JP2014143072A - 試料保持具、及び荷電粒子線装置 - Google Patents

試料保持具、及び荷電粒子線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、走査電子顕微鏡等の荷電粒子線装置において、リターディング法によって形成される減速電界を高精度に形成する試料保持具、及び荷電粒子線装置の提供を目的とする。
【解決手段】
上記目的を達成するために本発明では、荷電粒子線装置のビーム照射対象となる複数の試料を保持する複数の第1の溝部を有する試料保持具、及び荷電粒子線装置であって、前記第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部と、前記第1の溝部ごとに設けられ、前記試料を前記第1の溝部に向かって押圧する押圧部材とを備え、当該押圧部材は前記第2の溝部内に配置される試料保持具、及び荷電粒子線装置を提案する。
更に、溝を1つとし、当該溝に試料と押圧部材が当該溝に収まるように配置される試料保持具、及び荷電粒子線装置を提案する。
【選択図】図4

Description

本発明は、試料を保持する試料保持具、及び当該試料保持治具に保持された試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子線装置に係り、特に細長い矩形の試料面を持つ試料で、複数の観察対象部位が試料面の長辺方向に直線状に配置された試料を保持するのに好適な試料保持具、及び荷電粒子線装置に関する。
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に代表される荷電粒子線装置は、微細な構造をもつ試料の測定、検査、観察、加工等を可能とする装置である。特に電子線をプローブとして用いるSEMでは、試料のチャージアップによる像の乱れや試料へのダメージの影響を低減するのに、試料に照射するときの電子線のエネルギー(照射エネルギー)を3 keV以下の比較的低エネルギーにして運用することが多い。
試料上で電子線の径をどれだけ小さく収束させられるかがSEMの分解能性能を決めている。試料に照射する電子線径の縮小には、電磁石を利用した対物レンズが用いられる。ただし、レンズが持つ収差の影響で、電子線径の縮小には限界があり、電子線径を無限に小さくすることはできない。レンズの収差は一般に照射エネルギーが大きいほど小さくなるが、低エネルギーでは、収差の画像への影響が甚大になるため、収差を低減させるための工夫がなされる場合がある。
その手法の一つがリターディング法である。リターディング法では、試料に負の電圧(リターディング電圧)を印加して、試料直上に電子線を急激に減速させる電場(リターディング電場)をつくる。これにより電子線が対物レンズを通過するときのエネルギーを試料に着地するときのエネルギー(照射エネルギー)より高くして収差を低減させる。特許文献3、4には、試料にリターディング電圧を印加することが可能な走査電子顕微鏡が開示されている。
一方で、昨今、ウェハ状でない試料、具体的な例としてはハードディスク磁気記録装置用磁気ヘッドの読み込み書き込み素子を、SEMによって測定、検査する試みが検討されている。ハードディスク磁気記録装置は価格競争が激しく、製造コストの引き下げは事業上きわめて重要である。したがって、磁気ヘッドの製造工程では、高速で高精度な寸法測定による歩留まり向上が必要とされている。
測定、検査の対象となる読み込み書き込み素子は、AlTiCウェハの断面を矩形に成形した磁気ヘッドローバー上に配置されている。特許文献1には測定対象となるローバーを保持するためのホルダについての開示がある。また、特許文献2には、細長い試料を保持するための溝が設けられた試料ホルダが開示されている。
特開2011−008845号公報(対応米国特許USP8,299,784) 特開平10−144246号公報 特開2004−281334号公報(対応米国特許USP6,858,845) 特開2007−227192号公報(対応米国特許USP7,772,567)
