JP2014151491A - 画像形成装置、その画像形成装置の制御プログラム及び制御方法 - Google Patents

画像形成装置、その画像形成装置の制御プログラム及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置全体を制御する装置制御部とエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置を利用する場合において、起動時間を短縮すること。
【解決手段】システムコントローラを含む画像形成装置全体への電力供給が完全に遮断された電源遮断状態から使用可能な状態である通常状態へ移行する際に、即ち、電源遮断状態において電源が投入された際に、通信線の接続処理と並行して、信号線を介してシステムコントローラ側からエンジンコントローラ側に信号を送信することにより、エンジンコントローラ側に電源が投入されたことを通知する。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像形成装置、その画像形成装置の制御プログラム及び制御方法に関し、特に、画像形成装置における電源遮断状態から通常状態への移行制御に関する。
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
上述した複合機においては、機能の拡張が可能なように、プリンタユニットやスキャナユニット等の駆動部(以下、「エンジン」ともいう)の動作を制御するエンジンコントローラと、複合機のシステム全体を制御するシステムコントローラとを別々に設けているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような複合機においては、上記システムコントローラとエンジンコントローラとは、USB(Universal Serial Bus)やPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)バス等のシリアルバス(以下、「通信線」ともいう)により接続されている。
そして、このような複合機が、装置全体への電力供給が完全に遮断された電源遮断状態から使用可能な状態である通常状態に移行する場合、即ち、電源遮断状態において主電源が投入された場合、システムコントローラは、エンジンコントローラとの接続を確立するために、バスデバイスとしてのエンジンコントローラを認識するための所定の処理を行うことによりその両者間の通信が可能となる。ここで、所定の処理とは、上記シリアルバスの規格に従った処理のことであり、例えば、USBの場合には、システムコントローラはエニュメレーション処理を実行する。
従って、上述したような、システムコントローラとエンジンコントローラとが別々に設けられている複合機においては、上記所定の処理を終え、その両者間の接続が確立されるまで、システム側とエンジン側とは通信を行うことができないことになる。そのため、エンジンコントローラは、通信線の接続の確立を待って、システムコントローラからの制御命令に従ってエンジンの起動処理を行うようになっている。
また、上記通信線を介したシステムコントローラとエンジンコントローラとの通信は、シリアルバスの規格に則った所定の通信プロトコルに従って行われるため、通信線の接続が確立された後も、その両者間の情報のやりとりに時間を要することになる。
このような理由により、上述したような、システムコントローラとエンジンコントローラとが別々に設けられている複合機においては、電源遮断状態において電源が投入されてから使用可能な状態になるまでの時間、即ち、起動時間が長くなってしまうといった問題がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、装置全体を制御する装置制御部とエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置を利用する場合において、起動時間を短縮することを目的とする。
上記課題を解決するために、装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置であって、前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させることを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置の制御プログラムであって、前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させるステップを画像形成装置に実行させることを特徴とする。
また、本発明の更に他の態様は、装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置の制御方法であって、前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、装置全体を制御する装置制御部とエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置を利用する場合において、起動時間を短縮することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置を主走査方向から見たときの断面図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置を画像形成面に垂直な方向から見たときの透過図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の起動モードを示す図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るモード別信号パターン対応Tbの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るモード別動作シーケンス対応Tbの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置が起動モードに応じた起動動作を実行する際の処理を説明するためのシーケンス図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置として、キャリッジと、同キャリッジに搭載された記録ヘッドとを備え、キャリッジを記録媒体に対して一定の方向(以下、「主走査方向」とする)に移動させながら、記録ヘッドに形成されたノズルからインク滴を吐出することにより、印刷を行うインクジェットプリンタを例として説明する。尚、本実施形態に係る画像形成装置は、入力された印刷データに基づいてCMYK(Cyan Mgenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて画像形成出力を実行する。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、プリンタユニットやスキャナユニット等の駆動部(以下、「エンジン」ともいう)の動作を制御するエンジンコントローラと、複合機のシステム全体を制御するシステムコントローラとを別々に設けている。
