JP2014154758A - Cigs膜の製法およびその製法を用いるcigs太陽電池の製法 - Google Patents

Cigs膜の製法およびその製法を用いるcigs太陽電池の製法 Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率に優れるCIGS膜を、低コストで再現性よく製造できるCIGS膜の製法およびそれを用いたCIGS太陽電池の製法を提供する。
【解決手段】インジウムとガリウムとセレンとを含む層(A)と、銅とセレンとを含む層(B)を、固相状態でこの順で基板に積層する積層工程と、上記層(A)および層(B)の積層体を加熱し、上記層(B)を溶融させ液相状態とすることにより、上記層(A)中に上記層(B)中の銅を拡散させ、結晶成長させる加熱工程とを有し、上記層(A)の形成時に、Gaの蒸着量を徐々に減少させることにより、層(A)におけるGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、層(A)の下面から上面に向かって徐々に減少するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、膜内のガリウムの含有割合〔ガリウム/(インジウム+ガリウム)比〕が、厚み方向に傾斜する構成を有し、優れた太陽光変換効率を有するCIGS膜を、再現性よく製造することのできるCIGS膜の製法およびその製法を用いるCIGS太陽電池の製法に関する。
アモルファスシリコン太陽電池や化合物薄膜太陽電池に代表される薄膜型太陽電池は、従来の結晶型シリコン太陽電池と比較すると、材料コストや製造コストの大幅な削減が可能である。このため、近年、これらの研究開発が急速に進められている。なかでも、I族、III 族、VI族の元素を構成物質とした化合物薄膜太陽電池であって、光吸収層が銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)合金からなるCIGS太陽電池は、シリコンを全く使用せず、しかも優れた太陽光変換効率(以下「変換効率」とする)を有するため、薄膜太陽電池の中でも特に注目されている。
このようなCIGS太陽電池における光吸収層は、セレン化法、非真空プロセス(ナノ粒子)法、真空蒸着法等により作製することができる。真空蒸着法は、Cu、In、Ga、Seを各々別の蒸着源にて加熱し、蒸着により製膜する製法であり、各元素の吐出量を制御しながら製膜できるため、厚み方向に組成制御が可能であるという利点を有している。
真空蒸着のうち、最も高い変換効率が得られるのは、多源蒸着法の一種である3段階法と呼ばれる方法である。この方法は、図12に示すように、工程が3段階に分かれており、まず第1段階で基板上にIn、Ga、Seを蒸着し、(In,Ga)2 Se3 膜を形成する。つぎに、この基板温度を550℃に上昇させ、さらにCu、Seを蒸着し、Cu過剰組成のCIGS膜を形成する(第2段階)。この段階におけるCIGS膜は、液相Cu(2-x) Seと固相CIGSの2相が共存しており、Cu(2-x) Seにより結晶の急激な大粒化が起きる。
一方、Cu(2-x) Seは低抵抗であるため、太陽電池特性に悪影響を与えることが知られている。したがって、3段階法では、上記第2段階のあとに、第3段階の工程として、さらにIn、Ga、Seを蒸着し、CIGS膜全体として、わずかにIII 族が過剰な組成にすることにより、Cu(2-x) Seを低減させるようにしている。このようにして得られたCIGS薄膜は、結晶が大粒径となり、しかも、従来の蒸着法で得られるものと比べ、結晶学的に高品質な薄膜結晶組織になるとされる(例えば、特許文献1)。
このような3段階法で得られたCIGS膜を太陽電池に適用すると、小面積素子においては、確かに高い変換効率が得られ良好である。しかし、このCIGS膜は、結晶成長を引き起こすための主成分であるCu(2-x) Seをはじめから液相として供給していることから、膜内へのCuの拡散が必ずしも均一に行われておらず、その結晶粒が厳密には必ずしも均一ではない。したがって、このCIGS膜を用いて大面積素子を作製する場合には、素子ごとの変換効率にばらつきが生じ、再現性に劣るという問題がある。また、Cu(2-x) Seを液相として供給していることから、膜内にこれが過剰に取り込まれて、素子の特性が低下しやすいという問題も有している。
さらに、上記3段階法は、加熱条件等により、膜内のGa、In分布にばらつきが生じ、禁制帯プロファイルの制御が困難であるという問題も有している。
