JP2014143224A - 量子ドット型高速フォトダイオード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板11と、P型半導体層14,15と、前記基板11に積層されたN型半導体層12と、前記P型半導体層14,15と前記N型半導体層12との間に形成された量子ドット21を含む量子ドット層からなり、高周波の光信号に対応する層厚を有する光吸収層13と、前記P型半導体層15に接続する第1電極17と、前記N型半導体層12に接続する第2電極16とを有し、前記第1電極17と前記第2電極16との間にバイアス電圧が印加されているとき、前記光吸収層13へ入射した光信号に応じて前記量子ドット21ならびに価電子帯から励起したキャリアの移動によって信号電流を出力することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
光通信の伝送容量を増大させるためには、信号の高速処理、即ち高い周波数による動作でも良好なS/N比で変換出力が得られるフォトダイオードが必要になり、このようなものを用いることによって信頼性の高い長距離通信が可能になる。また、中継基地数を低減することも可能になることから、設備コストなどを抑制することもできる。
高速フォトダイオードには、大きく分けてPIN型を中心とする非電流増倍型フォトダイオードと、アバランシェフォトダイオード(以下、APDと記載する)を中心とする電流増倍型フォトダイオードがあり、伝送距離や使用用途などに応じて使い分けが行われている。
非電流増倍型フォトダイオードは、上記のようにPIN型が一般的であり、高周波帯域の信号変換を可能としているが、出力信号のレベルが小さい(例えば、非特許文献1参照)。
電流増倍型フォトダイオードは、例えばアバランシェ増倍層を備えて、外部から高バイアス電圧が印加されることによって大きな出力信号レベルが得られるように構成されている(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照)。
図1(a)のPIN型APDは、例えば、S.I.InPからなる基板101、N+InPからなるN+コンタクト層102、N+コンタクト層102に接続された電極103、アンドープで形成された光吸収・増倍層104、P+キャップ層105およびP+コンタクト層106、P+コンタクト層106に接続された電極107によって構成されており、上記の順で積層されている。
図1(b)のSAM型APDは、基板101、N+コンタクト層102、電極103、アンドープで形成された光吸収層110、N型の半導体化合物からなる電界緩和層111、アンドープで形成された増倍層112、P+キャップ層105、P+コンタクト層106、電極107によって構成されており、上記の順で積層されている。
(実施例)
図2は、この発明の実施例による量子ドット型高速フォトダイオードの概略構成を示す説明図である。この図は、量子ドット型高速フォトダイオードであるフォトダイオード1の積層構造を示す概略断面図である。フォトダイオード1は、例えば、S.I.InPからなる基板11、N+InPからなるN+コンタクト層12、量子ドット層からなる光吸収層13、P+キャップ層14、P+コンタクト層15の順に積層されている。
N+コンタクト層12には電極15が接続配置され、P+コンタクト層14には電極17が接続配置されている。即ち、電極15はカソード電極、電極17はアノード電極となる。
また、フォトダイオード1は、基板11の表面側、即ち上記の各半導体層を積層させた側から光を入射し、当該入射光が光吸収層13へ到達するように構成されている。
また、フォトダイオード1は、基板11の裏面側から入射した光が光吸収層13へ到達するように構成してもよい。
また、フォトダイオード1は、当該フォトダイオード1の外観において図示されない側方端面から入射した光が光吸収層13へ到達するように構成してもよい。
N+コンタクト層12は、InAlGaAsよりも大きなバンドギャップを有する半導体化合物からなり、例えばInAlAsによって形成されている。
光吸収層13は、例えば0.1[μm]以上であり、また1[μm]以下の層厚を有している。このような層厚を有することにより、入射した光エネルギを十分に吸収するとともにキャリアの移動距離を抑えることができ、30[GHz]以上の高周波光信号に対応可能となる。
この実施例による光吸収層13は、第1から第mの量子ドット層を積層したもので、例えば3〜300層の量子ドット層によって光吸収層13が形成されている。この量子ドット層には、量子ドット21が3〜6モノレイヤの範囲内で吸着している。