そして、本実施形態に係る画像形成装置において、上記システムコントローラとエンジンコントローラとは、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための、USB(Universal Serial Bus)やPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)バス等のシリアルバス(以下、「通信線」ともいう)により接続されている。従って、本実施形態に係る画像形成装置においては、システムコントローラとエンジンコントローラとは、上記シリアルバスを介して情報のやりとりを行う。
さらに、本実施形態に係る画像形成装置は、システムコントローラとエンジンコントローラとが通信線で接続されている他に、システムコントローラがエンジンコントローラにHigh若しくはLowの2値の信号を送信する信号線で接続されている。このような構成が本実施形態に係る要旨の一つである。
即ち、このような画像形成装置において、本実施形態に係る要旨の一つは、システムコントローラを含む画像形成装置全体への電力供給が完全に遮断された電源遮断状態から使用可能な状態である通常状態へ移行する際に、即ち、電源遮断状態において電源が投入された際に、通信線の接続処理と並行して、信号線を介してシステムコントローラ側からエンジンコントローラ側に信号を送信することにより、エンジンコントローラ側に電源が投入されたことを通知することにある。
そのため、本実施形態に係る画像形成装置において、エンジンコントローラは、通信線の接続処理の完了を待たずに電源が投入されたことを検知することが可能となるため、通信線の接続処理と並行してエンジンの起動処理の制御を行うことが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置によれば、電源遮断状態において電源が投入されてから、エンジンの起動処理が完了して使用可能となるまでの時間(以下、「起動時間」ともいう)を短縮することが可能となる。以下、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成及び機構部について説明する。尚、以下の図面においては、排紙トレイ3が配置されている側を画像形成装置1の正面としている。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1を主走査方向から見たときの断面図である。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1を画像形成面に垂直な方向から見たときの透過図である。尚、図1、図2において、お互いに同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとする。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、給紙トレイ2、排紙トレイ3、キャリッジ支持棒31、ステー32、キャリッジ33、用紙積載部41、用紙42、給紙コロ43、分離パッド44、ガイド部材45、カウンタローラ46、搬送ガイド部材47、押さえ部材48、先端加圧コロ49、搬送ベルト51、搬送ローラ52、テンションローラ53、帯電ローラ56、記録時ガイド部材57、分離爪61、排紙ローラ62、排紙コロ63、両面ユニット71、手差しトレイ72により構成されている。
また、図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、カートリッジ装填部4、インクカートリッジ10、フレーム21、ワイヤハーネス22、供給ポンプユニット24、係止部材25、インク供給チューブ36、待機時維持回復機構81、記録時維持回復機構88により構成されている。
インクカートリッジ10は、インクカートリッジ10k、インクカートリッジ10c、インクカートリッジ10m、インクカートリッジ10yにより構成され、フレーム21は、左フレーム21A、右フレーム21B、背面フレーム21Cにより構成され、キャリッジ33は、記録ヘッド34、サブタンク35により構成され、待機時維持回復機構81は、キャップ82、ワイパーブレード83、空吐出受け84により構成されている。また、記録時維持回復機構88は、空吐出受け89を含む。
さらに、記録ヘッド34は、液滴吐出34k、液滴吐出34c、液滴吐出34m、液滴吐出34yにより構成され、サブタンク35は、サブタンク35k、サブタンク35c、サブタンク35m、サブタンク35yにより構成され、キャップ82は、キャップ82k、キャップ82c、キャップ82m、キャップ82yにより構成され、記録時維持回復機構88は、空吐出受け89k、空吐出受け89c、空吐出受け89m、空吐出受け89yにより構成されている。
以下では、図1及び図2を参照して、用紙に対する記録動作に関する部分と、用紙の搬送動作に関する部分とに分けて、本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成及び機構部について説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の用紙に対する記録動作に関する部分について説明する。カートリッジ装填部4には、イエローのインクカートリッジ10y、シアンのインクカートリッジ10c、マゼンタのインクカートリッジ10m、ブラックのインクカートリッジ10kの4色のインクカートリッジが装着されており、各色のインクが補充供給される。
キャリッジ支持棒31は、左フレーム21Aと右フレーム21Bに水平に横架したガイド部材であり、キャリッジ33を図2に示すキャリッジ主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ33は、キャリッジ支持棒31とステー32により図2に示す主走査方向に摺動自在に保持され、図示しない主走査モータにより図示しない主走査ベルトを介して移動走査する。また、キャリッジ33は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための記録ヘッド34を備えている。さらに、記録ヘッド34は、各色独立に液滴吐出ヘッド34y、34c、34m、34kの4個の液滴吐出ヘッドからなる。尚、記録ヘッド34は、各色の液滴を吐出する4個のノズル列を有する1個の液滴吐出ヘッドを備えるように構成されていても良い。
これら4個の液滴吐出ヘッドは、それぞれ、図2に示すキャリッジ走査方向と垂直をなす向きに配置されている。また、これら4個の液滴吐出ヘッドは、図2に示すキャリッジ主走査方向と平行に配列され、液滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
本実施形態に係る記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドはインクジェットヘッドであり、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を備えたもの等が使用される。
本実施形態に係る記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドには、その圧力発生手段として圧電素子が採用されており、その圧電素子は、印加される電圧によって体積が変化する素子であって、インク滴吐出時には狙いの滴サイズや吐出速度でインク滴を吐出するために、図示しないヘッドドライバから駆動電圧と呼ばれる電圧が印加される。
