JP2014155917A - 放電プラズマリアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ディーゼル排気のPM成分の浄化にあたって、表面プラズマの化学作用を十分に活用し、化学反応を低温でも効果的に行い得る放電プラズマリアクタの提供。
【解決手段】表面プラズマを優先的に発生するプラズマ発生装置20が設けられている放電プラズマリアクタであって、プラズマ発生装置は、円管状あるいは平板状の絶縁誘電体20bの第1面に密着して設けたスライディング電極20aから放電ギャップ20d隔てて励起電極20cを該絶縁誘電体20bの同一面上に設置し、絶縁誘電体壁20bによって電気的に絶縁された背面電極20fを放電ギャップの背面に設置し、スライディング電極20aと背面電極20f接地した上で、正の直流を重畳した高周波交流電圧を励起電極20cに印加すると、放電ギャップ20dにスライディング放電が発生する。
【選択図】図2

Description

本発明は放電プラズマを利用したプラズマリアクタに係わり、例えばディーゼルエンジンの排気に含まれる粒子状物質(Particulate Matters:以降、PMと略記する)を低温で分解、酸化、部分酸化し、浄化する装置、燃料電池等の炭化水素系燃料の水蒸気改質あるいは部分酸化による水素製造反応の低温化に寄与する反応器、難分解性の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:以降VOCと略記する)の除去装置などに適用するものである。
ディーゼルエンジンは耐久性と熱効率の点で他の内燃機関よりより優れているが、PMや窒素酸化物(以降、NOxと略記する)等の有害物質の発生量が多いため、通常はNOxとPMの両浄化装置が必要である。PMとNOxの排出量はエンジンの設定条件によって変化し、一般に両者の間にはトレードオフの関係がある。最近では圧縮比の最適化やバルブタイミングの調整などにより高価なNOx浄化装置を省略できる設定も可能になってきたが、その場合でもPM浄化装置だけは不可欠である。(非特許文献1)
また、燃料電池の燃料に炭化水素系、例えばメタンガスを利用する場合、通常のメタンガスの水蒸気改質においてはその反応温度は750℃程度を必要とし、改質反応器の製作には高耐熱性金属材料の使用を必要している。さらに半導体産業における洗浄剤など、環境に放出されると有害な物資(VOC)を分解・浄化する手段の開発も問題になっている。これらの改質反応器、分解処理装置等に直流コロナプラズマ、パルスコロナプラズマ、交流バリアプラズマなどにより生成される、いわゆる放電プラズマ(不平衡プラズマ)の利用が提案されている。これは放電エネルギの多くがガス温度の上昇に消費されることなく、主として強力な化学作用を持つ高速電子の発生に使われるため、通常低温では起こりえない反応を低温で効果的に生起できるからである。
特表2003−535255号公報 特開2004−068684号公報 特開2004−169642号公報 特開2006−132483号公報 特開2011−012559号公報
http://www.cx-5.mazda.co.jp/skyactiv/skyactiv-d.htmlMAZDA SKYACTIVED2,2 SKYACTIVE TECHNOLOGY CX-5 Shifei Ye, Yeow H. Yap, Stan T. Kolaczkowski, Kevin Robinson and Dmitry Lukyanov著"Catalyst ‘light-off’ experiments on diesel oxidationcatalyst connected to diesel engine; Methodology and techniques"Chem.Eng.Res and Design, vol.90(2012) pp834-845 大久保雅章、山本俊昭著 「プラズマ複合プロセスに基づくディーゼル排気微粒子・NOxの浄化技術」エアロゾル研究 21巻(2006年)3号 220頁―225頁 M.A.Malik, J.F.Kolb, Y.Sun and K.H.Schoenbach著 "Comparative study of NO removal in surface-plasmaand volume-plasma reactors based on corona discharges" Journal of HazardousMatters vol.197(2011) pp220-228 R.Sosa, H.Kelly, D.Grondona, A.Marquaez, V.Lago and G.Artana著 "Electrical and plasma characteristics of aquasi-steady sliding discharge" Journal of Physics D:Applied Physics.vol.41(2008) pp.35202-35210
ディーゼル排気のPMの主成分はススと可溶有機成分(Soluble Organic Fractions:以降、SOFと略記す)である。
