以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
(実施の形態1)
図1に、本発明の薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図を示す。また、図2(a)に図1のIIA−IIAに沿った模式的な断面を示し、図2(b)に図1のIIB−IIBに沿った模式的な断面を示す。図1に示す本発明の薄膜太陽電池1は、図2(a)および図2(b)に示すように、透明絶縁基板2上に、透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5がこの順序で積層された構成を有している。
図2(b)に示すように、透明電極層3は、半導体光電変換層4で埋められた第1分離溝6によって分離されており、半導体光電変換層4および裏面電極層5は第2分離溝8によって分離されている。また、レーザスクライブ法によって半導体光電変換層4が除去された部分であるコンタクトライン7を介して隣り合うセルが電気的に直列に接続され、セルの集積部11が構成されている。
また、図2(b)に示すように、図1に示す第2分離溝8の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に電流取り出し用の電極10がそれぞれ形成されている。これらの電極10はそれぞれ、図1に示すように、第2分離溝8の長手方向と平行に形成されている。
さらに、図2(a)に示すように、透明電極層3は、半導体光電変換層4および裏面電極層5よりも第2分離溝8の長手方向に突出している。
以下、図3〜図10の模式的断面図を参照して、図1に示す本発明の薄膜太陽電池1の製造方法について説明する。なお、図3〜図10において、(a)は図1に示すIIA−IIA方向(分離溝の長手方向)に沿った断面により図解しており、(b)は図1に示すIIB−IIB方向(分離溝の長手方向に直交する方向)に沿った断面により図解している。
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、透明絶縁基板2上に透明電極層3を積層する。次に、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、図4(b)に示すように、透明電極層3をストライプ状に除去して透明電極層3を分離する第1分離溝6を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図4(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向については第1分離溝6は形成されない。
なお、検査工程で、第1分離溝6が得られているかどうかを確認するための手段として分離抵抗の検査工程がある場合には、分離溝の長手方向に直交する方向にも左右各1本ずつ溝を形成することができる。また、以降の工程でアライメント用のマークにレーザ加工跡を使用する場合にも、分離溝の長手方向に直交する方向に左右各1本ずつ溝を形成することができる。以上のように、分離溝の長手方向に直交する方向に左右各1本ずつ溝を形成する場合には、その溝の形成部分は最終的に除去される領域に加工されることが好ましい。
続いて、第1分離溝6で分離された透明電極層3を覆うようにしてアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層と微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層とからなる積層体をたとえばプラズマCVD法により積層し、図5(a)および図5(b)に示すように、半導体光電変換層4を積層する。
その後、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去し、図6(b)に示すコンタクトライン7を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図6(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向にはコンタクトライン7は形成されない。
そして、図7(a)および図7(b)に示すように、半導体光電変換層4を覆うようにして裏面電極層5を積層する。これにより、図7(b)に示すように、裏面電極層5でコンタクトライン7が埋められる。
次に、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5をストライプ状に除去して、図8(b)に示す第2分離溝8を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図8(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第2分離溝8は形成されない。
その後、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向に直交する方向にレーザ光(第1レーザ光)を走査して第1レーザ光を照射することによって、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5を帯状に除去して、図9(a)に示すように、第1レーザ光の照射領域に周縁溝9を形成する。なお、分離溝の長手方向には第1レーザ光が走査されないために、図9(b)に示すように、分離溝の長手方向には周縁溝9は形成されない。
なお、図8に示す第2分離溝8の形成工程および図9の周縁溝9の形成工程は同一のレーザ工程で行なう方が好ましい。これは、第2分離溝8および周縁溝9の形成には同一波長のレーザ光を用いることができるためである。
ここで、第1レーザ光としては、たとえばYAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4(Yttrium Orthovanadate)レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることができる。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板2および透明電極層3を透過し、半導体光電変換層4に吸収される傾向にあるため、YAGレーザ光の第2高調波またはYVO4レーザ光の第2高調波を第1レーザ光として用いた場合には、半導体光電変換層4を選択的に加熱することによって、その熱により半導体光電変換層4およびこれに接する裏面電極層5を蒸散させることが可能になる。なお、YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波の強度は透明電極層3にダメージを与えない強度であることが好ましい。