上述のように磁気ヘッドの測定を走査電子顕微鏡によって行う試みが為される一方で、その測定の高精度化の要求も高まりつつある。リターディング法は電子ビームの高加速化に基づく高分解能化を実現できる一方で、試料到達時のビームエネルギーを低下させることができる手法であり、磁気ヘッドを測定する装置においても測定の高精度化が期待できる。特許文献1乃至4には磁気ヘッドを測定する装置にリターディング法を適用するという試みを開示したものがない。
以下に、走査電子顕微鏡等の荷電粒子線装置において、リターディング法によって形成される減速電界を高精度に形成することを目的とする試料保持具、及び荷電粒子線装置について説明する。
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子線装置のビーム照射対象となる複数の試料を保持する複数の第1の溝部を有する試料保持具であって、前記第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部と、前記第1の溝部ごとに設けられ、前記試料を前記第1の溝部に向かって押圧する押圧部材とを備え、当該押圧部材は前記第2の溝部内に配置される試料保持具を提案する。
また、上記目的を達成するための他の態様として、荷電粒子源から放出される荷電粒子ビームが照射される試料を保持する試料保持具を備えた荷電粒子線装置であって、当該試料保持具に負電圧を印加する負電圧印加電源を有し、前記試料保持具は複数の試料を保持する複数の第1の溝部と、当該第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部と、前記第1の溝部ごとに設けられ、前記試料を前記第1の溝部に向かって押圧する押圧部材を備え、当該押圧部材は前記第2の溝部内に配置される荷電粒子線装置を提案する。
更に、他の態様として溝を1つとし、当該溝に試料と押圧部材が当該溝に収まるように配置される試料保持具、及び荷電粒子線装置を提案する。
上記構成によれば、電界の乱れを生じさせることなく、適正な減速電界が形成された状態でビーム照射を行うことが可能となる。
SEMの概略構成図(上面図)。 SEMの概略構成図(側面図)。 第一の実施形態の試料保持治具の概略構成図。 第一の実施形態の試料保持治具の概略構成図。 第一の実施形態の試料保持治具の断面図。 第一の実施形態の試料保持治具の断面図。 電場シミュレーションの説明図。 第二の実施形態の試料保持治具の概略構成図。 第二の実施形態の試料保持治具の断面図。 第二の実施形態の試料保持治具の断面図。 第三の実施形態の試料保持治具の断面図。 第三の実施形態の試料保持治具の断面図。 第四の実施形態の試料保持治具の概略構成図。 第五の実施形態の試料保持治具の断面図。 試料保持具表面より押圧部材が高い位置にある試料保持治具の断面図。
磁気ヘッドローバーは、例えば縦幅が約1 mm、厚さが約0.2から0.3 mm、横幅が約40から70 mmの細長い直方体形状をしている。観察対象部位はその最も広い面(以降では試料面と呼ぶ)であり、効率良く測定を実行するためには、例えば試料面の長辺と平行な直線上に約1 mmのピッチで数10個がならべることが可能な試料ホルダに乗せて、一時に走査電子顕微鏡に導入することが望ましい。後工程で磁気ヘッドローバーを裁断し加工したものが磁気ヘッドとなる。
一方、走査電子顕微鏡による測定を、高分解能、ビームの低到達エネルギーで実現する手法として、リターディング法がある。リターディング電場は電子線の光軸に対して軸対称であることが好ましい。これは、非軸対称なリターディング電場が非点収差を増大させ、画像に非点ボケを生じさせるためである。
ウェハの外周近傍以外の部分に作り込まれたデバイスのように、均一な平坦面上にある試料では、試料保持治具にリターディング電圧を印加した際に、リターディング電場が試料表面上に均一に分布する。よって、電子線の光軸と試料表面を垂直にするだけで、試料保持治具を移動して所望の観察対象部位に電子線を照射する際、どの観察対象部位であっても、一様で軸対称なリターディング電場ができるため、リターディング法との相性が非常に良い。このため、ウェハ上のデバイスの寸法管理や欠陥の評価に使われる測長SEMや検査SEMなどではリターディング法を採用しているものが多い。
