JP2014137563A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射板の位置ずれの発生を抑制可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】マイクロコンピュータ100は、コンバイナ12の自重によって歯車14bに回転モーメントが作用する方向である自重回転方向(R1)に回転中のコンバイナ12を停止させるための制御信号を出力した後、歯車14aと歯車14bとの間の噛み合わせの遊び分だけ、自重回転方向(R1)とは逆方向(R2)にコンバイナ12を回転させるための制御信号である補正信号を出力する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
自動車等の車両には、運転に必要な情報や車両の状態を表す情報を運転者に提供するために、様々な計器類を組み込んだメータユニット(表示装置)が運転席前方に装備されている。このような表示装置に関して、従来より、視認性の向上等を目的として様々な技術が開発されている。
例えば、表示面上に虚像として結像されたナビゲーション情報等の各種情報を含む表示像と外景とを重畳して車両の乗員に視認させるための装置であるヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と称する場合がある。)が知られている。一般的に、HUD装置では、表示する光の像を光投射装置からコンバイナ(反射板、ハーフミラー又は透明やスモーク色の板)の表面に向けて投射する。そして、運転者は、コンバイナの表面で反射した像を視認する。
また、一般的なHUD装置では、HUD装置が結像する虚像が見える視点の位置を調整可能とするために、コンバイナは回転可能に設けられている。そして、運転者は、操作スイッチを操作することにより当該コンバイナの回転角度を適切な角度に調整する。
例えば、反射板が、複数の歯車で構成される伝達機構を介して駆動用の電気モータの駆動軸と連結されている構成が特許文献1に開示されている。
特開2011−145393号公報
このような歯車を用いた機構においては、複数の歯車の噛み合わせの遊び分だけバックラッシュが存在するために、使用者が反射板の回転角度を所定の角度に調整したとしても、停止角度にずれが発生する場合がある。即ち、反射板の位置ずれが発生する場合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたものであり、反射板の位置ずれの発生を抑制可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するために、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、下記の点を特徴としている。
(1) 制御部と、
回転可能に設けられた反射板と、
前記制御部から出力される制御信号に従って正逆両方向に回転駆動されるステッピングモータと、
前記ステッピングモータの回転駆動力により回転する第1の歯車と、該第1の歯車に噛合し、該回転駆動力を前記反射板に伝達して該反射板を回転させる第2の歯車と、を有する歯車機構と、
を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記反射板の自重によって前記第2の歯車に回転モーメントが作用する方向である自重回転方向に回転中の前記反射板を停止させるための前記制御信号を出力した後、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間の噛み合わせの遊び分だけ、前記自重回転方向とは逆方向に前記反射板を回転させるための前記制御信号である補正信号を出力する、
こと。
ところで、回転可能な指針を用いた従来のメータユニットにおいても、ヘッドアップディスプレイ装置の場合と同様にバックラッシュが存在する。しかしながら、当該指針を用いた駆動系においては、指針を含む駆動系の重量バランスを事前に平衡状態にしておくことができる。したがって、指針の場合には停止後に指針の位置が変わり難い。
しかしながら、コンバイナの様な板状の反射板を回転駆動する場合には、駆動系の重量バランスをとるような構造にすることが困難である。このために、反射板が、回転駆動の停止後に、当該反射板の自重の影響によってバックラッシュ分だけ更に回転してしまい、反射板に位置ずれが発生する場合があった。
