JP2014137083A - 負荷伝動用vベルト及びその製造方法 - Google Patents

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博之 橘
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Abstract

【課題】軽量で且つ耐久性が改善されたVベルトを提供する。
【解決手段】複数のブロック10がベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯20に係止され、複数のブロック10の両側面11がプーリ接触面となるように構成された負荷伝動用Vベルトである。複数のブロック10の各々は、補強材13と、補強材13を被覆する樹脂被覆層14とで構成される。補強材13は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第1の炭素繊維強化樹脂で構成されており、樹脂被覆層14は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第2の炭素繊維強化樹脂で構成されている。
【選択図】図2

Description

本明細書に記載された技術は、張力帯と複数のブロックとを有する負荷伝動用のVベルト及びその製造方法に関する。
自動車等のベルト式無段変速装置に用いられる高負荷伝動用のVベルトが知られている。特許文献1、2には、無端状の張力帯と、張力帯の長さ方向に並べられた複数のブロックとを備えたVベルトが開示されている。ブロックは、金属等からなる補強材と、補強材を覆い、樹脂で構成された被覆層とを有している。
また、特許文献3には、補強材を用いず炭素繊維で強化された樹脂のみで構成されたブロックが開示されている。
特開2011−236994号公報 特開2010−175011号公報 特開2004−3531号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたVベルトでは、被覆層の耐久性が十分でなく、補強材の効果を活かすことが難しい。また、特許文献3に記載されたVベルトでは、ブロックに補強材が用いられていないことにより、軽量化が図られているものの、高度な力学特性を維持しながらブロック表面に良好な摩耗特性を付与することは困難である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、軽量で且つ耐久性が改善されたVベルトを提供することを目的とする。
本開示の一実施形態に係る負荷伝動用Vベルトは、複数のブロックがベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯に係止され、前記複数のブロックの両側面がプーリ接触面となるように構成された負荷伝動用Vベルトであって、前記複数のブロックの各々は、補強材と、前記補強材を被覆する樹脂被覆層とで構成され、前記補強材は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第1の炭素繊維強化樹脂で構成されており、前記樹脂被覆層は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第2の炭素繊維強化樹脂で構成されている。
また、本開示の一実施形態に係る負荷伝動用Vベルトの製造方法は、複数のブロックがベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯に係止され、前記複数のブロックの両側面がプーリ接触面となるように構成された負荷伝動用Vベルトの製造方法である。この方法は、射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって、第1の炭素繊維強化樹脂で構成された補強材を形成する工程と、射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって第2の炭素繊維強化樹脂を前記補強材上に接着成形させて前記複数のブロックの各々を形成する工程とを備えている。また、成形後の前記第1の炭素繊維強化樹脂及び成形後の前記第2の炭素繊維強化樹脂は、共に、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含んでいる。
本開示の一実施形態に係る負荷伝動用Vベルトの構成によれば、軽量化と高耐久性とを両立しうる。
図1は、本開示の一実施形態に係る負荷伝動用VベルトBを示す図である。 図2は、図1に示す負荷伝動用VベルトのII-II線における断面を示す図である。 図3は、ブロックを示す図である。 図4は、張力帯を示す断面図である。 図5(a)、(b)は、本実施形態の負荷伝動用VベルトBを用いたベルト式無段変速装置を示す側面図である。 図6は、ブロックの成形方法を示す図である。
(実施形態)
−負荷伝動用Vベルトの構成−
図1は、本開示の一実施形態に係る負荷伝動用VベルトBを示す図であり、図2は、図1に示す負荷伝動用VベルトのII-II線における断面を示す図である。この負荷伝動用VベルトBは、比較的高い負荷を伝動することが要求される場合に好ましく用いられ、例えば1Lを越える高排気量の自動車等におけるベルト式無段変速装置等に用いられるものである。
図1及び図2に示すように、本実施形態の負荷伝動用VベルトBでは、複数のブロック10がベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯20に係止され、複数のブロック10の両側面11がプーリ接触面となるように構成されている。
複数のブロック10の各々は、補強材13と、該補強材13の少なくとも一部を被覆する樹脂被覆層14とで構成される。
この負荷伝動用VベルトBは、例えば、ベルト長さが450〜750mm、ベルトピッチ幅が20〜30mmである。高負荷伝動用VベルトBは、例えば、ブロック10の数が90〜375個、ブロックピッチが2〜5mmである。
図3は、ブロック10を示す図である。同図は、ベルト長さ方向を正面とした場合の側面図である。