多くの場合、SOFはエンジン排気系の最上流に設けたディーゼル酸化触媒(DOC)で過半を酸化して浄化しているが、触媒が活性化するためには200℃以上の温度が必要である。
一方、ススについてはハニカムセラミック製のDPF(Diesel Particulate Filter)で捕集しているが、ススの蓄積に伴いDPFの背圧が40kPa程度に高くなった時点で、未燃燃料を供給するなどしてDPFを600℃以上に昇温し、またはエンジン停止時に電気ヒータなどによる加熱によって、ススを酸化燃焼することによりDPFを再生させるようにしているため、燃費の悪化に繋がる。
ススとSOFの酸化を触媒で促進し、連続的にDPFを再生する装置(CR−DPF)も開発されているが、それでも270℃以上の温度が要求される。
さらに、発進及び停止が頻繁に繰り返される市街地の低速走行では排気温度が100〜200℃に低下するため、従来の後処理装置ではススの燃焼は勿論、SOFの酸化もできない。しかも、150℃以上ではSOFの80%以上が気体であるため、200℃以下の排気温度では、その多くがDOCとDPFの両者を素通りしてしまい、市街地走行のような条件ではPMの捕集が不十分になると危惧されている。(非特許文献2)
一方で、低温下でのPMの浄化処理には放電プラズマの利用が有効であることが知られており、当該技術に関し、数多くの文献が存在する。(例えば、特許文献1〜5、非特許文献3)
しかしながら、前記文献の放電プラズマを利用した排ガスの浄化装置では、放電ストリーマが処理ガス流路を横切るような構造になっており、表面プラズマの特長が十分に利用されているとは言い難い。また、排ガスの処理以外に考えられているプラズマリアクタも同様である。
すなわち、最近の学術論文によれば、目視できるほど太くガス中を貫く線状のストリーマを体積プラズマ、誘電体表面上に発生する面状に見えるストリーマ群を表面プラズマとして両者を分類しており、化学作用は表面プラズマの方が強く、しかも大電力をかけても性能が劣化しないため、プラズマリアクタには表面プラズマが適していることが指摘されている。(非特許文献4)
本発明は、表面プラズマを効果的に発生できる電極構造を採用することによってプラズマの化学作用を十分に活用し、例えばディーゼルエンジンにおけるPM処理などを200℃以下の低温条件でも行い得る放電プラズマリアクタを提供することを目的とする。
上記の問題点を解決し、目的を達成するために本発明は以下のように構成される。なお、用語尾末の符号は後述する説明図全体に共通の符号であり参考のために付記する。
請求項1に記載の発明は、処理ガスが導入される筐体(10a)を有し、該筐体(10a)内部には表面プラズマによってガスに化学作用を及ぼすプラズマ発生装置(20)が設けられている放電プラズマリアクタであって、前記プラズマ発生装置(20)の構成部材として、円管型の絶縁誘電体(20b)が用いられ、該円管型の絶縁誘電体(20b)の外周部両端にスライディング電極(20a,20a´)が設けられているとともに、該2個のスライディング電極(20a,20a´)それぞれから、該絶縁誘電体(20b)の円管管軸方向に放電ギャップ(20d,20d´)を隔てて2個の励起電極(20c,20c´)が円管表面に設けられ、該励起電極(20c,20c´)は、円管表面に密着して設置したコイル状あるいは網目状のバリア放電荷電電極(20e)によって電気的に接続され、前記絶縁誘電体(20b)の円管内周面には前記放電ギャップ(20d,20d´)と対応する反対側の位置に2つの背面電極(20f、20f’)が管内壁に密着して設けられているとともに、該絶縁誘電体(20b)の内周側における前記バリア放電荷電電極(20e)と対応する位置に、線状あるいは網目状のバリア放電接地電極(20g)が管内壁に密着して設けられ、該バリア放電接地電極(20g)は前記スライディング電極(20a,20a´)、並びに前記背面電極(20f、20f´)とともに接地されており、前記励起電極(20c)あるいは(20c´)に正の直流高電圧を重畳した高周波交流高電圧を印加することにより、前記バリア放電荷電電極(20e)、バリア放電接地電極(20g)の周辺および前記励起電極(20c,20c´)の端部(20h,20h´)に、前記絶縁誘電体(20b)の表面に沿うバリア放電を発生させるとともに、前記放電ギャップ(20d,20d´)にはスライディング放電による表面プラズマを発生させるようにしたことを特徴としている。
上記のように、放電路が絶縁誘電体表面に沿うように電極を構成すると、絶縁誘電体(20b)および背面電極(20f、20f´)からの電気映像力が放電ストリーマに作用するため表面プラズマが優先的に発生されるので、表面プラズマの有する酸化、部分酸化、分解、改質等の強力な化学作用が活用できるとともに、図2の場合にはバリア放電荷電電極(20e)から発生する単極性イオンによる強力な微粒子荷電作用を利用することも可能となる。
