JP2014146974A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパレータのリセットによって生じる同相電位の変動を低減する。
【解決手段】半導体装置90は、増幅部91、比較部92及び電位調整部93を有する。増幅部91は、二つの電圧を増幅して出力する。比較部92は、増幅部91から増幅された二つの電圧を受け、比較結果を出力するとともに、リセットが実施される。電位調整部93は、リセットに応じて変動する、増幅部91と比較部92との接続ノードの同相電位を所望の電位に調整するように働く。
【選択図】図9
【解決手段】半導体装置90は、増幅部91、比較部92及び電位調整部93を有する。増幅部91は、二つの電圧を増幅して出力する。比較部92は、増幅部91から増幅された二つの電圧を受け、比較結果を出力するとともに、リセットが実施される。電位調整部93は、リセットに応じて変動する、増幅部91と比較部92との接続ノードの同相電位を所望の電位に調整するように働く。
【選択図】図9
Description
本発明は、半導体装置に関し、例えばリセット動作を実施する比較部を有する半導体装置に関する。
汎用マイコン、SoC(System-on-a-chip)等には外部から入力されるアナログ信号をディジタル信号に変換し、内部CPU(中央処理装置)により処理するためアナログ・ディジタル変換器(ADC:Analog to Digital Converter)を備えている。汎用マイコンやSoCはトランジスタの微細化技術により、ディジタル領域の面積・消費電力を大きく改善している。一方、アナログ領域は微細化の恩恵を十分に得ることができず、面積や消費電力の面で大きな割合を占めるようになってきた。
加えて、汎用マイコンやSoCでは、高速化に対する要求も依然強いままである。特に、低消費電力化と高速化という相反する性能を向上させるためには、新規技術を導入する必要がある。
例えば、特許文献1には、ビット選択部や比較部の処理時間に着目し、処理を効率化して変換時間や比較期間を短くすることによって、消費される電力を少なくするアナログ・ディジタル変換器が開示されている(例えば、段落0030、0035〜0047、0073〜0077)。
加えて、汎用マイコンやSoCでは、高速化に対する要求も依然強いままである。特に、低消費電力化と高速化という相反する性能を向上させるためには、新規技術を導入する必要がある。
例えば、特許文献1には、ビット選択部や比較部の処理時間に着目し、処理を効率化して変換時間や比較期間を短くすることによって、消費される電力を少なくするアナログ・ディジタル変換器が開示されている(例えば、段落0030、0035〜0047、0073〜0077)。
アナログ・ディジタル変換器は、二つの電圧を比較する比較部を有する。二つの電圧はノードから比較部の入力段へ供給される。正帰還を有する比較部は、ある比較結果がその次回の比較結果に影響を与えるヒステリシス特性を除去するため、比較部の内部ノードがアナログ電源電圧(又はグランド)にリセットされる。アナログ電源電圧へのリセットは、入力段の寄生容量を介して、比較部の入力ノード(以後、入力ノードと呼ぶ)の同相電位を変動させる(キックバック)。一方、比較部のリセットを解除するとアナログ電源電圧にリセットされていた比較部の内部ノードの電位は所望の動作点へと遷移する。入力ノードの同相電位の変動は、入力ノードにおいて不要な差動電位を生じさせることにより、比較部の精度の低下につながる。加えて、入力ノードの同相電位の変動は、比較部の前段に配置される素子の動作の精度を低下させることにつながる。例えば、比較部の前段にプリアンプが配置される場合、ノードの同相電位の変動はプリアンプの同相電位の整定能力の低下させる要因の一つとなる。比較部や比較部の前段の素子の精度低下は、アナログ・ディジタル変換器の精度低下にもつながることになる。
このような精度低下を防止するため、比較部及び比較部の前段に配置される素子では、リセットによる同相電位の変動の影響を解消するように働くことが必要となる。その結果、電力消費の増加や同相電位の変動の影響を解消するまでに時間を要するなど、低消費電力化及び高速化に反する現象が生じていた。
そこで、発明者らは、比較部のリセットに起因する同相電位の変動を低減する手法を発見した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
このような精度低下を防止するため、比較部及び比較部の前段に配置される素子では、リセットによる同相電位の変動の影響を解消するように働くことが必要となる。その結果、電力消費の増加や同相電位の変動の影響を解消するまでに時間を要するなど、低消費電力化及び高速化に反する現象が生じていた。
そこで、発明者らは、比較部のリセットに起因する同相電位の変動を低減する手法を発見した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施形態によれば、比較部を備える半導体装置であって、比較部(コンパレータ)が二つの電圧を受け、比較結果を出力するとともに、リセットが実施される回路であり、リセットに応じて変動する二つの電圧の同相電位を所望の電位に調整するように働く電位調整部を備える。
一実施形態によれば、コンパレータのリセットによって生じる同相電位の変動を低減させる手法を提供することができる。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
まず、リセット動作を実施する比較部を備える半導体装置の一例としてADCを用いて、比較部のリセット動作によって生じる同相電位の変動について説明し、その後、各実施形態について説明する。
まず、リセット動作を実施する比較部を備える半導体装置の一例としてADCを用いて、比較部のリセット動作によって生じる同相電位の変動について説明し、その後、各実施形態について説明する。
図1に半導体装置(LSI:large Scale Integration)の構成例を示す。図1では、アナログ・ディジタル変換器を内蔵するマイコンをイメージしたLSIの一例を示している。半導体装置内部(チップ3)は、アナログ領域1とディジタル領域2とで構成されており、アナログ電源電圧VCCAとアナログ接地電源VSSCA、ディジタル電源電圧VDDとディジタル接地電源VSSがそれぞれ供給される。アナログ領域1は、アナログ・ディジタル変換回路(ADC)11、サンプル・ホールド制御回路(SHC)12、アナログデータレジスタ(ADC Data Resister)13、クロック信号生成回路(PLL)14、マルチプレクサ回路(MPX)15等を備えている。ディジタル領域2は、中央処理装置(CPU)21、リードオンリーメモリ(ROM)22、ランダムアクセスメモリ(RAM)23、ロジック回路(Logic)24、不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ、NV Flash)25、CPU_BUS26とPeriph_BUS27との通信を制御するバスコントローラ回路(BSC)28等を備えている。
ADC11はMPX15により選択された信号(AN0〜AN07)をサンプル・ホールド回路(SH)16にて保持し、ADCコア(ADC Core)17によってその信号をディジタル信号に変換する。その後、アナログデータレジスタ13にディジタル値を一時保存し、CPU21等に情報を転送する。このように、ADC11はセンサ等から送られてきたアナログ信号をディジタル信号に変換しCPU21等によりディジタル処理可能とすることを目的とする。
以降の説明では、ADC11の一例として、逐次比較型(SAR:Successive Approximation Resister)ADC(SAR−ADC)を用いて説明する。まず、図2A〜図2Cを参照してSAR−ADCの概要を説明する。
図2AにSAR−ADC100の基本構成を示す。SAR−ADC100は、プリアンプ110、コンパレータ120、ローカルDAC130、及びSAR論理140からなるADCコアと、サンプル・ホールドスイッチSWSH及びサンプリング容量CSHからなるサンプル・ホールド回路とを有する。
SAR−ADC100は、ノードAINから入力されたアナログ信号をサンプル・ホールドスイッチSWSH、サンプリング容量CSHにより保持する。SAR−ADC100は、保持されたアナログ信号を、ローカルDAC130から出力された比較参照電圧Vxと比較し差分をプリアンプ110により増幅する。増幅された差分はコンパレータ120により極性判定を行い、SAR論理140にて次の比較参照電圧Vxを決定する。
図2BにSAR−ADC100に入力されるアナログ信号(電圧VAIN)のイメージ例を示す。横軸は時間t、縦軸は電圧Vである。また、図2Cは、SAR−ADCの基本動作原理を示す図であり、SAR−ADC100によって、比較参照電圧Vxが決定され、アナログ信号をディジタル信号へ変換する工程を表す。
このように上位から下位に向かい逐次比較を行うことでアナログ信号をディジタル信号に変換しノードADOUTから出力する。また、この図では12bitのSAR−ADCを想定している。
図2AにSAR−ADC100の基本構成を示す。SAR−ADC100は、プリアンプ110、コンパレータ120、ローカルDAC130、及びSAR論理140からなるADCコアと、サンプル・ホールドスイッチSWSH及びサンプリング容量CSHからなるサンプル・ホールド回路とを有する。
