JP2014155991A - 二部材の接合構造、二部材の接合方法およびこれを利用した自動車のステアリングシャフトのシャフト部と継手部を構成するヨーク間の接合構造 - Google Patents

二部材の接合構造、二部材の接合方法およびこれを利用した自動車のステアリングシャフトのシャフト部と継手部を構成するヨーク間の接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】特に同一軸線上に配置された第1の部材と第2の部材とを、二重に接合強度を維持させる接合構造を提供する。
【解決手段】二部材の接合構造10は、第1の部材11と第2の部材12とを接合する構造であり、第1の部材11の第2の部材12側端面には摩擦圧接面F1を形成し、第2の部材12の端面には第1の部材11の摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2を備えると共に、当該第2の部材12の摩擦圧接面F2の第1の部材11側に、第1の部材11の外周面との間に摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙12Bを有する筒状の壁部12Aを設け、摩擦圧接された第1の部材11の外周部と第2の部材12の壁部12Aとを機械的接合手段Mで接合して構成した。
【選択図】図3

Description

本発明は二部材の接合構造に関し、さらに詳しくは、2つの部材の接合部において、ねじり方向の力が作用する場合や、引張ないし圧縮方向の力が作用する場合や、曲げ方向の力が作用する場合等に本発明を利用でき、殊に、ねじり方向の力が作用する例えば自動車のステアリングシャフトのシャフト部と継手部を構成するヨーク部間の接合に好適な二部材の接合構造に関する。
第1の部材と第2の部材同士を接合して連結する手段としては、MIG溶接等のアーク溶接による連結構造が知られている。
この溶接接合による第1の部材と第2の部材同士の接合部では既知の適切な継手構造にて溶接が施される。例えば、接合する二部材の端部同士を当接させ、その部位の周囲を全周溶接する形態がある。
また、2つの部材同士を接合する手法の他の一つとして摩擦圧接が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
この特許文献1に開示された防護柵用支柱では、車道脇に固定される台座にジョイント部材を介して支柱を固着する際に、円筒状のジョイント部材と台座の平面部とが摩擦圧接により接合された構成となっている。
また特許文献2によれば、中空状の連結棒と接合部を円筒状としたエンド部材とが摩擦圧接により接合された例が開示されている。
ところで、摩擦圧接は、2つの部材のうち、例えば一方の部材を固定しておいて、他方の部材に所定の圧力(摩擦圧力)を加えた状態で、高速で回転または摺動させ、そのときに生じる摩擦熱により両部材が軟化した時点で、さらに圧力を加えることで2つの部材を接合する方法である。
そして、摩擦圧接は、接合しようとする面同士の摩擦熱によって接合面全体が同時に接合される。さらに、摩擦圧接は、前記MIG溶接やTIGのように溶融接合する部分に対して線状に順次接合を進めるものでないため、短時間に接合が完了する。
このため、接合時における接合部での熱移動等の解析も容易で熱影響による部材の変形も少ない利点があり、近年では、広範な分野で利用されている。
特開2011−1694号公報 特開平11−156562号公報
上記の通り摩擦圧接法によれば短時間で接合ができ作業効率の良い接合方法であるが、本発明は継手の健全性をさらに向上することを課題とし、二重に接合をおこなうものである。
例えば、第1の部材である自動車のステアリングシャフトのシャフト部と、第二部材である自在継手部を形成するヨーク間にあっては摩擦圧接ないし溶接で両者を接合する場合、この接合部に何らかの接合不良が発生した場合でも接合強度を維持できる工夫が求められている。
本発明は、上述した課題を改善するためのものであり、特に、同一軸線上に配置された第1の部材と第2の部材とを、二重に接合強度を維持させる接合構造を提供することを目的としたものであり、2つの部材同士を摩擦圧接により第1の接合とするとともに、これら二部材同士を機械的接合方法でさらに第2の接合として、二重の接合を施し接合部をより確実にするものである。
本発明は、ステアリングシャフトのシャフト部と自在継手部を形成するヨーク部の接合に最適に利用できるが、これ以外の二部材の接合部であっても摩擦圧接接合が可能な構造への適用が可能とした構造を提供する。
なお、第1の部材は中空部を有する部材であっても中空部の形成されない中実材でも適用可能である。また、第2の部材も同様である。
さらに、摩擦圧接に際してのバリ排出の有無、バリを排出させる場合での排出方法を特定するものではない。
前記目的を達成するために、本願発明の二部材の接合構造は、第1の部材と第2の部材との接合構造であって、
前記第1の部材の端面には摩擦圧接面を形成し、
前記第2の部材の端面には前記第1の部材の摩擦圧接面と摩擦圧接される摩擦圧接面を備えると共に、当該第2の部材の前記第1の部材側に、前記第1の部材の外周面と対向する壁部を設け、
摩擦圧接された前記第1の部材の外周部と前記第2の部材の壁部とを機械的接合手段で接合してなることを特徴とする。
また、本願発明のステアリングシャフトは、ステアリングホイールに連結されたシャフト部および継手部を備えると共にこの両者を接合する接合構造として前記請求項1ないし請求項11のいずれか一つに記載した二部材の接合構造を適用してなるステアリングシャフトであって、
前記第1の部材が前記ステアリングシャフトのシャフト部とされ、前記第2の部材が前記継手部を構成するヨークとされていることを特徴とする。
また、本願発明の二部材の結合方法は、第1の部材と第2の部材との接合方法であって、
前記第1の部材の端面に摩擦圧接面が形成されると共に前記第2の部材の端面に前記摩擦圧接面と摩擦圧接される摩擦圧接面が形成され、前記第2の部材の前記第1の部材側には当該第1の部材11の外周面と対向する壁部が設けられた前記第1の部材と前記第2の部材を予め準備する第1工程と、
前記第1の部材の摩擦圧接面と前記第2の部材の摩擦圧接面を摩擦圧接する第2工程と、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記第2の部材の壁部と前記第1の部材とを機械的接合手段で接合してなる第3工程を有することを特徴とした。
本発明は、以上に説明したような構成となっているので、第1の部材の端面および第2の部材の端面同士が摩擦圧接された後、第2の部材の壁部と第1の部材とが機械的接合手段で接合される。第1の部材と第2の部材からなる二部材が二重の接合を施される結果、より確実な接合となり二重の接合強度が維持される。
本発明に係る二部材の接合構造の第1実施形態を示し、第1の部材と第2の部材とを接合する前の段階を表す分解図であり、第1の部材が中実で外側スプラインを有するタイプの場合である。 図1に示した状態から第1の部材を第2の部材の円筒状に形成した壁部内に挿入し、両部材を摩擦圧接した状態を示す一部断面の全体側面図である。 図2の状態から第2の部材の壁部をかしめて第1の部材と第2の部材とを接合した状態を示す一部断面の全体側面図である。 図3におけるIV−IV線に沿って断面した縦断面図である。 本発明に係る二部材の接合構造の第2実施形態を示し、第1の部材と第2の部材とを接合する前の段階を表す分解図であり、第1の部材が中実で一端部のみに外側スプラインを有するタイプの場合である。 図5に示した状態から第1の部材を第2の部材に挿入し、両部材を摩擦圧接した状態を示す一部断面の全体側面図である。 図6の状態から第2の部材の壁部をかしめて第1の部材と第2の部材とを接合した状態を示す一部断面の全体側面図である。 図7におけるVIII−VIII線に沿って断面した縦断面図である。 本発明に係る二部材の接合構造の第3実施形態を示し、第1の部材と第2の部材とを摩擦圧接した後、第2の部材の壁部と第1の部材とを固定ピンで接合する前の状態を表す一部断面の全体側面図であり、第1の部材が中実で外側スプラインを有するタイプの場合である。 図9の状態から第2の部材の壁部と第1の部材とを固定ピンで接合した状態を示す一部断面の全体側面図である。 図10におけるXI−XI線に沿って断面した縦断面図である。 本発明に係る二部材の接合構造の第4実施形態を示す一部断面の全体側面図であり、第1の部材が中実の場合である。 本発明に係る二部材の接合構造の固定ピンの打込み手順を図9、図10、図11に示した実施態様を例に表し、図13(A)は固定ピンを構成するピン部を第2の部材および第1の部材へ打込んだ状態、図13(B)はピン部の上部に固定ピンの頭部を形成する状態を示す縦断面図である。 本発明に係る二部材の接合構造の第5実施形態を示す一部断面の全体側面図を示し、第3実施形態の接合の固定ピンに換えてブラインドリベットを利用する例であり、第1の部材が中空でかつ一端部に内側スプラインを有するタイプの場合である。 本発明に係る二部材の接合構造の第6実施形態を示す一部断面の全体側面図であり、第1の部材が中実で外側スプラインを有するタイプの場合である。 図15におけるXVI−XVI線に沿って断面した縦断面図である。 各実施形態における第1の接合である摩擦圧接の他の例を示す第7実施形態を示す部分断面図である。 各実施形態における第1の接合である摩擦圧接の他の例を示す第8実施形態を示す部分断面図である。 本発明に係る二部材の接合構造をステアリング装置のステアリングシャフトに適用した例を示す全体斜視図である。 図19のステアリングシャフトの詳細を示す側面図である。 本発明に係る二部材の接合構造をプロペラシャフト等の回転力伝達装置に適用した例を示す側面図である。
