JP2012019134A - 太陽電池モジュール材料の再利用のための回収方法 - Google Patents

太陽電池モジュール材料の再利用のための回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
迅速且つ簡便に太陽電池モジュールを解体し、そこから、シリコンセル、ガラスおよびEVAの各材料を、それぞれ、再利用可能に回収する方法を提供する。
【解決手段】
前記太陽電池モジュールを15乃至40℃に予め加温したトルエン、ベンゼン、キシレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される芳香族系有機溶媒に浸漬し、超音波の照射を開始して、前記シリコンセル、EVA層およびガラスのそれぞれを分離する。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコン系太陽電池モジュールのリサイクルに関する。特に、封止材として使用されているEVAとシリコンセルおよびガラスを完全に分離し、それぞれの材料を、二次的廃棄物の発生を低減しつつ、リサイクルする方法に関する。
太陽電池が公共および一般住宅向けに導入されてから既に20年以上が経過している。いっぽう、太陽電池の寿命はおよそ15〜20年とされており、したがって、今後急速に使用済み太陽電池モジュールが廃棄されることが予想される。また、高品質の太陽電池モジュールの生産には依然として高度の技術が要求され、一般的に、国内の工場では生産されたモジュールの約2割程度が規格外品として廃棄されているのが現状である。
しかしながら、太陽電池モジュールの材料、とりわけ該モジュールに使用されるシリコンや強化ガラスは非常に高価な材料であるにも関わらず、それらの廃棄物はガラスリサイクルと同様に扱われており、結局、当該廃棄物のスラグは埋め立てなどに利用されているに過ぎないのが現状である。
このような現状をうけて、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)も、エネルギーイノベーションプログラム・環境安心イノベーションプログラムに「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」の研究開発項目を設け、その共通基盤技術として太陽電池モジュールのリサイクル・リユース技術の開発を目指している。
これまでにも、いくつかの太陽電池モジュールのリサイクル技術が提案されてきたが、そのいずれにおいても、その要となる技術は、太陽電池モジュールのガラスとシリコンセルを強固に接着している封止材のEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)を効率的に分離させることに関連している。
特許文献1は、当該EVAに界面活性剤を含む硝酸を作用させてEVAをシリコンセルおよびガラスから分離する方法を開示している。しかしながら、当該文献記載の方法によっても、EVAを分離するためには少なくとも1日以上太陽電池モジュールを当該硝酸液に浸漬しなければならないとされている(特許文献1の段落[0028])。また、そのようにしてEVAを分離した後にも、シリコンセルの表面には変質EVAからなる白色の不純物質が強固に付着しており、トルエンやエチルセルソルブ等の有機溶媒の使用は、そのような変質EVAの除去のためにのみ意図されている(特許文献1の段落[0029]〜[0031])。
特許文献2は、EVAを除去するために太陽電池モジュールを予め酸溶液、アルカリ溶液または有機溶剤溶液で処理し、その後、EVAを燃焼させて除去することを提案している。つまり、酸溶液、アルカリ溶液、有機溶剤溶液での前処理はEVAの基本構造であるエチレンユニットと酢酸ビニルユニットの主鎖の断裂を促進し、そのため、引き続くEVAの熱分解処理を促進すると予想されている(特許文献2の段落[0009])。しかしながら、特許文献2には有機溶剤溶液による処理についての具体的な記載がない。また、上記のEVAの熱分解処理のためには、低くても420℃までもの加熱が必要とされる(特許文献2の段落[0014])。
特許文献3は、EVA(封止材)と太陽電池素子の間に低温で熱分解する緩衝材を設けた特殊な構造の太陽電池モジュールとすることで、それを解体する際には予め低温で熱処理して当該緩衝材だけを熱分解することを開示している(特許文献3の段落[0058])。その後、EVAは、リモネン、キシレン、トルエンなどの有機溶媒により太陽電池モジュールのその他の部材から分離されるが、それでも1乃至2時間程度で処理を完了するにはそれらの有機溶媒を80〜100℃に加熱する必要がある(特許文献3の段落[0082]等)。
特許文献4は、アルカリを溶解した有機溶剤に浸漬して過熱することで太陽電池モジュールからEVAを分離することを開示するが、そこで用いられている有機溶剤はN−メチル−2−ピロリドン等とアルコールの混液であり(特許文献4の段落[0022]等)、芳香族系有機溶媒への言及はない。