請求項2に記載の発明は、上記1項において、処理ガスが導入される筐体(10a)を有し、該筐体(10a)内部には表面プラズマを専らスライディング放電によって生起させ、該表面プラズマによってガスに化学作用を及ぼすプラズマ発生装置(20)が設けられている放電プラズマリアクタであって、前記プラズマ発生装置(20)の構成部材として、平板型の絶縁誘電体(20b)が用いられ、該平板型の絶縁誘電体(20b)は、前記筐体(10a)内に処理ガスが流れるための適切な間隙(40)を隔てて収容設置された複層構造の放電ユニットから構成され、該放電ユニットは少なくとも一対の片面型放電ユニットと、該一対の片面型放電ユニットの間に間隙(40)を隔てて設置された両面型放電ユニットとを有し、前記片面型放電ユニットには、放電面となる一面側に複数の前記スライディング電極(20a)が設けられているとともに、該スライディング電極(20a)の間に前記励起電極(20c)が配置され、且つ他面側には背面電極(20f)を設けられ、一方、前記両面型放電ユニットには、放電面となる絶縁誘電体(20b)の一面側及び他面側の両面に前記片面型放電ユニットと同構造のスライディング電極(20a)並びに励起電極(20c)が配置されているとともに、絶縁誘電体(20b)の内部に背面電極(20f)が設けられ、前記片面型放電ユニット並びに両面型放電ユニットは、プラズマが生じる放電面を対向させた状態で配置され、表面プラズマを形成する正ストリーマを静電的な反発力によって絶縁誘電体(20b)表面付近に局在させることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、上記1項又2項において、処理ガス中に固体粒子あるいは液滴粒子を含む場合には、前記平板型放電ユニットの正ストリーマあるいはバリア放電荷電電極(20e)から放出される正イオンによって、前記固体粒子あるいは液滴粒子に電荷を与えて帯電微粒子として、該帯電微粒子を静電的に捕集するとともに、プラズマによって発生した化学的活性種により捕集した微粒子を酸化し気化するなどの化学処理を施すことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、上記1項、2項、3項のうち、何れか1項において、前記プラズマ発生装置(20)の絶縁誘電体(20b)の表面、あるいは該プラズマ発生装置(20)の下流に設けた通気性を有する担体に触媒を担持し、放電プラズマと触媒の相乗効果を利用することを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、上記1項、2項、3項、4項のうち、何れか1項において、放電プラズマの駆動電源として1kHz〜100kHzの高周波交流高電圧に正の直流高電圧を重畳した出力電圧を発生する電源装置を備え、該出力電圧を前記励起電極(20c)あるいは(20c´)のみに給電し,正の直流電圧成分によって選択的に発達する正ストリーマで表面プラズマの化学作用を強化するとともに、前記スライディング電極(20a,20a´)および背面電極(20f,20f´)を接地可能とすることにより、該励起電極(20c)あるいは(20c´)以外に対する絶縁手段を省略可能にした電源装置並びに電極構造を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、バリア放電電極を構成する誘電体面の表裏に電極を密着させることによって生じる表面プラズマ、あるいは表面プラズマを広い面積に亘って発生させることができるスライディング放電を利用することによって、表面プラズマの化学作用を有効に発揮できるプラズマリアクタを構成しているので、ディーゼルエンジンの排ガス処理を低温で行うことが可能である。
特に、排気温度が150℃前後では、従来の処理装置ではガス状のSOFは従来のディーゼル排ガス処理の酸化触媒(DOC)、または排ガスフィルター(DPF)でも浄化できず、大気中に漏洩していたと考えられるが(非特許文献2)、本発明によれば、ガス状のSOFも低温で効果的に酸化できる。この際、触媒を併用すれば、プラズマとの相乗効果によって浄化能力を格段に向上させることもできる。
本発明はディーゼルエンジンの排気処理装置ばかりでなく、通常高温でしか起こりえない化学反応を低温で起こすことのできるプラズマリアクタ全般に応用できる。たとえば、燃料電池の燃料にメタンなどの炭化水素系ガスを利用する場合、通常の水蒸気改質においてはその反応温度は750℃程度を必要とするが、低温での反応が可能になり高耐熱性の金属材料を使用する必要がなくなる。また難分解性で処理の難しいVOCの浄化装置にも有効な手段となる。
本発明に係る放電プラズマリアクタのうち、円管型プラズマ発生装置を使用したPM浄化装置の説明図である。 本発明に係る放電プラズマリアクタを、ディーゼルエンジンのPM浄化装置として使用した場合であって、図1に示される円管型プラズマ発生装置と当該発生装置を駆動する電源系の概略構成を示した説明図である。 基本的なスライディング放電用の電極(3電極系バリア放電)及び駆動電源の概略を示す説明図である。 平板型の電極を使用したプラズマ発生装置の構成部材となる片面型放電ユニットを4方向から視た説明図である。 同じく、平板型の電極を使用したプラズマ発生装置の構成部材となる両面形放電ユニットを4方向から視た説明図である。 図4及び図5に示される平板型プラズマ発生電極を用いた放電プラズマリアクタの構造を示す説明図であり、そのうち、図6(1)は横から視た断面図、図6(2)は図6(1)のA−A矢視断面図である。 図1及び図2で示される円管型プラズマ発生装置の放電状態を示す写真である。 本発明に係る放電プラズマリアクタを使用して、無負荷(低温)時の場合のPM浄化試験の結果を示したグラフである。 同じく、本発明に係る放電プラズマリアクタを使用して、7.5kW、15kW、22.5kW負荷時のPM浄化試験の結果を示したグラフである。
