以下に添付図面を参照して、本発明に係る原子炉補修監視装置及び原子炉補修方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図8は、原子力発電プラントの概略構成図、図9は、加圧水型原子炉を表す縦断面図、図10は、原子炉容器の計装管台を表す断面図である。
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉である。
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図8に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは高温側送給配管14と低温側送給配管15を介して連結されており、高温側送給配管14に加圧器16が設けられ、低温側送給配管15に一次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。
従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は低温側送給配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、加熱された二次冷却水、つまり、蒸気を送給する配管31を介して蒸気タービン32と連結されており、この配管31に主蒸気隔離弁33が設けられている。蒸気タービン32は、高圧タービン34と低圧タービン35を有すると共に、発電機(発電装置)36が接続されている。また、高圧タービン34と低圧タービン35は、その間に湿分分離加熱器37が設けられており、配管31から分岐した冷却水分岐配管38が湿分分離加熱器37に連結される一方、高圧タービン34と湿分分離加熱器37は低温再熱管39により連結され、湿分分離加熱器37と低圧タービン35は高温再熱管40により連結されている。
更に、蒸気タービン32の低圧タービン35は、復水器41を有しており、この復水器41は、配管31からバイパス弁42を有するタービンバイパス配管43が接続されると共に、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管44及び排水管45が連結されている。この取水管44は、循環水ポンプ46を有し、排水管45と共に他端部が海中に配置されている。
そして、この復水器41は、配管47が接続されており、復水ポンプ48、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、復水ブースタポンプ51、低圧給水加熱器52が接続されている。また、配管47は、脱気器53が連結されると共に、主給水ポンプ54、高圧給水加熱器55、主給水制御弁56が設けられている。
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、配管31を通して蒸気タービン32(高圧タービン34から低圧タービン35)に送られ、この蒸気により蒸気タービン32を駆動して発電機36により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン34を駆動した後、湿分分離加熱器37で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン35を駆動する。そして、蒸気タービン32を駆動した蒸気は、復水器41で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、低圧給水加熱器52、脱気器53、高圧給水加熱器55などを通して蒸気発生器13に戻される。
このように構成された原子力発電プラントの加圧水型原子炉12において、図9に示すように、原子炉容器61は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体62とその上部に装着される原子炉容器蓋(上鏡)63により構成されており、この原子炉容器本体62に対して原子炉容器蓋63が複数のスタッドボルト64及びナット65により開閉可能に固定されている。
この原子炉容器本体62は、原子炉容器蓋63を取り外すことで上部が開口可能であり、下部が半球形状をなす下鏡66により閉塞された円筒形状をなしている。そして、原子炉容器本体62は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する入口ノズル(入口管台)67と、軽水を排出する出口ノズル(出口管台)68が形成されている。また、原子炉容器本体62は、この入口ノズル67及び出口ノズル68とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体62は、内部にて、入口ノズル67及び出口ノズル68より上方に上部炉心支持板69が固定される一方、下方の下鏡66の近傍に位置して下部炉心支持板70が固定されている。この上部炉心支持板69及び下部炉心支持板70は、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板69は、複数の炉心支持ロッド71を介して下方に図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板72が連結されている。