[構成の説明]
以下に、図1〜図4を参照して、本発明に係る二部材の接合構造の第1実施形態を詳細に説明する。
図1は、本第1実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)10を構成する第1の部材11と第2の部材12とを接合する前の段階を表す分解図である。
図1において符号F1は第1の部材11の端面に形成した摩擦圧接面である。
また、符号F2は第2の部材12に形成した摩擦圧接面であり、第1の部材11の摩擦圧接面F1と対向するように形成されている。
符号12Aは第2の部材12に形成された壁部であり、摩擦圧接面F1、F2が摩擦圧接された場合に第1の部材11の外周面と対向するように形成されている。そして、本実施形態にあっては円筒状に形成されている。
この壁部12Aは第2の接合を行う目的で形成されるものであり、必ずしも円筒状である必要はなく第2の接合の必要な部分にのみ形成されていれば充分である。
図2は、図1に示した状態から第1の部材11を第2の部材12の第1の部材側に向かう円筒状の壁部12Aに挿入し、両部材11,12を摩擦圧接した状態を示す図である。
図3は、図2の状態から第2の部材12の壁部12Aをかしめて第1の部材11と第2の部材12とを接合した状態を示す図である。図4は、かしめた状態を縦断面として表した図である。
これらの図1〜図4に示すように、本第1実施形態の接合構造10は、同一軸線上に配置された第1の部材11と第2の部材12とを、第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものであり、接合部をより確実に結合したものである。
そして、機械的接合手段Mとして、かしめ加工による接合を適用したものである。
なお、第1の部材11と第2の部材12とは、それぞれが、例えば、アルミニウムまたはアルミ合金で形成されている。また、以下に説明する第2〜第6実施形態の接合構造20等の第1の部材21と第2の部材22等も、それぞれが、例えば、アルミニウムまたはアルミ合金で形成されている。
第1の部材11は、その外周面が断面円形状に形成されており、この外周面には、当該第1の部材11の軸線方向に沿った凹溝を構成する外側スプライン11Aが形成されている。
ただし、この外側スプライン11Aは、第1の部材11の全長にわたって形成されている必要はない。第2の部材12との接合部、つまり、第2の部材12の前記壁部12A内に収容される部位と、他の必要部分に形成されていればよいものである。
第2の部材12における第1の部材11側には、筒状の壁部12Aが形成されている。
そして、この壁部12Aの内周面と第1の部材11の外周面、つまり外側スプライン11Aの頂部を含む隙間が、図2,3に示すように、前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙12Bとなっている。
また、第2の部材12の中心部にはバリ収容孔12Dが形成されている。
なお、バリ収容空隙12Bないしバリ収容孔12Dは必要により形成すればよく、摩擦圧接により軟化した摩擦圧接面F1、F2同士をバリが出ないように圧着して接合する場合はバリ収容空隙12Bないしバリ収容孔12Dは不要になる。また、バリ収容空隙12Bないしバリ収容孔12Dのいずれか一方のみを形成することも可能である。
上記第1の部材11において第2の部材12側の端面は摩擦圧接面F1に形成されている。これに対して、上記第2の部材12の上記摩擦圧接面F1側面には、上記摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
円筒状の壁部12Aは、第1の部材と第2の部材とを摩擦圧接のために摩擦加熱が可能なように回転ないし、両者を摩擦加熱させるための摺動ないし、振動が可能なように第1の部材の外周面との間に必要な隙間が形成される。
なお、本実施態様にあってはこの摩擦圧接面F2は、前記円筒状の壁部12Aの奥部面において内径寸法とバリ収容用の貫通孔12Dの外径との間に形成されているリング状の平坦面となっている。
前記摩擦圧接接合手段Fは、以上に説明したように、また、図3,4に示すように、第1の部材11の摩擦圧接面F1と、第2の部材12に形成されている摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
ここで、摩擦圧接は、前述したように、2つの部材、つまり第1の部材11と第2の部材12のうち、例えば第2の部材12を固定しておいて、第1の部材11に所定の摩擦圧力を加えた状態で、高速で回転または摺動させ、そのときに生じる摩擦熱により両部材11,12が軟化した時点で、さらに圧力(アプセット圧力)を加えることで第1の部材11と第2の部材12を接合する方法である。
そして、摩擦圧接は、接合しようとする面同士の摩擦熱によって接合されるもののため、接合面全体が同時に接合される。
第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fにより接合された第1の部材11と第2の部材12とは、さらに、前述のように、第2の接合手段としての機械的接合手段Mで接合されている。
すなわち、本第1実施形態では、機械的接合手段Mとして、図3,4に示すように、かしめ加工15が適用されている。
このかしめ加工15は、第1の部材11の長手方向に沿って形成された前記外側スプライン11Aのかしめ受け部を構成する谷部11Bに向かって壁部12Aをその外周からかしめることにより施工され、これにより、第1の部材11と第2の部材12とが接合されるようになっている。
かしめ加工15は、図示しない所定のかしめ用工具を使用して行われ、かしめ加工15により生じた壁部12Aの第1の部材11側の面の突起部12Cが外側スプライン11Aの谷部11Bに係合するように行われ(図4参照)、その係合により第1の部材11と第2の部材12とが接合され、その結果、このかしめ加工15による接合でも、いずれか一方の部材に発生した回転トルクが他方の部材に充分に伝達されることになる。
以上に説明したように、第1の部材11と第2の部材12とは、第1の部材11の摩擦圧接面F1と、第2の部材12の摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する摩擦圧接接合手段Fと、かしめ加工15により接合する機械的接合手段Mとによる二重の接合が施されており、接合部がより確実に結合されている。
次に、本第1実施形態における第1の部材11と第2の部材12との接合方法(手順)を説明する。
まず、第1工程として、図1に示すように、第1の部材11と第2の部材12とを予め準備しておく。この際、第1の部材11の端面には摩擦圧接面F1が形成されており、第2の部材12の端面には上記摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第2の部材12の第1の部材11側先端に筒状の壁部12Aが形成されており、この壁部12Aの内周面と第1の部材11の外周面との間に、摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙12Bが形成されている。
次に、第2工程として、図2に示すように、第1の接合として、摩擦圧接接合手段Fを構成する第1の部材11の摩擦圧接面F1と第2の部材12の摩擦圧接面F2を摩擦圧接して、両部材11,12を接合する。