非特許文献1は非架橋EVAの各種有機溶媒に対する溶解性試験結果を記載している。また、該文献は、架橋後のEVAにつき、アルミ板−架橋EVA−アルミフォイル・サンドウィッチ構造体(以下、アルミニウム−架橋EVA構造体という。)を作製し、そこからの架橋EVAの分離に対する各種有機溶媒の効果についても記載している。つまり、該文献には、上記の非架橋EVAおよびアルミニウム−架橋EVA構造体を各種の有機溶媒中で室温下2日間放置した後に、そのまま80℃で10分間加熱した際の各種有機溶媒の効果が記されており、その結果、トルエンによる処理では非架橋EVAが溶解はするものの、架橋EVAについては単に膨潤しかせず、アルミニウム−架橋EVA構造体は分離しないことが示されている。これに対してトリクロロエタンにより処理した場合にのみアルミニウム−架橋EVA構造体から架橋EVAが分離できたとされる(非特許文献1、第399頁の下から13行〜最下行および第400頁のTable2)。
そして、いずれの文献も、EVAをも再利用のために分離することを意図していない。
特開2004−42033号公報 特開2005−311178号公報 特開2007−180063号公報 特開2009−214058号公報
Takuya Doi等、Solar Energy Materials & Solar Cells誌、67巻、第397−403頁(2001年発行)
上記のとおり、太陽電池モジュールのリサイクルにおいては、シリコンセルとガラスに強固に接着している封止材のEVAを分離するために多大な労力が必要とされていた。しかし、いかに太陽電池モジュールのシリコンセルや強化ガラスが高価なものといえども、それらからEVAを分離するために多くのコストや時間を費やしたのでは、太陽電池モジュールのリサイクル・スキームの実用化は困難である。更に、EVAを除去するための酸、アルカリ或いは有機溶媒自体や、それらの溶剤処理により生じる変質EVA含有溶剤廃液といった二次的廃棄物の発生を極力抑えて、環境に対する負荷を低減することが望ましい。また、シリコンセルやガラス材料だけでなくEVAをも簡便に回収できる方法の有用性については、説明するまでもない。
したがって、本発明は、迅速且つ簡便に太陽電池モジュールを解体し、そこからシリコンセル、ガラスおよびEVAの各材料をそれぞれ再利用可能に回収する方法を提供する。その方法においてはEVAも効率よく回収・再利用できるため、二次的廃棄物の発生等の環境負荷を極小にすることが可能である。
すなわち、本発明の第1は、
(1)シリコンセルと該シリコンセルに接着されたEVA層と該EVA層に接着されたガラスを含む太陽電池モジュールの前記各材料の再利用のための回収方法であって、以下の工程:
(a) 前記太陽電池モジュールを予め15乃至40℃に加温したトルエン、ベンゼン、キシレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される芳香族系有機溶媒に浸漬し、該芳香族系有機溶媒中で前記太陽電池モジュールに超音波を照射して前記シリコンセル、EVA層およびガラスのそれぞれを分離する工程;および
(b) 前記(a)の芳香族系有機溶媒中で分離されたシリコンセル、EVAおよびガラスのそれぞれを該有機溶媒から回収する工程;
を含むことを特徴とする、前記方法である。
より詳細には、前記のとおり従来技術においてもキシレンやトルエン等の芳香族系有機溶媒を用いてEVAを分離する方法は知られていたが、数時間程度の短時間で当該処理を完了するには有機溶媒を80〜100℃に加熱する必要があった(たとえば、特許文献3)。しかし、そのような過度の加熱工程には多大なエネルギーが必要となるし、作業環境の安全性を確保するための設備の整備も必要となる。また、とりわけ、EVAの分離を促進するために有機溶媒を加熱することにより実質的な量のEVAが当該溶媒に溶出してしまい、EVAの効率的な回収や、有機溶媒の再利用も制限される。
しかして、本発明者等は、芳香族系有機溶媒に浸漬した状態で太陽電池モジュールに超音波を照射することにより、シリコンセルおよびガラスとEVAが完全且つ速やかに分離できることを見出した。具体的に、本発明の方法では、太陽電池モジュールを15乃至40℃程度の芳香族系有機溶媒に浸漬した後、直ちに超音波照射を開始してシリコンセル、EVA層およびガラスを分離することが可能である。
加えて、当該処理条件下では、超音波による振動と相俟って、EVAの芳香族系有機溶媒への溶解というよりはむしろEVA層のシリコンセルやガラスからの剥離現象が先行して、当該EVAの大部分が依然として固体の状態に留とどまり、よって、当該EVAを極めて容易に芳香族系有機溶媒から回収できた。或いは、仮に若干量のEVAが溶媒に溶解したとしても、本発明の処理条件と芳香族系有機溶媒に対するEVAの比較的小さな溶解度から、当該溶解したEVAが速やかに本発明の芳香族系有機溶媒から析出することで、溶解したEVAも含めた効率的な回収が達成されるのかもしれない。
本発明の好適な態様には以下の本発明の第2、すなわち、
(2)前記工程(a)における芳香族系有機溶媒を予め加温する温度が30乃至40℃である、上記(1)に記載の方法、が挙げられる。
前記のとおりに、本発明は、超音波による極めて顕著な分離作用が見出され、以ってその効果を利用するものであるから、有機溶媒を予め過度に加熱してから処理を開始することは不必要である。仮にそのような予備的加温が必要な場合であっても、好ましくは約25乃至40℃、より好ましくは約30乃至40℃に加温或いは調温しておく程度で足りる。