本実施形態に係る画像形成装置1は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドを全て同時に駆動させる以外に、時間的に分割して駆動させることができる。そのため、画像形成装置1が、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドを全て同時に駆動させる場合に生じる、各液滴吐出ヘッド間のクロストークの影響による記録品位の低下や、一時的に大電流が必要になることによる電源の大容量化等の問題を、各液滴吐出ヘッドを時間的に分割して駆動させることにより避けることができる。
この記録ヘッド34は、図示しないドライバICを備え、図4に示すエンジン制御部210との間でワイヤハーネスを介して接続されている。そして、ドライバICが図4に示すエンジン制御部210からワイヤハーネスを介して信号を受け取り、受け取った信号に基づいて図示しないモータを制御することにより、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドは駆動される。
また、キャリッジ33は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドにインクを供給するためのサブタンク35を搭載している。尚、サブタンク35は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドの色に対応するように、サブタンク35k、サブタンク35c、サブタンク35m、サブタンク35yの4個のサブタンクからなる。
各色のサブタンク35には、インク供給チューブ36を介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10からインクが補充供給される。尚、このカートリッジ装填部4には、インクカートリッジ10内のインクを、インク供給チューブ36を介してサブタンク35に送液するための供給ポンプユニット24が設けられている。また、インク供給チューブ36は、画像形成装置1の内部における這い回しの途中で、背面フレーム21Cに固定されている係止部材25にて保持されている。
待機時維持回復機構81は、非記録中、若しくは待機中に、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドのノズルの状態を維持し、若しくは回復する。待機時維持回復機構81は、本実施形態においては、図2に示すように向かって右側の非印字領域に備えられている。この待機時維持回復機構81は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドのノズル面をキャピングするためのキャップ82と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、乾燥等により増粘した余計な記録液を排出するための空吐出受け84とを備えている。
尚、キャップ82は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドに対応するように、キャップ82c、82m、82y、82kの4個のキャップからなり、これら4個のキャップは、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドと同じ幅で同じ方向に配列されている。
また、待機時維持回復機構81には、キャップ82で記録ヘッド34の各ノズル面をキャッピングした状態で、各ノズル内から増粘した記録液や気泡を吸い取るための図示しない吸引ポンプが備えられている。
そして、この待機時維持回復機構81による維持回復動作で発生する記録液の廃液、キャップ82に排出されたインク、空吐出受け84に空吐出されたインクは、図示しない廃液タンクに排出されて収容される。また、ワイパーブレード83に付着したインクは、図示しないワイパークリーナで除去されて上記廃液タンクに排出される。
このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、待機時や動作停止時等に各液滴吐出ヘッドのノズルの吸引や保湿が行われるので、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッド内のインク乾燥や気泡による吐出不良を防止することができ、安定した吐出性能を維持することができる。
記録時維持回復機構88は、記録開始時や記録中に、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドのノズルの状態を維持し、若しくは回復する。記録時維持回復機構88は、本実施形態においては、図2に示すように向かって左側の非印字領域に備えられている。この記録時維持回復機構88は、乾燥等により増粘した余計な記録液を排出するための空吐出受け89からなる。尚、空吐出受け89は、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドに対応するように、空吐出受け89c、89m、89y、89kの4個の空吐出受けからなり、これら4個の空吐出受けは、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドと同じ幅で同じ方向に配列されている。
このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1の記録開始時や記録中において、キャリッジ33が記録時維持回復機構88に適宜移動して、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドが空吐出受け89に気泡や余計な記録液を排出することができる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、記録中においても、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドの安定した吐出性能を維持することができる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の用紙の搬送動作に関する部分について説明する。給紙トレイ2は、画像形成装置1が記録対象とする用紙42を用紙積載部41の上に積載することにより格納する。
画像形成装置1は、用紙積載部41に積載されている用紙42から1枚ずつ用紙を分離して給紙するために、給紙コロ43及び分離パッド44から構成される図示しない給紙部を備える。そして、図1に示すように、給紙コロ43は用紙積載部41の略先端上部に配置され、分離パッド44は給紙コロ43に対向する位置に配置されている。尚、分離パッド44は摩擦係数の大きな材質からなる。
画像形成装置1は、分離された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48と、搬送ベルト51とを図1に示す位置に備える。