なお、本発明において、YAGレーザとはNd:YAGレーザのことであり、Nd:YAGレーザはネオジムイオン(Nd3+)を含むイットリウムアルミニウムガーネット(Y3Al5O12)結晶からなる。そして、YAGレーザからはYAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)が発振するが、その波長を1/2に波長変換することによってYAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)を得ることができる。
また、本発明において、YVO4レーザとは、Nd:YVO4レーザのことであり、Nd:YVO4レーザはネオジムイオン(Nd3+)を含むYVO4結晶からなる。そして、YVO4レーザからはYVO4レーザ光の基本波(波長:1064nm)が発振するが、その波長を1/2に波長変換することによってYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を得ることができる。
続いて、周縁溝9のさらに外側の領域については、分離溝の長手方向に直交する方向に透明絶縁基板2側から第1レーザ光とは波長の異なるレーザ光(第2レーザ光)を走査して第2レーザ光を照射することによって、図10(a)に示すように、周縁溝9のさらに外側の領域に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5が除去される。
また、図10(b)に示すように、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向に第2レーザ光を走査して第2レーザ光を照射することによって、分離溝の長手方向に直交する方向の両端に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5はそれぞれ帯状に除去される。
ここで、第2レーザ光としては、YAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4レーザ光の基本波を用いることが好ましい。YAGレーザ光の基本波およびYVO4レーザ光の基本波はそれぞれ透明絶縁基板2を透過し、透明電極層3に吸収される傾向にあるため、YAGレーザ光の基本波またはYVO4レーザ光の基本波を第2レーザ光として用いた場合には、透明電極層3を選択的に加熱することによって、その熱により透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を蒸散させることが可能になる。
ここで、第2レーザ光の幅(第2レーザ光の走査方向に垂直な方向の第2レーザ光の幅の最大値)は250μm以上であることが好ましく、500μm以上であることが透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を効率的に除去することができる観点から好ましい。また、第2レーザ光の断面形状(第2レーザ光の照射方向に垂直な断面の形状)は特に限定されないが、円状や楕円状よりは、正方形状または長方形状であることが好ましい。
その後、図2(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に分離溝の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10をそれぞれ形成する。
最後に、電極10の形成後の裏面電極層5の表面上に、たとえば、EVAシートを設置し、EVAシート上にPET(ポリエステル)/Al(アルミニウム)/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図1に示す構成の薄膜太陽電池1が完成する。
上述のようにして作製された図1に示す構成の薄膜太陽電池1は、図2(a)および図2(b)に示すように、透明絶縁基板2上に順次積層された透明電極層3と、半導体光電変換層4と、裏面電極層5と、を含み、透明電極層3が半導体光電変換層4および裏面電極層5よりも分離溝の長手方向に突出している構成を有している。
本実施の形態においては、薄膜太陽電池1の周縁部分とセルの集積部11との間に絶縁部分を形成するために研磨および洗浄という2工程を用いる必要がなく、工程数を減少させることができることから、従来と比べて薄膜太陽電池の製造コストを低減することができる。
また、本実施の形態においては、薄膜太陽電池1の周縁の絶縁部分の形成のために研磨工程を用いる必要がないため、図40および図41に示される従来の薄膜太陽電池100のように、セルの集積部11の周縁部分に傷防止用の積層体13として残す必要がない。したがって、本実施の形態においては、透明絶縁基板2の表面に対するセルの集積部11の形成領域の割合を従来と比べて大きくすることができることから、発電領域の低下を抑制することができ、その結果として出力を向上することができる。
また、本実施の形態においては、第1レーザ光の照射領域において、透明電極層3を除去することなく半導体光電変換層4および裏面電極層5のみを除去することができる。これにより、図10(a)に示すように、周縁溝9に半導体光電変換層4および裏面電極層5の縦断面が露出する。そして、第2レーザ光を照射する工程によって、第1レーザ光の照射領域よりも外側の領域の透明電極層3を蒸散させた場合でも、露出した半導体光電変換層4の縦断面と蒸散する裏面電極層5との間には少なくとも第1レーザ光の照射領域(周縁溝9)の分だけ距離があることになる。したがって、本実施の形態によれば、従来のように周縁部分の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を一度に蒸散させる方法と比べて、第1レーザ光の照射領域(周縁溝9)の分だけ、蒸散した透明電極層3が半導体光電変換層4の縦断面に再付着しにくくなることから、薄膜太陽電池の周縁部におけるリーク電流を低減することができる。
