JP2014153282A - スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法およびその処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顕微鏡標本を140℃〜1500℃に加熱処理する加熱部と、前記顕微鏡標本を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる剥離具とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスを再利用するための処理装置を提供することによる。
【選択図】 図1
Description
病理組織標本は、通常は半永久的に保存し、病理学の研究や教育、統計等に役立てられるが、保管場所の関係で再診断の必要がほぼないと判断された場合には処分されることがある。このような場合、スライドガラスおよびカバーガラスは、作製した病理組織標本に関しては通常永久的に保存することが前提とされているので、廃棄せずに洗って再使用することは考慮しないし、また、再利用するにしてもスライドガラスとカバーガラスとは封入剤などにより強固に付着されているので、これらを分離することが困難である。
(1)キシレンに浸漬して自然にはがれるまで放置する(常温2〜3日、60〜70℃1晩)(非特許文献6)。
(2)62〜65℃のキシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がす。(非特許文献7)。
(3)炎で炙ってからヘラで引き剥がす(非特許文献8)。
スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を、
加熱部で加熱処理する工程と、
前記顕微鏡標本の外形に合わせて加工した剥離具中に差込む工程と、
前記顕微鏡標本を剥離具に作用させてカバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向に分離せしめる工程と
を含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法が提供される。
我々の実験によれば、病理組織標本は140℃以上30分の加熱でカバーガラスがずれて動かすことができるようになり、180℃以上1分の加熱でカバーガラスを分離することが可能となった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラスを分離することができた。1500℃の炎で炙るように加熱しても分離可能だったが、300℃を超えるとラベルが焦げて変色したり、キシレン浸漬時にガラスが割れやすくなったりするなどの問題が生じることがわかっている。
なお、カバーガラス分離に際しては、とくに200℃以下では、封入剤が十分に軟化せず、カバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向にまっすぐ相当な力によってずらすように移動させて分離しないと、カバーガラスが割れて再利用できなくなることがわかっている。200℃を超えると、十分に封入剤が軟化するため、垂直方向にまっすぐでなくとも、分離可能となる。
また、紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上で簡単に(ラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして)剥離することができる。
スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を分離するための処理装置であって、前記処理装置は、
前記顕微鏡標本および該顕微鏡標本を加熱処理する加熱部と、
前記顕微鏡標本の外形に合わせて加工した剥離具と、
を備えた処理装置が提供される。
また、図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から顕微鏡標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。
なお、ブロックの外形は、直方体でなくとも、球体でも筒状でもよく、とくに制限はない。作用点の形状は、カバーガラス82を確実に保持し、かつカバーガラス82を傷つけない形状であれば、直線、曲線、波型、台形、突起など、制限はない。前記剥離具の材質は、アルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであれば制限はない。
顕微鏡標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、80℃、120℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、1500℃に保温した加温部83にて加温し、封入剤を軟化させた後、加温部83上に設置した剥離具10の下を図2のように適用し、カバーガラス82を分離した。
140℃では30分の加熱で、180℃、200℃では1分の加熱で、250℃、300℃では、数秒でカバーガラス82を分離することが可能となった。ただし、200℃以下では、加熱時間を延長しても封入剤が十分に軟化せず、相当な力が必要だった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラス82を分離することができた。いずれの温度でも、ピンセットより容易に、カバーガラスを傷つけることなく処理できた。
紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上でラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして剥離することができた。
実施例1と同様に、剥離具20を適用させたところ、カバーガラスの封入剤塗布面がホットプレートに接触しないため、カバーガラスがホットプレートに貼りつかず、剥離具10より容易に処理できた。
図6および図7に示すブロック型剥離具30を、間隙31の開口部が横に、作用部32が間隙31の上になるように電気炉内に設置し、あらかじめ300℃に保温しておき、顕微鏡標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、剥離具に接触させながらカバーガラス82が作用部32より奥になるよう間隙31に挿入し、次に顕微鏡標本80が間隙31の上部に接触するようにして引き出すと、作用部32がカバーガラス82を剥離するため、差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すことができた。
