JP2014129786A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Tetsuya Okamoto
哲也 岡本
Eiji Kumakura
英二 熊倉
Kazuhiro Kosho
和宏 古庄
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Abstract

【課題】複数のシリンダ室を有する偏心回転型の圧縮機において、ブレードにおける摺動損失の発生を防止すること。
【解決手段】圧縮機(1)は、ピストン(22,32)がシリンダ(21,31)に対して偏心回転運動をするピストン部(22a,22b,32a,32b)とシリンダ空間を閉塞する鏡板部(22c,32c)とを備え、シリンダ(21,31)とピストン(22,32)との間で流体を圧縮するものを対象とし、ブレード(24,34)における駆動軸(53)の直交方向に延びる所定の回転軸(A)を中心に回転させるモーメント(Mo)の発生を抑えるモーメント抑制手段(103)を備えている。
【選択図】図9

Description

本発明は、偏心回転型の圧縮機構を有する回転式圧縮機に関し、特に、圧縮機構に複数のシリンダ室が形成された回転式圧縮機に係るものである。
従来より、シリンダが有する環状のシリンダ室の内部に環状ピストンを配置することにより、圧縮機構に複数のシリンダ室が形成された回転式圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
この種の回転式圧縮機では、図19に示すように、圧縮機構部(901)は、ピストン(902)と、シリンダ(903)と、シリンダ(903)およびピストン(902)との間に形成される4つのシリンダ室(915〜918)を区画するブレード(904)とを備え、駆動軸(905)が回転すると、ピストン(902)がシリンダ(903)に対して偏心回転するよう構成されている。
具体的には、シリンダ(903)は、駆動軸(905)と同心上に位置して環状空間を形成する内側シリンダ部(906)及び外側シリンダ部(907)と、該外側シリンダ部(907)の外周部から下方に延伸する最外側シリンダ部(908)と、内側シリンダ部(906)及び外側シリンダ部(907)の上端部を連接するシリンダ側鏡板部(909)とを備えている。
上記ピストン(902)は、偏心部(910)に嵌合して該偏心部(910)と同心上に位置する内側ピストン部(911)と、該内側ピストン部(911)の外周側の環状空間内で該内側ピストン部(911)と同心上に位置する外側ピストン部(912)と、該2つのピストン部(911,912)の下端部を連結するとともに外周面が内側ピストン部(911)及び外側ピストン部(912)と同心上に位置するピストン側鏡板部(913)とを有している。
上記圧縮機構部(901)では、径方向内周側から外周側に向かって順に形成された最内側シリンダ室(915)、内側シリンダ室(916)及び外側シリンダ室(917)を含み、外側シリンダ室(917)の径方向外周側に位置する最外側シリンダ室(918)が形成されている。
上記ブレード(904)は、外側ピストン部(912)に揺動可能に連結される揺動ブッシュ部(914)と、該揺動ブッシュ部(914)に対して圧縮機構部(901)の径方向内側に位置する最内側シリンダ室(915)と内側シリンダ室(916)を吸入側と吐出側に区画する内側ブレード部(919)と、該揺動ブッシュ部(914)の径方向外側に位置して外側シリンダ室(917)を吸入側と吐出側に区画する外側第1ブレード部(920)と、該揺動ブッシュ部(914)の径方向外側に位置して最外側シリンダ室(918)を吸入側と吐出側に区画する外側第2ブレード部(921)とを備えている。また、このブレード(904)は、長尺部(922)と短尺部(923)とで形成されている。
まず、長尺部(922)の径方向の内側端部(922a)(軸方向の寸法:L2)には、最内側シリンダ室(915)内の流体から分布荷重(q2)が作用し、集中荷重(P2=q2×L2)が加わっている。また、長尺部(922)の径方向の外側端部(922b)(軸方向の寸法:L2)には、ブレード(904)をスライドさせる溝(924)内の流体から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3b=q3×L2)が加わっている。
次に、短尺部(923)の径方向の内側端部(923a)(軸方向の寸法:L1)には、最外側シリンダ室(918)内の流体から分布荷重(q1)が作用し、集中荷重(P1=q1×L1)が加わっている。また、短尺部(923)の径方向の外側端部(923b)(軸方向の寸法:L1)には、溝(924)内の流体の分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3a=q3×L1)が加わっている。
上述した4つの集中荷重(P1,P2,P3a,P3b)がそれぞれブレード(904)に作用することで該ブレード(904)は、短尺部(923)の径方向の内側基端にある回転軸(A)を中心に回転しようとするモーメント(Mo)が働く。このモーメント(Mo)は、以下のように表すことができる。
Mo=1/2{(P1×L1)+(P2×L2)+(P3a×L1)+(P3b×L2)}>0
(P1:q1×L1、P2:q2×L2、P3a:q3×L1、P3b:q3×L2)
特開2010−064814号公報
しかしながら、上述した回転式圧縮機の圧縮機構部(901)では、図20に示すように、上記モーメント(Mo)が釣り合わない場合(すなわち、Mo≠0)、生じたモーメント(Mo)によってブレード(904)が回転軸(A)の回転方向に沿って傾いてしまう。
具体的には、例えば、Mo>0であれば、図21に示すように、時計回りに回転するモーメント(Mo)が生じる。このため、図21に示すように、ブレード(904)は、長尺部(922)の径方向の内側端部(922a)が時計回りの回転方向に沿って上方に傾き、該内側端部(922a)の上端がシリンダ側鏡板部(909)に接触する。また、短尺部(923)の径方向の内側端部(923a)が時計回りの回転方向に沿って径方向内側に傾き、ピストン側鏡板部(913)と接触する。そして、短尺部(923)の径方向の外側端部(923b)の下端が時計回りの回転方向に沿って下方側に傾いて閉塞部材(925)と接触する。これにより、ブレード(904)において摺動損失が増大してしまう。
一方、Mo<0であれば、図22に示すように、反時計回りに回転するモーメント(Mo)が生じる。このため、図22に示すように、ブレード(904)は、長尺部(922)の径方向の内側端部(922a)が反時計回りの回転方向に沿って下方に傾き、該内側端部(922a)の下端がピストン側鏡板部(913)に接触する。また、長尺部(922)の径方向の外側端部(922b)が反時計回りの回転方向に沿って上方に傾き、シリンダ側鏡板部(909)と接触する。そして、短尺部(923)の径方向の内側端部(923a)の下端が反時計回りの回転方向に沿って下方に傾いて閉塞部材(925)と接触する。
以上より、回転軸(A)を中心に回転しようとするモーメント(Mo)の影響により、ブレード(904)が傾いてシリンダ(903)、ピストン(902)および閉塞部材(925)などの部材に接触することにより、ブレード(904)の摺動損失が増大してしまうという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、複数のシリンダ室を有する偏心回転型の圧縮機において、ブレードにおける摺動損失の発生を防止することを目的とする。
第1の発明は、環状のシリンダ空間を有するシリンダ(21,31)と、該シリンダ(21,31)に対して偏心して配置されたピストン(22,32)と、該ピストン(22,32)に連結された駆動軸(53)とがケーシング(10)内に収容され、該ピストン(22,32)が、上記シリンダ(21,31)に対して偏心回転運動をするピストン部(22a,22b,32a,32b)と該シリンダ空間を閉塞する鏡板部(22c,32c)とを備え、上記シリンダ(21,31)とピストン(22,32)との間で流体を圧縮する回転式圧縮機であって、上記シリンダ(21,31)は、上記ピストン(22,32)の鏡板部(22c,32c)を偏心回転運動可能に収納する鏡板収納空間を有し、上記シリンダ空間が主シリンダ室(C1)を構成する一方、上記鏡板収納空間により副シリンダ室(C2)が形成され、上記主シリンダ室(C1)は、径方向内周側から外周側に向かって順に形成された最内側シリンダ室(23a,33a)、内側シリンダ室(23b,33b)及び外側シリンダ室(23c,33c)を含み、上記副シリンダ室(C2)により、上記外側シリンダ室(23c,33c)の径方向外周側に位置する最外側シリンダ室(23d,33d)が形成され、上記シリンダ(21,31)は、上記駆動軸(53)の回転中心を中心として同心上に配置された内側シリンダ部(21a,31a)、外側シリンダ部(21b,31b)及び最外側シリンダ部(21c,31c)を有し、上記ピストン(22,32)は、上記駆動軸(53)に形成されている偏心部と同一中心上に配置された環状の内側ピストン部(22a,32a)及び外側ピストン部(22b,32b)を有するとともに、上記鏡板部(22c,32c)が両ピストン部(22a,22b,32a,32b)と同心上に配置され、上記内側ピストン部(22a,32a)が内側シリンダ部(21a,31a)の内径側に配置されるとともに、外側ピストン部(22b,32b)が内側シリンダ部(21a,31a)と外側シリンダ部(21b,31b)の間に配置され、上記内側ピストン部(22a,32a)の外周面と上記内側シリンダ部(21a,31a)の内周面との間に上記最内側シリンダ室(23a,33a)が形成され、上記内側シリンダ部(21a,31a)の外周面と上記外側ピストン部(22b,32b)の内周面との間に上記内側シリンダ室(23b,33b)が形成され、上記外側ピストン部(22b,32b)の外周面と上記外側シリンダ部(21b,31b)の内周面との間に上記外側シリンダ室(23c,33c)が形成され、上記鏡板部(22c,32c)の外周面と最外側シリンダ部(21c,31c)の内周面との間に上記最外側シリンダ室(23d,33d)が形成され、上記各シリンダ室(23,33)を吸入側と吐出側に区画するブレード(24,34)を有し、上記シリンダ(21,31)には、上記ブレード(24,34)を該ブレード(24,34)の面方向へスライド可能に保持し、且つ上記ケーシング(10)内の流体圧力が供給されるスライド溝(21f,31f)が形成され、上記ブレード(24,34)は、上記外側ピストン部(22b,32b)に揺動可能に連結される揺動ブッシュ部(24c,34c)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向内側に位置して該最内側シリンダ室(23a,33a)と内側シリンダ室(23b,33b)を吸入側と吐出側に区画する内側ブレード部(B1)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向外側に位置して上記外側シリンダ室(23c,33c)を吸入側と吐出側に区画する外側第1ブレード部(B2)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向外側に位置し、且つ上記外側第1ブレード部(B2)と連続して上記最外側シリンダ室(23d,33d)を吸入側と吐出側に区画する外側第2ブレード部(B3)とを備え、上記ブレード(24,34)を上記駆動軸(53)と直交方向に延びる所定の回転軸を中心に回転させるモーメント(Mo)を抑えるモーメント抑制手段(103)を備えている。