原子炉容器本体62は、内部に円筒形状をなす炉心槽73が内壁面と所定の隙間をもって配置されており、この炉心槽73は、上部が上部炉心板72に連結され、下部に円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板74が連結されている。そして、この下部炉心板74は、下部炉心支持板70に支持されている。即ち、炉心槽73は、原子炉容器本体62の下部炉心支持板70に吊り下げ支持されることとなる。
炉心75は、上部炉心板72と炉心槽73と下部炉心板74により形成されており、この炉心75は、内部に多数の燃料集合体76が配置されている。この燃料集合体76は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、炉心75は、内部に多数の制御棒77が配置されている。この多数の制御棒77は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ78となり、燃料集合体76内に挿入可能となっている。上部炉心支持板69は、この上部炉心支持板69を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管79が固定されており、各制御棒クラスタ案内管79は、下端部が燃料集合体76内の制御棒クラスタ78まで延出されている。
原子炉容器61を構成する原子炉容器蓋63は、上部が半球形状をなして磁気式ジャッキの制御棒駆動装置80が設けられており、原子炉容器蓋63と一体をなすハウジング81内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管79は、上端部が制御棒駆動装置80まで延出され、この制御棒駆動装置80から延出されて制御棒クラスタ駆動軸82が、制御棒クラスタ案内管79内を通って燃料集合体76まで延出され、制御棒クラスタ78を把持可能となっている。
この制御棒駆動装置80は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ78に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸82を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
また、原子炉容器本体62は、下鏡66を貫通する多数の計装管台83が設けられ、この各計装管台83は、炉内側の上端部に炉内計装案内管84が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ85が連結されている。各炉内計装案内管84は、上端部が下部炉心支持板70に連結されており、振動を抑制するための上下の連接板86,87が取付けられている。シンブルチューブ88は、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示略)が装着されており、コンジットチューブ85から計装管台83及び炉内計装案内管84を通り、下部炉心板74を貫通して燃料集合体76まで挿入可能となっている。
従って、制御棒駆動装置80により制御棒クラスタ駆動軸82を移動して燃料集合体76から制御棒77を所定量引き抜くことで、炉心75内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器61内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル68から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体76を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。一方、制御棒77を燃料集合体76に挿入することで、炉心75内で生成される中性子数を調整し、また、制御棒77を燃料集合体76に全て挿入することで、原子炉を緊急に停止することができる。
また、原子炉容器61は、炉心75に対して、その上方に出口ノズル68に連通する上部プレナム89が形成されると共に、下方に下部プレナム90が形成されている。そして、原子炉容器61と炉心槽73との間に入口ノズル67及び下部プレナム90に連通するダウンカマー部91が形成されている。従って、軽水は、入口ノズル67から原子炉容器本体62内に流入し、ダウンカマー部91を下向きに流れ落ちて下部プレナム90に至り、この下部プレナム90の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心支持板70及び下部炉心板74を通過した後、炉心75に流入する。この炉心75に流入した軽水は、炉心75を構成する燃料集合体76から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体76を冷却する一方、高温となって上部炉心板72を通過して上部プレナム89まで上昇し、出口ノズル68を通って排出される。
