JP2014152625A - オイル供給システム - Google Patents

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元一 村上
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Abstract

【課題】一部のメイン摺動部の暖機を促進することが可能で、かつピン摺動部に所望量のオイルを供給することが可能なオイル供給システムを提供することを課題とする。
【解決手段】オイル供給システム8は、クランクシャフト93の複数のメインジャーナル930と、複数のメインジャーナル930に環装される複数のメイン軸受84と、の間に介在する複数のメイン摺動部S1と、クランクシャフト93のクランクピン931と、クランクピン931に環装されるクランク軸受85と、の間に介在するピン摺動部S2と、にオイルOを供給する。複数のメイン摺動部S1のうち、一部はピン摺動部S2に連通する連通摺動部S11であり、残部はピン摺動部S2に連通しない独立摺動部S10である。冷間時において、連通摺動部S11に供給されるオイルOの流量は、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量よりも、大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランクシャフトと軸受との間に介在する摺動部に、オイルを供給するオイル供給システムに関する。
エンジンには、複数の摺動部が存在する。これらの摺動部には、オイル供給システムを介して、オイルパンからオイルが供給されている。例えば、特許文献1に開示されているオイル供給システムには、リリーフバルブが配置されている。同文献の第1図に示すように、オイルポンプとメインオイルギャラリとの間には、リリーフ通路が分岐接続されている。リリーフバルブは、リリーフ通路に配置されている。同文献記載のリリーフバルブの開弁圧は、低温時において高く、高温時において低くなるように設定されている。このため、中速回転域における開弁圧を低くすることができる。したがって、中速回転域におけるエンジンの摩擦抵抗を小さくすることができる。
特開平4−17708号公報
しかしながら、同文献記載のリリーフバルブによると、オイル供給システムに配置されている全ての摺動部に供給されるオイルの流量(単位時間あたりに流れるオイルの体積)を、統合的に調整している。このため、個々の摺動部ごとに、オイルの流量を調整することはできない。
図13に、従来のオイル供給システムの配置図を示す。図13に示すように、クランクシャフト100のメインジャーナル101と、メイン軸受102と、の間には、メイン摺動部S100が介在している。並びに、クランクシャフト100のクランクピン103と、クランク軸受104と、の間には、ピン摺動部S101が介在している。
オイル105は、オイルパン106から、オイルポンプ107、オイルフィルタ108を経由して、メイン摺動部S100に供給されている。また、オイル105は、メイン摺動部S100から、クランクシャフト内部通路109を経由して、ピン摺動部S101に供給されている。
メイン摺動部S100、ピン摺動部S101においては、早期に摩擦抵抗を小さくすることが望まれる。ここで、摩擦抵抗を小さくするためには、オイル105の粘度を下げればよい。オイル105の粘度を下げるためには、オイル105の温度を上昇させればよい。
このため、メイン摺動部S100、ピン摺動部S101の場合、早期に摩擦抵抗を小さくするために、エンジン始動直後に、意図的にこれらの摺動部のオイルによる冷却効果を小さくし、当該摺動部の摩擦熱を利用して、メイン摺動部S100、ピン摺動部S101の温度を早期に上昇させるという方法が考えられる。ここで、オイルによる冷却効果を小さくするためには、メイン摺動部S100、ピン摺動部S101に供給されるオイル105の流量を小さくすればよい。
ところが、従来のオイル供給システムの場合、オイル105の流量は、リリーフバルブ110により、一括調整されている。一方、オイルフィルタ108の下流側には、クランクシャフト100以外の機器も多数接続されている。このため、メイン摺動部S100、ピン摺動部S101だけ、局所的に、オイル105の流量を小さくすることはできない。
また、エンジンが始動すると、クランクシャフト100は、メインジャーナル101の軸周りに、回転する。当該回転に伴う遠心力を利用して、オイル105は、メイン摺動部S100から、クランクシャフト内部通路109を経由して、ピン摺動部S101に供給されている。
このため、仮に、メイン摺動部S100およびピン摺動部S101のオイル105の流量を小さくする場合、ピン摺動部S101に供給されるオイル105の流量が不足してしまうおそれがある。この場合、クランクシャフト内部通路109やピン摺動部S101において、キャビテーションが発生するおそれがある。したがって、ピン摺動部S101にエロージョンが発生するおそれがある。
以上説明したように、従来のオイル供給システムの場合、メイン摺動部S100およびピン摺動部S101に供給されるオイル105の流量だけを、局所的に小さくすることはできない。このため、メイン摺動部S100およびピン摺動部S101だけ、暖機を促進し、摩擦抵抗を早期に小さくすることができない。
また、仮に、メイン摺動部S100およびピン摺動部S101に供給されるオイル105の流量だけを小さくすることが可能であったとしても、ピン摺動部S101に供給されるオイル105の流量が不足してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、一部のメイン摺動部の暖機を促進することが可能で、かつピン摺動部に所望量のオイルを供給することが可能なオイル供給システムを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のオイル供給システムは、クランクシャフトの複数のメインジャーナルと、複数の該メインジャーナルに環装される複数のメイン軸受と、の間に介在する複数のメイン摺動部と、該クランクシャフトのクランクピンと、該クランクピンに環装されるクランク軸受と、の間に介在するピン摺動部と、にオイルを供給するオイル供給システムであって、複数の前記メイン摺動部のうち、一部の該メイン摺動部は、前記ピン摺動部に連通する連通摺動部であり、複数の該メイン摺動部のうち、残部の該メイン摺動部は、該ピン摺動部に連通しない独立摺動部であり、エンジン始動直後であって、該エンジンの暖機が未完了の冷間時において、該連通摺動部に供給される前記オイルの流量の方が、該独立摺動部に供給される該オイルの流量よりも、大きいことを特徴とする。
本発明のオイル供給システムは、メイン摺動部とピン摺動部とにオイルを供給している。メイン摺動部は、連通摺動部と独立摺動部とを備えている。連通摺動部は、ピン摺動部に連通している。独立摺動部は、ピン摺動部に連通していない。
本発明のオイル供給システムによると、冷間時において、連通摺動部に供給されるオイルの流量は、独立摺動部に供給されるオイルの流量よりも、大きい。このため、連通摺動部に対しては、充分なオイル流量を確保することができる。したがって、ピン摺動部に所望量のオイルを供給することができる。よって、ピン摺動部において、キャビテーションが発生しにくい。また、ピン摺動部にエロージョンが発生しにくい。
一方、独立摺動部に対しては、冷間時に供給されるオイルの流量を、小さくすることができる。このため、独立摺動部の摩擦熱を利用して、独立摺動部の温度を、早期に上昇させることができる。したがって、早期にオイルの粘度を下げることができる。よって、早期に独立摺動部の摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、クランクシャフト自身の熱伝導により、独立摺動部の熱は、連通摺動部やピン摺動部に伝達される。このため、独立摺動部に供給されるオイルの流量を小さくしない場合と比較して、連通摺動部、ピン摺動部の温度を、早期に上昇させることができる。したがって、連通摺動部、ピン摺動部の摩擦抵抗を、早期に小さくすることができる。
このように、本発明のオイル供給システムによると、独立摺動部の暖機を促進することができる。並びに、ピン摺動部に所望量のオイルを供給することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記連通摺動部に供給される前記オイルの流量から、前記独立摺動部に供給される該オイルの流量を、差し引いた差分を流量差として、前記冷間時よりも、前記エンジンの暖機完了後の温間時の方が、該流量差が小さい構成とする方がよい。
本構成によると、冷間時においては、流量差(=連通摺動部に供給されるオイルの流量−独立摺動部に供給されるオイルの流量)が大きい。このため、早期に独立摺動部の暖機を促進することができる。並びに、ピン摺動部に所望量のオイルを供給することができる。
一方、温間時においては、流量差が小さい。このため、メイン摺動部(独立摺動部、連通摺動部)、ピン摺動部に、所望量のオイルを供給することができる。すなわち、各摺動部を、冷却、潤滑するのに充分な量のオイルを供給することができる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、さらに、前記独立摺動部に前記オイルを供給する独立側オイル通路と、前記連通摺動部に該オイルを供給する連通側オイル通路と、該独立側オイル通路に配置され、前記温間時と比較して、前記冷間時に、該独立摺動部に供給する該オイルの流量を小さくする油量調整装置と、を備える構成とする方がよい。
本構成によると、油量調整装置により、同一の独立摺動部に対して、冷間時に供給されるオイルの流量を、温間時に供給されるオイルの流量よりも、小さくすることができる。並びに、冷間時において、連通摺動部に供給されるオイルの流量を、独立摺動部に供給されるオイルの流量よりも、大きくすることができる。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記油量調整装置は、筒状のハウジングと、該ハウジングの内部に配置され、該ハウジングの軸方向に往復動可能なバルブと、該ハウジングの内部において、該バルブの表側に区画され、前記オイルが導入される第一室と、該ハウジングの内部において、該バルブの裏側に区画される第二室と、該第一室と該第二室との間に配置される内部通路と、該第一室と該ハウジングの外部との間に配置され、該オイルが流出する第一流出通路と、該第二室と該ハウジングの外部との間に配置され、該オイルが流出する第二流出通路と、を備え、該第一流出通路の方が、該第二流出通路よりも、該オイルの流量が大きくなるように設定されており、前記冷間時においては、該バルブが該第一流出通路を閉じ、該第一室、該内部通路、該第二室、該第二流出通路を有する小流量経路を経由して、該オイルが前記独立摺動部に供給される閉弁状態に、前記温間時においては、該バルブが該第一流出通路を開き、該第一室、該第一流出通路を有する大流量経路、および該小流量経路のうち、少なくとも該大流量経路を経由して、該オイルが該独立摺動部に供給される開弁状態に、切り替わる構成とする方がよい。
