JP2014148632A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐水素脆性はく離性を有するグリース組成物を提供すること。
【解決手段】基油と、増ちょう剤と、下記式(1)で表されるアルキルリン酸金属塩とを含有するグリース組成物。
Figure 2014148632

(式中、Rは炭素数が1〜30の直鎖又は分岐アルキル基を表し、アルキル基が複数ある場合、互いに同じでも異なっても良い。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、又はマグネシウムを表す。aは1又は2を表す。bは1又は2を表す。cは1〜3を表す。dは0又は1を表すが、aが2のときは0である。eは2又は3を表す。nは0〜60を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車電装・補機用転がり軸受等の各種転がり軸受に用いることができるグリース組成物に関する。
自動車の小型軽量化や居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少が求められており、それに伴ってオルタネータやテンションプーリなどの電装・補機部品も小型軽量化が図られている。また静粛性のため、エンジンルームが密閉化され、使用環境が高温になることから、高温に耐え得るグリースが必要になっている。
加えて、プーリの小径化、伝達トルクの増大、ベルト耐久性向上のため、1980年代半ばころからポリVベルトが採用されるようになったが、その頃から転がり軸受の転走面に、白色組織変化を伴った特異な早期異常はく離が発生し問題となった。
このように電装・補機部品の転がり軸受には、長い潤滑寿命と、耐はく離性の両性能を有したグリースが求められるようになった。
転がり軸受用グリースとしては、安価な鉱油を基油としたリチウム石けんグリースやジウレアグリース、また合成炭化水素油やエーテル系合成油を基油としたリチウム石けんグリースやジウレアグリース等が使用されている。ジウレアグリースの中では、特に、芳香族ウレアを含むグリースが、高温耐久性を理由に使用されることが多い。
しかしながら、これらグリースは、基油や増ちょう剤の耐熱性が不足したり、グリースの潤滑部への流入性が不足したりして、高温下での軸受寿命は決して満足するものではない。
耐はく離添加剤としては、例えば、摩耗により生じる新生面の触媒作用を抑制するために、グリース中に亜硝酸塩等の不働態化酸化剤を添加し、金属表面を酸化して表面の触媒活性を抑制し、潤滑剤の分解による水素発生を抑制することが提案されている(特許文献1、2)。
また、潤滑剤の分解による水素発生を抑制するために、グリースの基油としてフェニルエーテル系合成油を使用することが提案されている(特許文献3)。
トライボロジー金属材料や各種部材さらに水が侵入しやすい部位に使用される軸受に封入されるグリースとして、水素を吸収するアゾ化合物を添加することが提案されている(特許文献4)。
水の浸入を受けても水素脆性によるはく離を起こすことが無く、長寿命の転がり軸受用として、基油にフッ素化ポリマー油、増ちょう剤にポリテトラフルオロエチレン、及び導電性物質を添加したグリース組成物が提案されている(特許文献5)。
表面膜の形成により、高温、高速、高荷重等の過酷な条件下で転がり軸受に加わる接線方向の力を低減することを目的として、ポリαオレフィン系合成油またはジフェニルエーテル系合成油と、ウレア系増ちょう剤と、極圧添加剤としての有機アンチモンおよび有機モリブデン化合物のうち少なくとも一方と、Znスルホネートを含有するグリース組成物が提案されている(特許文献6)。
しかし、いずれも水素が発生した後の作用、つまり、金属内部への水素侵入を防止する手段ではなく、水素脆性に対応できていない。
特開平3−210394号公報 特開平5−263091号公報 特開平3−250094号公報 特開2002−130301号公報 特開2002−250351号公報 特開2004−108403号公報
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐水素脆性はく離性を有するグリース組成物を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の添加剤を使用することで、該添加剤が、金属内部への水素侵入を防止する強固な被膜を金属表面に形成し、水素脆性はく離寿命の延長を実現した。
すなわち、本発明により、以下のグリース組成物を提供する:
1. 基油と、増ちょう剤と、下記式(1)で表されるアルキルリン酸金属塩とを含有するグリース組成物。
Figure 2014148632
