3は、赤外線が基板Wの上面周縁部に照射される2つのエッジ位置の間で、赤外線ヒータ231を移動させてもよい。
また第2実施形態では、加熱工程において、制御装置3が、基板Wを回転させると共に、赤外線ヒータ231を移動させる場合について説明した。しかし、赤外線が照射される照射位置(基板Wの上面内の一部の領域)が、基板Wの上面中央部から基板Wの上面周縁部まで基板Wの半径方向に延びる矩形状の領域である場合には、制御装置3は、赤外線ヒータ231を静止させた状態で基板Wを回転させてもよい。
具体的には、図10に示すように、加熱装置10は、第1実施形態に係る赤外線ランプ34に代えて、被覆部材62に内蔵された固定ヒータとしての赤外線ランプ334を備えており、この赤外線ランプ334が、基板Wの上面中央部から基板Wの上面周縁部まで基板Wの半径方向に延びる矩形状の領域だけに赤外線を照射してもよい。この場合、加熱装置10は、スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、赤外線ランプ334に赤外線を放出させれば、赤外線ランプ34を移動させずに、基板Wの上面全域に赤外線を照射できる。そのため、リン酸水溶液の液膜を均一に加熱でき、エッチングの均一性を高めることができる。
また前述の第1および第2実施形態では、純水バルブ40および純水流量調整バルブ41が、各純水配管39に介装されている場合について説明したが、純水供給装置36が、複数の純水配管39のそれぞれに接続されており、複数の純水配管39に純水を供給する集合配管を備えている場合には、
また前述の第1および第2実施形態では、基板W上のリン酸水溶液を加熱しながら、純水をリン酸水溶液に補充する場合について説明したが、リン酸水溶液からの蒸発が被覆部材62によって抑制されるので、リン酸水溶液の加熱時間が短い場合には、水の蒸発量が少ないので、純水の補充が省略されてもよい。
また前述の第1および第2実施形態では、基板W上のリン酸水溶液を加熱しながら、純水をリン酸水溶液に補充する場合について説明したが、リン酸水溶液からの蒸発が被覆部材62によって抑制されるので、リン酸水溶液の加熱時間が短い場合には、水の蒸発量が少ないので、純水の補充が省略されてもよい。
また、純水供給装置36は、各純水配管39に純水を供給する集合配管と、集合配管から各純水配管39への純水の供給および供給停止を切り替える純水バルブと、集合配管から各純水配管39に供給される純水の流量を調整する純水流量調整バルブとを備えていてもよい。この場合、純水供給装置36は、純水配管39に介装された純水バルブ40および純水流量調整バルブ41を備えていなくてもよい。
また第1および第2実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
また、第1および第2実施形態を含む全ての実施形態のうちの2つ以上が組み合わされてもよい。
また、第1および第2実施形態を含む全ての実施形態のうちの2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 :基板処理装置
2 :処理ユニット
3 :制御装置(制御手段)
5 :スピンチャック(基板保持手段)
8 :リンス液供給装置(リン酸供給手段)
10 :加熱装置(加熱手段)
17 :スピンモータ
18 :リン酸ノズル
21 :リン酸温度調節装置(リン酸温度調節手段)
34 :赤外線ランプ
36 :純水供給装置(水供給手段)
37 :純水吐出口
41 :純水流量調整バルブ
62 :被覆部材
64 :被覆板
65 :周壁
66 :被覆面
67 :内周面
233 :ヒータ移動装置(ヒータ移動手段)
234 :赤外線ランプ
334 :赤外線ランプ
W :基板
2 :処理ユニット
3 :制御装置(制御手段)
5 :スピンチャック(基板保持手段)
8 :リンス液供給装置(リン酸供給手段)
10 :加熱装置(加熱手段)
17 :スピンモータ
18 :リン酸ノズル
21 :リン酸温度調節装置(リン酸温度調節手段)
34 :赤外線ランプ
36 :純水供給装置(水供給手段)
37 :純水吐出口
41 :純水流量調整バルブ
62 :被覆部材
64 :被覆板
65 :周壁
66 :被覆面
67 :内周面
233 :ヒータ移動装置(ヒータ移動手段)
234 :赤外線ランプ
334 :赤外線ランプ
W :基板
Claims (12)
- 基板を水平に保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持されている基板の上面にリン酸水溶液を供給することにより、前記基板の上面全域を覆うリン酸水溶液の液膜を形成するリン酸供給手段と、
前記リン酸供給手段を制御することにより、前記リン酸供給手段から前記基板へのリン酸水溶液の供給を停止させた状態で前記リン酸水溶液の液膜を前記基板上に保持させる制御手段と、
平面視で前記基板よりも大きい被覆面を有し、前記リン酸水溶液の液膜に沿って配置されており、前記被覆面によって前記基板の上面を前記リン酸水溶液の液膜を介して覆う被覆部材と、
前記リン酸水溶液の液膜が前記基板上に保持されている状態で前記基板を加熱する加熱手段と、
前記リン酸水溶液の液膜に水を供給する水供給手段とを含む、基板処理装置。 - 前記水供給手段は、リン酸水溶液が前記基板から排出されない流量で前記リン酸水溶液の液膜に水を供給し、前記基板上にパドル状のリン酸水溶液の液膜を維持する、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、
前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置された赤外線ランプを含み、前記赤外線ランプから放出された赤外線を前記被覆面を介して基板に照射する、請求項1または2に記載の基板処理装置。 - 前記被覆部材は、前記被覆面が前記リン酸水溶液の液膜に接触する接触位置に配置される、請求項3に記載の基板処理装置。
- 前記被覆部材は、前記リン酸水溶液の液膜を取り囲む内周面をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、
前記水供給手段は前記被覆面で開口し前記リン酸水溶液の液膜に向けて水を吐出する複数の水吐出口を含み、当該複数の水吐出口は前記基板の中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置に前記水を吐出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記複数の水吐出口は、前記基板の回転方向の位置がそれぞれ異なる複数の位置に前記水を吐出する、請求項6に記載の基板処理装置。
- 前記複数の水吐出口の少なくとも一つは前記基板の上面中央部に前記水を吐出する、請求項6または7に記載の基板処理装置。
- 前記加熱手段は、前記基板の上面全域に向けて熱を発する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、
前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、
前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置されており、前記基板の上面の一部領域に赤外線を照射する赤外線ランプと、前記赤外線ランプを移動させることにより、前記基板の上面に対する赤外線の照射位置を前記基板の半径方向に移動させるヒータ移動手段とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、
前記被覆部材の前記被覆面は、赤外線を透過する材料で形成されており、
前記加熱手段は、前記被覆面の上方に配置されており、前記基板の上面中央部から前記基板の上面周縁部まで前記基板の半径方向に延びる矩形状の領域に向けて赤外線を放出する赤外線ランプを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記基板保持手段は、前記基板の上面中央部を通る鉛直線まわりに前記基板を回転させるスピンモータを含み、
前記水供給手段は、前記被覆面で開口し前記リン酸水溶液の液膜に向けて水を吐出する複数の水吐出口と、前記複数の水吐出口から吐出される水の流量を個別に調整する複数の水流量調整バルブとを有し、前記複数の水吐出口は前記基板の中心からの距離が異なる複数の位置に前記水を吐出し、
前記制御手段は、前記基板の上面中央部に供給される単位面積あたりの水の量が前記基板の上面周縁部に供給される単位面積あたりの水の量よりも多くなるように、前記水供給手段を制御する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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-
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