これに対して、上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置によれば、反射板の重量バランスがとれておらず、反射板が、自重回転方向への回転駆動を停止した後で、当該反射板の自重により更に当該自重回転方向に回転して停止角度がずれてしまう場合であっても、補正信号の出力により当該自重回転方向とは逆方向にバックラッシュ分だけ回転させることにより、反射板を正しい停止位置まで回転させることができる。このため、位置調整時における反射板の位置ずれの発生を抑制できる。
(2) 上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、前記自重回転方向とは逆方向に回転中の前記反射板を停止させるための前記制御信号を出力した後は、前記補正信号を出力しない、
こと。
上記(2)の構成のヘッドアップディスプレイ装置によれば、回転駆動の停止後における停止角度の補正が不要な場合には、補正信号を出力しないので、位置調整時における反射板の位置ずれの発生を抑制できる。
本発明のヘッドアップディスプレイ装置によれば、反射板の位置ずれの発生を抑制可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、車室内の外観の具体例を示す斜視図である。 図2は、HUD装置の外観を示す斜視図である。 図3は、図2に示したHUD装置の構造を示す縦断面図である。 図4は、図2に示したHUD装置のハードウェアの構成を例示するブロック図である。 図5(a)〜(c)は、自重回転方向に回転中のコンバイナを停止させる場合におけるコンバイナの回転角度の変化を示す状態遷移図である。 図6(a),(b)は、自重回転方向とは逆方向に回転中のコンバイナを停止させる場合におけるコンバイナの回転角度の変化を示す状態遷移図である。 図7は、図2に示したHUD装置の主要な制御の内容を示すフローチャートである。
本発明のHUD装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<HUD装置の具体的な配置形態の説明>
HUD装置を搭載した自動車の車室内の外観の具体例を図1に示す。図1に示したHUD装置10は、運転席の前方のインストルメントパネル21に一部分が埋め込まれ、一部分が上方に露出した状態で設置されている。
この車両を運転する運転者は、HUD装置10が投影する光の像と、ウインドシールド(フロントガラス)22を通して見える前方の風景とを重ね合わせた状態で同時に視認することができる。HUD装置10が投影する光の像は、実際には存在しない位置に虚像として結像された状態で運転者に視認される。
<HUDの外観及び機構部の構成の説明>
HUD装置10の外観を図2に示す。また、HUD装置10の縦断面図を図3に示す。
図2に示すように、このHUD装置10は光投射部11及びコンバイナ12(反射板)を備えている。光投射部11は、HUDが表示すべき可視情報を含む光の像を、コンバイナ12に向けて投射する。コンバイナ12は、台形板状に形成され、光投射部11が投射した光を反射して、運転者の視点EPの方向に投影する。運転者が視認する像は、運転者から見てコンバイナ12よりも遠方の位置に虚像として結像される。また、コンバイナ12は、車両前方からの光を透過して運転者の視点EPの方向に導く。
光投射部11は、図3に示すように表示デバイス13を備えている。表示デバイス13は、例えば透過型の液晶表示パネルで構成され、様々な可視情報を表示することができる。また、表示デバイス13が表示した可視情報の像を投影するために、表示デバイス13の背面側には後述する照明用のバックライト16が配置されている。表示デバイス13が表示した可視情報の光の像は、光投射部11内部の所定の光学系により光路が調整され視点EPの位置で視認できるように結像される。