冷間時(つまり閉弁状態)においては、第一流出通路(つまり大流量経路)が閉じられている。このため、小流量経路を経由して、オイルが独立摺動部に供給される。これに対して、温間時(つまり開弁状態)においては、第一流出通路が開かれている。このため、大流量経路および小流量経路のうち、少なくとも大流量経路を経由して、オイルが独立摺動部に供給される。
このように、本構成によると、ハウジングの内部における、バルブの往復動を利用して、第一流出通路を開閉することができる。このため、独立摺動部に供給されるオイルの流量を調整することができる。
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記内部通路の方が、前記第二流出通路よりも、前記オイルの粘度変化による流れの抵抗の変化が小さい構成とする方がよい。内部通路、第二流出通路共に、オイルの粘度が高くなると、流れの抵抗が大きくなる。反対に、内部通路、第二流出通路共に、オイルの粘度が低くなると、流れの抵抗が小さくなる。しかしながら、オイルの粘度による流れの抵抗の変化を比較すると、内部通路の方が、第二流出通路よりも、小さい。本構成によると、当該抵抗の変化の較差を利用して、圧力室の内圧を調整することができる。
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記内部通路はオリフィスを有し、前記第二流出通路は、開口幅が該オリフィスより小さいリーク隙間である構成とする方がよい。本構成によると、内部通路の抵抗変化(詳しくは、オイルの粘度変化による流れの抵抗の変化)と、リーク隙間の抵抗変化と、の間に、簡単に較差を設定することができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記リーク隙間の方が、前記オリフィスよりも、総開口面積が大きい構成とする方がよい。本構成によると、内部通路の抵抗変化(詳しくは、オイルの粘度変化による流れの抵抗の変化)と、リーク隙間の抵抗変化と、の間に、簡単に較差を設定することができる。
(8)好ましくは、上記(6)または(7)の構成において、前記油量調整装置は、前記内部通路に配置され、前記リーク隙間を通過できない異物を前記オイルから除去するフィルタを備え、該内部通路は、前記バルブに配置されている構成とする方がよい。
本構成によると、フィルタにより、オイル中の異物(例えば、スラッジ、摩耗粉、ゴミ、エンジン製造時の加工粉など)を除去することができる。このため、リーク隙間(つまり小流量経路)が異物により閉塞するのを、抑制することができる。また、フィルタは、内部通路(つまりバルブ)に配置されている。フィルタに異物が詰まると、オイルがフィルタを、表側(第一室側)から裏側(第二室側)に通過しにくくなる。つまり、フィルタの通過抵抗が大きくなる。このため、表側からバルブに加わる荷重が大きくなる。したがって、バルブは裏側に移動し、油量調整装置は開弁状態に切り替わる。このように、本構成によると、フィルタに異物が詰まった場合であっても、開弁状態を確保することができる。このため、フィルタに異物が詰まった場合であっても、独立摺動部を冷却、潤滑するのに充分な、オイルの流量を確保することができる。
ところで、オイルは、エンジンを、一例として、オイルパン→オイルポンプ→オイルフィルタ→シリンダブロック→再びオイルパンという経路で循環している。エンジン製造直後においては、シリンダブロックに、エンジン製造時の加工粉が残留している場合がある。このため、エンジン製造直後にエンジンを駆動すると、加工粉は、オイルフィルタを通過する前に、独立摺動部に流れ込んでしまう。したがって、独立摺動部に異物が詰まりやすくなる。この点、本構成によると、エンジン製造直後にエンジンを駆動する場合であっても、オイルに混入した異物を、フィルタにより除去することができる。
また、仮に、バルブにフィルタが配置されていない場合、内部通路を通過した異物が、リーク隙間に詰まることも考えられる。この場合、第二室の内圧が高くなる。このため、裏側からバルブに加わる荷重が大きくなる。したがって、油量調整装置が開弁状態に切り替わりにくくなる。
この点、本構成によると、フィルタは、リーク隙間を通過できない異物を除去することができる。このため、異物が、リーク隙間に詰まりにくい。したがって、油量調整装置が開弁状態に切り替わりやすくなる。
(9)好ましくは、上記(6)ないし(8)のいずれかの構成において、前記油量調整装置は、前記バルブの裏側に配置され、隔壁側孔を有する隔壁と、該バルブの裏側に配置され、該隔壁側孔に挿通される固定シャフトと、を備え、前記リーク隙間は、該隔壁側孔の内周面と該固定シャフトの外周面との間に区画されている構成とする方がよい。本構成によると、相対的に移動不可能な隔壁側孔と固定シャフトとにより、リーク隙間を形成することができる。
(10)好ましくは、上記(6)ないし(8)のいずれかの構成において、前記バルブは、バルブ本体と、該バルブ本体から裏側に突設される可動シャフトと、を有し、前記油量調整装置は、該バルブ本体の裏側に配置され、該可動シャフトが挿通される隔壁側孔を有する隔壁を備え、前記第二室は、該バルブ本体と該隔壁との間に区画され、前記リーク隙間は、該隔壁側孔の内周面と該可動シャフトの外周面との間に区画されている構成とする方がよい。
本構成によると、リーク隙間は、バルブの可動シャフトの外周面と、隔壁の隔壁側孔の内周面と、の間に区画されている。すなわち、リーク隙間を形成する部材のうち一つは、バルブと一体化されている。このため、可動シャフトとバルブとが別体である場合と比較して、部品点数が少なくて済む。また、ハウジング延いては油量調整装置の表裏方向長さ(軸方向長さ)を短くすることができる。すなわち、油量調整装置を小型化することができる。このため、油量調整装置の搭載性が向上する。
(11)好ましくは、上記(10)の構成において、前記隔壁側孔の内周面および前記可動シャフトの外周面のうち、少なくとも一方は、該隔壁側孔に対して該可動シャフトが移動するのに伴って、前記リーク隙間から異物を排出する異物排出部を有する構成とする方がよい。
本構成によると、ハウジングの内部をバルブが往復動する際、可動シャフトが隔壁側孔の径方向内側を移動する。この際、異物排出部は、リーク隙間に詰まった異物を排出することができる。このため、リーク隙間に異物が詰まりにくい。したがって、第二室の内圧を、確実に調整することができる。
(11−1)好ましくは、上記(11)の構成において、前記異物排出部は、径方向に突出する環状リブである構成とする方がよい。隔壁側孔の内周面に配置されている場合、環状リブは、径方向内側に突出している。一方、可動シャフトの外周面に配置されている場合、環状リブは、径方向外側に突出している。本構成によると、バルブの往復動に伴って、異物を、リーク隙間から排出することができる。
(11−2)好ましくは、上記(11−1)の構成において、前記環状リブが前記可動シャフトの外周面に配置されている場合、前記環状リブの表面は、裏側から表側に向かって縮径するテーパ面状を呈している構成とする方がよい。
本構成によると、異物が、表側(第二室側)から裏側(外部側)に移動しやすい。一方、異物が、裏側(外部側)から表側(第二室側)に移動しにくい。このため、異物を、リーク隙間から外部に排出しやすい。
(11−3)好ましくは、上記(11−1)の構成において、前記環状リブが前記隔壁側孔の内周面に配置されている場合、前記環状リブの表面は、表側から裏側に向かって縮径するテーパ面状を呈している構成とする方がよい。
本構成によると、異物が、表側(第二室側)から裏側(外部側)に移動しやすい。一方、異物が、裏側(外部側)から表側(第二室側)に移動しにくい。このため、異物を、リーク隙間から外部に排出しやすい。
(11−4)好ましくは、上記(11)の構成において、前記隔壁は、前記第二室に露出する表面に、前記隔壁側孔に向かって凹む異物収集凹部を有している構成とする方がよい。本構成によると、第二室の異物を、異物収集凹部に集めることができる。また、集めた異物を、異物排出部により、隔壁側孔を介して、外部に排出することができる。このように、本構成によると、リーク隙間のみならず、第二室から、簡単に異物を排出することができる。
(12)好ましくは、上記(6)ないし(8)のいずれかの構成において、前記リーク隙間は、前記内部通路の延在方向に対して、交差する方向に延在している構成とする方がよい。
本構成によると、内部通路から流れ出た異物が、リーク隙間に流れ込みにくい。このため、リーク隙間に異物が詰まりにくい。したがって、第二室の内圧を、確実に調整することができる。
(12−1)好ましくは、上記(12)の構成において、前記内部通路は、前記ハウジングの軸方向に延在し、前記リーク隙間は、該ハウジングの側壁を、該ハウジングの該軸方向に対して交差する方向に貫通する構成とする方がよい。
本構成によると、内部通路は、ハウジングの軸方向に延在している。一方、リーク隙間は、軸方向に対して交差する方向に延在している。このため、リーク隙間に異物が詰まりにくい。
(12−2)好ましくは、上記(12−1)の構成において、前記ハウジングの前記軸方向は、上下方向である構成とする方がよい。異物は、自重により、第二室を下側に移動しやすい。これに対して、リーク隙間は、ハウジングの側壁を貫通している。このため、本構成によると、リーク隙間に異物が詰まりにくい。
(12−3)好ましくは、上記(12)の構成において、前記バルブは、前記第二室に配置され、前記内部通路の下流側の開口と、前記リーク隙間の上流側の開口と、が直線的に連通するのを遮断する仕切壁を有する構成とする方がよい。本構成によると、リーク隙間に対する異物の流入を、仕切壁が抑制することができる。このため、リーク隙間に異物が詰まりにくい。
(13)好ましくは、上記(4)の構成において、前記油量調整装置は、前記バルブを、表側から裏側に向かう方向に付勢する形状記憶合金製の感温スプリングと、該バルブを、裏側から表側に向かう方向に付勢するバイアススプリングと、を備え、前記冷間時においては、該バイアススプリングの付勢力により、該バルブが前記第一流出通路を閉じ、前記温間時においては、該感温スプリングの付勢力により、該バルブが該第一流出通路を開く構成とする方がよい。