第1の発明では、主シリンダ室(C1)が3つのシリンダ室から構成されているので、圧縮機構は、副シリンダ室(C2)である最外側シリンダ室(23d,33d)を含めると、4つのシリンダ室を有することになる。
圧縮機構が有する最内側シリンダ室(23a,33a)と内側シリンダ室(23b,33b)と外側シリンダ室(23c,33c)と最外側シリンダ室(23d,33d)の4室のうち、最内側シリンダ室(23a,33a)と内側シリンダ室(23b,33b)と外側シリンダ室(23c,33c)は同一平面を基準とする位置に形成され、最外側シリンダ室(23d,33d)は、最内側シリンダ室(23a,33a)と内側シリンダ室(23b,33b)と外側シリンダ室(23c,33c)の基準平面とは異なる平面を基準とする位置に形成される。
4つのシリンダ室が各ブレード部により吸入側と吐出側に区画される。そして、吸入側と吐出側に区画される各シリンダ室において、冷媒などの流体が圧縮される。
ブレード(24,34)には、各ブレードが対応するシリンダ室内の流体圧力によって、所定の回転軸(A)を中心に回転するモーメントが生じる。具体的には、内側ブレード部(B1)の径方向内側端部には、最内側シリンダ室(23a,33a)内の流体圧力が作用し、外側第1ブレード部(B2)の径方向外側端部および外側第2ブレード部(B3)の径方向外側端部には、スライド溝(21f,31f)内の流体圧力が作用し、外側第2ブレード部(B3)の径方向内側端部には、最外側シリンダ室(23d,33d)内の流体圧力が作用する。このため、ブレード(24,34)には、所定の回転軸(A)を中心に回転するモーメント(Mo)が生じる。
モーメント抑制手段(103)は、所定の回転軸(A)を中心としてブレード(24,34)が回転するモーメントを抑制する。こうすることで、上記モーメント(Mo)によるブレード(24,34)の回転が抑制される。この結果、ブレード(24,34)とシリンダ(21,31)との接触が防がれる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ケーシング(10)は、上記駆動軸(53)、ピストン(22,32)およびシリンダ(21,31)の摺動部に供給される潤滑油を貯留する油溜め部(90)を備える一方、上記モーメント抑制手段(103)は、上記ブレード(24,34)又はシリンダ(21,31)に形成されて上記油溜め部(90)の潤滑油が供給される油溝部(101)を備え、該油溝部(101)内の潤滑油によって上記ブレード(24,34)を押圧することで上記モーメント(Mo)の発生を抑えるよう構成されている。
上記第2の発明では、油溜め部(90)に貯留された潤滑油は、シリンダ(21,31)とピストン(22,32)と駆動軸(53)が摺動する部分に供給される。また、油溜め部(90)の潤滑油は、油溝部(101)に供給される。油溝部(101)を流れる潤滑油は、ブレード(24,34)を押圧する。こうすることで、所定の回転軸(A)を中心としてブレード(24,34)が回転するモーメント(Mo)を抑制する。こうすることで、上記モーメント(Mo)によるブレード(24,34)の回転が抑制される。この結果、ブレード(24,34)とシリンダ(21,31)との接触が防がれる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記シリンダ(21,31)は、上記最内側シリンダ室(23a,33a)、内側シリンダ室(23b,33b)および外側シリンダ室(23c,33c)を閉塞するシリンダ側鏡板部(21d,31d)を備え、上記油溝部(101)は、上記ブレード(24,34)と上記シリンダ側鏡板部(21d,31d)との間に形成される。
上記第3の発明では、油溝部(101)は、ブレード(24,34)又はシリンダ鏡板部(21d,31d)の一方又は両方に形成される。
第4の発明は、上記第2の発明において、上記シリンダ(21,31)は、上記最外側シリンダ室(23d)を閉塞する閉塞部材(19)を備え、上記油溝部(101)は、上記閉塞部材(19)と上記外側第2ブレード部(B3)との間に形成される。
上記第4の発明では、油溝部(101)は、外側第2ブレード部(B3)又は閉塞部材(19)の一方又は両方に形成される。
上記第1の発明によれば、モーメント抑制手段(103)を設けたため、ブレード(24,34)が回転軸(A)を中心に回転するモーメント(Mo)の発生を抑えることができる。これにより、ブレード(24,34)が回転軸(A)を中心に回転するのを確実に防止することができる。つまり、ブレード(24,34)がモーメント(Mo)によって傾いて、ピストン(22,32)やシリンダ(21,31)などの部材に接触するのを確実に防止することができる。この結果、ブレード(24,34)における摺動損失の発生を防止することができる。
上記第2〜第4の発明によれば、モーメント抑制手段(103)を油溝部(101)によって構成したため、油溝部(101)に供給される潤滑油の圧力によってモーメント(Mo)の発生を抑えることができる。これにより、ブレード(24,34)が回転軸(A)を中心に回転するのを確実に防止することができる。つまり、ブレード(24,34)がモーメント(Mo)によって傾いて、ピストン(22,32)やシリンダ(21,31)などの部材に接触するのを確実に防止することができる。この結果、ブレード(24,34)における摺動損失の発生を防止することができる。
本実施形態1に係る圧縮機の縦断面図である。 図1の部分拡大図である。 本実施形態1に係る圧縮機の他の縦断面の一部を拡大して示す図である。 図4(a)は、本実施形態1に係る圧縮機の圧縮機構部の横断面図であり、図4(b)は、上記圧縮機の圧縮機構部の他の横断面図である。 本実施形態1に係るブレードの拡大斜視図である。 本実施形態1に係る圧縮機構部の部分拡大図である。 本実施形態1に係る圧縮機構部の動作状態図である。 本実施形態1に係る圧縮機構部の動作状態図である。 本実施形態1に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 本実施形態1の変形例に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 本実施形態2に係る圧縮機の他の縦断面の一部を拡大して示す図である。 本実施形態2に係るブレードの拡大斜視図である。 本実施形態2に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 本実施形態2の変形例に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 本実施形態3に係る圧縮機の他の縦断面の一部を拡大して示す図である。 本実施形態3に係るブレードの拡大斜視図である。 本実施形態3に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 本実施形態3の変形例に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 従来例に係るブレード周辺のモーメント状態を示す図である。 従来例に係る回転軸を中心としたモーメント状態を示す図である。 従来例に係るMo>0の場合のブレードの傾き状態を示す図である。 従来例に係るMo<0の場合のブレードの傾き状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈発明の実施形態1〉
この実施形態1に係る圧縮機(1)は回転式圧縮機であり、図1〜図3に示すように、ケーシング(10)内に、2つの圧縮機構部(第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30))が駆動軸(53)の軸方向に積み重ねられた圧縮機構(40)と、駆動機構である電動機(50)とが収納され、全密閉型に構成されている。上記圧縮機(1)は、例えば、空気調和装置の冷媒回路において、蒸発器から吸入した冷媒(作動流体)を圧縮して凝縮器へ吐出するために用いられる。
上記ケーシング(10)は、円筒状の胴部(11)と、該胴部(11)の上端部に固定された上部鏡板(12)と、胴部(11)の下端部に固定された下部鏡板(13)とから構成されている。上記胴部(11)には、詳細について後述する第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の環状のシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)に冷媒を導くための吸入管(60,…,64)と、上記シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)において圧縮された冷媒を吐出するための吐出管(65,…,69)とが貫通して設けられている。
上記下部鏡板(13)には、各圧縮機構部(20,30)に供給する潤滑油を貯留する油溜め部(90)が形成されている。油溜め部(90)には、駆動軸(53)の下部に設けられた第1油ポンプ(91)が挿通されている。
上記電動機(50)は、上記ケーシング(10)内において、上記圧縮機構(40)よりも上方に配置され、ステータ(51)とロータ(52)とを備えている。ステータ(51)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定されている。一方、ロータ(52)には駆動軸(53)が一体となって回転するように連結されている。
上記駆動軸(53)は、ロータ(52)から下方に延伸し、上から順に第1偏心部(53a)、第2偏心部(53b)および第1油ポンプ(91)が形成されている。駆動軸(53)には、その内部の軸方向に沿って潤滑油が流れる油供給路(92)が形成されている。
図3に示すように、上記油供給路(92)は、内部を潤滑油が通過可能に形成された流路である。油供給路(92)は、その下端が第1油ポンプ(91)に連通する一方、上方に延びて上端が第1シリンダ(21)のシリンダ側鏡板部(21d)の途中の高さ位置まで延びている。そして、駆動軸(53)には、その途中に、油供給路(92)から径方向外方に延びて該油供給路(92)を流れる潤滑油を分配する第1〜第4油分岐路(93〜96)が形成されている。各油分岐路(93〜96)は、その一端が駆動軸(53)の油供給路(92)に連通する一方、その他端が駆動軸(53)の外部に開口している。第1油分岐路(93)は、第2シリンダ(31)のシリンダ側鏡板部(31d)に対応する高さ位置に設けられ、第2油分岐路(94)は、第2ピストン(32)に対応する高さ位置に設けられ、第3油分岐路(95)は、第1ピストン(22)に対応する高さ位置に設けられ、第4油分岐路(96)は、第1シリンダ(21)のシリンダ側鏡板部(21d)に対応する高さ位置に設けられている。第4油分岐路(96)は、上記油供給路(92)の上端から径方向外方に延びている。第4油分岐路(96)の他端は、後述する油導入路(100)に連通している。
