以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、回転自在である感光体ドラム11a〜11dは、例えば有機感光層が形成された有機感光体(OPC感光体)やアモルファスシリコン感光層が形成されたアモルファスシリコン感光体が用いられ、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各色に対応させて配設される。各感光体ドラム11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
現像装置2a〜2dは、感光体ドラム11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体ドラム11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面を一様に帯電させる。
露光ユニット12は、パーソナルコンピューター等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体ドラム11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザー光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体ドラム11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザー光源から出射されたレーザー光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体ドラム11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザー光により、各感光体ドラム11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体ドラム11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。各1次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体ドラム11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して1次転写部を形成する。この1次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体ドラム11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。
2次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写部を形成する。この2次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の2次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を2次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
給紙カセット32は、装置の外部(図1の表面側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び捌きローラー33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー33cの手前で合流しており、レジストローラー33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写部に搬送される。2次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された2次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を2次転写され、定着部18に搬送される。
定着部18は、ヒータにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを挟んで定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、トナー像が定着部18で定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙の裏面にも2次転写ローラー34でトナー像が2次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙は第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー19aにより用紙排出部37に排出される。
図2は、上述の画像形成装置1に用いられる現像装置の構成を示す断面平面図である。なお、以下の説明では、図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
図2に示すように、現像装置2は、現像ローラー20と、磁気ローラー21と、規制ブレード24と、攪拌部材42、及び現像容器22等により構成されている。
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに仕切っている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌部材42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラムに向けて露出させる開口22aが形成されている。