本実施の形態においては、図2(a)に示される透明電極層3の分離溝の長手方向への突出長さL1およびL2がそれぞれ100μm以上1000μm以下であることが好ましい。透明電極層3の突出長さL1およびL2がそれぞれ100μm未満である場合には第2レーザ光で加工するときに機械的な加工精度が必要となって装置コストが高くなる傾向にある。また、この場合には、第2レーザ光より蒸散した透明電極層3が露出した半導体光電変換層4の縦断面に再付着しやすくなる傾向にある。また、透明電極層3の突出長さL1およびL2がそれぞれ1000μmよりも長い場合には発電領域が減少して出力が低下してしまう傾向にある。ここで、L1とL2とは同一の長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
なお、上記において、透明絶縁基板2としては、たとえばガラス基板などを用いることができる。また、透明電極層3としては、たとえばSnO2(酸化スズ)、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnO(酸化亜鉛)からなる層等を用いることができる。透明電極層3の形成方法は特に限定されず、たとえば従来から公知のスパッタリング法、蒸着法またはイオンプレーティング法などを用いることができる。
また、上記において、半導体光電変換層4としては、たとえばアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層が順次積層された構造、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層が順次積層された構造と微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層が順次積層された構造とを組み合わせたタンデム構造、またはアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層が順次積層された構造と微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層が順次積層された構造との間にZnO等からなる中間層が挿入された構造などを用いることができる。また、アモルファスシリコン薄膜からなるp層およびi層と微結晶シリコン薄膜からなるn層とを組み合わせた構造のように、p層、i層およびn層のうち少なくとも1層をアモルファスシリコン薄膜から構成し、残りの層を微結晶シリコン薄膜から構成して、p層、i層およびn層にアモルファスシリコン薄膜からなる層と微結晶シリコン薄膜からなる層とを混在させてもよい。
また、上記において、アモルファスシリコン薄膜としては、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなる薄膜を用いることができ、微結晶シリコン薄膜としてはシリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなる薄膜を用いることができる。
また、上記において、半導体光電変換層4の厚みは、たとえば200nm以上5μm以下とすることができる。
また、上記においては、半導体光電変換層4の形成方法としてプラズマCVD法を採用した場合について説明したが、本発明において半導体光電変換層4の形成方法は特に限定されるものではない。
また、上記において、裏面電極層5の構成も特に限定されないが、たとえば、銀またはアルミニウムからなる金属薄膜とZnO等の透明導電膜との積層体を用いることができる。ここで、金属薄膜の厚みはたとえば100nm以上1μm以下とすることができ、透明導電膜の厚みはたとえば20nm以上200nm以下とすることができる。
また、上記において、裏面電極層5として金属薄膜の単層または複数層のみを用いてもよい。このとき、単層または複数層の金属薄膜からなる裏面電極層5と半導体光電変換層4との間に透明導電膜を設置した場合には、金属薄膜からなる裏面電極層5から半導体光電変換層4に金属原子が拡散するのを防止することができ、さらに裏面電極層5による太陽光の反射率が向上する傾向にある点で好ましい。また、裏面電極層5の形成方法は特に限定されず、たとえばスパッタリング法などを用いることができる。
(実施の形態2)
図11に、本発明の薄膜太陽電池の他の一例の模式的な平面図を示す。また、図12(a)に図11のXIIA−XIIAに沿った模式的な断面を示し、図12(b)に図11のXIIB−XIIBに沿った模式的な断面を示す。
ここで、図11に示す本発明の薄膜太陽電池1は、透明電極層3が半導体光電変換層4および裏面電極層5よりも分離溝の長手方向に突出しているだけでなく、分離溝の長手方向に直交する方向の一方向にも突出していることを特徴としている。
以下、図13〜図20の模式的断面図を参照して、図11に示す本発明の薄膜太陽電池1の製造方法について説明する。なお、図13〜図20において、(a)は図11に示すXIIA−XIIA方向(分離溝の長手方向)に沿った断面により図解しており、(b)は図11に示すXIIB−XIIB方向(分離溝の長手方向に直交する方向)に沿った断面により図解している。
まず、図13(a)および図13(b)に示すように、透明絶縁基板2上に透明電極層3を積層する。次に、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、図14(b)に示すように、透明電極層3をストライプ状に除去して第1分離溝6を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図14(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向については第1分離溝6は形成されない。
なお、検査工程で、第1分離溝6が得られているかどうかを確認するための手段として分離抵抗の検査工程がある場合には、分離溝の長手方向に直交する方向にも左右各1本ずつ溝を形成することができる。また、以降の工程でアライメント用のマークにレーザ加工跡を使用する場合にも、分離溝の長手方向に直交する方向に左右各1本ずつ溝を形成することができる。以上のように、分離溝の長手方向に直交する方向に左右各1本ずつ溝を形成する場合には、その溝の形成部分は最終的に除去される領域に加工されることが好ましい。
続いて、プラズマCVD法により、第1分離溝6で分離された透明電極層3を覆うようにアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層と微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層とからなる積層体を積層し、図15(a)および図15(b)に示すように、半導体光電変換層4を積層する。