このように構成された原子炉容器61にて、図10に示すように、計装管台83は、炉内計装筒95が原子炉容器本体62の下鏡66に形成された取付孔96に嵌入し、炉内計装筒95の上端部が下鏡66の内面に溶接(開先溶接部97)により固定されて構成されている。原子炉容器本体62は、母材となる低合金鋼の内面にステンレス鋼が肉盛溶接されて構成され、ニッケル基合金製の炉内計装筒95がこの原子炉容器本体62の取付孔96に嵌入した状態で、ニッケル基合金製の材料により原子炉容器本体62に溶接(開先溶接部97)されている。
そのため、炉内計装筒95、開先溶接部97及びその周辺部に引張応力が残留している可能性があり、長期の使用により応力腐食割れが発生する確率が高くなる。そこで、原子炉補修装置としてのウォータジェットピーニング(WJP)装置によりこの表面の引張残留応力を圧縮残留応力に改善することで、応力腐食割れを防止するようにしている。このウォータジェットピーニング装置は、水中で金属部材表面にキャビテーション気泡を含む高圧水を噴射し、金属部材表面の引張残留応力を圧縮残留応力に改善するものである。
そして、ウォータジェットピーニング装置により下鏡66の表面の引張残留応力を圧縮残留応力に改善する場合、このウォータジェットピーニング装置を計装管台83(炉内計装筒95)に装着して作業を行う。
図1は、本発明の一実施例に係る原子炉補修監視装置を表す概略図、図2は、図1のII−II断面図、図3は、図1のIII−III断面図、図4及び図5は、本実施例の原子炉補修監視方法を表す概略図、図6は、ウォータジェットピーニング装置の据付状態を表す概略図、図7は、ウォータジェットピーニング装置を表す正面図である。
本実施例において、図6に示すように、ウォータジェットピーニング装置101は、原子炉容器61(原子炉容器本体62)の下鏡(半球部)66に設けられた計装管台83(炉内計装筒95)に据え付けられる。即ち、原子力発電プラントにおいて、原子炉建屋(図示略)は、作業フロア121が設けられており、この作業フロア121より下方にキャビティ122が設けられ、このキャビティ122に冷却水が貯留されている。このキャビティ122は、内部に原子炉容器61が配置され、吊下げ支持されている。
原子炉建屋は、天井クレーン123が設けられ、フック124を水平方向に交差する2方向に移動可能であると共に昇降可能となっている。また、原子炉建屋は、キャビティ122の両側に一対のガイドレール125が敷設され、移動式クレーン126が移動自在に支持されている。この移動式クレーン126は、水平方向における一方向(図6にて、左右方向)に移動自在であると共に、水平方向における一方向に交差(直交)する他方向(図6にて、紙面直交方向)に移動自在な電動ホイスト127が設けられている。そして、この電動ホイスト127は、鉛直方向に沿って昇降可能なフック128を有している。
据付用ポール111は、長尺部材であって、所定の長さを有しており、下端部にウォータジェットピーニング装置101が連結可能となっている。この据付用ポール111は、複数の分割ポールから構成され、フランジ部同士を密着させ、複数のスイングボルトにより両者を締結することができる。なお、本実施例では、ウォータジェットピーニング装置101の据付用治具として据付用ポール111を用いたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、ワイヤやケーブル、ロープなど用いてもよい。
このウォータジェットピーニング装置101は、図7に示すように、装置本体102とクランプ装置103と外面WJPノズル104と内面WJPノズル105とを有している。クランプ装置103は、装置本体102の下部から下方に突出して配置され、計装管台83(炉内計装筒95)の外周面に嵌合してクランプすることで、装置本体102を計装管台83に固定するものである。外面WJPノズル104は、下鏡66の内面や開先溶接部97に引張高圧水を噴射するものである。内面WJPノズル105は、炉内計装筒95の内面に引張高圧水を噴射するものである。
この場合、外面WJPノズル104及び内面WJPノズル105は、装置本体102に設けられた昇降機構(図示略)により上下に移動することができると共に、回転機構(図示略)により回転することができ、下鏡66、開先溶接部97、炉内計装筒95の所定の領域に高圧水を噴射することができる。
また、ウォータジェットピーニング装置101は、装置本体102に対して施工監視用カメラ106と装置位置決め用カメラ107,108が設けられている。施工監視用カメラ106は、装置本体102に固定され、水平支持軸により回動可能であり、撮影方向を変更可能となっている。