現像ローラー20は、感光体ドラムに対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラムの右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラムに接近した対向位置において、感光体ドラムにトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。攪拌部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
攪拌部材42は、第1スパイラル43と第2スパイラル44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の右方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。
第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(図2の紙面表裏方向)の両端部分には、連通部(図略)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、非磁性スリーブ21b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。非磁性スリーブ21bは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラー20に供給される。
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧55aに交流電圧55bを重畳した現像バイアス55が印加される。
現像バイアス55を印加された現像スリーブ20cが図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラムの露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラムに飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム上の静電潜像が現像される。
次に、図3を用いて、現像装置の攪拌部について詳しく説明する。図3は攪拌部を示す平面断面図(図2のXX′矢視断面図)である。
現像容器22には、前述のように、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、仕切り部22bと、上流側連通部22e、及び下流側連通部22fが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出口22hと、上流側壁部22i、及び下流側壁部22jが形成されている。なお、第1搬送室22cにおいて、図2の左側を上流側、図2の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、図2の右側を上流側、図2の左側を下流側とする。従って、連通部及び側壁部は、第2搬送室22dを基準として、上流及び下流と呼称している。
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の右側端部は、上流側壁部22iの内壁部とともに上流側連通部22eを形成し、一方、仕切り部22bの長手方向の左側端部は、下流側壁部22jの内壁部とともに下流側連通部22fを形成している。そして現像剤は、第1搬送室22cと、上流側連通部22eと、第2搬送室22d、及び下流側連通部22f内を循環することが可能である。
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(図3の左側)に配置される。
現像剤排出口22hは、現像剤の補給によって、第1及び第2搬送室22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するための開口であり、第2搬送室22dの下流側で第2搬送室22dの長手方向に連続して設けられる。
第1搬送室22c内には第1スパイラル43が配設され、第2搬送室22d内には第2スパイラル44が配設されている。
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aとを有する。また、第1螺旋羽根43aは、第1搬送室22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
第2スパイラル44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。また、第2螺旋羽根44aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部22eに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
また、回転軸44bには、第2螺旋羽根44aとともに、規制部52及び排出羽根53が一体に配設されている。
規制部52は、第2搬送室22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出口22hに搬送することを可能にするものである。規制部52は、回転軸44bに設けられる螺旋羽根からなり、第2螺旋羽根44aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根44aの外径と略同じで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部22j等の現像容器22の内壁部と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出されることになる。