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて構成されている。搬送ベルト51は、図示しない副走査モータにより図示しない副走査ベルトを介して搬送ローラ52が回転駆動することにより、図2に示すベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、ETFE(Ethylene tetrafluoroethylene)ピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層とを有している。
そして、画像形成装置1は、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を図1に示す位置に備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。尚、搬送ローラ52はアースの役割を果たすアースローラとしても機能し、搬送ベルト51の裏層と接触するように配置されている。
このような構成により、画像形成装置1は、給紙部で分離された用紙42を搬送ベルト51に静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置まで搬送することができる。
また、図1に示すように、搬送ベルト51の上部裏側には、記録ヘッド34による記録領域に対応するように記録時ガイド部材57が配置されている。この記録時ガイド部材57は、記録ヘッド34による記録面に対して平行に配置されており、さらに、搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド34側に突出するように配置されている。このような構成により、搬送ベルト51は、記録ヘッド34による記録領域に対応する領域において、高精度な平面性を維持するようになっている。
さらに、画像形成装置1は、記録ヘッド34により記録された用紙42を排紙するために、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62と、排紙コロ63と、排紙トレイ3とからなる図示しない排紙部を備える。そして、画像形成装置1は、図1に示す位置に、分離爪61、排紙ローラ62、排紙コロ63、排紙トレイ3が配置されている。また、排紙ローラ62と排紙コロ63との間から、排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる用紙の枚数を多くするためにある程度高くなっている。
両面ユニット71は、画像形成装置1の背面部に脱着自在に装着されている。両面ユニット71は、搬送ベルト51の逆方向回転により用紙42を取り込んで表裏を反転させて、再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。尚、本実施形態において、両面ユニット71の上面は手差しトレイ72として構成されている。
上記の内部構成及び機構部の他、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースや、ユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースを備える。
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、SD(Secure Digital)メモリーカード等の外部記憶媒体から情報を受け取るためのインタフェースや、ネットワーク経由で外部から情報を受け取るためのネットワークインタフェースを備える。
さらに、画像形成装置1の内部後方側にはホスト装置との間でデータを送受信するためのUSB(Universal Serial Bus)などの通信回路部(インタフェース)が設けられるとともに、画像形成装置全体の制御を司る制御部を構成する制御回路基板が設けられている。
このように構成された画像形成装置1において、上記給紙部により給紙トレイ2から1枚ずつ分離された用紙42は、ガイド部材45により略鉛直上方に案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド部材47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向が転換されて給紙される。
このとき、帯電ローラ56は、図示しないAC(Alternaiting Current)バイアス供給部からプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように交番する電圧が印加される。これにより、搬送ベルト51は、図2に示すベルト搬送方向(副走査方向)に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電する。このプラスとマイナスが交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42は図2に示すベルト搬送方向(副走査方向)に搬送される。
そして、画像形成装置1は、記録時ガイド部材57が配置されている位置において、給紙された用紙42を停止させ、描画情報に基づいてキャリッジ33をキャリッジ支持棒31に沿って走査させながら記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドを駆動させることにより給紙された用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録する。画像形成装置1は、1行分の記録が終了したら、給紙された用紙42を所定量搬送して、次の行の記録を行う。そして、画像形成装置1は、図4に示すエンジン制御部210において記録終了信号を受信するか、給紙された用紙42の後端が記録領域を通過したことを知らせる信号を受信することにより、記録動作を終了して用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
画像形成装置1が記録動作を終了すると、キャリッジ33はホームポジションに移動する。そして、記録ヘッド34の各液滴吐出ヘッドは、空吐出受け84に余計な記録液を排出し、キャップ82でキャッピングされ、キャッピングされた状態で吸引ポンプによって吸引されることにより、各液滴吐出ヘッドのノズル内から余計な記録液や気泡が排出される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、HDD(Hard Disk Drive)94及びI/F95がバス98を介して接続されている。また、I/F95にはLCD(Liquid Crystal Display)96及び操作部97が接続されている。
CPU91は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM92は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU91が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM93は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD94は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。上述したプリンタドライバを構成するためのソフトウェア・プログラムも、HDD94に格納されている。