装置位置決め用カメラ107,108は、水平方向に所定角度θ(例えば、90度)だけ離間した位置に配置され、照明を有している。この装置位置決め用カメラ107,108は、装置本体102に対して昇降シリンダ109により昇降可能となっており、ウォータジェットピーニング装置101の位置決め時に下降位置に移動し、ウォータジェットピーニング装置101の作業時の上昇位置に移動可能となっている。
ウォータジェットピーニング装置101は、装置本体102の上部に連結軸110が固定されており、据付用ポール111に連結可能となっている。
そして、本実施例では、ウォータジェットピーニング装置101により下鏡66の表面(内面)や計装管台83(炉内計装筒95)に対してウォータジェットピーニングを施すとき、このウォータジェットピーニング作業を監視する原子炉補修監視装置が設けられている。
図1から図3に示すように、原子炉補修監視装置201は、装置本体202と装着ガイド203と監視カメラ204を有している。
即ち、装置本体202にて、底板211は、基部212から放射状に延びる3個の脚部213を有して構成され、基部212の中央部に矩形状をなす開口部214が形成されると共に、一つ脚部213側に近接して円形状をなす取付開口215が形成されている。また、底板211は、外側に円形状をなす保護リング(枠体)216が配置され、各脚部213が連結されている。取付板217は、吊板218と連結板219と固定板220が上下に重なって複数のボルト221により固定されて構成されている。
そして、取付板217と底板211は、2個の保護フレーム(枠体)222により連結されている。この保護フレーム222は、L字形状をなし、下端部が底板211に固定される保護リング216に連結され、上端部が取付板217(連結板219)に連結されている。この場合、各保護フレーム222は、屈曲部に上部補強部材223が固定され、下部と保護リング216との間に下部補強部材224が固定されている。
装着ガイド203は、底板211の下部に取付開口215に対応した位置に固定されており、計装管台83(炉内計装筒95)に装着可能となっている。この装着ガイド203は、取付開口215を下方から被覆するように上部が底板211の下面に密着し、フランジ部231が複数のボルト232により固定されている。そして、装着ガイド203は、長手方向に沿って炉内計装筒95が嵌入可能なガイド孔233が形成されている。このガイド孔233は、上部から空間部233a、小径部233b、大径部233c、テーパ部233dが形成されており、テーパ部233dにより炉内計装筒95が嵌入しやすくなっている。そして、ガイド孔233は、小径部233bに炉内計装筒95の先端部が嵌合し、大径部233cに炉内計装筒95の拡径部が嵌合することで、装着ガイド203は、計装管台83に装着されることとなる。
監視カメラ204は、パンチルト、ズーム、オートフォーカス、アイリスなどの機能を搭載しており、広範囲を照らすことが可能な照明(LED)を有している。装置本体202は、取付板217の下部に前述したパンチルト、ズーム、オートフォーカス、アイリスなどの機能を有する駆動部241が吊下げ固定されており、この駆動部241の水平な駆動軸242に支持アーム243を介して監視カメラ204が回動自在に取付けられている。この場合、監視カメラ204と駆動部241は、保護フレーム(枠体)222の内側に配置されることとなる。
従って、監視カメラ204は、駆動部241により約180度の範囲で回動することができる。即ち、監視カメラ204は、駆動部241により装置本体202における水平方向の中央部に位置する補修箇所撮影位置204Aと、装置本体202における水平方向の一方側に位置する装着ガイド撮影位置204Bと、装置本体202における水平方向の他方側に位置する上方撮影位置204Cとに移動可能となっている。この場合、監視カメラ204は、補修箇所撮影位置204Aにあるときに光軸O1が略水平方向となり、装着ガイド撮影位置204Bと上方撮影位置204Cにあるときに光軸O1が略鉛直方向となる。そして、監視カメラ204は、装着ガイド撮影位置204Bにあるとき、光軸O1と装着ガイド203の装着軸線O2とが一直線状に配置されている。
また、装置本体201は、水平方向の他方側にバランスウエイト244が配置されている。このバランスウエイト244は、装着ガイド撮影位置204Bにある監視カメラ204の重量及び装着ガイド203の重量をキャンセルするためのものである。即ち、監視カメラ204は、装着ガイド撮影位置204Bにあるとき、光軸O1が装着ガイド203の装着軸線O2と一致するように、装着ガイド203と共に装置本体202における水平方向の一方側にずれている。そのため、装置本体202における水平方向の一方側に位置する監視カメラ204及び装着ガイド203の重量に対応して、装置本体201における水平方向の他方側にバランスウエイト244を設けている。このバランスウエイト244は、複数の板材が装置本体202の下部にボルトにより締結されており、監視カメラ204及び装着ガイド203の重量に応じて重量を調整可能となっている。