その後、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去して、図16(b)に示すコンタクトライン7を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図16(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向についてはコンタクトライン7は形成されない。
そして、図17(a)および図17(b)に示すように、半導体光電変換層4を覆うようにして裏面電極層5を積層する。これにより、図17(b)に示すように、裏面電極層5でコンタクトライン7が埋められる。
次に、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向にレーザ光を走査してレーザ光を照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5をストライプ状に除去して、図18(b)に示す第2分離溝8を形成する。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されないために、図18(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向については第2分離溝8は形成されない。
その後、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向に直交する方向にレーザ光(第1レーザ光)を走査して第1レーザ光を照射することによって、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5を帯状に除去して、図19(a)に示すように、第1レーザ光の照射領域に周縁溝9を形成する。
また、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向に第1レーザ光を走査して第1レーザ光を照射することによって、分離溝の長手方向に直交する方向の一方の端部の近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5を帯状に除去して、図19(b)に示すように、第1レーザ光の照射領域に周縁溝9を形成する。
なお、図18に示す第2分離溝8の形成工程および図19の周縁溝9の形成工程は同一のレーザ工程で行なう方が好ましい。これは、第2分離溝8および周縁溝9の形成には同一波長のレーザ光を用いることができるためである。
続いて、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に形成された周縁溝9のさらに外側の領域については、透明絶縁基板2側から第1レーザ光とは波長の異なるレーザ光(第2レーザ光)を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して第2レーザ光を照射することによって、図20(a)に示すように、周縁溝9のさらに外側の領域に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5が帯状に除去される。
また、分離溝の長手方向に直交する方向の一方の端部の近傍に形成された周縁溝9のさらに外側の領域については、透明絶縁基板2側から第2レーザ光を分離溝の長手方向に走査して第2レーザ光を照射することによって、図20(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向の端部の近傍に形成された周縁溝9のさらに外側の領域に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を除去する。
また、分離溝の長手方向に直交する方向の周縁溝9が形成されていない側の端部の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5は、透明絶縁基板2側から分離溝の長手方向に第2レーザ光を走査して第2レーザ光を照射することによって帯状に除去される。
その後、図12(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に分離溝の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10をそれぞれ形成する。
最後に、電極10の形成後の裏面電極層5の表面上に、たとえば、EVAシートを設置し、EVAシート上にPET/Al/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図11に示す構成の薄膜太陽電池1が完成する。
本実施の形態においては、図12(b)の右側に示すように、透明電極層3が半導体光電変換層4および裏面電極層5よりも分離溝の長手方向に直交する方向に突出している。したがって、図12(b)の右側に示されている半導体光電変換層4の端面においても蒸散による透明電極層3の付着が抑制されることから、実施の形態1とは異なり、絶縁性を確保するための第1分離溝6(図2(b)の右端の第1分離溝6)を形成する必要がない。
それゆえ、本実施の形態における薄膜太陽電池1については、実施の形態1で説明した効果が得られるとともに、実施の形態1と比べてさらに発電領域を広げることができることから、実施の形態1の薄膜太陽電池よりもさらに出力を向上することができる。
ここで、図12(b)に示される透明電極層3の分離溝の長手方向に直交する方向への突出長さL3は、実施の形態1で説明した理由と同様の理由で、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
また、上記において、透明電極層3は、図12(b)に示すように、負電極(図12(b)の右側の電極10)側に突出していればよく、正電極(図12(b)の左側の電極10)側の形状は特に限定されない。
また、本実施の形態におけるその他の説明は、実施の形態1と同様である。
(実施例1)
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、SnO2からなる透明導電層3が形成された幅560mm×長さ925mmの矩形状の表面を有するガラス基板からなる透明絶縁基板2を用意した。