各ブロック10は、正面から見た場合に上底が下底よりも長い略台形状となる板状体であって、ベルト幅方向の両側部のそれぞれに側方に開口したスリット状の嵌合部12が形成されている。すなわち、各ブロック10は、「H」の文字を横に倒したような形状に構成されている。
図3に示すように、各ブロック10は、側面視で嵌合部12より上側に位置する部分が均一な厚さに形成されている一方、嵌合部12より下側に位置する部分の厚みが下方に向かうに従って薄くなるように形成されている。各ブロック10は、例えば、高さが10〜16.5mm、幅が20〜30mm、及び厚さが2〜5mmである。両側部のなす角度、すなわち、ベルト角度は例えば15〜26°である。
各ブロック10の各嵌合部12は、中央側の奥部から側部の開口に向かって(すなわち、ベルト幅方向に)同じ間隔で水平に延びるように形成されている。各嵌合部12は、上側面にベルト幅方向に延びる断面半円状の突条からなる上側嵌合凸部12aが形成されていると共に、下側面にベルト幅方向に延びる断面円弧状の突条からなる下側嵌合凸部12bが形成されている。各嵌合部12は、奥部が上側面から連続して奥側に傾斜した面とその面に連続して外側に傾斜して下側面に続く面とによって構成されている。各嵌合部12におけるベルト厚さ方向の隙間t1は、例えば1〜3mmであり、ベルト幅方向の奥行きは、例えば2〜5mmである。
各ブロック10は、骨格をなすように中央に配された補強材13が上述の樹脂被覆層14で被覆された構成を有する。なお、補強材13は、その全体が樹脂被覆層14で被覆されている必要はなく、少なくとも張力帯20との接触部分及びプーリとの接触部分が被覆されていればよい。従って、プーリとの接触面となるブロック10の両側面11には、樹脂被覆層14が露出していることになる。その他の部分では補強材13が露出していてもよい。
補強材13は、ブロック10と同様に「H」の文字を横にしたような形状に形成され、ベルト幅方向に延びる上側ビーム13a及び下側ビーム13bの各ベルト幅方向の中央部同士がセンターピラー13cによって上下に連結された構成を有する。
補強材13は、例えば、上側ビーム13aの高さが5.0〜9.5mm、及び下側ビーム13bの高さが5.0〜9.5mmである。
本実施形態の負荷伝動用VベルトBにおいて、補強材13は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂(第1の炭素繊維強化樹脂)で構成されている。また、補強材13を構成する炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の平均長さは、250μm以上であることが好ましく、500μm以上であればより好ましい。このため、補強材13は、金属で構成される場合に比べて軽量化されているのにも関わらず、良好な高負荷耐久性を示している。補強材13中の炭素繊維長が3mm以上であればより耐久性が向上するので、好ましい。なお、補強材13中の炭素繊維の最大長さの上限は特に限定されないが、例えば圧縮成形の場合は30mm以下、トランスファー成形の場合は10mm以下、射出成形の場合は8mm以下であれば成形が比較的容易になるので好ましい。
この炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、樹脂の成形が可能となる範囲であれば特に限定されないが、40質量%以上70質量%以下であると好ましく、50質量%以上70質量%以下であればより好ましく、40質量%以上60質量%以下であるとさらに好ましく、50質量%以上60質量%以下であると特に好ましい。
炭素繊維の含有量が40%未満であると、耐疲労性が低下するおそれがあり、炭素繊維の含有量が70質量%を超えると成形が困難となる。また、炭素繊維の含有量が60%質量%を超えると圧縮成形は可能であるものの、射出成形が困難となる。従って、炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量を40質量%以上60質量%以下とすることで、高い強度と良好な耐疲労性とを維持しつつ、製造コストの低減を図ることができる。
補強材13を構成する炭素繊維強化樹脂のマトリクス樹脂は、耐熱性の面から見て熱硬化性樹脂であることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上の熱硬化性樹脂であればより好ましい。ここで、熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等が好ましく用いられる。
フェノール樹脂を構成しているフェノール類は、特に限定されず、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノールなどのアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトールなどのナフトール類;ヒドロキシビフェニルなどのヒドロキシアリール化合物;多価フェノールやサリチル酸などの水酸基以外の官能基を有するフェノール化合物等が挙げられる。また、アルデヒド類は、特に限定されず、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。
また、フェノール樹脂は、硬化剤としてヘキサミンを加えたノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂のどちらを使用してもかまわない。樹脂被覆層14の層厚さは、部分によっても異なるが、例えば0.8〜1.5mm程度である。
補強材13を構成する炭素強化樹脂は、例えばポリアクリロニトリル系炭素長繊維(以下、「PAN系炭素長繊維」という。)を含んでいてもよい。PAN系炭素長繊維のファイバ径は例えば5〜15μmである。PAN系炭素長繊維は、引張強さが2300MPa以上であることが好ましく、切断時伸度が0.4%以上であることが好ましく、引張弾性率が230GPa以上であることが好ましい。