さらに、第3工程として、摩擦圧接された第1の部材11と第2の部材12とを、第2の接合手段としての機械的接合手段Mを構成するかしめ加工15により、当該第2の部材12の壁部12Aを第1の部材11の外側スプライン11Aの谷部11Bに向けてかしめて、両部材11,12を接合する。
このかしめ加工15は、第1の部材11の長手方向に沿って形成された外側スプライン11Aの谷部11Bに向けて壁部12Aの例えば2箇所を、所定のかしめ用工具等を利用してかしめることで行われる。
なお、かしめ加工15を行う個数は1か所以上で、必要な接合強度により定められる。
この際、壁部12Aの第1の部材11側面には、かしめ加工15により壁部12Aの径方向に2個の突起部12Cが形成され、これらの突起部12Cが第1の部材11の外側スプライン11Aの谷部11Bに係合するようにかしめることで行われる。
その結果、第1の部材11と第2の部材12とが、摩擦圧接による接合とかしめ加工15による接合との二重の接合となっている。
以上のような構成の第1実施形態の接合構造10によれば、次のような効果が得られる。
(1)第1の部材11の摩擦圧接面F1と、第2の部材12の第1の部材11側の摩擦圧接面F1に対向する位置に形成された第2摩擦圧接面F2とが第1の接合として摩擦圧接された後、第2の部材12の壁部12Bと第1の部材11とが第2の接合手段としてかしめ加工15により接合されるので、第1の部材11と第2の部材12との2部材が二重の接合を施される。その結果、第1の部材11と第2の部材12とがより確実な接合となり、二重の接合強度を維持することができる。
(2)かしめ加工15は、第2の部材12の壁部12Aをかしめて、壁部12Aの内周の突起部12Cが外側スプライン11Aの谷部11Bに係合するように行われるので、第1の部材11に、突起部12Cを係合させる部位を新たに設ける必要がなく、第1の部材11の外側スプライン11Aを有効活用することができる。
(3)第2の部材12の円筒状の壁部12Aの内周面(第1の部材11側面)と第1の部材11の外周面、つまり外側スプライン11Aとの間の隙間が、摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙12Bとなっているので、バリBを充分に排出できる。その結果、摩擦圧接を確実に行うことができる。
(4)第2の部材12の中央にはバリ収容孔12Dが摩擦圧接面F2に連通して形成されているので、摩擦圧接により生じるバリBを充分に排出できる。その結果、第1の部材11と第2の部材12とを摩擦圧接する際に、バリBが邪魔とならず、摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2との摩擦圧接を確実に行うことができる。
(5)第1の部材11と第2の部材12とが、摩擦圧接とかしめ加工15との二重の接合により接合されているので、接合不良や何らかの原因によりいずれかの接合に故障が生じても、完全な破壊を生じることがなくなり、その結果、不測の事態を避けることができる。
(6)第1の部材11と第2の部材12とが、摩擦圧接とかしめ加工15との二重の接合により接合されているので、いずれかの部材に加わった回転負荷を、二つの部材11,12が分担した状態となり、各部材11,12のそれぞれに掛かる負担を軽くすることができる。その結果、第1の部材11と第2の部材12との長寿命化を図ることができる。
次に、図5〜8に基づいて、本発明に係る接合構造の第2実施形態を詳細に説明する。
なお、本第2実施形態および以下に説明する第3〜第8実施形態において、前記第1実施形態の構造および使用部材と同様のものには同じ符号を付し、異なった部材のみ説明する。
図5は、本第2実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)20を構成する第1の部材21と第2の部材22とを接合する前の段階を表す分解図である。図6は、図5に示した状態から第1の部材21の摩擦圧接F1を第2の部材22の摩擦圧接F2に当接させ、両部材21,22を摩擦圧接した状態を示す図である。図7は、図6の状態から第2の部材22の壁部22Aをかしめて第1の部材21と第2の部材22とを接合した状態を示す図である。図8は、かしめた状態を縦断面として表した図である。
本第2実施形態の接合構造20は、第1の部材21と第2の部材22とを、前記第1実施形態の接合構造10と同様に、第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものである。
そして、機械的接合手段Mとして、かしめ加工による接合を適用したものである。
本第2実施形態の接合構造20では、摩擦圧接接合手段Fが前記第1実施形態の接合構造10の摩擦圧接接合手段Fと同じとなっているが、機械的接合手段Mとしてのかしめ加工25、さらに詳しくは、かしめ加工25の相手側が異なっている。
まず、第1の部材21について説明する。第1の部材21は、前記第1実施形態の第1の部材11と同様に中実部材で形成されており、かつ第1の実施形態とは相違して外周にはスプラインは形成されてはいないが、その外径は略同じ外径寸法に形成されている。
しかし、第1の部材21においては、第2の部材22側の端部に上記第1の部材21の周方向に沿って形成されたかしめ受け部を構成するリング状の凹溝21Bが形成されている。この凹溝21Bは所定幅に形成されると共にかしめ加工25により生じる突起部22Cの係合部を構成するものである。
また、第1の部材21の他端面側には、所定範囲にわたって外側スプライン21Aが形成されている。この外側スプライン21Aは、前記第1実施形態の第1の部材11の外側スプライン11Aと同じ形状に形成されている。そして、本実施形態にあってはスプライン部の谷径がスプラインのない部分の外径とほぼ同じである。
第2の部材22は、前記第1実施形態の第2の部材12と全く同じ構成となっている。
すなわち、第2の部材22における第1の部材21側の先端には、前記第1実施形態の第2の部材12と同じように、円筒状の壁部22Aが形成されており、この壁部22Aの内周には、第1の部材の外周面との間に前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙22Bが形成されている。
また、第2の部材22の中心部にはバリ収容孔22Dが形成されている。
なお、本実施形態においても第2の部材22に形成される壁部22Aを円筒状に形成したが、必ずしも円筒状に形成しなくてもよく、第2の接合のために利用することが可能であればよい。例えば、第2の部材に一体的に構成され、第2の接合の目的に必要な強度を維持できるものであれば、その位置形状は任意に設計でき円筒状でなくとも部分的に壁部を形成したものとしてもよい。
第1の部材21における第2の部材22側の端面は、上述したように、摩擦圧接面F1に形成されている。これに対して、第2の部材22の上記摩擦圧接面F1側面には、当該摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
円筒状の壁部22Aは第1の部材と第2の部材とを摩擦圧接のために摩擦加熱が可能なように回転ないし両者を摩擦加熱させるための摺動ないし振動が可能なように第1の部材の外周面との間に必要な隙間が形成される。
そして、摩擦圧接接合手段Fは、図6に示すように、第1の部材11の摩擦圧接面F1と、第2の部材12に形成されている摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fにより接合された第1の部材21と第2の部材22とは、さらに、前述のように、第2の接合手段としての機械的接合手段Mで接合されている。
すなわち、本第2実施形態では、機械的接合手段Mとして、図6,7に示すような、かしめ加工25が適用されている。
前記第1実施形態と本第2実施形態とも、機械的接合手段Mとしてかしめ加工が適用されているが、かしめ加工の相手側が異なっている。
前記第1実施形態では、第1の部材11の全長にわたって形成された外側スプライン11Aの谷部11Bに、かしめ加工15による壁部12Aの突起部12Cが係合するようにかしめていたが、本第2実施形態のかしめ加工25では、第1の部材21の円周方向に沿って形成されたリング状の凹溝21Bに向けて、壁部22Aの外周をかしめ、その結果、形成される突起部22Cを上記凹溝21Bに係合させるかしめ加工となっている。
なお、第1ないし第2実施形態にあっては第2の部材のかしめによる変形部をスプラインの谷部または円周状に形成したリング状凹溝にかしめることで行ったが、第1の部材に事前に窪を形成したり、小孔を形成しておきこの部分に突起部12Cないし22Cを係合させるようにかしめてもよい。