SAR−ADC100は、ノードAINから入力されたアナログ信号をサンプル・ホールドスイッチSWSH、サンプリング容量CSHにより保持する。SAR−ADC100は、保持されたアナログ信号を、ローカルDAC130から出力された比較参照電圧Vxと比較し差分をプリアンプ110により増幅する。増幅された差分はコンパレータ120により極性判定を行い、SAR論理140にて次の比較参照電圧Vxを決定する。
図2BにSAR−ADC100に入力されるアナログ信号(電圧VAIN)のイメージ例を示す。横軸は時間t、縦軸は電圧Vである。また、図2Cは、SAR−ADCの基本動作原理を示す図であり、SAR−ADC100によって、比較参照電圧Vxが決定され、アナログ信号をディジタル信号へ変換する工程を表す。
このように上位から下位に向かい逐次比較を行うことでアナログ信号をディジタル信号に変換しノードADOUTから出力する。また、この図では12bitのSAR−ADCを想定している。
次に、プリアンプ110の具体的な構成例を説明する。
図3に抵抗負荷型プリアンプの構成例を示す。図3のプリアンプ111は、NMOS入力の抵抗負荷型プリアンプ回路構成であり、コモンモードフィードバック回路(CMFB:Common Mode Feed Back)が付いている構成例を示す。
プリアンプ111は、入力信号がノードINN,INPから二つのNMOSトランジスタN11,N12からなる差動入力段に入力され、差動入力段に流れる電流の差分と負荷抵抗RLの積が差動出力成分として現れる。プリアンプ111は、差動出力成分をノードOUTN,OUTPへ出力する。
一般にプリアンプは、ノードOUTN,OUTPの同相電位の変動に対して、所望の電位に整定する機能を有する。以降適宜、ノードOUTN,OUTPの同相電位の変動を、「出力同相変動」という。抵抗負荷型のプリアンプは、出力同相変動に対してはコモンモードフィードバック回路がない場合、負荷抵抗RLより注入される電流によって整定させる。一方、図3に示すプリアンプ111のように、コモンモードフィードバック回路が備わっている場合は、コモンモードフィードバック回路により高速な同相成分整定が可能となる。
図3に抵抗負荷型プリアンプの構成例を示す。図3のプリアンプ111は、NMOS入力の抵抗負荷型プリアンプ回路構成であり、コモンモードフィードバック回路(CMFB:Common Mode Feed Back)が付いている構成例を示す。
プリアンプ111は、入力信号がノードINN,INPから二つのNMOSトランジスタN11,N12からなる差動入力段に入力され、差動入力段に流れる電流の差分と負荷抵抗RLの積が差動出力成分として現れる。プリアンプ111は、差動出力成分をノードOUTN,OUTPへ出力する。
一般にプリアンプは、ノードOUTN,OUTPの同相電位の変動に対して、所望の電位に整定する機能を有する。以降適宜、ノードOUTN,OUTPの同相電位の変動を、「出力同相変動」という。抵抗負荷型のプリアンプは、出力同相変動に対してはコモンモードフィードバック回路がない場合、負荷抵抗RLより注入される電流によって整定させる。一方、図3に示すプリアンプ111のように、コモンモードフィードバック回路が備わっている場合は、コモンモードフィードバック回路により高速な同相成分整定が可能となる。
図4にNMOS入力のPMOSダイオード負荷型プリアンプ構成例を示す。図4のプリアンプ112は、NMOSトランジスタN21,N22からなる差動入力段と、PMOSダイオード負荷とを有する。PMOSダイオード負荷は、ダイオード接続されたPMOSトランジスタP21,P22と、クロスカップルで接続されたPMOSトランジスタ(クロスカップルPMOS)P23,P24とで構成される。差動入力信号に対しては、ダイオード接続されたPMOSトランジスタP21,P22とクロスカップルPMOSP23,P24とに入力される電圧の極性が異なるため、それぞれの電流変動分がキャンセルされる。電流変動のキャンセルは、プリアンプ112の負荷を大きくし、差動利得を大きくする。逆に、同相入力信号に対しては、P23,P24がダイオード接続されたPMOSトランジスタとして動作する。よって、P21,P22,P23,P24は同じ極性の素子として振舞うため、プリアンプ112の負荷を小さくする。プリアンプ112では、出力同相変動に対して、PMOSダイオード負荷により高速整定を可能とする。
図5にPMOS入力のNMOSダイオード負荷型プリアンプ構成例を示す。図5のプリアンプ113は、PMOSトランジスタP31,P32からなる差動入力段と、NMOSダイオード負荷とを有する。NMOSダイオード負荷は、ダイオード接続されたNMOSトランジスタN31,N32と、クロスカップルで接続されたNMOSトランジスタ(クロクカップルNMOS)N33,N34で構成される。他の動作は図4のPMOSダイオード負荷型プリアンプと同様であるため説明を省略する。
次に、コンパレータ120の具体的な構成例を説明する。
図6にNMOS入力のダイナミックコンパレータの構成を示す。図6のコンパレータ121は差動入力電圧がノードCMPINP,CMPINNから入力段のNMOSトランジスタN43、N44へ入力される。コンパレータ121は、入力された差動入力電圧をNMOSトランジスタN41,N42とPMOSトランジスタP43,P46のクロスカップルで論理振幅まで増幅させる。コンパレータ121は論理振幅まで増幅し終えるとNMOSトランジスタN41,N42とPMOSトランジスタP43,P46とのラッチ動作によりスタティック電流を消費せず、ダイナミックな電流のみを消費する。また、コンパレータ121は、判定を終えるとヒステリシス特性を除去するため、制御信号SWCMPにより回路をアナログ電源電圧VCCAにリセットする。
図6にNMOS入力のダイナミックコンパレータの構成を示す。図6のコンパレータ121は差動入力電圧がノードCMPINP,CMPINNから入力段のNMOSトランジスタN43、N44へ入力される。コンパレータ121は、入力された差動入力電圧をNMOSトランジスタN41,N42とPMOSトランジスタP43,P46のクロスカップルで論理振幅まで増幅させる。コンパレータ121は論理振幅まで増幅し終えるとNMOSトランジスタN41,N42とPMOSトランジスタP43,P46とのラッチ動作によりスタティック電流を消費せず、ダイナミックな電流のみを消費する。また、コンパレータ121は、判定を終えるとヒステリシス特性を除去するため、制御信号SWCMPにより回路をアナログ電源電圧VCCAにリセットする。
アナログ電源電圧VCCAへのリセットは、入力段のNMOSトランジスタN43,N44のゲート・ドレイン及びゲート・ソースの寄生容量を介しノードCMPINP,CMPINNの電位を上昇させる。逆に、コンパレータ121のリセットを解除するとアナログ電源電圧VCCAに吊られていた電位は所望の動作点へと落下するため、寄生容量を介してノードCMPINP,CMPINNの電位は落下する。この寄生容量を介したノードCMPINP,CMPINNの電位変動を、以下「キックバック」と呼ぶ。言い換えると、本明細書において、キックバックとは、コンパレータがリセットされることに起因して生じる、コンパレータに入力される電圧の同相電位が変動することをいう。
図7にPMOS入力のダイナミックコンパレータの構成例を示す。図7のコンパレータ122は、図6のコンパレータ121とはNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとを入れ替えて構成された回路である。また、コンパレータ122の動作はコンパレータ121と同様であるため、説明を省略する。
図7にPMOS入力のダイナミックコンパレータの構成例を示す。図7のコンパレータ122は、図6のコンパレータ121とはNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとを入れ替えて構成された回路である。また、コンパレータ122の動作はコンパレータ121と同様であるため、説明を省略する。
図8にコンパレータのリセットによるキックバック現象を示す。SAR−ADC101は、図2のSAR−ADC100に対して、プリアンプ110にPMOSダイオード負荷型プリアンプ112(以降、プリアンプ112と称する)を用い、コンパレータ120にNMOS入力のダイナミックコンパレータ121(以降、コンパレータ121と称する)を用いた構成例である。プリアンプ112は、図4に示す回路構成と同様であり、コンパレータ121は、図6に示す回路構成と同様である。
コンパレータ121がアナログ電源電圧VCCAへリセットされると、プリアンプ112の出力同相電位がコンパレータ121内部の寄生容量を介して大きく上昇する。プリアンプ112の出力同相電位の上昇は、プリアンプ112の動作点を変化させ、SAR−ADC100に内在するオフセットキャンセル機能によるオフセットキャンセル効果を減少させる。また、所望の動作点で回路が動作しないと寄生容量のアンバランスによってもオフセットが増加するためADCの性能劣化が懸念される。従来はプリアンプ出力の同相電位を収束させるために、プリアンプ本体やコモンモードフィードバック回路の消費電流を増加させることで高速に収束させていた。しかし、消費電流の削減はADC設計課題の一つとなっていた。