次に、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、透明導電層3をストライプ状に除去して、図4(b)に示すように、1本当たり0.08mmの幅の第1分離溝6を50本形成した。ここで、第1分離溝6は、隣接する第1分離溝6間の距離が等間隔(発電エリアのみ)となるように形成された。そして、透明絶縁基板2について、純水により超音波洗浄を行なった。なお、図4(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第1分離溝6は形成されなかった。
次いで、プラズマCVD法により、ボロンがドープされた水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるp層、ノンドープの水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるi層およびリンがドープされた水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層ならびに水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるp層、水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるi層および水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層をこの順序で形成して、図5(a)および図5(b)に示すように半導体光電変換層4を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側から、YAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査し、透明電極層3にダメージを与えない強度で照射することによって半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去し、図6(b)に示すように、コンタクトライン7を形成した。ここで、コンタクトライン7は、隣接するコンタクトライン7間の距離が等間隔となるように形成された。なお、図6(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向にはコンタクトライン7は形成されなかった。
次に、ZnOからなる透明導電膜および銀からなる金属薄膜をスパッタリング法により順次形成することによって、図7(a)および図7(b)に示すように、裏面電極層5を形成した。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5の一部をストライプ状に除去し、図8(b)に示すように、第2分離溝8を形成した。ここで、第2分離溝8は、隣接する第2分離溝8間の距離が等間隔となるように形成された。なお、図8(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第2分離溝8は形成されなかった。
そして、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に直交する方向に照射することによって、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5をストライプ状に除去して、図9(a)に示すように、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に周縁溝9を形成した。なお、図9(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向の端部近傍には周縁溝9は形成されなかった。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して照射することによって、図10(a)に示すように、周縁溝9よりも外側の領域の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5をそれぞれ外側から11mmの幅を有するストライプ状に除去した。
また、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、図10(b)に示すように、分離溝の長手方向の両端の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5をそれぞれ外側から11mmの幅を有するストライプ状に除去した。
そして、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に電流取り出し用の電極10として銅箔に錫−銀−銅メッキをした分離溝の長手方向に伸長するバスバー電極をそれぞれ形成した。
その後、裏面電極層5の表面上にEVAシートを設置し、EVAシート上にPET/Al/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図1に示す表面ならびに図2(a)および図2(b)に示す断面を有する実施例1の薄膜太陽電池を作製した。ここで、この実施例1の薄膜太陽電池の透明電極層3の図2(b)に示す突出長さL1およびL2を測定したところそれぞれ200μmであった。
そして、実施例1の薄膜太陽電池の出力をソーラシミュレータによって測定した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1の薄膜太陽電池の出力は52Wであった。
(実施例2)
まず、図13(a)および図13(b)に示すように、SnO2からなる透明導電層3が形成された幅560mm×長さ925mmの矩形状の表面を有するガラス基板からなる透明絶縁基板2を用意した。
次に、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、透明導電層3をストライプ状に除去し、図14(b)に示すように、1本当たり0.08mmの幅の第1分離溝6を50本形成した。ここで、第1分離溝6は、隣接する第1分離溝6間の距離が等間隔(発電エリアのみ)となるように形成された。そして、透明絶縁基板2について、純水により超音波洗浄を行なった。なお、図14(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第1分離溝6は形成されなかった。