カーボン長繊維は、ピッチ系カーボン長繊維を含んでいてもよい。ピッチ系カーボン長繊維のカーボン短繊維における含有量は例えば0〜22質量%である。ピッチ系カーボン短繊維のファイバ径は例えば5〜15μmである。ピッチ系カーボン長繊維は、引張強さが2300MPa以上であることが好ましく、切断時伸度が0.4%以上であることが好ましく、引張弾性率が230GPa以上であることが好ましい。
カーボン長繊維は、PAN系カーボン長繊維のみで構成されていてもよく、また、ピッチ系カーボン長繊維のみで構成されていてもよく、さらに、PAN系カーボン長繊維及びピッチ系カーボン長繊維がブレンドされたもののみで構成されていてもよいが、その他に気相成長系カーボン長繊維等を含んでいてもよい。
樹脂被覆層14は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂(第2の炭素繊維強化樹脂)で構成される。このため、樹脂被覆層14は、軽量化されているのにも関わらず、良好な高負荷耐久性を示している。樹脂被覆層14中の炭素繊維長が3mm以上であればより耐久性が向上するので、好ましい。なお、樹脂被覆層14中の炭素繊維の最大長さの上限は特に限定されないが、例えば、圧縮成形で30mm以下、トランスファー成形で10mm以下、射出成形で8mm以下であれば成形が比較的容易になるので好ましい。
樹脂被覆層14を構成する炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、樹脂の成形が可能となる範囲であれば特に限定されないが、40質量%以上70質量%以下であると好ましく、40質量%以上60質量%以下であるとより好ましい。この構成により、高い強度と良好な耐疲労性とが両立されている。炭素繊維の含有量が、50質量%以上60質量%以下であれば特に好ましい。
樹脂被覆層14を構成する炭素繊維強化樹脂のマトリクス樹脂は、摩擦及び摩耗特性や耐熱性の面から見て熱硬化性樹脂であることが好ましく、Tgが100℃以上の熱硬化性樹脂であればより好ましい。ここでも、熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等が好ましく用いられる。
樹脂被覆層14を構成する炭素繊維強化樹脂は、マトリクス樹脂及び炭素長繊維の他、パラアラミド短繊維、グラファイト粉末等を含んでいてもよい。パラアラミド短繊維は、例えば、繊維長が1〜3mmであり、マトリクス樹脂100質量部に対する添加量が2〜5質量部である。グラファイト粉末は、例えば、粒径が5〜10μmであり、マトリクス樹脂100質量部に対する添加量が15〜20質量部である。
なお、樹脂被覆層14において、炭素繊維の最大長さや炭素繊維の含有量、使用されるマトリクス樹脂等は、補強材13と同様にしてもよいが、ベルトの使用条件等に応じて適宜変更することもできる。
図4は、張力帯20を示す断面図である。同図は、ベルト長さ方向における張力帯20の断面を示している。
各張力帯20は、エンドレスの平帯状に形成されている。各張力帯20は、一方の側部がブロック10の奥部の形状に対応するように上側及び下側のそれぞれで面取り加工されており、他方の側部がブロック10の側部の傾斜に対応した傾斜面に形成されている。各張力帯20は、上側面にベルト幅方向に延びる断面U字溝からなる上側嵌合凹部21aがベルト長さ方向に一定ピッチで形成されていると共に、上側嵌合凹部21aに対応するように、下側面にベルト幅方向に延びる断面円弧溝からなる下側嵌合凹部21bがベルト長さ方向に一定ピッチで形成されている。各張力帯20は、例えば、長さが450〜750mm、幅が20〜30mm、及び厚さが2〜5mmである。特に上側嵌合凹部21aと下側嵌合凹部21bとの底部間の最も薄い部分(嵌め入れ部分)の厚さt2は例えば1.0〜3.0mmである。
各張力帯20は、本体を構成する保形ゴム層22のベルト厚さ方向の略中央に、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線23が埋設されていると共に、上側面に上側補強布24及び下側面に下側補強布25がそれぞれ貼設された構成を有する。
保形ゴム層22は、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(H−NBR)やエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を原料ゴムとするゴム組成物で形成されている。保形ゴム層22を構成するゴム組成物は、ジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸金属塩が原料ゴムに添加されて強化されたものであることが好ましい。また、当該ゴム組成物は、補強材であるカーボンブラック或いはシリカの他、アラミド短繊維やナイロン短繊維等の有機短繊維が配合されて補強されていることが好ましく、さらに、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物で架橋されていることが好ましい。保形ゴム層22を構成するゴム組成物は、JIS−C硬度計で測定したときに75°以上のゴム硬度を有するものであることが好ましい。
心線23は、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、炭素繊維等の高強度繊維からなる撚り糸或いは組紐にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる処理が施されたもので構成されている。心線23は、例えば、2640〜4400dtexのフィラメント束で構成され、外径が0.55〜0.70mmである。
上側補強布24及び下側補強布25のそれぞれは、アラミド繊維やナイロン繊維等の織布、編物、或いは不織布にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する処理及び/又はゴム糊に浸漬或いはゴム糊をコートした後に乾燥させる処理が施されたもので構成されている。上側補強布24及び下側補強布25のそれぞれの厚さは、例えば0.6〜1.2mm程度である。
