JP2014144715A - 車両の前部車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストの低減及び軽量化を図りつつ、サブフレーム前部の支持剛性を確保することができる車両の前部車体構造を提供することを目的とする。
【解決手段】サブフレーム4の左右の前端には、フロントサイドフレーム1の下部に締結される前端支持部材8を設けており、該前端支持部材8は、フロントサイドフレーム1の下部にナット20、ボルト21を介して締結される締結座部81と、該締結座部81から下方に延在する開放断面を有する支持部82と、上下方向に渡ってサブフレーム4の前端に配設され、支持部82から連続する補強部83とを有し、車両前方から入力される衝突荷重に対して圧縮変形可能な下側クラッシュカン23が、補強部83の下部に取り付けられた。
【選択図】図5

Description

この発明は、車両前部において前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの下方に配設されサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の前部車体構造に関する。
従来、フロントサイドフレームの下方に設けられてサスペンションを支持するサブフレームが知られている。このようなサブフレームでは、下記特許文献1に開示されているように、前部に筒部材を挿通させ、該筒部材の内部に長尺の締結部材(ボルト)を挿通させることで、サブフレーム下端と車体(フロントサイドフレーム)とを締結するのが一般的とされている。
特開2012−25188号公報
しかしながら、上述したように、サブフレーム前部に筒部材及び締結部材を挿通させてサブフレームと車体とを締結する構造では、フロントサイドフレームとサブフレームとの上下距離に応じた長さの筒部材及び締結部材が必要となる。このため、フロントサイドフレームとサブフレームとの上下距離が大きい場合、その分筒部材及び締結部材の長さが長尺になり、結果として、重量の増加を招くという問題があった。
また、サブフレームでは、一般的に、その前端にプレート状のフランジが設けられ、このフランジには、前面衝突時の圧縮変形により衝突エネルギーを吸収して衝撃を緩和するためのクラッシュカンが取り付けられるが、サブフレーム前部の支持剛性が弱いと、車両がその前方より軽衝突を受けた際、その耐力不足により、クラッシュカンのみならず、サブフレームまでもが変形する虞があった。
このように、軽衝突時においてサブフレームまでもが変形してしまうと、クラッシュカンとサブフレームとの両者を新たなものに交換する必要があるため、修理費用が高価になってしまう。
この発明は、コストの低減及び軽量化を図りつつ、サブフレーム前部の支持剛性を確保することができる車両の前部車体構造を提供することを目的とする。
この発明の車両の前部車体構造は、車両前部において前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの下方に配設されサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の前部車体構造であって、上記サブフレームの左右の前端には、上記フロントサイドフレームの下部に締結される前端支持部材を設けており、該前端支持部材は、上記フロントサイドフレームの下部に締結部材を介して締結される締結部と、該締結部から下方に延在する開放断面を有する支持部と、上下方向に渡って上記サブフレーム前端に配設され、上記支持部から連続する補強部とを有し、車両前方から入力される衝突荷重に対して圧縮変形可能なクラッシュカンが、上記補強部の下部に取り付けられたものである。
この構成によれば、締結部材による締結位置を、前端支持部材の上部の締結部に設定することで、締結部材の長さを短縮化することができ、その結果、軽量化を図ることができる。
そして、前端支持部材に、クラッシュカンの取り付け部を兼ねた補強部を設けることで、部品点数削減によるコスト及び重量の低減を図ることができるとともに、車両の軽衝突に対する耐力、つまりはサブフレームの前部の支持剛性を確保することができる。このため、車両の軽衝突時において、サブフレームが変形することを抑制できる。
この発明の一実施態様においては、上記支持部は、水平方向の断面形状がコ字状をなしており、上記補強部は、車両前後方向で上記支持部の前端または後端に設けられているものである。
この構成によれば、前端支持部材では、衝突荷重に対して圧縮方向の面が形成され、その両端には、上下方向に渡る稜線が形成される。このように、前端支持部材において、上記圧縮方向の面及び稜線が形成されることで、サブフレームの支持剛性を向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記クラッシュカンの後端は、車幅方向で上記支持部の前端と上記サブフレームの前端との間に位置しているものである。
