JP2014134205A - 蒸気弁、及び蒸気タービン - Google Patents

蒸気弁、及び蒸気タービン Download PDF

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Abstract

【課題】急速起動を行う蒸気タービンにおいて、蒸気タービンの起動時に弁ケース内部に発生する応力を低減する。
【解決手段】蒸気タービン内への蒸気の流れを制御する蒸気弁1Cにおいて、弁体と、内部に弁体が当接する弁座が設けられた弁ケース6と、蒸気弁の上流側の蒸気通路から分岐される加熱用蒸気配管30を備え、加熱用蒸気配管30は弁ケース6の表面に沿って迂回しており、蒸気弁の上流側の蒸気配管を流れる蒸気が加熱用蒸気配管30を介して弁ケース6の少なくとも一部を加熱する蒸気弁1Cを提供する。
【選択図】図6

Description

本発明は、蒸気弁に係り、特に蒸気タービン内への蒸気の流れを制御する蒸気弁において、蒸気タービンの急速起動に適した蒸気弁、及び蒸気タービンに関する。
火力発電所や原子力発電所等の蒸気タービンは、負荷変化に応じて蒸気量を調節したり、異常時に蒸気の供給を遮断したりするために、多数の蒸気弁が設けられている。蒸気弁は、アクチュエータで弁棒を動かし、弁座と弁体との間の流路面積を変化させることで、蒸気量を調節可能としたものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
これら蒸気タービン用の蒸気弁は、内部に蒸気流路が設けられた弁ケースと、弁ケース内に設けられた弁座に当接して蒸気流路を開閉する弁体とからなる構成が一般的である。
特開2010−43591号公報
ところで、蒸気タービンの起動時においては、弁ケースの内部は例えば400℃〜600℃の蒸気によって急激に加熱される一方、弁ケースの外部は放熱により暖まりにくい状態となる。これにより、弁ケースの内側が熱膨張する一方、弁ケースの外側は内側と比較してほとんど熱膨張を起こさず、これにより、弁ケースに熱応力が発生する。そして、蒸気タービンが繰り返し起動されることによって、弁ケースの疲労破壊に繋がる恐れがある。さらに近年、蒸気タービンを急速に起動させる需要が高まっており、急激な入熱により、更に温度差が生じ、弁ケースにかかる熱応力は更に厳しい状態となっている。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、急速起動を行う蒸気タービンにおいて、弁ケース内外の温度差を縮小することによって、蒸気タービンの起動時に弁ケース内部に発生する応力を低減することができる蒸気弁、及び蒸気タービンを提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明の蒸気弁は、蒸気タービン内への蒸気の流れを制御する蒸気弁において、弁体と、内部に前記弁体が当接する弁座が設けられた弁ケースと、前記蒸気弁の上流側の蒸気通路から分岐される加熱用蒸気配管を備え、前記加熱用蒸気配管は前記弁ケースの表面に沿って迂回しており、前記蒸気弁の上流側の蒸気配管を流れる蒸気が前記加熱用蒸気配管を介して前記弁ケースの少なくとも一部を加熱することを特徴とする。
上記構成によれば、蒸気により弁ケースが加熱されるため、弁ケースの内外の温度差が縮小される。これにより、蒸気タービンの急速起動時に弁ケース内部に発生する応力を低減することができ、弁ケースの金属疲労を抑制することができる。
また、熱源として別途電源や燃料を用意する必要がないため、より低い運営コストで弁ケースを加熱することができる。
また、より簡素な構成で弁ケースを加熱することができる。即ち、既存のシステムに対して、少ない変更で熱源を追加することができる。
上記蒸気弁において、前記加熱用蒸気配管は、前記弁ケースの外周面に溶接肉盛により固着されていることが好ましい。
上記構成によれば、接触面積が広くなるため、蒸気の熱がより伝わり易くなる。
上記蒸気弁において、前記蒸気弁は、蒸気タービン内への蒸気の流れを遮断する止め弁と蒸気の流量を前記蒸気タービン負荷に応じて制御する加減弁のうち少なくとも一方であることが好ましい。
また、本発明は上記いずれかの蒸気弁を備える蒸気タービンを提供する。
本発明によれば、熱源により弁ケースが加熱されるため、弁ケースの内外の温度差が縮小される。これにより、蒸気タービンの急速起動時に弁ケース内部に発生する応力を低減することができ、弁ケースの金属疲労を抑制することができる。