特表平10−513606号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、大面積素子を作製する場合であっても、変換効率に優れるCIGS膜を低コストで再現性よく製造でき、しかも、膜内のGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、厚み方向に傾斜する構成にして、禁制帯プロファイルの制御を可能とすることにより、一層変換効率に優れるCIGS膜の製法およびその製法を用いるCIGS太陽電池の製法の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、InとGaとSeとを含む層(A)と、CuとSeとを含む層(B)を、固相状態でこの順で基板に積層する積層工程と、上記層(A)および層(B)が積層された積層体を加熱し、上記層(B)を溶融させ液相状態とすることにより、上記層(A)中に上記層(B)中の銅を拡散させ、結晶成長させる加熱工程とを有するCIGS膜の製法であって、上記層(A)の形成時に、Gaの蒸着量を徐々に減少させることにより、層(A)におけるGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、層(A)の下面から上面に向かって徐々に減少するようにしたCIGS膜の製法を第1の要旨とする。
そして、本発明は、基板上に、裏面電極層を設ける工程と、CIGS膜からなる光吸収層を設ける工程と、バッファ層を設ける工程と、透明導電層を設ける工程とを有するCIGS太陽電池の製法であって、上記光吸収層を設ける工程において、上記第1の要旨であるCIGS膜の製法を用いてCIGS膜からなる光吸収層を形成するようにしたCIGS太陽電池の製法を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、光吸収係数が高く、省資源化に有効な太陽電池を得るため、化合物半導体系太陽電池の中でも、特にCIGS太陽電池に着目し、研究を重ねた。その結果、CIGS太陽電池の光吸収層であるCIGS膜を、図12に示す従来法の3段階法で得るのではなく、まず、基板に、InとGaとSeとを含む層(A)と、CuとSeとを含む層(B)を、ともに固相状態で、この順で積層し、つぎに、この2層(A)、(B)が積層された積層体を加熱し、層(B)のCuとSeの化合物を溶融させ液相状態とすることにより、上記層(A)の中に上記層(B)中のCuを拡散させ、結晶成長させてCIGS膜を得るようにすると、膜内の結晶粒が均一な大型粒になるとともに、膜内に余剰なCu(2-x) Seが取り込まれないことを見出した。
しかも、上記層(A)を形成する際に、Gaの蒸着量を徐々に減少させることにより、層(A)におけるGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕を、層(A)の下面(層形成が開始される面)から上面(層形成が終了する面)に向かって徐々に減少させるようにすると、膜内のGa/(In+Ga)比が厚み方向に下り傾斜となるCIGS膜を、容易に再現性よく製造できることを見出し、本発明に想到した。
そして、本発明の、上記CIGS膜の製法をその一部に用いて、光吸収層であるCIGS膜を形成してCIGS太陽電池を製造すると、CIGS膜の結晶粒が大粒かつ均一になり、しかも、CIGS膜におけるGa/(In+Ga)比が、厚み方向に傾斜した構成になるため、変換効率が高くなるとともに、素子ごとの変換効率のばらつきが生じにくいCIGS太陽電池を、再現性よく得ることができる。
なお、本発明において、「固相」とは、その温度において固体状態にある相のことをいい、「液相」とは、その温度において液体状態にある相のことを意味する。
また、本発明において、「基板に層(A)と層(B)を積層する」とは、基板に直接これらを積層する場合だけでなく、基板に他の層を介してこれらを積層する場合を含むことを意味する。
そして、本発明において、CIGS膜におけるGa/(In+Ga)比が「厚み方向に傾斜した構成」とは、Ga/(In+Ga)比の値が「層形成が開始する面から層形成が終了する面に向かって徐々に減少(増加)してその勾配が下り(または上り)傾斜になる」ことを意味する。
さらに、本発明において、上記「Ga/(In+Ga)比」は、D−SIMS(ダイナミックシムス)評価装置(アルバック・ファイ社製)によって測定されるものであり、上記「Cu/(In+Ga)」は、対象となるCIGS膜のCu、In、Gaの含有量を、エネルギー分散型蛍光X線装置(堀場製作所社製、EX−250)および上記D−SIMS評価装置を用いて測定し、これらの原子数濃度に基づいて算出されるものである。
このように、本発明のCIGS膜の製法は、まず、基板上に、InとGaとSeとを含む層(A)と、CuとSeとを含む層(B)をこの順で積層するようになっている。このため、層(B)を固相状態で、同じく固相状態の層(A)上に均一な厚みで積層できる。なお、この段階では各層の相互拡散は抑制されている。つぎに、この2層(A)、(B)が積層された積層体を加熱し、層(B)のCuとSeの化合物を溶融させ液相状態とすることにより、上記層(A)中に上記層(B)中のCuを急速に拡散させる。このとき、層(B)は、先の積層工程で、均一な厚みで層(A)上に形成されているため、上記層(B)中のCuは、層(A)中に均一的に拡散され、大粒で均一な結晶粒が形成される。また、層(B)を一旦、固相状態で積層しているため、Cu(2-x) Seが過剰にCIGS膜内に取り込まれることを抑制できる。