回転軸44bは現像剤排出口22h内まで延びている。現像剤排出口22h内の回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2螺旋羽根44aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外周が小さくなっている。従って、回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出口22h内に搬送された余剰現像剤は、図3の左側に送られて、現像容器22外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第2螺旋羽根44aは合成樹脂によって回転軸44bと一体に成型される。
現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43aに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車62及び図示しない歯車は、現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
新たに現像剤を補給していない現像時には、モーター等の駆動源によって、歯車61が回転すると、回転軸43bとともに第1螺旋羽根43aが回転し、第1螺旋羽根43aによって、現像剤は、第1搬送室22c内の現像剤を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、回転軸44bと連動する回転軸44bとともに第2螺旋羽根44aが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送される。従って、現像剤はその嵩高を大きく変動させながら第1搬送室22cから上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送され、規制部52を乗り越えることなく、下流側連通部22fを通って第1搬送室22cに搬送される。
このように現像剤は、第1搬送室22cから、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が磁気ローラー21に供給される。
次に、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第1搬送室22c内にキャリアを含む現像剤が補給される。
補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根43aによって、第1搬送室22c内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送される。回転軸44bの回転にともなって規制部52が回転すると、規制部52によって、第2螺旋羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。この規制部52によって現像剤が塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤が規制部52を乗り越えて、現像剤排出口22hを介して現像容器22外に排出される。
図4は、第1実施形態の現像装置における現像剤排出部周辺の拡大図である。第2搬送室22d内には現像剤搬送方向(図4の白矢印方向)に対し規制部52の上流側直近にセンサー配置部70が設けられており、センサー配置部70の底面にトナー濃度検知センサー71が配置されている。なお、図4では第2スパイラル44がトナー濃度検知センサー71の手前側に位置するため、トナー濃度検知センサー71を破線で表示している。
トナー濃度検知センサー71としては、現像容器22内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。トナー残量センサー71により現像剤の透磁率が検出されると、その検出結果に相当する電圧値を制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度検知センサー71の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
また、第2スパイラル44には、センサー配置部70に位置する部分にスクレーパー73が設けられている。スクレーパー73は、例えば基材となる可撓性のフィルムに不織布を積層したものが用いられ、搬送スパイラル44の回転軸44bに形成されたスクレーパー支持部75(図5参照)に回転軸44bに対し平行に貼り付けられている。回転軸44bの回転に伴いスクレーパー73が回転することで、トナー濃度検知センサー71の検知面71a(図5参照)が摺擦されて清掃されるとともに、センサー配置部70における現像剤の滞留が促進される。
図5は、第1実施形態の現像装置におけるセンサー配置部70の断面図(図4のYY′矢視断面図)である。本実施形態では、センサー配置部70の内壁面両側の曲面部70aの曲率半径を第2搬送室22dの他の部分のU字形状(図5の破線で表示)よりも小さくすることにより、第2スパイラル44とセンサー配置部70の曲面部70aとの間の空間が第2搬送室22dの他の部分に比べて広くなっている。
この構成により、センサー配置部70では第2搬送室22dの断面積が他の部分に比べて大きくなるため、第2スパイラル44による現像剤の搬送速度が低下する。その結果、センサー配置部70において現像剤が滞留し、規制部52及び下流側連通部22fへ移動する現像剤面の波立ち(変動)が抑制される。従って、規制部52を乗り越えて現像剤排出口22hから排出される現像剤量を安定化することができ、画像形成装置1のプロセス速度が変更された場合でも現像装置2内の現像剤量を略一定に維持することができる。