この負荷伝動用VベルトBでは、複数のブロック10の嵌合部12にそれらを連結するように張力帯20が嵌め入れられている。具体的には、各ブロック10の各嵌合部12には、面取り加工された一方の側部の方から張力帯20が挿入され、嵌合部12の上側面の上側嵌合凸部12aが張力帯20の上側面の上側嵌合凹部21aに嵌合すると共に、嵌合部12の下側面の下側嵌合凸部12bが張力帯20の下側面の下側嵌合凹部21bに嵌合し、且つ嵌合部12の奥部に張力帯20の一方の側部が当接するように、嵌合部12に張力帯20が嵌め入れられている。そして、それによって複数のブロック10が一対の張力帯20にベルト長さ方向に間隔をおいて係止固定された構造が構成されると共に、複数のブロック10の両側面11及び外側に露出した張力帯20の他方の側面がプーリ接触面になるよう構成されている。
また、本実施形態の負荷伝動用VベルトBでは、ブロック10の嵌合部12の隙間t1が張力帯20の嵌合凹部間における厚さt2よりも若干小さい。従って、張力帯20は圧縮状態でブロック10の嵌合部12に嵌め入れられている。ここで、その締め代t2−t1は例えば0.03〜0.15mmであり、ブロック10の嵌合部12の隙間の隙間t1に対する締め代t2−t1の割合である締め代率をα={(t2−t1)/t1}×100で表すとするとα=1〜5%であることが好ましい。
なお、図2に示すように、この負荷伝動用VベルトBにおいて、張力帯20はブロック10の嵌合部12からはみ出して一部が突出した状態に設けられていてもよい。この構成によれば、負荷伝動用VベルトBがプーリに突入する際の衝撃を突出した張力帯20により緩和することができる。ここで、その出代Δdは例えば0.03〜0.15mm程度であることが好ましい。
−負荷伝動用VベルトBの適用例−
本実施形態の負荷伝動用VベルトBの適用例として、ベルト式無段変速装置を挙げて説明する。
図5(a)、(b)は、本実施形態の負荷伝動用VベルトBを用いたベルト式無段変速装置30を示す側面図である。
このベルト式無段変速装置30は、駆動軸31とそれに平行に配置された従動軸33とを備え、駆動軸31上に駆動プーリ32が、また、従動軸33上に駆動プーリ32と略同径の従動プーリ34が、それぞれ設けられている。駆動プーリ32は、駆動軸31上に回転一体に且つ摺動不能に固定された固定シーブとそれに対向するように回転一体に且つ摺動可能に支持された可動シーブとを備えている。同様に、従動プーリ34は、従動軸33上に回転一体に且つ摺動不能に固定された固定シーブとそれに対向するように回転一体に且つ摺動可能に支持された可動シーブとを備えている。駆動プーリ32及び従動プーリ34のそれぞれは、固定シーブと可動シーブとの間にV溝が構成され、これらの駆動プーリ32及び従動プーリ34のV溝間に負荷伝動用VベルトBが巻き掛けられている。駆動プーリ32及び従動プーリ34のそれぞれは、プーリピッチ径が55〜155mmの範囲で可変に構成されている。
そして、このベルト式無段変速装置30では、ベルト伝動に要する動力が駆動軸31側で供給されて従動軸33側で消費され、また、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径及び従動プーリ34の巻き掛け径が変化することにより負荷伝動用VベルトBの走行速度が変化するように構成されている。具体的には、駆動プーリ32の可動シーブを固定シーブに接近させ、且つ従動プーリ34の可動シーブを固定シーブから遠ざけると、図5(a)に示すように、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径の方が従動プーリ34のベルト巻き掛け径よりも大きくなり、その結果、負荷伝動用VベルトBは高速で走行することとなる。逆に、駆動プーリ32の可動シーブを固定シーブから遠ざけ、且つ従動プーリ34の可動シーブを固定シーブに接近させると、図5(b)に示すように、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径の方が従動プーリ34のベルト巻き掛け径よりも小さくなり、その結果、負荷伝動用VベルトBは低速で走行することとなる。
−負荷伝動用Vベルトの効果−
本実施形態の負荷伝動用VベルトBによれば、複数のブロックの各々が補強材13と樹脂被覆層14とで構成されているとともに、補強材13は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂で構成されている。この構成によれば、補強材13は、繊維長が短い炭素繊維を含有する樹脂で構成される場合に比べて耐久性が大きく向上する。その上、補強材がアルミニウム等の金属で構成される場合に比べて大きく軽量化されるので、ベルトの伝動効率が高くなり、車両の燃費を向上させることができる。
また、本実施形態の負荷伝動用VベルトBでは、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂で構成された樹脂被覆層14によって補強材13の少なくとも一部が覆われているので、優れた摩擦特性及び摩耗特性が得られるとともに、樹脂被覆層14の耐久性が大きく向上している。
従って、本実施形態の負荷伝動VベルトBは、従来のベルトに比べて大幅に軽量化されていながら、高い負荷が加えられた状態でも高い耐久性を示すことができる。また、ブロック10が別個に成形され、共に炭素繊維強化樹脂で構成された補強材13及び樹脂被覆層14で構成されているので、ブロック10全体の強度を高いレベルで維持しつつ、ベルトの用途に応じて補強材13と樹脂被覆層14とで炭素繊維の含有量を変化させたり、炭素繊維の配向を異なるものとしたりすることが可能となる。
炭素繊維の長さは、補強材13で3mm以上、樹脂被覆層14で1mm以上が好ましい。炭素繊維の配向について、補強材13ではセンターピラー13cと上ビーム13aのつけ根形状に沿っているのが好ましく、樹脂被覆層14ではセンターピラー13cと下ビーム13bのつけ根形状に沿っているのが好ましい。炭素繊維含有量は、補強材13で50質量%以上70質量%以下、樹脂被覆層14で40質量%以上70質量%以下であることが好ましい。補強材13のマトリクス樹脂と樹脂被覆層14のマトリクス樹脂は、接着強度の点で接着面の表面処理をしない限り同種であることが好ましい。