コンパレータ121がアナログ電源電圧VCCAへリセットされると、プリアンプ112の出力同相電位がコンパレータ121内部の寄生容量を介して大きく上昇する。プリアンプ112の出力同相電位の上昇は、プリアンプ112の動作点を変化させ、SAR−ADC100に内在するオフセットキャンセル機能によるオフセットキャンセル効果を減少させる。また、所望の動作点で回路が動作しないと寄生容量のアンバランスによってもオフセットが増加するためADCの性能劣化が懸念される。従来はプリアンプ出力の同相電位を収束させるために、プリアンプ本体やコモンモードフィードバック回路の消費電流を増加させることで高速に収束させていた。しかし、消費電流の削減はADC設計課題の一つとなっていた。
発明者らはプリアンプの消費電力に着目し、プリアンプの差動成分の増幅率を確保できる最小消費電力で設計した。しかしながら、コンパレータのリセット動作に応じて、コンパレータからのキックバックにより大きく変動した同相成分を整定させるためには、設計した最小消費電力では不十分であることを見出した。通常この問題を解決するためにはプリアンプの消費電流を増加させる対策をとっていた。しかしながら、この対策は低消費電力化に反するものであるため、消費電力を増加させる異なくコンパレータの同相電位の変動を低減する手法を開発した。特に、ダイオード負荷を持つ増幅器(プリアンプ)では有効であることも併せて見出した。
以下の各実施形態では、消費電流を増加させることなく容易なシステムでキックバックを低減する手法について、図面を参照して詳細を説明する。
以下の各実施形態では、消費電流を増加させることなく容易なシステムでキックバックを低減する手法について、図面を参照して詳細を説明する。
実施形態1
図9は、一実施形態の半導体装置の構成例を示すブロック図である。図9を参照して、一実施形態の概略を説明する。
図9の半導体装置90は、増幅部91、比較部92、及び電位調整部93を含む。図9では、一実施形態の半導体装置90が少なくとも備える構成要素を示す。一般に上述した構成要素に加え、実現する機能に応じて他の構成要素を含むが、ここでは省略する。
増幅部91は、二つの電圧を増幅して出力する。
比較部92は、増幅部91から増幅された二つの電圧を受け、比較結果の出力及び、リセットが実施される回路である。比較部92は、前回の比較結果によるヒステリシス特性の影響を取り除くため、電源電圧へリセットされる。
電位調整部93は、リセットに応じて変動する、増幅部91と比較部92との接続ノードの同相電位を所望の電位に調整するように働く。図9において、電位調整部93は、増幅部91と比較部92との接続ノードに接続され、比較部92のリセットに応じて、電流を注入するように構成される。電位調整部93は、リセットに応じて、同相電位が上昇する場合には、同相電位を降下させるように働き、同相電位が下降する場合には、同相電位を上昇させるように働く。
図9は、一実施形態の半導体装置の構成例を示すブロック図である。図9を参照して、一実施形態の概略を説明する。
図9の半導体装置90は、増幅部91、比較部92、及び電位調整部93を含む。図9では、一実施形態の半導体装置90が少なくとも備える構成要素を示す。一般に上述した構成要素に加え、実現する機能に応じて他の構成要素を含むが、ここでは省略する。
増幅部91は、二つの電圧を増幅して出力する。
比較部92は、増幅部91から増幅された二つの電圧を受け、比較結果の出力及び、リセットが実施される回路である。比較部92は、前回の比較結果によるヒステリシス特性の影響を取り除くため、電源電圧へリセットされる。
電位調整部93は、リセットに応じて変動する、増幅部91と比較部92との接続ノードの同相電位を所望の電位に調整するように働く。図9において、電位調整部93は、増幅部91と比較部92との接続ノードに接続され、比較部92のリセットに応じて、電流を注入するように構成される。電位調整部93は、リセットに応じて、同相電位が上昇する場合には、同相電位を降下させるように働き、同相電位が下降する場合には、同相電位を上昇させるように働く。
図9の半導体装置90は、例えばADCを含んで構成される。ADCの場合、図9の半導体装置90は一例として次のように構成される。増幅部91は、二つの電圧として入力電圧と比較参照電圧とを受け、入力電圧と比較参照電圧との差分を増幅するプリアンプである。比較部92は、増幅された二つの電圧として増幅された入力電圧及び比較参照電圧を受けるコンパレータである。電位調整部93は、N型またはP型の二つのMOSトランジスタによって構成され、リセットに応じて電流を注入して、増幅された入力電圧及び比較参照電圧の同相電位を調整する。
また、ADCに限られることはなく、半導体装置90は、ADC以外であっても、リセットによって信号が入力されるノードの同相電位が変動する比較部92と、比較部92の前段に配置される増幅部91とから構成される含む他の機能を実現する構成であってもよい。半導体装置90が電位調整部93を増幅部91と比較部92との間に備えることにより、比較部92がリセットされたときに生じるキックバックを、消費電力を増加させずに同相成分を整定させることが可能になる。より詳細には、電位調整部93が接続ノードへの電流を注入することによって、比較部92のリセットによる接続ノードの同相電位の変動を瞬時に解消する。また、これにより増幅部91の同相成分の整定機能が働くようになるため、電位調整部93が調整した電圧電位を所望の電位に整定することができる。
例えば、図8のSAR−ADC101に電位調整部93の機能を実現する回路を追加することにより、一実施形態の有利な効果である、消費電力を増加させずに同相成分を整定させることができる。
以下、具体的な回路構成を参照して説明する。
また、ADCに限られることはなく、半導体装置90は、ADC以外であっても、リセットによって信号が入力されるノードの同相電位が変動する比較部92と、比較部92の前段に配置される増幅部91とから構成される含む他の機能を実現する構成であってもよい。半導体装置90が電位調整部93を増幅部91と比較部92との間に備えることにより、比較部92がリセットされたときに生じるキックバックを、消費電力を増加させずに同相成分を整定させることが可能になる。より詳細には、電位調整部93が接続ノードへの電流を注入することによって、比較部92のリセットによる接続ノードの同相電位の変動を瞬時に解消する。また、これにより増幅部91の同相成分の整定機能が働くようになるため、電位調整部93が調整した電圧電位を所望の電位に整定することができる。
例えば、図8のSAR−ADC101に電位調整部93の機能を実現する回路を追加することにより、一実施形態の有利な効果である、消費電力を増加させずに同相成分を整定させることができる。
以下、具体的な回路構成を参照して説明する。
図10は、実施形態1によるSAR−ADC102の構成例を示す図である。SAR−ADC102は、図8のSAR−ADC101に、電位調整部151を追加した構成である。その他は図2、図8に示す同じ符号の構成要素と同様である。
コンパレータ121がリセットされると、キックバックによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が変動するが、ここでは同相電圧が上昇する場合について説明する。
電位調整部151は、キックバック効果を軽減する回路である。具体的には、電位調整部151として、二つのNMOSトランジスタN1,N2が差動で追加されている。NMOSトランジスタN1,N2は、コンパレータ121のリセットにより上昇した同相電位を瞬時に収束させる。NMOSトランジスタN1,N2はノードSWKICKに入力されるパルス状の制御信号(SWKICK信号)により一瞬ON状態(導通状態)に制御される。ON状態にさせるタイミングはコンパレータ120のリセット時に合わせて行い、NMOSトランジスタN1,N2に電流を流すことにより、上昇した同相電位を落下させる。
コンパレータ121がリセットされると、キックバックによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が変動するが、ここでは同相電圧が上昇する場合について説明する。
電位調整部151は、キックバック効果を軽減する回路である。具体的には、電位調整部151として、二つのNMOSトランジスタN1,N2が差動で追加されている。NMOSトランジスタN1,N2は、コンパレータ121のリセットにより上昇した同相電位を瞬時に収束させる。NMOSトランジスタN1,N2はノードSWKICKに入力されるパルス状の制御信号(SWKICK信号)により一瞬ON状態(導通状態)に制御される。ON状態にさせるタイミングはコンパレータ120のリセット時に合わせて行い、NMOSトランジスタN1,N2に電流を流すことにより、上昇した同相電位を落下させる。
図11は、プリアンプにPMOSダイオード負荷型を使用する場合の、キックバックによる影響を示す。上述しているようにコンパレータ121のリセットはプリアンプ112の出力同相電位を上昇させる。この上昇分を所望の電位まで収束させるためには、十分収束するための時間を確保するか、消費電流を増加させて高速化させるかの少なくとも一方が必要である。また、出力同相電位の上昇はプリアンプ112のPMOSダイオード負荷(PMOSトランジスタP21〜P24)のゲート・ソース間電圧を減少させ、飽和領域から線形領域に動作点を変化させる。線形領域におけるPMOSダイオード負荷の相互コンダクタンスgmは著しく減少するため、同相成分時定数が悪化する。その結果、上昇した同相電位を高速に収束することができなくなる。図11を参照して説明すると、コンパレータ121のリセットに応じてノードCMPINP,CMPINNの同相電位が上昇すると(矢印の箇所)、点線で囲んだPMOSダイオード負荷が潰れてしまうため同相時定数が悪化する。図11に示すプリアンプ112は同相電位に対して下から上に向かって収束させることを得意とし、上から下に向かって収束させることを不得意としている構成例を示している。