形状記憶合金製の感温スプリングの、バルブ往復動方向のばね定数は、冷間時に小さく、温間時に大きくなるように、設定されている。このため、冷間時においては、バイアススプリング(例えば、形状記憶合金以外の金属(例えば、ばね鋼など)製)の方が感温スプリングよりも、バルブに対する付勢力が大きくなる。したがって、バルブは、第一流出通路を閉じることができる。これに対して、温間時においては、感温スプリングの方がバイアススプリングよりも、バルブに対する付勢力が大きくなる。したがって、バルブは、第一流出通路を開くことができる。このように、本構成によると、形状記憶合金の特性を利用して、第一流出通路を開閉することができる。すなわち、独立摺動部に供給されるオイルの流量を調整することができる。
(14)好ましくは、上記(1)ないし(13)のいずれかの構成において、さらに、前記連通摺動部と前記ピン摺動部とを連通するクランクシャフト内部通路を備え、複数の前記メインジャーナルと前記クランクピンとは、前記クランクシャフトの軸方向に交互に並んでいる構成とする方がよい。本構成によると、複数のメイン摺動部のうち、一部を連通摺動部に、残部を独立摺動部に、簡単に割り当てることができる。また、クランクシャフト内部通路を介して、連通摺動部からピン摺動部に、オイルを供給することができる。
本発明によると、一部のメイン摺動部の暖機を促進することが可能で、かつピン摺動部に所望量のオイルを供給することが可能なオイル供給システムを提供することができる。
第一実施形態のオイル供給システムの配置図である。 同オイル供給システムの油量調整装置の斜視図である。 同油量調整装置の分解斜視断面図である。 同油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図である。 同油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図である。 第二実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図である。 第三実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図である。 図7の枠VIII内の拡大図である。 第四実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向拡大断面図である。 第五実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図である。 第六実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図である。 同油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図である。 従来のオイル供給システムの配置図である。
以下、本発明のオイル供給システムの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[オイル供給システムの配置]
まず、本実施形態のオイル供給システムの配置について説明する。図1に、本実施形態のオイル供給システムの配置図を示す。図1に示すように、エンジン9は、シリンダブロック(図略)と、四つのピストン91と、四つのコンロッド92と、クランクシャフト93と、五つのメイン軸受84と、四つのクランク軸受85と、を備えている。
クランクシャフト93は、五つのメインジャーナル930と、四つのクランクピン931と、八つのクランクアーム932と、を備えている。五つのメインジャーナル930に対して、四つのクランクピン931は、八つのクランクアーム932を介して、偏心して接続されている。
五つのメイン軸受84は、各々、メインジャーナル930に回転可能に環装されている。メイン軸受84の内周面とメインジャーナル930の外周面との間には、メイン摺動部S1が設定されている。すなわち、メイン摺動部S1は、合計五つ配置されている。五つのメイン摺動部S1は、三つの独立摺動部S10と、二つの連通摺動部S11と、からなる。三つの独立摺動部S10は、図1において左側から数えて、奇数番目(1番目、3番目、5番目)のメイン軸受84とメインジャーナル930との間に、設定されている。二つの連通摺動部S11は、図1において左側から数えて、偶数番目(2番目、4番目)のメイン軸受84とメインジャーナル930との間に、設定されている。
五つのメイン軸受84は、各々、シリンダブロックの支持部900と、キャップ901と、の間に取り付けられている。すなわち、五つのメイン軸受84は、シリンダブロックに対して、クランクシャフト93を、回転可能に支持している。
四つのクランク軸受85は、各々、クランクピン931に回転可能に環装されている。クランク軸受85の内周面とクランクピン931の外周面との間には、ピン摺動部S2が設定されている。すなわち、ピン摺動部S2は、合計四つ配置されている。
四つのコンロッド92は、各々、クランク軸受85を介して、クランクピン931に回転可能に環装されている。四つのピストン91は、各々、コンロッド92に取り付けられている。
本実施形態のオイル供給システム8は、五つのメイン摺動部S1(三つの独立摺動部S10と二つの連通摺動部S11)と、四つのピン摺動部S2と、にオイルOを供給している。
[オイル供給システムの構成]
次に、本実施形態のオイル供給システムの構成について説明する。本実施形態のオイル供給システム8は、吐出通路80と、クランクシャフト側通路81と、油量調整装置1と、を備えている。
(吐出通路80)
吐出通路80には、オイルパン800と、オイルポンプ801と、リリーフバルブ802と、オイルフィルタ803と、が配置されている。オイルOは、オイルパン800に貯留されている。
オイルポンプ801から吐出されるオイルOの流量は、リリーフバルブ802により、統合的に調整されている。すなわち、リリーフバルブ802の開弁圧を低く設定すると、リリーフバルブ802が開きやすくなる。このため、オイルポンプ801からオイルフィルタ803側に流れるオイルOの流量を小さくすることができる。一方、リリーフバルブ802の開弁圧を高く設定すると、リリーフバルブ802が開きにくくなる。このため、オイルポンプ801からオイルフィルタ803側に流れるオイルOの流量を大きくすることができる。
(クランクシャフト側通路81)
クランクシャフト側通路81は、吐出通路80の下流側(具体的には、オイルフィルタ803の下流側)に配置されている。クランクシャフト側通路81は、独立側メインオイルホール810aと、連通側メインオイルホール810bと、三つの独立側クランクシャフト接続通路811aと、二つの連通側クランクシャフト接続通路811bと、五つのメイン軸受内部通路812と、二つのクランクシャフト内部通路813と、を備えている。独立側メインオイルホール810aは、本発明の「独立側オイル通路」の概念に含まれる。連通側メインオイルホール810bは、本発明の「連通側オイル通路」の概念に含まれる。
独立側メインオイルホール810aと連通側メインオイルホール810bとは、オイルフィルタ803の下流側に、並列に分岐接続されている。三つの独立側クランクシャフト接続通路811aは、各々、エンジンブロックの支持部900の内部に形成されている。三つの独立側クランクシャフト接続通路811aは、各々、独立側メインオイルホール810aに分岐接続されている。二つの連通側クランクシャフト接続通路811bは、各々、エンジンブロックの支持部900の内部に形成されている。二つの連通側クランクシャフト接続通路811bは、各々、連通側メインオイルホール810bに分岐接続されている。五つのメイン軸受内部通路812は、各々、メイン軸受84の内部に形成されている。五つのメイン軸受内部通路812は、三つの独立側クランクシャフト接続通路811a、二つの連通側クランクシャフト接続通路811bに接続されている。
五つのメイン軸受内部通路812のうち、図1において左側から数えて、奇数番目(1番目、3番目、5番目)のメイン軸受内部通路812は、各々、独立摺動部S10に接続されている。また、五つのメイン軸受内部通路812のうち、図1において左側から数えて、偶数番目(2番目、4番目)のメイン軸受内部通路812は、各々、連通摺動部S11に接続されている。
二つのクランクシャフト内部通路813は、クランクシャフト93の内部に形成されている。二つのクランクシャフト内部通路813は、各々、連通摺動部S11と、当該連通摺動部S11の左右方向(クランクシャフト93の軸方向)両側の二つのピン摺動部S2と、を接続している。
すなわち、左右一対の連通摺動部S11のうち、左側の連通摺動部S11は、四つの前記ピン摺動部S2のうち、左側二つのピン摺動部S2に、左側のクランクシャフト内部通路813を介して連通している。
また、左右一対の連通摺動部S11のうち、右側の連通摺動部S11は、四つの前記ピン摺動部S2のうち、右側二つのピン摺動部S2に、右側のクランクシャフト内部通路813を介して連通している。
(油量調整装置1)
油量調整装置1は、独立側メインオイルホール810aに配置されている。すなわち、油量調整装置1は、三つの独立側クランクシャフト接続通路811aの上流側に配置されている。以下の図において、上側は、本発明の「表側」に対応している。また、下側は、本発明の「裏側」に対応している。また、上下方向は、本発明の「軸方向」に対応している。
図2に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の斜視図を示す。図3に、同油量調整装置の分解斜視断面図を示す。図4に、同油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図を示す。図5に、同油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図を示す。図2〜図5に示すように、油量調整装置1は、ハウジング2と、バルブ4と、ホルダ5と、プラグ6と、コイルスプリング70と、を備えている。
(ハウジング2)
ハウジング2は、鋼製であって、下側に開口するカップ状を呈している。ハウジング2は、取付部20と、円筒部21と、第一室22と、第二室23と、を備えている。取付部20は、円板状を呈している。取付部20は、独立側メインオイルホール810aの段差部810aaに固定されている。取付部20の径方向中央には、流入通路200が穿設されている。流入通路200は、取付部20を上下方向に貫通している。取付部20の下面の径方向中央には、段差部201が凹設されている。