一方、磁気ヘッドローバーのような直方体形状の試料をSEM観察する上で、リターディング法を適用するには、観察時に全観察対象部位で一様なリターディング電場を形成することが課題となる。磁気ヘッドローバーは世代によって規定された形状に形成されているため、所望の本数のローバーを配置するのに十分な面積の均一な表面をもつ試料保持治具を用意し、その表面に保持したい所望の本数分だけローバーがちょうどはまり込む形状の座ぐりを設け、ローバーを設置したときに、試料保持治具面と全試料面が同一面内になるようにすることが望ましい。
これによりウェハの場合と同様に、試料が均一平坦面内にあることになり、試料保持治具にリターディング電圧を印加した際に、リターディング電場が試料表面上に均一に分布する。これにより、試料保持治具面を電子線の光軸と垂直に配置することで、試料保持治具を移動して観察対象部位に電子線を照射する際に、全観察対象部位上で一様で軸対称なリターディング電場を作れる。
しかし、現実的にはこのような試料保持治具を単体で用いることはできない。その理由と、そのために発生する新たな課題を図9によって説明する。図9は、試料保持治具の断面を示した図である。以降では説明の便宜上、電子線の進行方向を下方とし、その反対方向を上方とする。
磁気ヘッドローバーは試料11で示している。この試料11上面が観察対象部位となる。試料11の厚み31は数百μmと薄いため、試料面と垂直な側面を試料面に水平な力で挟むだけの固定では、試料搬送時に外れるリスクが高い。このため、試料面を下方に押圧固定する部材を、各試料に設けることが望ましい。これは複数の試料の厚さ等にばらつきがある場合があり、複数の試料を一括して押圧する機構では、各試料に対する押圧力にばらつきが生じてしまう可能性があるからである。この押圧部材13は機能上、試料面より上方に存在するため、リターディング電圧を印加すると、等電位面32は押圧部材近傍で不均一になり、非軸対称なリターディング電場33が発生する。
一方で、押圧部材近傍以外では、等電位面32は均一であり、軸対称なリターディング電場34が発生する。その結果、押圧部材近傍の観察対象部位12aを観察するために、試料保持治具30を移動させ、電子線が観察対象部位12aに照射するようにしたとき35と、押圧部材近傍以外の観察対象部位12bを観察するために、電子線が観察対象部位12bに照射するようにしたとき36とで電子線が感じる電場が異なることになり、押圧部材近傍以外の観察対象部位でなかった非点ボケが押圧部材近傍の観察対象部位で発生してしまうことになる。
一般に、SEMには上流の光軸上に非軸対称な磁場や電場を意図的に発生させることにより、非点ホケを補正する機構が備わっているが、これを用いても、観察対象部位毎に補正パラメータが異なるため、部位毎の非点ボケ補正を行うことによるスループットの低下や、最悪の場合、押圧部材近傍の観察対象部位12aでは非点ボケを補正しきれなくなる可能性がある。
押圧部材13に絶縁体を用いることで、非軸対称場33の低減が期待されるが、実際には、電子線の照射による押圧部材の帯電の影響で、より大きな非軸対称場や画像のドリフトを生じさせることになり、事態が悪化する場合の方が多い。
以下に説明する実施例では、荷電粒子線装置のビーム照射対象となる複数の試料を保持する複数の第1の溝部を有する試料保持具であって、前記第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部と、前記第1の溝部ごとに設けられ、前記試料を前記第1の溝部に向かって押圧する押圧部材とを備え、当該押圧部材は前記第2の溝部内に配置される試料保持具について説明する。
このように2つの溝を設ける理由は押圧部材によって生じる電界の乱れを抑制するためである。浅い側の溝(第2の溝部)内に押圧部材を収めることによって、試料保持具表面に位置する等電位線は、押圧部材に重なることなく、浅い側の溝を跨ぐように形成される。試料保持具は導電性部材で形成されており、試料保持具表面の電位は印加されるリターディング電圧と同じ電位であるため、上記等電位線はリターディング電圧と同じになる。
このような構成によれば、個々の試料をそれぞれの押圧部材によって押圧する試料保持具であっても、減速電界の乱れを抑制することが可能となる。
なお、以下に説明する実施例では、より好適な試料保持具の構造として、試料面の一部もしくは複数部を試料面下方に押圧固定する押圧部材を備えた試料保持治具であって、全観察対象部位が配置される位置を直線近似したときの近似直線1を含む面のうち、試料面と垂直な面1に対して面対称に近い溝構造を備え、かかる溝の長さは両端の観察対象部位間の距離と同程度かより長く、試料配置時には、前記押圧部材の最も高い部位が前記試料保持具の溝上面と同一面かより下方になるように配置される試料保持治具を説明する。