次いで、プラズマCVD法により、ボロンがドープされた水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるp層、ノンドープの水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるi層およびリンがドープされた水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層ならびに水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるp層、水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるi層および水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層をこの順序で形成して、図15(a)および図15(b)に示すように半導体光電変換層4を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側から、YAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査し、透明電極層3にダメージを与えない強度で照射することによって半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去して、図16(b)に示すように、コンタクトライン7を形成した。ここで、コンタクトライン7は、隣接するコンタクトライン7間の距離が等間隔となるように形成された。なお、図16(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向にはコンタクトライン7は形成されなかった。
次に、ZnOからなる透明導電膜および銀からなる金属薄膜をスパッタリング法により順次形成することによって、図17(a)および図17(b)に示すように、裏面電極層5を形成した。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5の一部をストライプ状に除去し、図18(b)に示すように、第2分離溝8を形成した。ここで、第2分離溝8は、隣接する第2分離溝8間の距離が等間隔となるように形成された。なお、図18(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第2分離溝8は形成されなかった。
そして、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して照射することによって、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5をストライプ状に除去して、図19(a)に示すように、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に周縁溝9を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、分離溝の長手方向の一方の端部の近傍に位置する半導体光電変換層4および裏面電極層5をストライプ状に除去して、図19(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向の一方の端部の近傍に周縁溝9を形成した。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して照射することによって、図20(a)に示すように、周縁溝9よりも外側の領域の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5をそれぞれ外側から11mmの幅を有するストライプ状に除去した。
また、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、図20(b)の右側に示すように、周縁溝9よりも外側の領域の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5をそれぞれ外側から11mmの幅を有するストライプ状に除去した。
さらに、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、図20(b)の左側に示すように、周縁溝9が形成されていない側の透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5をそれぞれ外側から11mmの幅を有するストライプ状に除去した。
そして、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に電流取り出し用の電極10として銅箔に錫−銀−銅メッキをした分離溝の長手方向に伸長するバスバー電極をそれぞれ形成した。
その後、裏面電極層5の表面上にEVAシートを設置し、EVAシート上にPET/Al/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図11に示す表面ならびに図12(a)および図12(b)に示す断面を有する実施例2の薄膜太陽電池を作製した。ここで、この実施例2の薄膜太陽電池の透明電極層3の図12(b)に示す突出長さL1およびL2を測定したところそれぞれ200μmであった。
そして、実施例2の薄膜太陽電池の出力をソーラシミュレータによって測定した。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例2の薄膜太陽電池の出力は52.4Wであった。
(比較例1)
図21に示す表面ならびに図22(a)および図22(b)に示す断面を有する比較例1の薄膜太陽電池を作製した。この比較例1の薄膜太陽電池は、その周縁部分において透明電極層3が半導体光電変換層4および裏面電極層5よりも外側に突出していないことを特徴としている。なお、図22(a)は図21のXXIIA−XXIIAに沿った模式的な断面を示し、図22(b)は図21のXXIIB−XXIIBに沿った模式的な断面を示している。
以下、図23〜図29の模式的断面図を参照して、比較例1の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。なお、図23〜図29において、(a)は図21に示すXXIIA−XXIIA方向(分離溝の長手方向)に沿った断面により図解しており、(b)は図21に示すXXIIB−XXIIB方向(分離溝の長手方向に直交する方向)に沿った断面により図解している。