本発明の放電プラズマリアクタは円管型プラズマ発生装置あるいは平板型のプラズマ発生装置を含むプラズマリアクタがあり、前者はスライディング放電にバリア放電部を付加した形式で、PMなどの粉塵あるいは液滴粒子を帯電する能力に優れ、後者はスライディング放電のみを利用するものでプラズマリアクタの高効率化に寄与し、プラズマ発生電極のユニット化により大処理量を目的としたプラズマリアクタにも対応できる。
ここでは、まず円管型プラズマ発生装置をディーゼルエンジンのPM浄化装置に利用する場合について述べ、次に一般のプラズマリアクタへの応用を念頭にした平板型プラズマ発生装置について説明する。
図1は円管型プラズマ発生装置(20)を使用したPM浄化装置の説明図であり、当該PM浄化装置は、筐体(10a)の内部にプラズマ発生装置(20)と電界集塵層(30a)とが収納されて構成されている。排気はガス入口(10b)から流入し、円管型プラズマ発生装置(20)の中心部を貫通する導入管(10c)を通り、矢印に示すように、プラズマ発生装置(20)の右端内部に噴出した後、円管型プラズマ発生装置(20)の内側に設けられている図示しない旋回用スクリューによって旋回力を付与されつつ、左端側の開口部から荷電室に流入する。
プラズマ発生装置(20)を駆動する高周波交流高電圧には、直流高電圧が重畳されており、プラズマ発生装置(20)の表面から単極性のイオンが放出されるため、荷電室内のガス流路(40)を流れるPMは強力に帯電され、プラズマ発生装置(20)と筐体(10a)との間の空間(荷電室)は電気集塵機としても機能し、PMを筐体(10a)の内壁に静電的に捕集する。捕集されたPMはプラズマ発生装置(20)によって生成された化学的活性種(二酸化窒素、過酸化物、超酸化物、酸素ラジカルなど)により酸化される。
荷電室で捕集できなかったPMは触媒付電界集塵層(30a)に流入する。この触媒付電界集塵層(30a)の両端面には、集塵層用直流高電圧電極(30b)と、集塵層用接地電極(30c)が設置されている。
各電極(30b、30c)によって電界集塵層(30a)には、直流高電圧により高電界が印加されていることから、帯電した粒子状物質あるいは液滴を電界集塵層(30a)によって効果的に捕集することができる。
また、当該電界集塵層(30a)には粒子充填層あるいは通気性セラミック層を使用し、捕集物の酸化を目的にした触媒が担持されており、プラズマ発生装置(20)によって生成された化学的活性種の作用を促進する。後述の実施例においてはPM酸化触媒にセリア(CeO2)を用いたが、PMの酸化に多用される貴金属触媒や酸化鉄系触媒、銅系触媒など、多種・多様のものが利用できる。こうして浄化された排気はガス出口(10d)から排出される。
図2は、ディーゼルエンジンのPM浄化装置におけるプラズマリアクタを構成する円管型のプラズマ発生装置(20)と電源との関係を模式的に示した説明図である。図2において、プラズマ発生装置(20)は、高純度アルミナ製の円管状絶縁誘電体20bを基体として、その表面側両端部にスライディング電極(20a,20a´)が設置されているとともに、各電極(20a,20a´)から円管管軸方向に、所定の距離を隔てる放電ギャップ(20d,20d´)が設けられ、2個の励起電極(20c,20c´)が円管の表面に密着して設置されている。
また、円管状絶縁誘電体(20b)における左右の励起電極(20c,20c´)の間には、バリア放電荷電電極(20e)が設けられ、このバリア放電荷電電極(20e)はコイル状または網目状の導電性材料を円管表面に密着させて形成されている。また前記2個の励起電極(20c,20c´)は上記のバリア放電荷電電極(20e)を介して電気的に接続されている。
さらに、円管状絶縁誘電体(20b)の内周側のうち、放電ギャップ(20d,20d´)と対応する反対面には、2枚の板状の背面電極(20f,20f´)(20f´は図示していない)が放電ギャップ(20d,20d´)を覆うように、すなわち絶縁誘電体20bを放電ギャップ(20d,20d´)と背面電極(20f,20f´)との間に介在させるように密着して設けられている。加えて、円管状絶縁誘電体(20b)の内周側におけるバリア放電荷電電極(20e)と対応する位置に、線状あるいは網目状の導電性材料からなるバリア放電接地電極(20g)が設けられている。使用の際には、スライディング電極(20a,20a´)、背面電極(20f,20f´)並びにバリア放電接地電極(20g)は接地される。