I/F95は、バス98と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD96は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部97は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM93やHDD94若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM92に読み出され、CPU91がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能が実現される。
尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、通常の起動状態の他に省電力状態を設定することができるように構成されている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置は、消費電力を低減するために、通常の起動状態の他に画像形成装置が使用されていないときには、省電力状態に遷移するようになっている。ここで、省電力状態とは、画像形成装置の消費電力を低減するために、動作状態にないときに画像形成装置の大半の部分を通電されていない状態とするものであるが、画像形成装置のシステム全体を制御するシステムコントローラの一部は通電されている状態のことである。
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記省電力状態において、一定時間経過毎にメンテナンス動作を行うためにメンテナンス状態に遷移するように構成されている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、ノズル内の目詰まりやノズル内への気泡の侵入等により、印刷が良好に行われなくなるという現象が生じることを防ぐために、定期的にノズル内の粘度の上昇したインク液を強制排除したり、インクメニスカスの壊れを回復したりするメンテナンス動作を行う。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1が取り得る状態として、電源遮断状態、起動状態の他に、省電力状態、メンテナンス状態がある。以下では、画像形成装置1の状態の遷移を「起動モード」と称して、図4に示すように、電源遮断状態から起動状態への遷移を通常起動モード、省電力状態から起動状態への遷移を省電力復帰モード、省電力状態からメンテナンス状態への遷移をメンテナンス起動モードと定義する。即ち、本実施形態において、画像形成装置の起動状態は、通電停止状態が電源遮断状態若しくは省電力状態として、通電状態が通常状態として、通電遮断状態が電源遮断状態としてとりうる。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の起動モードを示す図である。
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、起動モードに応じて、起動時に実施する動作シーケンスが予め定められている。本実施形態に係る画像形成装置1が起動モードに応じて実施する動作シーケンスについては、図6を参照して後に詳述する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図5においては、電気的接続を実線の矢印で、電力の流れを破線で示している。
図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、システムコントローラ100、エンジンコントローラ200、エンジン300、電力供給部400を含み、システムコントローラ100とエンジンコントローラ200とが通信線500、信号線A、信号線Bにより接続されている。また、システムコントローラ100は、システム制御部110、システム用モード別情報記憶部120を含み、エンジンコントローラ200は、エンジン制御部210、エンジン用モード別情報記憶部220を含む。
システムコントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM93や不揮発性メモリ並びにHDD94や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM92等の揮発性メモリにロードされ、CPU91がそのプログラムに従って動作することにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってシステムコントローラ100が構成される。システムコントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。即ち、本実施形態においては、システムコントローラ100が装置制御部として機能する。
システム制御部110は、システムコントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、システムコントローラ100の各部に命令を与える。システム用モード別情報記憶部120は、モード別信号パターン対応テーブル(以下、「モード別信号パターン対応Tb」とする)。ここで、モード別信号パターン対応Tbとは、図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1における各起動モードと各信号線における信号パターンとの対応関係を示すテーブルのことである。即ち、本実施形態においては、モード別信号パターン対応Tbが信号パターン関連情報として参照される。図6は、本実施形態に係るモード別信号パターン対応Tbの一例を示す図である。
従って、システム制御部110は、起動モードを検知することができれば、モード別信号パターンTbを参照することにより、検知した起動モードに対応する信号パターンを一意に決定することができる。即ち、本実施形態においては、システム制御部110が移行態様判定部及び信号パターン決定部として機能する。尚、システム用モード別情報記憶部120は、図3に示したROM93やHDD94等の不揮発性の記憶媒体により実現される。
図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、その起動モードが通常起動モードである場合には、信号線600Aにより伝達される信号をLowに、信号線600Bにより伝達される信号をLowに決定する。また、図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、その起動モードが省電力復帰モードである場合には、信号線600Aにより伝達される信号をHighに、信号線600Bにより伝達される信号をLowに決定する。
さらに、図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、その起動モードがメンテナンス起動モードである場合には、信号線600Aにより伝達される信号をHighに、信号線600Bにより伝達される信号をHighに決定する。