また、第2スパイラル44とセンサー配置部70の下隅部70aとの間の空間が広くなるため、センサー配置部70の底面に配置されたトナー濃度検知センサー71の検知面71aの外周縁周辺にも現像剤が十分に存在することになる。従って、トナー濃度検知センサー71の検知精度が向上する。さらに、トナー残量検知センサー70の取り付け面となるセンサー配置部70の底面がフラットになるため、トナー残量検知センサー70の取り付けも容易となり、取り付け精度も向上する。即ち、センサー配置部70は現像剤面の波立ち(変動)を抑制するための減速領域とトナー残量検知センサー70の検知精度を向上させるための現像剤滞留部とを兼ねているため、減速領域と現像剤滞留部とを別々に設ける場合に比べて現像容器22内における現像剤の循環バランスの調整が容易となる。
センサー配置部70の断面形状は、図5に示した形状に限らず、例えば図6に示すように、センサー配置部70の曲面部70aの曲率半径は変えずに、センサー配置部70の底面70bと第2スパイラル44との間隔を広げても良い。この構成においてもセンサー配置部70における現像剤の搬送速度を低下させて現像剤面の波立ちを抑制し、現像剤排出口22hから排出される現像剤量を安定化させることができる。
しかし、図6に示す断面形状の場合、図5に比べて第2スパイラル44とセンサー配置部70の底面70bとの間隔が広くなり過ぎて第2搬送室22d内の現像剤の流れが悪くなるおそれがある。そのため、現像剤の流れを維持しつつトナー濃度検知センサー71の検知面71a全域に現像剤を十分に存在させることができ、且つトナー残量検知センサー70の取り付け面もフラットにできる図5の断面形状が好ましい。
また、現像剤搬送方向におけるセンサー配置部70の寸法は、トナー濃度検知センサー71の検知面71aの直径の1〜2倍の長さが適当である。
図7は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の攪拌部を示す断面側面図である。本実施形態では、第2スパイラル44には現像剤搬送方向(図4の白矢印方向)に対し規制部52の上流側直近において下流側連通部22fに対向するように減速搬送部51が設けられている。先ず、第1実施形態と異なる減速搬送部51を備える攪拌部について主に説明し、以降、第1実施形態と共通する部分の説明を省略する。
減速搬送部51は、現像剤搬送方向に対しセンサー配置部70の下流側直近に隣接して配置されており、下流側連通部22fに対向している。また、減速搬送部51は、第2螺旋羽根44aと同方向を向く複数(ここでは3枚)の羽根で螺旋状に形成されている。減速搬送部51を構成する螺旋羽根は、第2螺旋羽根44aの外径と同じサイズで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。減速搬送部51の羽根ピッチは第2螺旋羽根44aのピッチの1/6〜1/3となっており、これらの螺旋羽根が下流側連通部22fの長手方向の開口幅に対向している。なお、減速搬送部51の螺旋羽根は下流側連通部22fの開口の全幅に対向しなくともよいが、この場合には、規制部52側の羽根が下流側連通部22fの開口に対向しているのがよい。
この構成によって、回転軸44bが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、第2搬送室22d内で現像剤が比較的に速く搬送されるが、減速搬送部51の羽根ピッチが第2螺旋羽根44aのピッチより小さいので、減速搬送部51が設けられている第2搬送室22d内では、第2螺旋羽根44aよりも現像剤の搬送速度が低下することになる。従って、搬送される現像剤は、第2螺旋羽根44aの羽根の外周に倣い波打つように搬送路内を移動するが、螺旋羽根のピッチが比較的に大きいと、現像剤の嵩高が大きく変動しながら現像剤が速く移動する。一方、減速搬送部51のように螺旋羽根のピッチが比較的に小さいと、現像剤の嵩高の変動は小さく現像剤がゆっくりと移動することになる。
従って、新たに現像剤を補給していない現像時には、モーター等の駆動源によって、歯車61が回転すると、回転軸43bとともに第1螺旋羽根43aが回転し、第1螺旋羽根43aによって、現像剤は、第1搬送室22c内の現像剤を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、回転軸44bと連動する回転軸44bとともに第2螺旋羽根44aが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、センサー配置部70及び減速搬送部51に搬送される。
第1及び第2螺旋羽根43a、44aの回転によって、現像剤はその嵩高を大きく変動させながら比較的に速く搬送される。一方、センサー配置部70及び減速搬送部51近傍では、現像剤の嵩高の変動が小さく、現像剤は比較的にゆっくりと搬送されることによって、現像剤が規制部52に衝突しても、現像剤の跳ね上がりが抑えられて、規制部52の外周部を乗り越えることがない。その結果、現像剤は、規制部52を乗り越えることなく下流側連通部22fを通って第1搬送室22cに搬送される。
次に、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第1搬送室22c内にキャリアを含む現像剤が補給される。