(式中、Rは炭素数が1〜30の直鎖又は分岐アルキル基を表し、アルキル基が複数ある場合、互いに同じでも異なっても良い。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、又はマグネシウムを表す。aは1又は2を表す。bは1又は2を表す。cは1〜3を表す。dは0又は1を表すが、aが2のときは0である。eは2又は3を表す。nは0〜60を表す。)
2.基油が、合成油のみからなる前記1項に記載のグリース組成物。
3.合成油が、エステル系合成油、合成炭化水素油、エーテル系合成油及びこれらの混合物からなる群から選ばれる前記2項に記載のグリース組成物。
4.増ちょう剤が、下記式(2)で表されるウレア化合物である前記1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3 (2)
(式中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基であり、R1及びR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数8〜22のアルキル基、シクロヘキシル基又は炭素原子数6〜12のアリール基である。)
5.ウレア化合物が、式(2)中、R2が炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基であり、R1及びR3が、互いに同一でも異なっていてもよく、シクロヘキシル基又は炭素原子数7のアリール基である化合物である前記4項記載のグリース組成物。
6.アルキルリン酸金属塩が、式(1)中、Mが、亜鉛、カルシウム、又はマグネシウムである化合物である、前記1〜5のいずれか1項記載のグリース組成物。
7.アルキルリン酸金属塩が、式(1)中、Rが、炭素数10〜18のアルキル基である化合物である、前記1〜6のいずれか1項記載のグリース組成物。
8.アルキルリン酸金属塩の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.2〜10質量%である、前記1〜7のいずれか1項記載のグリース組成物。
9.転がり軸受用である、前記1〜8のいずれか1項記載のグリース組成物。
10.転がり軸受が、自動車電装又は補機用転がり軸受である、前記1〜9のいずれか1項記載のグリース組成物。
本発明によれば、金属内部への水素侵入を防止することができるため、優れた耐水素脆性はく離性を有するグリース組成物を提供することができる。本発明のグリース組成物はまた、高温下での軸受潤滑寿命が長い。
図1は、転がり4球試験の概略を示す。図中、nは1500rpmを示す。Wは100kg(4.1GPa)を示す。
〔基油〕
本発明に使用する基油は特に限定されず、鉱油及び合成油のいずれも使用できる。これらの基油は単独で用いることができ、又は各種の混合油としても用いることができる。
合成油としては、ジエステル、ポリオールエステルに代表されるエステル系合成油;ポリαオレフィン、ポリブデンに代表される合成炭化水素油;アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールに代表されるエーテル系合成油;シリコーン油;フッ素化油等が使用できる。
エステル系合成油としては、多価アルコール(例えば、ペンタエリスリトール)と、1価の脂肪酸(例えば、カプリル酸、ノナン酸等の炭素数6〜22の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸)および多塩基酸(例えば、アジピン酸等の炭素数3〜10の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和二塩基酸)より合成されるコンプレックスエステル油が好ましい。特に、アジピン酸、ヘプタン酸、カプリル酸及びカプリン酸と、ペンタエリスリトールとのコンプレックスエステル油が好ましい。
合成炭化水素油としては、ポリαオレフィンが好ましい。
エーテル系合成油としては、アルキルジフェニルエーテルが好ましい。
本発明の基油としては、合成油が好ましい。合成油としては、エステル系合成油、合成炭化水素油、エーテル系合成油が好ましい。アジピン酸、ヘプタン酸、カプリル酸及びカプリン酸からなる脂肪酸と、ペンタエリスリトールとのコンプレックスエステル油;ポリαオレフィン;及びアルキルジフェニルエーテルがより好ましい。
基油動粘度は40℃で20〜500mm2/sであるのが好ましい。基油動粘度が40℃で20mm2/s未満であると、低速や高温時の十分な油膜が確保できない場合がある、また、500mm2/sを超えると、高速や低温時でのトルク上昇が発生してしまうおそれがある。同様の理由で、50〜200mm2/sがより好ましく、60〜130mm2/sがさらに好ましい。
〔増ちょう剤〕