更なる本発明の好適な態様は、以下の本発明の第3、つまり、
(3)前記工程(a)における芳香族系有機溶媒がトルエンである、上記(1)または(2)の方法、を含む。
本発明の観点からは本発明の芳香族系有機溶媒としてベンゼンやキシレンも用いることができ、特にEVAの分離に要する時間が短いという点ではベンゼンが適しているが、我が国ではその使用制限のために多量のベンゼンの入手が困難である。また、キシレンも、取り扱いや作業環境への配慮の点からその使用には一定の制限がある。いっぽう、トルエンは比較的容易に利用可能であるため、経済性に優れている。
また、本発明の第4は、
(4)前記工程(a)における太陽電池モジュールへの超音波照射時間が1乃至2時間である、上記(1)乃至(3)のいずれかの方法である。
後記の実施例に示されるように、本発明においては芳香族系有機溶媒と超音波の作用とが相俟って、約1乃至2時間程度の超音波処理のみで太陽電池モジュールからEVAを完全に分離することが可能である。
更に、本発明の第5乃至7は、それぞれ、
(5)前記工程(a)が、超音波発生手段を備えた芳香族系有機溶媒収容槽内で行われる、上記(1)乃至(4)のいずれかの方法、
(6)前記芳香族系有機溶媒収容槽が、該有機溶媒を加温するための加温手段を有する、上記(5)の方法、および
(7)前記芳香族系有機溶媒収容槽が、太陽電池モジュールを保持するための網籠を有する、上記(5)または(6)の方法である。
上記の芳香族系有機溶媒収容槽の使用は本発明の方法を実施するにあたり有利である。とりわけ、当該収容槽が太陽電池モジュールを保持するための網籠或いはそれに類する手段を有する場合は、複数の太陽電池モジュールを一緒に処理する際に便利なだけでなく、下記(10)の理由により、分離したガラスを回収する際に有用である。
また、本発明の第8は、
(8)前記工程(b)におけるシリコンセルの回収が、前記芳香族系有機溶媒の上面に浮遊したシリコンセルまたはその断片を該有機溶媒から分離することにより行われる、上記(1)乃至(7)のいずれかの方法である。
本発明の回収方法では、前記EVAのシリコンセルおよびガラスからの分離工程において、通常シリコンセルは割れて断片化されるが、当該シリコンセル断片は本発明の芳香族系有機溶媒よりも低比重なため、EVAとの分離が進むにつれて該有機溶媒の上面付近に浮遊してくる。よって、そのようにして浮遊してきたシリコンセルは極めて容易に有機溶媒から分離し得、新たなシリコンセルの原料として供給し得る。なお、EVA等の状態によってはEVAとシリコンセルが実質的に剥離してはいるものの、両者が軽く付着しあったままの状態で前記有機溶媒の下部に沈降する場合もあるが、その部分についても、例えば軽く手で押さえたり、あるいは篩いにかける程度の軽い物理的刺激を加えるだけで両者を完全に分離することができる。
また、本発明の第9は、
(9)前記工程(b)におけるEVAの回収が、前記芳香族系有機溶媒内に堆積したEVAを該有機溶媒から分離することにより行われる、上記(1)乃至(8)のいずれかの方法である。
前記のとおり、本発明の回収方法では、分離したEVAの大部分が固体断片の状態に留とどまり、或いは、仮に若干量のEVAが本発明の芳香族系溶媒に溶解したのに近い状態となったとしても、本発明の温和な処理条件と芳香族系有機溶媒に対するEVAの比較的小さな溶解度から、当該溶解したEVAも速やかに析出すると考えられる。また、そのような分離EVAは本発明の芳香族系有機溶媒よりも高比重なため、当該EVAの分離が進むにつれて該有機溶媒内に堆積してくる。よって、当該堆積した分離EVAは、その堆積物として容易に分離・回収が可能である。言うなれば、上記本発明の第8および第9とは、本発明における芳香族系有機溶媒使用の特筆すべきもう1つの利点につき、当該溶媒がシリコンセルよりは大きいが架橋EVAよりは小さな比重を有することで、シリコンセルとEVA断片とをそれぞれ当該溶媒の表面近傍と底部とに自然に分離させ、よってそれらを極めて容易に分別回収できるということなのである。
更に、本発明の第10は、
(10)前記工程(b)におけるガラスの回収が、前記芳香族系有機溶媒収容槽内の網籠の底部に沈積したガラスを該有機溶媒から分離することにより行われる、上記(7)の方法である。
本発明の回収方法では、通常ガラスについても前記EVAのシリコンセルおよびガラスからの分離工程において割れて断片化されるが、その断片は依然として比較的大きなままであり、特に通常は前記の分離EVA断片よりも有意に大きなために、上記芳香族系有機溶媒収容槽内の網籠の底部には当該ガラスの断片が沈積し、いっぽう分離EVA断片は当該網籠の網の目をすり抜けて、芳香族系有機溶媒収容槽内の、前記網籠よりも下側に堆積する。よって、ガラスを回収するには当該収容槽内の網籠の底部に沈積したものを分離するのが有利である。
したがって、本発明の第11および12は、それぞれ、