P+キャップ層14ならびにP+コンタクト層15は、InAlGaAsよりも大きなバンドギャップを有する半導体化合物からなり、例えばInAlAsによって形成されている。
量子ドット21の大きさや量子ドット層における密度を前述の数値のようにして構成し、また歪緩和層22を前述のような層厚として構成することにより、近赤外光の波長に対応し、なおかつ高速(高周波)の光信号に対応することが可能になる。
なお、量子ドット21および歪緩和層22は、上記の半導体化合物に限定されず、前述のような量子ドットサイズ、量子ドットの配置密度、量子ドット層の層厚などをとることが可能なものであれば、他の材料によって形成したものでもよい。
図3〜図5は、図2に示したフォトダイオードの動作を示す説明図である。これらの図は、図2の構造を有するフォトダイオード1の試作品について測定した各特性を示したものである。ここで測定に用いたフォトダイオード1は、量子ドット21をInAsによって形成し、また、歪緩和層22をInAlGaAsによって形成して、単一の量子ドット層の厚さを20[nm]として形成したものである。また、このフォトダイオード1の光吸収層13は、20層の上記量子ドット層を積層させたもので、400[nm]の厚さを有している。
図中、曲線a3は、一般的な光吸収材であるInGaAsについて、厚さを240オングストロームと設定して求めた計算値である。
特性曲線a1は、上記の量子ドット層によって形成された光吸収層13を有するフォトダイオード1の受光感度を示したもので、特性曲線a2は、一般的なInGaAsによって形成された光吸収層を有するフォトダイオードの受光感度を示しており、いずれも同一厚さの光吸収層を有している。
特性曲線a1と特性曲線a2とを比較すると、光吸収層の厚さが同一である場合、いずれの波長においても量子ドット層を有するもののほうが高感度であることが分かる。
図中、実線で示した特性曲線b1は、前述の量子ドットを備えたフォトダイオード1の分光感度特性を表している。また、破線で示した特性曲線b2は、当該デバイスにおいて表面反射が生じない場合の分光感動を推定した値を表したものである。
量子ドット層を有するフォトダイオード1は、例えば30[%]の表面反射が生じる場合でも、波長が1550[nm]の近赤外光を入射したときに受光感度0.3[A/W]を有することが分かる。この入射状況においてフォトダイオード1に反射防止膜を備えた場合には、上記の受光感度が0.4[A/W]へ向上する。なお、上記波長の近赤外光は、高周波の光信号とされている帯域に含まれるものである。
上記の各特性曲線C1〜C3から、第1〜第3測定対象デバイスは、いずれも大きな逆バイアス電圧が印加されたときには電流増倍効果(アバランシェ増倍効果)が生じている。
具体的には、上記の各受光感度特性から、逆バイアス電圧値が低いときの感度相対値を1とした場合、27〜28[V]の逆バイアス電圧を印加したときには、測定対象デバイスの受光感度が2〜12倍程度に増倍されることが分かる。
量子ドット層からなる光吸収層を有するデバイスは、一般的なInGaAs等の半導体化合物からなる光吸収層を備えたデバイスと同様なCR時定数を有している。また、キャリアの移動時間についても同様であると推測される。
上記のことから、量子ドット層を有するデバイス、即ち、量子ドット型高速フォトダイオードの3dBカットオフ周波数は、InGaAs等からなる光吸収層を備えたフォトダイオードと同程度であると考えられる。具体的には、例えば、PN接合面の面積が113[μm2](φ12μm)、光吸収層の厚さが0.4[μm]の量子ドット型高速フォトダイオードにおいては、50[GHz]以上の3dBカットオフ周波数を有することになる。
(1)3dBカットオフ周波数は、50[GHz]以上、
(2)低バイアス時の感度は、入射光の波長が1550[nm]のとき、0.8[A/W]以上、
(3)高バイアス時の感度は、入射光の波長が1550[nm]のとき、増倍率(2〜5)×0.8[A/W] =1.6〜4[A/W]以上、
の量子ドット型高速フォトダイオードを作成することが可能である。
フォトダイオード1は、特性曲線D1が示すように低い逆バイアス電圧が印加されたときには10[pA]程度の暗電流が流れ、高い逆バイアス電圧が印加されたとき、例えば27[V]の逆バイアス電圧が印加されたときには1[μA]程度の暗電流が流れる。このようにいずれの逆バイアス電圧においても発生する暗電流は比較的小さい。
このように暗電流が小さく、なおかつ暗電流値と光電流値の差が大きいことから、量子ドット層を光吸収層13として備えたフォトダイオード1は、S/N比が良好であることが分かる。また、フォトダイオード1は、印加する逆バイアス電圧の大きさにより、電流非増倍型として使用することも、電流増倍型として使用することも可能なことを特性曲線D2が示している。なお、電流増倍型としてフォトダイオード1を用いる場合は、アバランシェ現象が生じる20[V]から当該フォトダイオード1の最大定格値までの範囲内に含まれる逆バイアス電圧を印加する。