以上の構成により、電動機(50)が動作すると、駆動軸(53)が回転し、差圧によって第1油ポンプ(91)から油溜め部(90)に貯留された潤滑油が油供給路(92)を上方に流れる。そして、油供給路(92)を流れる潤滑油は、その上昇の途中で各油分岐路(93〜96)に分配され、各ピストン(22,32)や各シリンダ(21,31)などに供給される。
上側の第1偏心部(53a)は、該第1偏心部(53a)の上下の主軸部分よりも大径に形成され、駆動軸(53)の軸心から所定量だけ偏心している。一方、下側の第2偏心部(53b)は、上記第1偏心部(53a)と同径に形成され、第1偏心部(53a)と同じ量だけ駆動軸(53)の軸心から偏心している。第1偏心部(53a)と上記第2偏心部(53b)とは、駆動軸(53)の軸心を中心として互いに180°位相がずれている。
上記第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)は上下二段に重ねられて、ケーシング(10)に固定されたフロントヘッド(16)からリアヘッド(17)までの間に構成されている。第1圧縮機構部(20)が電動機(50)側(図1の上側)に配置され、第2圧縮機構部(30)がケーシング(10)の底部側(図1の下側)に配置されている。本実施形態1では、フロントヘッド(16)は本体部(16a)と蓋部(16b)とによって構成され、リアヘッド(17)も本体部(17a)と蓋部(17b)とによって構成されている。また、フロントヘッド(16)とリアヘッド(17)の間には、ミドルプレート(19)が設けられている。
上記ミドルプレート(19)は、第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)に共有されている。また、ミドルプレート(19)は、駆動軸(53)の軸方向に並ぶ2つの部材(19a,19b)によって構成されている。具体的には、ミドルプレート(19)は、第1圧縮機構部(20)側の本体部(19a)と、該本体部(19a)の下方に重ね合わされた蓋部(19b)とを備えている。ミドルプレート(19)は、その中心部には、駆動軸(53)が貫通する貫通孔(19c)が形成され、その径方向外周部には、第1油孔部(97)が形成されている。
上記貫通孔(19c)は、上記駆動軸(53)の第1偏心部(53a)及び第2偏心部(53b)の直径よりも内径が少し大きな孔である。
上記第1油孔部(97)は、内部を潤滑油が流通する流路に形成されている。第1油孔部(97)は、ミドルプレート(19)の本体部(19a)および蓋部(19b)を貫通して形成されている。第1油孔部(97)は、その下端が第2シリンダ(31)のスライド溝(31f)に連通し、その上端が第1シリンダ(21)のスライド溝(21f)に連通している。
図2〜図5に示すように、上記第1圧縮機構部(20)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定された第1シリンダ(21)と、駆動軸(53)の第1偏心部(53a)に取り付けられて第1シリンダ(21)に対して偏心回転をする第1ピストン(22)と、これら第1シリンダ(21)と第1ピストン(22)との間に形成される4つのシリンダ室(23a,23b,23c,23d)を高圧室(23aH,23bH,23cH,23dH)と低圧室(23aL,23bL,23cL,23dL)とに区画する第1ブレード(24)とを備えている。
一方、上記第2圧縮機構部(30)は、該第1圧縮機構部(20)に対して上下反転している。該第2圧縮機構部(30)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定された第2シリンダ(31)と、駆動軸(53)の第2偏心部(53b)に取り付けられて第2シリンダ(31)に対して偏心回転をする第2ピストン(32)と、これら第2シリンダ(31)と第2ピストン(32)との間に形成される4つのシリンダ室(33a,33b,33c,33d)を高圧室(33aH,33bH,33cH,33dH)と低圧室(33aL,33bL,33cL,33dL)とに区画する第2ブレード(34)とを備えている。
この実施形態1では、フロントヘッド(16)の本体部(16a)が第1シリンダ(21)を構成し、リアヘッド(17)の本体部(17a)が第2シリンダ(31)を構成している。また、本実施形態1では、第1シリンダ(21)及び第2シリンダ(31)が固定側で、第1ピストン(22)及び第2ピストン(32)が可動側である。そして、第1ピストン(22)が第1シリンダ(21)に対して偏心回転運動をし、第2ピストン(32)が第2シリンダ(31)に対して偏心回転運動をするように構成されている。
上記第1シリンダ(21)は、駆動軸(53)と同心上に位置して環状空間(シリンダ空間)を形成する内側シリンダ部(21a)及び外側シリンダ部(21b)と、該外側シリンダ部(21b)の外周部から下方に延伸する最外側シリンダ部(21c)と、内側シリンダ部(21a)及び外側シリンダ部(21b)の上端部を連接するシリンダ側鏡板部(21d)とを備えている。
上記内側シリンダ部(21a)は、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている(図4(A)参照)。内側シリンダ部(21a)の分断箇所には、スライド溝(21g)が形成されている。上記外側シリンダ部(21b)には、径方向外方に延びるスライド溝(21f)が形成されている。これらのスライド溝(21f,21g)には、第1ブレード(24)が収容される。
図3および図5に示すように、上記シリンダ側鏡板部(21d)には、油導入路(100)が形成されている。油導入路(100)は、内部に潤滑油が流通可能な流路である。油導入路(100)は、その一端が第4油分岐路(96)の他端に連通し、そこから径方向外方に延びて下方に折れ曲がって軸方向に延び、その他端が第1ブレード(24)の長尺部(24a)に形成される油溝部(101)に連通している。
上記第2シリンダ(31)は、駆動軸(53)と同心上に位置して環状空間(シリンダ空間)を形成する内側シリンダ部(31a)及び外側シリンダ部(31b)と、該外側シリンダ部(31b)の外周部から上方に延伸する最外側シリンダ部(31c)と、内側シリンダ部(31a)及び外側シリンダ部(31b)の下端部を連接するシリンダ側鏡板部(31d)とを備えている。
上記内側シリンダ部(31a)は、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている(図4(A)参照)。内側シリンダ部(31a)の分断箇所には、スライド溝(31g)が形成されている。上記外側シリンダ部(31b)には、径方向外方に延びるスライド溝(31f)が形成されている。これらのスライド溝(31f,31g)には、第2ブレード(34)が収容される。
また、シリンダ側鏡板部(31d)には、油導入路(100)と第2油孔部(98)とが形成されている。この油導入路(100)は、内部に潤滑油が流通可能な流路である。油導入路(100)は、その一端が第1油分岐路(93)の他端に連通し、そこから径方向外方に延びて上方に折れ曲がって軸方向に延び、その他端が第2ブレード(34)の長尺部(34a)に形成される油溝部(101)に連通している。
上記第2油孔部(98)は、内部を潤滑油が流通する流路に形成され、第2シリンダ(31)のシリンダ側鏡板部(31d)を上下に貫通して形成されている。第2油孔部(98)は、その上端が第2シリンダ(31)のスライド溝(31f)に連通し、その下端が第2油ポンプ(99)に連通している。
以上の構成により、油溜め部(90)の潤滑油は、第2油ポンプ(99)によって第2油孔部(98)を上方に流れ、第2シリンダ(31)のスライド溝(31f)を流れ、ミドルプレート(19)の第1油孔部(97)を上方に流れ、第1シリンダ(21)のスライド溝(21f)に流入する。このため、第2シリンダ(31)では、スライド溝(31f)を流れる高圧の潤滑油によって第2ブレード(34)が径方向外側から内側に向かって押圧される。また、第1シリンダ(21)では、スライド溝(21f)を流れる高圧の潤滑油によって第1ブレード(24)が径方向外側から内側に向かって押圧される。
具体的には、外側第1ブレード部(B2)および外側第2ブレード部(B3)の径方向外側の端面に潤滑油の圧力が付与される。
また、駆動軸(53)が回転し、差圧によって第1油ポンプ(91)から油溜め部(90)に貯留された潤滑油が油供給路(92)を上方に流れると、油供給路(92)を流れる潤滑油の一部が第1油分岐路(93)から第2シリンダ(31)の油導入路(100)に流入し、第2ブレード(34)の長尺部(34a)に形成された油溝部(101)に流れ込む。さらに、油供給路(92)を流れる潤滑油の一部が第4油分岐路(96)から分配され、油導入路(100)に流入し、第1ブレード(24)の長尺部(24a)に形成された油溝部(101)に流れ込む。つまり、油溝部(101)と油導入路(100)とは、モーメント抑制手段(103)を構成している。
上記第1ピストン(22)は、第1偏心部(53a)に嵌合して該第1偏心部(53a)と同心上に位置する内側ピストン部(22a)と、該内側ピストン部(22a)の外周側の環状空間内で該内側ピストン部(22a)と同心上に位置する外側ピストン部(環状ピストン部)(22b)と、該2つのピストン部(22a,22b)の下端部を連結するとともに外周面が内側ピストン部(22a)及び外側ピストン部(22b)と同心上に位置するピストン側鏡板部(22c)とを有している。
内側ピストン部(22a)は、外周面に切欠部(n1)が形成され、外側ピストン部(22b)は円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている(図4(A)参照)。また、ピストン側鏡板部(22c)の外周部には切欠部(n2)が形成されている(図4(B)参照)。ピストン側鏡板部(22c)は、本発明の主シリンダ室(C1)を構成する3つのシリンダ室(シリンダ空間)(23a,23b,23c)を閉塞するように構成されている。また、上記第1シリンダ(21)は、上記第1ピストン(22)が有するピストン側鏡板部(22c)を偏心回転運動可能に収納する鏡板収納空間(副シリンダ室)(C2)を有している。
上記第2ピストン(32)は、第2偏心部(53b)に嵌合して該第2偏心部(53b)と同心上に位置する内側ピストン部(32a)と、該内側ピストン部(32a)の外周側の環状空間内で該内側ピストン部(32a)と同心上に位置する外側ピストン部(環状ピストン部)(32b)と、該2つのピストン部(32a,32b)の上端部を連結するとともに外周面が内側ピストン部(32a)及び外側ピストン部(32b)と同心上に位置するピストン側鏡板部(32c)とを有している。
内側ピストン部(32a)は、外周面に切欠部(n1)が形成され、外側ピストン部(32b)は円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている(図4(A)参照)。また、ピストン側鏡板部(32c)の外周部には切欠部(n2)が形成されている(図4(B)参照)。ピストン側鏡板部(32c)は、本発明の主シリンダ室(C1)を構成する3つのシリンダ室(シリンダ空間)(33a,33b,23c)を閉塞するように構成されている。また、上記第2シリンダ(31)は、上記第2ピストン(32)が有するピストン側鏡板部(32c)を偏心回転運動可能に収納する鏡板収納空間(副シリンダ室)(C2)を有している。