(11)シリコンセルと該シリコンセルに接着されたEVA層と該EVA層に接着されたガラスを含む太陽電池モジュールの前記各材料の再利用のための回収方法に用いる芳香族系有機溶媒収容槽であって、該収容槽は、超音波発生手段、太陽電池モジュールを保持するための網籠、および該太陽電池モジュールを保持するための網籠の底面より下方の前記収容槽の下側部に設けられ且つ該収容槽の下側部に堆積したEVAを取り出すためのドレインを有することを特徴とする、前記収容槽、および
(12)有機溶媒を加温するための加温手段を更に有する、上記(11)の芳香族系有機溶媒収容槽である。
当該収容槽は本発明の芳香族系有機溶媒を収容するものであり、該溶媒中で太陽電池モジュールに超音波を照射するための超音波発生手段と、太陽電池モジュールを保持するための網籠と、場合により有機溶媒を40℃程度まで加温するための加温手段を有する。特に、前記(10)のとおり、太陽電池モジュールを保持するための網籠は、太陽電池モジュールから分離したガラスの断片を回収する際にも有用である。
また、前記(9)のとおり、本発明の方法により分離したEVAは本発明の芳香族系有機溶媒よりも高比重なため、それの分離が進むにつれて該有機溶媒内に堆積してくるから、上記の芳香族系有機溶媒収容槽の下側部に設けられたドレインは堆積したEVAを取り出すために有利である。
本発明によれば、極めて迅速且つ簡便に太陽電池モジュールを解体し、そこからシリコンセル、ガラスおよびEVAの各材料のそれぞれを再利用可能に回収することが可能となる。その方法においてはEVAも簡便且つ効率よく回収・再利用できるため、いっそうの経済性に優れ、また、二次的廃棄物の発生等の環境負荷を極小にすることが可能である。
本発明の回収方法に供される太陽電池モジュールの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の回収方法における解体中の太陽電池モジュールの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の回収方法に用いられる芳香族系有機溶媒収容槽の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の回収方法に用いられる芳香族系有機溶媒収容槽の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の回収方法に用いられる芳香族系有機溶媒収容槽の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のシリコンセル、EVAおよびガラスの各材料の再利用のための回収方法の手順を模式的に示す図である。 本発明の方法の実施例(実施例1)において、槽体の底部に堆積したEVA断片をドレインから抜き取った直後の、当該EVA断片の外観を示す図面代用写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の回収方法の対象となるシリコン系太陽電池モジュールの例を示す模式図である。当該太陽電池モジュール7は、シリコンセル1と該シリコンセルに接着されたEVA層2と該EVA層2に接着されたガラス3を含み、EVA層2はシリコンセル1の封止のために該シリコンセル1を取り囲んでいる。また、該太陽電池モジュール7のガラス3の反対側の面は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂フィルムからなる保護のためのバックシート4で覆われており、その上に端子ボックス5が配設されている。また、該太陽電池モジュール7はアルミ枠6により構造が保持されている。
上記の太陽電池モジュール7からシリコンセル、EVAおよびガラスの各材料を回収するためには、まずは手作業などにより端子ボックス5とアルミ枠6を取り外して解体する。ついで、バックシート4も機械的に(例えば加温したエアーを噴き付けながら)剥がすことができるが、後の処理の条件によってはバックシート4を剥がさなくてもよい。
図2は、上記のように解体した後の、シリコンセル1、EVA層2およびガラス3から成る解体太陽電池モジュール8を示すが、当該解体太陽電池モジュール8は、好適には、図3に模式的に示した芳香族系有機溶媒収容槽9の中で、続くシリコンセル、EVA層およびガラスの分離処理に付すことができる。
すなわち、図3に示した芳香族系有機溶媒収容槽9は、典型的には縦30〜100cm、横幅30〜100cm、深さ10〜100cm、好ましくは、縦30〜50cm、横幅30〜50cm、深さ10〜20cm程度の寸法の槽体10を有する。勿論、当該槽体10の寸法は、上記解体太陽電池モジュール8の大きさ等に応じてそれを収容可能な範囲に適宜設定すればよく、上記の例示以外の寸法であっても差し支えない。また、槽体10は本発明の芳香族系有機溶媒100を収容するためのものであるから、その材質は当該芳香族系有機溶媒100により変質や浸食されないものであればいずれのものであってもよいが、通常はステンレスまたはアルミニウム製のものが用いられる。
本発明の芳香族系有機溶媒100は、1〜2時間程度の比較的短時間の処理においてはEVAを実質的に変質させることがないもので、そのような芳香族系有機溶媒100は、好適には、トルエン、ベンゼンまたはキシレンから選択される。とりわけ、前述のとおり、入手および取扱い上の制約を考慮するとトルエンであることが好ましい。いっぽう、そのような有機溶媒としてEVAを変性や溶解させる作用が大きなもの、例えばN−メチル−2−ピロリドン等を用いると、実質量のEVAが当該有機溶媒に溶解してしまうためにEVAの回収を困難にするだけでなく、当該有機溶媒の繰り返しの使用も制限されてしまうので本発明の有機溶媒としては適当でない。