かしめ加工25は、図示しない所定のかしめ用工具を使用して行われ、図8に示すように、壁部22Aの径方向の少なくとも2箇所、実施形態では4箇所をかしめるように行われている。
この際、摩擦圧接によって生じたバリBは上記リング状の凹溝21Bにも入り込むが、かしめ加工25により壁部22Aの突起部22Cが凹溝21B内のバリBごとかしめるので、充分なかしめ効果を得ることができる。
なお、本実施形態にあっては図8に示すように部分的にかしめたが、リング状の凹溝21Bに沿って、円筒状の壁部22Aを円周状にかしめてもよい。
次に、本第2実施形態における第1の部材21と第2の部材22との接合方法(手順)を説明する。
まず、第1工程として、図5に示すように、第1の部材21と第2の部材22とを予め準備しておく。この際、第1の部材21の端面には摩擦圧接面F1が形成されており、第2の部材22の端面には上記摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第2の部材22の第1の部材21側先端には円筒状の壁部22Aが形成されており、この壁部22Aの内周面と第1の部材21の外周面との間に、両部材21,22の摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙22Bが形成されている。
次に、第2工程として、図6に示すように、第1の部材21の摩擦圧接面F1と第2の部材22の摩擦圧接面F2を摩擦圧接して第1の接合を行い、両部材21,22を接合する。
さらに、第3工程として、図8に示すように、第1の部材21と第2の部材22とを、当該第2の部材22の壁部22Aと第1の部材21とを機械的接合手段Mとしてのかしめ加工25により接合する。
このかしめ加工25は、第1の部材21の径方向に沿って形成されたリング状の凹溝21Bに第2の部材22の壁部22Aを、所定のかしめ用工具等を利用してかしめて行われる。
この際、壁部22Aの内径には、かしめ加工25により径方向に例えば4個の突起部22Cが形成され、これらの突起部22Cが第1の部材21の上記凹溝21Bに係合するようにかしめることで行われる。その結果、第1の部材21と第2の部材22とが、摩擦圧接とかしめ加工25による接合との二重の接合となっている。
以上のような構成の第2実施形態の接合構造20によれば、前記(1)、(3)〜(6)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(7)第1の部材21に形成されたリング状の凹溝21Bは、第1の部材21と第2の部材21とを摩擦圧接した際には、第2の部材22の壁部22Aのバリ収容空隙22B内に位置しており、バリ収容空隙22B内のバリBは、かしめ加工25により、このバリBごとかしめられるので、バリBとリング状の凹溝21Bとの間に大きな摩擦力が生じ、その結果、充分なかしめ効果を得ることができる。
次に、図9〜11に基づいて、本発明に係る二部材の接合構造(以下、単に接合構造)の第3実施形態を詳細に説明する。
図9は、本第3実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)30を構成する第1の部材31と第2の部材32とを第1の接合手段としての摩擦圧接による接合をした後、第2の接合手段としての機械的接合手段Mである固定ピンを打ち込む前の段階を表す分解図である。図10は、図9に示した状態から固定ピンを打ち込んだ状態を示す図である。図11は、固定ピンを打ち込んだ状態を縦断面として表した図である。
本第3実施形態の接合構造30は、第1の部材31と第2の部材32とを、前記各実施形態と同様の第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものであり、接合部をより確実に結合したものである。
そして、機械的接合手段Mとして、固定ピンの打ち込みによる接合を利用したものである。
第1の部材31は前記第1,2実施形態の第1の部材11,21と同様に中実部材で形成されており、その外周面に外側スプライン31Aが形成されている。
また、第2の部材32は、その全体形状が、前記第1,2実施形態の第2の部材12,22と略同じ形状となっており、当該第2の部材32の第1の部材31側には円筒状の壁部32Aが形成されている。
そして、この円筒状の壁部32Aの内周面と第1の部材31の外周面、つまり外側スプライン31Aの頂部を含む隙間が、図9〜11に示すように、前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙32Bとなっている。
また、第2の部材32の中心部にはバリ収容孔32Dが形成されている。
第1、第2の実施形態と同様に第1の部材31と第2の部材32との端面には、それぞれ摩擦圧接面F1、摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、摩擦圧接接合手段Fは、上記両摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fにより接合された第1の部材31と第2の部材32とは、さらに、前述のように、第2の接合手段としての機械的接合手段Mで接合されている。
すなわち、本第3実施形態では、機械的接合手段Mとして、図10,11に示すように、固定ピン35による接合方法が適用されている。
第1の部材31の摩擦圧接面F1寄りには、図9に示すように、径方向の対称位置に2箇所の固定ピン用穴31Cがあけられている。
また、第2の部材32において上記壁部32Aの先端側には、図9に示すように、径方向の対称位置に2箇所の固定ピン用孔32Cがあけられている。この固定ピン用孔32Cは、第1の部材31にあけられている上記固定ピン用穴31Cに対応している。
この固定ピン用穴32Cと固定ピン用穴31Cは摩擦圧接前に形成しておき、摩擦の際の回転ないし摺動を、両者32C,31Cが一致するように停止させるか、あるいは、摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接した後、固定ピン用孔32Cと固定ピン用穴31Cをドリル等で形成してもよい。
そして、固定ピン用孔32Cと固定ピン用穴31Cに固定ピン35を打ち込むことで、第1の部材31と第2の部材32との機械的接合35(M)が行われる。
なお、固定ピンとして頭35aのあるピンを用いたが、頭のないストレートのピンを使用してもよい。
なお、本第3実施形態においては、第1の部材31と第2の部材32の接合部30を形成するために外側スプライン31は必要なものではなく、前記第1の部材31の接合部付近に外側スプライン31が形成されていなくてもよいが、形成されていたとしても接合部30を形成するのに支障はない。
次に、本第3実施形態における第1の部材31と第2の部材32との接合方法(手順)を説明する。
まず、第1工程として、図9,10に示すように、第1の部材31と第2の部材32とを予め準備しておく。この際、第1の部材31の端面には摩擦圧接面F1が形成されており、第2の部材32の端面には上記摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第2の部材32の第1の部材31側先端には円筒状の壁部32Aが形成されており、この壁部32Aの内周面と第1の部材31の外周面との間に、両部材31,32の摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙32Bが形成されている。
次に、第2工程として、図9に示すように、第1の部材31の摩擦圧接面F1と第2の部材22の摩擦圧接面F2を摩擦圧接して第1の接合を行い、両部材31,32を接合する。
さらに、第3工程として、図10,11に示すように、第1の部材31と第2の部材32とを、当該第2の部材22の壁部32Aと第1の部材31とを機械的接合手段Mとしての固定ピン接合により接合する。
この固定ピンによる接合は、両者31,32Aの摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接した後、ドリル等で孔あけ加工された固定ピン用孔32Cと固定ピン用穴31Cに固定ピン35を打ち込むことで行われる。
以上のような構成の第3実施形態の接合構造30によれば、前記(3)、(4)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(8)機械的接合手段Mとして固定ピンによる接合が用いられ、この固定ピンによる接合は、第2の部材32の壁部32Aと第1の部材31の端部とにわたって、つまり、固定ピン用孔32C,31Cに固定ピン35を打ち込むことで行われる。そのため、2本の固定ピン35により、第1の部材32と第2の部材32とが接合されるので、第2の接合手段としての接合も強固な接合となる。