ここで、図6に示すように、本実施形態に係るモード別信号パターン対応Tbにおいて、通常起動モードの信号パターンが、信号線600Aにより伝達される信号についてはLow、信号線600Bにより伝達される信号についてもLowとして定められている理由について説明する。
上述したように、電源遮断状態においては、システムコントローラ100への電力の供給が遮断されているため、システム制御部110は、システムコントローラ100への電力の供給が開始されるまで各信号線600により伝達される信号をHighに設定することができない。そのため、仮に、モード別信号パターン対応Tbにおいて、通常起動モードの信号パターンが、各信号線600の少なくともいずれかにより伝達される信号についてHighとして定められていると、システム制御部110は、Lowの状態から切り替えを行わなければならず、その分、時間をロスしてしまうことになる。
ところが、本実施形態のように、モード別信号パターン対応Tbにおいて、通常起動モードの信号パターンが、各信号線600により伝達される信号についてLowとして定められていると、システム制御部110は信号の切り替えを行う必要がない。従って、本実施形態のように、モード別信号パターン対応Tbにおいて、通常起動モードの信号パターンが、各信号線600により伝達される信号についてLowとして定められていると、電源遮断状態において電源が投入されてから、エンジンの起動処理が完了して利用可能となるまでの時間(起動時間)をより短縮することが可能となる。
このような理由により、本実施形態に係るモード別信号パターン対応Tbにおいては、通常起動モードの信号パターンが、各信号線600により伝達される信号についてLowとして定められている。
尚、省電力状態においては、システムコントローラ100には電力が供給され続けているため、システム制御部110は、各信号線の信号をHighの状態のまま維持することができ、省電力復帰モード時及びメンテナンス起動モード時には、LowからHighに切り替える際の時間のロスは生じない。
エンジンコントローラ200は、システムコントローラ100と同様に、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM93や不揮発性メモリ並びにHDD94や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM92等の揮発性メモリにロードされ、CPU91がそのプログラムに従って動作することにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってエンジンコントローラ200が構成される。エンジンコントローラ200は、エンジン300を制御する制御部として機能する。即ち、本実施形態においては、エンジンコントローラ200がエンジン制御部として機能する。
エンジン制御部210は、エンジンコントローラ200に含まれる各部を制御する役割を担い、エンジンコントローラ200の各部に命令を与える。また、エンジン制御部210は、エンジン300を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。エンジン用モード別情報記憶部220は、モード別動作シーケンス対応テーブル(以下、「モード別動作シーケンス対応Tb」とする)及び図6に示したようなモード別信号パターン対応Tbを記憶する。
ここで、モード別動作シーケンス対応Tbとは、図7に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1における各起動モードと起動時に実施する動作シーケンスとの対応関係を示すテーブルのことである。即ち、本実施形態においては、モード別動作シーケンス対応Tbが動作関連情報として参照される。図7は、本実施形態に係るモード別動作シーケンス対応Tbの一例を示す図である。
従って、エンジン制御部210は、信号パターンを検知することができれば、モード別信号パターン対応Tbを参照することにより起動モードを決定することができ、また、起動モードを決定することができれば、モード別動作シーケンス対応Tbを参照することにより動作シーケンスを決定することができる。即ち、本実施形態においては、エンジン制御部210が動作決定部として機能する。尚、エンジン用モード別情報記憶部220は、図3に示したROM93やHDD94等の不揮発性の記憶媒体により実現される。
図7において、「○」は実施される動作であることを示し、「×」は実施されない動作であることを示し、「△」は所定の条件を満たした場合にのみ実施される動作であることを示す。
即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、起動モードが通常起動モードである場合には、その起動時には、「センサ情報取得処理」、「給紙トレイ情報取得処理」、「カートリッジ情報取得処理」、「廃液タンク情報取得処理」、「主走査方向初期化処理」、「主走査範囲障害検知処理」、「キャッピング動作処理」を実施する。
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、起動モードが省電力復帰モードである場合には、その起動時には、センサ情報取得処理」、「給紙トレイ情報取得処理」、「カートリッジ情報取得処理」、「廃液タンク情報取得処理」、「ヘッドタンク残量検知処理」を実施する。
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1は、起動モードがメンテナンス起動モードである場合には、その起動時には、「搬送ベルト癖解消処理」、「ノズルチェック処理」を実施し、所定の条件として、「ノズルチェック処理」において実施する必要があると判定した場合にのみ「ヘッドクリーニング処理」を実施する。
尚、「センサ情報取得処理」は、用紙の有無を検知するためのセンサや、温度センサ、カバー開閉センサ等からのセンサ情報を取得するための動作処理である。「給紙トレイ情報取得処理」は、給紙トレイを設定するための情報を取得するための処理動作である。「カートリッジ情報取得処理」は、カートリッジの残量等のカートリッジに関する情報を取得するための動作処理である。「廃液タンク情報取得処理」、廃液タンクの廃液量等の廃液タンクに関する情報を取得するための動作処理である。「主走査方向初期化処理」は、キャリッジの初期位置を決定するための動作処理である。
「ヘッドタンク残量検知処理」は、記録ヘッド内のヘッドタンクにおけるインク残量を検知するための動作処理である。「主走査範囲障害検知処理」はキャリッジの移動範囲に障害物が無いことを検知するための動作処理である。「キャッピング動作処理」は、ノズルをキャッピングするための動作処理である。「搬送ベルト癖解消処理」は、用紙を搬送するための搬送ベルトにしわやくせ等が形成されないように搬送ベルトを微笑量動かす動作処理である。「ノズルチェック処理」は、ノズル内の目詰まりやノズル内への気泡の侵入、ノズル内のインクの粘度の上昇等の現象をチェックするための動作処理である。「ヘッドクリーニング処理」は、「ノズルチェック処理」において、実施する必要があると判定した場合に、ノズル内のインク液を強制排除したり、インクメニスカスの壊れを回復したりする動作処理である。