しかも、上記層(A)の形成時に、Gaの蒸着量を徐々に減少させることにより、層(A)におけるGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕を、層(A)の下面から上面に向かって徐々に減少させるようにすると、膜内のGa/(In+Ga)比が厚み方向に下り傾斜となるCIGS膜を、容易に、再現性高く作製することができる。そして、GaとInの組成比を任意に制御できるということは、禁制帯構造を任意の構造に制御できることを意味しており、製造上有利である。
なお、本発明において、上記加熱工程に引き続き、加熱工程における温度を維持した状態で、さらにInとGaとSeとからなる層(C)を積層する後積層工程を設け、上記層(C)の形成時に、Gaの蒸着量を徐々に増加させることにより、層(C)におけるGaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕を、層(C)の下面から上面に向かって徐々に増加させるようにすると、膜内のGa/(In+Ga)比の傾斜を、厚み方向に上り傾斜にすることができる。したがって、上記層(A)の形成と相俟って、CIGS膜におけるGa/(In+Ga)比が下り傾斜と上り傾斜の両方を備えたV字状となる構造(ダブルグレーデッド構造)にすることができ、短絡電流と開放電圧の両方を改善することができる。
また、本発明において、上記層(A)の形成時に、Gaの蒸着源温度を徐々に降下させることにより、Ga蒸着量を徐々に減少させるようにし、上記層(C)の形成時に、Gaの蒸着源温度を徐々に上昇させることにより、Ga蒸着量を徐々に増加させるようにすると、Ga/(In+Ga)比の厚み方向における傾斜のコントロールをより正確に行うことができるとともに、特殊な装置を別途用いる必要がないためコスト的に有利である。
そして、本発明において、上記加熱工程終了時のCIGS膜が、0.95<Cu/(In+Ga)<1.30のモル比を満たすようにすると、層(A)と層(B)との界面においても、Cu成分が充分に拡散され、結晶成長が起こるとともに、Cu(2-x) SeがCIGS膜内に過剰に取り込まれないため、このCIGS膜を素子に用いた際の素子特性は低下しない。また、上記加熱工程に続いて行われる後積層工程終了時のCIGS膜が、0.7<Cu/(In+Ga)<0.95のモル比を満たすようにすると、CIGS膜全体において、わずかにCu不足の状態にできるため、このCIGS膜を素子に用いた際に、より高効率の光吸収層とすることができる。
さらに、本発明において、上記積層工程を100〜250℃の範囲の温度で行うと、層(A)と層(B)の互いの界面における相互拡散を最小に抑制することができるため、後の工程でこの積層体を加熱することにより、より大粒で均一な結晶粒を形成することができる。そして、上記積層工程後の加熱工程を、520℃以上の温度で行うと、層(B)のCuとSeの化合物の殆どが溶融するため、上記層(A)中に層(B)中のCuをより急速、かつ均一に拡散させることができ、より大粒で均一な結晶粒を形成することができる。
また、本発明において、上記積層工程の温度から加熱工程の温度への昇温を、昇温速度10℃/秒以上で行うと、層(B)の液相化が急速に進み、上記層(A)中に層(B)中のCuがより急速に拡散することにより、膜内においてさらに大粒で均一な結晶が形成されるようになる。
そして、本発明の加熱工程において、Se蒸気またはセレン化水素(H2 Se)を供給し、積層体表面のセレン分圧が、積層体内部のセレン分圧よりも高い状態に維持されるようにすると、加熱工程におけるCIGS膜からのSeの放出を抑制でき、CIGS膜の組成をより好ましいものにすることができる。
さらに、基板上に、裏面電極層を設ける工程と、CIGS膜からなる光吸収層を設ける工程と、バッファ層を設ける工程と、透明導電層を設ける工程とを有するCIGS太陽電池の製法において、上記光吸収層としてCIGS膜を形成する際、本発明の、上記CIGS膜の製法を用いると、変換効率に優れたCIGS電池を、素子ごとに変換効率がばらつくことのない、安定した品質で製造することができる。