円筒部21は、取付部20の下面の段差部201の径方向外側部分から、下側に突出している。円筒部21の外径は、取付部20の外径よりも、小径である。円筒部21の上端付近には、四つの第一流出通路210が穿設されている。四つの第一流出通路210は、各々、円筒部21を径方向に貫通している。四つの第一流出通路210は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。円筒部21の外周面と、独立側メインオイルホール810aの内周面と、の間には、通路隙間C1が確保されている。
第一室22および第二室23は、ハウジング2の内部に区画されている。第一室22と第二室23とは、後述するバルブ4により、仕切られている。すなわち、第一室22は、バルブ4の上側に配置されている。一方、第二室23は、バルブ4の下側に配置されている。バルブ4の動きに応じて、第一室22および第二室23の体積は、変化する。
(バルブ4)
バルブ4は、バルブ本体40を備えている。バルブ本体40は、鋼製であって、下側に開口するカップ状を呈している。バルブ本体40は、内部通路400と、バルブ側スプリング座401と、を備えている。内部通路400は、バルブ本体40を上下方向に貫通している。内部通路400の水平方向(径方向)断面は、真円状を呈している。内部通路400の上端部分には、オリフィス(絞り部)Aが配置されている。オリフィスAの水平方向断面は、真円状を呈している。内部通路400の水平方向の通路断面積は、オリフィスAにおいて、局所的に縮小されている。バルブ側スプリング座401は、円環状を呈している。バルブ側スプリング座401は、バルブ本体40の下端面に配置されている。
(ホルダ5、コイルスプリング70)
ホルダ5は、鋼製であって、円筒状を呈している。ホルダ5は、隔壁50と、円筒部51と、支持部52と、を備えている。隔壁50は、ハウジング2の円筒部21の下端開口を封止している。隔壁50は、円板状を呈している。隔壁50は、隔壁側孔500と、隔壁側スプリング座501と、を備えている。隔壁側孔500は、隔壁50を上下方向に貫通している。隔壁側孔500の水平方向断面は、真円状を呈している。隔壁側スプリング座501は、円環状を呈している。隔壁側スプリング座501は、隔壁50の上面に配置されている。隔壁側スプリング座501とバルブ側スプリング座401とは、上下方向に対応している。
支持部52は、支持孔520を備えている。支持部52は、円板状を呈している。支持孔520は、支持部52を上下方向に貫通している。支持孔520の水平方向断面は、真円状を呈している。
円筒部51は、隔壁50と支持部52とを上下方向に連結している。円筒部51は、四つの拡散流出通路510を備えている。四つの拡散流出通路510は、各々、円筒部51を径方向に貫通している。四つの拡散流出通路510は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
コイルスプリング70は、鋼製であって、バルブ側スプリング座401と、隔壁側スプリング座501と、の間に介装されている。コイルスプリング70は、バルブ4を、上側(開弁状態から閉弁状態に切り替える方向)に付勢している。
(プラグ6)
プラグ6は、鋼製であって、上側に突出する画鋲状を呈している。プラグ6は、ホルダ5の支持孔520を封止している。プラグ6は、被支持部60と、固定シャフト62と、を備えている。被支持部60は、円板状を呈している。被支持部60は、支持孔520に固定されている。固定シャフト62の水平方向断面は、真円状を呈している。固定シャフト62は、被支持部60の上面の径方向中央から、上向きに突出している。固定シャフト62は、隔壁側孔500の径方向内側を貫通している。固定シャフト62の上端面には、十字状の溝620が凹設されている。
固定シャフト62と隔壁側孔500とは、同軸上に配置されている。リーク隙間Bは、固定シャフト62の外周面と、隔壁側孔500の内周面と、の間に区画されている。リーク隙間Bは、円環状を呈している。リーク隙間Bの径方向幅(開口幅)は、オリフィスAの直径(開口幅)よりも、小さく設定されている。また、リーク隙間Bの水平方向の通路断面積(総開口面積)は、オリフィスAの水平方向の通路断面積(総開口面積)よりも、大きく設定されている。
[油量調整装置の動き]
次に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の動きについて説明する。図4、図5に示すように、バルブ4の上面には、上側から、独立側メインオイルホール810aのオイルOの圧力による荷重Fu1が加わる。一方、バルブ4の下面には、下側から、コイルスプリング70の付勢力による荷重Fd1が加わる。並びに、バルブ4の下面には、下側から、第二室23の内圧(オイルOの圧力)による荷重Fd2が加わる。
このように、バルブ4には、上側から荷重Fu1が、下側から荷重Fd1、Fd2が、加わる。これらの荷重の大小関係に応じて、バルブ4は、上下方向に往復動する。なお、バルブ4には、油量調整装置1の取付方向に応じて、バルブ4の自重や浮力などによる荷重も作用するが、ここでは、説明の便宜上、割愛する。
荷重Fu1、荷重Fd1、荷重Fd2の大小関係に応じて、バルブ4は、上下方向に往復動する。つまり、油量調整装置1は、図4に示す閉弁状態と、図5に示す開弁状態と、に切り替わる。
ここで、荷重Fd2を決定しているのは、第二室23の内圧である。第二室23内の内圧は、第二室23に流入するオイルOの流量Q1と、第二室23から流出するオイルOの流量Q2と、の関係により変化する。
すなわち、第二室23には、オリフィスAを経由して、オイルOが流入する。このため、オイルOの密度をρ、第一室22内(つまり独立側メインオイルホール810a内)のオイルOの圧力をPa、第二室23内のオイルOの圧力をPb、流量係数をK1、オリフィスAの流路断面積をSとすると、ベルヌーイの定理により、オリフィスAを通過するオイルOの流量、つまり第二室23に流入するオイルOの流量Q1は、以下の式(1)から導出される。
Figure 2014152625
式(1)から、第二室23に流入するオイルOの流量Q1は、オイルOの密度ρの影響を受けることが判る。ここで、オイルOの密度ρは、オイルOの温度が変化しても、あまり変化しない。このため、冷間時から温間時に至るまで、オイルOの密度ρは、あまり変化しない。したがって、冷間時から温間時に至るまで、第二室23に流入するオイルOの流量Q1は、あまり変化しない。
これに対して、第二室23からは、リーク隙間Bを経由して、オイルOが流出する。このため、オイルOの粘度をη、係数をK2、大気圧をPcとすると、ハーゲン・ポアズイユの法則により、リーク隙間Bを通過するオイルOの流量、つまり第二室23から流出するオイルOの流量Q2は、以下の式(2)から導出される。
Figure 2014152625
式(2)から、第二室23から流出するオイルOの流量Q2は、オイルOの粘度ηの影響を受けることが判る。ここで、オイルOの粘度ηは、オイルOの温度が変化すると、大きく変化する。このため、冷間時から温間時に至る際に、オイルOの粘度ηは、大きく変化する。したがって、冷間時から温間時に至る際に、第二室23から流出するオイルOの流量Q2は、大きく変化する。具体的には、オイルOの温度が上昇すると粘度ηは低下する。このため、式(2)から、流量Q2は増加する。
このように、オイルOの温度の変化に対する流量Q1の変化に対して、オイルOの温度の変化に対する流量Q2の変化は、大きい。このため、オイルOの温度が高いほど、リーク隙間BからオイルOが漏れやすくなる。したがって、オイルOの温度が高いほど、第二室23内の内圧が小さくなる。よって、オイルOの温度が高いほど、荷重Fd2は小さくなる。
オイルOの温度が低い冷間時においては、荷重Fd2が大きい。このため、油量調整装置1を、図4に示す閉弁状態から、図5に示す開弁状態に、切り替える際、大きな荷重Fu1が必要になる。つまり、開弁圧が大きくなる。したがって、冷間時においては、図4に示すように、油量調整装置1は閉弁状態になりやすい。
一方、オイルOの温度が高い温間時においては、荷重Fd2が小さい。このため、油量調整装置1を、図4に示す閉弁状態から、図5に示す開弁状態に、切り替える際、小さな荷重Fu1で足りる。つまり、開弁圧が小さくなる。したがって、温間時においては、図5に示すように、油量調整装置1は開弁状態になりやすい。
[オイル供給システムの動き]
次に、本実施形態のオイル供給システムの動きについて説明する。具体的には、冷間時および温間時における、オイル供給状態について説明する。
(冷間時)
まず、図1に示す、三つの独立摺動部S10に対するオイルOの供給状態について説明する。図4に示すように、冷間時において、油量調整装置1は閉弁状態になりやすい。閉弁状態においては、バルブ4は、段差部201に当接した位置(閉弁位置)で停止している。このため、流入通路200(第一室22)と第一流出通路210との連通は、バルブ4により、遮断されている。つまり、図5に示す大流量経路L1は、遮断されている。閉弁状態においては、図4に示す小流量経路L2を経由して、独立側メインオイルホール810aから、図1に示す三つの独立摺動部S10に、オイルOが供給される。すなわち、小流量経路L2は、上流側から下流側に向かって、流入通路200(第一室22)、内部通路400(オリフィスA)、第二室23、リーク隙間B、四つの拡散流出通路510を備えている。独立側メインオイルホール810aのオイルOは、当該小流量経路L2、通路隙間C1、三つの独立側クランクシャフト接続通路811a、三つのメイン軸受内部通路812を介して、三つの独立摺動部S10に供給される。
次に、図1に示す、二つの連通摺動部S11、四つのピン摺動部S2に対するオイルOの供給状態について説明する。連通側メインオイルホール810bには、油量調整装置1が配置されていない。連通側メインオイルホール810bのオイルOは、二つの連通側クランクシャフト接続通路811b、二つのメイン軸受内部通路812を介して、二つの連通摺動部S11に供給される。また、二つの連通摺動部S11のオイルOは、二つのクランクシャフト内部通路813を介して、四つのピン摺動部S2に供給される。