このように構成されたプラズマ発生装置(20)において、励起電極(20c)或いは(20c´)に正の直流高電圧を重畳した高周波交流高電圧を印加すると、バリア放電荷電電極(20e)およびバリア放電接地電極(20g)のまわりには、前記絶縁誘電体(20b)の表面に沿うプラズマが発生するとともに、2つの放電ギャップ(20d、20d´)はスライディング放電による広範な表面プラズマで覆われる。
このプラズマ発生装置(20)に使用する電源は、高周波交流高電圧に正の直流高電圧を重畳したもので、その電源の構成の一例を図2の下半に示した。図2に示されるように、電源系は発振器(21)、電力増幅器(22)、共振回路(23)、高電圧直流電源(24)、安定化回路(25)、高電圧ブッシング(26a)を含んで構成されている。
発振器(21)からの高周波信号は、電力増幅器(22)を経て、昇圧トランス(23a)、インダクタ(23b)、コンデンサ(23c)からなる共振回路(23)に供給され、高周波高電圧交流を得る。これに高電圧直流電源(24)からの直流成分を重畳し、安定化抵抗(25a)、バイパスコンデンサ(バリア放電電流用)(25b)を備えた安定化回路(25)を経由してプラズマリアクタの励起電極(20c´)に供給している。
ここに採用した直流と交流を重畳した給電方式によればスライディング電極(20a,20a´)と背面電極(20f,20f´)を接地できるので、それらの電気絶縁上の問題を回避できる。これは後述するスライディング放電の標準形式(図3)とは異なる給電法であるが、順調なスライディング放電を発生できることを確認した。
かくしてバリア放電荷電電極(20e)およびバリア放電接地電極(20g)のまわり、並びに2個の放電ギャップ(20d、20d’)に表面プラズマを発生させることにより、表面プラズマが有する酸化,部分酸化,分解,改質等の強力な化学作用を利用することができる。
なお、安定したスライディング放電は、励起電極(20c,20c´)がスライディング電極(20a,20a´)に対し、正電位の時にのみ生じるので、交流に重畳する直流は正極性に限られる。(非特許文献5)
プラズマ発生装置に高周波交流高電圧に正の直流高電圧を重畳した理由は、スライディング放電を起こすためだけでなく、表面プラズマの正ストリーマ、とくにバリア放電荷電電極(20e)から発生する正イオンによって、荷電室を通過するPMに強い電荷を与える目的もある。これによりPMの捕集に静電気力が利用できるようになる。
次にスライディング放電だけを利用する平板形プラズマ発生装置を利用した放電プラズマリアクタについて説明する。
図3は、スライディング放電用の電極(3電極系バリア放電)並びにプラズマリアクタに使用される絶縁誘電体との関係を示す説明図である。図3のようなスライディング放電電極構造を使用すると表面プラズマが広い面を覆うようになるため、プラズマの化学作用を一層強化でき、かつコンパクトな電極設計が可能である。
図3に示されるように、通常のスライディング放電電極は、絶縁誘電体(20b)に設けられたスライディング電極(20a)、励起電極(20c)、背面電極(20f)からなる3電極系で構成される。図3のスライディング電極(20a)、背面電極(20f)には、高電圧直流電源(24)によって負極性の直流高電圧を印加し、励起電極(20c)には交流高電圧電源(23)によって高周波交流高電圧を印加する。その結果、励起電極の端部(20h)には励起用のバリア放電(20h)が発生し、スライディング電極(20a)に印加した負電位によって励起用バリア放電部(20h)から正ストリーマが引き出されて、スライディング電極(20a)に向かう。背面電極(20f)は電気映像力によって該正ストリーマを絶縁誘電体(20b)の表面付近に引き寄せる作用をもち、正ストリーマが延伸することに寄与する。(非特許文献5)
平板型プラズマ発生装置には片面型放電ユニットと両面型放電ユニットの2形式がある。図4に片面型放電ユニットを4つの方向から視た概略を例示した。平板状の絶縁誘電体(20b)の放電面となる一面側に複数のスライディング電極(20a)を等間隔に設け、該スライディング電極(20a)の間に励起電極(20c)を等間隔に配置し、他面側には背面電極(20f)をそれぞれ設ける。
図5に両面型放電ユニットを4つの方向から視た概略を例示した。これは一面および他面の両面に片面型放電ユニットと同様なスライディング電極(20a)並びに励起電極(20c)を設け、背面電極(20f)は絶縁誘電体(20b)の中間面に埋め込む。
図3に示されるように、スライディング放電の基本形式では励起電極20cに高周波交流高電圧を、スライディング電極(20a)および背面電極(20f)に負の直流高電圧を印加するが、図4,5の電極では励起電極(20c)のみに正の直流高電圧を重畳した高周波交流高電圧を供給し、スライディング電極(20a)と背面電極(20f)は接地できるようにした。絶縁誘電体(20b)の表面上の、スライディング電極(20a)と励起電極(20c)の間の放電ギャップ(20d)にスライディング放電が生じる。
励起電極(20c)とスライディング電極(20a)の放電ギャップ(20d)の間隔は、10〜100mmとするが、この間隔が広いほど印加する直流電圧を高くする必要がある。特に低温では高い電圧が必要なので、通常の温度帯で使用する場合には20〜40mmが適当である。同一の電源に接続される各放電ユニットは、放電ギャップ(20d)の間隔を同一かつ均等にしなければならない。また、運転温度も各放電ユニットごとに著しい差がないように配慮する必要がある。もしこれらの条件が満足できない場合は電源を分割すればよい。