本発明の一実施の形態により得られるCIGS膜の説明図である。 上記CIGS膜の製法の概略を示す説明図である。 上記CIGS膜の製法のうち、層(A)を形成する工程の説明図である。 上記層(A)の形成時におけるGa/(In+Ga)比の特性を示す模式的な線図である。 上記CIGS膜の製法のうち、層(B)を形成する工程の説明図である。 上記CIGS膜の製法のうち、加熱工程の説明図である。 上記CIGS膜の製法のうち、層(C)を形成する工程の説明図である。 上記層(C)の形成時におけるGa/(In+Ga)比の特性を示す模式的な線図である。 上記CIGS膜の製法を用いて製造されたCIGS太陽電池の説明図である。 本発明の実施例におけるCIGS膜のGa/(In+Ga)比の特性を示す線図である。 本発明の比較例におけるCIGS膜のGa/(In+Ga)比の特性を示す線図である。 従来のCIGS膜の製法の一例を示す概略説明図である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態により得られるCIGS膜3の断面を示す説明図である。上記CIGS膜3は、CIGS太陽電池の光吸収層に用いられるもので、ソーダ石灰ガラス(SLG)からなる基材1上にモリブデン(Mo)からなる裏面電極層2が設けられ、この裏面電極層2上にCIGS膜3が積層されている。以下に、その構成と製法を詳細に説明する。なお、図1において、各部分は模式的に示したものであり、実際の厚み、大きさ等とは異なっている(以下の図においても同じ)。
図1において、上記基板1は、支持基板として用いられるものであり、SLGの他にも、柔軟性のある金属箔等を基板1として用いることができる。ただし、後の加熱工程での加熱に耐えられるように、520℃以上の温度に耐性のある材料を用いることが好ましく、このような材料としては、例えば、SUS、チタン等があげられる。なかでも、フェライト系SUS430が好ましく用いられる。
上記裏面電極層2は、基板1の上に、スパッタリング法により形成されたものである。また、Moの他にも、タングステン、クロム、チタン等を用いることができ、単層のみならず複層に形成することもできる。そして、その厚みは、100nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
上記CIGS膜3は、Cu、In、Ga、Seの4元素を含む化合物半導体であり、その厚みは2.2μmである。また、Cu、In、Gaの膜内の平均組成比は、22.1:21.2:7.5であり、Cu/(In+Ga)≒0.77(モル比)となっている。
上記CIGS膜3は、例えばつぎのようにして製造することができる。その概略を図2に示す。すなわち、まず、裏面電極層2が設けられた基板1を準備し、基板1を所定温度に保持した状態で、裏面電極層2上に、In,Ga,Seを固相状態で蒸着する。つぎに、上記層(A)上に、Cu,Seを、同じく固相状態で蒸着して層(B)を形成し、積層体6を作製する(積層工程)。ついで、この積層体6を加熱し、Cu,Seを液相化し、結晶成長させる(加熱工程)。さらに、加熱工程における温度を保ったまま、In,Ga,Seを固相状態で蒸着させることにより(後積層工程)、CIGS膜3を得ることができる。
以下、各工程を、より詳細に説明する。
(積層工程)
積層工程では、例えば長尺状の基板1(裏面電極層2付)を、所定温度(例えば200℃)に保持した状態で、ロールトゥロール方式で走行させながら、In,Ga,Seの各蒸着源を備えた第1の蒸着室を通過させることにより、裏面電極層1の上に、蒸着層を形成することが行われる。このとき、基板1に対し、In,Ga,Seの蒸着を同時に行うが、Ga蒸着源の温度を徐々に降下させて、Gaの蒸着量を徐々に減少させるようにする。
このようにして得られた層(A)4(図3参照)は、Gaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、層(A)の下面(層形成の開始面、図3においてPで示す)から上面(層形成の終了面、図3においてQで示す)に向かって徐々に減少したものとなる。したがって、層(A)4の厚み方向を横軸にとり、Ga/(In+Ga)比の値を縦軸にとって得られる線図は、図4に示すようになり、この層(A)4において、Ga/(In+Ga)比が厚み方向に下り傾斜となる特性を示す。
なお、上記層(A)の形成において、上記Gaの含有割合を徐々に減少させるために、Ga蒸着源の温度を徐々に降下させているが、降下条件は、例えば層(A)4を20分で形成する場合、初期に1000℃に設定されたGa蒸着源の温度を、層(A)4の形成終了までに20℃/5分の温度勾配で降下させて終了時920℃とすることができる。また、10℃/2.5分、4℃/1分、というように、より短時間刻みで温度降下幅を小さくすることが、Gaの含有割合の減少がなめらかになり、好適である。
また、Gaの含有割合を徐々に減少させる方法として、上記のようにGa蒸着源の温度を徐々に降下させる以外に、Ga蒸着源の開口を、開度制御できるように設定しておき、その開度を徐々に絞ることによって、Gaの蒸着量を制御するようにしてもよい。
さらに、上記層(A)4の形成時において、Ga含有割合の変化を正確に把握するために、Ga蒸着源の温度制御とともに、Inの蒸着量を水晶振動子センサ等によりモニタリングしてもよい。