エンジン300は、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機等の機能を実現するための駆動部、即ち、画像形成部及び画像読取部である。電力供給部400は、商用電源や家庭用電源である交流電源から交流電流を受電し、受電した交流電流を直流電流にAC/DC(Alternating Current/Direct Current)変換してシステムコントローラ100、エンジンコントローラ200、エンジン300へ供給する。また電力供給部400は、起動状態においては、システムコントローラ100、エンジンコントローラ200、エンジン300へ電力供給を行うが、省電力状態においては、システムコントローラ100にのみ電力供給を行い、エンジンコントローラ200及びエンジン300への電力供給は行わない。
通信線500は、USBやPCIeバス等のシリアルバスであり、システムコントローラ100とエンジンコントローラとが情報のやりとりを行う際の通信線である。信号線600A及び600Bは、システムコントローラ100がエンジンコントローラ200にHigh若しくはLowの2値の信号を送信する際の信号線である。このような構成が本実施形態に係る要旨の一つである。
即ち、このように構成された画像形成装置1において、本実施形態に係る要旨の一つは、電源遮断状態から使用可能状態である通常状態へ移行する際に、即ち、電源遮断状態において電源が投入された際に、通信線500の接続処理と並行して、信号線600を介してシステムコントローラ100側からエンジンコントローラ200側に信号を送信することにより、エンジンコントローラ200側に電源が投入されたことを通知することにある。
そのため、本実施形態に係る画像形成装置1において、エンジンコントローラ200は、通信線500の接続処理の完了を待たずに電源が投入されたことを検知することが可能となるため、通信線500の接続処理と並行してエンジン300の起動処理の制御を行うことが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、電源遮断状態において電源が投入されてから、エンジン300の起動処理が完了して使用可能となるまでの時間を短縮(起動時間)することが可能となる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が起動モードに応じた起動動作を実行する際の処理について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置1が起動モードに応じた起動動作を実行する際の処理を説明するためのシーケンス図である。図8に示すように、電源遮断状態若しくは省電力状態において起動を開始するとまず、システム制御部110は、起動モードを判定する(S810)。
尚、電源遮断状態若しくは省電力状態における起動は、例えば、電源遮断状態においてユーザ操作により画像形成装置1の電源が投入されることをトリガーとして開始される。この場合、画像形成装置1は通常起動モードで起動することになる。また、電源遮断状態若しくは省電力状態における起動は、この他に、省電力状態において、ユーザ操作により若しくは印刷ジョブを受信することにより画像形成装置1の電源が投入されることをトリガーとして開始される。この場合、画像形成装置1は省電力復帰モードで起動することになる。さらに、電源遮断状態若しくは省電力状態における起動は、その他に、起動状態から省電力状態に移行してからの経過時間が一定時間となったことにより自動的に画像形成装置1の電源が投入されたりすることをトリガーとして開始される。この場合、画像形成装置1は、メンテナンス起動モードで起動することになる。
システム制御部110は、起動モードを判定すると、システム用モード別情報記憶部120に記憶されているモード別信号パターン対応Tbを参照して、S810の判定結果に応じた、即ち、起動モードに応じた信号パターンを決定する(S820)。システム制御部110は、S820の処理において決定した信号パターンに従った信号を信号線600A及び600Bを介してエンジンコントローラ200に送信する(S830)。即ち、本実施形態においては、システム制御部110が信号送信部として機能する。
そして、画像形成装置1は、システム制御部110が、エンジンコントローラ200に信号を送信すると、通信線500を介してエンジンコントローラ200との接続処理を実行する(S840)と同時に、エンジンコントローラ200が、システムコントローラ100から送信されてきた信号の信号パターンに応じてエンジン300の動作を制御し、エンジン300がその制御に従って起動動作を実行する(S850)。
本実施形態に係る画像形成装置1は、このようなS840におけるシリアルバスの接続処理とS850におけるエンジン300の起動処理とを並行して実行することを要旨の一つとしている。従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、電源遮断状態若しくは省電力状態において電源が投入されてから、エンジン300の起動処理が完了して使用可能となるまでの時間(起動時間)を短縮することが可能となる。
具体的には、システム制御部110は、エンジンコントローラ200に信号を送信すると、通信線500を介してエンジンコントローラ200との接続処理としてまず、エンジンコントローラ200との接続を検知する(S841)。そして、システム制御部110は、接続を検知すると、通信線500のバス規格に従った所定の処理を実行する(S842)。本実施形態の場合、通信線500はUSBであるため、バス規格に従った所定の処理として、エニュメレーション処理が実行される。尚、S842の処理は、起動モードが省電力復帰モード若しくはメンテナンス起動モードの際には省略される。なぜなら、通信線500を介したシステムコントローラ100とエンジンコントローラ200との接続は、一旦確立されてしまえば、電源が完全に遮断されるまでその状態のまま維持されるためである。
一方、エンジンコントローラ200では、エンジン制御部210は、起動処理としてまず、システム制御部110から信号を受信すると、エンジン用モード別情報記憶部220に記憶されているモード別信号パターン対応Tbを参照して、受信した信号の信号パターンに応じた起動モードを検知する(S851)。
エンジン制御部210は、起動モードを検知すると、エンジン用モード別情報記憶部220に記憶されているモード別動作シーケンス対応Tbを参照して、S851の処理で検知した起動モードに応じた動作シーケンスを読み出す(S852)。エンジン制御部210は、読み出した動作シーケンスに従ってエンジン300を制御することにより(S853)、エンジン300は、起動モードに応じた動作を実行する(S854)。