次に、図12に基づいて、本発明に係る接合構造の第4実施形態を詳細に説明する。
図12は、本第4実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)40を構成する第1の部材41と第2の部材42とを接合した状態を示す図である。
本第4実施形態の接合構造40は、第1の部材41と第2の部材42とを、前記第1〜3実施形態の接合構造10,20,30等と同様に、第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものであり、接合部をより確実に結合するものである。
そして、機械的接合手段Mとして、前記第3実施形態と同様に、固定ピンを利用したものである。
ここで、前記第3実施形態の第1の部材31が、その外周に外側スプライン31Aが形成されていたものであったのに対し、本第4実施形態の第1の部材41は、丸棒状の中実部材で形成されている点が異なるのみである。
したがって、第4実施形態の構造等は簡単に説明する。
第1の部材41は前記第1実施形態の第1の部材11等と同様に中実部材で形成されている。
また、第2の部材42における第1の部材41側の先端には円筒状の壁部42Aが形成されており、この壁部42Aの内周面と第1の部材41の外周面との隙間には、図12に示すように、前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙42Bが形成されている。
また、第2の部材42の壁部42Aと反対側において、当該第2の部材42の内部には壁部42Aに連続するバリ収容孔42Dが形成されている。
第1の部材41と第2の部材42との端面には、それぞれ摩擦圧接面F1、摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第1の接合となる摩擦圧接接合手段Fは、上記両摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
前述のように、第2の接合となる本第4実施形態では、第2の接合となる機械的接合手段Mとして固定ピン35による接合方法が適用されている。
すなわち、第1の部材41の摩擦圧接面F1寄りの径方向の対称位置と、第2の部材42における壁部42Aの先端側の径方向の対称位置とに、それぞれ2箇所ずつ固定ピン用穴41C、固定ピン用孔42Cがあけられている。そして、これらの固定ピン用穴41C、固定ピン用孔42Cは、相互に対応しており、第1の部材41と第2の部材42とを摩擦圧接した後、固定ピン用孔42C、固定ピン用穴41Cに固定ピン35を打ち込むことで、第1の部材41と第2の部材42との接合が行われる。
ここで、リベット用孔42Cとリベット用孔41Cとは、第1の部材41と第2の部材42とを摩擦圧接して接合した後、第2の部材42の壁部42Aの外周から、ドリル等により同時にあけるか、あるいは、第1の部材41と第2の部材42とに事前に形成しておき、摩擦圧接完了時点で固定ピン用穴41Cと固定ピン用孔42Cとを一致させておいてもよい。
次に、本第4実施形態における第1の部材41と第2の部材42との接合方法(手順)であるが、前記第3の実施形態と同様なので省略する。
以上のような構成の第4実施形態の接合構造40によれば、前記(3),(4),(8)と略同様の効果を得ることができる。
ここで、図13(A)、(B)に基づいて、前記第3、第4実施形態において使用される固定ピンに替えて第2の接合として、リベット接合としてのリベット35Rを利用した例を説明する。
前記第3、第4実施形態において使用された固定ピン35の場合は、固定ピン用穴31Cまたは41C、固定ピン用孔32Cまたは42Cは、固定ピンの外径に対してきつい嵌め合となる内径で形成され、そこに固定ピンを打ち込んで固定するが、リベット35Rの場合は、若干ゆるい嵌め合いリベット素材35RAが用意され、リベットの固定に際しリベット素材35RAの外径が膨張することでリベット用穴31RC,リベット用孔32RC内に圧着固定される。
図13(A)、(B)では、第3実施形態における第1の部材31と第2の部材32との第2の接合を固定ピンに替えてリベット35Rで接合する例を示す。
図13(A)では、外周面に外側スプライン31Aが形成されている第1の部材31と第2の部材32の壁部32Aとに、各部材31,32の径方向に沿ってそれぞれリベット用穴31RC,リベット用孔32RCがあけられている。これらのリベット用穴31RC,リベット用孔32RCは、前述のように、第1の部材31と第2の部材32とを摩擦圧接した後で、ドリル等で同時に孔あけ加工されている。
そして、リベット用穴31RC,リベット用孔32RCにリベット素材35RAを挿入した後、頭部形成用冶具37に形成されたリベット頭部形成部37Aをリベット素材35RAの一端部に押し当てると共に、所定の圧力で押当て、図13(B)に示すように、リベットの頭部35RBを形成すると共にリベット素材35RAに外径を膨張させることでリベット用穴31RC,リベット用孔32RCを密着させリベットによる第2の接合である機械的接合がなされる。
この場合、リベット素材35RAの材質によっては所定温度に加熱しておくと好適である。
次に、図14に基づいて、本発明に係る二部材の接合構造の第5実施形態を詳細に説明する。
図14は、本第5実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)50を構成する第1の部材51と第2の部材52とを接合した状態を示す図である。
本第5実施形態の接合構造50は、第1の部材51と第2の部材52とを、前記第1実施形態の接合構造10等と同様に、第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものであり、接合部をより確実に結合するものである。
そして、機械的接合手段Mとしては、前記第3,4実施形態にあっては固定ピンまたはリベットを用いたものであるのに対し、本第5実施形態では、ブラインドリベット55を用いた点が異なるものである。
第1の部材51は中空部材で形成されており、この第1の部材51の第2の部材52と反対側の端部には、所定範囲にわたって内側スプライン51Aが形成されている。
第2の部材52における第1の部材51側の先端には円筒状の壁部52Aが形成されており、この壁部52Aの内周面と第1の部材51の外周面との隙間には、図14に示すように、前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙52Bが形成されている。
また、第2の部材52の中心部にはバリ収容穴52Dが形成されている。
第1の部材51と第2の部材52との端面には、それぞれ摩擦圧接面F1、摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、前記摩擦圧接接合手段Fは、上記両摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fにより接合された第1の部材51と第2の部材52とは、さらに、前述のように、第2の接合手段としての機械的接合手段Mで接合されている。
すなわち、本第5実施形態では、機械的接合手段Mとして、図14に示すように、また、前述のように、ブラインドリベット55による接合が適用されている。
第1の部材51の摩擦圧接面F1寄りには、径方向の対称位置に2箇所のブラインドリベット用の貫通孔51Cがあけられている。
また、第2の部材52において上記壁部52Aには、径方向の対称位置に2箇所のブラインドリベット用の貫通孔52Cがあけられている。この貫通孔52Cは、第1の部材51にあけられているブラインドリベット用の貫通孔51Cに対応している。
なお、ブラインドリベット用の貫通孔51Cおよびブラインドリベット用の貫通孔52Cは、第1の部材51と第2の部材52とを摩擦圧接した後、所定のドリル等により同時に孔あけ加工されるが、事前に孔あけ加工をしておき、摩擦圧接に際して両者51C,52Cを一致させて摩擦圧接を終了させることで形成してもよい。
そして、第1の部材51と第2の部材52の摩擦圧接面F1と摩擦圧接面F2とを摩擦圧接した後、リベット用の貫通孔51C,52Cにブラインドリベット55のリベット部を挿入し、所定の装着用工具によってブラインドリベット55を構成するマンドレルを引抜き、マンドレルを破断させることにより、両部材51,52にわたって装着する。これにより、第1の部材51と第2の部材52との接合が行われる。
次に、本第5実施形態における第1の部材51と第2の部材52との接合方法(手順)を説明する。