図3に示したHUD装置10においては、HUD装置10が表示する像を視認可能な視点EPの位置を調整するために、コンバイナ12の回転角度を調整することができる。この回転角度を調整するために、コンバイナ12の下端部は、HUD装置10内部の駆動機構14に連結されて支持されている。即ち、コンバイナ12は、下端部の回転軸の位置を中心として時計回り及び反時計回りの方向に回転し、回転角度を調整することができる。コンバイナ12の回転角度が変化すると、コンバイナ12の表面で反射する光の反射方向が変化するので、視点EPを調整することができる。
<HUD装置における各構成の説明>
図2に示したHUD装置10のハードウェアの構成を図4に例示する。HUD装置10は、表示デバイス13、ステッピングモータ15、バックライト16、マイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)100、検出部111、駆動バッファ112、表示駆動部113、インタフェース(I/F)114,115,117、電源部116、アップダウンスイッチ(UP/DOWNSW)118、F側調整スイッチ(ADJ F SW)119、R側調整スイッチ(ADJ R SW)120、及び車上バッテリー121を備えている。
表示デバイス13は、液晶の表示パネルで構成され、図形、文字、画像等の各種可視情報を表示可能な画面を有している。表示デバイス13の表示画面は光を透過する構造になっている。表示デバイス13の背面側に配置されたバックライト16の照明光により、表示デバイス13が表示した可視情報の像を含む光を、コンバイナ12に向けて投射することができる。
ステッピングモータ15の駆動軸は、駆動機構14(歯車機構)を介してコンバイナ12と連結されている。駆動機構14には互いに噛み合った複数の歯車が含まれている。本実施形態では、駆動機構14は、後述するように、ステッピングモータ15の駆動軸に連結されて当該ステッピングモータ15の回転駆動力により回転する歯車14a(第1の歯車)と、当該歯車14aに噛合し、且つコンバイナ12の下端部に連結され、ステッピングモータ15の回転駆動力をコンバイナ12に伝達してコンバイナ12を回転させる歯車14b(第2の歯車)と、を有している。これらの機構により、HUD装置10では、ステッピングモータ15を駆動することによってコンバイナ12の回転角度を調整し、HUD装置10が投影する像が見える位置(視点EP)を変更することができる。
マイクロコンピュータ100(制御部)は、内部メモリ上に予め保持されている所定のプログラムを実行することにより、HUD装置10の制御に必要な様々な機能を実現する。マイクロコンピュータ100の具体的な動作については後で説明する。
検出部111は、初期状態もしくは所定の基準状態の位置にコンバイナ12があることを検出するセンサもしくはスイッチで構成されている。初期状態又は基準状態を検出部111が検出した状態を基準として、ステッピングモータ15を駆動する方向及び駆動ステップ数を制御することにより、所望の位置(回転角度)にコンバイナ12を動かすことが可能である。
駆動バッファ112は、マイクロコンピュータ100から入力される2相の励磁制御信号に従って、ステッピングモータ15の各励磁コイルに流す電流を制御し、ステッピングモータ15を駆動する。ステッピングモータ15を駆動するための直流電力は、インタフェース115の出力から駆動バッファ112に供給される。
表示駆動部113は、マイクロコンピュータ100から入力される表示制御信号に従って、表示デバイス13の画面に表示する可視情報の内容、表示のオンオフ、表示輝度等を制御する。
インタフェース114は、ドライバ回路であり、マイクロコンピュータ100から入力される制御信号に従って、バックライト16の点灯/消灯、及び照明の明るさの制御を行う。
インタフェース115は、車両に搭載されている車上バッテリー121から供給される直流電力(例えば+12V)に基づき、ステッピングモータ15の駆動のために必要な直流電力を生成する。マイクロコンピュータ100はインタフェース115の動作状態を制御することができる。
電源部116は、車上バッテリー121から供給される直流電力に基づき、マイクロコンピュータ100が動作するために必要な安定した直流電源電圧(例えば+5V。)を生成する。
インタフェース117は、イグニッションスイッチIGSが出力する信号を、マイクロコンピュータ100の入力に適した電圧に変換し、マイクロコンピュータ100の入力に与える。