本発明の各実施形態に係る蒸気弁装置が適用される蒸気タービンを備えた発電プラントの概略系統図である。 本発明の第一実施形態に係る蒸気弁装置の概略断面図である。 本発明の第一実施形態に係る蒸気弁装置の概略図である。 図3のA−A断面図であって弁ケースの外周面の断面を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る蒸気弁装置の(a)概略図、(b)B−B断面図である。 本発明の第三実施形態に係る蒸気弁装置の概略図である。 加熱用蒸気配管蛇行部の断面図である。 本発明の第四実施形態に係る蒸気弁装置の概略断面図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、本実施形態の蒸気弁装置1が適用される発電システム80について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蒸気弁装置1を備えた蒸気タービンを含む発電システム80の概略系統図である。
発電システム80は、高圧蒸気タービン82、中圧蒸気タービン83、及び低圧蒸気タービン84からなる蒸気タービン81と、高圧蒸気を高圧蒸気タービン82に供給するボイラ85と、高圧蒸気タービン82から排出された蒸気を再加熱して、中圧蒸気タービン83に供給する再熱器86と、蒸気タービン81の回転駆動力により駆動される発電機87とから構成されている。
また、ボイラ85と高圧蒸気タービン82とを接続する配管には、主蒸気止め弁2(MSV)と蒸気加減弁3(GV)とが設けられており、高圧蒸気タービンへの蒸気の供給を主蒸気止め弁2の全閉により阻止、又は蒸気の供給流量を蒸気加減弁3によって制御するようになっている。同様の主蒸気止め弁90と蒸気加減弁91が、再熱器86と中圧蒸気タービン83とを接続する配管にも設けられている。
本発明の各実施形態に係る蒸気弁装置1,1B,1C,1Dは、例えば上述したような蒸気タービン81の主蒸気止め弁2、及び蒸気加減弁3によって構成されている。
図2に示すように、本実施形態の蒸気弁装置1は、蒸気タービンへの流入する蒸気を遮断する主蒸気止め弁2と、蒸気タービン負荷に応じて蒸気流量を制御する蒸気加減弁3とが連絡通路4を介在させて一体となって構成されている。そして、主蒸気止め弁2を全開させた後、蒸気加減弁3を開閉制御することにより、蒸気弁装置1を通過する蒸気流量の制御を行い、蒸気タービンを負荷に対応させて作動させるようにしている。
上述した蒸気弁のうち、主蒸気止め弁2は、弁体5を内包する弁ケース6と、弁体5を摺動自在に駆動させる弁軸7と、該弁軸7を支持するブッシュ8によって構成される。また、弁ケース6は上蓋9によって上部を封止されており、弁軸7は、上蓋9の略中央を貫通している。
蒸気加減弁3は、連絡通路4を介して主蒸気止め弁2の下流側に配置される。蒸気加減弁3は、弁体10を内包する弁ケース11と、弁体10を摺動自在に駆動させる弁軸12と、該弁軸12を支持するブッシュ13によって構成される。また、弁ケース11は上蓋14によって上部を封止されており、弁軸12は、上蓋14の略中央を貫通している。
図2において、例えば図1に示される発電システム80のボイラ85より主流蒸気入口管16を介して流入した蒸気は、主蒸気止め弁2の上流側の第一主流蒸気通路17内に入り、弁体5を弁座18に対して進退させることにより制御され、弁体5が弁座18と当接する弁体のシート面20と弁座18との間を流れ、連絡通路4を介して蒸気加減弁3へ送られる。
その後、蒸気加減弁3へ送られた蒸気は、弁体10を弁座22に対して進退させることにより制御され、弁体10が弁座22と当接する弁体のシート面23と弁座22との間を流れ、第二主流蒸気通路24を介して主流蒸気出口管25から蒸気タービンへ流れる。
なお、主蒸気止め弁2は非常時・緊急時にタービンに流入する蒸気を遮断したり、運転休止時の締め切りに用いたりするものであり、また蒸気加減弁3は通常の起動時・停止時に穏やかに蒸気流量を増減したり負荷の変動に合わせて流量を調節したりするものである。
図3に示すように、蒸気弁装置1には、弁ケース加熱装置27が設けられている。弁ケース加熱装置27は、弁ケース6の下方を覆うように取り付けられた第一ジャケット28と、弁ケース11の下方を覆うように取り付けられた第二ジャケット29と、第一主流蒸気通路17と第一ジャケット28とをバイパスするように接続する第一加熱用蒸気配管30と、第一ジャケット28と第二ジャケット29とをバイパスするように接続する第二加熱用蒸気配管31と、第二ジャケット29から蒸気を排出するための排気管32とを有している。また、第一加熱用蒸気配管30には、止め弁33が設けられている。