つぎに、層(B)の形成について説明する。層(A)4の形成後、基板1の温度を層(A)4の形成時と同一に保った状態で、層(A)4形成用の第1の蒸着室の下流側に設けられた第2の蒸着室を通過させる。この第2の蒸着室には、Cu蒸着源とSe蒸着源とが設けられており、上記層(A)4の上に、CuとSeを蒸着させることにより、図5に示すように、上記層(A)4上に層(B)5が積層された積層体6を形成する。このとき、上記層(A)4および層(B)5は、いずれも固相状態であるため、両層(A)4、(B)5間の拡散は最小レベルに抑えられている。したがって、この段階では、結晶成長は引き起こされない。
(加熱工程)
加熱工程では、まず、上記層(B)5のCuとSeの化合物を溶融させ、液相状態にするために、基板1を520℃以上(例えば550℃)に昇温する。そして、加熱昇華させたSe蒸気を供給した状態で、15分間保持する。これにより、上記層(B)5中のCuが上記層(A)4中に拡散し、このなかで結晶成長が起こる。このとき、結晶は基板1と平行な方向に成長する。この加熱工程により、上記層(A)4と層(B)5とが一体化し、CIGS膜3’となる(図6を参照)。このとき、上記CIGS膜3’のCu、In、Gaの組成比は、25.1:18.5:6.4であり、Cu/(In+Ga)≒1.00(モル比)となっている。この時点でのCIGS膜3’内のInとGaの組成は、表面側でInの濃度が高い(基板1側でGaの濃度が高い)濃度分布を示している。
なお、上記加熱工程において、温度設定のための昇温速度が遅すぎると、上記層(B)5の液相化がゆっくりと進み、上記層(B)5中のCuが層(A)中に急速に拡散することができず、結晶が大粒化しない傾向がみられるため、上記昇温速度は、10℃/秒以上で行うことが好ましい。
(後積層工程)
後積層工程では、上記層(A)4と層(B)5とが一体化したCIGS膜3’に対し、さらに層(C)を積層することが行われる。すなわち、基板1の保持温度を加熱工程時と同じ550℃に保持し、加熱昇華させたSe蒸気を供給した状態で、さらに、In、Ga、Seを蒸着し、層(C)7を積層することにより、CIGS膜3を得ることができる(図7参照)。これにより、上記CIGS膜3全体を、わずかにCuが不足した状態にすることができる。
上記層(C)7の形成は、前記層(A)4の形成と同様、CIGS膜3’に対し、In,Ga,Seの蒸着を同時に行うが、層(C)7においては、Ga蒸着源の温度を徐々に上昇させて、Gaの蒸着量を徐々に増加させるようにする。
このようにして得られた層(C)7は、Gaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、層(C)の下面(層形成の開始面、図7においてRで示す)から上面(層形成の終了面、図7においてSで示す)に向かって徐々に増加したものとなる。したがって、層(A)4〜層(C)7に至るCIGS膜3の厚み方向を横軸にとり、Ga/(In+Ga)比の値を縦軸にとって得られる線図は、図8に示すようになり、CIGS膜3において、Ga/(In+Ga)比が、その最下面から厚み方向に最上面に向かって、まず下り傾斜となり、変曲点X〔層(C)7の下面R〕を境に上り傾斜とする特性を示す。
なお、上記層(C)7の形成において、Ga蒸着源の温度を上昇させる条件は、例えば層(C)7を10分で形成する場合、初期に920℃に設定されたGa蒸着源の温度を、層(C)7の形成終了までに40℃/5分の温度勾配で上昇させて終了時1000℃とすることができる。また、30℃/2.5分、10℃/1分、というように、より短時間刻みで温度上昇幅を小さくすることが、Gaの含有割合の増加がなめらかになり、好適である。
また、Gaの含有割合を徐々に増加させる方法として、上記のようにGa蒸着源の温度を徐々に上昇させる以外に、Ga蒸着源の開口を、開度制御できるように設定しておき、その開度を徐々に開くことによって、Gaの蒸着量を制御するようにしてもよい。
さらに、前記層(A)4の形成時と同様、Ga含有割合の変化を正確に把握するために、Ga蒸着源の温度制御とともに、Inの蒸着量を水晶振動子センサ等によりモニタリングしてもよい。
このCIGS膜の製法によれば、先に述べたように、Gaの含有割合〔Ga/(In+Ga)比〕が、厚み方向に、最下面からある深さまで下り傾斜で、そこから最上面まで上り傾斜になった、V字状構造(ダブルグレーデッド構造)のCIGS膜を容易に、再現性よく作製することができる。そして、この構造のCIGS膜によれば、短絡電流と開放電圧の両方を改善することができる。
そして、上記CIGS膜の製法では、まず、層(A)4に、CuとSeとを含む層(B)5を積層して得られた積層体6を加熱し、層(B)5のCuとSeとの化合物を溶融させ液相状態とし、上記層(A)中に層(B)中のCuを急速に拡散させるようにしているため、層(B)に含まれるCuを均一的に層(A)中に拡散でき、大粒で均一な結晶粒が形成されたCIGS膜3’を得ることができる。また、上記層(B)に含まれるCuを、一旦、固相(層(B))として用いるため、膜内への過剰なCu(2-x) Seの取り込みを抑制できる。そして、加熱工程時に、加熱昇華させたSe蒸気が供給されているため、加熱によるSeの系外への放出を抑制でき、上記CIGS膜3’のCu,In,Gaの組成比を所望どおりに調整することができる。