フロントヘッド(16)の本体部(16a)を構成する第1シリンダ(21)とリアヘッド(17)の本体部(17a)を構成する第2シリンダ(31)には、それぞれ上記駆動軸(53)を支持するための軸受部(21e,31e)が形成されている。本実施形態1の圧縮機(1)は、上記駆動軸(53)が上記第1圧縮機構部(20)及び上記第2圧縮機構部(30)を上下方向に貫通し、第1偏心部(53a)及び第2偏心部(53b)の軸方向両側の主軸部分が軸受部(21e,31e)を介してケーシング(10)に保持される貫通軸構造となっている。
次に、第1、第2圧縮機構部(20,30)の内部構造について説明するが、第1、第2圧縮機構部(20,30)は、シリンダ容積を変えるために外側ピストン部(22,32)の軸方向長さ寸法とそれに対応するシリンダ(21,31)の軸方向長さ寸法を除いては互いに実質的に同一の構成であるため、第1圧縮機構部(20)を代表例として説明する。
図5に示すように、上記第1ブレード(24)は、厚みを有する板状の長尺部(24a)及び短尺部(24b)と、断面形状が略半円形状の一対の揺動ブッシュ部(24c)とを有し、これら3つの部分は一体に形成されている。
具体的には、上記第1ブレード(24)は、上記外側ピストン部(22b)に揺動可能に連結される揺動ブッシュ部(24c)と、該揺動ブッシュ部(24c)に対して圧縮機構(40)の径方向内側に位置するとともに後述する最内側シリンダ室(23a)と内側シリンダ室(23b)を吸入側と吐出側に区画する内側ブレード部(B1)と、該揺動ブッシュ部(24c)の径方向外側に位置して後述する外側シリンダ室(23c)を吸入側と吐出側に区画する外側第1ブレード部(B2)と、該揺動ブッシュ部(24c)の径方向外側に位置して後述する最外側シリンダ室(23d)を吸入側と吐出側に区画する外側第2ブレード部(B3)とを備えている。
上記長尺部(24a)は、揺動ブッシュ部(24c)と内側ブレード部(B1)と外側第1ブレード部(B2)とから構成され、上記短尺部(24b)は、外側第2ブレード部(B3)により構成されている。上記内側ブレード部(B1)は、先端が内側ピストン部(22a)の外周面に径方向外側から対向し、上記外側第2ブレード部(B3)は先端がピストン側鏡板部(22c)の外周面に径方向外側から対向している。
上記長尺部(24a)は、シリンダ側鏡板部(21d)とピストン側鏡板部(22c)との間において径方向に長く延び、外端部が、外側シリンダ部(21b)に形成された溝(スライド溝)(21f)に径方向(ブレードの面方向)へ摺動自在に収容されている。長尺部(24a)の揺動ブッシュ部(24c)よりも内側の部分(内側ブレード部(B1))は、内側シリンダ部(21a)の分断箇所に形成されているスライド溝(21g)に摺動可能に挿入され、内端は内側ピストン部(22a)の切欠部(n1)にミクロンオーダーの微細隙間を挟んで対向している。
上記長尺部(24a)には、その上端面(シリンダ側鏡板部(21d)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。油溝部(101)は、長尺部(24a)に沿って凹状に形成され、その長手方向の一端が内側ブレード部(B1)の先端に形成され、他端が揺動ブッシュ部(24c)に対応する位置まで延びている。つまり、油溝部(101)が形成されることで、第1ブレード(24)の長尺部(24a)における内側ブレード部(B1)から揺動ブッシュ部(24c)に対応する位置に亘って潤滑油を溜めることができるようになっている。油溝部(101)は、油導入路(100)に連通しており、第4油分岐路(96)から油導入路(100)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
尚、第2ブレード(34)では、長尺部(34a)の下端面(シリンダ側鏡板部(31d)と対向する面)に油溝部(101)が形成される。油溝部(101)の構成は、上述した第1ブレード(24)におけるものと同様である。油溝部(101)は、油導入路(100)に連通しており、第1油分岐路(93)から油導入路(100)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第2ブレード(34)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
図6において、上記切欠部(n1)は、上記揺動ブッシュ部(24c)を中心とする上記内側ブレード部(B1)の相対的な揺動動作を許容する第1揺動許容面を構成している。この第1揺動許容面(n1)は、上記揺動ブッシュ部(24c)を中心とする上記内側ブレード部(B1)の相対的な揺動動作の軌跡よりもわずかに大きい径寸法の円弧形状を基準にして形成され、内側ブレード部(B1)が揺動動作をする際にその先端が描く軌跡と第1揺動許容面(n1)との間に微細隙間が形成されるようになっている。なお、図6では微細隙間を誇張して表している。
上記短尺部(24b)は、長尺部(24a)とミドルプレート(19)との間において径方向に延び、最外側シリンダ部(21c)に形成された溝(スライド溝)(21f)に径方向に摺動自在に収容されている。短尺部(24b)の内端は、ピストン側鏡板部(22c)の切欠部(n2)にミクロンオーダーの隙間を挟んで対向している。
上記切欠部(n2)は、上記揺動ブッシュ部(24c)を中心とする上記外側第2ブレード部(B3)の相対的な揺動動作を許容する第2揺動許容面を構成している。この第2揺動許容面(n2)は、上記揺動ブッシュ部(24c)を中心とする上記外側第2ブレード部(B3)の相対的な揺動動作の軌跡よりもわずかに小さい径寸法の円弧形状を基準にして形成され、外側第2ブレード部(B3)が揺動動作をする際にその先端が描く軌跡と第2揺動許容面(n2)との間に微細隙間が形成されるようになっている。
上記一対の揺動ブッシュ部(24c)は、長尺部(24a)の径方向中央部付近において、長尺部(24a)の両側に膨出するように形成されている。一対の揺動ブッシュ部(24c)の外周面は、所定半径の円筒の外周面の一部を構成している。そして、一対の揺動ブッシュ部(24c)は、外側ピストン部(22b)の分断箇所に形成されたブッシュ溝(c1,c2)に揺動自在に収容されている。一対の揺動ブッシュ部(24c)は、外側ピストン部(22b)が第1ブレード(24)に対して揺動するように構成されている。
このような構成により、第1ピストン(22)は、第1偏心部(53a)の偏心回転に伴って、第1ブレード(24)に対して一対の揺動ブッシュ部(24c)の中心点を揺動中心として揺動すると共に、上記スライド溝(21f)及び上記内側シリンダ部(21a)のスライド溝(21g)に対する上記第1ブレード(24)の長手方向(面方向)への摺動に伴って同方向に進退する。
上記主シリンダ室(C1)は、上述したように、径方向内周側から外周側に向かって順に形成された最内側シリンダ室(23a)、内側シリンダ室(23b)及び外側シリンダ室(23c)を含み、上記副シリンダ室(C2)により、上記外側シリンダ室(23c)の径方向外周側に位置する最外側シリンダ室(23d)が形成されている。シリンダ室の具体的な構成は以下の通りである。
上記内側ピストン部(22a)は内側シリンダ部(21a)の内径側に配置され、外側ピストン部(22b)は内側シリンダ部(21a)と外側シリンダ部(21b)の間に配置されている。第1偏心部(53a)に摺動自在に嵌合する内側ピストン部(22a)と、該内側ピストン部(22a)の外周面よりも大径の内周面を有する内側シリンダ部(21a)との間に、最内側シリンダ室(23a)が形成されている。また、同心上に位置する内側シリンダ部(21a)の外周面と外側シリンダ部(21b)の内周面との間には環状空間が形成されている。この環状空間は、該環状空間内に配置された外側ピストン部(22b)によって、内外2つのシリンダ室(23b,23c)に区画されている。具体的には、内側シリンダ部(21a)の外周面と外側ピストン部(22b)の内周面との間に内側シリンダ室(23b)が形成され、外側ピストン部(22b)の外周面と外側シリンダ部(21b)の内周面との間に外側シリンダ室(23c)が形成されている。さらに、ピストン側鏡板部(22c)は、上面が上記3つのシリンダ室(23a,23b,23c)に面する一方、下面がミドルプレート(19)の上面(本体部(19a)の上面)に面するように設けられ、外周面は最外側シリンダ部(21c)の内周面と対向している。これにより、ピストン側鏡板部(22c)の外周面と最外側シリンダ部(21c)との間に最外側シリンダ室(23d)が形成されている。
このように、上記圧縮機(1)は、それぞれが4つのシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)を有する第1圧縮機構部(20)と第2圧縮機構部(30)を備えている。
第1圧縮機構部(20)と第2圧縮機構部(30)の内側ピストン部(22a,32a)と内側シリンダ部(21a,31a)は、内側ピストン部(22a,32a)の外周面と内側シリンダ部(21a,31a)の内周面とが1点(第1接点)で実質的に接する状態(厳密にはミクロンオーダーの隙間があるが、その隙間での冷媒の漏れが問題にならない状態)において、その接点と位相が180°異なる位置で、内側シリンダ部(21a,31a)の外周面と外側ピストン部(22b,32b)の内周面とが1点(第2接点)で実質的に接し、その接点と位相が180°異なる位置(第1接点と位相が同じ位置)で、外側ピストン部(22b,32b)の外周面と外側シリンダ部(21b,31b)の内周面とが1点(第3接点)で実質的に接すると共に、ピストン側鏡板部(22c,32c)の外周面と最外側シリンダ部(21c,31c)の内周面とが1点(第4接点)で実質的に接するようになっている。
以上の構成において、駆動軸(53)が回転すると、第1ピストン(22)は、揺動ブッシュ部(24c)の中心点を揺動中心として揺動し、第1ブレード(24)と共に該第1ブレード(24)の長手方向へ進退する。また、駆動軸(53)が回転すると、第2ピストン(32)は、揺動ブッシュ部(34c)の中心点を揺動中心として揺動し、第2ブレード(34)と共に該第2ブレード(34)の長手方向へ進退する。
上記動作により、第1ピストン(22)と第1シリンダ(21)の各接点(第1接点〜第4接点)がそれぞれ図7(A)〜(D)、図8(A)〜(D)へ順に移動する。一方、第2ピストン(32)と第2シリンダ(31)の各接点(第1接点〜第4接点)は、第1ピストン(22)と第1シリンダ(21)の対応する接点に対して駆動軸(53)の軸心回りに180°ずれている。つまり、駆動軸(53)の上側から見て、第1圧縮機構部(20)の動作状態が図7(A)及び図8(A)のとき、第2圧縮機構部(30)の動作状態は図7(C)及び図8(C)となる。