まず、第1工程として、図14に示すように、第1の部材51と第2の部材52とを予め準備しておく。この際、第1の部材51の端面には摩擦圧接面F1が形成されており、第2の部材52の第1の部材51側面には、上記摩擦圧接面F1と対向して摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第2の部材52の第1の部材51側先端には円筒状の壁部52Aが形成されており、この壁部52Aの内周面と第1の部材51の外周面との間に摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙52Bが形成されている。
次に、第2工程として、図14に示すように、第1の部材51の摩擦圧接面F1と第2の部材52の摩擦圧接面F2を摩擦圧接して第1の接合を行い、第1の部材51と第2の部材51を接合する。
さらに、第3工程として、図14に示すように、第1の部材51と第2の部材52とを、当該第2の部材52の壁部52Aと第1の部材51とを機械的接合手段Mとしてのブラインドリベット55により接合する。
このブラインドリベット55による接合は、リベット用の貫通孔51C,52Cにブラインドリベット55のリベット部を挿入し、所定の装着用工具によってブラインドリベット55を構成するマンドレル部を引き抜くことによりマンドレルを破断させ、両部材51,52にわたって装着することで行われる。
その結果、第1の部材51と第2の部材52とが、摩擦圧接接合手段Fと機械的接合手段Mとしてのブラインドリベット55との二重の接合が実施される。
以上のような構成の第5実施形態の接合構造50によれば、前記(3),(4)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(9)ブラインドリベット55は、リベット用の貫通孔51C,52Cにブラインドリベット55のリベット部を挿入し、所定の装着用工具によってマンドレルを引き抜くだけで装着することができるので、装着作業が容易であり、かつ短時間ですむ。
次に、図15,16に基づいて、本発明に係る二部材の接合構造の第6実施形態を詳細に説明する。
図15は、本第6実施形態の二部材の接合構造(以下、単に接合構造)60を構成する第1の部材61と第2の部材62とを摩擦圧接した後、機械的接合手段Mとして楔65を打ち込んだ状態を示す図である。図16は、楔65を打ち込んだ状態を縦断面として表した図である。
本第6実施形態の接合構造60は、第1の部材61と第2の部材62とを、前記各実施形態と同様に、第1の接合手段としての摩擦圧接手段Fと、第2の接合手段としての機械的接合手段Mとで二重に接合する構造としたものであり、接合部をより確実に結合したものである。
まず、第1の部材61について説明する。第1の部材61は、前記第1実施形態の第1の部材11等と同様に中実部材で形成されると共に、外周面に外側スプライン61Aが形成されている。
ただし、この外側スプライン61Aは、第1の部材61の全長にわたって形成されている必要はない。第2の部材62との接合部、つまり、第2の部材62の壁部62A内に収容される部位と、他の必要部分に形成されていればよいものである。
第2の部材62は、前記第1実施形態の第2の部材12等と略同じ構成となっている。すなわち、第2の部材62の第1の部材61側の先端には円筒状の壁部62Aが形成されており、この壁部62Aの内周には、前記摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙62Bが形成されている。
また、第2の部材62の壁部62Aと反対側において、当該第2の部材62の内部には壁部62Aに連続するバリ収容孔62Dが形成されている。
第1の部材61において第2の部材62側の端面には、上述したように、摩擦圧接面F1に形成されている。これに対して、上記第2の部材62の第1の部材11側端面には摩擦圧接面F2が形成されるとともに、円筒状の壁部62Aが第1の部材11側に向けて形成されている。
そして、摩擦圧接接合手段Fは、図15に示すように、第1の部材61の摩擦圧接面F1と、第2の部材62の摩擦圧接面F2とを摩擦圧接により接合する手段である。
第1の接合手段としての摩擦圧接接合手段Fにより接合された第1の部材61と第2の部材62とは、さらに、前述のように、第2の接合手段としての機械的接合手段Mで接合されている。
すなわち、本第6実施形態では、機械的接合手段Mとして、図15,16に示すような、複数本の楔65の打ち込みによる接合を適用したものである。
楔65の打ち込みは、第1の部材61の摩擦圧接面F1と第2の部材62の摩擦圧接面F2との摩擦圧接の後、第2の部材62の壁部62Aの先端側から当該壁部62Aの内周部と第1の部材61の外側スプライン61Aの谷部61Bに向けて、楔65を打込んで行われ、これにより、第1の部材61と第2の部材62とを接合する。
楔65は、図15に示すように、壁部62Aの第1の部材61側面と外側スプライン61Aの谷部61Bとに挿入される挿入部65Aと、打込み部65Bとからなる略L字状に形成されている。
そして、図16に示すように挿入部65Aは丸棒状に形成されており、その挿入部65Aの外周が、外側スプライン61Aの2つの歯部の谷部61Bと壁部62Aの第1の部材61側面とに当接することで、第1の部材61と第2の部材62とが接合されるようになっている。
また、図16に示すように、楔65は、両部材61,62の径方向の互いに対象位置に少なくとも2箇所、実施形態では4箇所に打込まれるようになっている。
なお、本実施形態においては、第1の部材11に外側スプライン61Aを形成しておきその谷部61Bを利用したが、スプラインが形成されない平らな外周面としておいて楔を打ち込み、その摩擦力により固定するものであってもよいし、あるいは、壁部62A側に楔が挿入しやすい溝を形成しておいてもよい。
次に、本第6実施形態における第1の部材61と第2の部材62との接合方法(手順)を説明する。
まず、第1工程として、図15に示すように、第1の部材61と第1の部材62とを予め準備する。この際、第1の部材61の端面には摩擦圧接面F1が形成されており、第2の部材62の端面には上記摩擦圧接面F1と摩擦圧接される摩擦圧接面F2が形成されている。
そして、第2の部材62の第1の部材61側先端には、円筒状の壁部62Aが形成されており、この壁部62Aの内周面と第1の部材61の外周面との間に摩擦圧接により生じるバリBを収容するバリ収容空隙62Bが形成されている。
次に、第2工程として、図15に示すように、第1の部材61の摩擦圧接面F1と第2の部材62の摩擦圧接面F2を摩擦圧接して第1の接合を行い、第1の部材61と第2の部材62の接合を行う。
さらに、第3工程として、図15,16に示すように、第1の部材61と第2の部材62とを、当該第2の部材62の壁部62Aと第1の部材61とを機械的接合手段Mとしての楔65の打込みにより接合する。
この楔65の打込みは、第2の部材62の壁部62Aの先端側から当該壁部62Aの内周部と第1の部材61の外側スプライン61Aの谷部61Bに向けて打込んで行われる。そして、この楔65は、第1の部材61と第2の部材62との径方向の対象位置の4箇所に順次打込まれる。
その結果、第1の部材61と第2の部材62とが、摩擦圧接接合手段Fと機械的接合手段Mとしての楔65の打込みとによる接合との二重の接合となっている。
以上のような構成の第6実施形態の接合構造60によれば、前記(3),(4)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(10)楔65の打込みは、第2の部材62の壁部62Aの先端側から当該壁部62Aの内周部と第1の部材61の外側スプライン61Aの谷部61Bに向けて打込んで行われるので、両部材61,62のいずれかに、楔65を打込むための部位を新たに設ける必要がなく、第1の部材61の外側スプライン61Aを有効活用することができる。また、第3〜5実施形態のように、壁部62A等にリベット用孔31C等の穴あけ加工が不要となり、その分の加工の手間を省くことができる。
なお、外側スプラインのない場合にあってもよく、楔打ち込み隙間があれば同様に楔を打ち込むことで同様な効果を得られる。
以上に説明した第1〜第6の実施形態において、第2の接合手段である機械的接合に利用される、かしめ15,25、固定ピン35,40、リベット35R、ブラインドリベット55、楔65の使用個数は2ないし4個のケースを例示したが、この個数は必要とする強度条件等に応じて、1個以上必要に応じた個数とする。
次に、図17に基づいて、本発明に係る二部材の接合構造の第7実施形態を詳細に説明する。