高温環境下における軸受中のグリースは、増ちょう剤の種類によって流動性の大小があり、それが軸受潤滑寿命に大きく関与する。グリースが長い潤滑寿命を示すためには、グリースが軟化・漏洩せず、潤滑部で常に留まり続ける必要がある。本発明において用いる増ちょう剤としては、下記式(2)で表されるジウレア化合物が好ましい。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (2)
(式(2)中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基を示す。R1、R3は同一もしくは異なる、炭素数8〜22の直鎖又は分岐アルキル基、シクロヘキシル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。)
R2の代表例としては、以下の構造式で表されるものがあげられる。このうち、メチレン基に2つのフェニル基が連結した中央の基が最も好ましい。
Figure 2014148632
炭素数8〜22のアルキル基としては、炭素数8〜18の直鎖アルキル基が好ましい。炭素数8と18の直鎖アルキル基が最も好ましい。炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、炭素数7の芳香族炭化水素基が最も好ましい。
式(1)において、R1及びR3のいずれかがシクロヘキシル基であり、他方が炭素数8〜22の直鎖又は分岐アルキル基の場合、シクロヘキシル基と炭素数8〜22の直鎖又は分岐アルキル基の総モル数に対するシクロヘキシル基のモル数の割合は、60〜95%であり、好ましくは70〜90%である。60%未満では、流入性が高くなり、グリースが軟化し、軸受から漏洩し、短寿命となる恐れがある。また、95%を超えるとグリースが硬くなり、流入性が悪化し、グリースが潤滑部に入り込みにくくなり、短寿命となる恐れがある
特に、式(1)において、R1及びR3がいずれも炭素数8の直鎖アルキル基であり、R2が上記中央の基であるジウレア化合物が好ましい。
式(1)において、R1がシクロヘキシル基であり、R2が上記中央の基であり、R3が炭素数18の直鎖アルキル基であり、シクロヘキシル基のモル数の割合が70〜90モル%であるジウレア化合物もまた特に好ましい。
式(1)において、R1及びR3がいずれも炭素数7の芳香族炭化水素基であり、R2が上記中央の基であるジウレア化合物もまた特に好ましい。
このうち、式(1)において、R1がシクロヘキシル基であり、R2が上記中央の基であり、R3が炭素数18の直鎖アルキル基であり、シクロヘキシル基のモル数の割合が70〜90モル%であるジウレア化合物が、最も好ましい。
増ちょう剤の含有量は、本発明のグリース組成物の全質量を基準として、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは13〜20質量%である。10質量%を下回ると、グリースが軟らかく、漏洩することがあり、十分な潤滑寿命を満足することができない場合がある。一方、25質量%より多いと流動性が劣るためグリースが潤滑部に入り込みにくくなり、十分な潤滑寿命を満足することができない場合がある。
〔ちょう度〕
発明のグリース組成物の混和ちょう度は、好ましくは200〜300、より好ましくは220〜280である。混和ちょう度が300を上回ると、高速回転による漏洩が多くなり、十分な潤滑寿命を満足することができないことがある。一方、混和ちょう度が200を下回ると、グリースの流動性が悪くなり、十分な潤滑寿命を満足することができないことがある。
〔アルキルリン酸金属塩〕
本発明に使用するアルキルリン酸金属塩は、上記式(1)で表される。アルキルリン酸金属塩は、一種を単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
代表的なものとしてアルキルリン酸カリウム、アルキルリン酸カルシウム、アルキルリン酸亜鉛、アルキルリン酸アルミニウム、又はアルキルリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
式(1)中、Rは、直鎖でも分岐鎖でもよい。Rは、炭素数14〜24の直鎖アルキル基であるのが好ましい。Rは、炭素数18の直鎖アルキル基であるのが特に好ましい。
式(1)中、Mは、亜鉛であるのが好ましい。
式(1)中、aが2のとき、dは0であり、Pと、Oと、Mとが一緒になって、環構造を形成してもよい。
本発明に使用するアルキルリン酸金属塩としては、下記式(1-1)で表されるアルキルリン酸亜鉛、下記式(1-2)で表されるアルキルリン酸亜鉛又はこれらの混合物が特に好ましい。
Figure 2014148632
如何なる理論にも拘束されるものではないが、アルキルリン酸金属塩は、強固な被膜を金属表面に形成することにより、金属内部への水素の侵入を防止でき、その結果、はく離を抑制するものと考えられる。
アルキルリン酸金属塩の配合量は、グリース組成物全体に対して、0.1重量%〜20重量%が好ましく、0.5重量%〜10重量%がより好ましく、0.5〜4重量%がより好ましい。0.1重量%未満の場合には十分な効果が期待できない。また、20重量%を超える場合には効果は頭打ちとなりコスト的に不利になる。