剥離具30について、間隙31の開口部と反対側の一端を切り落し、元の開口部の反対側にも開口部を設け、回収槽84ともに電気炉内にて300℃に保温した(図9)。作用部32の側の開口部より間隙31に顕微鏡標本80を差し入れ、作用部32によってカバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収した。差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すと同時に、カバーガラス82も面倒な操作をすることなく回収することができた。
60〜70℃のキシレンに浸漬したところ、24時間以上経過しないとカバーガラスは分離しなかった。
また、キシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がそうとしたところ、2時間浸漬してもスライドガラスとカバーガラスは分離せず、ラベルも除去できなかった。
20 剥離具(実施例2)
21 間隙
30 剥離具(実施例3、4)
31 間隙
32 剥離作用部
80 顕微鏡標本
81 顕微鏡標本のスライドガラス
82 顕微鏡標本のカバーガラス
83 加熱部
84 カバーガラス回収槽
病理組織標本は、通常は半永久的に保存し、病理学の研究や教育、統計等に役立てられるが、保管場所の関係で再診断の必要がほぼないと判断された場合には処分されることがある。このような場合、スライドガラスおよびカバーガラスは、作製した病理組織標本に関しては通常永久的に保存することが前提とされているので、廃棄せずに洗って再使用することは考慮しないし、また、再利用するにしてもスライドガラスとカバーガラスとは封入剤などにより強固に付着されているので、これらを分離することが困難である。
(1)キシレンに浸漬して自然にはがれるまで放置する(常温2〜3日、60〜70℃1晩)(非特許文献6)。
(2)62〜65℃のキシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がす。(非特許文献7)。
(3)炎で炙ってからヘラで引き剥がす(非特許文献8)。
スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を、
加熱部で加熱処理する工程と、
前記病理組織標本の外形に合わせて加工した剥離具中に差込む工程と、
前記病理組織標本を剥離具に作用させてカバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向に分離せしめる工程と
を含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法が提供される。
我々の実験によれば、病理組織標本は140℃以上30分の加熱でカバーガラスがずれて動かすことができるようになり、180℃以上1分の加熱でカバーガラスを分離することが可能となった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラスを分離することができた。1500℃の炎で炙るように加熱しても分離可能だったが、300℃を超えるとラベルが焦げて変色したり、キシレン浸漬時にガラスが割れやすくなったりするなどの問題が生じることがわかっている。
なお、カバーガラス分離に際しては、とくに200℃以下では、封入剤が十分に軟化せず、カバーガラスをスライドガラスとの接着面からみて垂直方向にまっすぐ相当な力によってずらすように移動させて分離しないと、カバーガラスが割れて再利用できなくなることがわかっている。200℃を超えると、十分に封入剤が軟化するため、垂直方向にまっすぐでなくとも、分離可能となる。
また、紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上で簡単に(ラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして)剥離することができる。
スライドガラスと、カバーガラスとが付着した病理組織標本を分離するための処理装置であって、前記処理装置は、
前記病理組織標本および該病理組織標本を加熱処理する加熱部と、
前記病理組織標本の外形に合わせて加工した剥離具と、
を備えた処理装置が提供される。
また、図9のように、剥離具の下端を切り落とせば、間隙31の上部から病理組織標本80を差し入れ、カバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収することもできる。
なお、ブロックの外形は、直方体でなくとも、球体でも筒状でもよく、とくに制限はない。作用点の形状は、カバーガラス82を確実に保持し、かつカバーガラス82を傷つけない形状であれば、直線、曲線、波型、台形、突起など、制限はない。前記剥離具の材質は、アルミやステンレスなどの金属、ガラス、樹脂など、前記加熱処理温度および処理にかかる力で変形、変質しないものであれば制限はない。
病理組織標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、80℃、120℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、1500℃に保温した加温部83にて加温し、封入剤を軟化させた後、加温部83上に設置した剥離具10の下を図2のように適用し、カバーガラス82を分離した。
140℃では30分の加熱で、180℃、200℃では1分の加熱で、250℃、300℃では、数秒でカバーガラス82を分離することが可能となった。ただし、200℃以下では、加熱時間を延長しても封入剤が十分に軟化せず、相当な力が必要だった。250℃以上では数秒の加熱で、ほとんど力を入れることなく簡単にカバーガラス82を分離することができた。いずれの温度でも、ピンセットより容易に、カバーガラスを傷つけることなく処理できた。
紙ラベル、パスラベル共に、160℃以上でラベルをピンセットでつまんで、またはラベルをピンセットや指でずらすように動かして剥離することができた。