まず、図23(a)および図23(b)に示すように、SnO2からなる透明導電層3が形成された幅560mm×長さ925mmの矩形状の表面を有するガラス基板からなる透明絶縁基板2を用意した。
次に、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、透明導電層3をストライプ状に除去し、図24(b)に示すように、1本当たり0.08mmの幅の第1分離溝6を50本形成した。ここで、第1分離溝6は、隣接する第1分離溝6間の距離が等間隔(発電エリアのみ)となるように形成された。そして、透明絶縁基板2について、純水により超音波洗浄を行なった。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されなかったため、図24(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第1分離溝6は形成されなかった。
次いで、プラズマCVD法により、ボロンがドープされた水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるp層、ノンドープの水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるi層およびリンがドープされた水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層ならびに水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるp層、水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるi層および水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層をこの順序で形成して、図25(a)および図25(b)に示すように半導体光電変換層4を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側から、YAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査し、透明電極層3にダメージを与えない強度で照射することによって半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去して、図26(b)に示すように、コンタクトライン7を形成した。ここで、コンタクトライン7は、隣接するコンタクトライン7間の距離が等間隔となるように形成された。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されなかったため、図26(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向にはコンタクトライン7は形成されなかった。
次に、ZnOからなる透明導電膜および銀からなる金属薄膜をスパッタリング法により順次形成することによって、図27(a)および図27(b)に示すように、裏面電極層5を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5の一部をストライプ状に除去して、図28(b)に示すように、第2分離溝8を形成した。ここで、第2分離溝8は、隣接する第2分離溝8間の距離が等間隔となるように形成された。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されなかったため、図28(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第2分離溝8が形成されなかった。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向およびそれに直交する方向のそれぞれに走査して照射することによって、図29(a)および図29(b)に示すように、透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5の周縁の全周を外側から11mmの長さで除去した。
そして、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に電流取り出し用の電極10として銅箔に錫−銀−銅メッキをした分離溝の長手方向に伸長するバスバー電極をそれぞれ形成した。
その後、裏面電極層5の表面上にEVAシートを設置し、EVAシート上にPET/Al/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図21に示す表面ならびに図22(a)および図22(b)に示す断面を有する比較例1の薄膜太陽電池を作製した。
そして、比較例1の薄膜太陽電池の出力をソーラシミュレータによって測定した。その結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1の薄膜太陽電池の出力は48.66Wであった。また、比較例1の薄膜太陽電池においては、照度依存性の特性が悪くなった。
(比較例2)
図30に示す表面ならびに図31(a)および図31(b)に示す断面を有する比較例2の薄膜太陽電池を作製した。この比較例2の薄膜太陽電池は、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に研磨による傷防止用の積層体13が形成されていることに特徴がある。なお、図31(a)は図30のXXXIA−XXXIAに沿った模式的な断面を示し、図31(b)は図30のXXXIB−XXXIBに沿った模式的な断面を示している。
以下、図32〜図39の模式的断面図を参照して、比較例2の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。なお、図32〜図39において、(a)は図30に示すXXXIA−XXXIA方向(分離溝の長手方向)に沿った断面により図解しており、(b)は図30に示すXXXIB−XXXIB方向(分離溝の長手方向に直交する方向)に沿った断面により図解している。
まず、図32(a)および図32(b)に示すように、SnO2からなる透明導電層3が形成された幅560mm×長さ925mmの矩形状の表面を有するガラス基板からなる透明絶縁基板2を用意した。
次に、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって透明導電層3をストライプ状に除去して、図33(b)に示すように、1本当たり0.08mmの幅の第1分離溝6を50本形成した。ここで、第1分離溝6は、隣接する第1分離溝6間の距離が等間隔(発電エリアのみ)となるように形成された。