上記構成によれば、リターディング電圧を印加した際、非軸対称な電場が抑制され、試料保持具の上面における電場が全観察対象部位の直上で一様になり、観察対象部位のうちどれか一つで非点補正を行うだけで、全観察対象部位で非点ボケ抑制の効果を得ることができ、同じ試料上の二つ以上の場所で非点補正を行うことによる測定或いは検査の精度とスループットを改善できる。
以下に、半導体製造・検査現場におけるフォトマスクやウェハ上のパターンを測長するための電子顕微鏡について、図面を用いて説明する。半導体製造で使用されるフォトマスクやフォトマスクを使用して作製されるウェハは、昨今の高集積化に伴い、形成されるパターンの微細化が進んでいる。これらのパターンを測定するために、パターンの寸法を測定するいわゆるCD−SEM(Critical Dimension Scanning Electron Microscope)が使用されている。このCD−SEMを使用して寸法計測を行う。
図1,図2は、半導体デバイス測定,検査用のSEMの概要を説明する図であり、特にパターンの寸法測定用のCD−SEMを例示している。図1は、上面図であり、図2は側面図である。カラム2は、真空に保たれた管(真空管)を備え、該真空管内に、プローブとなる電子線を発生させる図示しない電子銃と、電子線を所望の形状かつ所望の電流量で試料に照射させるための図示しない電子レンズ系(対物レンズを含む)と、電子線を試料上の所望の視野領域で走査するための図示しない偏向系と、非点補正などの各種補正に用いる図示しない補正系と、電子線の照射によって試料から発生する信号電子を検出する図示しない信号検出系とを備える。前記電子銃、電子レンズ系、偏向系、補正系、信号検出系は制御部9によって自動または手動にてコントロールされる。制御部9では、検出信号の画像化や、得られたSEM画像から所望の部位の寸法計測なども自動または手動で行う。
試料観察室3は、観察対象となる試料を保持した試料保持治具8を保持し、カラム2の直下に正確に移動する図示しないステージを備えている。特定の観察対称部位を観察する際には、電子線の照射位置にその観察対象部位がくるようにステージを移動させる。試料観察室3の前段には試料を大気雰囲気中から、高真空雰囲気にある試料観察室3に搬送するために試料保持治具8を大気から真空状態にするためのロードロック室4があり、試料観察室3および外気とそれぞれ図示しないゲート弁で仕切られている。ロードロック室4と試料観察室3には図示しない排気装置が接続されており、それぞれの室内を電子線が通過できるのに十分な高真空に保持している。
制御部9は、ステージ、或いは試料保持具8に負電圧を印加するための図示しない負電圧印加電源を制御する。この負電圧は通常リターディング電圧と呼ばれ、電子ビームに対する減速電界を形成するために印加されるものである。
ロードロック室4に試料保持治具8を搬送する機構はロードポート7とストッカ5,搬送ロボット6を備えている。搬送動作を含めた上記各構成要素は、コンピュータを内蔵した制御部9により制御され、オペレータはマウスやキーボード、表示装置であるLCDディスプレイ画面上のボタンといったユーザーインターフェースを使って搬送動作の指示を出す。ロードロック室4と、ロードポート7及びストッカ5との間には、内部が与圧され、清浄状態が保たれたミニエン1が設けられている。試料保持治具8の搬送時は、当該試料保持治具8はミニエン1内部の清浄空間を通過することになる。
図3aは、第一の実施形態である試料保持治具8と試料保持治具8上に配置された試料11と、試料を配置する溝37と試料上の観察対象部位12(試料11上の白点)と、当該試料11を下方に押圧固定する押圧部材13の概略構成を示す上面図である。試料保持治具8は任意の本数のローバーを配置するのに十分な面積の均一な表面10をもち、任意の数だけ溝37を備える。以降では、試料保持治具8の一部を詳述した図3b、図3c、図3dを用いて説明する。