補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根43aによって、第1搬送室22c内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、センサー配置部70及び減速搬送部51に搬送される。回転軸44bの回転にともなって規制部52が回転すると、規制部52によって、第2螺旋羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。センサー配置部70及び減速搬送部51において搬送速度が減速された現像剤は、規制部52の上流側に位置する減速搬送部51近傍で塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤(現像剤補給口22gから補給された現像剤と同量)が規制部52を乗り越えて現像剤排出口22hを介して現像容器22外に排出される。
図8は、本発明の第3実施形態に係る現像装置の攪拌部を示す断面側面図である。第2実施形態と異なる減速搬送部を備える攪拌部について主に説明し、以降、第2実施形態と共通する部分の説明を省略する。
現像容器22の第1搬送室22c、第2搬送室22d、仕切り部22b、上流側連通部22e、下流側連通部22f、現像剤補給口22g、及び現像剤排出口22hは、第2実施形態と同様の配置、構成である。また、回転軸43bと第1螺旋羽根43aとを有する第1スパイラル43も第2実施形態と同様の配置、構成である。更に、第2スパイラル44の回転軸44bには、第2螺旋羽根44aと減速搬送部51と規制部52及び排出羽根53が一体に配設され、第2螺旋羽根44a、規制部52及び排出羽根53は第2実施形態と同様の配置、構成である。一方、減速搬送部51は第2実施形態と同じ位置に配置されているが、第2実施形態と構成が異なる。
減速搬送部51は、第2螺旋羽根44aと同方向を向く羽根で螺旋状に形成されている。減速搬送部51を構成する螺旋羽根は、第2螺旋羽根44aの外径よりも小径で第2螺旋羽根44aと同じピッチに設定されている。減速搬送部51の羽根数は1枚であり、この羽根が下流側連通部22fに対向している。また、減速搬送部51は複数枚の羽根からなり、これらの羽根が下流側連通部22fの長手方向の開口幅に対向していてもよい。更に、減速搬送部51の羽根は下流側連通部22f開口の全幅に対向しなくともよいが、この場合には、規制部52側の羽根が下流側連通部22f開口に対向しているのがよい。
この構成によって、回転軸44bが回転すると、第2螺旋羽根44aによって、第2搬送室22d内で現像剤が比較的に速く搬送されるが、減速搬送部51の羽根外径が第2螺旋羽根44aの羽根外径より小さいので、減速搬送部51が設けられている第2搬送室22d内では、第2螺旋羽根44aよりも現像剤の搬送速度が低下することになる。従って、搬送される現像剤は、第2螺旋羽根44aの羽根の外周に倣い波打つように搬送路内を移動するが、螺旋羽根の羽根外径が比較的に大きいと、現像剤の嵩高が大きく変動しながら現像剤が速く移動する。一方、減速搬送部51のように羽根外径が比較的に小さいと、現像剤の嵩高の変動は小さく現像剤がゆっくりと移動する。
従って、第2実施形態と同様に、センサー配置部70及び減速搬送部51近傍では現像剤の嵩高の変動が小さく、現像剤は比較的にゆっくりと搬送されるため、新たな現像剤を補給していない現像時には、現像剤は規制部52を乗り越えることなく、下流側連通部22fを通って第1搬送室22cに搬送される。一方、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合は、現像剤は規制部52の上流側に位置する減速搬送部51近傍で塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤が規制部52を乗り越えて現像剤排出口22hを介して現像容器22外に排出される。
上記第2及び第3実施形態によれば、第2搬送室22d内を搬送される現像剤は先ずセンサー配置部70を通過する際に減速され、さらにセンサー配置部70の下流側に隣接する減速搬送部51を通過する際に減速される。従って、第1実施形態に比べて現像剤面の波立ちを一層効果的に抑制して現像剤量を確実に安定させることができる。また、センサー配置部70と減速搬送部51とが隣接して配置されているため、第2搬送室22d内の現像剤の減速箇所が実質的に1箇所にまとめられ、現像剤の循環バランスも調整しやすくなる。なお、第2及び第3実施形態の現像装置2におけるセンサー配置部70の断面形状については第1実施形態の図5、図6と同様の構成である。
次に、プロセス速度を変更する場合の現像容器22内の現像剤量について説明する。本発明の画像形成装置では、搬送される記録媒体の厚みや種類、出力画像の種類に応じて装置の駆動速度が二段階に切り換えられる。即ち、記録媒体が普通紙である場合や文字原稿を出力する場合は通常の駆動速度(以下、全速モードという)で画像形成処理が行われ、記録媒体が厚紙である場合や写真画像を出力する場合は通常よりも低速(以下、減速モードという)で画像形成処理が行われる。これにより、記録媒体として厚紙を用いる場合や写真画像を出力する場合に十分な定着時間を確保して画質を向上させることができる。
上述したように全速モードから減速モードに切り換えられると、第1スパイラル43、第2スパイラル44の回転速度も低下するため、現像容器22内の現像剤搬送速度が急激に変化する。その結果、現像容器22内で現像剤の偏りが生じて現像剤の嵩(現像剤面)が変動するため、現像剤排出口22hから排出される現像剤量も変化し、現像容器20内の現像剤量が変化する。
いま、最も速いプロセス速度(ここでは全速モード)における現像容器22内の安定現像剤量をM1、最も遅いプロセス速度(ここでは減速モード)における現像容器22内の安定現像剤量をM2とするとき、条件式(1)を満たすことが好ましい。
(M2−M1)/M1≦0.11 ・・・(1)