この構成によれば、衝突荷重を圧縮方向の面の間に伝達させることができる。これにより、上記衝突荷重を、サブフレームの側面のみではなく、前端支持部材及びサブフレームの上下面にまで効率良く伝達させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記補強部の下部は、上記クラッシュカンを取り付ける鉛直面をなしており、上記補強部の上部は、上記フロントサイドフレームに向けて後傾する傾斜面部をなし、該傾斜面部は上方に向けて幅が減衰しているものである。
この構成によれば、補強部の上部が鉛直面をなしているか、または前傾している場合に比べ、車両の衝突時に補強部の下部に入力された荷重を、積極的に後方かつ上方のフロントサイドフレーム側に伝達させることができる。このため、フロントサイドフレーム側への荷重伝達量を増加させることができ、その結果、軽衝突に対する前端支持部材の耐力を向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記サブフレームは、上記前端支持部材の後方において、上記サスペンションの取り付け部より前方に延設されるとともに、閉断面を形成する延長部を有しており、該延長部の前端の車両前後方向に直交する向きの断面が、後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複しているものである。
この構成によれば、フロントノーズの短い車両において、サブフレームのストレート化による前端支持部(締結部材)の重量増加を抑制しつつ、サブフレームの軸方向圧縮によって、衝突エネルギーを吸収することができる。
詳しくは、車両が前面衝突すると、一般的に、フロントサイドフレームの軸圧縮にて衝突エネルギーを吸収するが、車両が小型車である場合、フロントノーズが短いために、衝突時の圧縮ストロークが不足し、エネルギー吸収量が不十分となる。
上述した構成によれば、延長部の前端の車両前後方向に直交する向きの断面を、後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複させて、サブフレームをストレート化することにより、該サブフレームを軸圧縮に寄与させることができる。このため、延長部及びクラッシュカンによって補助的な衝突エネルギー吸収を行うことができる。
また、上述したようにサブフレームをストレート化すると、フロントサイドフレームとサブフレームとの上下距離が大きくなることから、締結部材が長尺になる懸念があるが、上述した構成によれば、前端支持部材により、締結部材の長さを短縮化することができる。このため、サブフレームのストレート化による前端支持部(締結部材)の重量増加を抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、上記前端支持部材は、下方に開放されており、上記支持部の側面には、上記フロントサイドフレームへの取り付け作業確認用の孔が設けられているものである。
この構成によれば、前端支持部材を下方に開放することで、締結部材を前端支持部材の下方から挿入して締め付けることができ、これによって、サブフレームを下方から取り付けることができる。そして、支持部の側面に取り付け作業確認用の孔を設けることで、締結部材の締め付け作業、つまりはサブフレームの前端の取り付け作業を、上記孔から目視で確認することが可能になる。
この発明の一実施態様においては、上記補強部には、ハーネス固定用の孔が設けられ、上記補強部は、上記ハーネス固定用の孔に近接する端部に、車両後方に屈曲する屈曲部を有するものである。
この構成によれば、補強部に、ハーネス固定用の孔を設けたことで、特に、フロントノーズの短い車両において、別体のブラケットを用いずにハーネスを固定することができる。そして、補強部が、上記孔に近接する端部に、車両後方に屈曲する屈曲部を有することで、車両の衝突時には、ハーネスを屈曲部に当接させることができる。この場合、補強部のエッジのような尖鋭な部分にハーネスが当接することを防止できるため、特別な保護部材を設けなくても、ハーネスを確実に保護することができる。
この発明によれば、締結部材による締結位置を、前端支持部材の上部の締結部に設定することで、締結部材の長さを短縮化することができ、その結果、軽量化を図ることができる。
そして、前端支持部材に、クラッシュカンの取り付け部を兼ねた補強部を設けることで、部品点数削減によるコスト及び重量の低減を図ることができるとともに、車両の軽衝突に対する耐力、つまりはサブフレームの前部の支持剛性を確保することができる。このため、車両の軽衝突時において、サブフレームが変形することを抑制できる。