図12に、本実施形態の電位調整部がキックバック効果を軽減する回路構成(詳細)を示す。図12では、プリアンプ112の出力がキックバック低減用に挿入したNMOSトランジスタN1,N2により所望の電位に落下すること、及び、PMOSダイオード負荷が十分にゲート・ソース電圧を確保できるので飽和領域で動作できることを示す。
図12に示すように、NMOSトランジスタN1,N2がノードSWKICKから入力されるパルス信号(SWKICK信号)に応じて、電流を流す。これにより、上昇した電位を落下させる。上昇した電位は所望の電位付近まで落下するため、高速に同相電位が収束する。加えて、プリアンプ112のPMOSダイオード負荷は線形領域から飽和領域に動作点が変化するため更に同相電位が収束し易くなる。また、所望の電位よりも落下したとしても、プリアンプ112のPMOSダイオード負荷が飽和領域で動作していれば、高速な同相電位の収束を可能とする。このように、同相電位の調整は、SWKICK信号により制御されたNMOSトランジスタN1,N2を介して電流注入(吸引)を行うことで実施される。電流注入により瞬時に電位が落下するため、高速化にもつながる。
図12に示すように、NMOSトランジスタN1,N2がノードSWKICKから入力されるパルス信号(SWKICK信号)に応じて、電流を流す。これにより、上昇した電位を落下させる。上昇した電位は所望の電位付近まで落下するため、高速に同相電位が収束する。加えて、プリアンプ112のPMOSダイオード負荷は線形領域から飽和領域に動作点が変化するため更に同相電位が収束し易くなる。また、所望の電位よりも落下したとしても、プリアンプ112のPMOSダイオード負荷が飽和領域で動作していれば、高速な同相電位の収束を可能とする。このように、同相電位の調整は、SWKICK信号により制御されたNMOSトランジスタN1,N2を介して電流注入(吸引)を行うことで実施される。電流注入により瞬時に電位が落下するため、高速化にもつながる。
SAR−ADCにおいて、例えば、12ビットのデジタルデータに変換する場合には、入力される電圧を12回比較することになる。言い換えると、コンパレータ121のリセットが12回実施され、同相電位が変動(図12では上昇)することになる。本実施形態の電位調整部を用いることなく、例えば、時間の経過によって同相電位を降下させる場合、同相電位を降下させる時間が12回分必要となり、高速化に反する。時間の経過によらないで同相電位を降下させる場合には、電流を注入することになり消費電力が増加し、省電力化に反する。本実施形態の電位調整部を用いることにより、コンパレータのリセットによって生じる同相電位の変動を、電力消費を増加させることなく、かつ高速に所望の電位へ整定することが可能になる。
実施形態2
実施形態2では、図2のプリアンプ110及びコンパレータ120がPMOS入力である回路構成の場合を説明する。図13は、PMOS入力のプリアンプ113とコンパレータ122とを有するSAR−ADC103の構成例を示す図である。SAR−ADC103は、NMOSダイオード負荷型プリアンプ113(以降、プリアンプ113と称する)、及びPMOS入力のダイナミックコンパレータ122(以降、コンパレータ122と称する)を含み、その他は図2に示す同じ符号の構成要素と同様である。プリアンプ113の詳細な回路構成例は図5、コンパレータ122の詳細な回路構成例は図7に示す通りである。コンパレータ122がPMOS入力である場合、コンパレータ122のリセットによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が落下する(矢印の箇所)。
実施形態2では、図2のプリアンプ110及びコンパレータ120がPMOS入力である回路構成の場合を説明する。図13は、PMOS入力のプリアンプ113とコンパレータ122とを有するSAR−ADC103の構成例を示す図である。SAR−ADC103は、NMOSダイオード負荷型プリアンプ113(以降、プリアンプ113と称する)、及びPMOS入力のダイナミックコンパレータ122(以降、コンパレータ122と称する)を含み、その他は図2に示す同じ符号の構成要素と同様である。プリアンプ113の詳細な回路構成例は図5、コンパレータ122の詳細な回路構成例は図7に示す通りである。コンパレータ122がPMOS入力である場合、コンパレータ122のリセットによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が落下する(矢印の箇所)。
図14は、実施形態2のSAR−ADC104の構成例を示す図である。SAR−ADC104は、図13のSAR−ADC103に、電位調整部152を追加した構成である。その他は図2、図13に示す同じ符号の構成要素と同様である。
図13の回路構成と同様に、コンパレータ122がリセットされると、キックバックによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が下降する。
電位調整部152は、キックバックを軽減する回路である。具体的には、電位調整部152として、二つのPMOSトランジスタP1,P2が差動で追加されている。PMOSトランジスタP1,P2は、コンパレータ122のリセットにより落下した同相電位を瞬時に上昇させる。落下した電位は所望の電位付近まで上昇するため、より高速に同相電位が収束する。図14に示すように、プリアンプ113が入力信号をPMOSトランジスタP32,P33で受けるNMOSダイオード負荷(図5のNMOSトランジスタN31〜N34)である場合、キックバックによる同相電位の落下はNMOSダイオード負荷を線形領域の動作へと変化させる。しかし、キックバック対策用のPMOSトランジスタP1,P2の挿入により、同相電位は上昇するため、NMOSダイオード負荷を飽和領域で動作させることが可能となる。これは、同相電位が高速に収束することを可能にする。このように、同相電位の調整は、SWKICK信号により制御されたPMOSトランジスタP1,P2を介して電流注入(供給)を行うことで実施される。
図13の回路構成と同様に、コンパレータ122がリセットされると、キックバックによりノードCMPINP,CMPINNの同相電位が下降する。
電位調整部152は、キックバックを軽減する回路である。具体的には、電位調整部152として、二つのPMOSトランジスタP1,P2が差動で追加されている。PMOSトランジスタP1,P2は、コンパレータ122のリセットにより落下した同相電位を瞬時に上昇させる。落下した電位は所望の電位付近まで上昇するため、より高速に同相電位が収束する。図14に示すように、プリアンプ113が入力信号をPMOSトランジスタP32,P33で受けるNMOSダイオード負荷(図5のNMOSトランジスタN31〜N34)である場合、キックバックによる同相電位の落下はNMOSダイオード負荷を線形領域の動作へと変化させる。しかし、キックバック対策用のPMOSトランジスタP1,P2の挿入により、同相電位は上昇するため、NMOSダイオード負荷を飽和領域で動作させることが可能となる。これは、同相電位が高速に収束することを可能にする。このように、同相電位の調整は、SWKICK信号により制御されたPMOSトランジスタP1,P2を介して電流注入(供給)を行うことで実施される。
実施形態3
図15にプリアンプに抵抗負荷型を用いた場合の回路図を示す。図15は、図12のプリアンプ112を、図3に示すプリアンプ111に変更した回路構成である。図15では、プリアンプ111、コンパレータ121、及び電位調整部151を示している。抵抗負荷のプリアンプ111の場合でも、SWKICKで制御されるNMOSトランジスタN1,N2を追加することによって、上昇したプリアンプ111の出力同相電位を所望の電位付近に調整することができる。同相電位の変化が小さければ収束時間も短縮されるのは明らかである。また、図15ではNMOS入力のプリアンプ及びコンパレータの場合を示しているが、PMOS入力であるときも実施形態2と同様の方法で同相電位を高速に収束することができる。
図15にプリアンプに抵抗負荷型を用いた場合の回路図を示す。図15は、図12のプリアンプ112を、図3に示すプリアンプ111に変更した回路構成である。図15では、プリアンプ111、コンパレータ121、及び電位調整部151を示している。抵抗負荷のプリアンプ111の場合でも、SWKICKで制御されるNMOSトランジスタN1,N2を追加することによって、上昇したプリアンプ111の出力同相電位を所望の電位付近に調整することができる。同相電位の変化が小さければ収束時間も短縮されるのは明らかである。また、図15ではNMOS入力のプリアンプ及びコンパレータの場合を示しているが、PMOS入力であるときも実施形態2と同様の方法で同相電位を高速に収束することができる。
実施形態4.