なお、上記の実施の形態では、上記層(A)4および層(B)5の形成を、基板1の保持温度を200℃とした状態で行っているが、それぞれ100〜250℃の範囲の温度にすることが好ましく、なかでも、150〜200℃の範囲の温度にすることが好ましい。温度が高すぎると、層(B)5を固相として層(A)4上に積層できないためであり、逆に温度が低すぎると、蒸着による各層の形成が困難になる傾向がみられるためである。
また、上記の実施の形態では、上記層(A)4および層(B)5が積層された積層体6に対する加熱を、基板1の保持温度を550℃にした状態で15分間行っているが、加熱温度は520℃以上の温度で行うことが好ましい。また、その加熱時間は1〜30分間とすることが好ましく、2〜15分間とすることがより好ましい。これは、層(B)に含まれるCuは、層(A)への拡散は極めて速いが、充分な結晶成長が起きるには、ある程度の時間が必要なためである。
そして、上記実施の形態では、加熱工程終了後のCIGS膜3’の、Cu、In、Gaの膜内の平均組成比がCu/(In+Ga)≒1.00(モル比)となっているが、これに限らず任意の組成比とすることができる。しかし、CIGS膜3’のCu、In、Gaの組成割合は、0.95<Cu/(In+Ga)<1.30(モル比)の式を満たす範囲内にあることが好ましい。Cu/(In+Ga)の値が低すぎると、Cu成分が不足し、充分な結晶成長が起きない傾向がみられ、逆に、高すぎると、CIGS膜3’内に、Cu(2-x) Seが過剰に取り込まれ、上記CIGS膜3’を素子に用いた際の素子特性が低下する傾向がみられるためである。
さらに、上記実施の形態では、後積層工程により層(C)が形成された上記CIGS膜3のCu、In、Gaの組成比がCu/(In+Ga)≒0.77(モル比)になっているが、これに限らず任意の組成比とすることができる。しかし、0.70<Cu/(In+Ga)<0.95(モル比)の式を満たすようになっていると、上記CIGS膜3内にCu(2−x)Seが過剰に取り込まれることをより阻止でき、しかも、膜全体としてわずかにCu不足にできる点で好ましい。また、同族元素であるGaとInとの比は、0.10<Ga/(In+Ga)比<0.40の範囲にあることが好ましい。
そして、上記実施の形態では、上記CIGS膜3の厚みは、2.2μmに形成されているが、これに限らず任意の厚みとすることができる。しかし、上記CIGS膜3の厚みは、1.0〜3.0μmの範囲にあることが好ましく、1.5〜2.5μmの範囲にあることがより好ましい。厚みが薄すぎると、光吸収層として用いた際の光吸収量が少なくなり、素子の性能が低下する傾向がみられ、逆に、厚すぎると、膜の形成にかかる時間が増加し、生産性に劣る傾向がみられるためである。
また、上記実施の形態では、加熱工程時および後積層工程において、Se蒸気を供給するようにしているが、これに代えてH2 Seを供給するようにしてもよい。この場合も、Se蒸気を供給するのと同様の効果が得られる。また、上記CIGS膜3’およびCIGS膜3のSeの系外への放出が少ない等の場合には、これらを供給する必要はない。
さらに、上記実施の形態では、CIGS膜3の製法において、加熱工程の後に、引き続き層(C)7(図7参照)を形成する後積層工程を設けたが、上記層(C)7の形成は必ずしも必要ではない。すなわち、層(A)4の形成により、Ga/(In+Ga)比が厚み方向に下り傾斜になった構造を有するCIGS膜3であれば、層(A)4と層(C)7とを組み合わせたものに比べてやや性能が劣るものの、従来品に比べると優れた性能のものが得られるからである。
つぎに、上記CIGS膜3を光吸収層として用いたCIGS太陽電池20の構成およびこれを得る方法を以下に示す。このCIGS太陽電池20は、図9に示すように、上記のようにして作製したCIGS膜3の上に、バッファ層8、透明導電層9がこの順に積層されている。
より詳しく説明すると、まず、上記のようにして得られたCIGS膜3上に、硫化カドミウム(厚み50nm)およびZnO(厚み50nm)の複層からなるバッファ層8を形成する。このバッファ層8は、上記CIGS膜3とpn接合できるよう、高抵抗のn型半導体が好ましく、上記CdS、ZnOのほか、単層で、ZnMgO、Zn(O,S)等を用いることができる。また、バッファ層7の厚みは、それぞれ30〜200nmであることが好ましい。そして、バッファ層を単層にした場合でも30〜200nmであることが好ましい。なお、このようにバッファ層として複数種類の層を重ねて用いると、上記CIGS膜3とのpn接合をより良好にすることができるが、pn接合が充分に良好である場合には、必ずしも複数層設けなくてもよい。