本発明の実施形態に係る車両の前部車体構造を示す側面図。 サブフレームを示す平面図。 サブフレームの前端周辺を示す斜視図。 前端支持部材を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は底面図。 前端支持部材の締結状態を示す側断面図。 前端支持部材と下側クラッシュカンとの取り付け状態を示す水平断面図。 ハーネスの固定状態を示す斜視図。 車両の軽衝突時の状態を説明するための側面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両Vの前部車体構造を示す側面図であり、本実施形態に係る車両Vは、フロントノーズが短く設定された小型車である。また、車両Vは、その前部において、図1に示すように、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム1(図1では左側のみを示す)と、該フロントサイドフレーム1の前端に連接する上側クラッシュカン2と、該上側クラッシュカン2を車幅方向に連接するバンパーレインフォースメント3と、フロントサイドフレーム1の下方に配設されるサブフレーム4と、サスペンションの一部を構成する左右一対のロアアーム5(図1では左側のみを示す)とを備えている。
フロントサイドフレーム1は、車両の前後方向に延びる閉断面形状の筒状体で構成されており、その前端には、フランジ6及び上側クラッシュカン2側のフランジ7を介して上側クラッシュカン2が取り付けられている。
上側クラッシュカン2は、車両前後方向に延びる閉断面形状の筒状体で構成され、フロントサイドフレーム1の前部に連接している。また、バンパーレインフォースメント3は、図5に示すように、車両前方側が開放した断面ハット形状のバンパーレイン本体31と、該バンパーレイン本体31の前部に接合されたクロージングプレート32とにより、略台形の閉断面が形成された円弧状部材であり、左右の上側クラッシュカン2の前端を車幅方向に連結している。
また、フロントサイドフレーム1の底面には、後述するサブフレーム4の前端が前端支持部材8及びフランジ6を介して連結されるとともに、サブフレーム4の車両前後方向の中間部が、中間支持部材9を介して連結されている。
サブフレーム4は、図1、図2に示すように、左右一対の前後メンバ41と、前後メンバ41の前部を車幅方向に連結するフロントクロスメンバ42と、前後メンバ41の後端を車幅方向に連結するサスペンションクロスメンバ43(以下、サスクロス43という。)とで井桁状に構成されている。
前後メンバ41及びサスクロス43は、それぞれ上面を構成するアッパ部材41A、43Aと、下面を構成するロア部材41B、43Bとの接合により、中空状に形成されており、このうち、前後メンバ41は、車両前後方向に延びる閉断面形状の筒状体で構成されている。
また、サブフレーム4は、前後メンバ41の後部とサスクロス43とからなるサブフレーム本体から車両前方に延設される閉断面形状の延長部44を有している。前後メンバ41では、その後部に後述するロアアーム取り付け部41aが形成されており、上述した延長部44は、前端支持部材8の後方において、ロアアーム取り付け部41aより車両前方に延設された前後メンバ41の前部により形成されている。本実施形態では、図1、図2に示すように、延長部44の前端の車両前後方向に直交する向きの断面が、延長部44の後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複している。
一方、前後メンバ41のうち、ロアアーム取り付け部41aより車両後方の部位、つまり前後メンバ41の後部は、図2に示すように、平面視で車両後方かつ車幅方向内側に向かって斜めに傾斜している。
ここで、ロアアーム5は、図2に示すように、車幅方向内側に凸設する略弓形状に形成され、その前端には、図1、図2に示すように、車輪を支持するナックルアーム(図示せず)に連結されるボールジョイント51が設けられ、長手方向中間部には、車幅方向内側に突出する支持アーム52が延設されている。そして、支持アーム52の先端には、前部連結部53が取り付けられ、この前部連結部53が、ロアアーム取り付け部41aに対して揺動可能に連結支持されている。
また、サブフレーム4では、前後メンバ41の前端が、図2に示すように平面視でコ字状をなしており、車幅方向中間部の凹部41bには、図1及び図3〜図7に示す前端支持部材8が接合固定されている。
前端支持部材8は、金属製の板材により構成され、上部の締結座部81と、該締結座部81から下方に延在する開放断面を有する支持部82と、支持部82の前端から車幅方向外側に連続する左右の補強部83とを有している。
ところで、フロントサイドフレーム1の前端のフランジ6には、図5に示すように、下方に延びる延長部61と、この延長部61から後方に延びる取り付け座62とが一体形成されており、この取り付け座62の上面には、締結部材を構成するナット20が溶接固定されている。