本発明の芳香族系有機溶媒100は市販のもの(例えば、日活合成株式会社(愛知県大府市)より入手可能なトルエン)を用いることができ、その純度は、一般的には約75%以上で足り、好ましくは約90%以上、より好ましくは99%以上であるが、前記のとおり、本発明のシリコンセル、EVA層およびガラスの分離処理においては、実質量のEVAが変質したり当該有機溶媒に溶解したりもしないので、芳香族系有機溶媒100は繰り返して使用することが可能である。
また、図3に示した芳香族系有機溶媒収容槽9は、処理すべき解体太陽電池モジュール8に対して超音波を照射するための超音波発生器11を有している。
理論に拘束される訳ではないが、本発明の芳香族系有機溶媒による短時間の処理だけでは架橋EVAを実質的に溶解し得ないと見做されるものの、そこに超音波照射を併用すると、架橋EVAの分子運動自体を促進するか、あるいは、架橋EVA層と他の部材(シリコンセル、ガラス)との間の局所的な分子間温度上昇作用などにより、EVAの芳香族系有機溶媒への溶解よりも先行した、架橋EVA層のシリコンセルやガラスからのきわめて速やかな剥離を達成しているのかもしれない。
また、当該超音波照射の効果として特筆すべきは、特許文献1等の従来のEVA除去方法では変質したEVAがシリコンセルに強固に付着し、それを取り除くための追加の工程さえ必要とされたのであるが、本発明の方法によればそのような変質EVAの付着物が残ることがなく、架橋EVA層のシリコンセルからの完全な剥離が達成される。
具体的に、図3の態様では、槽体10と超音波発生器11が併せて超音波発生手段を構成しており、当該槽体10と超音波発生器11が結合した超音波発生手段としては市販の装置を使用することができる。例えば、株式会社アズワン製の「超音波洗浄器普及型 VS−300S」などの装置を利用することができる。
また、図3に示した芳香族系有機溶媒収容槽9は、処理すべき解体太陽電池モジュール8を保持するための網籠12を有している。つまり、解体太陽電池モジュール8を当該網籠12の中に配置して、本発明のシリコンセル、EVA層およびガラスの分離処理に付すことが作業手順上好都合であるが、該網籠12は、それ以外にも後述のEVA層から分離したガラスの回収工程において大変有用である。具体的に、網籠12は、例えば上記槽体10の寸法が縦30〜50cm、横幅30〜50cm、深さ10〜20cmである場合には、縦25〜45cm、横幅25〜45cm、深さ5〜15cmとすることができる。また、その材質も槽体10と同じものとしてもよい。
本発明の網籠12は、その目開きを約1mm〜8mmとすることが好ましく、特に約3mm〜6mmとすることがより好ましい。その理由は、本発明のシリコンセル、EVAおよびガラスの回収方法では、通常EVAのシリコンセルおよびガラスからの分離工程においてガラスが割れて断片化されるが、その断片は比較的大きなままであるから、本発明の網籠12の目開きを上記の値としておけば、当該網籠12の底部に上記断片化したガラスが沈積することで、当該ガラスを網籠12の底部からきわめて効率的且つ簡便に回収できるからである。なお、網籠12は、例えば太さ3mm程度のワイヤを編むことにより構成されたものであるのが好適であるが、当該網籠12の上記使用目的や作用に基づけば、例えば少なくともその底部が前記の目開きと同程度の大きさの開孔を多数有するパンチングメタルにより構成された槽や、少なくともその底部が前記目開きと同程度の幅のスリットを多数有する槽とすることもできる。
なお、図3に示した芳香族系有機溶媒収容槽9は図示しない加温手段を有していてもよく、当該加温手段は槽体10の一部または全周を取り囲む、例えばスチームジャケットや電熱ヒータであってよいが、必ずしもそのような加熱手段が必須というわけではない。つまり、本発明のシリコンセル、EVAおよびガラスの回収方法における好適な態様では、予め本発明の芳香族系有機溶媒100を約30〜40℃にまで加温してから超音波照射を開始することでEVA層のシリコンセルおよびガラスからの分離が促進されて、約1〜2時間以内で当該分離処理を完了させることができるものの、他方、本発明のシリコンセル、EVA層およびガラスの分離処理は、それにより分離したEVAをも再利用することを意図したものでもあるから、架橋EVAの過度の変質・溶解のもととなる高温への長時間(例えば3時間を越えるような)の暴露は避けるべきであるので、上記芳香族系有機溶媒100を極端な高温にまで加熱して維持するための特別な手段までは要求されない。むしろ、仮に多少加温するほうが有利な場合でも、芳香族系有機溶媒100を槽体10に注入する前に、その溶媒を別途用意した保温器などで30〜40℃にまで加温しておくことで足りる場合が多いし、或いは、超音波照射時の条件等しだいでは当該処理の終了にいたるまで(約1〜2時間後)に芳香族系有機溶媒100の温度が徐々に自然上昇して約60℃程度になる場合もあるため、上記の加温手段を用いる必要や前記の予備加温の必要さえない場合もある。