上述したように、現像剤搬送速度が変化することで現像容器22内の現像剤量も変化するが、所定の印字率の画像を所定枚数印字することにより現像容器22内の現像剤量は一定量に収束し、その後は安定する。つまり、条件式(1)中の安定現像剤量M1とは、最も速いプロセス速度(全速モード)で所定の印字率の画像を所定枚数印字することにより収束した現像剤量である。また、安定現像剤量M2とは、最も遅いプロセス速度(減速モード)で所定の印字率の画像を所定枚数印字することにより収束した現像剤量である。
(M2−M1)/M1が0.11を超える場合は、全速モードと減速モードにおける現像容器22内の現像剤量の差が大きくなり、全速モードから減速モードへの移行時に現像剤量が大幅に増加していることになる。そのため、新たな現像剤が補給されてもトナー濃度が上昇し難くなり、画像濃度不足が発生し易くなる。また、規制部52を越えて現像剤排出口22hから排出される現像剤量も多くなり、無駄な現像剤の消費も増加する。
また、現像容器22内の現像剤量が変化すると現像剤の嵩(現像剤面)も変動するが、減速モードから全速モードへの移行時に現像剤量が大幅に減少すると、第2スパイラル44の第2螺旋羽根44aの外形に沿って現像剤面に凹凸が生じ、画像ムラとなって現れる不具合が発生する。
一方、現像剤面が高くなって現像剤面と磁気ローラー20との距離が一定以上に近づくと、磁気ローラー20から引き剥がされた現像剤が第2搬送室22d内の現像剤と十分に攪拌されない状態で再び磁気ローラー20に供給されることになる。(M2−M1)/M1が0.11を超えると、全速モードから減速モードへの移行時に現像剤量の変化がマージン(裕度)を超えてしまい、現像性を損なってしまう。画像ムラの発生を確実に防止するためには、M1、M2が以下の条件式(2)を満たすことが好ましい。
(M2−M1)/M1≦0.07 ・・・(2)
なお、どの程度の印字率の画像をどの程度の枚数印字した後に現像剤量がM1(またはM2)に収束するかは、現像装置2を含む画像形成装置1の仕様やプロセス速度によって異なる。しかし、M1、M2が条件式(1)或いは(2)を満たすように設計することで、上述したような不具合を効果的に抑制可能となる。
条件式(1)、(2)を満たすようなM1、M2の設定方法としては、現像装置2を含む画像形成装置1の仕様やプロセス速度に応じて減速搬送部51を構成する螺旋羽根の外径、ピッチ、センサー配置部70の断面形状(第2スパイラル44とセンサー配置部70の底面との間隔)、使用する現像剤の流動性等を調整する方法が挙げられる。現像剤の流動性は、例えば二成分現像剤のトナーとキャリアの混合比やトナー及びキャリアの粒径を変化させることで調整できる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図2に示したような磁気ローラー21と現像ローラー20を備えた現像装置に限定されるものではなく、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる種々の現像装置に適用可能である。例えば、上記各実施形態では現像容器22内の現像剤循環経路として、互いに並列配置される第1搬送室22cと第2搬送室22dとを備えた2軸搬送式の現像装置について説明したが、磁気ローラー21から引き剥がされた現像際を回収して第2搬送室22dに合流させる回収搬送室を備えた3軸搬送式の現像装置にも適用可能である。
また、上記各実施形態では、減速搬送部51は、第2スパイラル44の第2螺旋羽根44aより小さいピッチからなる螺旋羽根、または第2螺旋羽根44aより小さい外径からなる螺旋羽根によって構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、減速搬送部51は羽根に複数の孔を設ける構成として、現像剤の搬送速度を低下させるようにしてもよい。この場合も上記同様の効果を奏する。
また、上記各実施形態では、規制部52が第2螺旋羽根44aと逆位相の螺旋羽根からなる構成を示したが、本発明はこれに限らず、規制部は、現像剤排出口22hの開口より大きいサイズの円板で回転軸44bに形成し、現像剤排出口22hの近傍で減速搬送部51に隣接して配置するようにしてもよい。
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明する。
図1に示すような画像形成装置において、全速モードから減速モードへ切り換えた場合の現像剤量の変化、及び、画像濃度、画像ムラの発生について調査した。なお、試験は感光体ドラム11d及び現像装置2dを含むシアンの画像形成部Pdにおいて、全速モード時のシステム速度(感光体ドラム周速)を330mm/sec、減速モード時のシステム線速を165mm/sec(全速モードの1/2速)に設定して行った。
試験方法としては、センサー配置部70を図5のような断面形状とし、図7のような螺旋羽根のピッチの小さい減速搬送部51を設けた第2実施形態の現像装置2を搭載した構成を本発明1、センサー配置部70を図5のような断面形状とし、図8のような螺旋羽根の外径の小さい減速搬送部51を設けた第3実施形態の現像装置2を搭載した構成を本発明2、センサー配置部70を図5のような断面形状とし、図4のように減速搬送部51を設けない第1実施形態の現像装置2を搭載した構成を本発明3、4とした。
また、センサー配置部70の断面形状を第2搬送室22dの他の部分と同じU字形状とし、図7のような螺旋羽根のピッチの小さい減速搬送部51を設けた現像装置2を搭載した構成を比較例1とし、センサー配置部70の断面形状を第2搬送室22dの他の部分と同じU字形状とし、減速搬送部51も設けない現像装置2を搭載した構成を比較例2とした。