そして、上記バッファ層8上に、スパッタリング法により、酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電層9(厚み200nm)を形成する。この透明導電層9は、高透過率を有する材料を用いることが好ましく、上記ITOのほか、酸化インジウム亜鉛(IZO)。酸化亜鉛アルミニウム(Al:ZnO)等を用いることができる。また、その厚みは100nm〜300nmであることが好ましい。このようにして、基板1上に、裏面電極層2、CIGS膜3、バッファ層8、透明導電層9がこの順に積層されたCIGS太陽電池20を得ることができる。
上記CIGS太陽電池20の製法によれば、光吸収層として、前述の、特殊な製法によって得られたCIGS膜3を用いているため、変換効率が高くなるとともに、素子ごとの変換効率のばらつきが生じにくいCIGS太陽電池を得ることができる。しかも、光吸収層であるCIGS膜3内に余剰なCu(2-x) Seが形成されないため、電池特性の低下が生じず、高効率となる。さらに、上記CIGS膜3のGa/(In+Ga)比が、図8に示すように、厚み方向にV字型(ダブルグレーデッド構造)を形成しているため、さらなる高効率とすることができる。
なお、上記実施の形態では、太陽電池20は、基板1、裏面電極層2、CIGS膜3、バッファ層8、透明導電層9からなるが、必要であれば、上記透明導電層9上に、金属電極を形成してもよい。
つぎに、実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
前記実施の形態と同様にして、CIGS太陽電池を製造した。すなわち、基板として、SLG(大きさ30×30mm、厚み0.55mm)を用意し、この上に、裏面電極層として、Mo(厚み500nm)を形成した。そして、基板保持温度を200℃にした状態で、上記裏面電極層上に、下記の条件で層(A)を形成した。
<層(A)の形成>
Ga蒸着源の温度を1000℃、In蒸着源の温度を850℃、Se蒸着源の温度を180℃に設定して、20分間製膜を行った。このとき、In蒸着源とSe蒸着源の温度は変更することなく、Ga蒸着源の温度を、5分ごとに20℃ずつ降下させてGaの蒸着量を徐々に減少させるようにして、層(A)を形成した。
なお、最初の5分間におけるGa/(In+Ga)比の値を1とした場合に、その値が、Ga蒸着量の減少に伴ってどのように変化するかを推定した値を後記の表2に示す。
つづいて、上記層(A)上に、Cu、Seを蒸着して、層(B)を積層し、積層体を形成した。そして、この積層体を、微量のSe蒸気を供給しつつ加熱し、基板保持温度が550℃の状態を15分間保持して結晶成長させ、CIGS膜中間体とした。さらに、微量のSeガスを供給しつつ、基板保持温度を550℃に保った状態で、このCIGS膜中間体上に下記の条件で層(C)を形成し、層(C)が後積層されたCIGS膜(厚み2.2μm)を得た。
<層(C)の形成>
Ga蒸着源の温度を920℃、In蒸着源の温度を850℃、Se蒸着源の温度を180℃に設定して、10分間製膜を行った。このとき、In蒸着源とSe蒸着源の温度は変更することなく、Ga蒸着源の温度を、5分ごとに40℃ずつ上昇させてGaの蒸着量を徐々に増加させるようにして、層(C)を形成した。
このCIGS膜の、厚み方向におけるGa/(In+Ga)比を、D−SIMS評価装置により測定した。その結果を図10に示す。
そして、上記CIGS膜の上に、CdSからなる第一のバッファ層(厚み50nm)、ZnOからなる第二のバッファ層(厚み70nm) およびITOからなる透明電極層を200nm形成し、実施例1品となるCIGS太陽電池を得た。
〔実施例2〕
層(A)および層(C)の形成時におけるGa蒸着源の温度制御を、後記の表1に示すように変えた。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2品のCIGS太陽電池を得た。
〔比較例1〕(従来法:3段階法)
実施例1と同様に、裏面電極層が形成された基板を準備した。そして、基板の保持温度を350℃にした状態で、In、Ga、Seを一度に蒸着し、In、Ga、Seからなる層を形成した。つぎに、基板の保持温度が550℃の状態となるよう加熱した状態で、この層の上に、Cu、Seを蒸着させ、結晶成長させてCIGS膜中間体を得た。さらに、このCIGS膜中間体に、微量のSe蒸気を供給しつつ、基板保持温度を550℃に保った状態で、In、Ga、Seを一度に蒸着し、CIGS膜(厚み2.2μm)を得た(図12参照)。
このCIGS膜の、厚み方向におけるGa/(In+Ga)比を、D−SIMS評価装置により測定した。その結果を図11に示す。そして、このCIGS膜上に、実施例1と同様に、バッファ層および透明電極層を形成し、比較例1品となるCIGS太陽電池を得た。
〔比較例2〕