運転者が操作可能なアップダウンスイッチ118、F側調整スイッチ119、及びR側調整スイッチ120は、それぞれマイクロコンピュータ100の入力ポートに接続されている。
アップダウンスイッチ118は、HUDの表示動作が可能な展開状態の位置までコンバイナ12を起立させるためのUP動作と、HUDの表示を使用しない時に利用される所定の格納位置までコンバイナ12を倒すためのDOWN動作とを運転者が指示するために利用される。
F側調整スイッチ119及びR側調整スイッチ120は、運転者が展開状態においてコンバイナ12の位置(回転角度)を微調整するために利用される。F側調整スイッチ119はF(フロント)側に向かってコンバイナ12の位置を変更するために操作され、R側調整スイッチ120はR(リア)側に向かってコンバイナ12の位置を変更するために操作される。
<コンバイナ12を動かすときの回転角度の変化の説明>
図1〜図4に示したHUD装置10におけるコンバイナ12の回転角度の変化に関する状態遷移図を図5及び図6に示す。
図5においては、コンバイナ12を支持する回動軸の方向と直交する断面において、コンバイナ12及び駆動機構14の状態が、図5(a),図5(b),図5(c)と順次に変化する様子が表されている。また、図6においてはコンバイナ12及び駆動機構14の状態が、図6(a),図6(b)と順次に変化する様子が表されている。
<図5に示す動作の説明>
図5(a)は、微調整によるステッピングモータ15の駆動により、コンバイナ12が時計回りの方向(R1、自重回転方向)に回転し、展開状態の最初の位置P0から、位置Aまで回転角度が変化してステッピングモータ15の駆動が停止した状況を表している。
つまり、ステッピングモータ15の駆動軸に連結された歯車14a(第1の歯車)が反時計回りに駆動され、当該歯車14aと噛み合っている歯車14b(第2の歯車)が時計回りに駆動されてコンバイナ12の位置が移動する。ここで、位置P0から位置Aまでのコンバイナ12の移動量は、F側調整スイッチ119の操作により運転者が指示した目標移動量に相当する。
しかしながら、図5(a)の状態となった後で、比較的短い時間(例えば0.5秒以内)の間に、実際には図5(b)に示すように、コンバイナ12の位置が自然に変化する。即ち、歯車14a,14bが噛み合っている箇所には、僅かな隙間(遊び、バックラッシュ)が存在しているので、外力が加わった場合には遊び分の範囲内でコンバイナ12が動く可能性がある。そして、コンバイナ12が回動軸よりも右側に偏った位置に存在し、重心の位置が当該回動軸に対して右上方にあるので、歯車14bには、コンバイナ12自身の自重による回転モーメントが時計回りの方向に作用する。本明細書中では、コンバイナ12の自重によって歯車14bに回転モーメントが作用する方向である、図5における時計回りの方向を、自重回転方向と称する。したがって、歯車14aが反時計回りの方向に回転して停止した後、歯車14bは遊び分だけ時計回りの方向に更に移動する余裕がある。そのため、図5(b)に示すように、コンバイナ12は、停止状態の位置Aから更に時計回りに所定角度だけ回転して位置A’まで遊び分だけ移動して停止する。
図1〜図4に示したHUD装置10においては、後述するマイクロコンピュータ100の制御により、図5(b)の状態から、更にコンバイナ12の位置を自動修正するための処理を行い、図5(c)に示すようにコンバイナ12の位置を補正する。
即ち、マイクロコンピュータ100がステッピングモータ15の駆動によりコンバイナ12を反時計回りの方向(R2)に微少量だけ回転し、位置A’から位置Aまでコンバイナ12を移動する。これにより、コンバイナ12の自重の影響による位置ずれが自動的に補正されて、図5(c)に示す状態となる。
尚、本実施形態に係るHUD装置10では、以上説明したように、コンバイナ12には、常に時計回りの方向に回転モーメントが作用している。このため、コンバイナ12は、例えば自動車の振動等により駆動機構14の遊び分だけ位置が変化しても、その後、元の位置に戻る。これにより、バネ等により駆動機構14を一定方向に片寄せした場合と同等の効果を得ることができる。
<図6に示す動作の説明>
図6の状態(a)は、微調整によるステッピングモータ15の駆動により、コンバイナ12が反時計回りの方向(R2、自重回転方向とは逆方向)に回転し、展開状態の最初の位置P1の回転角度から、位置Aの回転角度まで変化してステッピングモータ15の駆動が停止した状況を表している。