実施例1と同様に、剥離具20を適用させたところ、カバーガラスの封入剤塗布面がホットプレートに接触しないため、カバーガラスがホットプレートに貼りつかず、剥離具10より容易に処理できた。
図6および図7に示すブロック型剥離具30を、間隙31の開口部が横に、作用部32が間隙31の上になるように電気炉内に設置し、あらかじめ300℃に保温しておき、病理組織標本80を、カバーガラス82を上に向けた状態で、剥離具に接触させながらカバーガラス82が作用部32より奥になるよう間隙31に挿入し、次に病理組織標本80が間隙31の上部に接触するようにして引き出すと、作用部32がカバーガラス82を剥離するため、差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すことができた。
剥離具30について、間隙31の開口部と反対側の一端を切り落し、元の開口部の反対側にも開口部を設け、回収槽84ともに電気炉内にて300℃に保温した(図9)。作用部32の側の開口部より間隙31に顕微鏡標本80を差し入れ、作用部32によってカバーガラス82を剥離すると同時に、カバーガラス82を剥離具30より排出し、剥離具30の下に設置した回収槽84にて回収した。差し込んで引き抜くだけでスライドガラス81のみを取り出すと同時に、カバーガラス82も面倒な操作をすることなく回収することができた。
60〜70℃のキシレンに浸漬したところ、24時間以上経過しないとカバーガラスは分離しなかった。
また、キシレンに40分以上浸漬し、ガムテープで引き剥がそうとしたところ、2時間浸漬してもスライドガラスとカバーガラスは分離せず、ラベルも除去できなかった。
20 剥離具(実施例2)
21 間隙
30 剥離具(実施例3、4)
31 間隙
32 剥離作用部
80 病理組織標本
81 病理組織標本のスライドガラス
82 病理組織標本のカバーガラス
83 加熱部
84 カバーガラス回収槽
Claims (9)
- スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を、加熱部で140℃〜1500℃に加熱処理する工程と、前記顕微鏡標本に剥離具を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる工程とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法。
- 前記顕微鏡標本は、ラベル、マーカーペン書込みを含む病理組織標本である、請求項1に記載の処理方法。
- 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための切り欠きであって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの切り欠きを有する平板である、請求項1または2に記載の処理方法。
- 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための間隙であって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの間隙を有する平板である、請求項1または2に記載の処理方法。
- 前記剥離具は、顕微鏡標本をはめ込むための間隙であって、スライドガラスの一辺の幅と厚みの間隙を有しカバーガラスを保持する作用点を持つ、請求項1または2に記載の処理方法。
- 前記加熱処理の温度は、250℃〜300℃である、請求項1または2に記載の処理方法であって、前記剥離具は請求項3〜5のいずれか一項である処理方法。
- スライドガラスと、カバーガラスとが付着した顕微鏡標本を再生するための処理装置であって、前記処理装置は、前記顕微鏡標本を140℃〜1500℃に加熱処理する加熱部と、前記顕微鏡標本を作用させてカバーガラスをスライドガラスとを分離せしめる剥離具とを含む、スライドガラスおよびカバーガラスの処理装置であって、前記剥離具は、請求項3〜5のいずれか一項である処理装置。
- 前記処理装置は、カバーガラス回収槽を含む、請求項7に記載の処理装置。
- 前記顕微鏡標本は、ラベル、マーカーペン書込みを含む病理組織標本である、請求項8または請求項9に記載の処理装置。
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JP2013024946A JP5442883B1 (ja) | 2013-02-12 | 2013-02-12 | スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法およびその処理装置 |
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JP2013024946A JP5442883B1 (ja) | 2013-02-12 | 2013-02-12 | スライドガラスおよびカバーガラスの処理方法およびその処理装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017015682A (ja) * | 2015-06-26 | 2017-01-19 | 閤康生物科技股▲ふん▼有限公司Bio Materials Analysis Technology Inc. | サンプル収集デバイス及びその製造方法及びサンプル収集デバイスアレイ |
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CN104048868A (zh) * | 2014-07-02 | 2014-09-17 | 青岛农业大学 | 一种浮游动物显微玻片标本制作方法 |
CN106018030B (zh) * | 2016-06-22 | 2019-07-02 | 杭州海世嘉生物科技有限公司 | 细胞涂片器 |
CN108970901B (zh) * | 2018-07-18 | 2024-01-30 | 杭州依美洛克医学科技有限公司 | 封片机 |
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2013
- 2013-02-12 JP JP2013024946A patent/JP5442883B1/ja not_active Expired - Fee Related
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