放電ユニットに使用する絶縁誘電体(20b)は、運転温度が200℃以下の場合はムライトなどの安価なセラミックスあるいは耐熱ガラス等でよいが、200℃を超える場合には高純度アルミナ、石英ガラスなどの耐熱絶縁性に優れた材料を使う必要がある。
図6は平板型プラズマ発生装置を用いた放電プラズマリアクタの説明図で、図6(1)は筐体内部に設置される電極(放電ユニット)を横方向から視た説明図、図6(2)は図6(1)のA−A断面の矢視説明図である。
図6に示される平板プラズマ発生装置は、4枚の壁面(10a,10a´,10e,10e´)、図示しない前後壁面によって形成される直方体の筐体の内部に、背面電極(20f)を接触させた2枚の片面形平板状放電ユニット、前記2枚の片面形放電ユニットの間に両面形放電ユニットを配置して構成されている。壁面(10a,10a´,10e,10e´)等によって形成される直方体の筐体内部は、ガス通路(40)を形成する空間を保持するために、所定の空隙を隔てて各ユニットが積層配置されている。両面型放電ユニットは処理能力を勘案して適宜増減することが可能である。図4〜6は例示であって、電極本数およびユニットの枚数はこの例示に制約されるものではない。
各放電ユニットのスライディング電極(20a)および背面電極(20f)は接地されるので、筐体と接触させてもよく、筐体への組み込みが容易になっている。なお、図6(1)では励起電極(20c)がスライディング電極(20a)と重なって描かれるため、混乱を避けるため励起電極(20c)を描いていない。
図6における各放電ユニットは放電面が互いに向き合うように配置され、放電プラズマは、それぞれの放電ユニットの面上全体に生じているので、放電プラズマは処理対象気流を横切るのではなく、ユニットの絶縁誘電体表面に沿って流れる表面プラズマになり、不均一触媒反応のような固体媒介反応に有利である。
さらに、ユニットの放電面同士を対向させることにより、励起電極(20c)から延伸する正ストリーマが、対向する面からの静電気的な反発によって、放電面付近からあまり拡散することなくスライディング電極(20a)に向かう。このため、発生した表面プラズマの拡散を防止し局在させて、プラズマ反応を促進することが可能になっている。
(実施例)
次いで、前述のように構成した放電プラズマリアクタのうち、円管型プラズマ発生装置を利用したPM浄化装置についての試験結果を実施例として説明する。なお、浄化試験には以下の機器を用いている。
供試機器;3000ccディーゼルエンジン用PM浄化装置
試験使用機器;ディーゼル発電機 30 kW(排ガス発生装置として使用)
ディーゼル排気量;3,000CC
負荷装置(電気ヒータ);7.5kW×4
計測装置;(NOX計,CO計、O2計、パーティクルカウンタ、ディジタルオシロ、ガス流量計、温度計、差圧計、データロガー等)
本実施例では、スライディング放電を発生する電源に従来と異なる新方式を採用したので、その方式が正常に機能することを証するため、実際の放電状態の写真を図7に示した。同図に示されるように、バリア放電荷電電極(20e)およびバリア放電接地電極(20g)に放電プラズマが発生していると同時に、放電ギャップ(20d)が放電プラズマで覆われていることが分る。なおバリア放電接地電極(20g)は、排気旋回用のスクリューの陰になるため一部しか見えていない。
排気中のPM濃度は、PM浄化装置の入口(10b)(未処理ガス)、触媒付電界集塵層(30a)入口直前(プラズマリアクタのみ)、およびPM浄化装置の出口(10d)の3箇所からサンプル採取した排気を、清浄空気で1/4に希釈した後、口径90mmのテフロン(商標)フィルタでPMを捕集した。電界集塵層(30a)を機能させる場合は直流15kVを印加する。プラズマリアクタと集塵層(30a)への給電を停止すれば触媒のみによる浄化能力を試験できる。
PMの捕集量は室温条件で秤量した後、150℃で3時間乾燥した残滓も測定した。これはエンジン内で燃料等が部分酸化などの化学変化を受け、150℃程度で揮発する成分が生成されることによる。(非特許文献2)
試験は無負荷試験、負荷試験(7.5kW、15kW、22.5kW)について、次の条件で試験した。ただし無負荷運転も含め、エンジンの回転数は1500rpmの一定値である。プラズマ発生装置を稼働するときは放電電力を500Wの一定値とした。図8,9の棒グラフ先端に付した記号は以下の測定条件に対応する。
(A):未処理ガス
(B):触媒のみを使用したとき
(C):プラズマ発生装置のみを使用したとき(直流バイアス正)
(D):触媒+プラズマ発生装置(直流バイアス負)
(E):触媒+プラズマ発生装置(直流バイアス正)
(F):触媒+プラズマ発生装置(直流バイアス負)+電界集塵(15kV印加)
(G):触媒+プラズマ発生装置(直流バイアス正)+電界集塵(15kV印加)
(無負荷試験結果)