なお、解析の結果、弁ケース6,11の熱応力の最も厳しい箇所は、図3において、ジャケット28,29が適用されている箇所であり、本実施形態のジャケット28,29はこの箇所の外部を加熱するような形状とされている。
図4に示すように、弁ケース6の外周面であって、第一ジャケット28に覆われている部分には、蒸気の流れ方向と直交する方向に延在する複数の突条34が形成されている。即ち、弁ケース6の外周面は凹凸形状とされており、伝熱面積の増加が図られている。また、蒸気加減弁3の弁ケース11の外周面も同様の形状とされている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
蒸気タービン81の急速起動時においては、止め弁33を開状態とすることによって、第一加熱用蒸気配管30及び第二加熱用蒸気配管31を介して第一ジャケット28及び第二ジャケット29に熱源として蒸気が流入する。これにより、第一ジャケット28によって覆われている主蒸気止め弁2の弁ケース6、及び第二ジャケット29によって覆われている蒸気加減弁3の弁ケース11の少なくとも一部が加熱される。
第二ジャケット29を通過した蒸気は、排気管32を介して廃棄される。
そして、蒸気タービン81が定常状態となったことが確認されたら、止め弁33を閉状態として、蒸気を止めてロスを低減する。
上記実施形態によれば、弁ケース加熱装置27を用いて蒸気タービンの急速起動時において弁ケース6,11が加熱されるため、弁ケース6,11の内外の温度差が縮小される。これにより、蒸気タービン81の急速起動時に弁ケース6,11内部に発生する応力を低減することができ、弁ケース6,11の金属疲労を抑制することができる。
また、熱源として別途電源や燃料を用意する必要がないため、より低い運営コストで弁ケース6,11を加熱することができる。
また、弁ケース6,11の外周面に蒸気の流れ方向に直交する方向に延在する突条34が形成されていることにより、弁ケース6,11と弁ケース6,11の外周面に流入される蒸気との熱伝達率が高められ、より弁ケース6,11が温まり易くなる。
なお、上記実施形態においては、主蒸気止め弁2、及び蒸気加減弁3の両方を加熱する構成としたが、これに限ることはなく、主蒸気止め弁2と蒸気加減弁3のうち少なくとも一方を加熱する構成としてもよい。
また、下流側の蒸気加減弁3の弁ケース11のみを加熱する場合は、熱源としての蒸気は連絡通路4からバイパスさせてもよい。
また、上記実施形態においては、弁ケース6,11の下部にジャケット28,29を適用する構成としたが、上蓋9,14にもジャケットを設け、このジャケットにも蒸気が流入するような構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、ジャケット28,29を加熱した蒸気は廃棄されたが、この蒸気を再度他の部位の加熱に利用する構成としてもよい。
(第二実施形態)
以下、本発明に係る蒸気弁装置の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図5(a)、及び図5(b)は、本実施形態に係る蒸気弁装置1Bの一例を示す概略構成図である。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。また、以下の説明においては、主蒸気止め弁2を用いて構成を説明するが、蒸気加減弁3に関しても同様の構成が適用されている。
図5に示すように、第二実施形態による蒸気弁装置1Bの弁ケース加熱装置27Bでは、第一実施形態の突条34(図3参照)に代わって、ジャケット28の内部に複数(本実施形態では4本)のパイプ37が配置されていることを特徴としている。パイプ37は、蒸気の流れ方向に沿うように配置されている。パイプ37は、例えばアルミなどの金属によって形成されている。
本実施形態によれば、高温・高圧の蒸気がパイプ37内に流入し、直接的にジャケット28に接触する面積が減少するため、ジャケット28に要求される強度を低減することができる。これによりジャケット28の製作性が向上する。
(第三実施形態)
以下、本発明に係る蒸気弁装置の第三実施形態を図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態に係る蒸気弁装置1Cの一例を示す概略構成図である。図6に示すように、第三実施形態による蒸気弁装置1Cでは、第二実施形態のジャケット28、及びパイプ37を廃し、弁ケース6の表面上を迂回するように蛇行する加熱用蒸気配管30を設けた構成である。また、以下の説明においては、主蒸気止め弁2を用いて構成を説明するが、蒸気加減弁3に関しても同様の構成が適用されている。