図4は、本発明の芳香族系有機溶媒収容槽の別の好適な態様を示す模式図である。なお、比較が容易になるように図4において図3と対応する部材は同じ符号で示してある。図4の芳香族系有機溶媒収容槽20には、槽体10、超音波発生器11、および網籠12が設けられている点は図3の芳香族系有機溶媒収容槽9と同様であるが、更に、堆積した分離EVAを取り出すためのドレイン21が槽体10の底部に、網籠12の底面より下方に位置するように設けられている。すなわち、本発明の回収方法では、上記の芳香族系有機溶媒100内での超音波照射処理により、シリコンセルおよびガラスから剥離されて分離したEVA層も当該EVAの固体断片(或いは、若干量のEVAが本発明の芳香族系溶媒に溶解したのに近い状態となったとしても、本発明の温和な加熱条件と芳香族系有機溶媒に対するEVAの比較的小さな溶解度から、当該溶解したEVAも速やかに固体断片として析出する)となり、また、そのような分離EVAは本発明の芳香族系有機溶媒100よりも高比重なために、その分離が進むにつれて前記有機溶媒内に、例えば図4のEVA堆積層22のようなかたちで堆積してくる。したがって、本発明の方法により当該EVAを回収するには、EVA堆積層22に対応する位置に設けたドレイン21から当該堆積層を排出し、当該排出物を分離EVAピット23に導いて、その後EVAを、一緒に排出された芳香族系溶媒100から分離すればよい。
また、図4に示したように、ドレイン21を網籠12の底面より下方に位置するように設けることが好適な理由は、本発明のシリコンセル、EVAおよびガラスの回収方法では通常ガラスも割れて断片化されるが、その断片は比較的大きなままであるから、本発明の網籠12の目開きを適切な値としておけば当該網籠12の底部に上記断片化したガラスが沈積するところ、他方、前記のEVAの固体断片はガラスの断片よりも細かなものであるから、網籠12の網目をすり抜けて前記網籠12よりも下側のEVA堆積層22(図4の槽体10の底部)に堆積させることができるので、それによりドレイン21からはガラスの断片を含まない分離EVAを容易に回収できるからである。
図5は、多数の太陽電池モジュールを処理するのに適した本発明の芳香族系有機溶媒収容槽の別の好適な態様を示す模式図である。なお、比較が容易になるように図5において図3と対応する部材は同じ符号で示してある。図5の芳香族系有機溶媒収容槽30には、槽体10、超音波発生器11、および網籠12が設けられている点は図3の芳香族系有機溶媒収容槽9と同様であるが、図5では網籠12の中に間仕切り31が設けられ、当該間仕切り31の間に解体太陽電池モジュール8を立てかけて収容できるようになっている。当該間仕切りは、好ましくはハニカム構造の板で構成され、その材質は芳香族系有機溶媒収容槽30のその他の部材と同じ材質、例えばステンレスやアルミニウムとすることができる。
ついで、本発明のシリコンセル、EVAおよびガラスの各材料の再利用のための回収方法の手順を、図6の模式図に従って説明する。なお、図6の芳香族系有機溶媒収容槽は図4に模式的に示した芳香族系有機溶媒収容槽20と同じものである。
前記のとおり、太陽電池モジュール7から、手作業により端子ボックス5とアルミ枠6を取り外して解体する(図1参照)。バックシート4は剥がしても剥がさなくてもよい。得られた解体太陽電池モジュール8を、芳香族系有機溶媒収容槽20の中の網籠12に配置する。
つぎに、芳香族系有機溶媒収容槽20の槽体10の中にトルエン(芳香族系有機溶媒100)を、前記解体太陽電池モジュール8が十分に浸漬するように注入する。そして超音波発生器11を作動させて網籠12の中の解体太陽電池モジュール8に超音波を照射する。照射時間は、解体太陽電池モジュール8の大きさなどにもよるが、通常は約1〜2時間程度である。なお、より確実な分離のためには照射時間を約2.5時間程度としてもよく、その程度であってもEVAの過度の変性や溶解が問題とならない。
上記の超音波照射後、EVA層はシリコンセルおよびガラスから実質的に剥離し、シリコンセル等の表面に変性したEVAが残存することはない。また、分離したシリコンセルは上記の工程によりその一部乃至全てが断片化されるが、当該シリコンセルの断片は本発明の芳香族系有機溶媒100よりも低比重なため、網籠12の上部の有機溶媒の液面付近に分離シリコンセル41として浮遊してくる。よって、そのようにして浮遊してきた分離シリコンセル41をすくい取ることなどにより、シリコンセル断片を容易に回収することができる。
いっぽう、上記の超音波照射後、EVA層もEVAの固体断片(或いは、若干量のEVAが本発明の芳香族系溶媒に溶解したのに近い状態となったとしても、本発明の温和な加熱条件と芳香族系有機溶媒に対するEVAの比較的小さな溶解度から、当該溶解したEVAも速やかに固体断片として析出する)となり、それは芳香族系有機溶媒100よりも高比重なために該有機溶媒中に堆積する。更に、当該EVA断片は大きさが小さいため、網籠12の網目を通過してEVA堆積層22のようなかたちで槽体10の底部に堆積してくる。したがって、EVA断片はEVA堆積層22の位置に対応するように設けたドレイン21から、ガラスの断片を含まないものとして容易に排出できる。ドレイン21からの排出物は分離EVAピット23に導いて、その後、EVAを、一緒に排出された芳香族系溶媒100(トルエン)から分離すればよく、また、分離したトルエンのほうは、再度、上記の分離工程に再利用できる。
