JP2014148268A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明の空気入りタイヤは、ブロック11のブロック幅を、該ブロック11の周方向両端部側のそれぞれから周方向中央部側に向けて次第に増加させて、該ブロック11の周方向中間部分に、トレッド幅方向の両端側に位置するそれぞれの幅方向端部10を設けるとともに、該ブロック11の最大周方向長さを、ブロック11の最大幅より長くして、該ブロック11の平面輪郭形状を、周方向両端部側のそれぞれに各端辺11aを有する五角形以上の多角形状とし、前記ブロック11の前記端辺11aの周方向中点位置11bから、該ブロック11の前記それぞれの幅方向端部10の相互を結んだ線分Lの周方向中点位置10aまでの周方向距離a,a1を、周方向溝の最大深さの2倍以上としてなる。
【選択図】図1
Description
これは、ブロックの形状およびその配設位置の適正化を図ることによって耐摩耗性を向上させるべく、「トレッド部の、周方向溝を挟んで隣接する2列のブロック陸部列間で、それらを構成するブロック陸部がタイヤ周方向に互いにずらして配設されており、タイヤ幅方向に隣接しているブロック陸部間の溝部の延在方向がタイヤ幅方向及びタイヤ周方向に対し傾斜しており、タイヤ周方向に隣接するブロック陸部間距離よりも、タイヤ幅方向に隣接するブロック陸部間距離が短くなっている。」とするタイヤである。
前記周方向溝を挟んでトレッド幅方向に隣接する前記ブロック列間で、該ブロック列を構成するそれぞれの前記ブロックを、トレッド周方向に相対的にずらして、いわゆる位相差を付けて配設するとともに、該ブロック列間に延在する該周方向溝の溝幅を、トレッド周方向に隣接するブロック間に、たとえば直線状に延在する前記幅方向溝の溝幅より狭幅としてなるものであって、
前記ブロックのブロック幅を、該ブロックの周方向両端部側から周方向中央部側に向けて次第に増加させて、前記ブロックの周方向中間部分に、該ブロックのトレッド幅方向の両端側に位置するそれぞれの幅方向端部を設けるとともに、前記ブロックの最大周方向長さを、該ブロックの最大幅より長くして、該ブロックの平面輪郭形状を、トレッド周方向の両端部側のそれぞれに各端辺を有する五角形以上の多角形状とし、
前記ブロックの前記端辺の周方向中点位置から、該ブロックの前記それぞれの前記幅方向端部の相互を結んだ線分の周方向中点位置までの周方向距離を、周方向溝の最大深さの2倍以上としてなるものである。
なおここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、または、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYEAR BOOK、欧州では、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)のYEAR BOOK等に、タイヤサイズに応じて規定されたリムを指す。
そして、「規定の内圧」とは、JATMA等の規格で、タイヤサイズに応じて規定される、タイヤの最大負荷能力に対応する充填空気圧(最高空気圧)をいい、「規定の質量」とは、上記の規格でタイヤに負荷することが許される最大の質量、すなわち、最大負荷能力をいう。
なお、ここでいう空気は、窒素ガスその他の不活性ガスに置換することもできる。
そしてまた、「端辺」とは、トレッドパターンの平面視で、五角形以上の多角形状をなすブロックを構成する複数の辺のうち、トレッド周方向の両端側のそれぞれに位置して、トレッド周方向に対して傾斜して延びる辺であって、そのブロックに隣接する幅方向溝に面する辺を意味する。なお、ブロックの「幅方向端部」は、より詳細には、そのブロックのトレッド幅方向の最外端位置に、該ブロックを構成する複数の辺のうちの二個の辺が交わる頂点となる角部が存在するときは、その角部をいい、あるいは、そのブロックのトレッド幅方向の最外端位置に、前記複数の辺のうち、トレッド周方向に沿って延びる辺が存在するときは、トレッド周方向に沿って延びるその辺の中点をいう。
なおこの場合、幅方向溝の溝壁は相互に接触しないので、タイヤへの大入力の作用に際しても、幅方向溝による所要の排水性は十分に確保することができる。