装置本体202は、逆U字形状をなす吊り金具251が連結されている。この吊り金具251は、各下端部が保護フレーム222の上部に固定されており、中央の上端部に吊具252を介して第1吊ワイヤ253が連結されている。また、装置本体202は、取付板217の上方に対向して支持板254が配置され、複数の連結ワイヤ255により連結されている。この支持板254は、監視カメラ204の伝送ケーブル245と駆動部241の伝送ケーブル246を支持するものであり、第2吊ワイヤ255が連結されている。各吊ワイヤ253,255は、作業フロア121まで延設され、個別の吊り上げ及び吊下げ可能となっている。この場合、第1吊ワイヤ253は、装置本体202と装着ガイド203と監視カメラ204の全重量を支持する一方、第2吊りワイヤ255は、各伝送ケーブル245,246を支持して絡みを防止している。
このように構成された原子炉補修監視装置201を用いた原子炉補修方法(ウォータジェットピーニングの施工方法)は、原子炉容器61の下鏡66に設けられた複数の計装管台83のうちの補修(ウォータジェットピーニング)が必要な計装管台83に補修装置(ウォータジェットピーニング装置101)を装着する工程と、ウォータジェットピーニング装置101が装着された計装管台83とは別の計装管台83に原子炉補修監視装置201を装着する工程と、原子炉補修監視装置201で監視しながらウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程とを有している。
また、原子炉補修監視装置201を用いた原子炉補修方法(ウォータジェットピーニングの施工方法)は、原子炉容器61の下鏡66に設けられた複数の計装管台83を2つの領域に区画する工程と、一方の領域の計装管台83に装着された原子炉補修監視装置201で監視しながら他方の領域の計装管台83に装着されたウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程と、他方の領域の計装管台83に装着された原子炉補修監視装置201で監視しながら一方の領域の計装管台83に装着されたウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程とを有している。
ここで、原子炉補修監視装置201とウォータジェットピーニング装置101を用いた計装管台83(炉内計装筒95)に対するウォータジェットピーニングの施工方法について具体的に説明する。
図6に示すように、キャビティ122に冷却水が貯留されている状態で、移動式クレーン126により据付用ポール111を介してウォータジェットピーニング装置101を吊下げる。ここからこの移動式クレーン126を用いてウォータジェットピーニング装置101を水平方向に移動し、計装管台83に対する位置決めをしながら、電動ホイスト127を用いてウォータジェットピーニング装置101を下降する。このとき、各吊ワイヤ253,255を用いて原子炉補修監視装置201を下降する。また、第3吊ワイヤ261を用いて監視カメラ262を下降する。
そして、図7に示すように、ウォータジェットピーニング装置101は、クランプ装置103が炉内計装筒95の外側に嵌入してクランプすることで、計装管台83に固定される。原子炉補修監視装置201は、ウォータジェットピーニング装置101が固定された計装管台83とは別の計装管台83に固定される。
即ち、原子炉補修監視装置201において、図1に示すように、駆動部241により監視カメラ204を回動して装着ガイド撮影位置204Bに移動し、光軸O1を装着ガイド203の光軸O2と一致させ、装着ガイド203のガイド孔233側を撮影可能とする。この状態で、装置本体202を下降し、水平方向における位置調整をしながら計装管台83(炉内計装筒95)に装着ガイド203のガイド孔233を嵌入させる。このとき、装置本体202は、水平方向の一方側に監視カメラ204と装着ガイド203が位置するものの、水平方向の他方側にバランスウエイト244が位置していることから、水平状態を維持して下降することができる。また、作業者は、作業フロア121にて、監視カメラ204が撮影する画像をモニタ(図示略)で視認することができることから、装着ガイド203の位置調整や下降量調整を容易に、且つ、高精度に行うことができる。
原子炉補修監視装置201が計装管台83に装着されたら、駆動部241により監視カメラ204を回動して補修箇所撮影位置204Aに移動する。そして、監視カメラ204は、ウォータジェットピーニング装置101による施工を撮影し、画像を作業フロア121のモニタに送って表示する。作業者は、このモニタを視認しながらウォータジェットピーニング装置101を操作する。このとき、監視カメラ204が補修箇所撮影位置204Aに移動して装置本体202の重量バランスが崩れるものの、装置本体202は、計装管台83に支持されているため、装置本体202の水平度が維持されている。