つまり、ステッピングモータ15の駆動軸に連結された歯車14aが時計回りに駆動され、当該歯車14aと噛み合っている歯車14bが反時計回りに駆動されてコンバイナ12の位置が移動する。ここで、位置P1から位置Aまでのコンバイナ12の移動量は、R側調整スイッチ120の操作により運転者が指示した目標移動量に相当する。
図6(a)示す移動後の状態となった時には、その後コンバイナ12の位置が自然に動くことはなく、図6(b)に示すように当該状態が維持される。図6(a)に示すように歯車14aが時計回りの方向に回転して停止した場合には、歯車14bは遊び分だけ反時計回りの方向に更に移動する余裕がある。しかしながら、図5(b)の場合と同様にコンバイナ12自身の自重による回転モーメントが時計回りの方向(R1)の力を発生する。つまり、遊びによって動くことが可能な方向(R2)と、コンバイナ12自身の自重によるモーメントの方向(R1)とが逆方向であるため、当該回転モーメントが作用しても、図6(b)の状態からコンバイナ12が自然に動くことはない。
即ち、コンバイナ12の自重による回転モーメントを原因として位置ずれが生じることはない。したがって、図6に示すように自重回転方向とは逆方向に駆動して停止した場合には、コンバイナ12の停止位置を修正する必要はない。
<HUD装置の主要な制御の内容>
図2に示したHUD装置10の主要な制御の内容を図7に示す。即ち、図4に示したマイクロコンピュータ100が図7に示す制御を実施する。図7の動作について以下に説明する。
ステップS11では、マイクロコンピュータ100は、ステッピングモータ15を制御してコンバイナ12を所定の格納位置(HUDの表示を利用しない時の位置)に位置決めする。また、ステッピングモータ15の励磁コイルに所定の電流を流し、駆動軸の回転を停止して、コンバイナ12の位置が動かないように励磁制御する。
ステップS12では、マイクロコンピュータ100は、入力ポートに接続されているアップダウンスイッチ118の状態を監視し、使用者(運転者)によるUP動作の指示の有無を識別する。初期状態でアップダウンスイッチ118が押されると、マイクロコンピュータ100はUP動作の指示有とみなして次のステップS13に進む。一方、UP動作の指示がない場合には、ステップS11の処理に戻る。
ステップS13では、マイクロコンピュータ100は、ステッピングモータ15を駆動してコンバイナ12を上昇する方向に動かし、表示動作が可能な展開状態の位置までコンバイナ12を起立させる。展開状態の位置については、前回使用時の位置を表す情報をメモリから読み出して把握する。実際には、マイクロコンピュータ100は、前記格納位置から展開状態の位置までの移動量と対応するパルス数だけ、ステッピングモータ15の複数の励磁コイルを順次に励磁してコンバイナ12を動かし、展開状態の位置で回転駆動を停止する。
ステップS14では、マイクロコンピュータ100は、コンバイナ12への表示を開始する。即ち、表示デバイス13の画面に目的の可視情報を表示し、バックライト16を点灯する。点灯したバックライト16の照明光により、表示デバイス13に表示された可視情報の像を含む光が、コンバイナ12の表面に向かう方向に投射される。この時、コンバイナ12は展開状態の位置(回転角度)に位置決めされているので、コンバイナ12の表面で反射した光は視点EPの方向に向かう。
ステップS15では、マイクロコンピュータ100は、入力ポートに接続されているアップダウンスイッチ118の状態を監視し、使用者(運転者)によるDOWN動作の指示の有無を識別する。展開状態の位置にコンバイナ12を位置決めした後で、アップダウンスイッチ118が押されると、マイクロコンピュータ100はDOWN動作の指示有とみなす。DOWN動作を指示するスイッチ入力がない場合は次のステップS18に進み、DOWN動作の指示を検出した場合はステップS16に進む。
ステップS16では、アップダウンスイッチ118によるDOWN動作の指示を検出しているので、マイクロコンピュータ100は、HUD表示動作の終了指示とみなして表示を終了する。即ち、バックライト16を消灯状態に切り替えて、表示デバイス13の画面表示を消去する。