このように、三つの独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量は、油量調整装置1により、絞られている。これに対して、二つの連通摺動部S11、四つのピン摺動部S2に供給されるオイルOの流量は、絞られていない。すなわち、連通側メインオイルホール810bの通路断面積(連通側メインオイルホール810b全長における通路断面積の最小値)よりも、独立側メインオイルホール810aの通路断面積(独立側メインオイルホール810a全長(油量調整装置1を含む)における通路断面積の最小値)の方が、小さい。このため、冷間時においては、三つの独立摺動部S10よりも、二つの連通摺動部S11および四つのピン摺動部S2の方が、供給されるオイルOの流量が大きくなる。
(温間時)
まず、図1に示す、三つの独立摺動部S10に対するオイルOの供給状態について説明する。図5に示すように、温間時において、油量調整装置1は開弁状態になりやすい。開弁状態においては、バルブ4は、固定シャフト62に当接した位置(開弁位置)で停止している。このため、第一室22と第二室23との連通は、固定シャフト62上面の溝620により、確保されている。つまり、図4に示す小流量経路L2は、溝620により、確保されている。開弁状態においては、主に、図5に示す大流量経路L1を経由して、独立側メインオイルホール810aから独立摺動部S10に、オイルOが供給される。すなわち、大流量経路L1は、上流側から下流側に向かって、流入通路200、第一室22、四つの第一流出通路210を備えている。独立側メインオイルホール810aのオイルOは、主に、当該大流量経路L1、通路隙間C1、三つの独立側クランクシャフト接続通路811a、三つのメイン軸受内部通路812を介して、三つの独立摺動部S10に供給される。
次に、図1に示す、二つの連通摺動部S11、四つのピン摺動部S2に対するオイルOの供給状態について説明する。温間時における、二つの連通摺動部S11、四つのピン摺動部S2に対するオイルOの供給状態は、冷間時と同様である。
このように、三つの独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量は、油量調整装置1により、絞られていない。同様に、二つの連通摺動部S11、四つのピン摺動部S2に供給されるオイルOの流量は、絞られていない。すなわち、連通側メインオイルホール810bの通路断面積と、独立側メインオイルホール810aの通路断面積と、は略同一である。このため、温間時においては、三つの独立摺動部S10と、二つの連通摺動部S11および四つのピン摺動部S2と、で供給されるオイルOの流量は略等しくなる。
図4に示す小流量経路L2と、図5に示す大流量経路L1と、を比較すると、小流量経路L2の方が、大流量経路L1よりも、経路断面積(経路全長における経路断面積の最小値)が小さい。このため、小流量経路L2の方が、大流量経路L1よりも、オイルOの流量が小さい。したがって、図4に示す閉弁状態の方が、図5に示す開弁状態よりも、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量が小さくなる。つまり、冷間時の方が、温間時よりも、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量が小さくなる。
[作用効果]
次に、本実施形態のオイル供給システムの作用効果について説明する。本実施形態のオイル供給システム8によると、冷間時において、図4に示すように、油量調整装置1が閉弁状態に切り替わる。このため、図1に示すように、単一の連通摺動部S11に供給されるオイルOの流量は、単一の独立摺動部S10に供給されるオイルの流量よりも、大きくなる。したがって、クランクシャフト内部通路813を介して、ピン摺動部S2に、所望量のオイルOを供給することができる。よって、ピン摺動部S2において、キャビテーションが発生しにくい。また、ピン摺動部S2にエロージョンが発生しにくい。
一方、独立摺動部S10に対しては、冷間時に供給されるオイルOの流量を、小さくすることができる。このため、独立摺動部S10の摩擦熱を利用して、独立摺動部S10の温度を早期に上昇させることができる。したがって、早期にオイルOの粘度を下げることができる。よって、早期に独立摺動部S10の摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、クランクシャフト93は金属製であり、熱伝導率が高い。このため、独立摺動部S10の熱を、連通摺動部S11やピン摺動部S2に、クランクシャフト93自体を経由して伝達することができる。このため、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量を小さくしない場合と比較して、連通摺動部S11、ピン摺動部S2の温度を、早期に上昇させることができる。したがって、連通摺動部S11、ピン摺動部S2の摩擦抵抗を、早期に小さくすることができる。
このように、本実施形態のオイル供給システム8によると、独立摺動部S10の暖機を局所的に促進することができる。並びに、ピン摺動部S2に所望量のオイルOを供給することができる。
また、本実施形態のオイル供給システム8によると、冷間時においては、流量差(=(単一の連通摺動部S11に供給されるオイルOの流量)−(単一の独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量))が大きい。このため、早期に独立摺動部S10の暖機を促進することができる。並びに、ピン摺動部S2に所望量のオイルOを供給することができる。
一方、温間時においては、流量差が小さい。このため、メイン摺動部S1(独立摺動部S10、連通摺動部S11)、ピン摺動部S2に、所望量のオイルOを供給することができる。すなわち、各摺動部を、冷却、潤滑するのに充分な量のオイルOを供給することができる。
また、本実施形態のオイル供給システム8によると、油量調整装置1により、同一の独立摺動部S10に対して、冷間時に供給されるオイルOの流量を、温間時に供給されるオイルOの流量よりも、小さくすることができる。また、冷間時において、連通摺動部S11に供給されるオイルOの流量を、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量よりも、大きくすることができる。また、同一の独立摺動部S10に対して、冷間時に供給されるオイルOの流量を、油量調整装置1が配置されていない場合よりも、小さくすることができる。
また、本実施形態のオイル供給システム8の油量調整装置1によると、図4、図5に示すように、ハウジング2の内部における、バルブ4の往復動を利用して、第一流出通路210を開閉することができる。このため、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量を調整することができる。
また、本実施形態のオイル供給システム8の油量調整装置1によると、第二室23の内圧の変化を利用して、図5に示す開弁位置(開弁状態におけるバルブ4の位置)と図4に示す閉弁位置(閉弁状態におけるバルブ4の位置)との間で、バルブ4を往復動させることができる。すなわち、第二室23の内圧の変化を利用して、独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量を調整することができる。
また、本実施形態のオイル供給システム8の油量調整装置1によると、図4、図5に示すように、オイルOの温度に応じた流量調整を、オリフィスA、リーク隙間B、コイルスプリング70を用いて実行することができる。このため、油量調整装置1の構造が簡単である。また、部品点数が少ない。
また、図5に示すように、油量調整装置1の固定シャフト62の上端面には、十字状の溝620が凹設されている。このため、開弁状態において、確実に、オリフィスAと、リーク隙間Bと、を連通させることができる。すなわち、開弁状態において、第二室23に、内圧調整用のオイルOを供給することができる。
また、図5に示すように、開弁状態において、油量調整装置1のバルブ本体40の下面は、固定シャフト62の上端面に着座する。このため、バルブ本体40の開弁位置を規制することができる。また、コイルスプリング70の最大圧縮量を規制することができる。したがって、コイルスプリング70がへたりにくい。
また、図1に示すように、エンジン9は、直列型(直列4気筒型)である。すなわち、エンジン9のクランクシャフト93には、左側から右側に向かって、五つのメインジャーナル930(メイン摺動部S1)と、四つのクランクピン931(ピン摺動部S2)と、が交互に並んでいる。このため、五つのメイン摺動部S1のうち、二つのメイン摺動部S1を、各々、左右両側の二つのピン摺動部S2に分岐して連通させることにより、簡単に二つの連通摺動部S11を設定することができる。並びに、簡単に三つの独立摺動部S10を設定することができる。
<第二実施形態>
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置との相違点は、バルブの内部通路にフィルタが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図6に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。
図6に示すように、バルブ本体40の内部通路400の上流端(オリフィスAよりも上流側)には、フィルタ75が配置されている。フィルタ75は、短軸円柱状であって、鋼製のメッシュを備えている。フィルタ75は、内部通路400を通過するオイルから、異物Pを除去している。ここで、フィルタ75のメッシュは、リーク隙間Bの径方向幅(開口幅)よりも、小さく設定されている。このため、リーク隙間Bを通過できない異物P(リーク隙間Bに詰まってしまう異物P)は、フィルタ75により、濾し取られる。
本実施形態のオイル供給システムと、第一実施形態のオイル供給システムとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、フィルタ75が、オリフィスA、リーク隙間Bの上流側に配置されている。また、「フィルタ75のメッシュ」<「リーク隙間Bの径方向幅(開口幅)」<「オリフィスAの直径(開口幅)」という大小関係が成立している。このため、オリフィスA、リーク隙間Bに、異物Pが進入するのを、抑制することができる。
また、フィルタ75は、バルブ本体40に配置されている。フィルタ75に異物が詰まると、オイルがフィルタ75を、表側から裏側に通過しにくくなる。つまり、フィルタ75の通過抵抗が大きくなる。このため、上側からバルブ本体40に加わる荷重Fu1が大きくなる。したがって、バルブ4は下側に移動し、油量調整装置1は開弁状態になる。このように、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、フィルタ75に異物Pが詰まった場合であっても、開弁状態を確保することができる。このため、フィルタ75に異物が詰まった場合であっても、独立摺動部を冷却、潤滑するのに充分な、オイルの流量を確保することができる。