エンジンに負荷をかけない場合のPM濃度測定結果を図8に示す。無負荷試験ではプラズマ発生装置に供給する直流バイアスの極性は正のみとした。
無負荷では排気温度が低く、図1の触媒付電界集塵層(30a)の平均温度は約90℃であった。図中の棒グラフの全長は室温で秤量したときのPM濃度、白抜き部分は150℃残渣成分の濃度に対応する。両者の差は150℃で気体状態をとるPM量と考えられ、この部分は気体であるため普通のDPFでは捕集できない。排気中の未燃炭化水素およびPM中のSOFはDOC(ディーゼル酸化触媒)で浄化するが、通常のDOCは200℃以下では十分に機能しないので、市街地を低速で走行するディーゼル車では相当量のPMが排出されているものと考えられる。(非特許文献2)
図8に示されるように、触媒だけ場合(B)あるいはプラズマ発生装置だけ(C)でも浄化が進んでおり、図8におけるPM浄化装置(排気処理装置)は、プラズマと触媒を併用すれば市街地走行のような低温条件でもよく機能することが示された。電界集塵層(30a)に15kVの直流高電圧を印加すると(G)、浄化が更に促進される。
(負荷試験結果)
ディーゼルエンジンの負荷はディーゼル発電機の出力側に電気ヒータを接続して7.5kW、15kW、22.5kWの各負荷について試験した。この試験でもプラズマ発生のための放電電力は500Wとしたが、スライディング放電には極性効果があるためプラズマ発生装置に供給する直流バイアスは正(スライディング放電ON)と、負(スライディング放電OFF)の両極性について実施した。
その試験結果を図9に示す。ここではディーゼル車に対する規制値と比較するため、仕事量1kWh あたりのPM排出量で示した。触媒だけ(B)でも、ある程度PMを浄化できるが、プラズマ発生装置による放電だけ(C)の場合の方が浄化性能が高く、とくに150℃残渣成分(白抜き部分)の減少には大差が見られる。触媒と放電プラズマを併用(D,E)すると浄化率は顕著に向上するが、交流に重畳する直流バイアスの極性の影響がかなり大きく、正のバイアス(E)の方が浄化が進む。これは、スライディング放電が正バイアスのときにのみに発生するので、効率的に表面プラズマを発生するスライディング放電の寄与によるものと考えられる。ここでも電界集塵層(30a)に15kVの直流高電圧を印加すると(F,G)浄化が更に促進される。
負荷試験では、未処理の排気(A)と触媒だけの場合(B)の白抜き部分(150℃残渣)を比較すると、いずれの負荷に対しても触媒だけの場合(B)の白抜き部分は未処理の排気よりやや高くなっており、触媒は150℃残渣成分の浄化能力を全く持たないことを示している。それにもかかわらず、プラズマを併用すると(D,E)、150℃の残渣成分が放電だけの場合(C)より減少する。特に正の直流バイアスを重畳したとき(E)の効果は著しい。これは放電によって生じた表面プラズマと触媒の強い相乗効果の存在を実証している。
なお、図8、図9に示した試験結果ではディーゼルエンジンの排気処理放電プラズマリアクタに本発明を利用した例であるが、本発明はディーゼルエンジン排気のPM浄化装置だけに限定されるものではなく、炭化水素であるSOFの浄化にも有効であったことから、水素発生を目的にしたメタンやメタノールのリフォーミング、VOC(揮発性有機化合物)の分解など、放電プラズマリアクタの広範な応用が期待できる。
本発明によれば、表面プラズマ、とくにスライディング放電によって発生する面積の大きい表面プラズマは、コロナ放電や通常のバリア放電などによる体積プラズマよりも効率的にディーゼル排ガス中のPMを低温で酸化できるため、市街地等での低速運転で大気中に漏出していたガス状のSOFも浄化することができる。
さらに本発明をディーゼルエンジンの排気処理装置に利用できることは勿論であるが、多様な炭化水素の混合物であるSOFを処理できる以上、たとえばVOCの分解、燃料電池に使用するガスの改質装置など多方面での活用が可能であると期待できる。
また、従来におけるスライディング放電には直交2系統の配電を要する3電極系であるが、本発明では、高圧交流に高圧直流を重畳する1系統の配電方式としたので、絶縁が必要な電極の数を減少させることができ、給電系の構造を簡素化することが可能となる。
10a 筐体(10a,a’、10e,e’ 直方体筐体の隔壁)
10b 処理装置ガス入口
10c ガス導入管
10d 処理装置ガス出口
20 プラズマ発生装置
20a スライディング電極
20b 絶縁誘電体
20c,c´ 励起電極
20d,d´ 放電ギャップ(スライディング放電)
20e バリア放電荷電電極
20f 背面電極
20g バリア放電接地電極
20h, h´ 励起用バリア放電
21 発振器
22 電力増幅器(インバータ)
23 交流高電圧電源(共振回路)
23a 昇圧トランス
23b 共振用インダクタ
23c 共振用コンデンサ
24 高電圧直流電源
25 安定化回路
25a 安定化抵抗
25b バイパスコンデンサ(バリア放電電流用)
26a, b 高電圧ブッシング
26c 高電圧給電線
30a 触媒付電界集塵層
30b 集塵層用直流高電圧電極
30c 集塵層用接地電極
40 処理ガス流路のための間隙

Claims (5)