画像形成装置1が、上述したようなS840の接続処理とS850の起動処理とを並行して実行し、両処理を終了すると、システム制御部110は、エンジンコントローラ200からセンサ情報や給紙トレイ情報、カートリッジ情報、廃液タンク情報等の機器情報を取得する(S860)。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1は、起動モードに応じた起動動作を実行する際の処理を終了する。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1においては、電源遮断状態から使用可能な状態である通常状態へ移行する際に、即ち、電源遮断状態において電源が投入された際に、通信線500の接続処理と並行して、信号線600を介してシステムコントローラ100側からエンジンコントローラ200側に信号を送信することにより、エンジンコントローラ200側に電源が投入されたことを通知することを要旨の一つとしている。
そのため、本実施形態に係る画像形成装置1において、エンジンコントローラ200は、通信線500の接続処理の完了を待たずに電源が投入されたことを検知することが可能となるため、通信線500の接続処理と並行してエンジン300の起動処理の制御を行うことが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、電源遮断状態において電源が投入されてから、エンジン300の起動処理が完了して使用可能となるまでの時間(起動時間)を短縮することが可能となる。
1 インクジェットプリンタ
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装填部
10 インクカートリッジ
21 フレーム
22 ハーネス
24 供給ポンプユニット
25 係止部材
31 キャリッジ支持棒
32 ステー
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
35 サブタンク
36 インク供給チューブ
41 用紙積載部
42 用紙
43 給紙コロ
44 分離パッド
45 ガイド部材
46 カウンタローラ
47 搬送ガイド部材
48 押さえ部材
49 加圧コロ
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
53 テンションローラ
57 記録時ガイド部材
61 分離爪
62 排紙ローラ
63 排紙コロ
71 両面ユニット
72 手差しトレイ
81 待機時維持回復機構
82 キャップ
83 ワイパーブレード
84 空吐出受け
88 記録時回復機構
89 空吐出受け
91 CPU
92 RAM
93 ROM
94 HDD
95 I/F
96 LCD
97 操作部
100 システムコントローラ
110 システム制御部
120 システム用モード別情報記憶部
200 エンジンコントローラ
210 エンジン制御部
220 エンジン用モード別情報記憶部
300 エンジン
400 電力供給部
500 通信線
600A 信号線
600B 信号線
特開2005−271356号公報

Claims (8)

  1. 装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置であって、
    前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、
    前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記エンジン制御部は、前記画像形成装置全体への通電が遮断されている通電遮断状態から前記通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記装置制御部による前記通信線の接続処理と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記装置制御部は、前記装置制御部への通電が行われており、前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している省電力状態から前記通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記接続処理を省略することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記装置制御部は、
    前記画像形成装置の起動状態の移行態様を判定する移行態様判定部と、
    前記移行態様判定部により判定された移行態様に基づき、前記信号線により伝達される信号の信号パターンを決定する信号パターン決定部と、
    決定された前記信号パターンの信号を前記エンジン制御部に送信する信号送信部と、
    を備え、
    前記エンジン制御部は、前記装置制御部から送信されてきた信号の信号パターンに基づき、前記エンジンの起動時に実行させる動作を決定する動作決定部を備え、決定された前記動作に従って前記エンジンを制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記信号パターン決定部は、前記画像形成装置の起動状態の移行態様と、前記信号線により伝達される信号の信号パターンとが関連付けられた信号パターン関連情報を参照して、前記移行態様判定部により判定された移行態様に対応する信号パターンを、前記信号線により伝達される信号の信号パターンとして決定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記動作決定部は、前記信号パターン関連情報を参照して、前記装置制御部から伝達される信号の信号パターンに対応する移行態様を決定し、前記画像形成装置の起動状態の移行態様と、前記エンジンの起動時に実行させる動作と関連付けられた動作関連情報を参照して、決定された前記移行態様に対応する動作を、前記エンジンの起動時に実行させる動作として決定することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
  7. 装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、
    前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させるステップを画像形成装置に実行させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。
  8. 装置全体を制御する装置制御部と用紙に対して画像形成出力を行い若しくは原稿に形成されている画像の読取動作を行うエンジンを制御するエンジン制御部とを夫々個別に備える画像形成装置の制御方法であって、
    前記装置制御部及び前記エンジン制御部は、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを伝達するための通信線及び前記画像形成装置の起動状態の移行態様を示す信号を伝達するための信号線により接続され、
    前記エンジン制御部は、少なくとも前記エンジン制御部及び前記エンジンへの通電が停止している通電停止状態から、前記画像形成装置全体への通電が行われる通電状態への移行に際して、前記信号線により伝達される信号を検知すると、前記通信線を介した前記装置制御部と前記エンジン制御部との間でのデータの伝達と並行して、検知された前記信号に応じた動作を前記エンジンに実行させることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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