これをいいかえれば、前記の周方向距離を、周方向溝の最大深さの2倍以上とすることで、周方向溝の最大深さを従来技術に比して相対的に浅くして、トレッドゴムの体積の低減による直材費の低減を図り、また、ブロック剛性の増加による、滑り変形量の低減だけでは、ブロック、ひいてはトレッド陸部の摩耗ライフの低下が余儀なくされることになるところ、このタイヤでは、トレッド周方向に沿うブロック長さを長く確保することで、ブロック剛性をより一層高めるとともに、トレッドゴム体積の増加の下で、トレッド陸部の摩耗ライフの低下のおそれを有効に取り除くことができる。
これはすなわち、前記ブロック長さが、短い方の周方向距離の2.5倍を越えると、タイヤへの入力が大きい使用条件の下では、耐摩耗性を、所期したほどに向上させ得ない懸念があるとともに、空車走行時のトレッド接地面内のトレッド幅方向エッジ成分が少なくなりすぎて、駆動性能およびウエット性能の低下が否めなくなる。なお、二つの周方向距離の長さが互いに異なる場合、上記のブロック長さは、短い方の周方向距離の2倍よりも長いものとなる。
つまり、前記周方向距離が、周方向溝の最大深さの2.5倍を越えると、タイヤへの入力が大きい使用条件の下で、耐摩耗性を、所期したほどに向上させ得ない懸念がある。なお、これが3倍を越えると、空車走行時のトレッド接地面内のトレッド幅方向エッジ成分が少なくなりすぎて、駆動性能およびウエット性能の低下が否めなくなるおそれがある。
なおここで「サイプ」とは、空車走行時および積車走行時のいかんを問わず、接地面内でサイプ壁面が相互に密着する程度の細幅溝をいうものとし、延在形態は、直線状、曲線状、ステップ状、ジグザグ状態等とすることができる。
また、前記切欠きの深さを、タイヤ赤道面に近接する側のサイプ端位置で、タイヤ赤道面から離隔する側のサイプ端位置でのそれより浅くした場合は、トレッド踏面の接地圧が高くなるタイヤ赤道面近傍域での対向サイプ壁の開き量を小さくして、サイプ底クラックの発生をより有効に防止することができる。
ところで、トレッド中央域に、相互に隣接する二列以上のブロック列を設けたときは、タイヤの負荷転動に当って、ブロックが相互に支持し合うことにより、周方向剪断剛性を高め、また、接触によってブロックに発生する剪断力をコントロールして、耐摩耗性能を高めることができる。
図1に示すところでは、トレッド踏面1に、トレッド周方向に連続して延びる五本の周方向溝2,3,4を設けて、ジグザグ状の延在形態で形成したこれらの周方向溝2,3,4のジグザグ振幅を、タイヤ赤道面eqからトレッド幅方向の外側に向けて次第に小さくして、トレッド中央域5に形成した三本の周方向溝2,3より、トレッド幅方向の最外側に形成した一対の周方向溝4でジグザグ振幅を最も小さくする。トレッド踏面に設ける周方向溝は、トレッド周方向に対して傾斜するとともに複数箇所で折れ曲がって延びる形態であればよいので、トレッド幅方向およびトレッド周方向のいずれの方向に対しても傾斜する図示のジグザグ状の延在形態の他、たとえば、いずれも図示しない鋸歯状、波形状、クランク状等の延在形態とすることができる。
なお、タイヤの内部補強構造等は、一般的なラジアルタイヤのそれと同様のものとすることができるので、ここでは図示を省略する。
ここにおいて、対をなす幅方向端部10のそれぞれは、各ブロック11の周方向中間部分、すなわち、各ブロック11の周方向中心位置を中央として、ブロック全体の周方向長さの50%の範囲内の部分に位置させることが好ましく、これにより、ブロック11の、トレッド幅方向に沿うブロック幅を、そのブロック11の周方向両端部側から周方向中央部側に向けて次第に増加させる。
なお、トレッド中央域5に二列の、もしくはそれ以上の列数のセンターブロック列6を形成するときは、トレッド幅方向に隣接する二列のブロック列6の相互間に位置してトレッド周方向にジグザグ状に延在する周方向溝、図では周方向溝2の溝深さを、それぞれのブロック列6のトレッド幅方向外側に延在する、ウエアインジケータが形成される周方向溝、図では周方向溝3の最大深さより浅くするとともに、ブロック列6間に延在するその周方向溝2の溝幅を、周方向溝3のそれより狭い、たとえば、1〜3.5mmの範囲とすることが好ましい。なお、「溝深さ」は、適用リムに装着して規定の内圧を充填されたタイヤに、規定の質量を負荷した状態の下で、ブロック表面位置の溝開口部から溝底までをタイヤ半径方向に沿って測った長さをいい、また、「溝幅」は、同様の状態の下、その溝の周囲のブロック表面位置で、溝の延在方向と直交する向きに測った長さをいう。
なおここで、図に示すところでは、先に述べたように、周方向溝2、3の相互間で、ジグザグ振幅および、各直線状部分の、タイヤ赤道面eqに対する傾き角度を相違させている。