また、本実施形態1では、圧縮機構(40)は、8つのシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)において冷媒を4段階に圧縮する4段圧縮機構に構成されている。
具体的には、第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の最外側シリンダ室(23d,33d)によって第1段圧縮機構のシリンダ室が形成されている。また、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)と内側シリンダ室(23b)とによって第2段圧縮機構のシリンダ室が形成され、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)と内側シリンダ室(33b)とによって第3段圧縮機構のシリンダ室が形成されている。さらに、第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(23a,33a)によって第4段圧縮機構のシリンダ室が形成されている。
このように、本実施形態1の圧縮機(1)は、環状のシリンダ空間を有するシリンダ(21,31)と、該シリンダ(21,31)に対して偏心して配置された環状のピストン(22,32)とを有し、該シリンダ(21,31)とピストン(22,32)の間に複数のシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)が形成されるとともに、下記のように各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)に連通する吸入ポートと吐出ポートが一つずつ形成された圧縮機構(20,30)を有する回転式圧縮機であって、一組のシリンダ(21,31)とピストン(22,32)の間に4つのシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)が形成され、これらのシリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)により、低圧冷媒を第1段圧縮する第1段圧縮機構のシリンダ室(23d,33d)、第1段圧縮機構の吐出冷媒を第2段圧縮する第2段圧縮機構のシリンダ室(23c,23b)、第2段圧縮機構の吐出冷媒を第3段圧縮する第3段圧縮機構のシリンダ室(33c,33b)、及び第3段圧縮機構の吐出冷媒を第4段圧縮する第4段圧縮機構のシリンダ室(23a,33a)が形成されているものである。なお、冷媒は、第1段圧縮機構と第2段圧縮機構の間、第2段圧縮機構と第3段圧縮機構の間、そして第3段圧縮機構と第4段圧縮機構の間において、それぞれ冷却機構によって冷却される。
また、上記圧縮機構(40)には、各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)の吸入ポート(P1,P2,P3)及び吐出ポート(P11,P12,P13,P14)がそれぞれ形成されている。
具体的には、ミドルプレート(19)には、上記第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の最外側シリンダ室(23d,33d)の吸入ポート(P1)及び吐出ポート(P11)がそれぞれ形成されている。
また、フロントヘッド(16)には、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)及び内側シリンダ室(23b)が共用する吸入ポート(P2)と、第1圧縮機構部(20)の最内側シリンダ室(23a)の吸入ポート(P3)とが形成されている。吸入ポート(P2)は、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)及び内側シリンダ室(23b)に別々に設けてもよい。また、フロントヘッド(16)には、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)の吐出ポート(P12)と、第1圧縮機構部(20)の内側シリンダ室(23b)の吐出ポート(P13)と、第1圧縮機構部(20)の最内側シリンダ室(23a)の吐出ポート(P14)とが形成されている。
一方、リアヘッド(17)には、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)及び内側シリンダ室(33b)が共用する吸入ポート(P2)と、第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(33a)の吸入ポート(P3)とが形成されている。吸入ポート(P2)は、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)及び内側シリンダ室(33b)に別々に設けてもよい。また、リアヘッド(17)には、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)の吐出ポート(P12)と、第2圧縮機構部(30)の内側シリンダ室(33b)の吐出ポート(P13)と、第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(33a)の吐出ポート(P14)とが形成されている。
また、上記圧縮機構(40)には、各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)の吸入ポート(P1,P2,P3)に接続されて、各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)に冷媒を吸入させるための吸入通路(71,…,75)が形成されている。
具体的には、ミドルプレート(19)に、第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の最外側シリンダ室(23d,33d)の吸入ポート(P1,P1)に連通する吸入通路(71)が形成されている。
また、フロントヘッド(16)に、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)及び内側シリンダ室(23b)の共用の吸入ポート(P2)に連通する吸入通路(72)と、第1圧縮機構部(20)の最内側シリンダ室(23a)の吸入ポート(P3)に連通する吸入通路(73)とが形成されている。
また、リアヘッド(17)に、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)及び内側シリンダ室(33b)の共用の吸入ポート(P2)に連通する吸入通路(74)と、第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(33a)の吸入ポート(P3)に冷媒を導く吸入通路(75)とが形成されている。
上記各吸入通路(71,…,75)には、ケーシング(10)の外部から内部に冷媒を導く吸入管(60,…,64)がそれぞれ接続されている。
また、上記圧縮機構(40)には、各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)の吐出ポート(P11,P12,P13,P14)に接続されて、各シリンダ室(23a,…,23d,33a,…,33d)から冷媒が吐出される吐出空間(81,…,85)が形成されている。
具体的には、ミドルプレート(19)に、第1圧縮機構部(20)及び第2圧縮機構部(30)の最外側シリンダ室(23d,33d)の吐出ポート(P11,P11)に連通する吐出空間(81)が形成されている。
また、フロントヘッド(16)に、第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)及び内側シリンダ室(23b)の吐出ポート(P12,P13)に連通する吐出空間(82)と、第1圧縮機構部(20)の最内側シリンダ室(23a)の吐出ポート(P14)に連通する吐出空間(83)とが形成されている。吐出空間(82)は、各吐出ポート(P12,P13)に別々に設けてもよい。
一方、リアヘッド(17)に、第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)と内側シリンダ室(33b)から冷媒が吐出される吐出空間(84)と、上記第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(33a)から冷媒が吐出される吐出空間(85)とが形成されている。吐出空間(84)は、各吐出ポート(P12,P13)に別々に設けてもよい。
上記各吐出空間(81,…,85)は、脈動を抑制するマフラー空間部(81a,…,85a)と、該マフラー空間部(81a,…,85a)に連通する通路部(81b,…,85b)とによって形成されている。
上記各吐出空間(81,…,85)のマフラー空間部(81a,…,85a)には、各吐出ポート(P11,…,P14)を開閉する吐出弁(88)がそれぞれ設けられている。一方、上記各吐出空間(81,…,85)の通路部(81b,…,85b)には、吐出冷媒をケーシング(10)の外部へ導く吐出管(65,…,69)がそれぞれ接続されている。
上記吐出空間(81)は、ミドルプレート(19)の本体部(19a)と蓋部(19b)に跨るように形成されている。具体的には、吐出空間(81)のマフラー空間部(81a)が、ミドルプレート(19)の2つの部材である本体部(19a)と蓋部(19b)とに跨るように形成されている。また、上記吐出空間(83)のマフラー空間部(83a)は、フロントヘッド(16)の本体部(16a)と蓋部(16b)とに跨るように形成される一方、吐出空間(82)のマフラー空間部(82a)は、本体部(16a)側に形成されて蓋部(16b)によって閉塞されるように構成されている。さらに、上記吐出空間(84,85)のマフラー空間部(84a,85a)は、リアヘッド(17)の本体部(17a)側に形成されて蓋部(17b)によって閉塞されるように構成されている。
−ブレードまわりのモーメント−
次に、各ブレード(24,34)に付与される圧力による該ブレード(24,34)周辺のモーメントについて説明する。ここでは、上記第1ブレード(24)のみについて説明し、第2ブレード(34)については、第1ブレード(24)と同様であるため説明を省略する。
図9に示すように、第1ブレード(24)の長尺部(24a)では、内側ブレード部(B1)の先端(径方向内側の端部)に最内側シリンダ室(23a)内の冷媒から分布荷重(q2)が作用し、集中荷重(P2=q2×L2)が加わっている。また、長尺部(24a)の後端(径方向外側の端部)には、第1ブレード(24)をスライドさせるスライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3b=q3×L2)が加わっている。尚、スライド溝(21f)内の圧力は、ケーシング(10)内の冷媒の圧力と同等になる。さらに、長尺部(24a)には、その上端面(シリンダ側鏡板部(21d)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。このため、第1ブレード(24)の上端の先端よりの領域には、油溝部(101)を流れる高圧の潤滑油から分布加重(q4(=q3))が作用し、集中加重(P4=q4×L4)が加わる。