実施形態4では、電位調整部93を制御するSWKICK信号を生成する回路について説明する。
図16AにSWKICK発生回路の構成例を示し、図16BにSWKICK発生回路から出力される制御信号の波形図を示す。
SWKICK発生回路180は、NAND回路181、AND回路183、及び遅延ブロック182を有する。SWKICK発生回路180は、入力信号としてSWCMP信号、ENABLE信号、及びDELAY_SEL信号を用いる。SWCMP信号はコンパレータのリセットを制御する制御信号である。ENABLE信号はSWKICK信号を使用するか否かを指定する制御信号である。DELAY_SEL信号は遅延時間を選択する選択用制御信号であり、図16Aでは、経路1、2の遅延時間が異なる経路選択を選択することを可能にする。
実施形態4では、電位調整部93を制御するSWKICK信号を生成する回路について説明する。
図16AにSWKICK発生回路の構成例を示し、図16BにSWKICK発生回路から出力される制御信号の波形図を示す。
SWKICK発生回路180は、NAND回路181、AND回路183、及び遅延ブロック182を有する。SWKICK発生回路180は、入力信号としてSWCMP信号、ENABLE信号、及びDELAY_SEL信号を用いる。SWCMP信号はコンパレータのリセットを制御する制御信号である。ENABLE信号はSWKICK信号を使用するか否かを指定する制御信号である。DELAY_SEL信号は遅延時間を選択する選択用制御信号であり、図16Aでは、経路1、2の遅延時間が異なる経路選択を選択することを可能にする。
NAND回路181は、SWCMP信号とENABLE信号との論理積を反転させて出力する。NAND回路181は、ENABLE信号がSWKICK信号の使用を指定するときに、SWICK信号の値を反転させて出力し、ENABLE信号がSWKICK信号の不使用を指定するときに、ロウレベルの信号を出力する。遅延ブロック182は、NAND回路181から受けた信号を、DELAY_SEL信号が選択する経路に基づいて遅延させて出力する。遅延ブロック182は、DELAY_SEL信号によって、経路1と、経路1より長い時間遅延させる経路2とのいずれかを選択できるように構成されている。AND回路183は、NAND回路181からの出力と遅延ブロック182からの出力との論理積をSWKICK信号として出力する。
ENABLE信号,DELAY_SEL信号はチップ内のレジスタ等により設定し、本機能を実行する。
図16Bに示すように、SWKICK発生回路180は、SWCMP信号がコンパレータのリセット開始を指示すると(図16Bでは、ハイレベルからロウレベルへの切り替え)、SWKCK信号をハイレベルに切り替える。このとき、経路1または経路2により、SWKICK信号がハイレベルを維持する幅長が異なる。DELAY_SEL信号は、SWKICK信号がハイレベルとなる幅長を変更することで、より精度の高いキックバックキャンセルを可能とする。
ENABLE信号,DELAY_SEL信号はチップ内のレジスタ等により設定し、本機能を実行する。
図16Bに示すように、SWKICK発生回路180は、SWCMP信号がコンパレータのリセット開始を指示すると(図16Bでは、ハイレベルからロウレベルへの切り替え)、SWKCK信号をハイレベルに切り替える。このとき、経路1または経路2により、SWKICK信号がハイレベルを維持する幅長が異なる。DELAY_SEL信号は、SWKICK信号がハイレベルとなる幅長を変更することで、より精度の高いキックバックキャンセルを可能とする。
SWKICK発生回路180を用いることにより、例えば次のような同相電位の調整に対応することを可能にする。例えば、図10のSAR−ADC102において同相電位を下降させる場合、プリアンプ112は、同相電位を上昇させることが、同相電位を下降させるよりも容易であるため、所望の電位より低めに調整することが好ましい。また、SAR−ADCがPMOSダイオード負荷型のプリアンプで構成される場合、電位を下に下げた方がPMOSのダイオード負荷としての機能が発揮できるため、同相電位を下げた方が好ましい。さらに、抵抗負荷型のプリアンプにコモンモードフィードバック回路が配置されている場合、コモンモードフィードバック回路の動作に都合がよい電位に調整することが好ましい。その他、プリアンプの動作に適切な電位に調整することが好ましい。
実施形態5.
上記各実施形態では、電位調整部を増幅部91と比較部92との接続ノードに配置する態様を説明した。本実施形態では、電位調整部を比較部に配置する態様を説明する。
図17は、他の一実施形態の半導体装置の構成例を示すブロック図である。半導体装置95は、比較部96及び電位調整部97を含む。半導体装置95は、上述した構成要素に加え、実現する機能に応じて他の構成要素を含むが、ここでは省略する。
比較部96は、二つの電圧を受けて動作する入力段を有し、二つの電圧を比較した比較結果を出力するとともに、リセットが実施される。
電位調整部97は、比較部96の入力段と逆極性の電荷を注入するように構成され、リセットに応じて変動する二つの電圧の同相電位を所望の電位に調整するように働く。
例えば、比較部96の入力段は、二つの電圧として入力電圧と比較参照電圧を受け、これらの電圧により動作する回路である。比較部96が電源電圧にリセットされると入力電圧と比較参照電圧との同相電位が変動する。電位調整部97は、入力段と逆動作を実施するように構成され、入力段と逆極性の電荷を注入する。入力段がN型またはP型の一組のMOSトランジスタにより構成される場合、電位調整部97は、ゲートサイズ及び導電型が同じ一組のMOSトランジスタにより構成される。
上記各実施形態では、電位調整部を増幅部91と比較部92との接続ノードに配置する態様を説明した。本実施形態では、電位調整部を比較部に配置する態様を説明する。
図17は、他の一実施形態の半導体装置の構成例を示すブロック図である。半導体装置95は、比較部96及び電位調整部97を含む。半導体装置95は、上述した構成要素に加え、実現する機能に応じて他の構成要素を含むが、ここでは省略する。
比較部96は、二つの電圧を受けて動作する入力段を有し、二つの電圧を比較した比較結果を出力するとともに、リセットが実施される。
電位調整部97は、比較部96の入力段と逆極性の電荷を注入するように構成され、リセットに応じて変動する二つの電圧の同相電位を所望の電位に調整するように働く。
例えば、比較部96の入力段は、二つの電圧として入力電圧と比較参照電圧を受け、これらの電圧により動作する回路である。比較部96が電源電圧にリセットされると入力電圧と比較参照電圧との同相電位が変動する。電位調整部97は、入力段と逆動作を実施するように構成され、入力段と逆極性の電荷を注入する。入力段がN型またはP型の一組のMOSトランジスタにより構成される場合、電位調整部97は、ゲートサイズ及び導電型が同じ一組のMOSトランジスタにより構成される。
半導体装置95は、電位調整部97によって比較部96の入力段とは逆極性の電荷を注入されるため、リセットによる同相電位の変動を抑制することができる。
図17では、半導体装置95が備える比較部96の前段の素子を記載していないが、前段の素子は、図9と同様に増幅部91が配置されてもよい。また、他の素子が配置されていてもよい。本実施形態では、比較部96及び電位調整部97によってリセットによる同相電位の変動を削減するものであり、前段に配置される素子と協働して同相電位を整定することを前提としていない。
以下、具体的な回路構成を参照して説明する。
図17では、半導体装置95が備える比較部96の前段の素子を記載していないが、前段の素子は、図9と同様に増幅部91が配置されてもよい。また、他の素子が配置されていてもよい。本実施形態では、比較部96及び電位調整部97によってリセットによる同相電位の変動を削減するものであり、前段に配置される素子と協働して同相電位を整定することを前提としていない。
以下、具体的な回路構成を参照して説明する。
図18に、コンパレータ内に電位調整部を備え、キックバック対策を施したコンパレータ161の回路図を示す。コンパレータ161は、破線内に示すダミー回路(電位調整回路)171を備えることを特徴とする。ダミー回路171は、図9の電位調整部97に対応する回路である。ノードCMPINP,CMPINNは入力信号ポートである。NMOSトランジスタMNINP,MNINNは、入力段を構成し、コンパレータ161の入力ゲートとして動作する。ダミー回路171内のNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDは、NMOSトランジスタMNINP,MNINNと同じゲートサイズで設計される。SWCMP信号はコンパレータ161のリセットを制御する制御信号であり、SWCMPB信号はその逆極性の制御信号である。SWCMPB信号はNMOSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1のゲートに入力される。このような構成により、NMOSトランジスタMN1はNMOSトランジスタMNSWCMP0と逆動作を行い、PMOSトランジスタMP1はPMOSトランジスタMPSWCMP2〜5と逆動作を行う。ダミー回路171を追加することで、キックバックが大幅に低減できることを見出した。
図19にキックバックが低減される原理を示す。