締結座部81は、略水平に配設され、その中央部には、挿通孔81aが穿設されている。そして、挿通孔81aには、図3、図5に示すように、ナット20とともに締結部材を構成するボルト21が挿通されている。本実施形態では、締結座部81の上面を取り付け座62の下面に当接させた状態で、上述のボルト21をナット20に締め付けることで、締結座部81がフランジ6を介してフロントサイドフレーム1の底面に取り付けられている。
また、前端支持部材8では、支持部82が、車幅方向両側部及び後部の三方向を塞ぐ側面部82a、82a及び後面部82bにより構成されており、これら側面部82a、82a及び後面部82bの下部が、サブフレーム4の前端の凹部41bに接合されている。
また、支持部82は、側面部82a、82a及び後面部82bにより、水平方向の断面形状がコ字状をなしており、これによって、前方が開放された上記開放断面が形成されている。
本実施形態では、締結座部81がフランジ6を介してフロントサイドフレーム1の底面に取り付けられ、かつ支持部82がサブフレーム4の前端に接合固定されることで、該前端が、フランジ6及び前端支持部材8を介してフロントサイドフレーム1の底面に連結されている。そして、この取付け状態では、サブフレーム4の前端が、支持部82によって上方から吊り下げ状態で支持されている。
また、前端支持部材8は、図4、図5に示すように下方に開放されている。これにより、ボルト21を前端支持部材8の下方から挿入してナット20に締め付けることができるようになっており、これによって、サブフレーム4の前端を下方から取り付けることが可能になっている。
また、側面部82a、82a及び後面部82bには、作業確認用孔82cが穿設されており、作業確認用孔82cからボルト21の締め付け作業を目視で確認することによって、サブフレーム4の前端の取り付け作業を目視で確認することが可能になっている。また、側面部82a、82a及び後面部82bには、作業確認用孔82cの下方に軽量化のための孔82dが穿設されている。
なお、フランジ6における延長部61及び取り付け座62と、フロントサイドフレーム1との間には、ブラケット22が接合固定されており、このブラケット22により、サブフレーム4の前端の支持剛性向上を図っている。
また、前端支持部材8では、補強部83が上下方向に渡ってサブフレーム4の前端(詳しくは、凹部41bの車幅方向両側の先端)に配設されており、下側クラッシュカン23が、プレート状のフランジ24を介して補強部83の下部に取り付けられている。
下側クラッシュカン23は、上面を構成するアッパ部材23Aと下面を構成するロア部材23Bとにより、四角錘台状に形成されており、その後端がそれぞれフランジ24に接合固定されている。そして、フランジ24が2つの締結部材25、25によって補強部83の前面に締結されることで、下側クラッシュカン23が、フランジ24を介して補強部83の下部に取り付けられている。これにより、車両前方から入力される衝突荷重に対して圧縮変形可能とされている。
このように、下側クラッシュカン23がフランジ24を介して補強部83の下部に取り付けられた状態では、図6に示すように、下側クラッシュカン23の後端が、車幅方向で、支持部82の前端とサブフレーム4(前後メンバ41)の前端との間に位置している。
ここで、補強部83の下部は、図4に示すように、下側クラッシュカン23を取り付けるための鉛直面をなす一方、上部は、フロントサイドフレーム1に向けて後傾する傾斜面部83aをなしている。そして、補強部83の下部では、締結部材25、25の位置に対応して、これらを挿通するための挿通孔83b、83bが穿設される一方、上部の傾斜面部83aでは、上方に向けて幅が減衰するように形成されている。
また、図1〜図6では便宜上図示を省略したが、前端支持部材8の車両前方には、図7に示すような送電用のハーネス26が配索されている。このハーネス26は、車両Vの減速時にジェネレータ(図示せず)で発電された電力を二次電池(図示せず)で充電するいわゆる減速回生システムの一部を構成しており、上記ジェネレータと上記二次電池とがハーネス26によって電気的に接続されている。但し、本発明では、ハーネス26を、減速回生システム用のハーネスとすることに必ずしも限定されない。
また、補強部83には、クリップ27が取り付けられており、上述したハーネス26は、クリップ27の環状固定部27aに挿通されることで所定位置に固定されている。
補強部83では、図4に示すように、クリップ27の取り付け位置に対応して、ハーネス26固定用の孔としてのクリップ取り付け孔83cが穿設され、このクリップ取り付け孔83cにクリップ27の基部27bが嵌め込まれている。
また、補強部83では、図4、図7に示すように、クリップ取り付け孔83cの近接する端部に外方に突出する突出片83dが形成されるとともに、該突出片83dには、これを車両後方に屈曲させる屈曲部83eが形成されている。この屈曲部83eは、図7に示すように、ハーネス26と略同じ高さ位置において、その車両後方に配置されている。
本実施形態では、上述したように、ボルト21による締結位置を、前端支持部材8の上部の締結座部81に設定することで、ボルト21の長さを短縮化することができ、その結果、軽量化を図ることができる。