また、エンジンの製造直後においては、シリンダブロックに、製造時の加工粉が残留している場合がある。このため、製造直後にエンジンを駆動すると、加工粉は、オイルフィルタを通過する前に、油量調整装置1に流れ込んでしまう。したがって、油量調整装置1に異物Pが詰まりやすくなる。
この点、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、製造直後にエンジンを駆動する場合であっても、オイルに混入した異物Pを、フィルタ75により除去することができる。このため、異物Pが、オリフィスAやリーク隙間Bに詰まりにくい。
また、仮に、バルブ4にフィルタ75が配置されていない場合、内部通路400を通過した異物Pが、リーク隙間Bに詰まることも考えられる。この場合、第二室23の内圧が高くなる。このため、下側からバルブ本体40に加わる荷重Fd2が大きくなる。したがって、油量調整装置1が閉弁状態に切り替わりやすくなる。
この点、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、フィルタ75は、リーク隙間Bを通過できない異物Pを除去することができる。このため、異物Pが、リーク隙間Bに詰まりにくい。したがって、油量調整装置1が開弁状態に切り替わりやすくなる。
<第三実施形態>
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置との相違点は、固定シャフトの代わりに、バルブに可動シャフトが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図7に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図を示す。図8に、図7の枠VIII内の拡大図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
図7に示すように、ハウジング2の円筒部21の内周面には、支持リブ73が配置されている。支持リブ73は、鋼製であって、円環状を呈している。支持リブ73は、径方向内側に張り出している。支持リブ73は、バルブ4の下死点(開弁位置)を決定している。すなわち、開弁状態において、支持リブ73は、バルブ本体40を下側から支持している。図8に示すように、ホルダ5の隔壁50の隔壁側スプリング座501には、隔壁側孔500に向かって尖るテーパ面状の異物収集凹部501aが形成されている。
バルブ本体40の下面からは、可動シャフト41が突設されている。可動シャフト41は、バルブ本体40の径方向中心に配置されている。可動シャフト41は、上下方向に延びる長軸円柱状を呈している。可動シャフト41の断面は、真円状を呈している。可動シャフト41は、支持リブ73の径方向内側に挿通されている。また、可動シャフト41は、隔壁側孔500の径方向内側に挿通されている。
可動シャフト41の外周面には、複数の環状リブ410が形成されている。環状リブ410は、本発明の「異物排出部」の概念に含まれる。複数の環状リブ410は、各々、可動シャフト41の外周面から径方向外側に突出している。複数の環状リブ410は、各々、可動シャフト41の外周面を一周している。複数の環状リブ410は、各々、断面三角形状を呈している。具体的には、複数の環状リブ410の上下方向断面は、各々、下向きの直角三角形状を呈している。複数の環状リブ410は、閉弁状態から開弁状態に亘って、隔壁側孔500の径方向内側に配置され続けるように、可動シャフト41の外周面の軸方向所定区間に配置されている。可動シャフト41の内部には、径方向に延在するシャフト側内部通路411が穿設されている。内部通路400と、シャフト側内部通路411と、は連通している。
閉弁状態においては、小流量経路L2を経由して、独立側メインオイルホール810aから独立摺動部に、オイルが供給される。すなわち、小流量経路L2は、上流側から下流側に向かって、流入通路200(第一室22)、内部通路400(オリフィスA)、シャフト側内部通路411、第二室23、リーク隙間Bを備えている。独立側メインオイルホール810aのオイルは、当該小流量経路L2、メイン軸受内部通路を介して、独立摺動部に供給される。
本実施形態のオイル供給システムと、第一実施形態のオイル供給システムとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、開弁状態において、バルブ本体40が支持リブ73に当接する。このため、バルブ4の開弁位置を規制することができる。また、コイルスプリング70の最大圧縮量を規制することができる。したがって、コイルスプリング70がへたりにくい。
また、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1のリーク隙間Bは、可動シャフト41の外周面(つまり複数の環状リブ410)と、隔壁側孔500の内周面と、の間に区画されている。すなわち、リーク隙間Bを形成する部材のうち一つは、バルブ4と一体化されている。このため、可動シャフト41とバルブ4とが別体である場合と比較して、部品点数が少なくて済む。また、ハウジング2延いては油量調整装置1の上下方向長さを短くすることができる。すなわち、油量調整装置1を小型化することができる。
また、バルブ4が上下方向に移動するのに伴って、可動シャフト41は、隔壁側孔500に対して、相対的に上下方向に移動する。このため、例えば、閉弁状態において、リーク隙間Bに異物Pが詰まっている場合であっても、開弁状態に切り替わる際に、可動シャフト41が下降するのに伴って、複数の環状リブ410により、異物Pを、リーク隙間Bから外部に排出することができる。
同様に、開弁状態において、リーク隙間Bに異物Pが詰まっている場合であっても、閉弁状態に切り替わる際に、可動シャフト41が上昇するのに伴って、複数の環状リブ410により、異物Pを、リーク隙間Bから第二室23に排出することができる。したがって、本実施形態の油量調整装置1によると、リーク隙間Bに異物Pが詰まりにくい。よって、第二室23の内圧を、確実に制御することができる。
また、複数の環状リブ410の上下方向断面は、各々、下向きの直角三角形状を呈している。すなわち、図8に示すように、環状リブ410の上面410aは、下側から上側に向かって縮径するテーパ面状を呈している。一方、環状リブ410の下面410bは水平面状を呈している。上下方向に隣り合う一対の環状リブ410間の隙間410cは、上側の環状リブ410の下面410bと、下側の環状リブ410の上面410aと、の間に区画されている。下面410bが水平面状に、上面410aがテーパ面状に、各々延在しているため、当該隙間410cは、径方向外側および下側に開口している。このため、可動シャフト41が上昇する際よりも、可動シャフト41が下降する際の方が、異物Pを、リーク隙間Bから外部に排出しやすい。したがって、第二室23に異物Pが溜まりにくい。
また、隔壁側孔500の上端には、椀状の異物収集凹部501aが配置されている。このため、第二室23内の異物Pを、隔壁側孔500に収集しやすい。この点においても、第二室23に異物Pが溜まりにくい。
また、エンジンの製造直後においては、シリンダブロックに、製造時の加工粉が残留している場合がある。このため、製造直後にエンジンを駆動すると、加工粉は、オイルフィルタを通過する前に、油量調整装置1に流れ込んでしまう。したがって、リーク隙間Bに異物Pが詰まりやすくなる。この点、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、製造直後にエンジンを駆動する場合であっても、リーク隙間Bから異物Pを排出することができる。
<第四実施形態>
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置と、第三実施形態のオイル供給システムの油量調整装置との相違点は、可動シャフトの外周面ではなく、隔壁側孔の内周面に、環状リブが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図9に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向拡大断面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。
図9に示すように、隔壁側孔500の内周面には、複数の環状リブ500aが形成されている。環状リブ500aは、本発明の「異物排出部」の概念に含まれる。複数の環状リブ500aは、各々、隔壁側孔500の内周面から径方向内側に突出している。複数の環状リブ500aは、各々、隔壁側孔500の内周面を一周している。
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置のように、隔壁側孔500の内周面に環状リブ500aを配置しても、第三実施形態の油量調整装置と同様の作用効果を奏する発揮することができる。
<第五実施形態>
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置との相違点は、リーク隙間がハウジングの円筒部に配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図10に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
図10に示すように、隔壁50は、円板状を呈している。隔壁50は、ハウジング2の円筒部21の下端開口を封止している。円筒部21の側壁には、四つのリーク隙間Bが穿設されている。四つのリーク隙間Bは、各々、円筒部21の周方向に延びる、長孔状を呈している。四つのリーク隙間Bは、周方向に90°ずつ離間して配置されている。リーク隙間Bは、円筒部21の径方向(水平方向)に延在している。これに対して、内部通路400は、上下方向に延在している。バルブ本体40の下面からは、円筒状の仕切壁45が突設されている。仕切壁45は、内部通路400を全周的に囲んでいる。
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、内部通路400とリーク隙間Bとが、互いに直交する方向に延在している。このため、内部通路400から流出した異物Pが、リーク隙間Bに流入しにくい。