また、補強材13及び樹脂被覆層14をそれぞれ構成する炭素繊維強化樹脂のマトリクス樹脂が、共に100℃以上のガラス転移温度を有していることにより、ブロック10の耐摩耗性及び耐久性をさらに向上させることができる。
また、補強材13及び樹脂被覆層14をそれぞれ構成する炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量がそれぞれ40質量%以上70質量%以下であることにより、高い強度と良好な耐疲労性とを両立させつつ、補強材13及び樹脂被覆層14の成形を容易にすることが可能となる。炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量が60質量%であれば、射出成形が可能となるので、生産効率を向上させることができる点でより好ましい。
なお、本実施形態の負荷伝動用VベルトBにおいて、ブロック10の形状は略H字状であるが、負荷伝動用Vベルトは、C字状のブロックの嵌合部に1本の張力帯20が挟み込まれたような形状であってもよい。
また、上記で説明した負荷伝動用Vベルトや以下で説明する製造方法は、実施形態の1つであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
−負荷伝動用Vベルトの製造方法−
次に、負荷伝動用VベルトBの製造方法について説明する。
(1)ブロック成形工程
まず、繊維束の内部までフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させるとともに、5mm以上30mm以下に裁断された炭素繊維で構成されたペレット(樹脂材料)を公知の方法によって準備する。ペレットにおける炭素繊維含有量は、例えば40質量%〜70質量%程度とする。
次いで、射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって上記のペレットを例えばH字状に成形することによって、炭素繊維強化樹脂で構成された補強材13を形成する。ここで、炭素繊維の内部までフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸されているので、射出成形、トランスファー成形の場合、成形時の流動によって炭素繊維が開繊及び分散する。
本工程で、射出成形をする場合、上述の炭素繊維ペレットに(0%以上)5質量%以下のアルコール系又はケトン系の有機溶剤を均一に加える。なお、有機溶剤の添加は任意であるが、有機溶剤の添加によって、ペレットの流動性を高めて成形性を向上させ、炭素繊維の折損を抑制を図ることができる。ペレット中の炭素繊維含有量は、40%以上60%以下とする。
このペレットを射出成形機のシリンダーに入れ、80〜100℃程度に熱した状態で160〜230℃程度に熱した金型に注入する。このまま保圧、加熱硬化し、金型から補強材13を取り出す。射出成形の場合、補強材13中の炭素繊維の長さは成形前に比べて短くなる。
また、本工程でトランスファー成形をする場合、炭素繊維含有量を40質量%以上70質量%とした炭素繊維ペレットに(0%以上)5質量%以下のアルコール系又はケトン系の有機溶剤を均一に加える。ここで、成形品中の炭素繊維の含有量を上げたい場合には、有機溶剤中で炭素繊維ペレットの樹脂成分を溶出させてもよい。
次に、炭素繊維ペレットをトランスファー成形機のポット部分にセットし、圧力をかけて溶解した炭素繊維ペレットを金型内に注入する。所定の期間160〜230℃程度で保持して樹脂を架橋させた後、金型から成形された補強材13を取り出す。トランスファー成形の場合、補強材13中の炭素繊維の長さは成形前に比べて若干短くなる。
また、本工程で圧縮成形をする場合、例えば炭素繊維含有量を40質量%以上70質量%とした炭素繊維ペレットを準備する。次に、炭素繊維ペレットを熱した金型内に入れ、加圧成形機で加圧することによって硬化させる。樹脂の硬化後、金型から成形された補強材13を取り出す。圧縮成形は、射出成形やトランスファー成形に比べ、炭素繊維含有量が多い場合や炭素繊維が長い場合であっても成形することができる。なお、圧縮成形の場合、炭素繊維の長さは成形前後でほとんど変化しない。
次に、ブロック10の成形を行う。この工程においても、射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって、補強材13上に樹脂被覆層14を接着成形することで、ブロック10を形成する。
図6は、ブロック10の成形方法を示す図である。射出成形又はトランスファー成形の場合、図6に示すようなブロック成形機の金型のキャビティC内に補強材13を配置して型締めした後、キャビティC内に、上述した炭素繊維ペレット(炭素繊維強化樹脂)Mを、マトリクス樹脂を溶融させた状態で供給することによりブロック10を成形する。ここでも、炭素繊維ペレットに含まれる炭素繊維の最大長さは5mm以上とする。
キャビティCへの炭素繊維強化樹脂Mの供給は、例えばキャビティCの内壁における補強材13の側面に対向する部分から行ってもよい。
次いで、金型を型開きしてブロック10を取り出す。その後、ブロック10にアフターキュア処理等することにより樹脂被覆層14を十分に硬化させてもよい。アフターキュア温度は例えば190〜250℃であり、アフターキュア時間は例えば2〜4時間である。
(2)張力帯作製工程
なお、これらの処理の前に撚り糸等にエポキシ溶液やイソシアネート溶液に浸漬した後に乾燥させる処理を施してもよい。
張力帯20の嵌合凹部形状の金型軸方向に延びる突条が周方向に等ピッチで設けられた円筒金型を筒状に形成した下側補強布25で被覆し、その上にシート状に加工した未架橋ゴム組成物を所定層設ける。
続いて、心線23を等ピッチで螺旋状に巻き付け、その上に再びシート状に加工した未架橋ゴム組成物を所定層設け、その上から筒状に形成した上側補強布24を被せる。