そして、前端支持部材8に、下側クラッシュカン23の取り付け部を兼ねた補強部83を設けることで、部品点数削減によるコスト及び重量の低減を図ることができるとともに、車両Vの軽衝突に対する耐力、つまりはサブフレーム4の前部の支持剛性を確保することができる。このため、車両Vの軽衝突時において、サブフレーム4が図8に二点鎖線で示すように変形することを抑制できる。
また、支持部82の水平方向の断面形状をコ字状に形成するとともに、補強部83を、車両前後方向で支持部82の前端に設けることで、前端支持部材8では、衝突荷重に対して圧縮方向の面が形成され、その両端には、上下方向に渡る稜線が形成される。このように、前端支持部材8において、上記圧縮方向の面及び稜線が形成されることで、サブフレーム4の支持剛性を向上させることができる。
また、下側クラッシュカン23の後端が、車幅方向で支持部82の前端とサブフレーム4(前後メンバ41)の前端との間に位置していることで、車両前方からの衝突荷重を圧縮方向の面の間に伝達させることができる。これにより、上記衝突荷重を、サブフレーム4の側面のみではなく、前端支持部材8及びサブフレーム4の上下面にまで効率良く伝達させることができる。
また、補強部83の下部が、下側クラッシュカン23を取り付ける鉛直面をなす一方、補強部83の上部が、フロントサイドフレーム1に向けて後傾する傾斜面部83aをなし、該傾斜面部83aの幅が上方に向けて減衰していることで、補強部83の上部が鉛直面をなしているか、または前傾している場合に比べ、車両Vの衝突時に補強部83の下部に入力された荷重を、図8に太矢印αで示すように積極的に後方かつ上方のフロントサイドフレーム1側に伝達させることができる。このため、フロントサイドフレーム1側への荷重伝達量を増加させることができ、その結果、軽衝突に対する前端支持部材8の耐力を向上させることができる。
また、前端支持部材8の後方において、サブフレーム4が、ロアアーム5の取り付け部より前方に延設されるとともに、閉断面を形成する延長部44を有し、該延長部44の前端の車両前後方向に直交する向きの断面が、後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複していることで、フロントノーズの短い車両Vにおいて、サブフレーム4のストレート化による前端支持部(ボルト21)の重量増加を抑制しつつ、サブフレーム4の軸方向圧縮によって、衝突エネルギーを吸収することができる。
詳しくは、車両Vが前面衝突すると、一般的に、フロントサイドフレーム1の軸圧縮にて衝突エネルギーを吸収するが、車両Vが上述したように小型車である場合、フロントノーズが短いために、衝突時の圧縮ストロークが不足し、エネルギー吸収量が不十分となる。
本実施形態では、上述したように、延長部44の前端の車両前後方向に直交する向きの断面を、後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複させて、サブフレーム4をストレート化することにより、該サブフレーム4を軸圧縮に寄与させることができる。このため、延長部44及び下側クラッシュカン23によって補助的な衝突エネルギー吸収を行うことができる。
また、上述したようにサブフレーム4をストレート化すると、フロントサイドフレーム1とサブフレーム4との上下距離が大きくなることから、ボルト21が長尺になる懸念があるが、本実施形態では、前端支持部材8により、ボルト21の長さを短縮化することができる。このため、サブフレーム4のストレート化による前端支持部(ボルト21)の重量増加を抑制することができる。
また、前端支持部材8を下方に開放することで、ボルト21を前端支持部材8の下方から挿入して締め付けることができ、これによって、サブフレーム4を下方から取り付けることができる。そして、支持部83の側面(側面部82a、82a、後面部82b)に作業確認用孔82cを設けることで、ボルト21の締め付け作業、つまりはサブフレーム4の前端の取り付け作業を、作業確認用孔82cから目視で確認することが可能になる。
また、補強部83に、ハーネス26固定用の孔としてのクリップ取り付け孔83cを設けたことで、特に、フロントノーズの短い車両Vにおいて、別体のブラケットを用いずにハーネス26を固定することができる。そして、補強部83が、クリップ取り付け孔83cに近接する端部に、車両後方に屈曲する屈曲部83eを有することで、車両Vの衝突時には、ハーネス26を屈曲部83eに当接させることができる。この場合、補強部8のエッジ83f(図7参照)のような尖鋭な部分にハーネス26が当接することを防止できるため、特別な保護部材を設けなくても、ハーネス26を確実に保護することができる。