また、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の基本波を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して照射することによって、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する透明導電層3をストライプ状に除去して、図33(a)に示すように、周縁溝12を形成した。
次いで、プラズマCVD法により、ボロンがドープされた水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるp層、ノンドープの水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなるi層およびリンがドープされた水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層ならびに水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるp層、水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるi層および水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなるn層をこの順序で形成して、図34(a)および図34(b)に示すように半導体光電変換層4を形成した。
続いて、透明絶縁基板2側から、YAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査し、透明電極層3にダメージを与えない強度で照射することによって半導体光電変換層4の一部をストライプ状に除去し、図35(b)に示すように、コンタクトライン7を形成した。ここで、コンタクトライン7は、隣接するコンタクトライン7間の距離が等間隔となるように形成された。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されなかったため、図35(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向にはコンタクトライン7は形成されなかった。
次に、ZnOからなる透明導電膜および銀からなる金属薄膜をスパッタリング法により順次形成することによって、図36(a)および図36(b)に示すように、裏面電極層5を形成した。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に走査して照射することによって、半導体光電変換層4および裏面電極層5の一部をストライプ状に除去して、図37(b)に示すように、第2分離溝8を形成した。ここで、第2分離溝8は、隣接する第2分離溝8間の距離が等間隔となるように形成された。なお、分離溝の長手方向に直交する方向にはレーザ光が走査されなかったため、図37(a)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には第2分離溝8が形成されなかった。
次いで、透明絶縁基板2側からYAGレーザ光の第2高調波を分離溝の長手方向に直交する方向に走査して照射することによって、図38(a)に示すように、分離溝の長手方向の両端のそれぞれの近傍に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を除去した。ここで、YAGレーザ光の第2高調波は、周縁溝12の形成領域を含むように、周縁溝12よりも広い幅で照射された。また、分離溝の長手方向に直交する方向にはYAGレーザ光の第2高調波は走査されなかったため、図38(b)に示すように、分離溝の長手方向に直交する方向には透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5が除去されなかった。
続いて、周縁溝12よりも外側に位置する透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5を全周にわたって研磨により除去し、研磨部分を洗浄した。これにより、図39(a)および図39(b)に示すように、透明電極層3、半導体光電変換層4および裏面電極層5の周縁の全周が外側から11mmの長さで除去された。このとき、図39(a)に示すように、周縁溝12の外側に積層体13が形成された。また、積層体13の幅Z1は3mm程度であった。
そして、分離溝の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層5の表面上に電流取り出し用の電極10として銅箔に錫−銀−銅メッキをした分離溝の長手方向に伸長するバスバー電極をそれぞれ形成した。
その後、裏面電極層5の表面上にEVAシートを設置し、EVAシート上にPET/Al/PETの3層積層フィルムからなる保護フィルムを設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図30に示す表面ならびに図31(a)および図31(b)に示す断面を有する比較例2の薄膜太陽電池を作製した。
そして、比較例2の薄膜太陽電池の出力をソーラシミュレータによって測定した。その結果を表1に示す。表1に示すように、比較例2の薄膜太陽電池の出力は51.6Wであった。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1および実施例2の薄膜太陽電池はそれぞれ、比較例1および比較例2の薄膜太陽電池と比べて、出力が向上していた。これは、実施例1および実施例2の薄膜太陽電池は、比較例1および比較例2の薄膜太陽電池と比べて、透明絶縁基板2の表面に対するセルの集積部11の形成領域の割合が大きく、発電領域を広くとることができたためと考えられる。
また、表1に示すように、実施例2の薄膜太陽電池は、実施例1の薄膜太陽電池と比べて、出力が向上していた。これは、実施例2の薄膜太陽電池は、実施例1の薄膜太陽電池と比べて、負電極部でのリーク低減のための第1分離溝6(図2(b)の右端の第1分離溝6)を形成する必要がないため、発電領域が大きくなったことによるものと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。