図3bは図3aの点線矩形Aの拡大図である。試料保持治具8の表面10は同一平面内にあり、SEM観察時は、電子線の光軸と試料保持治具8の表面10は数°以下の精度で垂直に配置される。リターディング電圧は図示しない電源によって試料保持具8に印加される。図3cは、図3bの点線B−B´での断面図であり、図3dは、図3bの点線C―C´での断面図である。
溝37は第一の溝14(浅い側の溝、上記説明では第2の溝部)とその底に設けられた第二の溝15(深い側の溝、上記説明では第1の溝部)の二段構造をしており、試料11は、試料保持治具8の第一の溝14の底に設けられた第二の溝15に収まり、第二の溝15に設けられた当接面16に当接された状態で押圧部材13により下方に押圧固定される。押圧部材13は、導体である金属や、導電性の樹脂材で構成される。
図3に例示したように、試料保持具8の表面10は、押圧部材13の上面より高い位置に位置すると共に、溝の側壁と溝の上面によって形成される空間内に押圧部材が飛び出すことなく収まるように形成されている。少なくともその表面が導電性であり、リターディング電圧が印加される試料保持具8表面の電位と同じ電位の等電位線は、若干表面10より低くなるものの、溝部であっても表面10とほぼ同じ高さに形成される。押圧部材13は実質的に無電界領域内に配置され、横方向の電界の乱れを生じさせないため、各溝内に載置された試料に対するビーム照射時にも非点や軸ずれのないビームを照射することが可能となる。
また、発明者らの検討によって、試料保持具8を下記のような条件のもと構成することによって、試料保持具の上面における電場をより一様に形成できることを確認した。
条件1.試料11を下方に押圧固定した状態で、押圧部材13の試料11上にある部位の最も高い場所と試料保持治具の表面10との高さの差17が試料11の短辺の長さの1/4以上であること。
条件2.試料11の観察対象部位12と第一の溝14の溝側壁との距離27a、27bが±200 μm以下の精度で等しくなること。
条件3.第一の溝の長辺の長さ18が試料11面の両端の観察対象部位間の距離29より片側で試料11面の短辺の長さ以上長いこと。
上記の溝構造の効果を検証するために電場シミュレーションを行った。図4によってシミュレーションと結果について説明する。押圧部材13が発生させる非軸対称な電場の影響が最も出やすい押圧部材13から最も近い観察対象部位12cを観察することを想定してシミュレーションを行った。左側の観察対象部位12cの中心を原点として試料面上に座標を定義し、試料11の長辺方向をX軸19とし、短辺方向をY軸20とした。シミュレーションではY軸20上における、電場のX方向成分Exを計算した。押圧部材13が発生させる非軸対称な電場はX方向にもっとも大きな成分を持つため、Exを評価することで、非軸対称な電場をどれだけ低減できるかが分かる。試料11の中心近傍の観察対象部位12dではExはほぼ0になることから、観察対象部位12cでExが0に近づくほど効果があると言える。
計算に用いたモデルは、2つの溝を備えた試料保持治具8を想定したモデルA22と、溝が1つしかない試料保持治具30を想定したモデルB23である。シミュレーションの結果を示したExのグラフ21が示すように、溝37があるモデルA22の結果24では、溝37がないモデルB23の結果25と比較してExを低減できており、ほぼ0にできることが分かる。以上より、本発明の構成により、押圧部材13近傍の非軸対称な電場を抑制でき、全観察対称部位で一様なリターディング電場を形成できることが分かった。
上記の条件1から3に示した位置関係を示す値は試料保持治具8の上方に配置されるSEMの構成要素との位置関係や電位関係によって異なるため、あくまでも一つの実施形態に過ぎない。他の装置構成に適用する場合、装置に応じて各値を最適化する必要がある。
図5に第二の実施形態を示す。図5a、図5b、図5cはそれぞれ第一の実施形態の説明図である図3b、図3c、図3dに対応している。第二の実施形態の特徴は、第一の実施形態と比較して図5bに示すように、第二の溝15の構造がないことである。かかる構成により、試料11を溝37の底に配置する際の利便性が向上する。また、試料面の短辺の長さが異なる試料への対応も可能になる。試料11を固定する際には、ピンセットなどで一度溝37の底に置いた後、当接面16と、当接面26の両方に試料が当接された状態で押圧部材13により下方に押圧固定する。