本発明1〜4及び比較例1、2に用いる現像ローラー20は、外径が16mm、回転数が700rpmであり、磁気ローラー21は、外径が20mm、回転数が878rpmである。第1スパイラル43は、第1螺旋羽根43aの外径が18mmであり、羽根ピッチが30mm(2条巻き)であり、更に、回転軸43bの軸径が7mmであり、回転数が500rpmである。一方、第2スパイラル44の第2螺旋羽根44aの外径が18mmであり、羽根ピッチが30mm(2条巻き)であり、更に、回転軸44bの軸径が7mmであり、第1螺旋羽根43aと逆回転し、その回転数が500rpmである。現像容器22の下流側連通部22fの開口幅が30mmである。
本発明1〜3のセンサー配置部70は、第2スパイラル44とセンサー配置部70の曲面部70aとの最大間隔が3mm、第2スパイラル44とセンサー配置部70の底面70bとの間隔が1.5mmに設定されている。また、本発明4のセンサー配置部70は、第2スパイラル44とセンサー配置部70の曲面部70aとの最大間隔が2mm、第2スパイラル44とセンサー配置部70の底面70bとの間隔が1.5mmに設定されている。そして、センサー配置部70以外の第2スパイラル44と第2搬送室22dの内壁面下部との間隔は1.5mmに設定されている。一方、比較例1、2では、第2スパイラル44とセンサー配置部70の曲面部70a及び底面70bとの間隔はいずれも1.5mmに設定されている。
本発明1及び比較例1の減速搬送部51は、外径18mm、ピッチ5mmの3枚の螺旋羽根で構成されている。また、本発明2の減速搬送部51は、外径12mm、ピッチ30mmの1枚の螺旋羽根で構成されている。
現像容器22内のトナーは平均粒径6.8μmであり、キャリアは平均粒径35μmで、キャリアに対するトナーの重量比率は9%である。現像容器22内に補給した新現像剤のトナーに対するキャリアの重量比率は10%とした。現像剤は現像容器22(第1及び第2搬送室22c、22d)内に400g収容され、この量は、現像容器22内に余剰現像剤を含まない所定量である。
現像剤量の測定は、それぞれの試験機を用い、減速モードにて印字率5%の画像を1000枚連続印字した後に現像装置2を取り外して現像装置2の重量を測定した。次に、現像装置2を再び画像形成装置1に装着し、全速モードにて印字率5%の画像を1000枚連続印字した後に現像装置2を取り外して重量を測定した。測定された現像装置2の重量から現像剤を取り除いた空の現像装置2の重量を差し引いて安定現像剤量M1、M2を算出した。さらに、算出されたM1、M2の値から現像剤量の変化率(M2−M1)/M1を算出した。
画像濃度の評価は、減速モードから全速モードへの切り換え直後にA3サイズの全面ベタ画像を印字し、画像の先端部及び後端部の左、中央、右の3点ずつ計6点の反射濃度を反射濃度計(マクベスRD912)により測定し、上記6点の反射濃度(ID;イメージデンシティ)が1.20以上であり、且つ6点の反射濃度のばらつきが0.20以内であるときを○、6点の反射濃度が1.20以上であるが6点の反射濃度のばらつきが0.20を超えるときを△、それ以外の場合を×とした。画像ムラの評価は、減速モード及び全速モードにおいてA3サイズの全面ベタ画像を印字して目視により観察し、画像ムラが認識できない場合を○、画像ムラが認識できるが実用上問題のない場合を△、実用上問題がある程度の画像ムラが認識できる場合を×とした。また、減速モードから全速モードへの切り換え直後の現像剤排出量の変動が少量であった場合を○、やや多かった場合を△、多量であった場合を×とした。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、第2搬送室22d内に減速搬送部51を設けた本発明1、2では(M2−M1)/M1≦0.07となり、減速モードから全速モードに切り替えた時の安定現像剤量M1、M2の変動が抑制された。また、画像濃度、画像ムラの発生も認められなかった。これは、本発明1、2では現像剤排出量の変動が少量に抑えられ、安定した現像性能が得られたためであると考えられる。また、第2搬送室22d内に減速搬送部51を設けなかった本発明3、4においては(M2−M1)/M1≦0.11となり、画像濃度の低下は認められなかったが、実用上問題のない範囲で画像ムラが認められ、現像剤排出量の変動もやや多かった。これは、本発明3、4ではセンサー配置部70の断面積が大きくなっているため、本発明1、2に比べてやや効果は劣るものの、減速モードから全速モードに切り替えた時の安定現像剤量M1、M2の変動が抑制されたためであると考えられる。
これに対し、減速搬送部51を設けたがセンサー配置部70の断面積を大きくしなかった比較例1では、(M2−M1)/M1=0.12(>0.11)となり、減速モードから全速モードに切り替えた時の安定現像剤量M1、M2の変動が大きくなった。その結果、画像の先端部及び後端部の反射濃度に0.20を超えるばらつきが発生し、実用上問題のない範囲ではあるが画像ムラが認められた。また、減速搬送部51を設けず、センサー配置部70の断面積も大きくしなかった比較例2では、(M2−M1)/M1=0.15(>0.11)となり、現像剤排出量の変動も大きくなり、全速モードへの切り替え時に多量の現像剤が排出されるため、画像濃度、画像ムラの発生も実用上問題となるレベルであった。
以上の結果より、M1、M2が(M2−M1)/M1≦0.11を満たす本発明の現像装置では、プロセス速度を変更した時の現像剤量の変動が抑制されるため、画像不良の発生や無駄な現像剤の排出を効果的に抑制できることが確認された。特に、(M2−M1)/M1≦0.07を満たす場合は画像濃度のばらつきや画像ムラの発生、現像剤排出量の変動がより効果的に抑制されることが確認された。