図17は、第1の部材と第2の部材との第1の接合である摩擦圧接の変形例を示す第7実施形態であり、第1の部材71、第2の部材72よりなる。
第1の部材71の先端部には、前記摩擦圧接面F1が形成されるとともに、摩擦圧接により生じたバリを収容するバリ収納用空洞71Dが形成されている。
第2の部材72の第1の部材71側には摩擦圧接面F2が形成されている。また、第2の部材72の先端には第2の接合を行うための壁部72Aが形成されており、第1の部材71の外表面に対向して形成されている。
なお、壁部72Aは本実施形態では円筒状に形成したが、第2の接合のために設けるものであるため部分的に形成すれば充分である。
本第7実施形態にあっては、上記壁部72Aは円筒状とされており、前述のように、この壁部72Aと第1の部材71の外表面との間にはバリ収容空隙は形成されていないが、第1の部材71と第2の部材72との摩擦圧接の為に必要な回転等の動きが可能な隙間は当然形成されている。
前述のように、本第7実施形態に於ける前記各実施形態との相違は、第2の部材72の円筒状の壁部72Aと第1の部材71の外表面間にバリ収容空隙を形成していない点と、第2の部材72のバリ収容孔を設けず、第1の部材71の先端にバリ収納用空洞71Dを設け、摩擦圧接により発生するバリはこのバリ収納用空洞71D内に収容される点である。
なお、本第7実施形態における機械的接合手段Mとしては、例えば前記各第3実施形態の固定ピン35等を利用することができる。
以上のような構成の第7実施形態の接合構造70によれば、前記(3),(4)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(11)第2の部材72の先端の壁部72Aと第1の部材71の外表面との間にバリ収容空隙が形成されていなくても、第1の部材71の先端にバリ収納用空洞71Dが形成されており、摩擦圧接により発生するバリをバリ収納用空洞71D内に収容することができるので、バリがそれほど生じないような摩擦圧接でもよい場合に利用することができる。
次に、図18に基づいて、本発明に係る二部材の接合構造の第8実施形態を詳細に説明する。
図18は、第1の部材と第2の部材との第1の接合である摩擦圧接の変形例を示す第7実施形態であり、第1の部材81、第2の部材82よりなる。
第1の部材81の先端部全面には、前記摩擦圧接面F1が形成されている。
第2の部材82の第1の部材側には摩擦圧接面F2が形成されている。符号82Aは第2の接合を行うための壁部であり、第1の部材81の外表面に対向して形成されている。
なお、壁部82Aは本実施形態では円筒状に形成したが、第2の接合のために設けるものであるため部分的に形成すれば充分である。
本実施形態にあっては壁部82Aが円筒状とされ、第1の部材81の外表面との間にはバリ収容用の空隙は形成されないが、第1の部材71と第2の部材72の摩擦圧接の為に必要な回転等の動きが可能な間隙は当然形成されている。
本第8実施形態と前記各実施態様との相違は、第2の部材82の円筒状の壁部82Aと第1の部材81の外表面間にバリ収容空隙を形成していない点と、第2の部材82のバリ収容孔や、第1の部材81の先端側に前記第7実施形態と同様のバリ収納用空洞を設けず、摩擦圧接の際しては、第1の部材81と第2の部材82とに摩擦圧力を加え、摩擦回転(摺動)により両部材81,82の摩擦圧接面F1,F2を加熱軟化され、その後両者間にアプセット圧力を加え圧着するものである。
上記の各実施形態にあってはバリを排出させることにより摩擦面にある酸化物を排出させているが、本第8実施形態においは、バリの排出が必要としない場合に利用できるものである。すなわち表面の酸化物を極力少なくしたり、酸化物の存在が支障にならない場合に利用できる。
なお、本第7実施形態における機械的接合手段Mとしては、例えば前記各第3実施形態の固定ピン35等を利用することができる。
以上のような構成の第8実施形態の接合構造80によれば、前記(3),(4)と略同様の効果の他、次のような効果が得られる。
(12)バリの排出が必要としない場合、すなわち、表面の酸化物を極力少なくしたり、酸化物の存在が支障にならない場合に利用することができる。
なお、上記各実施の形態において、第2の部材12等に形成される壁部12A等は円筒状に形成したが、必ずしも円筒状に形成しなくともよく、第2の接合のために利用することが可能であればよく、第2の部材12等に一体または一体的に構成され、第2の接合の目的に必要な強度を維持できるものであれば、その位置形状は任意に設計でき円筒状でなくとも部分的に壁部を形成したものとしてもよい。
次に、図19、20に基づいて、本願発明の二部材の接合構造10等を自動車のステアリング装置90を構成するステアリングシャフト94に適用した例を説明する。
図19に示すように、ステアリング装置90は、ステアリングホイール(ハンドル)91、ステアリングコラムカバー92、ステアリングメインシャフト93、ステアリングシャフト94、ステアリングギアボックス95、タイロッド96やリンク類などで構成されている。
ハンドル91の回転は、ステアリングメインシャフト93からステアリングシャフト94を介してステアリングギアボックス95に伝えられると共に、そのステアリングギアボックス95内のステアリングギアによって減速されて運動方向が変換され、ピットマンアームの左右方向への動きへと変わる。
この動きはリレーロッドを介して左右のタイロッド96,76に伝えられ、それらのタイロッド96,96によりナックルアームが左右方向に振られる。そして、ステアリングナックル(フロントの軸受け部)が回転し、フロントホイールの向きが変えられるように構成されている。
ステアリングシャフト94は、ステアリングメインシャフト93とステアリングギアボックス95との間に設けられている。ステアリングシャフト94は、ステアリングメインシャフト93側に取付けられる第1の継手部94Aと、この第1の継手部94Aに接続されたアッパーシャフト94Bと、このアッパーシャフト94Bに接続されたロアシャフト94Cと、このロアシャフト94Cに接続されると共に、上記ステアリングギアボックス95に接続された第2の継手部94Dとを備えて構成されている。
そして、上記ステアリングシャフト94において、前記第1の部材11,21等がステアリングシャフト94のアッパーシャフト94B、ロアシャフト94Cであり、前記第2の部材12,22等が、それぞれ第1,2の継手部94A,94Dを形成するヨークである。
ステアリングシャフト94は、ステアリングホイールの操作力をステアリングギアボックス95内のステアリングギアに伝達するものであり、路面からハンドル91に伝わってくる衝撃を緩衝するために軸方向にスライド可能となっている。
すなわち、図19、図20に矢印Aで示すように、アッパーシャフト94Bの内周部とロアシャフト94Cの外周部とがそれぞれの軸方向、つまり矢印A方向にスライド可能に係合している。
そのため、アッパーシャフト94Bとロアシャフト94Cとは、例えば、内側スプラインと外側スプラインとの係合により回転伝達可能かつ軸方向にスライド可能な構成とされている。
本実施形態では、アッパーシャフト94Bが、その内部に内側スプラインを有する第1の部材で構成されていることが必要となり、例えば、内側スプライン51Aが形成されている前記第5実施形態の第1の部材51が用いられ、継手部としてのヨーク94A,94Dに第5実施形態の第2の部材52が用いられている。
そして、このようなアッパーシャフト94Bとヨーク94Aとの接合に、前記5実施形態の接合構造50が適用されている。
また、ロアシャフト94Cは、その外部に外側スプラインを有する第1の部材で構成されていることが必要となり、例えば、前記第2実施形態の第1の部材21が用いられ、ヨークを構成する第2の継手部94Dに第2実施形態の第2の部材22が用いられている。
そして、ロアシャフト94Bとヨーク94Dとの接合に、前記第2実施形態の接合構造20が適用されている。
以上のような構成のステアリングシャフト94によれば、次のような効果が得られる。
(13)前記各接合構造10,20,30等が、前記(1)〜(12)のいずれかの効果を有することから、ステアリングシャフト94のアッパーシャフト94Bと第1の継手部94A、およびロアシャフト94Cと第2の継手部94Dとの接合を確実とすることができるので、ステアリングシャフト94の機能を充分に果たすことができる。
次に、図21に基づいて、本願発明の接合構造10等をプロペラシャフト等の回転力伝達装置100に適用した例を説明する。
図21に示すように、回転力伝達装置100は、同一回転軸上に配置された軸部材101の一端に第1接続部材102、他端に第2接続部材103が、それぞれ接合されている。第1接続部材102および第2接続部材103の端部には、それぞれ回転伝達部材104,105が連結されている。