ステップS17では、マイクロコンピュータ100は、ステッピングモータ15を駆動して起立状態のコンバイナ12を倒すように下降させ、格納位置までコンバイナ12を移動する。例えば、格納位置にコンバイナ12が移動したことを検出部111が検出するまで、ステッピングモータ15を駆動する。その後、マイクロコンピュータ100は、ステッピングモータ15を駆動するためのコイルの励磁を終了し、ステップS11の処理に戻る。
ステップS18では、マイクロコンピュータ100は、入力ポートに接続されているF側調整スイッチ119及びR側調整スイッチ120の状態を監視し、使用者(運転者)の入力操作を検出する。この場合、使用者は、F側調整スイッチ119及びR側調整スイッチ120を操作することにより、展開状態のコンバイナ12の位置(回転角度)を微調整するための指示をマイクロコンピュータ100に与えることができる。F側調整スイッチ119及びR側調整スイッチ120のいずれか一方が操作された状態をマイクロコンピュータ100が検出すると、ステップS18からステップS19が実行される。
ステップS19では、ステップS18で操作を検出したスイッチが、F側調整スイッチ119及びR側調整スイッチ120のいずれであるかをマイクロコンピュータ100が区別して、調整方向のUP/DOWNを識別する。マイクロコンピュータ100は、F側調整スイッチ119の操作を検出した場合は調整方向を「UP」方向とみなして次のステップS20に進み、R側調整スイッチ120の操作を検出した場合は「DOWN」方向とみなしてステップS23に進む。
ステップS20では、マイクロコンピュータ100は、F側調整スイッチ119が押されてから押下が解除されるまでの間、現在位置を表す情報に微少値を加算した目標位置を繰り返し生成し、コンバイナ12が目標位置に移動するようにステッピングモータ15を回転駆動する。即ち、コンバイナ12の位置(回転角度)をUP方向(図5中のR1方向)に移動させる。また、この際には、マイクロコンピュータ100は、位置の微調整が容易にできるように、ステッピングモータ15の1駆動ステップあたりの回転量が最小分解能になるように励磁制御する。F側調整スイッチ119の押下解除を検出すると、ステッピングモータ15の回転駆動を停止し、この状態が維持されるように励磁コイルの通電状態を制御する。
ステップS20の動作は、図5(a)に示した動作に相当する。即ち、使用者がF側調整スイッチ119を押下することにより、コンバイナ12を最初の位置P0から位置Aまでステッピングモータ15で駆動し、位置Aで回転駆動を停止する。
ステップS21では、マイクロコンピュータ100は、ステップS20でF側調整スイッチ119の押下解除を検出してからの経過時間を把握し、経過時間が所定時間(例えば1秒間)になるまで待機する。所定時間が経過したと判定すると、次のステップS22の処理を実行する。
マイクロコンピュータ100がステップS21を実行している所定時間の間に、図5(b)に示した変化が発生する。即ち、コンバイナ12の自重によって生じる回転モーメントの影響によりR1方向の回転移動が発生し、駆動機構14の遊び分だけ、コンバイナ12が位置Aから位置A’まで自然に移動する。つまり、コンバイナ12は使用者が微調整の停止を指示した位置Aから更に移動してずれた位置A’で停止する。
ステップS22では、マイクロコンピュータ100は、ステップS21にて発生した駆動機構14における遊び分の位置ずれ(位置Aと位置A’との間の回転角度)に相当する補正値を現在位置(A’)から減算した目標位置(A)を決定する。そして、ステッピングモータ15を駆動して目標位置(A)までR2方向にコンバイナ12を移動する。この際、マイクロコンピュータ100は、高精度の位置決めを可能にするために、ステッピングモータ15の1ステップあたりの回転量が最小分解能になるように励磁制御する。前記補正値については、事前に設定してメモリに格納されている定数を利用する。
異なる見方をすれば、ステップS22では、マイクロコンピュータ100は、歯車14aと歯車14bとの噛み合わせの遊び分だけ、自重回転方向とは逆方向(R2)にコンバイナ12を回転させるための補正信号を出力する。