  1. 処理ガスが導入される筐体(10a)を有し、該筐体(10a)内部には表面プラズマによってガスに化学作用を及ぼすプラズマ発生装置(20)が設けられている放電プラズマリアクタであって、
    前記プラズマ発生装置(20)の構成部材として、円管型の絶縁誘電体(20b)が用いられ、該円管型の絶縁誘電体(20b)の外周部両端にスライディング電極(20a,20a´)が設けられているとともに、
    該2個のスライディング電極(20a,20a´)それぞれから、該絶縁誘電体(20b)の円管管軸方向に放電ギャップ(20d,20d´)を隔てて2個の励起電極(20c,20c´)が円管表面に設けられ、該励起電極(20c,20c´)は、円管表面に密着して設置したコイル状あるいは網目状のバリア放電荷電電極(20e)によって電気的に接続され、
    前記絶縁誘電体(20b)の円管内周面には前記放電ギャップ(20d,20d´)と対応する反対側の位置に2つの背面電極(20f、20f’)が管内壁に密着して設けられているとともに、該絶縁誘電体(20b)の内周側における前記バリア放電荷電電極(20e)と対応する位置に、線状あるいは網目状のバリア放電接地電極(20g)が管内壁に密着して設けられ、該バリア放電接地電極(20g)は前記スライディング電極(20a,20a´)、並びに前記背面電極(20f、20f´)とともに接地されており、
    前記励起電極(20c)あるいは(20c´)に正の直流高電圧を重畳した高周波交流高電圧を印加することにより、前記バリア放電荷電電極(20e)、バリア放電接地電極(20g)の周辺および前記励起電極(20c,20c´)の端部(20h,20h´)に、前記絶縁誘電体(20b)の表面に沿うバリア放電を発生させるとともに、前記放電ギャップ(20d,20d´)にはスライディング放電による表面プラズマを発生させるようにしたことを特徴とする放電プラズマリアクタ。
  2. 処理ガスが導入される筐体(10a)を有し、該筐体(10a)内部には表面プラズマを専らスライディング放電によって生起させ、該表面プラズマによってガスに化学作用を及ぼすプラズマ発生装置(20)が設けられている放電プラズマリアクタであって、
    前記プラズマ発生装置(20)の構成部材として、平板型の絶縁誘電体(20b)が用いられ、該平板型の絶縁誘電体(20b)は、前記筐体(10a)内に処理ガスが流れるための適切な間隙(40)を隔てて収容設置された複層構造の放電ユニットから構成され、該放電ユニットは少なくとも一対の片面型放電ユニットと、該一対の片面型放電ユニットの間に間隙(40)を隔てて設置された両面型放電ユニットとを有し、
    前記片面型放電ユニットには、放電面となる一面側に複数の前記スライディング電極(20a)が設けられているとともに、該スライディング電極(20a)の間に前記励起電極(20c)が配置され、且つ他面側には背面電極(20f)を設けられ、
    一方、前記両面型放電ユニットには、放電面となる絶縁誘電体(20b)の一面側及び他面側の両面に前記片面型放電ユニットと同構造のスライディング電極(20a)並びに励起電極(20c)が配置されているとともに、絶縁誘電体(20b)の内部に背面電極20fが設けられ、
    前記片面型放電ユニット並びに両面型放電ユニットは、プラズマが生じる放電面を対向させた状態で配置され、表面プラズマを形成する正ストリーマを静電的な反発力によって絶縁誘電体(20b)表面付近に局在させることを特徴とする請求項1に記載の放電プラズマリアクタ。
  3. 処理ガス中に固体粒子あるいは液滴粒子を含む場合には、前記平板型放電ユニットの正ストリーマあるいはバリア放電荷電電極(20e)から放出される正イオンによって、前記固体粒子あるいは液滴粒子に電荷を与えて帯電微粒子として、該帯電微粒子を静電的に捕集するとともに、プラズマによって発生した化学的活性種により捕集した微粒子を酸化し気化するなどの化学処理を施すことを特徴とする請求項1又は2項に記載の放電プラズマリアクタ。
  4. 前記プラズマ発生装置(20)の絶縁誘電体(20b)の表面,あるいは該プラズマ発生装置(20)の下流に設けた通気性を有する担体に触媒を担持し,放電プラズマと触媒の相乗効果を利用することを特徴とする請求項1〜3のうち、何れか1項に記載の放電プラズマリアクタ。
  5. 放電プラズマの駆動電源として1kHz〜100kHzの高周波交流高電圧に正の直流高電圧を重畳した出力電圧を発生する電源装置を備え、
    該出力電圧を前記励起電極(20c)あるいは(20c´)のみに給電し,正の直流電圧成分によって選択的に発達する正ストリーマで表面プラズマの化学作用を強化するとともに,
    前記スライディング電極(20a,20a´)および背面電極(20f,20f´)を接地可能とすることにより、該励起電極(20c)あるいは(20c´)以外に対する絶縁手段を省略可能にした電源装置並びに電極構造を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうち、何れか1項に記載の放電プラズマリアクタ。

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