また、上記の超音波照射後、ガラスもカレット状の断片として芳香族系有機溶媒100の中に沈降するが、当該ガラス断片は大きなものであるために適切な大きさの目開きを有する網籠12の底部に分離ガラス層42として沈積するから、該ガラスのカレット状断片は、網籠12を芳香族系有機溶媒収容槽20から引き上げることで、容易に回収することができる。
しかして、本発明においては、上記のようにしてシリコンセル、EVA層およびガラスをきわめて短時間で効率的に分別して回収することが可能である。その後、回収したシリコンセルは太陽電池の原料として再利用でき、或いは鉄鋼製造時の脱酸素材原料として用いることができる。また、回収したEVAは接着剤の原料などとして利用することができ、回収したガラスは新たなガラスの原料として再利用できる。
つまり、現状では、単なるガラスのリサイクルと同様に扱われ、結局は埋め立てなどにしか利用されているに過ぎない太陽電池モジュール廃棄物が、その各主要原料の全てがリサイクル可能なように回収され、また、その工程はきわめて効率的且つ簡略であるため、実用的な太陽電池リサイクル・スキームが実現され得る。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、以下の装置、試料及び試薬を用いて実施した。
1.芳香族系有機溶媒収容槽
芳香族系有機溶媒収容槽の槽体と超音波発生手段が結合した装置として、株式会社アズワンより市販されている「超音波洗浄器普及型 VS−300S」を用いた。当該装置の槽体部分は、縦幅が30cm、横幅が43cmおよび深さが14cmであった。また、その槽体の一側面の下端部中央に、直径が2cmで長さが15cmの筒状のドレインを設けて、当該槽体の底部に堆積したEVAを抜き取ることができるように改造した。更に、当該槽体中に、縦幅が25cm、横幅が35cmおよび深さが10cmのステンレス製網籠(目開き、約5mm)を、前記槽体一側面に設けたドレインの開口部より上方に該網籠の底面が位置するように設置した。
2.試料
本実施例の試料としては、廃棄された太陽電池モジュール(京セラ株式会社製)から手作業により端子ボックスとアルミ枠を取り外して解体したものを用いた。なお、バックシートは剥がさなかった。当該解体太陽電池モジュール(バックシートを含む)には、平均的な値としてシリコンセルが約0.7重量%、EVAが約15重量%、およびガラスが約82重量%含まれているとされていた。
3.試薬
本実施例では、本発明の芳香族有機溶媒として、トルエン(純度99%、日活合成株式会社製)を用いた。
4.処理方法
上記の槽体に約20Lのトルエンを注いだ。その際のトルエンは特に加温せず、室温(約15℃)程度の温度であった。
また、本実施例においては、上記解体太陽電池モジュールを縦幅・横幅がともに約5cmになるように予め切断して、その切断片15枚を上記の網籠内に、各々の切断片が互いに接触しないように該網籠の底面の網目に釘を刺すことで間仕切りし、該切断片が起立するように収容した。なお、その際の切断片1枚当りの重さは平均で約25g前後であった。
上記のようにして解体太陽電池モジュールをトルエンに浸漬した後、直ちに超音波発生器を作動させて、超音波を解体太陽電池モジュールに照射した。
5.結果
上記のようにして超音波を1.5時間照射した後では、解体太陽電池モジュールのシリコンセル、EVA、ガラスが完全に分離していた。すなわち当該処理の終了時には全てのシリコンセルが分離して槽体内のトルエンの液面付近に浮遊していた。また、ガラスもカレット状に断片化して網籠の底部に沈積していた。更にEVAも細かく断片化して網籠の網目を通過し、槽体の底部に堆積していた。
したがって、シリコンセルはトルエンの液面付近からすくいとって、約2.5gを回収することができた。また、ガラスは網籠の底部に沈積したものを集めて、約305gを回収できた。
更に、EVAは上記のドレインを通して抜き取ったが、当該抜き取りの際にはトルエンも混在するためにEVAの外観がアメーバ状を呈していた。そこでEVAとトルエンをあらかた分離するために濾紙を用いて濾過するとEVAの外観もしっかりとした固形状となった。その状態でのEVAの回収量は約60gであり、当該EVAには濾過で除去し切れていないトルエンも含まれていたが、接着剤の原料などとして利用するためにはその程度トルエンを分離すれば十分であった。
比較例1
上記実施例1と同じ芳香族系有機溶媒収容槽および試料を用いた。試薬は、上記実施例1のトルエンに代えて、特許文献1の段落[0035]に記載の、界面活性剤(CMP−MO2;関東化学製)を5%添加した硝酸溶液とした。実施例1と同じ条件で超音波を1.5時間照射したが、ガラスにひびが入りはしたものの、解体太陽電池モジュールのシリコンセル、EVA、ガラスがいっさい分離することはなかった。
比較例2
上記実施例1と同じ芳香族系有機溶媒収容槽および試料を用いた。試薬は、上記実施例1のトルエンに代えて、特許文献1の段落[0035](「実施例5」)に記載のエチルセロソルブとした。実施例1と同じ条件で超音波を1.5時間照射したが、ガラスにひびが入りはしたものの、解体太陽電池モジュールのシリコンセル、EVA、ガラスが分離する傾向さえも観察されなかった。