キックバックについては上述しているが、図19を参照すると、次のように説明することができる。本実施形態では、コンパレータ161のキックバックとは、SWCMP信号がロウレベルからハイレベルに遷移したとき(リセット開始時、L→H)、または、ハイレベルからロウレベルに遷移するとき(リセット解除時、H→L)に、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間容量を介して、ノードCMPINP,CMPINNに電荷が注入されることで発生する同相電位の変動と定義する。
キックバックを低減するためには、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのダミートランジスタであるNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDを配置し、SWCMPB信号によりNMOSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1を適切に制御する。これにより、NMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間容量を介して、キックバックと逆極性の電荷をノードCMPINP,CMPINNに注入させる。その結果、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのキックバックをキャンセルし、電位変動を抑制する。
キックバックについては上述しているが、図19を参照すると、次のように説明することができる。本実施形態では、コンパレータ161のキックバックとは、SWCMP信号がロウレベルからハイレベルに遷移したとき(リセット開始時、L→H)、または、ハイレベルからロウレベルに遷移するとき(リセット解除時、H→L)に、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間容量を介して、ノードCMPINP,CMPINNに電荷が注入されることで発生する同相電位の変動と定義する。
キックバックを低減するためには、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのダミートランジスタであるNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDを配置し、SWCMPB信号によりNMOSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1を適切に制御する。これにより、NMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間容量を介して、キックバックと逆極性の電荷をノードCMPINP,CMPINNに注入させる。その結果、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのキックバックをキャンセルし、電位変動を抑制する。
図19中、太字の矢印等で示した箇所は、SWCMP信号がロウレベルからハイレベルに遷移するリセット解除時(コンパレータ比較開始時)の電位の変化を示す。ノードPN1,PP1は、リセット時に電源電圧VCCAへと吊り上げられており、リセットが解除されると所望の電位へと下降する。このとき、ノードPN1,PP1電位の下降は、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのゲート・ドレイン間容量を介して、ノードCMPINP,CMPINNの電位を下降させる。また、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのソース電位はリセット解除時に所望の電位(0Vより大きい電位)から0V付近まで下降する。このため、NMOSトランジスタMNINP,MNINNのゲート・ソース間容量を介して、ノードCMPINP,CMPINNの電位を下降させる。このとき、逆にダミー回路171のNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのドレイン、ソース電位は上昇し、ゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間容量を介して、ノードCMPINP,CMPINNの電位を上昇させる。NMOSトランジスタMNINP,MNINNとNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのゲードサイズを同じにすると、ノードCMPINP,CMPINNの下降量と上昇量とが等しくなり、キックバックを低減することができる。
リセット時には、上述した動作と逆動作を行うことで、キックバックを低減することができる。
リセット時には、上述した動作と逆動作を行うことで、キックバックを低減することができる。
このように、ダミー回路171のNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのゲート・ドレイン間容量、ゲート・ソース間容量を介して逆極性のキックバックをノードCMPINP,CMPINNに加える。これにより、キックバックによる電位変動を瞬時に低減するという有利な効果を奏することができる。瞬時にキックバックが整定する理由は、NMOSトランジスタMN1及びPMOSトランジスタMP1をON状態したときのオン抵抗が十分に低いからである。オン抵抗が低ければ、整定時間を決定する時定数も小さくすることできる。
ここで、本実施形態と実施形態1との電位調整の手法は、リセットに起因する同相電位の変動を低減するという点では共通するが、次のような相違がある。実施形態1では、ノードCMPINP,CMPINNの同相電位は、SWKICK信号により制御されるNMOSトランジスタN1,N2を介して電流注入(吸引)を行うことで調整される。これに対して、本実施形態では、ノードCMPINP,CMPINNの同相電位は、ダミー回路171のNMOSトランジスタMNINPD,MNINNDのゲート・ドレイン間容量及びゲート・ソース間容量を介した電流注入(吸引)により調整される。
加えて、実施形態1では、リセット開始時に電流を注入することにより、接続ノード(ノードCMPINP,CMPINN)の同相電位の変動を瞬時に低減する。これにより、プリアンプは、接続ノードの同相電位の変動によって線形領域に遷移した状態から、飽和領域に遷移することになる。その結果、プリアンプは、同相電位を所望の電位に整定することが可能になる。
一方、本実施形態では、コンパレータの前段にプリアンプが配置されているか否かに関係なく、言い換えると、プリアンプの同相電位の整定機能を利用することなく、コンパレータ内でリセットによる同相電位の電位変動を整定することが可能である。具体的には、コンパレータの入力段と逆極性の電荷を注入し、かつ、入力段と同じゲートサイズ及び導電型のMOSトランジスタにより構成される電位調整部をコンパレータ内に有する。これにより、ゲート・ドレイン間容量及びゲート・ソース間容量を介した電流注入によって、ノードCMPINP,CMPINNの同相電位を所望の電位に整定する。加えて、電位調整部は、リセット開始時のみでなくリセット解除時にもノードCMPINP,CMPINNの同相電位を所望の電位に整定することを可能とする。
加えて、実施形態1では、リセット開始時に電流を注入することにより、接続ノード(ノードCMPINP,CMPINN)の同相電位の変動を瞬時に低減する。これにより、プリアンプは、接続ノードの同相電位の変動によって線形領域に遷移した状態から、飽和領域に遷移することになる。その結果、プリアンプは、同相電位を所望の電位に整定することが可能になる。
一方、本実施形態では、コンパレータの前段にプリアンプが配置されているか否かに関係なく、言い換えると、プリアンプの同相電位の整定機能を利用することなく、コンパレータ内でリセットによる同相電位の電位変動を整定することが可能である。具体的には、コンパレータの入力段と逆極性の電荷を注入し、かつ、入力段と同じゲートサイズ及び導電型のMOSトランジスタにより構成される電位調整部をコンパレータ内に有する。これにより、ゲート・ドレイン間容量及びゲート・ソース間容量を介した電流注入によって、ノードCMPINP,CMPINNの同相電位を所望の電位に整定する。加えて、電位調整部は、リセット開始時のみでなくリセット解除時にもノードCMPINP,CMPINNの同相電位を所望の電位に整定することを可能とする。
続いて、本実施形態の電位調整部がキックバックを低減する機能を、電位の波形イメージを用いて説明する。図20A、22Aは、実施形態5の電位の遷移を説明する回路構成例を示す図である。図20B、21Bは、電位の遷移を示す波形イメージを示す図である。
図20AはノードCMPINP,CMPINNに直列に容量C1,C2を接続した場合である。図21AはノードCMPINP,CMPINNに直列に抵抗R1,R2を接続した場合である。図20A、20Bともに、ダミー回路有(ダミー回路追加)の回路構成では、図18のコンパレータ(NMOS入力のダイナミックコンパレータ)161を用いる。また、図20A、20Bには示していないが、ダミー回路無の回路構成では、図6のコンパレータ(NMOS入力のダイナミックコンパレータ)121を用い、図中のコンパレータ161をコンパレータ121に差し替えた回路構成となる。
図20Aでは、コンパレータ161(121)のNMOSトランジスタに電圧を供給するノードCMPINP,CMPINNはHiZノードなるため電荷保存の法則が成り立つ。これに対し、図21Aでは、コンパレータ161(121)のNMOSトランジスタに電圧を供給するノードCMPINP,CMPINNは、抵抗R1,R2の数kΩ〜数十kΩとcp1,cp2の時定数を有するノードとなり、その時定数に応じて所望の電位に整定する。