また、円筒部21の軸方向は、上下方向である。このため、異物Pは、自重により、第二室23を下側に移動しやすい。これに対して、リーク隙間Bは、円筒部21の側壁を貫通している。この点においても、異物Pがリーク隙間Bに流入しにくい。また、バルブ4は、仕切壁45を備えている。仕切壁45は、内部通路400の下側(下流側)の開口と、リーク隙間Bの径方向内側(上流側)の開口と、が直線的に連通するのを遮断している。この点においても、異物Pがリーク隙間Bに流入しにくい。
<第六実施形態>
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置との相違点は、バルブが、感温スプリングとバイアススプリングとにより駆動される点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図11に、本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置の閉弁状態の上下方向断面図を示す。図12に、同油量調整装置の開弁状態の上下方向断面図を示す。なお、図4、図5と対応する部位については同じ符号で示す。図11、図12に示すように、油量調整装置1は、ハウジング2と、バルブ4と、ホルダ5と、プラグ6と、感温スプリング72と、バイアススプリング71と、を備えている。
ハウジング2は、取付部20と、円筒部21と、第一室22と、第二室23と、を備えている。取付部20は、流入通路200と、ハウジング側スプリング座202と、を備えている。ハウジング側スプリング座202は、円環状を呈している。ハウジング側スプリング座202は、流入通路200の下端開口を囲んでいる。
バルブ4は、内部通路400と、第一バルブ側スプリング座402と、第二バルブ側スプリング座403と、を備えている。第一バルブ側スプリング座402は、バルブ4の上面に配置されている。第一バルブ側スプリング座402は、円環状を呈している。第一バルブ側スプリング座402は、内部通路400の上端開口を囲んでいる。第二バルブ側スプリング座403は、バルブ4の下面に配置されている。第二バルブ側スプリング座403は、円環状を呈している。第二バルブ側スプリング座403は、内部通路400の下端開口を囲んでいる。
感温スプリング72は、Ni−Ti合金(形状記憶合金)製であって、コイル状を呈している。感温スプリング72は、ハウジング側スプリング座202と、第一バルブ側スプリング座402と、の間に介装されている。感温スプリング72は、バルブ4を、下側(閉弁状態から開弁状態に切り替える方向)に付勢している。
感温スプリング72の加熱時の変態温度は、冷間時と、温間時と、の中間に入るように、設定されている。このため、感温スプリング72の上下方向のばね定数は、冷間時において小さくなる。また、感温スプリング72の上下方向のばね定数は、温間時において大きくなる。
バイアススプリング71は、ばね鋼製であって、コイル状を呈している。バイアススプリング71は、第二バルブ側スプリング座403と、隔壁側スプリング座501と、の間に介装されている。バイアススプリング71は、バルブ4を、上側(開弁状態から閉弁状態に切り替える方向)に付勢している。バイアススプリング71の上下方向のばね定数は、冷間時から温間時に亘って、温度によらず略一定である。
第二流出通路Dは、固定シャフト62の外周面と、隔壁側孔500の内周面と、の間に区画されている。第二流出通路Dは、円環状を呈している。
図11、図12に示すように、バルブ4の上面には、上側から、感温スプリング72の付勢力による荷重Fu3が加わる。一方、バルブ4の下面には、下側から、バイアススプリング71の付勢力による荷重Fd3が加わる。
このように、バルブ4には、上側から荷重Fu3が、下側から荷重Fd3が、加わる。これらの荷重の大小関係に応じて、バルブ4は、上下方向に往復動する。つまり、油量調整装置1は、図11に示す閉弁状態と、図12に示す開弁状態と、に切り替わる。なお、バルブ4には、オイルの圧力による荷重や、油量調整装置1の取付方向に応じてバルブ4の自重や浮力などによる荷重も作用するが、ここでは、説明の便宜上、割愛する。
オイルの温度によらず、バイアススプリング71のばね定数は、略一定である。このため、オイルの温度によらず、荷重Fd3は、略一定である。これに対して、感温スプリング72のばね定数は、低温時において小さく、高温時において大きくなる。このため、オイルの温度により、荷重Fu3は変化する。
具体的には、オイルの温度が低い冷間時においては、感温スプリング72のばね定数が小さくなる。このため、荷重Fu3が小さくなる。したがって、冷間時においては、図11に示すように、油量調整装置1は閉弁状態になりやすい。閉弁状態においては、第一流出通路210は、バルブ4により、閉じられている。
これに対して、オイルの温度が高い温間時においては、感温スプリング72のばね定数が大きくなる。このため、荷重Fu3が大きくなる。したがって、温間時においては、図12に示すように、油量調整装置1は閉弁状態になりやすい。開弁状態においては、第一流出通路210は、バルブ4により、開かれている。
図11に示す小流量経路L2と、図12に示す大流量経路L1と、を比較すると、小流量経路L2の方が、大流量経路L1よりも、経路断面積(経路全長における経路断面積の最小値)が小さい。このため、小流量経路L2の方が、大流量経路L1よりも、オイルの流量が小さい。したがって、図11に示す閉弁状態の方が、図12に示す開弁状態よりも、独立摺動部に供給されるオイルの流量が小さくなる。つまり、冷間時の方が、温間時よりも、独立摺動部に供給されるオイルの流量が小さくなる。
本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1と、第一実施形態のオイル供給システムの油量調整装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のオイル供給システムの油量調整装置1によると、温度変化に伴う荷重Fu3の変化を利用して、図12に示す開弁位置と図11に示す閉弁位置との間で、バルブ4を往復動させることができる。
また、図11に示すように、本実施形態の油量調整装置1によると、閉弁状態において、バルブ4の第一バルブ側スプリング座402が、ハウジング側スプリング座202に着座する。このため、バルブ4の閉弁位置を規制することができる。また、感温スプリング72の最大圧縮量を規制することができる。したがって、感温スプリング72がへたりにくい。
<その他>
以上、本発明のオイル供給システムの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、図5に示すように、第一実施形態においては、開弁状態の際に第二室23にオイルOを導入するために、固定シャフト62の上端面に溝620を配置した。しかしながら、溝620を、バルブ本体40の下端面に配置してもよい。また、溝620を、固定シャフト62の上端面およびバルブ本体40の下端面に配置してもよい。すなわち、上下に対向する溝620が合体することにより、バルブ本体40の下端面と固定シャフト62の上端面との間に、オイル通路を確保してもよい。
上側または下側から見た場合の、溝620の形状は特に限定しない。+状、−(マイナス)状、Y字状などであってもよい。溝620を、30°、45°、60°、90°、120°、180°など、等角度ごとに、放射状に配置してもよい。
図4、図5、図11、図12に示す第一室22、第二室23、内部通路400、第一流出通路210、拡散流出通路510、オリフィスA、第二流出通路Dの、通路方向に直交する方向の断面形状は、特に限定しない。例えば、真円状、楕円状、多角形状(三角形、四角形、五角形、六角形など)などであってもよい。
図4、図5、図10に示すリーク隙間Bの通路方向に直交する方向の断面形状は、特に限定しない。例えば、環状(真円環状、楕円環状、多角形環状など)、スリット状、真円状、楕円状、多角形状などであってもよい。
リーク隙間Bは、複数配置してもよい。この場合、本発明の「開口幅」とは、単一のリーク隙間Bの開口幅をいう。また、本発明の「総開口面積」とは、全てのリーク隙間Bの開口面積の総和をいう。
また、オリフィスA、リーク隙間Bの開口形状が長尺状(例えば、スリット状、環状など)の場合、本発明の「開口幅」とは、オリフィスA、リーク隙間Bの短手方向幅をいう。
また、オリフィスA、リーク隙間Bの開口形状が真円状、楕円状、多角形状の場合、本発明の「開口幅」とは、オリフィスA、リーク隙間Bの図形重心を通る直線長をいう。例えば、オリフィスA、リーク隙間Bが真円状の場合、本発明の「開口幅」とは、直径長をいう。
図6に示すフィルタ75の濾材の種類は特に限定しない。例えば、濾紙、合成繊維、金属製のメッシュなどを用いて、オイルOを濾過すればよい。リーク隙間Bを通過できない異物Pを、オイルOから除去できればよい。
フィルタ75の配置場所は特に限定しない。内部通路400の外部であってもよい。フィルタ75の配置数は特に限定しない。例えば、内部通路400に、メッシュ(濾過孔幅)の異なる複数のフィルタ75を、上流側から下流側に向かってメッシュが細かくなるように、直列に並べて配置してもよい。フィルタ75の濾過孔幅は特に限定しない。例えば、50μm以下であればよい。
第三実施形態においては、図7に示すように、無端環状の支持リブ73を配置した。しかしながら、支持リブ73の代わりに、単一または複数の、径方向内側に突出する突起を配置してもよい。複数の突起を配置する場合、円筒部21の内周面に、等角度ごとに突起を配置してもよい。
上記実施形態においては、図4、図5に示すように、内部通路400にオリフィスAを配置した。しかしながら、内部通路400にオリフィスAを配置しなくてもよい。上記実施形態においては、図5、図7に示すように、バルブ4の下死点を決定する部材(固定シャフト62、支持リブ73)を配置した。しかしながら、バルブ4の下死点を決定する部材を配置しなくてもよい。すなわち、コイルスプリング70および第二室23の内圧により、バルブ4の下死点を規制してもよい。
図1に示すように、上記実施形態においては、独立側メインオイルホール810aに単一の油量調整装置1を配置した。しかしながら、図1に円αで示すように、三つの独立側クランクシャフト接続通路811aの各々に、油量調整装置1を配置してもよい。こうすると、三つの独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量を、個別に調整することができる。