以上の結果から、たとえ超音波処理を施すことによっても、本発明の芳香族系有機溶媒以外のものでは、シリコンセル、EVA、ガラスを分離できないことがわかった。
実施例2
本実施例では、上記実施例1の繰り返し実施の可能性を検討した。すなわち、上記実施例1の終了後、EVAとともにドレインから抜き出されたトルエンに相当する分量の新しいトルエンを継ぎ足し、実施例1と同様の処理を新たな試料について繰り返した。2回目以降の処理においても、実施例1と同様に、解体太陽電池モジュールのシリコンセル、EVA、ガラスを迅速且つ簡便に分離できることが確認された。
本発明の太陽電池モジュールの再利用のための回収方法によれば、従来、完全なリサイクルが不可能であった太陽電池モジュールやパネルから、素材毎の再利用が可能となる。ととえば、シリコンは、太陽電池などの原料メーカーでの原料として、ガラスはガラスメーカーへの原料として、さらにEVAは接着材料の原料として、それらの産業で利用することができる。
1 シリコンセル
2 EVA層
3 ガラス
4 バックシート
5 端子ボックス
6 アルミ枠
7 太陽電池モジュール
8 解体中の太陽電池モジュール
9、20、30 芳香族系有機溶媒収容槽
10 槽体
11 超音波発生器
12 網籠
21 ドレイン
22 EVA堆積層
23 分離EVAピット
31 間仕切り
41 分離シリコンセル
42 分離ガラス層
100 芳香族系有機溶媒

Claims (12)

  1. シリコンセルと該シリコンセルに接着されたEVA層と該EVA層に接着されたガラスを含む太陽電池モジュールの前記各材料の再利用のための回収方法であって、以下の工程:
    (a) 前記太陽電池モジュールを予め15乃至40℃に加温したトルエン、ベンゼン、キシレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される芳香族系有機溶媒に浸漬し、該芳香族系有機溶媒中で前記太陽電池モジュールに超音波を照射して前記シリコンセル、EVA層およびガラスのそれぞれを分離する工程;および
    (b) 前記(a)の芳香族系有機溶媒中で分離されたシリコンセル、EVAおよびガラスのそれぞれを該有機溶媒から回収する工程;
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  2. 前記工程(a)における芳香族系有機溶媒を予め加温する温度が30乃至40℃である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(a)における芳香族系有機溶媒がトルエンである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程(a)における太陽電池モジュールへの超音波照射時間が1乃至2時間である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記工程(a)が、超音波発生手段を備えた芳香族系有機溶媒収容槽内で行われる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記芳香族系有機溶媒収容槽が、該有機溶媒を加温するための加温手段を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記芳香族系有機溶媒収容槽が、太陽電池モジュールを保持するための網籠を有する、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記工程(b)におけるシリコンセルの回収が、前記芳香族系有機溶媒の上面に浮遊したシリコンセルまたはその断片を該有機溶媒から分離することにより行われる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記工程(b)におけるEVAの回収が、前記芳香族系有機溶媒内に堆積したEVAを該有機溶媒から分離することにより行われる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記工程(b)におけるガラスの回収が、前記芳香族系有機溶媒収容槽内の網籠の底部に沈積したガラスを該有機溶媒から分離することにより行われる、請求項7に記載の方法。
  11. シリコンセルと該シリコンセルに接着されたEVA層と該EVA層に接着されたガラスを含む太陽電池モジュールの前記各材料の再利用のための回収方法に用いる芳香族系有機溶媒収容槽であって、該収容槽は、超音波発生手段、太陽電池モジュールを保持するための網籠、および該太陽電池モジュールを保持するための網籠の底面より下方の前記収容槽の下側部に設けられ且つ該収容槽の下側部に堆積したEVAを取り出すためのドレインを有することを特徴とする、前記収容槽。
  12. 有機溶媒を加温するための加温手段を更に有する、請求項11に記載の芳香族系有機溶媒収容槽。
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