図6に第三の実施形態を示す。図6a、図6bは第一の実施形態の説明図である図3c、図3dに対応している。第三の実施形態の特徴は、第二の実施例と比較して、押圧部材13の試料11上にある部位の最も高い場所と試料保持治具の表面10との高さの差17がほぼ0であることである。かかる構成により、試料保持治具8の上方に配置される対物レンズと試料11とを近づけることができる。一般にSEMの分解能は対物レンズの下端と試料との距離(作動距離)が小さいほど分解能を高くできる。本実施形態は、比較的不均一場をつくるExが比較的小さくなる装置構成で高分解能化を実現するのに有効な形態である。
図7に第四の実施形態を示す。図7は第一の実施形態の説明図である図3bに対応している。第四の実施形態の特徴は、第三の実施例と比較して、第一の溝の長辺の長さ18が試料11面の両端の観察対象部位間の距離29と同程度であることである。溝37の形状は、本明細書の実施形態のいずれの形状であっても構わない。かかる構成により、第一の溝の長辺の長さ18を試料11より短くすることで、製作精度のばらつきによる押圧部材13と溝上部の干渉のリスクを小さくできる。
以上すべての実施形態において、溝37の形状は以下のようであっても構わない。
図8に第五の実施形態を示す、図8は、第一の実施形態の説明図である図3dに対応している。第五の実施形態では、第一の溝14の試料に近い側がテーパー構造を持っている。これにより、試料11の配置の利便性が向上する。
本明細書の実施形態では、いくつかの溝37の形状を紹介したが、本発明はこれに限定されるものではない。本明細書の実施形態では、試料保持具が半導体製造・検査現場におけるフォトマスクやウェハ上のパターンを測長するための電子顕微鏡用の試料保持具であるとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、リターディング法を適用するいかなる荷電粒子線装置用の試料保持具であっても良い。本明細書の実施形態では、試料保持具が複数の試料を搭載する形態であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば試料が一つだけ搭載される形態であっても構わない。
本明細書の実施形態では、試料が磁気ヘッドローバーであるとしているが、本発明の試料保持治具が保持する試料は磁気ヘッドローバーに限定されるものではなく、例えば、Siウェハの断面試料などの試料であっても良い。
本明細書の実施形態では、押圧部材は試料を試料面に垂直下向きに押圧することによって固定するとしているが、押圧する力がかかる必要はなく、例えば、配置した試料の位置が上向きにずれようとしたときにはじめて押圧する力がかかるような構造であっても良い。
1 ミニエン
2 カラム
3 試料観察室
4 ロードロック室
5 ストッカ
6 搬送ロボット
7 ロードポート
8 試料保持治具
9 制御部
10 試料保持治具の上面
11 試料
12 観察対象部位
12a 押圧部材13近傍の観察対象部位
12b 押圧部材13近傍以外の観察対象部位
12c 押圧部材13に最も近い観察対象部位
12d 中心近傍の観察対象部位
13 押圧部材
14 第一の溝
15 第二の溝
16 当接面
17 押圧部材13の試料11上にある部位の最も高い場所と試料保持治具の表面10との高さの差17
18 第一の溝の長辺の長さ
19 X軸
20 Y軸
21 Exのグラフ
22 シミュレーションモデルA
23 シミュレーションモデルB
24 モデルAの結果
25 モデルBの結果
26 当接面
27a 観察対象部位12と第一の溝14の溝側壁との距離
27b 観察対象部位12と第一の溝14の溝側壁との距離
28 第二の溝15のテーパー構造
29 両端の観察対象部位間の距離
30 従来の試料保持治具
31 試料11の厚み
32 等電位面
33 非軸対称なリターディング場
34 軸対称なリターディング場
35 押圧部材近傍の観察対象部位12aに照射する電子線
36 押圧部材近傍以外の観察対象部位12bに照射する電子線
37 溝

Claims (12)

  1. 荷電粒子線装置のビーム照射対象となる複数の試料を保持する複数の溝部を有する試料保持具において、
    前記溝部ごとに設けられ、前記試料を前記溝部に向かって押圧する押圧部材を備え、当該押圧部材は前記溝部内に配置されることを特徴とする試料保持具。