そして、上記軸部材101が、前記第1,3実施形態の二部材の接合構造10,30のいずれかの第1の部材11,31で構成され、第1接続部材102および第2接続部材103が、前記第1,2実施形態の二部材の接合構造10,30のいずれかの第2の部材12,32で構成されている。
すなわち、上記構成の回転力伝達装置100において、軸部材101の一端と第1接続部材102との接合、および軸部材101の他端と第2接続部材103との接合に、前記第1,3実施形態の二部材の接合構造10,30のうちのいずれか、例えば二部材の接合構造10が適用されている。
ただし、回転力伝達装置100では、軸部材101の両端に第1接続部材102および第2接続部材103が接合されているので、軸部材101には、第1実施形態の接合構造10における第1の部材11の内側スプライン11Aと、第2実施形態の接合構造20における第2の部材21の外側スプライン21Aとを設ける必要はないものである。
以上のような構成の回転力伝達装置100によれば次のような効果を得ることができる。
(14)前記各接合構造10,30が、前記(1)〜(12)のいずれかの効果を有することから、プロペラシャフト等の回転力伝達装置100において、軸部材101と第1接続部材102および第2接続部材103との接合との接合を確実とすることができるので、プロペラシャフト等の回転力伝達装置100の機能を充分に果たすことができる。
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されあるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、前記実施形態の構成の一部または全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
例えば、各実施形態にあっては、接合する部材はアルミニウム合金材を利用した実施形態を示したが、摩擦圧接可能なら他の金属材料でもよく、第1の部材、第2の部材同士を異種の金属材料としてもよい。
また、前記第2実施形態では、第1の部材21の接合部にかしめ加工のためにリング状の凹溝21Bを形成してあるが、凹溝21Bの形状はリング状に限らない。第1の部材21の外周面から径方向中心に向けて所定深さの窪みを設け、もしくはドリルで孔を複数箇所形成し、その窪みないし孔に壁部22Aをかしめたとき生じる突起部22Cが係合するように、かしめ加工すればよい。このようにすれば、突起部22Cと3箇所、あるいは4箇所の窪みとが係合するので、より確実な接合となる。
本発明は、2つの部材の接合部において、ねじり方向の力が作用する場合や、引張ないし圧縮方向の力が作用する場合や、曲げ方向の力が作用する場合等に利用できる。
例えば、ねじり方向の力が作用する例えば自動車のステアリングシャフトのシャフト部と継手部を構成するヨーク部間の接合に利用することができる。
10,20,30,40,50,60,70,80 二部材の接合構造(第1〜8実施形態)
11,21,31,41,51,61,71,81 第1の部材
12,22,32,42,52,62,72,82 第2の部材
11A,21A,31A 外側スプライン
12A,22A,32A,42A,52A,62A,72A,82A 壁部
12B,22B,32B,42B,52B,62B,72B,72B バリ収容空隙
15,25 かしめ加工(機械的接合手段;第1,2実施形態)
35 固定ピン(機械的接合手段;第3,4実施形態)
55 ブラインドリベット(機械的接合手段;第5実施形態)
65 楔(機械的接合手段;第6実施形態)
71D バリ収納用空洞
90 ステアリング装置
94 ステアリングシャフト
100 プロペラシャフト等の回転力伝達装置
F 摩擦圧接接合手段
F1 第1の部材の摩擦圧接面
F2 第2の部材の摩擦圧接面
M 機械的接合手段
B バリ

Claims (11)

  1. 第1の部材と第2の部材との接合構造であって、
    前記第1の部材の端面には摩擦圧接面を形成し、
    前記第2の部材の端面には前記第1の部材の摩擦圧接面と摩擦圧接される摩擦圧接面を備えると共に、当該第2の部材の前記第1の部材側には、前記第1の部材の外周面と対向する壁部を設け、
    摩擦圧接された前記第1の部材の外周部と前記第2の部材の壁部とを機械的接合手段で接合してなることを特徴とする二部材の接合構造。
  2. 請求項1に記載の二部材の接合構造において、
    前記壁部は、前記第1の部材の外周部に対向する円筒状に形成されてなることを特徴とする二部材の接合構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の二部材の接合構造において、
    前記壁部と前記第1の部材の外周面との間には前記摩擦圧接により生じるバリを収容するバリ収容空隙を有する筒状の周壁部を設けてなることを特徴とする二部材の接合構造。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の二部材の接合構造において、
    前記機械的接合手段を、
    前記第1の部材に形成されるかしめ受部に前記壁部をかしめるかしめ加工により構成してなることを特徴とする二部材の接合構造。
  5. 請求項2に記載の二部材の接合構造において、
    前記第1の部材の外周面を断面円形状とすると共に、この外周面に外側スプラインが設けられ、
    前記かしめ受け部が前記外側スプラインの谷部であることを特徴とする二部材の接合構造。
  6. 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の二部材の接合構造において、
    前記第1の部材の外周面を断面円形状とすると共に、この外周面に前記第1の部材の円周方向に沿ったリング状の凹溝を設け、
    前記機械的接合手段を、
    前記リング状の凹溝に係合する突部を前記壁部の内側に形成するようにかしめるかしめ加工により構成してなることを特徴とする二部材の接合構造。
  7. 請求項2に記載の二部材の接合構造において、
    前記第1の部材の外周面を断面円形状とすると共に、この外周面に前記第1の部材の円周方向に沿ったリング状の凹溝を設け、
    前記機械的接合手段を、
    前記リング状の凹溝に係合する部分的または円周方向に沿った突部を前記円筒状の壁部の内側に形成するようにかしめるかしめ加工により構成してなることを特徴とする二部材の接合構造。
  8. 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の二部材の接合構造において、
    前記機械的接合手段は、
    前記第1の部材と前記第2の部材の壁部とをピン、リベットまたはブラインドリベット等の接合部材により接合する接合構成としたことを特徴とする二部材の接合構造。
  9. 請求項1に記載の二部材の接合構造において、
    前記機械的接合手段は、前記第2の部材の壁部の内周面と前記第1の部材の外周面との間に楔を打ち込んで前記第1の部材と第2の部材と接合してなることを特徴とする二部材の接合構造。
  10. ステアリングホイールに連結されたシャフト部および継手部を備えると共にこの両者を接合する接合構造として前記請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載した二部材の接合構造を適用してなるステアリングシャフトであって、
    前記第1の部材が前記ステアリングシャフトのシャフト部とされ、前記第2の部材が前記継手部を構成するヨークとされていることを特徴とするステアリングシャフト。
  11. 第1の部材と第2の部材との接合方法であって、
    前記第1の部材の端面に摩擦圧接面が形成されると共に前記第2の部材の端面に前記摩擦圧接面と摩擦圧接される摩擦圧接面が形成され、
    前記第2の部材の第1の部材側には当該第1の部材の外周面に対向する壁部が設けられた前記第1の部材と前記第2の部材を予め準備する第1工程と、
    前記第1の部材の摩擦圧接面と前記第2の部材の摩擦圧接面を摩擦圧接する第2工程と、
    前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記第2の部材の前記壁部と前記第1の部材とを機械的接合手段で接合してなる第3工程を有することを特徴とした二部材の結合方法。
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