具体的には、本実施形態による蒸気弁装置1Cの弁ケース加熱装置27Cでは、第一主流蒸気通路17(図3参照)から分岐する加熱用蒸気配管を延長させて、弁ケース6の外周面上で蛇行させた蒸気配管蛇行部38を設けたものである。
蒸気配管蛇行部38は、第一加熱用蒸気配管30、及び第二加熱用蒸気配管31と同径のパイプにより形成されており、弁ケース6の外周面をなぞる様に、複数個所で曲げられている。
図7に示すように、蒸気配管蛇行部38においては、パイプは肉盛溶接によって弁ケース6の外周面に溶着されている。即ち、蒸気配管蛇行部38においては蒸気配管蛇行部38のパイプは、肉盛溶接部39を介して弁ケース6に接合されている。
上記実施形態によれば、第一加熱用蒸気配管30を介して流入した蒸気の熱は、蒸気配管蛇行部38において蛇行しながら弁ケース6に十分に熱を伝達させる。よって、より簡素な構成で弁ケース6,11を加熱することができる。
また、蒸気配管蛇行部38を構成するパイプが弁ケース6の外周面に肉盛溶接により溶着(固着)されていることによって、接触面積が広くなるため、蒸気の熱がより伝わり易くなる。
(第四実施形態)
以下、本発明に係る蒸気弁装置の第四実施形態を図面に基づいて説明する。
図8に示すように、本実施形態の蒸気弁装置1Dの弁ケース加熱装置27Dは、第一実施形態のジャケット28,29及び加熱用蒸気配管30,31に代わって、加熱装置としてヒートポンプ式加熱機構40(以下、ヒートポンプと称す)が設けられている。また、以下の説明においては、主蒸気止め弁2を用いて構成を説明するが、蒸気加減弁3に関しても同様の構成が適用することができる。
ヒートポンプ40は、熱媒体を充填した配管41と、配管41に接続される蒸発器42、圧縮機43、凝縮器44(温熱出力熱交換器)及び膨張弁45から構成される。蒸発器42は、熱源系統46から出力される熱により熱媒体の温度を上昇させる。圧縮機43は、蒸発器42により昇温された熱媒体を圧縮して液化させる。凝縮器44は、流入する熱媒体の熱を上蓋9に供給する。膨張弁45は、凝縮器44により降温された熱媒体を減圧して気化させる。
上記実施形態によれば、加熱装置としてヒートパイプを採用したことによって、より簡素な構成で弁ケースを加熱することができる。特に、ヒートポンプを採用したことで、大きな電源を使用することなく加熱することができる。
なお、加熱装置としては、ヒートパイプに限ることはなく、パネルヒータ、リボンヒータ、コイルの誘導加熱、高周波加熱など、様々な加熱装置を採用することができる。
また、上記実施形態では、上蓋9を加熱する構成としたが、弁ケース6を加熱する構成、または、上蓋9及び弁ケース6の両方を加熱する構成とすることもできる。
1 蒸気弁装置
2 主蒸気止め弁
3 蒸気加減弁
5 弁体
6 弁ケース
9 上蓋
10 弁体
11 弁ケース
14 上蓋
17 第一主流蒸気通路(蒸気通路)
18 弁座
22 弁座
24 第二主流蒸気通路
27 弁ケース加熱装置
28 第一ジャケット
29 第二ジャケット
30 第一加熱用蒸気配管
31 第二加熱用蒸気配管
34 突条(凹凸)
40 ヒートポンプ式加熱装置(加熱装置)

Claims (4)

  1. 蒸気タービン内への蒸気の流れを制御する蒸気弁において、
    弁体と、
    内部に前記弁体が当接する弁座が設けられた弁ケースと、
    前記蒸気弁の上流側の蒸気通路から分岐される加熱用蒸気配管を備え、
    前記加熱用蒸気配管は前記弁ケースの表面に沿って迂回しており、
    前記蒸気弁の上流側の蒸気配管を流れる蒸気が前記加熱用蒸気配管を介して前記弁ケースの少なくとも一部を加熱することを特徴とする蒸気弁。
  2. 前記加熱用蒸気配管は、前記弁ケースの外周面に肉盛溶接により固着されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁。
  3. 前記蒸気弁は、
    蒸気タービン内への蒸気の流れを遮断する止め弁と蒸気の流量を前記蒸気タービンの負荷に応じて制御する加減弁のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気弁。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蒸気弁を備えることを特徴とする蒸気タービン。
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