層(A)および層(C)の形成において、Ga蒸着源の温度を950℃として変更しなかった他は、実施例1と同様にして、比較例2品のCIGS太陽電池を得た。すなわち、比較例2では、層(A)および層(C)形成において、Gaの蒸着量は、他の構成成分とともに一定となっている。したがって、Ga/(In+Ga)比も一定となっている。
Figure 2014154758
上記実施例品および比較例品をそれぞれ10個製造し、それらの変換効率を下記の手順に従って測定するとともに、それらの実施例品および比較例品に用いたCIGS膜のGa変曲点比と、変曲点のCIGS膜表面からの深さを下記の手順に従って測定し、算出した。これらの結果を、前述の、各実施例、比較例における経時的なGa蒸着量の推定値とともに、下記の〔表2〕に併せて示す。
〔変換効率の測定〕
擬似太陽光(AM1.5)を各実施例品および比較例品の表面面積以上の領域に照射し、それぞれの変換効率をソーラーシミュレーター(セルテスターYSS150、山下電装社製)によって測定した。
〔Ga変曲点位置およびGa変曲点比の算出〕
前述のように、各実施例品および比較例品に用いたCIGS膜の厚み方向におけるGa/(In+Ga)比を、D−SIMS評価装置によって測定した。そして、膜内のGa比率が最大になる値と、最小になる値に基づいて、変曲点比(最低値/最大値)を算出した。また、CIGS膜表面からGa比率が最低となる点までの距離(深さ)を計測し、Ga変曲点位置(μm)とした。
Figure 2014154758
上記の結果より、実施例品はいずれも高い平均変換効率を示し、しかも、平均的な変換効率も高く、本発明の製法によって、高効率の太陽電池が再現性よく得られることがわかった。一方、比較例品はいずれもGa変曲点比が大きく、Ga比率の最大値と最小値の差が小さく、実施例品と比べると変換効率が低いものであった。
本発明のCIGS膜の製法は、CIGS太陽電池の光吸収層として用いるCIGS膜を、良好な特性を再現性よく製造するのに適している。また、本発明のCIGS太陽電池の製法は、変換効率の高い太陽電池を、再現性よく製造するのに適している。

Claims (9)

  1. インジウムとガリウムとセレンとを含む層(A)と、銅とセレンとを含む層(B)を、固相状態でこの順で基板に積層する積層工程と、上記層(A)および層(B)が積層された積層体を加熱し、上記層(B)を溶融させ液相状態とすることにより、上記層(A)中に上記層(B)中の銅を拡散させ、結晶成長させる加熱工程とを有するCIGS膜の製法であって、上記層(A)の形成時に、ガリウムの蒸着量を徐々に減少させることにより、層(A)におけるガリウムの含有割合〔ガリウム/(インジウム+ガリウム)比〕が、層(A)の下面から上面に向かって徐々に減少するようにしたことを特徴とするCIGS膜の製法。
  2. 上記層(A)の形成時に、ガリウムの蒸着源温度を徐々に降下させることにより、ガリウム蒸着量を徐々に減少させるようにした請求項1記載のCIGS膜の製法。
  3. 上記加熱工程に引き続き、加熱工程における温度を維持した状態で、さらにインジウムとガリウムとセレンとを含む層(C)を積層する後積層工程を設け、上記層(C)の形成時に、ガリウムの蒸着量を徐々に増加させることにより、層(C)におけるガリウムの含有割合〔ガリウム/(インジウム+ガリウム)比〕が、層(C)の下面から上面に向かって徐々に増加するようにした請求項1または2記載のCIGS膜の製法。
  4. 上記層(C)の形成時に、ガリウムの蒸着源温度を徐々に上昇させることにより、ガリウム蒸着量を徐々に増加させるようにした請求項3記載のCIGS膜の製法。
  5. 加熱工程終了時のCIGS膜が、0.95<銅/(インジウム+ガリウム)<1.30のモル比を満たすとともに、後積層工程終了時のCIGS膜が、0.70<銅/(インジウム+ガリウム)<0.95モル比を満たすよう設定されている請求項3または4に記載のCIGS膜の製法。
  6. 積層工程を100〜250℃の範囲の温度で行い、加熱工程を520℃以上の温度で行う請求項1〜5のいずれか一項に記載のCIGS膜の製法。
  7. 積層工程の温度から加熱工程の温度への昇温を、昇温速度10℃/秒以上で行う請求項1〜6のいずれか一項に記載のCIGS膜の製法。
  8. 加熱工程において、セレン蒸気またはセレン化水素を供給し、積層体表面のセレン分圧が、積層体内部のセレン分圧よりも高い状態に維持されるようにする請求項1〜7のいずれか一項に記載のCIGS膜の製法。
  9. 基板上に、裏面電極層を設ける工程と、CIGS膜からなる光吸収層を設ける工程と、バッファ層を設ける工程と、透明導電層を設ける工程とを有するCIGS太陽電池の製法であって、上記光吸収層を設ける工程において、請求項1記載のCIGS膜の製法を用いてCIGS膜からなる光吸収層を形成するようにしたことを特徴とするCIGS太陽電池の製法。
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