ウォータジェットピーニング装置101と原子炉補修監視装置201が計装管台83に固定されると、外面WJPノズル104と内面WJPノズル105を用いて下鏡66や炉内計装筒95に対してウォータジェットピーニングを施す。即ち、外面WJPノズル104は、計装管台83の外側にて、高圧水を噴射したまま炉内計装筒95の周囲を移動しながら下降することで、計装管台83及び溶接部にキャビテーション気泡を含む高圧水が噴射されることとなり、炉内計装筒95の内面の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。また、内面WJPノズル105は、炉内計装筒95内にて、高圧水を噴射したまま回転しながら下降することで、炉内計装筒95の内面にキャビテーション気泡を含む高圧水が噴射されることとなり、炉内計装筒95の内面の引張残留応力が圧縮残留応力に改善される。
この場合、図4に示すように、まず、原子炉容器61の下鏡66に設けられた複数の計装管台83を分割ラインLにより2つの領域A,Bに区画する。次に、一方の領域Aにて、複数の計装管台83のうちのウォータジェットピーニングを行う計装管台83にウォータジェットピーニング装置101を装着する。また、ウォータジェットピーニング装置101が装着された計装管台83とは別の計装管台83、つまり、他方の領域Bにて、いずれかの計装管台83に原子炉補修監視装置201を装着する。
そして、この状態にて、領域Bにある原子炉補修監視装置201は、領域Aでウォータジェットピーニング装置101による計装管台83のウォータジェットピーニング作業を監視する。この場合、領域Aにて、ウォータジェットピーニング装置101は、補修が必要な全ての計装管台83に対して順に据付移動して作業を行う。一方、原子炉補修監視装置201は、計装管台83への取付位置にて、領域Aの全ての計装管台83を撮影することができることから、移動することなく監視を継続する。
その後、ウォータジェットピーニング装置101が領域Aにある補修が必要な全ての計装管台83に対するウォータジェットピーニングが完了したら、今度は、図5に示すように、一方の領域Aにあるウォータジェットピーニング装置101を他方の領域Bに移動し、複数の計装管台83のうちのウォータジェットピーニングを行う計装管台83にウォータジェットピーニング装置101を装着する。また、ウォータジェットピーニング装置101が装着された計装管台83とは別の計装管台83、つまり、他方の領域Bにある原子炉補修監視装置201を一方の領域Aに移動し、この一方の領域Aにて、いずれかの計装管台83に原子炉補修監視装置201を装着する。
そして、この状態にて、領域Aにある原子炉補修監視装置201は、領域Bでウォータジェットピーニング装置101による計装管台83のウォータジェットピーニング作業を監視する。この場合、領域Bにて、ウォータジェットピーニング装置101は、補修が必要な全ての計装管台83に対して順に据付移動して作業を行う。一方、原子炉補修監視装置201は、計装管台83への取付位置にて、領域Bの全ての計装管台83を撮影することができることから、移動することなく監視を継続する。
このように本実施例の原子炉補修監視装置201にあっては、装置本体202と、装置本体202の下部に設けられて計装管台83に装着可能な装着ガイド203と、装置本体202に設けられて光軸O1と装着ガイド203の装着軸線O2とが直線状に配置されると共に補修箇所撮影位置204Aと装着ガイド撮影位置204Bとに移動可能である監視カメラ204とを設けている。
従って、監視カメラ204を装着ガイド撮影位置204Bに移動すると、この監視カメラ204により計装管台83への装置本体202の装着作業を監視することができ、また、監視カメラ204を補修箇所撮影位置204Aに移動すると、この監視カメラ204によりウォータジェットピーニング装置101の計装管台83の補修作業を監視することができる。そのため、1台の監視カメラ204で計装管台83への装置本体202の装着作業と計装管台83の補修作業を監視することができ、また、計装管台83へ装着した監視カメラ204により原子炉容器61の補修箇所を効率良く監視することができ、補修作業の作業性を向上することができる。
本実施例の原子炉補修監視装置では、監視カメラ204が補修箇所撮影位置204Aにあるときに光軸O1が略水平方向となり、装着ガイド撮影位置204Bにあるときに光軸O1が略鉛直方向となるようにしている。従って、監視カメラ204が装着ガイド撮影位置204Bにあるときに光軸O1が略鉛直方向を向くことから、この監視カメラ204により計装管台83への装置本体202の装着作業を監視することができ、また、監視カメラ204が補修箇所撮影位置204Aにあるときに光軸O1が略水平方向を向くことから、この監視カメラ204により計装管台83の補修作業を監視することができる。