図1に示すこのタイヤでは、周方向距離a,a1を、とくに、対象とする二列のセンターブロック列6,6のトレッド幅方向の外側に隣接するそれぞれの周方向溝3の2倍以上とし、それにより、該周方向溝3の溝深さを相対的に浅くすることに基き、それらのセンターブロック列6,6を構成する各ブロック11の剛性を高めて、トレッドの耐摩耗性を大きく向上させることができる。
ここで、二つの周方向距離のうち、短い方の周方向距離に着目したのは、短い方の周方向距離が、周方向溝の最大深さの2倍以上とならないリスクを除くためである。
従ってここでは、各サイプ12は、実質的に、それぞれの切欠き13を介してそれぞれの周方向溝2,3に開口することになる。
なおここで、各サイプ端位置に形成される切欠き13の深さは、図3(c)に示すように、タイヤ赤道面eqに近接する側のサイプ端位置、図では、ジグザグ状周方向溝2側のサイプ端位置で、タイヤ赤道面eqから離隔する側のサイプ端位置、図では、周方向溝3側のサイプ端位置の切欠き13より浅くすることが好ましい。
そしてまた、切欠き13の深さの、サイプ12に対する相対深さは±3mmの範囲とすることが好ましい。
なお、図に示すところでは、セカンドブロック列7に形成した横溝14の溝底に、横溝14の全長にわたって延在するサイプ16を設けることとしている。
なおこの溝底サイプ16は、サイプ底が曲面をなすいわゆるフラスコサイプとすることが、サイプ底クラックの発生を防止する上で好ましい。
図4に示すところでは、中間ピッチブロックの周方向長さを長くすると耐摩耗性が向上して摩耗ライフが高まるものの、周方向長さを長くするにつれて、空車時に接地面内に入り込むエッジ成分が減少することに起因してウエット性能が低下することが解かる。
従ってここでは、現行品タイヤのウエット性能と同様のウエット性能を確保することを前提として、耐摩耗性を限界まで高めるべく、図に破線で示す、周方向溝の最大深さの2倍ラインより図の右側の、斜線を施して示す範囲をブロック長さの推奨域とする。これより、前記ブロック長さが前記周方向溝の最大深さの2倍より小さい場合は、ウエット性能は向上するが耐摩耗性が限界まで高めることができないことがわかる。
加えて図示のタイヤでは、各サイプ端位置に、多角形ブロック11の外側へ凸となる曲面にて区画されて各サイプ壁面に滑らかに連続する切欠き13を設けたことにより、タイヤの負荷転動によって対向するサイプ壁が開く方向に変形されても、サイプ端位置でのサイプ底への応力の集中を防止して、サイプ底へのクラックの発生を有効に防止することができる。
ここで、コントロールタイヤのトレッド中央域の周方向溝の最大深さは16.2mm、トレッド側部域の周方向溝の最大深さは16.7mmとした。
なおここにおける摩耗エネルギーは、室内試験機においてタイヤに3水準の駆動力を与え、ブロックにかかるタイヤ周方向の剪断力とブロックの滑り量を計測することによって測定した。
図7に示すところによれば、0.05Gの低入力に対しては、ピッチ長さの短い実施例タイヤ1が、摩耗エネルギー指数が小さくなって有利である一方、0.15Gの高入力に対しては、ピッチ長さの長い実施例タイヤ3が有利であることが解かる。
従って、ピッチ長さを長くした実施例タイヤ3は、高入力に対してすぐれた耐摩耗性を発揮することができる。
これをいいかえれば、前記の周方向距離を、周方向溝の最大深さの2倍以上とすることで、周方向溝の最大深さを従来技術に比して相対的に浅くして、ブロック剛性を増加させて滑り変形量を低減させることができる。しかし、ブロック剛性の増加および滑り変形量の低減をしても、ブロック、ひいてはトレッド陸部の摩耗ライフの低下が余儀なくされることになるところ、このタイヤでは、トレッド周方向に沿うブロック長さを長く確保することで、ブロック剛性をより一層高めるとともに、トレッドゴム体積の増加の下で、トレッド陸部の摩耗ライフの低下のおそれを有効に取り除くことができる。
これはすなわち、前記ブロック長さが、短い方の周方向距離の2.5倍を越えると、タイヤへの入力が大きい使用条件の下では、耐摩耗性を、所期したほどに向上させ得ない懸念があるとともに、空車走行時のトレッド接地面内のトレッド幅方向エッジ成分が少なくなりすぎて、駆動性能およびウエット性能の低下が否めなくなる。なお、二つの周方向距離の長さが互いに異なる場合、上記のブロック長さは、短い方の周方向距離の2倍よりも長いものとなる。
ここで、二つの周方向距離のうち、短い方の周方向距離に着目したのは、短い方の周方向距離が、周方向溝の最大深さの2倍以上とならないリスクを除くためである。