次に、第1ブレード(24)の短尺部(24b)では、外側第2ブレード(B3)の先端(径方向内側の端部)に最外側シリンダ室(23d)内の冷媒から分布荷重(q1)が作用し、集中荷重(P1=q1×L1)が加わっている。また、短尺部(24b)の後端(径方向外側の端部)には、スライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3a=q3×L1)が加わっている。
上述した5つの集中荷重(P1,P2,P3a,P3b,P4)がそれぞれ第1ブレード(24)に作用することで該第1ブレード(24)には、短尺部(24b)の径方向の内側基端に形成される回転軸(A)を中心に回転しようとするモーメント(Mo)が働くが、このモーメント(Mo)は、以下のようになる。
Mo=1/2{(P1×L1)+(P2×L2)+(P3a×L1)+(P3b×L2)}+P4×(1/2×L4+L4')≒0
(P1:q1×L1、P2:q2×L2、P3a:q3×L1、P3b:q3×L2、P4:q4×L4)
ここで、Mo>0の場合、図21に示すように、時計回りに回転するモーメント(Mo)が生じる。ところが、本実施形態1では、第1ブレード(24)は、油溝部(101)から加わる圧力(P4)によって長尺部(24a)の内側ブレード部(B1)が時計回りの回転方向に沿って上方に傾くのを阻止している。このため、内側ブレード部(B1)の上端がシリンダ側鏡板部(21d)に接触することはない。また、短尺部(24b)の外側第2ブレード部(B3)の先端(径方向内側の端部)が時計回りの回転方向に沿って径方向内側に傾くのを阻止している。このため、外側第2ブレード部(B3)の先端がピストン側鏡板部(22c)と接触することはない。そして、短尺部(24b)の外側第2ブレード部(B3)の後端よりの下端が時計回りの回転方向に沿って下方側に傾くのを阻止している。このため、外側第2ブレード部(B3)の後端よりの下端部がミドルプレート(19)の本体部(19a)と接触することはない。以上より、第1ブレード(24)において摺動損失の増大が防がれる。
−運転動作−
次に、圧縮機(1)の運転動作について説明する。ここで、第1、第2圧縮機構部(20,30)の動作は、位相が互いに180°異なる状態で行われる。
電動機(50)を起動すると、第1圧縮機構部(20)では、ロータ(52)の回転が駆動軸(53)の第1偏心部(53a)を介して第1ピストン(22)に伝達され、該第1ピストン(22)は、揺動ブッシュ部(24c)の中心点を揺動中心として揺動すると共に、第1ブレード(24)と共に該第1ブレード(24)の長手方向へ進退する。これにより、第1ピストン(22)が第1シリンダ(21)に対して揺動しながら公転し、第1圧縮機構部(20)の4つのシリンダ室(23a,23b,23c,23d)において所定の圧縮動作が行われる。
最内側シリンダ室(23a)及び外側シリンダ室(23c)では、図7(A)の状態から駆動軸(53)が図の右回りに回転して図7(B)〜図7(D)の状態へ変化するのに伴い、低圧室(23aL,23cL)の容積が増大し、冷媒が吸入ポート(P3,P2)から低圧室(23aL,23cL)にそれぞれ吸入される。また、駆動軸(53)が一回転して再び図7(A)の状態になると、上記低圧室(23aL,23cL)への冷媒の吸入が完了する。そして、上記低圧室(23aL,23cL)は冷媒が圧縮される高圧室(23aH,23cH)となり、第1ブレード(24)を隔てて新たな低圧室(23aL,23cL)が形成される。駆動軸(53)がさらに回転すると、上記低圧室(23aL,23cL)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(23aH,23cH)の容積が減少し、該高圧室(23aH,23cH)で冷媒が圧縮される。高圧室(23aH,23cH)の圧力が所定値となって吐出空間(83,82)との差圧が設定値に達すると、該高圧室(23aH,23cH)の冷媒の圧力によって吐出弁(88,88)が開き、冷媒が吐出空間(83,82)から吐出管(65,66)を通ってケーシング(10)から流出する。
また、最外側シリンダ室(23d)では、図8(A)の状態から駆動軸(53)が図の右回りに回転して図8(B)〜図8(D)の状態へ変化するのに伴い、低圧室(23dL)の容積が増大し、冷媒が吸入ポート(P1)から低圧室(23dL)にそれぞれ吸入される。また、駆動軸(53)が一回転して再び図8(A)の状態になると、上記低圧室(23dL)への冷媒の吸入が完了する。そして、上記低圧室(23dL)は冷媒が圧縮される高圧室(23dH)となり、第1ブレード(24)を隔てて新たな低圧室(23dL)が形成される。駆動軸(53)がさらに回転すると、上記低圧室(23dL)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(23dH)の容積が減少し、該高圧室(23dH)で冷媒が圧縮される。高圧室(23dH)の圧力が所定値となって吐出空間(81)との差圧が設定値に達すると、該高圧室(23dH)の冷媒の圧力によって吐出弁(88)が開き、冷媒が吐出空間(81)から吐出管(67)を通ってケーシング(10)から流出する。
一方、内側シリンダ室(23b)では、図7(C)の状態から駆動軸(53)が図の右回りに回転して図7(D)〜図7(B)の状態へ変化するのに伴い、低圧室(23bL)の容積が増大し、冷媒が吸入ポート(P2)から低圧室(23bL)にそれぞれ吸入される。また、駆動軸(53)が一回転して再び図7(C)の状態になると、上記低圧室(23bL)への冷媒の吸入が完了する。そして、上記低圧室(23bL)は冷媒が圧縮される高圧室(23bH)となり、第1ブレード(24)を隔てて新たな低圧室(23bL)が形成される。駆動軸(53)がさらに回転すると、上記低圧室(23bL)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(23bH)の容積が減少し、該高圧室(23bH)で冷媒が圧縮される。高圧室(23bH)の圧力が所定値となって吐出空間(82)との差圧が設定値に達すると、該高圧室(23bH)の冷媒の圧力によって吐出弁(88)が開き、冷媒が吐出空間(82)から吐出管(66)を通ってケーシング(10)から流出する。
なお、外側シリンダ室(23c)と内側シリンダ室(23b)とでは、冷媒の吸入開始のタイミング及び吐出開始のタイミングがほぼ180°異なる。このことにより、吐出脈動が小さくなり、振動や騒音が低減される。
一方、第2圧縮機構部(30)では、ロータ(52)の回転が駆動軸(53)の第2偏心部(53b)を介して第2ピストン(32)に伝達され、該第2ピストン(32)は、揺動ブッシュ部(34c)の中心点を揺動中心として揺動すると共に、第2ブレード(34)と共に該第2ブレード(34)の長手方向へ進退する。これにより、第2ピストン(32)が第2シリンダ(31)に対して揺動しながら公転し、第2圧縮機構部(30)の4つのシリンダ室(33a,33b,33c,33d)において所定の圧縮動作が行われる。
上記第2圧縮機構部(30)における圧縮動作は、実質的に第1圧縮機構部(20)の圧縮動作と同じであり、冷媒が各シリンダ室(33a,33b,33c,33d)内で圧縮される。各シリンダ室(33a,33b,33c,33d)において、高圧室(33aH,33bH,33cH,33dH)の圧力が所定値となって各吐出空間(85,84,84,81)との差圧が設定値に達すると、該高圧室(33aH,33bH,33cH,33dH)の冷媒の圧力によって吐出弁(88,88,88,88)が開き、冷媒が各吐出空間(85,84,84,81)から吐出管(69,68,68,67)を通ってケーシング(10)から流出する。
圧縮機構(40)の動作中に、冷媒は、吸入管(62)から第1段圧縮機構のシリンダ室である第1圧縮機構部(20)の最外側シリンダ室(23d)と第2圧縮機構部(30)の最外側シリンダ室(33d)に吸入されて圧縮され、第1段圧縮機構のシリンダ室から吐出管(67)を通って吐出される。第1段圧縮機構のシリンダ室から吐出された冷媒は、冷却された後、吸入管(61)から第2段圧縮機構のシリンダ室である第1圧縮機構部(20)の外側シリンダ室(23c)と内側シリンダ室(23b)に吸入されてさらに圧縮され、第2段圧縮機構のシリンダ室から吐出管(66)を通って吐出される。第2段圧縮機構のシリンダ室から吐出された冷媒は、冷却された後、吸入管(63)から第3段圧縮機構のシリンダ室である第2圧縮機構部(30)の外側シリンダ室(33c)と内側シリンダ室(33b)に吸入されてさらに圧縮され、第3段圧縮機構のシリンダ室から吐出管(68)を通って吐出される。第3段圧縮機構のシリンダ室から吐出された冷媒は、冷却された後、吸入管(60,64)から第4段圧縮機構のシリンダ室である第1圧縮機構部(20)の最内側シリンダ室(23a)と第2圧縮機構部(30)の最内側シリンダ室(33a)に吸入されてさらに圧縮され、第4段圧縮機構のシリンダ室から吐出管(65,69)を通って吐出される。
第4段圧縮機構のシリンダ室から吐出された冷媒は、図示していない冷媒回路の放熱器、膨張機構、蒸発器を順に流れ、再度圧縮機(1)に吸入される。そして、圧縮機(1)における圧縮行程、放熱器における放熱工程、膨張機構における膨張行程、蒸発器における蒸発行程を順に繰り返すことにより、冷凍サイクルが行われる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、モーメント抑制手段(103)を油溝部(101)によって構成したため、油溝部(101)に供給される潤滑油の圧力によって各ブレード(24,34)が回転軸(A)を中心に回転するモーメント(Mo)の発生を抑えることができる。これにより、各ブレード(24,34)が回転軸(A)を中心に回転するのを確実に防止することができる。つまり、各ブレード(24,34)が回転によって傾いて、各ピストン(22,32)やシリンダ(21,31)などの部材に接触するのを確実に防止することができる。この結果、各ブレード(24,34)における摺動損失の発生を防止することができる。
−実施形態1の変形例−
次に、本発明の実施形態1の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態1とは、油溝部(101)の形成される位置が異なっている。尚、本変形例は、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図10に示すように、本変形例に係る油溝部(101,101)は、第1シリンダ(21)のシリンダ側鏡板部(21d)と第2シリンダ(31)のシリンダ側鏡板部(31d)のそれぞれに形成されている。
上記第1シリンダ(21)では、油溝部(101)は第1ブレード(24)の長尺部(24a)の上端面と対向する面の径方向内側よりに凹状に形成されている。油溝部(101)は、油導入路(100)に連通しており、第4油分岐路(96)から油導入路(100)を流れる潤滑油が供給される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