本実施例の原子炉補修監視装置では、装置本体202として、底板211と、下端部が保護リング216を介して底板211に連結されて上端部に取付板217が連結される保護フレーム222と、下端部が保護フレーム222に連結される吊り金具251とを設け、監視カメラ204を保護フレーム222の内側で取付板217に吊下げ固定している。従って、監視カメラ204が保護フレーム222の内側で取付板217に吊下げ固定されることで、この監視カメラ204は、外側に位置する保護フレーム222に保護されることとなり、衝突による破損を防止することができる。
本実施例の原子炉補修監視装置では、吊り金具251を第1吊りワイヤ253に吊下げ支持し、監視カメラ204と駆動部241の各伝送ケーブル245,246を第2吊りワイヤ255に吊下げ支持している。従って、装置本体202と装着ガイド203と監視カメラ204の重量が吊り金具251を介して第1吊りワイヤ253に支持され、各伝送ケーブル245,246を別の第2吊りワイヤ255に支持されることで、装置本体202と装着ガイド203と監視カメラ204が安定して第1吊りワイヤ253に支持される一方、各伝送ケーブル245,246に装置本体202などの重量が作用することはなく、伝送ケーブル245,246の破損を防止することができる。
本実施例の原子炉補修監視装置では、監視カメラ204を装置本体202における水平方向の中央部で補修箇所撮影位置204Aとし、装置本体202における水平方向の一方側で装着ガイド撮影位置204Bとし、装置本体202の水平方向の他方側に装着ガイド撮影位置204Bにある監視カメラ204及び装着ガイド203の重量をキャンセルするバランスウエイト244を配置している。従って、監視カメラ204が装置本体202における一方側の装着ガイド撮影位置204Bにある状態で下降するとき、監視カメラ204と装着ガイド203の重量がバランスウエイト244によりキャンセルされることとなり、装置本体202の水平状態を維持したまま下降することができ、装着ガイド203を計装管台83に適正に装着することができる。
また、本実施例の原子炉補修方法にあっては、原子炉容器61の下鏡66に設けられた複数の計装管台83のうちのウォータジェットピーニングが必要な計装管台83にウォータジェットピーニング装置101を装着する工程と、ウォータジェットピーニング装置101が装着された計装管台83とは別の計装管台83に原子炉補修監視装置201を装着する工程と、原子炉補修監視装置201で監視しながらウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程とを有している。
従って、補修作業をしていない計装管台83に装着された原子炉補修監視装置201から監視しながら、ウォータジェットピーニング装置101が装着された計装管台83の補修を行うこととなり、原子炉の補修箇所を効率良く監視することで補修作業の作業性を向上することができる。
また、本実施例の原子炉補修方法にあっては、原子炉容器61の下鏡66に設けられた複数の計装管台83を2つの領域A,Bに区画する工程と、一方の領域Aの計装管台83に装着された原子炉補修監視装置201で監視しながら他方の領域Bの計装管台83に装着されたウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程と、他方の領域Bの計装管台83に装着された原子炉補修監視装置201で監視しながら一方の領域Aの計装管台83に装着されたウォータジェットピーニング装置101により計装管台83のウォータジェットピーニングを行う工程とを有している。
従って、複数の計装管台83を2つの領域A,Bに区画し、原子炉補修監視装置201とウォータジェットピーニング装置101を各領域A,Bに交互に装着して順に計装管台83の補修を行うこととなり、原子炉の補修箇所を効率良く監視することで補修作業の作業性を向上することができる。
なお、上述した実施例では、装置本体202に装着ガイド撮影位置204Bにある監視カメラ204及び装着ガイド203の重量をキャンセルするバランスウエイト244を配置したが、この構成に限定されるものではない。例えば、監視カメラ204を装置本体202の水平方向における中央部に配置し、その位置で自転可能に支持することで、バランスウエイト244を廃止することができる。このとき、装着ガイド203も装置本体202の水平方向における中央部に配置することができる。
また、上述した実施例では、下鏡66にある複数の計装管台83を分割ラインLにより原子炉補修監視装置201を各領域A,Bにそれぞれ配置にして作業を行ったが、この方法に限定されるものではない。即ち、2つの領域A,Bに区画する分割ラインLは、実施例の位置に限るものではなく、いずれの位置でもよく、また、直線に限るものでもない。また、原子炉補修監視装置201を装着する計装管台83の位置も実施例に限らず、反対側の領域の計装管台83を視認することができる位置であれば、いずれの位置であってもよい。
また、上述した実施例では、原子炉補修装置をウォータジェットピーニング装置101を適用して説明したが、この装置に限定されるものではなく、例えば、計装管台の補修装置や交換装置、除去装置、溶接部の補修装置などに適用することができる。