次いで、内周面が上側嵌合凹部形状のスリーブを最外層に被せる。
そして、加熱加圧装置の中に材料をセットした円筒金型を入れ、装置内を所定の温度及び圧力に設定して所定時間その状態を保持する。以上のようにして、円筒金型表面に円筒状のスラブが成形される。
最後に、加熱加圧装置から円筒金型を取り出し、その周面上に形成された円筒状のスラブを脱型し、これを所定幅の帯状に輪切りし、それを面取り加工等を行うことにより張力帯20を得る。
(3)組立工程
一方の張力帯20の上側嵌合凹部21aにブロック10の嵌合凸部12aを対応させ、上側嵌合凹部21aに嵌合凸部12aが嵌め入れられるように、ブロック10の一方の嵌合部12に張力帯20を挿入し、ブロック10を張力帯20に係止させる。この操作を張力帯20の全周について行う。同様に、他方の張力帯20をブロック10の他方の嵌合部12に挿入し、それによって負荷伝動用VベルトBを得る。
以下の実施例及び比較例を行った。実施例の内容は表1にも示し、比較例の内容は表2、3にも示す。
Figure 2014137083
Figure 2014137083
Figure 2014137083
−負荷伝動用Vベルト−
<実施例1>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)を圧縮成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が12mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットを用いて、圧縮成形にて炭素繊維の含有量が70質量%、比重が1.61、最大の炭素繊維長が7mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<実施例2>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)をトランスファー成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が8mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットに3質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを用いて、トランスファー成形にて炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が11mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<実施例3>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)のフェノール樹脂分をメタノール溶剤中で除去し、乾燥させて再ペレット化させ、圧縮成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が70質量%、比重が1.61、最大の炭素繊維長が12mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットに3質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを用いて、射出成形にて炭素繊維の含有量が40質量%、比重が1.46、最大の炭素繊維長が4mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<実施例4>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)に5質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを、射出成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が60質量%、比重が1.56、最大の炭素繊維長が3mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットに3質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを用いて、射出成形にて炭素繊維の含有量が40質量%、比重が1.46、最大の炭素繊維長が3mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例1>
フェノール樹脂が含浸された繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)のフェノール樹脂分をメタノール溶剤中で除去し、乾燥させて再ペレット化させ、圧縮成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が70質量%、比重が1.61、最大の炭素繊維長が12mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットをロール混練によって炭素繊維を折損させたものを用いて、射出成形にて炭素繊維の含有量が40質量%、比重が1.46、最大の炭素繊維長が0.5mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例2>
フェノール樹脂が含浸された繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)に粉末状のフェノール樹脂をドライブレンドしたものを、圧縮成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が30質量%、比重が1.42、最大の炭素繊維長が12mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットに粉末状のフェノール樹脂をドライブレンドしたものを用いて、圧縮成形にて炭素繊維の含有量が40質量%、比重が1.46、最大の炭素繊維長が12mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例3>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製;CF9010L12)を圧縮成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が12mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mm、炭素繊維の含有量が70%の炭素繊維ペレットを用いて射出成形をしようとしたが、長繊維の配合量が多く、成形できなかった。