上記第2シリンダ(31)では、油溝部(101)は第2ブレード(34)の長尺部(34a)の下端面と対向する面の径方向内側よりに凹状に形成されている。油溝部(101)は、油導入路(100)に連通しており、第1油分岐路(93)から油導入路(100)を流れる潤滑油が供給される。こうすることで、第2ブレード(34)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
〈発明の実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2は、上記実施形態1とは、油溝部(101)の形成される位置が異なっている。尚、本実施形態2では、上記実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図11および図12に示すように、本実施形態2に係る油溝部(101,101)は、第1ブレード(24)の短尺部(24b)と第2ブレード(34)の短尺部(34b)のそれぞれに形成されている。
上記第1ブレード(24)では、短尺部(24b)の下端面(ミドルプレート(19)の本体部(19a)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。油溝部(101)は、径方向に沿って凹状に形成されている。この油溝部(101)は、スライド溝(21f)に連通しており、スライド溝(21f)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
上記第2ブレード(34)では、短尺部(34b)の上端面(ミドルプレート(19)の蓋部(19b)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。油溝部(101)は、径方向に沿って凹状に形成されている。この油溝部(101)は、スライド溝(31f)に連通しており、スライド溝(31f)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第2ブレード(34)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
−ブレードまわりのモーメント−
次に、各ブレード(24,34)に付与される圧力による該ブレード(24,34)周辺のモーメントについて説明する。ここでは、上記第1ブレード(24)のみについて説明し、第2ブレード(34)については、第1ブレード(24)と同様であるため説明を省略する。
図13に示すように、第1ブレード(24)の長尺部(24a)では、内側ブレード部(B1)の先端(径方向内側の端部)に最内側シリンダ室(23a)内の冷媒から分布荷重(q2)が作用し、集中荷重(P2=q2×L2)が加わっている。また、長尺部(24a)の後端(径方向外側の端部)には、第1ブレード(24)をスライドさせるスライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3b=q3×L2)が加わっている。尚、スライド溝(21f)内の圧力は、ケーシング(10)内の冷媒の圧力と同等になる。
次に、第1ブレード(24)の短尺部(24b)では、外側第2ブレード(B3)の先端(径方向内側の端部)に最外側シリンダ室(23d)内の冷媒から分布荷重(q1)が作用し、集中荷重(P1=q1×L1)が加わっている。また、短尺部(24b)の後端(径方向外側の端部)には、スライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3a=q3×L1)が加わっている。さらに、短尺部(24b)には、その下端面(ミドルプレート(19)の本体部(19a)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。このため、第1ブレード(24)の短尺部(24b)の下端には、油溝部(101)を流れる高圧の潤滑油から分布加重(q4(=q3))が作用し、集中加重(P4=q4×L4)が加わる。
上述した5つの集中荷重(P1,P2,P3a,P3b,P4)がそれぞれ第1ブレード(24)に作用することで該第1ブレード(24)には、短尺部(24b)の径方向の内側基端に形成される回転軸(A)を中心に回転しようとするモーメント(Mo)が働くが、このモーメント(Mo)は、以下のようになる。
Mo=1/2{(P1×L1)+(P2×L2)+(P3a×L1)+(P3b×L2)}+P4×(1/2×L4+L4')≒0
(P1:q1×L1、P2:q2×L2、P3a:q3×L1、P3b:q3×L2、P4:q4×L4)
ここで、Mo>0の場合、図21に示すように、時計回りに回転するモーメント(Mo)が生じる。ところが、本実施形態2では、第1ブレード(24)は、油溝部(101)から加わる圧力(P4)によって長尺部(24a)の内側ブレード部(B1)が時計回りの回転方向に沿って上方に傾くのを阻止している。このため、内側ブレード部(B1)の上端がシリンダ側鏡板部(21d)に接触することはない。また、短尺部(24b)の外側第2ブレード部(B3)の先端(径方向内側の端部)が時計回りの回転方向に沿って径方向内側に傾くのを阻止している。このため、外側第2ブレード部(B3)の先端がピストン側鏡板部(22c)と接触することはない。そして、短尺部(24b)の外側第2ブレード部(B3)の後端よりの下端が時計回りの回転方向に沿って下方側に傾くのを阻止している。このため、外側第2ブレード部(B3)の後端よりの下端部がミドルプレート(19)の本体部(19a)と接触することはない。以上より、第1ブレード(24)において摺動損失の増大が防がれる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
−実施形態2の変形例−
次に、本発明の実施形態2の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態2とは、油溝部(101)の形成される位置が異なっている。尚、本変形例は、実施形態2と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図14に示すように、本変形例に係る油溝部(101,101)は、ミドルプレート(19)に形成されている。
上記ミドルプレート(19)の本体部(19a)では、油溝部(101)は第1ブレード(24)の短尺部(24b)の下端面と対向する面に凹状に形成されている。油溝部(101)は、スライド溝(21f)に連通しており、油溜め部(90)の潤滑油が供給される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
上記ミドルプレート(19)の蓋部(19b)では、油溝部(101)は第2ブレード(34)の短尺部(24b)の上端面と対向する面に凹状に形成されている。油溝部(101)は、スライド溝(31f)に連通しており、油溜め部(90)の潤滑油が供給される。こうすることで、第2ブレード(34)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。その他の構成、作用・効果は実施形態2と同様である。
〈発明の実施形態3〉
次に、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態3は、上記実施形態1とは、油溝部(101)の形成される位置が異なっている。尚、本実施形態3では、上記実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図15および図16に示すように、本実施形態3に係る油溝部(101,101)は、第1ブレード(24)の長尺部(24a)と第2ブレード(34)の長尺部(34a)のそれぞれに形成されている。
上記第1ブレード(24)では、長尺部(24a)の上端面(シリンダ側鏡板部(21d)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。油溝部(101)は、長尺部(24a)に沿って凹状に形成され、その長手方向の他端が外側第1ブレード部(B2)の後端に形成され、一端が揺動ブッシュ部(24c)の径方向外側の手前まで延びている。つまり、油溝部(101)が形成されることで、第1ブレード(24)の長尺部(24a)における外側第1ブレード部(B2)の後端から揺動ブッシュ部(24c)の手前までの領域に潤滑油を溜めることができるようになっている。この油溝部(101)は、スライド溝(21f)に連通しており、スライド溝(21f)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
上記第2ブレード(34)では、長尺部(34a)の下端面(シリンダ側鏡板部(31d)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。油溝部(101)は、長尺部(34a)に沿って凹状に形成され、その長手方向の他端が外側第1ブレード部(B2)の後端に形成され、一端が揺動ブッシュ部(34c)の径方向外側の手前まで延びている。つまり、油溝部(101)が形成されることで、第2ブレード(34)の長尺部(34a)における外側第1ブレード部(B2)の後端から揺動ブッシュ部(34c)の手前までの領域に潤滑油を溜めることができるようになっている。
−ブレードまわりのモーメント−
次に、各ブレード(24,34)に付与される圧力による該ブレード(24,34)周辺のモーメントについて説明する。ここでは、上記第1ブレード(24)のみについて説明し、第2ブレード(34)については、第1ブレード(24)と同様であるため説明を省略する。
図17に示すように、第1ブレード(24)の長尺部(24a)では、内側ブレード部(B1)の先端(径方向内側の端部)に最内側シリンダ室(23a)内の冷媒から分布荷重(q2)が作用し、集中荷重(P2=q2×L2)が加わっている。また、長尺部(24a)の後端(径方向外側の端部)には、第1ブレード(24)をスライドさせるスライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3b=q3×L2)が加わっている。尚、スライド溝(21f)内の圧力は、ケーシング(10)内の冷媒の圧力と同等になる。さらに、長尺部(24a)には、その上端面(シリンダ側鏡板部(21d)と対向する面)に油溝部(101)が形成されている。このため、第1ブレード(24)の上端の後端よりの領域には、油溝部(101)を流れる高圧の潤滑油から分布加重(q4(=q3))が作用し、集中加重(P4=q4×L4)が加わる。
次に、第1ブレード(24)の短尺部(24b)では、外側第2ブレード(B3)の先端(径方向内側の端部)に最外側シリンダ室(23d)内の冷媒から分布荷重(q1)が作用し、集中荷重(P1=q1×L1)が加わっている。また、短尺部(24b)の後端(径方向外側の端部)には、スライド溝(21f)内の高圧の潤滑油から分布荷重(q3)が作用し、集中荷重(P3a=q3×L1)が加わっている。
上述した5つの集中荷重(P1,P2,P3a,P3b,P4)がそれぞれ第1ブレード(24)に作用することで該第1ブレード(24)には、短尺部(24b)の径方向の内側基端に形成される回転軸(A)を中心に回転しようとするモーメント(Mo)が働くが、このモーメント(Mo)は、以下のようになる。
Mo=1/2{(P1×L1)+(P2×L2)+(P3a×L1)+(P3b×L2)}+P4×(1/2×L4+L4')≒0