このような状態で、当該フォトダイオード1に近赤外光等が入射されて光吸収層13へ到達すると、この光エネルギによって価電子帯から励起子(例えば電子e2)が励起する。
光吸収層13即ち量子ドット層において励起した例えば電子e2は、価電子帯の上限を超えて禁制帯あるいは伝導帯をN型半導体層へ向かって移動する。
また、上記のように光エネルギが光吸収層13(量子ドット層)へ入射することにより、量子ドット領域から励起子(量子ドット21に蓄積されていた例えば電子e1)が励起する。このとき励起した電子e1は、N型半導体層へ向かって移動する。これら電子e1,e2などのキャリアが移動することにより、入射光に応じた電流、例えば光信号に応じて変化する信号電流がフォトダイオード1から出力される。なお、このとき量子ドット層においてアバランシェ現象は生じない。
このように光エネルギによって励起した電子e1,e2が移動するときにアバランシェ増倍が生じてフォトダイオード1から大きな値の光電流が出力される。なお、このとき出力される電流は、例えばフォトダイオード1へ入射した光信号に応じて変化する信号電流である。
送信装置201は、通信信号を例えばレーザダイオード(LD)等を用いて光信号へ変換して光ケーブル202へ送出する。光ケーブル202によって伝送された光信号が受信装置203へ到達すると、受信装置203に備えられたフォトダイオード1が光電変換を行い、このとき生成した電気信号に所定の処理を施す。
例えば、光ケーブル202等による伝送距離が遠距離になる場合や、送信装置201から送出される光信号の強度が十分ではない場合には、受信装置203においてフォトダイオード203の受光感度を高くしておき、確実に通信信号を受信する。なお、受信装置203に備えられているフォトダイオード1は、高速の光データ通信についても上記のように受光感度を高めて対応することができる。
また、暗電流を抑制するとともに光電流を大きな値で出力することができるので、S/N比を良好なものにすることができる。
また、量子ドット21を有する光吸収層13は、印加される逆バイアス電圧の大きさに対応してアバランシェ現象が生じるので、フォトダイオード1の受光感度を必要に応じて変化させることができる。
11,101基板
12,102N+コンタクト層
13光吸収層
14,105P+キャップ層
15,106P+コンタクト層
16,103電極
17,107電極
21量子ドット
22歪緩和層
104光吸収・増倍層
110光吸収層
111電界緩和層
112増倍層
201送信装置
202光ケーブル
203受信装置
Claims (5)
- 基板と、
P型半導体層と、
前記基板に積層されたN型半導体層と、
前記P型半導体層と前記N型半導体層との間に形成された量子ドットを含む量子ドット層からなり、高周波の光信号に対応する層厚を有する光吸収層と、
前記P型半導体層に接続する第1電極と、
前記N型半導体層に接続する第2電極と、
を有し、
前記第1電極と前記第2電極との間にバイアス電圧が印加されているとき、
前記光吸収層へ入射した光信号に応じて前記量子ドットならびに価電子帯から励起したキャリアの移動によって信号電流を出力する、
ことを特徴とする量子ドット型高速フォトダイオード。 - 前記量子ドットは、積層方向の高さが2〜10[nm]、積層方向と直交する方向の径が20〜50[nm]である、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット型高速フォトダイオード。 - 前記量子ドット層は、1平方センチメートル当り1×1010〜1×1011個の密度で前記量子ドットを有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の量子ドット型高速フォトダイオード。 - 前記光吸収層は、複数の前記量子ドット層を積層して形成され、0.1〜1[μm]の層厚を有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の量子ドット型高速フォトダイオード。 - 前記バイアス電圧の大きさに応じて前記光吸収層に電流増倍現象が発生して増倍された信号電流を出力する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の量子ドット型高速フォトダイオード。
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