図20AはノードCMPINP,CMPINNに直列に容量C1,C2を接続した場合である。図21AはノードCMPINP,CMPINNに直列に抵抗R1,R2を接続した場合である。図20A、20Bともに、ダミー回路有(ダミー回路追加)の回路構成では、図18のコンパレータ(NMOS入力のダイナミックコンパレータ)161を用いる。また、図20A、20Bには示していないが、ダミー回路無の回路構成では、図6のコンパレータ(NMOS入力のダイナミックコンパレータ)121を用い、図中のコンパレータ161をコンパレータ121に差し替えた回路構成となる。
図20Aでは、コンパレータ161(121)のNMOSトランジスタに電圧を供給するノードCMPINP,CMPINNはHiZノードなるため電荷保存の法則が成り立つ。これに対し、図21Aでは、コンパレータ161(121)のNMOSトランジスタに電圧を供給するノードCMPINP,CMPINNは、抵抗R1,R2の数kΩ〜数十kΩとcp1,cp2の時定数を有するノードとなり、その時定数に応じて所望の電位に整定する。
図20Bに示すように、図20Aの回路構成では、ダミー回路無の場合(点線)、同相電位(CMPINP+CMPINN)/2が変動し、電荷保存の法則のため電位が維持される。一方、ダミー回路有の場合(実線)は、同相電位は所望の値に瞬時に整定する。図20Bでは、ダミー回路有の場合には、ダミー回路無に比べ、同相電位の変動幅が、符号D1で示す幅縮小されることを示している。これは、コンパレータの速度改善と寄生容量感度(cp1,cp2の差)による精度劣化を軽減させる効果を持つ。
図21Bに示すように、図21Bの回路構成では、ダミー回路無の場合(点線)、同相電位(CMPINP+CMPINN)/2が大きく変動し、その整定はR1,R2とcp1,cp2の時定数で決定する。一方、ダミー回路有の場合(点線)は、同相電位変動も小さく、整定時間も早い。図21Bでは、ダミー回路有の場合には、ダミー回路無に比べ、同相電位の変動幅が、符号D2で示す幅縮小されることを示している。これは、コンパレータの速度改善と寄生容量感度(cp1,cp2の差)による精度劣化を軽減させる効果を持つ。
図21Bに示すように、図21Bの回路構成では、ダミー回路無の場合(点線)、同相電位(CMPINP+CMPINN)/2が大きく変動し、その整定はR1,R2とcp1,cp2の時定数で決定する。一方、ダミー回路有の場合(点線)は、同相電位変動も小さく、整定時間も早い。図21Bでは、ダミー回路有の場合には、ダミー回路無に比べ、同相電位の変動幅が、符号D2で示す幅縮小されることを示している。これは、コンパレータの速度改善と寄生容量感度(cp1,cp2の差)による精度劣化を軽減させる効果を持つ。
図20B、21Bでは、コンパレータの前段に接続される可能性がある素子(時定数)の構成を用いて、本実施形態により電位変動が低減され、コンパレータの精度を向上させることを説明した。また、図21A、21Bは、コンパレータの前段にプリアンプが接続された場合の出力インピーダンスを抵抗で模擬するという一般的な構成を用いて、本実施形態により電位変動が抑制される状態を説明した。従って、コンパレータの前段にプリアンプを配置する回路において、電位調整部を備える場合には、図21Bと同様の効果を奏することができる。コンパレータの精度を向上させる、言い換えると、リセットに起因する同相電位の変動を低減させることによって、プリアンプの出力同相電位の変動を低減することになる。その結果、プリアンプの電力消費を低減するという有利な効果を奏することもできる。加えて、リセット時においてプリアンプの出力同相電位の変動が低減されることにより、プリアンプの動作点が飽和領域から線形領域に遷移することを抑制することが可能になる。これにより、プリアンプが飽和領域で動作可能になるため、同相電位整定の機能を維持することができる。
実施形態6.
実施形態6では、コンパレータがPMOS入力である場合を説明する。本実施形態では、図7に示すPMOS入力のコンパレータの回路構成を用いて説明する。図22に、電位調整回路(ダミー回路)を追加したコンパレータ162の一例を示す。PMOS入力のコンパレータ162は、図7に示すコンパレータ122へダミー回路(電位調整回路)172を追加したものである。ダミー回路172は、図18のコンパレータ161と同様に、図9の電位調整部97に対応する回路である。ノードCMPINP,CMPINNは入力信号ポートである。PMOSトランジスタP52,P53は、入力段を構成し、コンパレータ162の入力ゲートとして動作する。ダミー回路172内のPMOSトランジスタP52D,P53Dは、PMOSトランジスタP52,P53と同じゲートサイズで設計される。SWCMP信号はコンパレータ162のリセットを制御する制御信号であり、SWCMPB信号はその逆極性の制御信号である。SWCMPB信号はNMOSトランジスタMN2,PMOSトランジスタMP2のゲートに入力される。このような構成により、NMOSトランジスタMN2はNMOSトランジスタN51〜N54と逆動作を行い、PMOSトランジスタMP2はPMOSトランジスタP51と逆動作を行う。
PMOS入力のコンパレータにおいても、NMOS入力のコンパレータと同様の効果を得ることがきる。
実施形態6では、コンパレータがPMOS入力である場合を説明する。本実施形態では、図7に示すPMOS入力のコンパレータの回路構成を用いて説明する。図22に、電位調整回路(ダミー回路)を追加したコンパレータ162の一例を示す。PMOS入力のコンパレータ162は、図7に示すコンパレータ122へダミー回路(電位調整回路)172を追加したものである。ダミー回路172は、図18のコンパレータ161と同様に、図9の電位調整部97に対応する回路である。ノードCMPINP,CMPINNは入力信号ポートである。PMOSトランジスタP52,P53は、入力段を構成し、コンパレータ162の入力ゲートとして動作する。ダミー回路172内のPMOSトランジスタP52D,P53Dは、PMOSトランジスタP52,P53と同じゲートサイズで設計される。SWCMP信号はコンパレータ162のリセットを制御する制御信号であり、SWCMPB信号はその逆極性の制御信号である。SWCMPB信号はNMOSトランジスタMN2,PMOSトランジスタMP2のゲートに入力される。このような構成により、NMOSトランジスタMN2はNMOSトランジスタN51〜N54と逆動作を行い、PMOSトランジスタMP2はPMOSトランジスタP51と逆動作を行う。
PMOS入力のコンパレータにおいても、NMOS入力のコンパレータと同様の効果を得ることがきる。
その他の実施形態
図9では、比較部92の前段に増幅部91を配置する場合を説明したが、増幅部91にかえて、比較部92に入力される二つの電圧の同相電位を整定する素子を配置する場合であってもよい。
図9では、比較部92の前段に増幅部91を配置する場合を説明したが、増幅部91にかえて、比較部92に入力される二つの電圧の同相電位を整定する素子を配置する場合であってもよい。
上記各実施形態で説明したように、一実施形態によれば、比較部のリセットに応じて生じる同相電位の変動を低減することができる。これにより、比較部に供給される電圧の変動を低減することにより、比較部の精度を向上させることができる。さらに、比較部の前段に配置される素子の精度を向上させることができる。その結果、当該比較部を有する半導体装置(例えば、ADC)の精度を向上させることが可能になる。加えて、比較部に供給される電圧の変動によって要していた比較部またはその前段の素子の精度を維持するための電力消費や時間を削減することができるため、低消費電力化及び高速化を図ることが可能となる。
上記各実施形態の半導体装置は、例えば、ADC内蔵の差動増幅器、SAR−ADC以外の適用ADC、Flash−ADC、Pipeline−ADC、ΔΣ−ADC等のコンパレータ(量子化器)を使用するADCには適用することができる。
さらに加え、リセットされるコンパレータを使用する回路に適用することが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
さらに加え、リセットされるコンパレータを使用する回路に適用することが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
1 アナログ領域
2 ディジタル領域
3 チップ
11 アナログ・ディジタル変換回路(ADC)
12 サンプル・ホールド制御回路(SHC)
13 アナログデータレジスタ
14 クロック信号生成回路(PLL)
15 マルチプレクサ回路(MPX)
21 中央処理装置(CPU)
22 リードオンリーメモリ(ROM)
23 ランダムアクセスメモリ(RAM)
24 ロジック回路(Logic)
25 不揮発性メモリ(NV Flash)
26 CPU_BUS
27 Periph_BUS
28 バスコントローラ回路(BSC)
90、95 半導体装置
91 増幅部
92、96 比較部
93、97、151、152 電位調整部
100 SAR−ADC100
110〜113 プリアンプ
120〜122、161、162 コンパレータ
130 ローカルDAC
140 SAR論理
171、172 ダミー回路(電位調整回路)
180 SWKICK発生回路
181 NAND回路
183 AND回路
182 遅延ブロック
CSH サンプリング容量
N1、N2、N11〜N13、N21〜N23、N31〜N34、N41〜N45、N51〜N56、MNINP、MNINPD、MNINN、MNINND NMOSトランジスタ