(P1:q1×L1、P2:q2×L2、P3a:q3×L1、P3b:q3×L2、P4:q4×L4)
ここで、Mo<0の場合、図22に示すように、反時計回りに回転するモーメント(Mo)が生じる。ところが、本実施形態3では、第1ブレード(24)は、油溝部(101)から加わる圧力(P4)によって長尺部(24a)の内側ブレード部(B1)が反時計回りの回転方向に沿って下方に傾くのを阻止している。このため、内側ブレード部(B1)の下端がピストン側鏡板部(22c)に接触することはない。また、短尺部(24b)の外側第2ブレード部(B3)の先端(径方向内側の端部)が反時計回りの回転方向に沿って径方向外側に傾くのを阻止している。このため、外側第2ブレード部(B3)の下端の先端側がミドルプレート(19)の本体部(19a)と接触することはない。そして、長尺部(24a)の外側第1ブレード部(B2)の後端よりの上端部が時計回りの回転方向に沿って上方側に傾くのを阻止している。このため、外側第1ブレード部(B2)の後端上端部がシリンダ側鏡板部(21d)と接触することはない。以上より、第1ブレード(24)において摺動損失の増大が防がれる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
−実施形態3の変形例−
次に、本発明の実施形態3の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態3とは、油溝部(101)の形成される位置が異なっている。尚、本変形例は、実施形態3と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図18に示すように、本変形例に係る油溝部(101,101)は、第1シリンダ(21)のシリンダ側鏡板部(21d)と第2シリンダ(31)のシリンダ側鏡板部(31d)のそれぞれに形成されている。
上記第1シリンダ(21)では、油溝部(101)は第1ブレード(24)の長尺部(24a)の上端面と対向する面の径方向外側よりに凹状に形成されている。油溝部(101)は、スライド溝(21f)に連通しており、スライド溝(21f)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第1ブレード(24)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。
上記第2シリンダ(31)では、油溝部(101)は第2ブレード(34)の長尺部(34a)の下端面と対向する面の径方向外側よりに凹状に形成されている。油溝部(101)は、スライド溝(31f)に連通しており、スライド溝(31f)を流れる潤滑油が供給されて貯留される。こうすることで、第2ブレード(34)に対して高圧の潤滑油の圧力が付与される。その他の構成、作用・効果は実施形態3と同様である。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1〜3では、第1〜第4圧縮機構において4段圧縮が行われる圧縮機(1)に本発明を適用するようにしたが、本発明はこれに限られず、例えば単段圧縮機、2段圧縮機又は3段圧縮機においても適用することができる。
また、上記実施形態1および3では、油溝部(101)は、シリンダ側鏡板部(21d,31d)と第1ブレード(24)又は第2ブレード(34)の何れか一方に形成するようにしたが、本発明はこれに限られず、シリンダ側鏡板部(21d,31d)と第1ブレード(24)又は第2ブレード(34)の両方に油溝部(101)を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態2では、油溝部(101)は、ミドルプレート(19)と第1ブレード(24)又は第2ブレード(34)の何れか一方に形成するようにしたが、本発明はこれに限られず、ミドルプレート(19)と第1ブレード(24)又は第2ブレード(34)の両方に油溝部(101)を形成するようにしてもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、複数のシリンダ室が形成された偏心回転型の圧縮機構を有する回転式圧縮機について有用である。
10 ケーシング
19 ミドルプレート
21 第1シリンダ
21a 内側シリンダ部
21b 外側シリンダ部
21c 最外側シリンダ部
21d シリンダ側鏡板部
21f スライド溝
22 第1ピストン
22a 内側ピストン部
22b 外側ピストン部
22c ピストン側鏡板部
23a 最内側シリンダ室
23b 内側シリンダ室
23c 外側シリンダ室
23d 最外側シリンダ室
24 第1ブレード
24a 長尺部
24b 短尺部
24c 揺動ブッシュ部
31 第2シリンダ
31a 内側シリンダ部
31b 外側シリンダ部
31c 最外側シリンダ部
31d シリンダ側鏡板部
31f スライド溝
32 第2ピストン
32a 内側ピストン部
32b 外側ピストン部
32c ピストン側鏡板部
33a 最内側シリンダ室
33b 内側シリンダ室
33c 外側シリンダ室
33d 最外側シリンダ室
34 第2ブレード
34a 長尺部
34b 短尺部
34c 揺動ブッシュ部
53 駆動軸
101 油溝部
103 モーメント抑制手段

Claims (4)

  1. 環状のシリンダ空間を有するシリンダ(21,31)と、該シリンダ(21,31)に対して偏心して配置されたピストン(22,32)と、該ピストン(22,32)に連結された駆動軸(53)とがケーシング(10)内に収容され、該ピストン(22,32)が、上記シリンダ(21,31)に対して偏心回転運動をするピストン部(22a,22b,32a,32b)と該シリンダ空間を閉塞する鏡板部(22c,32c)とを備え、上記シリンダ(21,31)とピストン(22,32)との間で流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(21,31)は、上記ピストン(22,32)の鏡板部(22c,32c)を偏心回転運動可能に収納する鏡板収納空間を有し、
    上記シリンダ空間が主シリンダ室(C1)を構成する一方、上記鏡板収納空間により副シリンダ室(C2)が形成され、
    上記主シリンダ室(C1)は、径方向内周側から外周側に向かって順に形成された最内側シリンダ室(23a,33a)、内側シリンダ室(23b,33b)及び外側シリンダ室(23c,33c)を含み、
    上記副シリンダ室(C2)により、上記外側シリンダ室(23c,33c)の径方向外周側に位置する最外側シリンダ室(23d,33d)が形成され、
    上記シリンダ(21,31)は、上記駆動軸(53)の回転中心を中心として同心上に配置された内側シリンダ部(21a,31a)、外側シリンダ部(21b,31b)及び最外側シリンダ部(21c,31c)を有し、
    上記ピストン(22,32)は、上記駆動軸(53)に形成されている偏心部と同一中心上に配置された環状の内側ピストン部(22a,32a)及び外側ピストン部(22b,32b)を有するとともに、上記鏡板部(22c,32c)が両ピストン部(22a,22b,32a,32b)と同心上に配置され、
    上記内側ピストン部(22a,32a)が内側シリンダ部(21a,31a)の内径側に配置されるとともに、外側ピストン部(22b,32b)が内側シリンダ部(21a,31a)と外側シリンダ部(21b,31b)の間に配置され、
    上記内側ピストン部(22a,32a)の外周面と上記内側シリンダ部(21a,31a)の内周面との間に上記最内側シリンダ室(23a,33a)が形成され、
    上記内側シリンダ部(21a,31a)の外周面と上記外側ピストン部(22b,32b)の内周面との間に上記内側シリンダ室(23b,33b)が形成され、
    上記外側ピストン部(22b,32b)の外周面と上記外側シリンダ部(21b,31b)の内周面との間に上記外側シリンダ室(23c,33c)が形成され、
    上記鏡板部(22c,32c)の外周面と最外側シリンダ部(21c,31c)の内周面との間に上記最外側シリンダ室(23d,33d)が形成され、
    上記各シリンダ室(23,33)を吸入側と吐出側に区画するブレード(24,34)を有し、上記シリンダ(21,31)には、上記ブレード(24,34)を該ブレード(24,34)の面方向へスライド可能に保持し、且つケーシング(10)の内部に連通するスライド溝(21f,21g,31f,31g)が形成され、
    上記ブレード(24,34)は、上記外側ピストン部(22b,32b)に揺動可能に連結される揺動ブッシュ部(24c,34c)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向内側に位置して該最内側シリンダ室(23a,33a)と内側シリンダ室(23b,33b)を吸入側と吐出側に区画する内側ブレード部(B1)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向外側に位置して上記外側シリンダ室(23c,33c)を吸入側と吐出側に区画する外側第1ブレード部(B2)と、該揺動ブッシュ部(24c,34c)の径方向外側に位置し、且つ上記外側第1ブレード部(B2)と連続して上記最外側シリンダ室(23d,33d)を吸入側と吐出側に区画する外側第2ブレード部(B3)とを備え、
    上記ブレード(24,34)における上記駆動軸(53)の直交方向に延びる所定の回転軸(A)を中心に回転させるモーメント(Mo)の発生を抑えるモーメント抑制手段(103)を備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記ケーシング(10)は、上記駆動軸(53)、ピストン(22,32)およびシリンダ(21,31)の摺動部に供給される潤滑油を貯留する油溜め部(90)を備える一方、
    上記モーメント抑制手段(103)は、上記ブレード(24,34)又はシリンダ(21,31)に形成されて上記油溜め部(90)の潤滑油が供給される油溝部(101)を備え、該油溝部(101)内の潤滑油によって上記ブレード(24,34)を押圧することで上記モーメント(Mo)の発生を抑えるよう構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記シリンダ(21,31)は、上記最内側シリンダ室(23a,33a)、内側シリンダ室(23b,33b)および外側シリンダ室(23c,33c)を閉塞するシリンダ側鏡板部(21d,31d)を備え、
    上記油溝部(101)は、上記ブレード(24,34)と上記シリンダ側鏡板部(21d,31d)との間に形成される
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 請求項2において、
    上記シリンダ(21,31)は、上記最外側シリンダ室(23d)を閉塞する閉塞部材(19)を備え、
    上記油溝部(101)は、上記閉塞部材(19)と上記外側第2ブレード部(B3)との間に形成される
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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