従ってここでは、各サイプ12は、実質的に、それぞれの切欠き13を介してそれぞれの周方向溝2,3に開口することになる。
なおここで、各サイプ端位置に形成される切欠き13の深さは、図3(c)に示すように、タイヤ赤道面eqに近接する側のサイプ端位置が、タイヤ赤道面eqから離隔する側のサイプ端位置より浅くなることが好ましい。なお図示では、ジグザグ状周方向溝2側のサイプ端位置での切欠き13の深さが、周方向溝3側のサイプ端位置での切欠き13の深さよりも浅くなっている。
図4に示すところでは、中間ピッチブロックの周方向長さを長くすると耐摩耗性が向上して摩耗ライフが高まるものの、周方向長さを長くするにつれて、空車時に接地面内に入り込むエッジ成分が減少することに起因してウエット性能が低下することが解かる。
従ってここでは、現行品タイヤのウエット性能と同様のウエット性能を確保することを前提として、耐摩耗性を限界まで高めるべく、図に破線で示す、周方向溝の最大深さの2倍ラインより図の右側の、斜線を施して示す範囲をブロック長さの推奨域とする。これより、前記ブロック長さが前記周方向溝の最大深さの2倍より小さい場合は、ウエット性能は向上するが耐摩耗性が限界まで高めることができないことがわかる。
Claims (7)
- トレッド踏面に、トレッド周方向に対して傾斜するとともに複数箇所で折れ曲がって延びて、トレッド周方向に連続する二本以上の周方向溝と、トレッド幅方向に相互に隣接する二本の前記周方向溝のそれぞれに開口する幅方向溝とを設け、該周方向溝および幅方向溝により区画される多数個のブロックからなる複数のブロック列を有し、
前記周方向溝を挟んでトレッド幅方向に隣接する前記ブロック列間で、該ブロック列を構成するそれぞれの前記ブロックを、トレッド周方向に相対的にずらして配設するとともに、該ブロック列間に延在する該周方向溝の溝幅を、トレッド周方向に隣接する該ブロック間に延在する前記幅方向溝の溝幅より狭幅としてなる空気入りタイヤであって、
前記ブロックのブロック幅を、該ブロックの周方向両端部側のそれぞれから周方向中央部側に向けて次第に増加させて、前記ブロックの周方向中間部分に、該ブロックのトレッド幅方向の両端側に位置するそれぞれの幅方向端部を設けるとともに、前記ブロックの最大周方向長さを、該ブロックの最大幅より長くして、該ブロックの平面輪郭形状を、周方向両端部側のそれぞれに各端辺を有する五角形以上の多角形状とし、
前記ブロックの前記端辺の周方向中点位置から、該ブロックのそれぞれの前記幅方向端部の相互を結んだ線分の周方向中点位置までの周方向距離を、周方向溝の最大深さの2倍以上としてなる空気入りタイヤ。 - トレッド幅方向に隣接する前記ブロック列の各ブロックに、該ブロックのトレッド幅方向に隣接する二本の前記周方向溝のそれぞれに開口するサイプを設けてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプを、ブロックの前記周方向中央部で、前記周方向溝に開口させてなる請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプを、ブロックの前記幅方向端部のそれぞれで、前記周方向溝に開口させてなる請求項2もしくは3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックの前記各端辺のうちの一方の端辺から測った前記周方向距離と、他方の端辺から測った前記周方向距離とを互いに異なる長さとし、
前記一方の端辺の前記周方向中点位置から前記他方の端辺の前記周方向中点位置までのブロック長さを、互いに長さの異なる二つの前記周方向距離のうちの、短い方の周方向距離の2.5倍以下としてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。 - 前記周方向距離を、周方向溝の最大深さの2.5倍以下としてなる請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックに形成されて、該ブロックに隣接する二本の周方向溝のそれぞれに開口するサイプの各サイプ端位置に、該ブロックの外側へ凸となる曲面により区画されて各サイプ壁面に滑らかに連続する切欠きを形成してなる請求項2〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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