<比較例4>
アルミニウム製の120mm×120mm×2mm厚の板材を補強材とした。この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製CF9010L12)をロール混練によって炭素繊維を折損させたものを用いて、トランスファー成形にて炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が0.5mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例5>
ナイロン66をマトリクスとした最大長さ11nmの炭素繊維を含む長繊維ペレット(ダイセル化学社製;商品名:プラストロン)を、射出成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が30質量%、比重が1.25、最大の炭素繊維長が4mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットを用いて、圧縮成形にて炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が12mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例6>
ナイロン66をマトリクスとした炭素繊維を含む長繊維ペレット(ダイセル化学社製;商品名:プラストロン)を、射出成形しようとしたが、長繊維の配合量(40質量%)が多く、成形できなかった。
<比較例7>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12nmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製CF9010L12)をロール混練によって炭素繊維を折損させたものを、射出成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が0.5mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットを用いて、圧縮成形にて炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が12mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
<比較例8>
フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さ12nmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製CF9010L12)に5質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを、射出成形にて120mm×120mm×2mm厚の板材に成形して補強材とした。得られた補強材は、炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が0.6mmであった。
この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された、最大の繊維長さが12mmの炭素繊維ペレットに7質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを用いて、射出成形しようとしたが、溶剤含有量が多すぎて成形できなかった。
<比較例9>
アルミニウム製の120mm×120mm×2mm厚の板材を補強材とした。この補強材を金型のキャビティに配置し、上記フェノール樹脂が含浸された繊維長さが12mmの炭素繊維ペレット(住友ベークライト社製CF9010L12)に3質量%のメチルアルコールを均一に噴霧したものを用いて、トランスファー成形にて炭素繊維の含有量が50質量%、比重が1.51、最大の炭素繊維長が10mmとなる樹脂被覆層を補強材上に接着成形し、120mm×120mm×2.6mm厚の板材とした。得られた2層の板材をダンベル型に切り出して疲労試験片とした。
−成形品中の炭素繊維長さの測定−
各実施例及び比較例の方法により得られた補強材及び樹脂被覆層中の炭素繊維の長さは、以下のようにして測定した。
成形品を窒素雰囲気中450℃の炉に16時間置き、樹脂分を分解・揮発させた。残存した炭素繊維を無作為に100本抽出し、その中で最大となる炭素繊維の長さを炭素繊維の最大長さとした。
−高温高負荷耐久性評価試験−
100℃雰囲気中で4点曲げ疲労試験を行い、疲労試験片が破壊するまでの繰り返し回数が10回以上となる荷重が300N以上であるものを高負荷耐久性有り(表1、3に示す○印)とした。
−評価結果−
表1に示す実施例1〜4での結果から、樹脂材料中の炭素繊維の含有量が40質量%以上70質量%以下の範囲では、圧縮成形、トランスファー成形、又は射出成形によって補強材の成形、樹脂被覆層の成形とも良好に行うことができることが確認できた。ただし、実施例3、4と比較例3との比較から、マトリクス樹脂をフェノール樹脂とし、炭素繊維の長さが5mm以上と長い場合、炭素繊維の含有量が60質量%以下でなければ射出成形が行えないことが確認できた。