〔任意の添加剤〕
本発明のグリース組成物には必要に応じて汎用の添加剤を添加しても良い。例えば、錆止め剤、耐荷重添加剤、酸化防止剤などを必要に応じて含有することができる。これら任意の添加剤の含有量は、本発明のグリース組成物の全質量を基準として、通常、0.5〜5質量%である。
錆止め剤としては、無機系錆止め剤と有機系錆止め剤が挙げられる。無機系錆止め剤としては、ケイ酸Na、炭酸Li、炭酸K、酸化Zn等の無機金属塩が挙げられる。有機系錆止め剤としては、安息香酸Na、安息香酸Liの安息香酸塩、Caスルフォネート、Znスルフォネートのスルフォネート塩、ナフテン酸Zn、セバシン酸Naのカルボン酸塩、コハク酸、コハク酸無水物、コハク酸ハーフエステルのコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートのソルビタンエステル、脂肪酸アミン塩が挙げられる。
耐荷重添加剤としては、リン酸エステルなどのリン系、ポリサルファイド、硫化油脂などの硫黄系、フォスフォロチオネートなどのリン-硫黄系、チオカルバミン酸塩、チオリン酸塩、有機リン酸エステルが挙げられる。
酸化防止剤は、グリースの酸化劣化抑制として知られており、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-ターシャリーブチル-p-クレゾール(BHT)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、2,6-ジ-ターシャリーブチル-フェノール、2,4-ジメチル-6-ターシャリーブチルフェノール、ターシャリーブチルヒドロキシアニソール(BHA)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,3-ジ-ターシャリーブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等があげられる。このうち、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
アミン系酸化防止剤としては、N-n-ブチル-p-アミノフェノール、4,4’-テトラメチル-ジ-アミノジフェニルメタン、α-ナフチルアミン、N-フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキルジフェニルアミン等が挙げられる。このうち、アルキルジフェニルアミンが好ましい。
〔軸受〕
本発明のグリース組成物を封入する軸受は、自動車電装・補機用転がり軸受であるのが好ましい。自動車電装・補機としては、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、アイドラプーリ、テンションプーリ等が挙げられる。
<試験グリース>
・ 試験グリースの調製
基油中で、ジフェニルメタンジイソシアネートに所定量のアミン(オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ステアリルアミン、p-トルイジン)を反応させたものをベースグリースとし、そこに、基油と添加剤を加え、混和ちょう度が280(JIS K2220)となるようにミル処理してグリースを調製した。
試験グリースの内容は、下記表に示される。試験グリースの調製に用いた成分は以下のとおりである。
<基油>
・ POE・・・アジピン酸、ヘプタン酸、カプリル酸及びカプリン酸と、ペンタエリスリトールとのコンプレックスエステル油(40℃の動粘度:102mm2/s)
・ PAO・・・合成炭化水素油(40℃の動粘度:68.0mm2/s)
・ ADE・・・アルキルジフェニルエーテル油(40℃の動粘度:100mm2/s)
・ MO・・・鉱油(40℃の動粘度:90mm2/s)
基油の動粘度は、JIS K 2220 23に従って測定した。
<増ちょう剤>
・ 脂肪族ジウレア・・・ジフェニルメタンジイソシアネートとオクチルアミンからなるジウレア化合物
・ 脂環式-脂肪族ジウレア・・・ジフェニルメタンジイソシアネートとシクロヘキシルアミン:ステアリルアミン(モル比5:1)からなるジウレア化合物
・ 芳香族ジウレア・・・ジフェニルメタンジイソシアネートとp-トルイジンからなるジウレア化合物
<添加剤>
○ 耐はく離添加剤
・ ZP・・・下記式(1-1)で表されるアルキルリン酸亜鉛と下記式(1-2)で表されるアルキルリン酸亜鉛との混合物
Figure 2014148632
・ NaNO2・・・亜硝酸ナトリウム
なお、表中の「mass%」は、試験グリースの全質量を基準とする質量%を意味する。また、表中に記載しないが、試験グリースはいずれも下記酸化防止剤及び錆止め剤を含有する。
○ 酸化防止剤