ステップS22の動作は、図5(c)に示した動作に相当する。即ち、ずれた位置A’にあるコンバイナ12を、ステッピングモータ15の駆動によりR2方向に回転させて、目標位置Aまで戻した状態で駆動を停止する。これにより、コンバイナ12の自重による回転モーメントの影響による位置ずれを解消することができる。即ち、位置の微調整において、使用者が停止を指示した位置Aまで戻してコンバイナ12の位置を固定することができる。
一方、ステップS23では、マイクロコンピュータ100は、R側調整スイッチ120が押されてから押下が解除されるまでの間、現在位置を表す情報から微少値を減算した目標位置を繰り返し生成し、コンバイナ12が目標位置に移動するようにステッピングモータ15を回転駆動する。即ち、コンバイナ12の位置(回転角度)をDOWN方向(図6中のR2方向)に移動する。また、マイクロコンピュータ100は、この際、位置の微調整が容易にできるように、ステッピングモータ15の1駆動ステップあたりの回転量が最小分解能になるように励磁制御する。R側調整スイッチ120の押下解除を検出すると、マイクロコンピュータ100はステッピングモータ15の回転駆動を停止し、この状態が維持されるように励磁コイルの通電状態を制御する。
ステップS23の動作は、図6(a)に示した動作に相当する。即ち、使用者がR側調整スイッチ120を押下することにより、コンバイナ12を最初の位置P1から位置Aまでステッピングモータ15で駆動し、位置Aで回転駆動を停止する。この場合は、位置Aで停止した状態において、駆動機構14の遊びによりコンバイナ12が移動可能な方向がR2であるのに対し、コンバイナ12の自重によるモーメントが作用する回転方向はR2とは逆方向のR1である。
即ち、コンバイナ12の移動可能な方向と回転モーメントが作用する方向とが反対であるため、自重の影響でコンバイナ12が勝手に回転することはなく、図6(b)に示すように、コンバイナ12は位置Aで静止する。したがって、自重回転方向に回転中のコンバイナ12を停止させた場合のようにコンバイナ12の停止位置の補正を実施する必要はない。このため、ステップS23を実行した後は、上述した補正信号の出力を省略し、ステップS15の処理に戻る。
<HUD装置10の作用及び効果>
以下では、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10は、マイクロコンピュータ100(制御部)と、回転可能に設けられたコンバイナ12と、マイクロコンピュータ100から出力される制御信号に従って正逆両方向に回転駆動可能なステッピングモータ15と、ステッピングモータ15の回転駆動力により回転する歯車14a(第1の歯車)と、歯車14aに噛合し、ステッピングモータ15の回転駆動力をコンバイナ12に伝達してコンバイナ12を回転させる歯車14b(第2の歯車)と、を有する駆動機構14(歯車機構)と、を備えている。そして、マイクロコンピュータ100は、コンバイナ12の自重によって歯車14bに回転モーメントが作用する方向である自重回転方向(R1)に回転中のコンバイナ12を停止させるための制御信号を出力(ステップS20)した後、歯車14aと歯車14bとの間の噛み合わせの遊び分だけ、自重回転方向(R1)とは逆方向(R2)にコンバイナ12を回転させるための制御信号である補正信号を出力する(ステップS22)。
これにより、コンバイナ12の重量バランスがとれておらず、コンバイナ12が、自重回転方向への回転駆動を停止した後で、当該コンバイナ12の自重により更に当該自重回転方向に回転して停止角度がずれてしまう場合であっても、補正信号の出力により当該自重回転方向とは逆方向にバックラッシュ分だけ回転させることにより、コンバイナ12を正しい停止位置まで回転させることができる。このため、位置調整時におけるコンバイナ12の位置ずれの発生を抑制できる。
また、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置10では、マイクロコンピュータ100は、自重回転方向(R1)とは逆方向(R2)に回転中のコンバイナ12を停止させるための制御信号を出力した後は、補正信号を出力しない。
これにより、回転駆動の停止後における停止角度の補正が不要な場合には、補正信号を出力しないので、位置調整時におけるコンバイナ12の位置ずれの発生を抑制できる。
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