また、補強材と樹脂被覆層に含まれる炭素繊維の長さを少なくとも1mm以上とすることで、アルミニウム製の補強材を用いる場合に比べて大幅な軽量化が実現できる上、高負荷がかかった状態での耐疲労性をアルミニウム製の補強材を用いる場合と同等以上にすることができることも分かった(実施例2、比較例9参照)。ここで、実施例2に係る試験片の耐久性が比較例9に係る試験片の耐久性よりも若干高くなっているのは、補強材と被覆材とが同種の樹脂で構成されている方が、補強材と被覆材との接着強さが強くなるためである。
また、実施例1〜4と比較例1、4の結果から、補強材の強度が十分に高くても、樹脂被覆層(被覆材)に含まれる炭素繊維長が短い場合には十分な耐久性が得られないことが分かった。
一方で、実施例1〜4と比較例7の結果からは補強材に含まれる炭素繊維の長さが短い場合には樹脂被覆層中の炭素繊維の長さが1mm以上であっても十分な耐久性が得られないことが分かった。従って、補強材と樹脂被覆層の両方が繊維長の長い炭素繊維を含んでいることで優れた耐久性を示す負荷伝動用Vベルトを実現できることが確認された。
以上説明したように、本開示の一実施例に係る負荷伝動用Vベルトは、自動車等、種々の装置における動力の伝動に用いることができる。
10 ブロック
11 側面
12 嵌合部
12a 上側嵌合凸部
12b 下側嵌合凸部
13 補強材
13a 上側ビーム
13b 下側ビーム
13c センターピラー
14 樹脂被覆層
20 張力帯
21a 上側嵌合凹部
21b 下側嵌合凹部
22 保形ゴム層
23 心線
24 上側補強布
25 下側補強布
30 ベルト式無段変速装置
31 駆動軸
32 駆動プーリ
33 従動軸
34 従動プーリ

Claims (9)

  1. 複数のブロックがベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯に係止され、前記複数のブロックの両側面がプーリ接触面となるように構成された負荷伝動用Vベルトであって、
    前記複数のブロックの各々は、補強材と、前記補強材を被覆する樹脂被覆層とで構成され、
    前記補強材は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第1の炭素繊維強化樹脂で構成されており、
    前記樹脂被覆層は、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含む第2の炭素繊維強化樹脂で構成されている、負荷伝動用Vベルト。
  2. 請求項1に記載の負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記第2の炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、40質量%以上70質量%以下であることを特徴とする負荷伝動用Vベルト。
  3. 請求項1又は2に記載の負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記第1の炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、50質量%以上70質量%以下であることを特徴とする負荷伝動用Vベルト。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記第1の炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、50質量%以上60重量%以下であり、
    前記第2の炭素繊維強化樹脂中の炭素繊維の含有量は、40質量%以上60質量%以下であることを特徴とする負荷伝動用Vベルト。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記第1の炭素繊維強化樹脂及び前記第2の炭素繊維強化樹脂のマトリクス樹脂はガラス転移温度が100℃以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする負荷伝動用Vベルト。
  6. 複数のブロックがベルト長さ方向に並ぶように配設されると共に、それぞれが無端状の張力帯に係止され、前記複数のブロックの両側面がプーリ接触面となるように構成された負荷伝動用Vベルトの製造方法であって、
    射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって、第1の炭素繊維強化樹脂で構成された補強材を形成する工程と、
    射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形によって第2の炭素繊維強化樹脂を前記補強材上に接着成形させて前記複数のブロックの各々を形成する工程とを備え、
    成形後の前記第1の炭素繊維強化樹脂及び成形後の前記第2の炭素繊維強化樹脂は、共に、最大長さが1mm以上の炭素繊維を含んでいる、負荷伝動用Vベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載の負荷伝動用Vベルトの製造方法において、
    前記第1の炭素繊維強化樹脂及び前記第2の炭素繊維強化樹脂は、繊維束の内部まで樹脂によって含浸され、5mm以上に裁断された炭素繊維で構成されたペレットを用いてそれぞれ成形されることを特徴とする負荷伝動用Vベルトの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の負荷伝動用Vベルトの製造方法において、
    前記第1の炭素繊維強化樹脂及び前記第2の炭素繊維強化樹脂は、射出成形によってそれぞれ成形され、成形後の前記第1の炭素繊維強化樹脂及び前記第2の炭素繊維強化樹脂の炭素繊維の含有量は、それぞれ40質量%以上60質量%以下であることを特徴とする負荷伝動用Vベルトの製造方法。
  9. 請求項6又は7に記載の負荷伝動用Vベルトの製造方法において、
    前記補強材を形成する工程、及び前記各ブロックを形成する工程では、成形前の樹脂材料に0質量%以上5質量%以下のアルコール系又はケトン系の有機溶剤が含まれていることを特徴とする負荷伝動用Vベルトの製造方法。
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