ところで、上述した実施形態では、支持部82において前方が開放された開放断面を形成するとともに、補強部83を、支持部82の前端から車幅方向外側に連続するように形成しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、支持部において後方が開放された開放断面を形成するとともに、補強部を、支持部の後端から車幅方向外側に連続するように形成してもよい。この場合、サブフレーム(前後メンバ)の前端では、その車幅方向中間部が、車両前方に向かって突出する凸部を形成することになる。
また、上述した実施形態では、フロントノーズが短い小型車に本発明を適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の車種に本発明を適用してもよい。また、上述した実施形態では、サブフレーム4として井桁状の構造を有するものを採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、略H型形状のサブフレームであってもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のサスペンションは、ロアアーム5に対応し、
以下同様に、
締結部材は、ナット20及びボルト21に対応し、
締結部は、締結座部81に対応し、
クラッシュカンは、下側クラッシュカン23に対応し、
取り付け部は、ロアアーム取り付け部41aに対応し、
取り付け作業確認用の孔は、作業確認用孔82cに対応し、
ハーネス固定用の孔は、クリップ取り付け孔83cに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
1…フロントサイドフレーム
4…サブフレーム
5…ロアアーム
8…前端支持部材
20…ナット
21…ボルト
23…下側クラッシュカン
41a…ロアアーム取り付け部
44…延長部
81…締結座部
82…支持部
83…補強部
83a…傾斜面部
82c…作業確認用孔
83c…クリップ取り付け孔

Claims (7)

  1. 車両前部において前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
    該フロントサイドフレームの下方に配設されサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の前部車体構造であって、
    上記サブフレームの左右の前端には、上記フロントサイドフレームの下部に締結される前端支持部材を設けており、
    該前端支持部材は、上記フロントサイドフレームの下部に締結部材を介して締結される締結部と、
    該締結部から下方に延在する開放断面を有する支持部と、
    上下方向に渡って上記サブフレーム前端に配設され、上記支持部から連続する補強部とを有し、
    車両前方から入力される衝突荷重に対して圧縮変形可能なクラッシュカンが、上記補強部の下部に取り付けられた
    車両の前部車体構造。
  2. 上記支持部は、水平方向の断面形状がコ字状をなしており、
    上記補強部は、車両前後方向で上記支持部の前端または後端に設けられている
    請求項1記載の車両の前部車体構造。
  3. 上記クラッシュカンの後端は、車幅方向で上記支持部の前端と上記サブフレームの前端との間に位置している
    請求項1または2記載の車両の前部車体構造。
  4. 上記補強部の下部は、上記クラッシュカンを取り付ける鉛直面をなしており、
    上記補強部の上部は、上記フロントサイドフレームに向けて後傾する傾斜面部をなし、
    該傾斜面部は上方に向けて幅が減衰している
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の前部車体構造。
  5. 上記サブフレームは、上記前端支持部材の後方において、上記サスペンションの取り付け部より前方に延設されるとともに、閉断面を形成する延長部を有しており、
    該延長部の前端の車両前後方向に直交する向きの断面が、後端の車両前後方向に直交する向きの断面と正面視で少なくとも部分的に重複している
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両の前部車体構造。
  6. 上記前端支持部材は、下方に開放されており、
    上記支持部の側面には、上記フロントサイドフレームへの取り付け作業確認用の孔が設けられている
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の前部車体構造。
  7. 上記補強部には、ハーネス固定用の孔が設けられ、
    上記補強部は、上記ハーネス固定用の孔に近接する端部に、車両後方に屈曲する屈曲部を有する
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の前部車体構造。
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