例えば、上述した実施形態においては、具体例として歯車機構である駆動機構14が2つの歯車14a,14bを有する場合を想定して説明したが、3つ又はそれ以上の数の歯車を有する駆動機構を用いても構わない。その場合には、歯車同士が噛み合っている複数箇所のそれぞれに遊びが存在するので、駆動機構14全体の遊びに対応する補正値を用いてステップS22の処理を行うこともできる。あるいは、3つ以上の歯車の中から選択した1つの歯車と、コンバイナ12に連結された第2の歯車と、の間の遊びに対応する補正値を用いてステップS22の処理を行うこともできる。尚、歯車14b及びコンバイナ12については、これらを一体に形成してもよいし、独立した部品として構成した歯車14b及びコンバイナ12を互いに連結してもよい。
また、上述した実施形態では、図7に示した制御においては、コンバイナ12の位置の微調整を行う場合に、調整方向のUP/DOWNを識別して、UP方向の時にだけ位置の補正を実施している(ステップS22)。即ち、UP方向の場合に、コンバイナ12が自重回転方向に回転中であると識別している。これに対して、例えばコンバイナ12に作用する回転モーメントの方向を検出する検出部を備え、当該検出部が検出した方向とコンバイナ12の停止前の回転方向とが一致する場合に、位置の補正を実行する構成としても構わない。
また、上述した実施形態では、コンバイナ12上に像を結像させるコンバイナ式のHUD装置10に適用した例を説明したが、実施形態で説明した各構成は、光投射部から投射された表示像を回転可能に設けられた反射鏡にて反射し、当該反射鏡の反射像をフロントガラス(ウインドシールド)に投影することにより、フロントガラス上に像を結像させる構成のHUD装置に適用しても構わない。即ち、本実施形態では、反射板としてコンバイナ12を用いる構成について説明したが、反射板として反射鏡を用い、当該反射鏡の回転角度を制御する構成としても構わない。この構成によれば、上述した実施形態の場合と同様に、反射鏡の位置ずれの発生を抑制できる。
10 ヘッドアップディスプレイ装置
11 光投射部
12 コンバイナ(反射板)
13 表示デバイス
14 駆動機構(歯車機構)
14a 歯車(第1の歯車)
14b 歯車(第2の歯車)
15 ステッピングモータ
16 バックライト
21 インストルメントパネル
22 フロントウインドシールド
100 マイクロコンピュータ(制御部)
111 検出部
112 駆動バッファ
113 表示駆動部
114,115 インタフェース
116 電源部
117 インタフェース
118 アップダウンスイッチ
119 F側調整スイッチ
120 R側調整スイッチ
121 車上バッテリー

Claims (2)

  1. 制御部と、
    回転可能に設けられた反射板と、
    前記制御部から出力される制御信号に従って正逆両方向に回転駆動されるステッピングモータと、
    前記ステッピングモータの回転駆動力により回転する第1の歯車と、該第1の歯車に噛合し、該回転駆動力を前記反射板に伝達して該反射板を回転させる第2の歯車と、を有する歯車機構と、
    を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
    前記制御部は、前記反射板の自重によって前記第2の歯車に回転モーメントが作用する方向である自重回転方向に回転中の前記反射板を停止させるための前記制御信号を出力した後、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間の噛み合わせの遊び分だけ、前記自重回転方向とは逆方向に前記反射板を回転させるための前記制御信号である補正信号を出力する、
    ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
  2. 前記制御部は、前記自重回転方向とは逆方向に回転中の前記反射板を停止させるための前記制御信号を出力した後は、前記補正信号を出力しない、
    ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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