  2. 請求項1において、
    前記試料保持具には、前記ビームに対する減速電界を形成するための負電圧が印加されることを特徴とする試料保持具。
  3. 請求項1において、
    前記溝部の側壁と溝部上辺に包囲される空間内に前記押圧部材が収まるように、構成されていることを特徴とする試料保持具。
  4. 請求項1において、
    前記溝部は、前記荷電粒子線装置のビームの照射対象となる複数の試料を保持する複数の第1の溝部と、当該第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部を含むことを特徴とする試料保持具。
  5. 荷電粒子源から放出される荷電粒子ビームが照射される試料を保持する試料保持具を備えた荷電粒子線装置において、
    当該試料保持具に負電圧を印加する負電圧印加電源を有し、前記試料保持具は荷電粒子線装置のビーム照射対象となる複数の試料を保持する複数の溝部と、当該複数の溝部ごとに設けられ、前記試料を前記溝部に向かって押圧する押圧部材とを備え、当該押圧部材は前記溝部内に配置されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項5において、
    前記試料保持具は、前記溝部の側壁と溝部上辺に包囲される空間内に前記押圧部材が収まるように、構成されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項5において、
    前記溝部は、前記荷電粒子線装置のビームの照射対象となる複数の試料を保持する複数の第1の溝部と、当該第1の溝部ごとに形成されると共に当該第1の溝部がその内部に形成される第2の溝部を含むことを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 観察対象が直線的に分布した試料面をもつ試料を固定する試料保持具を備えた荷電粒子線装置であって、
    前記試料保持具の表面には、前記観察対象の分布を近似した近似直線1と平行で前記試料を配置するための溝が形成され、前記溝構造の幅は前記試料面の短辺の長さ以上かつ短辺の5倍より小さく、前記溝構造の長さは両端の観察対象部位間の距離と同程度以上であり、前記溝構造の深さは試料の厚さより大きくなるように構成され、
    当該試料保持具を搬送する搬送機構と、当該搬送機構によって搬送された試料保持具に保持された試料にビームを照射するためのカラムが設けられた試料観察室を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項1において、
    試料を試料面と垂直な向きに0N以上の力で押圧固定する押圧部材を備え、当該押圧部材によって試料を固定した状態で、試料上にある押圧部材のもっとも高い位置が前記溝構造の溝の上面と同程度かより低い位置に保持されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項9において、
    前記溝構造を第一の溝構造としたとき、当該第一の溝構造の底面に、前記近似直線1と平行で試料を配置するための第二の溝構造をそなえ、当該第二の溝構造の幅は前期試料面の短辺の長さ以上かつ前記第一の溝構造の幅より小さく、前記第二の溝構造の長さは両端の観察対象部位間の距離と同程度以上であり、前記第二の溝構造の深さは試料の厚さより大きいことを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項9において、
    前記溝構造が、前記近似直線1を含み試料保持治具と垂直な面1に対して面対称な構造をしていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項9において、
    溝構造の片方の側壁がテーパー形状をしていることを特徴とする荷電粒子線装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112285141A (zh) * 2020-10-21 2021-01-29 中国核动力研究设计院 辐照后反应堆结构材料sem试样的制备方法及试样盒

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