また、独立側メインオイルホール810a、連通側メインオイルホール810b共用のメインオイルホールを配置してもよい。この場合であっても、三つの独立側クランクシャフト接続通路811aの各々に油量調整装置1を配置すれば、三つの独立摺動部S10に供給されるオイルOの流量を、個別に調整することができる。
上記実施形態においては、直列四気筒型のエンジン9に、本発明のオイル供給システムを配置したが、エンジン9の種類は特に限定しない。直列六気筒型、V型、水平対向型などであってもよい。
油量調整装置1の種類は特に限定しない。例えば、油量調整装置1に、温度センサと、制御装置と、電磁バルブと、を配置してもよい。この場合、温度センサにより、独立摺動部S10のオイルOの温度を検出し、当該温度を基に、制御装置が電磁バルブを電気的に制御してもよい。
感温スプリング72の材質は、形状記憶合金であればよい。例えば、Ni−Ti−Co合金、Ni−Ti−Cu合金、Cu−Al−Ni合金、Fe−Mn−Si合金などが挙げられる。また、バイアススプリング71の材質は、形状記憶合金以外の材料(金属、樹脂)であればよい。
感温スプリング72の加熱時の変態温度は、冷間時と温間時との中間に入るように、設定すればよい。バイアススプリング71のばね定数は、感温スプリング72の冷間時のばね定数よりも、大きくなるように、設定すればよい。並びに、バイアススプリング71のばね定数は、感温スプリング72の温間時のばね定数よりも、小さくなるように、設定すればよい。
また、上記実施形態においては、油量調整装置1のハウジング2を支持部900と別体としたが、一体化してもよい。すなわち、支持部900の一部をハウジング2として用いてもよい。
また、内部通路400と第二流出通路の組合せ例としては、(a)内部通路にオリフィスを、第二流出通路としてリーク隙間を、配置する組合せ、(b)内部通路に大径オリフィスを、第二流出通路として当該大径オリフィスよりも小径の小径オリフィスを、配置する組合せ、(c)内部通路に短軸オリフィスを、第二流出通路として当該短軸オリフィスよりも通路長が長い長軸オリフィスを、配置する組合せ、(d)内部通路に大幅リーク隙間を、第二流出通路として当該大幅リーク隙間よりも開口幅が小さい小幅リーク隙間を、配置する組合せ、などが挙げられる。
1:油量調整装置。
2:ハウジング、20:取付部、200:流入通路、201:段差部、202:ハウジング側スプリング座、21:円筒部、210:第一流出通路、22:第一室、23:第二室。
4:バルブ、40:バルブ本体、400:内部通路、401:バルブ側スプリング座、402:第一バルブ側スプリング座、403:第二バルブ側スプリング座、41:可動シャフト、410:環状リブ(異物排出部)、410a:上面、410b:下面、410c:隙間、411:シャフト側内部通路、45:仕切壁。
5:ホルダ、50:隔壁、500:隔壁側孔、500a:環状リブ(異物排出部)、501:隔壁側スプリング座、501a:異物収集凹部、51:円筒部、510:拡散流出通路、52:支持部、520:支持孔。
6:プラグ、60:被支持部、62:固定シャフト、620:溝。
70:コイルスプリング、71:バイアススプリング、72:感温スプリング、73:支持リブ、75:フィルタ。
8:オイル供給システム、80:吐出通路、800:オイルパン、801:オイルポンプ、802:リリーフバルブ、803:オイルフィルタ、81:クランクシャフト側通路、810a:独立側メインオイルホール(独立側オイル通路)、810aa:段差部、810b:連通側メインオイルホール(連通側オイル通路)、811a:独立側クランクシャフト接続通路、811b:連通側クランクシャフト接続通路、812:メイン軸受内部通路、813:クランクシャフト内部通路、84:メイン軸受、85:クランク軸受。
9:エンジン、900:支持部、901:キャップ、91:ピストン、92:コンロッド、93:クランクシャフト、930:メインジャーナル、931:クランクピン、932:クランクアーム。
A:オリフィス、B:リーク隙間、C1:通路隙間、D:第二流出通路、L1:大流量経路、L2:小流量経路、O:オイル、P:異物、S1:メイン摺動部、S10:独立摺動部、S11:連通摺動部、S2:ピン摺動部。

Claims (14)

  1. クランクシャフトの複数のメインジャーナルと、複数の該メインジャーナルに環装される複数のメイン軸受と、の間に介在する複数のメイン摺動部と、
    該クランクシャフトのクランクピンと、該クランクピンに環装されるクランク軸受と、の間に介在するピン摺動部と、
    にオイルを供給するオイル供給システムであって、
    複数の前記メイン摺動部のうち、一部の該メイン摺動部は、前記ピン摺動部に連通する連通摺動部であり、
    複数の該メイン摺動部のうち、残部の該メイン摺動部は、該ピン摺動部に連通しない独立摺動部であり、
    エンジン始動直後であって、該エンジンの暖機が未完了の冷間時において、該連通摺動部に供給される前記オイルの流量の方が、該独立摺動部に供給される該オイルの流量よりも、大きいことを特徴とするオイル供給システム。
  2. 前記連通摺動部に供給される前記オイルの流量から、前記独立摺動部に供給される該オイルの流量を、差し引いた差分を流量差として、
    前記冷間時よりも、前記エンジンの暖機完了後の温間時の方が、該流量差が小さい請求項1に記載のオイル供給システム。
  3. さらに、前記独立摺動部に前記オイルを供給する独立側オイル通路と、
    前記連通摺動部に該オイルを供給する連通側オイル通路と、
    該独立側オイル通路に配置され、前記温間時と比較して、前記冷間時に、該独立摺動部に供給する該オイルの流量を小さくする油量調整装置と、
    を備える請求項2に記載のオイル供給システム。
  4. 前記油量調整装置は、
    筒状のハウジングと、
    該ハウジングの内部に配置され、該ハウジングの軸方向に往復動可能なバルブと、
    該ハウジングの内部において、該バルブの表側に区画され、前記オイルが導入される第一室と、
    該ハウジングの内部において、該バルブの裏側に区画される第二室と、
    該第一室と該第二室との間に配置される内部通路と、
    該第一室と該ハウジングの外部との間に配置され、該オイルが流出する第一流出通路と、
    該第二室と該ハウジングの外部との間に配置され、該オイルが流出する第二流出通路と、
    を備え、
    該第一流出通路の方が、該第二流出通路よりも、該オイルの流量が大きくなるように設定されており、
    前記冷間時においては、該バルブが該第一流出通路を閉じ、該第一室、該内部通路、該第二室、該第二流出通路を有する小流量経路を経由して、該オイルが前記独立摺動部に供給される閉弁状態に、
    前記温間時においては、該バルブが該第一流出通路を開き、該第一室、該第一流出通路を有する大流量経路、および該小流量経路のうち、少なくとも該大流量経路を経由して、該オイルが該独立摺動部に供給される開弁状態に、
    切り替わる請求項3に記載のオイル供給システム。
  5. 前記内部通路の方が、前記第二流出通路よりも、前記オイルの粘度変化による流れの抵抗の変化が小さい請求項4に記載のオイル供給システム。
  6. 前記内部通路はオリフィスを有し、
    前記第二流出通路は、開口幅が該オリフィスより小さいリーク隙間である請求項5に記載のオイル供給システム。
  7. 前記リーク隙間の方が、前記オリフィスよりも、総開口面積が大きい請求項6に記載のオイル供給システム。
  8. 前記油量調整装置は、前記内部通路に配置され、前記リーク隙間を通過できない異物を前記オイルから除去するフィルタを備え、
    該内部通路は、前記バルブに配置されている請求項6または請求項7に記載のオイル供給システム。
  9. 前記油量調整装置は、前記バルブの裏側に配置され、隔壁側孔を有する隔壁と、該バルブの裏側に配置され、該隔壁側孔に挿通される固定シャフトと、を備え、
    前記リーク隙間は、該隔壁側孔の内周面と該固定シャフトの外周面との間に区画されている請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のオイル供給システム。
  10. 前記バルブは、バルブ本体と、該バルブ本体から裏側に突設される可動シャフトと、を有し、
    前記油量調整装置は、該バルブ本体の裏側に配置され、該可動シャフトが挿通される隔壁側孔を有する隔壁を備え、
    前記第二室は、該バルブ本体と該隔壁との間に区画され、
    前記リーク隙間は、該隔壁側孔の内周面と該可動シャフトの外周面との間に区画されている請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のオイル供給システム。
  11. 前記隔壁側孔の内周面および前記可動シャフトの外周面のうち、少なくとも一方は、該隔壁側孔に対して該可動シャフトが移動するのに伴って、前記リーク隙間から異物を排出する異物排出部を有する請求項10に記載のオイル供給システム。
  12. 前記リーク隙間は、前記内部通路の延在方向に対して、交差する方向に延在している請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のオイル供給システム。
  13. 前記油量調整装置は、
    前記バルブを、表側から裏側に向かう方向に付勢する形状記憶合金製の感温スプリングと、
    該バルブを、裏側から表側に向かう方向に付勢するバイアススプリングと、
    を備え、
    前記冷間時においては、該バイアススプリングの付勢力により、該バルブが前記第一流出通路を閉じ、
    前記温間時においては、該感温スプリングの付勢力により、該バルブが該第一流出通路を開く請求項4に記載のオイル供給システム。
  14. さらに、前記連通摺動部と前記ピン摺動部とを連通するクランクシャフト内部通路を備え、
    複数の前記メインジャーナルと前記クランクピンとは、前記クランクシャフトの軸方向に交互に並んでいる請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のオイル供給システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016223423A (ja) * 2015-06-04 2016-12-28 大豊工業株式会社 油量制御バルブ
CN114239456A (zh) * 2021-11-29 2022-03-25 中国航发沈阳发动机研究所 一种航空燃气涡轮发动机供油规律修正方法及装置

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