P1、P2、P21〜P22、P31〜P33、P41〜P46、P51〜P55 PMOSトランジスタ
RL 抵抗
SWSH サンプル・ホールドスイッチ
VCCA アナログ電源電圧アナログ接地電源
VSSCA アナログ接地電源
VDD ディジタル電源電圧
VSS ディジタル接地電源
2 ディジタル領域
3 チップ
11 アナログ・ディジタル変換回路(ADC)
12 サンプル・ホールド制御回路(SHC)
13 アナログデータレジスタ
14 クロック信号生成回路(PLL)
15 マルチプレクサ回路(MPX)
21 中央処理装置(CPU)
22 リードオンリーメモリ(ROM)
23 ランダムアクセスメモリ(RAM)
24 ロジック回路(Logic)
25 不揮発性メモリ(NV Flash)
26 CPU_BUS
27 Periph_BUS
28 バスコントローラ回路(BSC)
90、95 半導体装置
91 増幅部
92、96 比較部
93、97、151、152 電位調整部
100 SAR−ADC100
110〜113 プリアンプ
120〜122、161、162 コンパレータ
130 ローカルDAC
140 SAR論理
171、172 ダミー回路(電位調整回路)
180 SWKICK発生回路
181 NAND回路
183 AND回路
182 遅延ブロック
CSH サンプリング容量
N1、N2、N11〜N13、N21〜N23、N31〜N34、N41〜N45、N51〜N56、MNINP、MNINPD、MNINN、MNINND NMOSトランジスタ
P1、P2、P21〜P22、P31〜P33、P41〜P46、P51〜P55 PMOSトランジスタ
RL 抵抗
SWSH サンプル・ホールドスイッチ
VCCA アナログ電源電圧アナログ接地電源
VSSCA アナログ接地電源
VDD ディジタル電源電圧
VSS ディジタル接地電源
Claims (20)
- 二つの電圧を増幅して出力する増幅部と、
前記増幅部から増幅された二つの電圧を受け、比較結果の出力及びリセットが実施される比較部と、
前記リセットに応じて変動する、前記増幅部と前記比較部との接続ノードの同相電位を所望の電位に調整するように働く電位調整部と、
を有する半導体装置。 - 前記電位調整部は、前記増幅部と前記比較部との間に配置され、前記リセットに応じて、電流を注入あるいは引き抜きを行うように構成される請求項1に記載の半導体装置。
- 前記リセットは前記比較部の内部ノードに、電源電圧に接続することで行われ、
前記電位調整部は、前記リセットに応じて前記同相電位が上昇する場合には、前記同相電位を降下させ、前記リセットに応じて前記同相電位が下降する場合には、前記同相電位を上昇させる請求項1に記載の半導体装置。 - 前記電位調整部は、前記同相電位が上昇する場合には、前記接続ノードと接地電位との間に配置されるN型MOSトランジスタによって構成され、前記同相電位が下降する場合には、前記電源電圧と前記接続ノードとの間に配置されるP型MOSトランジスタによって構成される請求項3に記載の半導体装置。
- 前記N型MOSトランジスタまたは前記P型MOSトランジスタは、ゲートへ前記リセットに応じて変化する制御信号が接続され、前記制御信号に応じて電流を注入する請求項4に記載の半導体装置。
- 前記電位調整部は、前記リセットの開始に応じて前記制御信号をハイレベルにし、前記制御信号がハイレベルを維持する長さを前記増幅部に応じて調整できるように構成されている請求項5に記載の半導体装置。
- 前記比較部は、ダイナミック型のコンパレータで構成される請求項1に記載の半導体装置。
- 前記比較部は、入力段がN型MOSトランジスタで構成され、負荷段がP型MOSトランジスタで構成され、電源電圧によってリセットされ、
前記電位調整部は、前記接続ノードと接地電位との間に配置されるN型MOSトランジスタにより構成され、前記リセットに応じて動作する制御信号によって、前記接続ノードから前記接地電位へ電流を注入する請求項1に記載の半導体装置。 - 前記比較部は、入力段がP型MOSトランジスタで構成され、負荷段がN型MOSトランジスタで構成され、電源電圧によってリセットされ、
前記電位調整部は、前記接続ノードと電源電圧との間に配置されるP型MOSトランジスタにより構成され、前記リセットに応じて動作する制御信号によって、前記電源電圧から前記接続ノードへ電流を注入する請求項1に記載の半導体装置。 - 前記半導体装置は、アナログデジタルコンバータであり、
前記増幅部は、前記二つの電圧として入力電圧と比較参照電圧とを受け、前記入力電圧と前記比較参照電圧との差分を増幅するプリアンプであり、
前記比較部は、前記増幅された二つの電圧として前記増幅された前記入力電圧及び比較参照電圧を受けるNMOS入力またはPMOS入力のコンパレータであり、
前記電位調整部は、前記比較部がNMOS入力のコンパレータである場合には、二つのN型MOSトランジスタによって構成され、前記比較部がPMOS入力のコンパレータである場合には、二つのP型MOSトランジスタによって構成され、前記リセットに応じて電流を注入して、前記増幅された前記入力電圧及び前記比較参照電圧の前記同相電位を調整する請求項1に記載の半導体装置。 - 前記プリアンプは、ダイオード接続された一組のMOSトランジスタと、前記一組のMOSトランジスタと同じ導電型であり、クロクカップルで接続された一組のMOSトランジスタとからなるMOSダイオード負荷を有するMOS負荷型プリアンプである請求項10に記載の半導体装置。
- 前記アナログデジタルコンバータは、逐次比較型のアナログデジタルコンバータである請求項10に記載の半導体装置。
- 前記比較部は、前記二つの電圧を受けて動作する入力段を有し、
前記電位調整部は、前記比較部内に配置され、前記リセットに応じて、前記入力段と逆極性の電荷を前記接続ノードへ注入するように構成されている請求項1に記載の半導体装置。 - 前記比較部は、前記入力段が一組の第1のMOSトランジスタにより構成され、前記二つの電圧が前記一組の第1のMOSトランジスタのゲートに入力され、
前記電位調整部は、前記二つの電圧を受けて動作する一組の第2のMOSトランジスタを有し、前記一組の第2のトランジスタが前記一組の第1のMOSトランジスタと逆動作を実施するように構成されている請求項13に記載の半導体装置。 - 前記一組の第2のMOSトランジスタは、ゲートサイズ及び導電型が前記一組の第1のMOSトランジスタと同じである請求項14に記載の半導体装置。
- 二つの電圧を受けて動作する入力段を有し、前記二つの電圧を比較した比較結果を出力するとともに、リセットが実施される比較部と、
前記入力段と逆極性の電荷を注入するように構成され、前記リセットに応じて変動する前記二つの電圧の同相電位を所望の電位に調整するように働く電位調整部と、
を有する半導体装置。 - 前記比較部は、前記入力段が一組の第1のMOSトランジスタにより構成され、前記二つの電圧が前記一組の第1のMOSトランジスタのゲートに入力され、
前記電位調整部は、前記二つの電圧を受けて動作する一組の第2のMOSトランジスタを有し、前記一組の第2のトランジスタが前記一組の第1のMOSトランジスタと逆動作を実施するように構成されている請求項16に記載の半導体装置。 - 前記一組の第2のMOSトランジスタは、ゲートサイズ及び導電型が前記一組の第1のMOSトランジスタと同じである請求項17に記載の半導体装置。
- 前記半導体装置は、アナログデジタルコンバータであり、
前記比較部は、前記入力段が一組の第1のMOSトランジスタにより構成され、前記二つの電圧として入力電圧及び比較参照電圧を受けるコンパレータであり、
前記電位調整部は、前記一組の第1のMOSトランジスタと同じゲートサイズ及び導電型の一組の第2のMOSトランジスタを有し、前記一組の第2のトランジスタが前記第1のMOSトランジスタと逆動作を実施するように構成され、前記リセットに応じて前記一組の第1のMOSトランジスタとは逆極性の電荷を注入することによって前記入力電圧及び前記比較参照電圧の同相電位を調整する請求項16に記載の半導体装置。 - 前記コンパレータは、NMOS入力またはPMOS入力のダイナミック型のコンパレータである請求項19に記載の半導体装置。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019097121A (ja) * | 2017-11-27 | 2019-06-20 | ローム株式会社 | ラッチドコンパレータ |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09512684A (ja) * | 1994-04-29 | 1997-12-16 | アナログ・デバイセス・インコーポレーテッド | 低電圧cmosコンパレータ |
JP2004200926A (ja) * | 2002-12-17 | 2004-07-15 | Fujitsu Ltd | Ad変換器 |
JP2010118931A (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-27 | Fujitsu Ltd | 半導体装置 |
JP2010206356A (ja) * | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Sony Corp | Ad変換器及び比較回路 |
-
2013
- 2013-01-29 JP JP2013014424A patent/JP2014146974A/ja active Pending
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