・ アルキルジフェニルアミン 2%
・ オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート 1%
○ 錆止め剤
・ コハク酸ハーフエステル 1.5%
・ 脂肪酸アミン塩 1%
・ 酸化亜鉛 0.5%
<試験方法>
・転がり4球試験
○ 試験概略
φ15mmの軸受用鋼球を3個用意し、図1のように、内径40mm、高さ14mmの円筒状容器内に配置し、試験グリースを約20g満たす。この3個の鋼球に、上からφ5/8in軸受用鋼球1個の回転球をあてがい、試験機にセットする。図1のW方向に荷重を掛け4時間回転させて慣らし運転を行なった後、水素ガスを導入する。下の3個は自転しながら公転する。これをはく離がでるまで連続回転させる。
※はく離は、最も面圧の高い球−球間に出る。
※寿命は、剥離が出た時点の上球の総接触回数とする。これを最低5回繰り返し、L50寿命(50%が寿命となる回数)を求める。結果を表1、表2に示す。
○ 試験条件
・ 試験鋼球:15mm及び5/8in軸受用鋼球
・ 試験荷重(W):100kgf(4.1GPa)
・ 回転速度(n):1500rpm
・ 水素導入量:15ml/分
・ 試験部気圧:0.96気圧(減圧排気のため)
・ 試験繰り返し数:最低 5
○ 評価
・ 20×106回以上・・・○(合格)
・ 20×106回未満・・・×(不合格)
Figure 2014148632
Figure 2014148632
耐はく離添加剤としてZP(アルキルリン酸亜鉛)を含有する実施例1〜6は、転がり4球試験の耐はく離性を満足した。
耐はく離添加剤を含有しない比較例1は、転がり4球試験の耐はく離性を満足しなかった。
耐はく離添加剤としてNaNO2を含有する比較例2〜7は、転がり4球試験の耐はく離性を満足しなかった。

Claims (10)

  1. 基油と、増ちょう剤と、下記式(1)で表されるアルキルリン酸金属塩とを含有するグリース組成物。
    Figure 2014148632

    (式中、Rは炭素数が1〜30の直鎖又は分岐アルキル基を表し、アルキル基が複数ある場合、互いに同じでも異なっても良い。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、又はマグネシウムを表す。aは1又は2を表す。bは1又は2を表す。cは1〜3を表す。dは0又は1を表すが、aが2のときは0である。eは2又は3を表す。nは0〜60を表す。)
  2. 基油が、合成油のみからなる請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 合成油が、エステル系合成油、合成炭化水素油、エーテル系合成油及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項2に記載のグリース組成物。
  4. 増ちょう剤が、下記式(2)で表されるウレア化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物。
    R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3 (2)
    (式中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基であり、R1及びR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数8〜22のアルキル基、シクロヘキシル基又は炭素原子数6〜12のアリール基である。)
  5. ウレア化合物が、式(2)中、R2が炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基であり、R1及びR3が、互いに同一でも異なっていてもよく、シクロヘキシル基又は炭素原子数7のアリール基である化合物である請求項4記載のグリース組成物。
  6. アルキルリン酸金属塩が、式(1)中、Mが、亜鉛、カルシウム、又はマグネシウムである化合物である、請求項1〜5のいずれか1項記載のグリース組成物。
  7. アルキルリン酸金属塩が、式(1)中、Rが、炭素数10〜18のアルキル基である化合物である、請求項1〜6のいずれか1項記載のグリース組成物。
  8. アルキルリン酸金属塩の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.2〜10質量%である、請求項1〜7のいずれか1項記載のグリース組成物。
  9. 転がり軸受用である、請求項1〜8のいずれか1項記載のグリース組成物。
  10. 転がり軸受が、自動車電装又は補機用転がり軸受である、請求項1〜9のいずれか1項記載のグリース組成物。
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